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JP2011180047A - パンタグラフ監視装置 - Google Patents

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JP2011180047A
JP2011180047A JP2010046047A JP2010046047A JP2011180047A JP 2011180047 A JP2011180047 A JP 2011180047A JP 2010046047 A JP2010046047 A JP 2010046047A JP 2010046047 A JP2010046047 A JP 2010046047A JP 2011180047 A JP2011180047 A JP 2011180047A
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Abstract

【課題】列車の屋根上を撮影した画像を解析して、パンタグラフの舟体に設置されているすり板の欠けや抉れの有無を検出することを可能としたパンタグラフ監視装置を提供する。
【解決手段】列車の屋根上を撮影する監視カメラと、監視カメラによって撮影された検査パンタグラフ画像を画像処理することによりパンタグラフの状態を監視する画像処理装置とを備えたパンタグラフ監視装置において、画像処理部が、予め設定される基準画像上のパンタグラフの舟体の画像と前記入力画像上のパンタグラフ舟体の画像とを比較する検査小領域画像比較部5h、及び、比較結果に基づいてパンタグラフ舟体の欠けや抉れの有無を判断する比較判断部5iを有するパンタグラフ状態検査処理手段を備える構成とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、列車の屋根上を撮影した画像を解析してパンタグラフの状態を検査する装置に関し、特にパンタグラフの舟体に設置されているすり板の欠けや抉れの有無を画像処理により検出するパンタグラフ監視装置に関する。
従来、列車の屋根上を撮影した画像を解析してパンタグラフの状態を検査する装置として、すり板の厚さを計測する装置が提案されている。例えば、特許文献1では、フラッシュランプを照射して斜め上方からパンタグラフを撮影した画像を用い、すり板上面とすり板と舟体との結合面ラインを撮影画像の輝度差から検出し、すり板上面のエッジと結合面ラインのエッジの間の距離としてすり板の厚さを求める装置が開示されている。
また、特許文献2では、ストロボ照射して水平よりもやや斜め下方からパンタグラフを撮影した画像を用い、画像中から濃淡エッジを検出し、そのエッジを繋ぐことによってすり板上面座標値とすり板下面座標値を求め、これらの座標値の差分からすり板の厚さを求める装置が開示されている。
特開2004−312832号公報 特開2002−150271号公報
特許文献1,2に記載されている装置は、パンタグラフを撮影した画像を解析することにより、パンタグラフの舟体に設置されているすり板の厚さを計測する装置である。このため、パンタグラフの状態としてすり板の摩耗具合を検査することができる。すり板の摩耗は、電気列車への電力供給のため架線とすり板が走行中に常時接触することによりすり板が徐々に削れることで発生するものである。
しかしながら、すり板に発生する異常としては、摩耗に加えて、図9に示すように、パンタグラフ1aの舟体に設置されているすり板1bに部分的に発生する欠け13や、図10に示すような抉れ14がある。すり板の欠け13や抉れ14は、すり板1bに発生した大小の破損である。これは、列車走行中に何らかの原因で架線を支える周辺構造物がすり板1bに接触することにより発生する。
図9及び図10に示すように、すり板1bに欠け13や抉れ14が発生した状態で列車が走行を続けると、すり板1bと接触する架線および架線を支える周辺構造物に損傷を与える可能性がある。このため、すり板1bに発生した欠け13や抉れ14の度合いによっては列車を止めて架線および周辺構造物の損傷を抑える必要がある。
