JP2011154843A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】光の取出し効率を向上することができ、また電極や発光層等の材料や成膜条件に制限を受けることなく作製することができる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】基板1の表面にナノ粒子配列層5を配置する。そしてその上に第一電極2、発光層3を含む有機層、第二電極4をこの順に積層する。ナノ粒子配列層5によって形成される基板1の表面の微細な凹凸によって、第一電極2、発光層3、第二電極4の各表面に微細な凹凸を形成することができ、各層の界面に微細な凹凸構造を形成して全反射を緩和することができる。またナノ粒子配列層5をシリカナノ粒子6で形成することによって、この上に積層する電極や発光層等の材料や成膜条件に制限を受けることがなくなる。
【選択図】図1
【解決手段】基板1の表面にナノ粒子配列層5を配置する。そしてその上に第一電極2、発光層3を含む有機層、第二電極4をこの順に積層する。ナノ粒子配列層5によって形成される基板1の表面の微細な凹凸によって、第一電極2、発光層3、第二電極4の各表面に微細な凹凸を形成することができ、各層の界面に微細な凹凸構造を形成して全反射を緩和することができる。またナノ粒子配列層5をシリカナノ粒子6で形成することによって、この上に積層する電極や発光層等の材料や成膜条件に制限を受けることがなくなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、表示用や照明用など、各種の用途に使用される有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
図5は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の層構成の一例を示すものであり、透明な基板1の表面に光透過性もしくは光反射性の第一電極2、ホール輸送層8、発光層3、電子輸送層9、光反射性もしくは光透過性の第二電極4を順次積層することによって形成してある。第一電極2を光透過性の陽極で形成し、第二電極4を光反射性の陰極で形成した有機EL素子では、この電極2,4間に電圧を印加することによって、電子輸送層9を介して発光層3に注入された電子と、ホール輸送層8を介して発光層3に注入されたホールとが、発光層3内で再結合して発光が起こる。そしてこの発光層3で発光した光は、光透過性の第一電極2と基板1を通して取り出されるものである。
ここで、屈折率の高い媒質から屈折率の低い媒質へ光が伝搬する場合、その界面では媒質間の屈折率により、スネルの法則から臨界角が決定され、臨界角以上で入射する光は界面で全反射し、屈折率の高い媒質に閉じ込められて、導波光として失われることになる。ここで、一般に有機EL素子に使用される基板1は、優れた透明性、強度、低コスト、ガスバリア性、耐薬品性、耐熱性等の観点から、もっぱらガラスが用いられているが、一般的なソーダライムガラス等の屈折率は1.52程度である。
一方、第一電極2には、酸化インジウムに酸化錫をドープした酸化インジウム錫(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)が、その優れた透明性と電気伝導性から広く用いられている。このITOやIZOの屈折率は、その組成、成膜方法、結晶構造等により変化するが、ITOはおよそ1.7〜2.3、IZOはおよそ1.9〜2.4であり、非常に高い屈折率を持っている。
また、有機EL素子において発光層3、ホール輸送層8、電子輸送層9などの有機層に用いられる発光材料、電子輸送性材料、ホール輸送性材料等は、ベンゼン環をその分子構造内に多く含んだπ共役結合系の材料が多い。このため、屈折率はおよそ1.6〜2.0程度のものが多く、一般的な有機材料に比べて屈折率が高い。
従って、一般的な有機EL素子において、各層の屈折率の大小関係は、大気<基板<有機層<第一電極となり、有機EL素子の発光源である発光層3から斜めに大きな角度で出射した光は、第一電極2と基板1の界面、基板1と大気の界面で全反射し易い。そしてこのように全反射が生じ易いと、発光層3で発光した光を第一電極2と基板1を通して外部に取り出す光取出し効率が低下することになる。
そこで、界面での全反射を緩和するために、界面に微細な凹凸を形成することが行なわれている。例えば特許文献1では、基板の上に周期的な凹凸を硬化性樹脂層もしくはポリマー膜で形成し、この硬化性樹脂層もしくはポリマー膜で形成した凹凸の上に、電極や発光層等の有機層を順次形成することによって、各界面に周期的な凹凸を形成した有機EL素子が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、各層の界面に形成されている凹凸によって全反射を緩和することができ、光の取出し効率の向上が期待できるものである。