このようなことから本発明は、列車の屋根上を撮影した画像を解析して、パンタグラフの舟体に設置されているすり板の欠けや抉れの有無を検出することを可能としたパンタグラフ監視装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための第1の発明に係るパンタグラフ監視装置は、列車の屋根上を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された入力画像を画像処理することによりパンタグラフの状態を監視する画像処理手段とを備えたパンタグラフ監視装置において、前記画像処理手段が、予め登録される基準画像上のパンタグラフの舟体に設置されているすり板と、前記入力画像上の前記すり板とを比較して前記すり板の状態を監視するパンタグラフ状態検査処理手段を備えることを特徴とする。
また、第2の発明に係るパンタグラフ監視装置は、第1の発明に係るパンタグラフ監視装置において、前記パンタグラフ状態検査処理手段が、前記基準画像と前記入力画像の前記舟体に対し順次同一位置に同一形状の小領域を設定する検査小領域設定手段と、各前記小領域内の画像を比較する検査小領域画像比較手段と、前記小領域ごとに異常の有無を判断する比較判断手段とを備えることを特徴とする。
また、第3の発明に係るパンタグラフ監視装置は、第2の発明に係るパンタグラフ監視装置において、前記パンタグラフ状態検査処理手段が、一つの前記入力画像に対して該入力画像上の前記小領域の位置と該小領域における異常の有無とを対応させてなる検査小領域異常結果データを作成する検査小領域異常結果データ整理手段を備えることを特徴とする。
また、第4の発明に係るパンタグラフ監視装置は、第3の発明に係るパンタグラフ監視装置において、前記パンタグラフ状態検査処理手段が、異常ありと判断された相互に隣接する前記小領域をまとめてなる異常検出部分を検出し、該異常検出部分の位置及び該異常検出部分に含まれる前記小領域の個数を出力する異常結果検出手段を備えることを特徴とする。
また、第5の発明に係るパンタグラフ監視装置は、第3又は第4の発明に係るパンタグラフ監視装置において、前記入力画像を取り込む画像データ入力手段と、パンタグラフ検出情報を取得するパンタグラフ検出情報入力手段と、前記すり板に対する検査範囲、前記小領域の大きさ及び前記小領域を設定する間隔からなる検査設定情報を出力する検査設定手段と、前記パンタグラフ検出情報に基づいて前記入力画像上のパンタグラフの相対位置を計算するパンタグラフ相対位置計算手段と、前記検査小領域異常結果データを出力する結果データ出力手段とを備え、前記検査小領域設定手段が、前記検査設定情報に基づいて前記基準画像上の前記小領域の位置を出力する検査小領域設定位置指定手段と、前記パンタグラフの相対位置と前記基準画像上の前記小領域の位置とに基づいて前記入力画像上の前記小領域の位置を求める検査小領域位置座標変換手段とからなることを特徴とする。
上述した第1の発明に係るパンタグラフ監視装置によれば、列車の屋根上を撮影する撮影手段と、撮影手段によって撮影された入力画像を画像処理することによりパンタグラフの状態を監視する画像処理手段とを備えたパンタグラフ監視装置において、画像処理手段が、予め登録される基準画像上のパンタグラフの舟体に設置されているすり板と、入力画像上のすり板とを比較してすり板の状態を監視するパンタグラフ状態検査処理手段を備えるので、列車の屋根上を撮影した画像を解析して、パンタグラフの舟体に設置されたすり板欠けや抉れの有無を検出することができ、架線および架線を支える周辺構造物の損傷を防止することができる。
また、第2の発明に係るパンタグラフ監視装置によれば、パンタグラフ状態検査処理手段が、基準画像と入力画像の舟体に対し順次同一位置に同一形状の小領域を設定する検査小領域設定手段と、各小領域内の画像を比較する検査小領域画像比較手段と、小領域ごとに異常の有無を判断する比較判断手段とを備えるので、すり板に発生した欠け及び抉れを高精度に検出することができる。
また、第3の発明に係るパンタグラフ監視装置によれば、パンタグラフ状態検査処理手段が、一つの入力画像に対して該入力画像上の小領域の位置と該小領域における異常の有無とを対応させてなる検査小領域異常結果データを作成する検査小領域異常結果データ整理手段を備えるので、すり板に発生した欠け及び抉れの詳細な情報を取得することができる。