しかし特許文献1のように各層の界面に周期的な凹凸構造を形成すると、特許文献2にも記載されているように、光の出射に指向性が生じたり、波長依存性が生じたりするおそれがある。また特許文献1では、界面に凹凸構造を形成するために、基板の上に硬化性樹脂層もしくはポリマー膜を設けるようにしているが、硬化性樹脂もしくはポリマー膜は耐熱性が低いので、この上に積層する電極や有機層の材料や、成膜条件が制限されてしまうという問題がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、光の取出し効率を向上することができ、また電極や発光層等の材料や成膜条件に制限を受けることなく作製することができる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とするものである。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板1の表面にナノ粒子配列層5を配置し、その上に第一電極2、発光層3を含む有機層、第二電極4をこの順に積層して成ることを特徴とするものである。
このようにナノ粒子配列層5の上から基板1の表面に第一電極2、発光層3を含む有機層、第二電極4を積層することによって、ナノ粒子配列層5によって形成される基板1の表面の微細な凹凸によって、第一電極2、発光層3を含む有機層、第二電極4の各表面に微細な凹凸を形成することができ、各層の界面に微細な凹凸構造を形成して全反射を緩和し、光の取出し効率を向上することができるものである。またナノ粒子配列層5はナノ粒子によって形成されるものであり、この上に積層する電極や発光層等の材料や成膜条件に制限を受けることがなくなるものである。
また本発明において、上記のナノ粒子配列層5のナノ粒子の配列がランダムであることを特徴とするものである。
このようにナノ粒子の配列がランダムであることによって、ランダムな凹凸構造を各層の界面に形成することができるものであり、周期的な凹凸構造のように、光の出射に指向性が生じたり、波長依存性が生じたりすることがなくなるものである。
また本発明は、ナノ粒子配列層5が、シリカナノ粒子6が単分散した構造であることを特徴とするものである。
このように、ナノ粒子配列層5を形成するシリカナノ粒子6は、無機化合物であって耐熱性が高く、硬化性樹脂層やポリマー膜で凹凸を形成する場合のように、この上に積層する電極や発光層等の材料や成膜条件に制限を受けることがなくなると共に、シリカナノ粒子6は単分散しているために、ランダムな凹凸構造を各層の界面に形成することができ、光の出射に指向性が生じたり、波長依存性が生じたりすることがなくなるものである。
また本発明は、ナノ粒子配列層5が、シリカナノ粒子6が線状に連結して形成されたメッシュ構造であることを特徴とするものである。
このように、ナノ粒子配列層5を形成するシリカナノ粒子6は、無機化合物であって耐熱性が高く、硬化性樹脂層やポリマー膜で凹凸を形成する場合のように、この上に積層する電極や発光層等の材料や成膜条件に制限を受けることがなくなると共に、シリカナノ粒子6は線状に連結して形成されたメッシュであるために、ランダムな凹凸構造を各層の界面に形成することができ、光の出射に指向性が生じたり、波長依存性が生じたりすることがなくなるものである。
本発明によれば、ナノ粒子配列層5によって形成される基板1の表面の微細な凹凸によって、第一電極2、発光層3を含む有機層、第二電極4の各表面に微細な凹凸を形成することができ、各層の界面に微細な凹凸構造を形成して全反射を緩和し、光の取出し効率を向上することができるものであり、またナノ粒子配列層5上に積層する電極や発光層等の材料や成膜条件に制限を受けることがなくなるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において基板1としては、光透過性を有するものであればよい。例えば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどの透明ガラス板や、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、エポキシ等の樹脂、フッ素系樹脂等から任意の方法によって作製されたプラスチックフィルムやプラスチック板などを用いることができる。また、鉛などの重金属を混合したガラス板であってもよい。
本発明では、まず図1(a)のように、この基板1の表面にナノ粒子配列層5を形成する。ナノ粒子配列層5は、基板1の表面にナノサイズのナノ粒子をランダムに配列させた状態で付着させることによって形成されるものである。
このナノ粒子としてはシリカナノ粒子6を用いることができる。シリカナノ粒子6で形成されるナノ粒子配列層5には、シリカナノ粒子6を単分散した状態で配列させる構造と、シリカナノ粒子6を線状に連結させ且つ枝分かれと環状の連結を繰り返させることによって網状に配列させるメッシュ構造とがある。
まずシリカナノ粒子6の単分散構造で形成されるナノ粒子配列層5について説明する。このようなシリカナノ粒子6が単分散した構造のナノ粒子配列層5は、まずシリカナノ粒子6を液中で調製すると共に単分散させ、次に基板1の表面にこの液を塗布してシリカナノ粒子6を単分散した状態で基板の表面に付着させることによって、形成することができる。
シリカナノ粒子6を液中で調製する方法は特に限定されるものではないが、例えば、非特許文献1(深尾将士, 下嶋敦, 大久保達也、ブロックコポリマーを用いた球状シリカナノ粒子の一次元配列, 化学工学会第40回秋季大会予稿集(2008))、非特許文献2(菅原彩絵、下嶋敦, 大久保達也、界面制御による球状シリカナノ粒子の一次元配列, 化学工学会第74年会予稿集(2009))に記載された方法に準じて行なうことができる。シリカナノ粒子6の原料としてはアルコキシシランを用いることができるものであり、このアルコキシシランとしては4官能のアルコキシシランを用いるのが好ましく、例えばテトラエトキシシランを使用することができる。ここで、シリカは、低コストで透明性が高く粒径制御可能なナノ粒子が得やすいので、本発明のナノ粒子を形成する材料として最も適している(Stober et al., J. Colloid lnterface Sci.,26, 62-69(1968)参照)。また、シリカナノ粒子6は耐熱性が高く、機械的強度も高く、さらに有機溶媒などの薬品に対して耐久性があるという、各種の利点を有する。シリカナノ粒子6の大きさは、特に限定されるものではないが、10nm以上、100nm以下の範囲であることが好ましい。
そしてシリカナノ粒子6を液中で調製するにあたっては、塩基性アミノ酸を溶解した溶液に、アルコキシシランを加え、これを加熱してアルコキシシランを加水分解・重縮合させることによって行なうことができる。塩基性アミノ酸の存在下でアルコキシシランが加水分解・重縮合して生成されたシリカは、ナノサイズの球状になり、シリカナノ粒子6が分散されたコロイド溶液12を調製することができる。
シリカナノ粒子6が分散されたコロイド溶液12を調製するために用いる液体としては、特に限定されるものではないが、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、へキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭素類を挙げることができる。
次に、上記のようにシリカナノ粒子6が分散されたコロイド溶液12に、ブロックコポリマーを添加して攪拌し、均一に溶解させる。ブロックコポリマーは、親水性と疎水性の相異なる性質を持つものであり、親水性のブロックと疎水性のブロックが交互に共重合したブロックコポリマーを用いることができる。例えば、疎水性であるポリプロピレンオキサイドブロックの両側に、親水性であるポリエチレンオキサイドブロックが共重合したトリブロックコポリマーを使用することができる。
このようにコロイド溶液12にブロックコポリマーを溶解させた状態で、コロイド溶液12のpH調整を行なう。pH調整は塩酸などの酸やアンモニアなどの塩基を用いて行なうことができる。そしてpH調整を行なうことによって、コロイド溶液12中でシリカナノ粒子6を単分散させることができるものである。すなわち、コロイド溶液12のpHが小さくなるように調整すると、シリカナノ粒子6はコロイド溶液12中で連結していく。このとき、コロイド溶液中の成分の濃度や温度、経過時間によって連結する密度を制御することができ、線状に連結したものやそれらが更に連結したメッシュ構造体を形成することもできる。これに対して、コロイド溶液のpHが大きくなるように調整すると、コロイド溶液12中のシリカナノ粒子6は、個々の粒子が均一の大きさで凝集することなく均一に分散された単分散の状態となる。図2(a)は、シリカナノ粒子6が単分散したコロイド溶液12を図示したものである。
ここで、シリカナノ粒子6をコロイド溶液12中で単分散させる上記の方法について具体例を挙げる。塩基性アミノ酸であるリシン(L−lysine)の水溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)を加え、60℃で24時間撹拌(500rpm)することにより、粒径約15nmのシリカナノ粒子1のコロイド溶液12を得ることができる。このときの原料モル比は、1(TEOS):154.4(H2O):x(L−lysine)である。次に調製したコロイド溶液12にブロックコポリマーF127([化1]参照)を添加し、60℃で24時間撹拌してF127を溶解させた。F127の添加量は質量比で、コロイド溶液2中のシリカ量を基準として、SiO2:F127=1:yとした。続いて、塩酸を用いてpH調整を行なった。さらに60℃で一定時間静置することにより、コロイド溶液12中でシリカナノ粒子6を分散させることができる。このときy=1、pH7.2でpH調整後60℃で2週間静置したときに、x=0.01であれば、シリカナノ粒子6は単分散した。また、x=0.02、y=1としてpH調整後60℃で5日静置した場合は、pH8でシリカナノ粒子1が単分散した。また粒子径30nmのシリカナノ粒子6においても同様に単分散が確認された。
上記[化1]において、「EO」はエチレンオキサイドブロック、「PO」はプロピレンオキサイドブロックを意味し、その下の数字は繰り返し単位数、「MW]は重量平均分子量、「HLB」はHydrophile-Lipophile Balance、「CMC」は臨界ミセル濃度である。