また、第4の発明に係るパンタグラフ監視装置によれば、パンタグラフ状態検査処理手段が、異常ありと判断された相互に隣接する小領域をまとめてなる異常検出部分を検出し、該異常検出部分の位置及び該異常検出部分に含まれる小領域の個数を出力する異常結果検出手段を備えるので、すり板に発生した欠けや抉れの度合いを判断する情報を提示することができる。
また、第5の発明に係るパンタグラフ監視装置によれば、入力画像を取り込む画像データ入力手段と、パンタグラフ検出情報を取得するパンタグラフ検出情報入力手段と、すり板に対する検査範囲、小領域の大きさ及び小領域を設定する間隔からなる検査設定情報を出力する検査設定手段と、パンタグラフ検出情報に基づいて入力画像上のパンタグラフの相対位置を計算するパンタグラフ相対位置計算手段と、検査小領域異常結果データを出力する結果データ出力手段とを備え、検査小領域設定手段が、検査設定情報に基づいて基準画像上の小領域の位置を出力する検査小領域設定位置指定手段と、パンタグラフの相対位置と基準画像上の小領域の位置とに基づいて入力画像上の小領域の位置を求める検査小領域位置座標変換手段とからなるので、すり板に発生した欠けや抉れを確実に検出することができる。
本発明の実施例1に係るパンタグラフ監視装置の設置例を示す説明図である。 本発明の実施例1に係るパンタグラフ状態検査処理部の概略構成を示すブロック図である。 図3(a)は基準パンタグラフ画像に設定された検査小領域の例を示す説明図、図3(b)は検査パンタグラフ画像に設定された検査小領域の例を示す説明図である。 本発明の実施例1における検査範囲の設定例を示す説明図である。 本発明の実施例1における検査小領域サイズ及び検査小領域間隔の設定例を示す説明図である。 本発明の実施例2に係るパンタグラフ状態検査処理部の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施例2における異常検出領域の検出例を示す説明図である。 本発明の実施例2における異常検出部分の検出例を示す説明図である。 パンタグラフのすり板に発生した欠けの例を示す説明図である。 パンタグラフのすり板に発生した抉れの例を示す説明図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係るパンタグラフ監視装置の詳細を説明する。
図1乃至図5に基づいて本発明に係るパンタグラフ監視装置の第1の実施例について説明する。図1は本実施例に係るパンタグラフ監視装置の設置例を示す説明図、図2は本実施例に係るパンタグラフ状態検査処理部の概略構成を示すブロック図、図3は検査小領域の例を示す説明図、図4は本実施例における検査範囲の設定例を示す説明図、図5は本実施例における検査小領域サイズ及び検査小領域間隔の設定例を示す説明図である。
図1に示すように、本実施例においてパンタグラフ監視装置は、列車1の接近を検知するためのセンサ2、列車1の屋根上を照らす照明装置3、列車1の屋根上の照明装置3によって照らされる領域を撮影する撮影手段としての監視カメラ4、及びこれらセンサ2、照明装置3及び監視カメラ4に接続された画像処理手段としての画像処理装置5から構成されている。
センサ2は、例えばレール6の振動等を測定するものであり、レール6に取り付けられるとともに列車接近警報手段としての列車接近警報部(図示せず)に接続されている。列車接近警報部は、センサ2の出力に応じて列車1の接近の有無を検知するものであり、列車1が接近していると判断した場合には警報として列車接近信号を画像処理装置5の後述する撮影処理部5Aへ送信する。
照明装置3は、センサ2に対して列車1の進行方向前方に設置され、撮影処理部5Aからの信号に基づいて点灯及び消灯を行うように構成されている。
監視カメラ4は、照明装置3と概ね同位置に、列車1の屋根上の照明装置3によって照らされた領域を撮影するように設置され、撮影処理部5Aからの信号に基づいて撮影の開始、終了を行うように構成されている。この監視カメラ4によって撮影した画像は画像処理装置5の後述するパンタグラフ検索処理部5Bへ送信される。