上記のようにして、コロイド溶液12中でシリカナノ粒子6を単分散させた後、基板1の表面にこのコロイド溶液12を塗布する。このように基板1の表面にコロイド溶液12を塗布すると、コロイド溶液12中で単分散したシリカナノ粒子6が、単分散した状態のまま基板1の表面に付着することになる。シリカナノ粒子6はこのように単分散して、原則的に個々のシリカナノ粒子6は相互に接しない状態で基板1上に配置されているが、一部のシリカナノ粒子6において複数の粒子が接している部分があってもよい。また単分散状態のシリカナノ粒子6を基板1の表面の全面に付着させるようにしてもよく、一部に付着させるようにしてもよい。図3(a)は、基板1の表面にシリカナノ粒子6を単分散状態で付着させて、シリカナノ粒子6の単分散構造からなるナノ粒子配列層5を形成した状態を示す図である。
次に、シリカナノ粒子6のメッシュ構造体で形成されるナノ粒子配列層5について説明する。上記のように、シリカナノ粒子6が分散されたコロイド溶液12を調製する際に、コロイド溶液12のpHが大きくなるように調整すると、コロイド溶液12中のシリカナノ粒子6は、個々の粒子が均一の大きさで凝集することなく均一に分散された単分散の状態となるが、コロイド溶液12のpHが小さくなるように調整すると、シリカナノ粒子6はコロイド溶液12中で線状に連結した構造や、線状に連結したものが更に連結した網状のメッシュ構造体が形成される。図2(b)は、シリカナノ粒子6がコロイド溶液12中で線状あるいはメッシュ状に連結した状態を図示したものである。
すなわち、塩酸などの酸を用いてコロイド溶液12のpHを例えば8未満に調整するとシリカナノ粒子6はコロイド溶液12中で連結を始め、線状に連結する。この連結構造はシリカナノ粒子6が直線状あるいは曲線状に連結したボールチェーン状の配列であり、1個のシリカナノ粒子6が3個以上のシリカナノ粒子6と連結することによって枝分かれし、環状に連結することで網状のメッシュ構造となる。
ここで、シリカナノ粒子6をコロイド溶液12中で線状に連結させる上記の方法について具体例を挙げる。塩基性アミノ酸であるリシン(L−lysine)の水溶液にテトラエトキシシラ(TEOS)を加え、60℃で24時間撹拌(500rpm)することにより、粒径約15nmのシリカナノ粒子6のコロイド溶液12を得ることができる。このときの原料モル比は、1(TEOS):154.4(H2O):x(L−lysine)である。次に調製したコロイド溶液12にブロックコポリマーF127(上記[化1]参照)を添加し、60℃で24時間撹拌してF127を溶解させた。F127の添加量は質量比で、コロイド溶液12中のシリカ量を基準として、SiO2:F127=1:yとした。続いて、塩酸を用いてpH調整を行なった。さらに60℃で一定時間静置することにより、コロイド溶液12中でシリカナノ粒子6が線状に連結した。このときy=1、pH7.2でpH調整後、60℃で2週間静置したときに、x=0.02以上であれば、シリカナノ粒子6は線状に連結した。また、x=0.02、y=1としてpH調整後60℃で5日静置した場合は、pH6.7でシリカナノ粒子6の線状の連結構造が確認された。またF127の添加量y=0.5〜2とした場合、シリカナノ粒子6の線状の連結構造が確認された。さらに粒子径30nmのシリカナノ粒子6においても同様に線状の連結構造が確認された。
上記のようにして、コロイド溶液12中でシリカナノ粒子6を線状もしくはメッシュ状に連結させた後、基板1の表面にこのコロイド溶液12を塗布する。このように基板1の表面にコロイド溶液12を塗布すると、コロイド溶液12中で線状もしくはメッシュ状に連結したシリカナノ粒子6が基板4の表面に付着し、メッシュ構造を形成する。シリカナノ粒子6のメッシュ構造は線状の連結が上下に重なってもよく、完全な二次元平面である必要はない。またメッシュ構造のシリカナノ粒子6は、基板4の表面の全面に付着させるようにしてもよく、一部に付着させるようにしてもよい。図3(b)は、基板1の表面に線状もしくはメッシュ状に連結したシリカナノ粒子6を付着させて、シリカナノ粒子6のメッシュ構造からなるナノ粒子配列層5を形成した状態を示す図である。
ここで、基板1の表面へのコロイド溶液12の塗布は、特に限定されるものではないが、例えば、刷毛塗り、スプレーコート、浸漬(ディッピング、ディップコート)、ロールコート、フローコート、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、テーブルコート、シートコート、枚葉コート、ダイコート、バーコート等の通常の各種塗装方法を選択することができる。また塗布膜を任意の形状に加工するために、切削やエッチングなどの方法を用いることもできる。
また、上記のように基板1の表面にコロイド溶液12を塗布してシリカナノ粒子6を基板1の表面に付着させて、ナノ粒子配列層5を形成するにあたって、シリカナノ粒子6以外の、例えばコロイド溶液12中の塩基性アミノ酸やブロックコポリマー等の有機成分など、他成分が基板1の表面に存在しないように除去することが好ましい。このように他の成分を除去する方法としては、基板1の耐久性を考慮する必要があるが、シリカナノ粒子6は溶解し難いが除去する成分を溶解し易い液に基板1を浸漬する方法や、加熱処理、紫外線処理などをして、シリカナノ粒子6は基板1上に残存するが、他の成分は分解揮散して除去される方法が挙げられる。
上記のようにして基板1の表面にシリカナノ粒子6からなるナノ粒子配列層5を形成した後、この上に第一電極2を形成する。第一電極2を光透過性の陽極とする場合、第一電極2は発光層3にホールを注入するための電極となる。このため、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いて第一電極2を形成することが好ましく、特に仕事関数が4eV以上のものを用いるのがよい。このような陽極の材料としては、例えば、金などの金属、CuI、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO2、ZnO、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、PEDOT、ポリアニリン等の導電性高分子及び任意のアクセプタ等でドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料を挙げることができる。第一電極2は、例えば、これらの電極材料を、ナノ粒子配列層5の上から基板1の表面に真空蒸着法やスパッタリング法、塗布等の方法により薄膜に成膜することによって作製することができる。
第一電極2のシート抵抗は数百Ω/□以下とすることが好ましく、特に好ましくは100Ω/□以下とするものである。ここで、第一電極2の膜厚は、第一電極2の光透過率、シート抵抗等の特性を上記のように制御するために、材料により異なるが、500nm以下、好ましくは10〜200nmの範囲に設定するのがよい。尚、第一電極2を光透過性の陽極とした場合について説明したが、第一電極2を光反射性の陰極として形成しても良い。
そしてこのように、ナノ粒子配列層5の上から基板1の表面に第一電極2の薄膜を形成すると、基板1の表面はナノ粒子配列層5のシリカナノ粒子6によって凹凸構造に形成されているので、このナノ粒子配列層5の凹凸構造が第一電極2の表面に表れて、第一電極2の表面も凹凸構造に形成される。
次に、第一電極2の上にホール輸送層8を形成する。ホール輸送層8に用いる材料は、例えばホール輸送性を有する化合物の群から選定することができる。この種の化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、2−TNATA、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、スピロ−NPD、スピロ−TPD、スピロ−TAD、TNBなどを代表例とする、トリアリールアミン系化合物、カルバゾール基を含むアミン化合物、フルオレン誘導体を含むアミン化合物などを挙げることができるが、一般に知られる任意のホール輸送材料を用いることが可能である。
ホール輸送層8は、例えば、これらの材料を、第一電極2の表面に真空蒸着法やスパッタリング法、塗布等の方法により薄膜に成膜することによって作製することができる。ホール輸送層8の膜厚は、材料により異なり、特に限定されるものではないが、10〜200nmの範囲に設定するのがよい。
そしてこのように、第一電極2の層の表面にホール輸送層8の薄膜を形成すると、第一電極2の表面は上記のように凹凸構造に形成されているので、この第一電極2の凹凸構造がホール輸送層8の表面に表れて、ホール輸送層8の表面も凹凸構造に形成される。
次に、ホール輸送層8の上に発光層3を形成する。発光層3に用いる材料は、有機EL素子において発光材料として知られる任意のものを使用することが可能である。例えばアントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体(Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ジスチリルアミン誘導体及び各種蛍光色素などを挙げることができるが、これらに限定するものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を適宜混合して用いることも好ましい。さらに前記化合物に代表される蛍光発光を生じる化合物のみならず、スピン多重項からの発光を示す材料系、例えば燐光発光を生じる燐光発光材料、およびそれらからなる部位を分子内の一部に有する化合物も好適に用いることができる。
発光層3は、これらの材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、転写法等の乾式プロセスによって薄膜に成膜して形成しても良いし、スピンコート、スプレーコート、ダイコート、グラビア印刷等の湿式プロセスによって薄膜に成膜して形成するものであってもよい。発光層3の膜厚は、材料により異なり、特に限定されるものではないが、10〜200nmの範囲に設定するのがよい。
そしてこのように、ホール輸送層8の表面に発光層3の薄膜を形成すると、ホール輸送層8の表面は上記のように凹凸構造に形成されているので、このホール輸送層8の凹凸構造が発光層3の表面に表れて、発光層3の表面も凹凸構造に形成される。