なお、照明装置3及び監視カメラ4が設置される位置は、センサ2から所定の距離だけ離間した位置、例えば、センサ2の出力に基づいて監視カメラ4を起動したときに、列車1がこの監視カメラ4の視野内に進入する直前にこの監視カメラ4による撮影を開始することができる位置とする。
画像処理装置5は、パンタグラフ1aの撮影を制御する撮影処理部5Aと、監視カメラ4によって撮影された画像中からパンタグラフ1aを検出するパンタグラフ検索処理部5Bと、監視カメラ4によって撮影されたパンタグラフ1aの画像を解析してパンタグラフ1aの舟体部分(以下、パンタグラフ舟体と呼称する)に設置されたすり板1b(図3等参照)の欠けや抉れを検出するパンタグラフ状態検査処理手段としてのパンタグラフ状態検査処理部5Cとから構成されている。
撮影処理部5Aは、センサ2、照明装置3、及び監視カメラ4を制御して通過する列車1の屋根上を撮影する処理を行う部分である。
パンタグラフ検出処理部5Bは、撮影処理部5Aにより撮影した列車1の屋根上の画像からパンタグラフ1aの画像を検出し、この画像上のパンタグラフ1aの位置等をパンタグラフ検出情報として画像のデータとともに出力する処理を行う部分である。
パンタグラフ状態検査処理部5Cは、パンタグラフ検索処理部5Bにより検出したパンタグラフ1aの画像を解析して、すり板1bの欠けや抉れの有無を検出する処理を行う部分である。
ここで、撮影処理部5A及びパンタグラフ検索処理部5Bにおける処理は既知の手法(例えば、特願2009−014850等参照)を用いるものとし、詳細な説明は省略する。
以下、パンタグラフ状態検査処理部5Cについて詳細に説明する。パンタグラフ状態検査処理部5Cは、図2に示すように、画像データ入力手段としての画像データ入力部5a、パンタグラフ検出情報入力手段としてのパンタグラフ検出情報入力部5b、検査設定手段としての設定部5c、記憶部5d、パンタグラフ相対位置計算手段としてのパンタグラフ相対位置計算部5e、検査小領域設定位置指定手段としての検査小領域位置指定部5f、検査小領域位置座標変換手段としての検査小領域位置座標変換部5g、検査小領域画像比較手段としての検査小領域画像比較部5h、比較判断手段としての比較判断部5i、検査小領域異常結果データ整理手段としての検査小領域異常結果データ整理部5j、及び、結果データ出力手段としての結果データ出力部5kを備えている。
画像データ入力部5aは、データベース(図示せず)から取り出した図3(a)に示すような基準パンタグラフ画像7と、監視カメラ4から取得した図3(b)に示すような検査パンタグラフ画像8とを、パンタグラフ検索処理部5Bから入力する。これらの基準パンタグラフ画像7及び検査パンタグラフ画像8は、画像データとして記憶部5dに保管される。ここで、基準パンタグラフ画像7はパンタグラフ1aを撮影した画像の中から選択されたすり板1bに欠けや抉れのない画像であり、データベースに予め登録しておくものとする。また、検査パンタグラフ画像8は撮影処理部5Aにより制御され監視カメラ4で撮影した画像のうち、パンタグラフ検索処理部5Bにおいて検出された検査対象であるパンタグラフ1aが撮影された画像である。
パンタグラフ検出情報入力部5bは、パンタグラフ検索処理部5Bから、検査パンタグラフ画像8上のパンタグラフ1aの位置等からなるパンタグラフ検出情報を入力する。入力されたパンタグラフ検出情報は記憶部5dに保管される。
設定部5cは、検査範囲10(図4参照)、検査小領域サイズW1,W2(図5参照)、検査小領域間隔D1,D2(図5参照)、検査小領域比較しきい値を設定し、これらを検査設定情報としてまとめる。検査設定情報は記憶部5dに保管される。ここで、図4に示すように検査範囲10は画像(基準パンタグラフ画像7、検査パンタグラフ画像8)中のパンタグラフ舟体を囲む範囲、図5に示すように検査小領域サイズW1,W2は後述する小領域9a,9b(以下、総称する場合は小領域9と呼称する)の大きさを決定するパラメータ、検査小領域間隔D1,D2は検査小領域9を設定する間隔を決定するパラメータであり、隣り合う検査小領域9同士が重なるように設定される。なお、小領域9a,9bは、図3に示すように基準パンタグラフ画像7および検査パンタグラフ画像8のパンタグラフ舟体上の同一位置に比較対象としてそれぞれ設定される領域である。また、検査小領域比較しきい値は基準パンタグラフ画像7と検査パンタグラフ画像8の検査小領域9に対応する部分の画像(以下、「部分画像」と呼ぶ)同士の比較結果に基づいてすり板1bの欠けや抉れの有無を判断するために予め設定されるしきい値である。