次に、発光層3の上に電子輸送層9を形成する。電子輸送層9を形成するために用いる材料は、電子輸送性を有する化合物の群から適宜選定することができる。この種の化合物としては、Alq3等の電子輸送性材料として知られる金属錯体や、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、テトラジン誘導体、オキサジアゾール誘導体等のヘテロ環を有する化合物などが挙げられるが、この限りではなく、一般に知られる任意の電子輸送材料を用いることが可能である。特に電荷輸送性の高いものを用いることが好ましい。
電子輸送層9は、例えば、これらの材料を、発光層3の表面に真空蒸着法やスパッタリング法、塗布等の方法により薄膜に成膜することによって作製することができる。電子輸送層9の膜厚は、材料により異なり、特に限定されるものではないが、10〜200nmの範囲に設定するのがよい。
そしてこのように、ホール輸送層8の表面に電子輸送層9の薄膜を形成すると、ホール輸送層8の表面は上記のように凹凸構造に形成されているので、このホール輸送層8の凹凸構造が電子輸送層9の表面に表れて、電子輸送層9の表面も凹凸構造に形成される。
次に、電子輸送層9の上に第二電極4を形成する。第二電極4を光反射性の陰極として形成する場合、第二電極4は発光層3に電子を注入するための電極となる。このため、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましく、仕事関数が5eV以下のものであることが特に好ましい。このような陰極の電極材料としては、アルカリ金属、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属等、およびこれらと他の金属との合金、例えばナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/LiF混合物を例として挙げることができる。またアルミニウム、Al/Al2O3混合物なども使用可能である。さらに、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、あるいは金属酸化物を陰極の下地として用い、さらに金属等の導電材料を1層以上積層して用いてもよい。例えば、アルカリ金属/Alの積層、アルカリ金属のハロゲン化物/アルカリ土類金属/Alの積層、アルカリ金属の酸化物/Alの積層などが例として挙げられる。または透明電極と光反射性の層との組み合わせによって光反射性の第二電極4を構成しても良い。また、陰極を光透過性の電極として形成する場合には、ITO、IZOなどに代表される透明電極材料で第二電極4を形成するようにしてもよい。また第二電極4との界面の有機層にリチウム、ナトリウム、セシウム、カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属をドープしてもよい。
第二電極4は、例えば、これらの電極材料を、電子輸送層9の上から基板1の表面に真空蒸着法やスパッタリング法、塗布等の方法により薄膜に成膜することによって作製することができる。第二電極4の膜厚は、材料により異なるが、好ましくは50〜200nmの範囲に設定するのがよい。
そしてこのように、電子輸送層9の表面に第二電極4の薄膜を形成すると、電子輸送層9の表面は上記のように凹凸構造に形成されているので、この電子輸送層9の凹凸構造が第二電極4の表面に表れて、第二電極4の表面も凹凸構造に形成される。
上記のようにして、基板1の上に第一電極2、ホール輸送層8、発光層3、電子輸送層9、第二電極4を順次積層することによって、図1(b)のような層構成の有機EL素子を作製することができるものである。尚、ホール輸送層8、発光層3、電子輸送層9で有機層を形成するようにしたが、有機層はこのような層構成に限定されないのはいうまでもなく、ホール注入層や電子注入層をさらに設けた層構成に形成することもできる。
このように作製される有機EL素子にあって、基板1の表面にはナノ粒子配列層5が設けられており、基板1の表面にシリカナノ粒子6によってナノレベルの微細な凹凸が形成されている。そして上記の第一電極2、ホール輸送層8、発光層3、電子輸送層9、第二電極4はナノ粒子配列層5の上に積層されているので、これらの各層の表面に図1(b)のような凹凸が形成されるものであり、各層の界面に凹凸構造が形成されるものである。従って、発光層3で発光された光が各層の界面で全反射することが緩和されるものであり、基板1から出射される光の取出し効率を向上することができるものである。
また、ナノ粒子配列層5を形成するシリカナノ粒子6は耐熱性、機械的強度、耐薬品が高いので、この上に積層する電極や発光層等の材料の制限を受けたり、成膜条件に制限を受けたりすることがなくなるものである。
さらに、ナノ粒子配列層5は、シリカナノ粒子6が単分散した構造、あるいはシリカナノ粒子6が線状に連結したメッシュ構造であり、ナノ粒子配列層5はシリカナノ粒子6がランダムに配列した構造であるので、第一電極2、ホール輸送層8、発光層3、電子輸送層9、第二電極4にそれぞれ形成される凹凸はランダムな凹凸構造になる。このため、各層の界面に周期的な凹凸構造が形成される場合のように、光の出射に指向性が生じたり、波長依存性が生じたりするようなことがなくなるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
水に塩基性アミノ酸としてリシン(L−lysine)を溶解させて水溶液を調製した。そしてこの塩基性アミノ酸水溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)を添加し、60℃のウォーターバス中において、500rpmの回転速度で24時間攪拌することによって反応させ、シリカのコロイド溶液を作製した。原料モル比は1(TEOS):154.4(H2O):0.02(L−lysine)であった。このようにして得られたコロイド溶液中には粒子径が約15nmのシリカナノ粒子が生成した。
水に塩基性アミノ酸としてリシン(L−lysine)を溶解させて水溶液を調製した。そしてこの塩基性アミノ酸水溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)を添加し、60℃のウォーターバス中において、500rpmの回転速度で24時間攪拌することによって反応させ、シリカのコロイド溶液を作製した。原料モル比は1(TEOS):154.4(H2O):0.02(L−lysine)であった。このようにして得られたコロイド溶液中には粒子径が約15nmのシリカナノ粒子が生成した。
次にこのコロイド溶液に、[化1]に示すようなブロックコポリマーF127を添加し、60℃で24時間攪拌することによって、F127をコロイド溶液に完全に溶解した。F127の添加量はコロイド溶液中のシリカの質量を基準として、1:1に設定した。続いて塩酸を用いて、コロイド溶液のpHを8に調整し、3日間、60℃で静置してエージングした(図2(a)参照)。
そしてこの溶液を水で4倍に希釈し、コーティング材とした。以上は非特許文献2,3に準じて実施したものである。
次いで、このコーティング材をディップコートによってシリコン基板上に塗布して付着させた。続いてコーティング材の有機成分(リシン、F127)を取り除くため、UVオゾン処理を、紫外線波長172nm、圧力50Pa、照射時間30minの条件で行なった(図1(a),図3(a)参照)。このように処理した基板の表面のSEM像を図4(a)に示す。SEM像にみられるように、シリカナノ粒子は基板上で粒子同士の接合なく、単分散状態で配置していることが確認された。また基板を厚み0.7mmの無アルカリガラス板(コーニング社製「No.1737」)に変更して、同様にシリカナノ粒子を付着させ有機成分を除去した。このシリカナノ粒子を付着させたガラス基板は肉眼で観察すると透明であり、ヘーズメータ(日本電色工業社製「NDH2000」)でヘーズと全光線透過率を測定するとそれぞれ0.08と91.9%であった。
次に、上記のようにシリカナノ粒子のナノ粒子配列層を設けたガラス基板の表面に、ITO(スズドープ酸化インジウム)ターゲット(東ソー社製)を用いてスパッタを行ない、膜厚150nmのITO膜を形成した。このITO膜を形成したガラス基板を、Ar雰囲気下200℃で1時間アニール処理し、シート抵抗18Ω/□の透明電極として第一電極を形成した。屈折率をFilmTek社製「SCI3000」で測定したところ、nD=1.78であった。
この第一電極を形成したガラス基板を純水、アセトン、イソプロピルアルコールで各10分間超音波洗浄した後、イソプロピルアルコール蒸気で2分間蒸気洗浄して、乾燥し、さらに10分間UVオゾン洗浄した。続いてこのガラス基板を真空蒸着装置にセットし、5×10−5Paの減圧下、4,4′−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)を厚み40nmとなるように蒸着し、陽極となる第一電極の上にホール輸送層を形成した。次いでホール輸送層の上に、Alq3にルブレンを6%ドープした発光層を厚み30nmにして設けた。さらに電子輸送層として1,3,5−トリ〔p−(3−ピリジル)フェニル〕ベンゼン(TpPyPhB:[化2])を厚み65nmに成膜した。またこの上に電子注入層としてLiFを厚み1nmで成膜して設けた。
この後、さらに光反射性の陰極としてとしてAlを厚み80nmに成膜して第二電極を形成し、図1(b)のような層構成の有機EL素子を得た。
(実施例2)
水に塩基性アミノ酸としてリシン(L−lysine)を溶解させて水溶液を調製した。そしてこの塩基性アミノ酸水溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)を添加し、60℃のウォーターバス中において、500rpmの回転速度で24時間攪拌することによって反応させ、シリカのコロイド溶液を作製した。原料モル比は1(TEOS):154.4(H2O):0.02(L−lysine)であった。このようにして得られたコロイド溶液中には粒子径が約15nmのシリカナノ粒子が生成した。