記憶部5dは、各処理部から出力されるデータを入力し保管するとともに、各処理部からの要求に応じて必要なデータを所望の処理部へ出力する。
パンタグラフ相対位置計算部5eは、記憶部5dからパンタグラフ検出情報を入力し、基準パンタグラフ画像7上のパンタグラフ1aの位置と検査パンタグラフ画像8上のパンタグラフ1aの位置との相対関係を算出して結果をパンタグラフ相対位置情報としてまとめる。パンタグラフ相対位置情報は記憶部5dに保管される。
要するに、図3に示すように、基準パンタグラフ画像7上のパンタグラフ1aの位置と検査パンタグラフ画像8上のパンタグラフ1aの位置とでは、画面に対するパンタグラフ1aの位置が相互に異なることが考えられる。そのため、基準パンタグラフ画像7及び検査パンタグラフ画像8それぞれの画像中のすり板1bに対して該すり板1b上の同一位置にそれぞれ小領域9a,9bを設定するためには、基準パンタグラフ画像7、検査パンタグラフ画像8それぞれの画像中のパンタグラフ1aの位置、換言すると、基準パンタグラフ画像7上のパンタグラフ1aの位置に対する検査パンタグラフ画像8上のパンタグラフ1aの相対位置を把握しておく必要がある。そこで、本実施例では、該パンタグラフ相対位置計算部5eにおいて、パンタグラフ検出情報を基に基準パンタグラフ画像7上のパンタグラフ1aの位置と検査パンタグラフ画像8上のパンタグラフ1aの位置との相対関係を求める。
検査小領域位置指定部5fは、記憶部4dから検査範囲10、検査小領域サイズW1,W2、及び、検査小領域間隔D1,D2を入力し、基準パンタグラフ画像7中の検査範囲10内の所望の位置に基準小領域9aを順次設定し、この基準小領域9aの位置を基準小領域位置Pa(図5参照)として出力する。基準小領域位置Paは記憶部5dに保管される。
検査小領域座標変換部5gは、記憶部5dから基準小領域位置Pa、及びパンタグラフ相対位置情報を入力し、基準小領域位置Paに対応する検査パンタグラフ画像8中の検査範囲10内の位置を、座標変換により検査小領域位置Pb(図3参照)として算出する。検査小領域位置Pbは記憶部5dに保管される。このように、検査小領域座標変換部5gでは、パンタグラフ相対位置情報に基づいて基準小領域9aに対応する検査パンタグラフ画像8上の位置を求めることで、基準パンタグラフ画像7、検査パンタグラフ画像8それぞれの画像上のすり板1bに対して、相互に同一位置にそれぞれ基準小領域9a、検査小領域9bを設定することができる。以下、基準小領域位置Paと検査小領域位置Pbを総称する場合は小領域位置Pと呼称する。
検査小領域画像比較部5hは、記憶部5dから基準パンタグラフ画像7、検査パンタグラフ画像8、小領域位置9を入力し、それぞれ基準小領域9a、検査小領域9bに対応する部分画像を比較する。比較結果は記憶部5dに保管される。ここで、二つの画像の比較は、既知の手法である絶対値差分・正規化相関・方向符号照合(文献3参照)等を用い、該検査小領域画像比較部5hによる処理は、検査小領域サイズW1,W2および、検査小領域間隔D1,D2に基づいて検査範囲10内の全域について行うものとする。
比較判断部5iは、記憶部5dから比較結果と検査小領域比較しきい値を入力し、検査小領域画像比較部5hによる比較結果に検査小領域比較しきい値以上の差が認められればその部分に異常があると判断する。判断結果は欠け抉れ有無データとして記憶部5dに保管される。
検査小領域異常結果データ整理部5jは、検査小領域位置Pbと欠け抉れ有無データを入力し、一枚の検査パンタグラフ画像8に対する検査小領域位置Pbと欠け抉れ有無データとを関連付けてなるリストを作成し、これを検査小領域異常結果データとしてまとめる。検査小領域異常結果データは記憶部5dに保管される。
結果データ出力部5kは、検査小領域異常結果データを記憶部5dから取り出し、これをパンタグラフ状態検査結果として出力する。
次に、パンタグラフ状態検査処理部5Cによる処理の流れを簡単に説明する。本実施例のパンタグラフ状態検査処理部5Cでは、まず、画像データ入力部5a及びパンタグラフ検出情報入力部5bにおいて画像データ及びパンタグラフ検出情報を入力する。