水に塩基性アミノ酸としてリシン(L−lysine)を溶解させて水溶液を調製した。そしてこの塩基性アミノ酸水溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)を添加し、60℃のウォーターバス中において、500rpmの回転速度で24時間攪拌することによって反応させ、シリカのコロイド溶液を作製した。原料モル比は1(TEOS):154.4(H2O):0.02(L−lysine)であった。このようにして得られたコロイド溶液中には粒子径が約15nmのシリカナノ粒子が生成した。
次にこのコロイド溶液に、[化1]に示すようなブロックコポリマーF127を添加し、60℃で24時間攪拌することによって、F127をコロイド溶液に完全に溶解した。F127の添加量はコロイド溶液中のシリカの質量を基準として、1:1に設定した。続いて塩酸を用いて、コロイド溶液のpHを7に調整し、3日間、60℃で静置してエージングした(図2(b)参照)。
そしてこの溶液を水で4倍に希釈し、コーティング材とした。以上は非特許文献2,3に準じて実施したものである。
次いで、このコーティング材をディップコートによってシリコン基板上に塗布して付着させた。続いてコーティング材の有機成分(リシン、F127)を取り除くため、UVオゾン処理を、紫外線波長172nm、圧力50Pa、照射時間30minの条件で行なった(図1(a),図3(b)参照)。このように処理した基板の表面のSEM像を図4(b)に示す。SEM像にみられるように、シリカナノ粒子が数個から数十個単位で連結し、基板の表面でメッシュ構造を形成しており、基板の表面にナノ粒子配列層が形成されていることが確認された。また基板を厚み0.7mmの無アルカリガラス板(コーニング社製「No.1737」)に変更して、同様にシリカナノ粒子を付着させ有機成分を除去した。このシリカナノ粒子を付着させたガラス基板は肉眼で観察すると透明であり、ヘーズメータ(日本電色工業社製「NDH2000」)でヘーズと全光線透過率を測定するとそれぞれ0.09と91.8%であった。
そしてこのシリカナノ粒子のナノ粒子配列層を設けたガラス基板の表面に、実施例1と同様にして、第一電極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、第二電極を形成することによって、図1(b)のような層構成の有機EL素子を得た。
(比較例1)
基板として厚み0.7mmの無アルカリガラス板(コーニング社製「No.1737」)をそのまま用い、このガラス基板の表面に、実施例1と同様にして、第一電極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、第二電極を形成することによって、有機EL素子を得た。
基板として厚み0.7mmの無アルカリガラス板(コーニング社製「No.1737」)をそのまま用い、このガラス基板の表面に、実施例1と同様にして、第一電極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、第二電極を形成することによって、有機EL素子を得た。
上記の各実施例および比較例にて得られた有機EL素子について、電極間に電流密度が10mA/cm2となるように電流を流し、大気放射光を積分球によって計測した。
また、材質がガラスの半球レンズをガラスと同じ屈折率のマッチングオイルを介して有機EL素子の発光面上に配置して、上記と同じ計測を行うことで、基板到達光を計測した。そしてこれらの計測結果に基づいて大気放射光と基板到達光の外部量子効率を算出した。外部量子効率は発光層内に注入され再結合した電子の数に対して放射される光子の割合のことであり、大気放射光の外部量子効率は有機EL素子の印加電流と大気放射光量から、基板到達光の外部量子効率は有機EL素子の印加電流と基板到達光量から、それぞれ算出される。
結果を表1に示す。表1では、比較例1の大気放射光の外部量子効率を1とし、その比を求めて示した。
表1にみられるように、本発明に係る実施例1及び実施例2の有機EL素子は、比較例1と比較して外部量子効率比が優れていることが確認される。
1 基板
2 第一電極
3 発光層
4 第二電極
5 ナノ粒子配列層
6 シリカナノ粒子
2 第一電極
3 発光層
4 第二電極
5 ナノ粒子配列層
6 シリカナノ粒子
Claims (4)
- 基板の表面にナノ粒子配列層を配置し、その上に第一電極、発光層を含む有機層、第二電極をこの順に積層して成ることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- ナノ粒子配列層のナノ粒子の配列がランダムであることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- ナノ粒子配列層が、シリカナノ粒子が単分散した構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- ナノ粒子配列層が、シリカナノ粒子が線状に連結して形成されたメッシュ構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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