次に、設定部5c、パンタグラフ相対位置計算部5e、検査小領域位置指定部5f、検査小領域位置座標変換部5gにおいて基準パンタグラフ画像7及び検査パンタグラフ画像8に対し、それぞれ検査範囲10内の同一位置に基準小領域9a、検査小領域9bを設定する。
続いて、検査小領域比較部5hにおいて、絶対値差分・正規化相関・方向符号照合等を用いて基準小領域9aに対応する部分画像と、検査小領域9bに対応する部分画像との比較を行う。
その後、比較判断部5iにおいて、検査小領域画像比較部5hによる比較の結果に対し、比較結果が二つの部分画像間の差異が予め設定しておいた検査小領域比較しきい値以上か否かの判断を行い、すり板1bの欠けや抉れの有無を出力する。
続いて、検査小領域異常結果データ整理部5jにおいて小領域位置Pと比較判断部5iによって判定した欠け抉れの有無と関連付けてなる検査小領域異常結果データを作成し、これを結果データ出力部5kにおいてパンタグラフ状態検査結果として出力する。
これらの処理を検査が終了するまで繰り返す。
このように構成される本実施例に係るパンタグラフ監視装置によれば、監視カメラ4によって列車1の屋根上を撮影した画像からすり板1bの欠けや抉れの有無を検出することができる。
図6乃至図8を用いて本発明に係るパンタグラフ監視装置の第2の実施例を説明する。図6は本実施例に係るパンタグラフ状態検査処理部の概略構成を示すブロック図、図7は本実施例に係るパンタグラフ監視装置により検出される異常検査小領域の一例を示す説明図、図8は本実施例に係るパンタグラフ監視装置によって検出された異常検出部分の一例を示す説明図である。
本実施例に係るパンタグラフ監視装置は、上述した実施例1のパンタグラフ監視装置に図6に示す異常結果検出手段としての異常結果検出部5lを追加したものである。その他の構成は図2に示し上述した構成と同様であり、以下、実施例1において説明した手段と同様の手段には同一の符合を付して重複する説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
図6に示すように、異常結果検出部5lは、記憶部5dから検査小領域異常結果データと検査小領域サイズW1,W2を取り出し、図7に示すような重なり合う複数個(図7では10個)の異常検査小領域11の集合を、図8に示すように一つの異常検出部分12として検出する。そして、一枚の検査パンタグラフ画像8における異常検出部分12の位置とそこに含まれる異常検査小領域11の個数を異常検出結果データとしてまとめる。異常検出結果データは記憶部5dに保管される。ここで、異常検査小領域11は比較判断部5iにおいて異常が発見された検査小領域9、異常検出部分12は重なり合う複数個の異常検査小領域11を一体的にまとめてなる矩形領域である。
そして、本実施例において結果データ出力部5kは、実施例1の結果データ出力部5kにおける処理に加えて、異常検出結果データを記憶部5dから取り出し出力する。
次に、本実施例のパンタグラフ状態検査処理部5Cによる処理を簡単に説明する。本実施例においてパンタグラフ状態検査処理部5Cでは、実施例1に係るパンタグラフ状態検査処理に比較して、比較判断部5iにおいて、検査小領域比較しきい値に基づいてすり板1bの欠けや抉れの有無を出力する処理を行った後の処理が異なるものである。以下、比較判断部5iによる処理を行うまでの工程については実施例1と同様であるので説明を省略する。
本実施例のパンタグラフ状態検査処理部5Cにおいては、上述した比較判断部5iによる処理の後、異常結果検出部5lにより重なり合う複数個の異常検査小領域11の集合を異常検出部分12として検出し、一枚の検査小領域8に含まれる異常検出部分12の位置とそこに含まれる検査小領域9bの個数とを異常検出結果データとしてまとめる。その後、結果データ出力部5kにより検査小領域異常結果データ及び異常検出結果データをパンタグラフ状態検査結果として出力する。これらの処理を検査が終了するまで繰り返す。
上述した本実施例に係るパンタグラフ監視装置によれば、実施例1に係るパンタグラフ監視装置による効果に加え、すり板1bの欠けや抉れの規模を取得することができ、架線および架線を支える周辺構造物に損傷を与える危険性が非常に高い、すり板1bの大きな破損の検出を容易に行うことができる。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。例えば、実施例1,2では、各処理部から出力されるデータを記憶部5dに保管するとともに、各処理部からの要求に応じて必要なデータを記憶部5dから所望の処理部へ出力する例を示したが、例えば、各処理部から出力されるデータは、直接所望の処理部へ入力してもよい。
本発明は、列車の屋根上を撮影した画像を解析してパンタグラフの状態を検査する装置に関し、特にパンタグラフの舟体に設置されているすり板の欠けや抉れの有無を検出するパンタグラフ監視装置に適用して好適なものである。
1…列車、1a…パンタグラフ、1b…すり板、2…センサ、3…照明装置、4…監視カメラ、5…画像処理装置、5A…撮影処理部、5B…パンタグラフ検索処理部、5C…パンタグラフ状態検査処理部、5a…画像データ入力部、5b…パンタグラフ検出情報入力部、5c…設定部、5d…記憶部、5e…パンタグラフ相対位置計算部、5f…検査小領域位置指定部、5g…検査小領域位置座標変換部、5h…検査小領域画像比較部、5i…比較判断部、5j…検査小領域異常結果データ整理部、5k…結果データ出力部、5l…異常結果検出部、6…レール、7…基準パンタグラフ画像、8…検査パンタグラフ画像、9,9a,9b…検査小領域、10…検査範囲、11…異常検査小領域、12…異常検出部分、13…欠け、14…抉れ

Claims (5)

  1. 列車の屋根上を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された入力画像を画像処理することによりパンタグラフの状態を監視する画像処理手段とを備えたパンタグラフ監視装置において、前記画像処理手段が、予め登録される基準画像上のパンタグラフの舟体に設置されているすり板と、前記入力画像上の前記すり板とを比較して前記すり板の状態を監視するパンタグラフ状態検査処理手段を備えることを特徴とするパンタグラフ監視装置。
  2. 前記パンタグラフ状態検査処理手段が、前記基準画像と前記入力画像の前記舟体に対し順次同一位置に同一形状の小領域を設定する検査小領域設定手段と、各前記小領域内の画像を比較する検査小領域画像比較手段と、前記小領域ごとに異常の有無を判断する比較判断手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のパンタグラフ監視装置。
  3. 前記パンタグラフ状態検査処理手段が、一つの前記入力画像に対して該入力画像上の前記小領域の位置と該小領域における異常の有無とを対応させてなる検査小領域異常結果データを作成する検査小領域異常結果データ整理手段を備えることを特徴とする請求項2記載のパンタグラフ監視装置。
  4. 前記パンタグラフ状態検査処理手段が、異常ありと判断された相互に隣接する前記小領域をまとめてなる異常検出部分を検出し、該異常検出部分の位置及び該異常検出部分に含まれる前記小領域の個数を出力する異常結果検出手段を備えることを特徴とする請求項3記載のパンタグラフ監視装置。
  5. 前記入力画像を取り込む画像データ入力手段と、パンタグラフ検出情報を取得するパンタグラフ検出情報入力手段と、前記すり板に対する検査範囲、前記小領域の大きさ及び前記小領域を設定する間隔からなる検査設定情報を出力する検査設定手段と、前記パンタグラフ検出情報に基づいて前記入力画像上のパンタグラフの相対位置を計算するパンタグラフ相対位置計算手段と、前記検査小領域異常結果データを出力する結果データ出力手段とを備え、前記検査小領域設定手段が、前記検査設定情報に基づいて前記基準画像上の前記小領域の位置を出力する検査小領域設定位置指定手段と、前記パンタグラフの相対位置と前記基準画像上の前記小領域の位置とに基づいて前記入力画像上の前記小領域の位置を求める検査小領域位置座標変換手段とからなることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のパンタグラフ監視装置。
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