JP2011152887A - 車両用サスペンション制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ストローク感の維持とダンピングの向上を両立させるようにする。
【解決手段】 ばね上加速度センサ8と積分器11によって、ばね上速度V1を検出する。ばね上加速度センサ8、ばね下加速度センサ9、減算器13および積分器12によって、車体1と車輪2との間の相対速度V2を検出する。ゲインマップ14は、ばね上速度V1に応じた目標減衰力DFを出力する。このゲインマップ14は、非線形ゲインKを有し、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも大きいときには、しきい値Vtよりも小さいときに比べて、目標減衰力DFのゲインを大きくする。減衰力マップ15は、目標減衰力DFおよび相対速度V2に基づいて電流指令値を求める。これにより、ばね上速度V1に応じて目標減衰力DFのゲインを変化させて、ストローク感の維持とダンピングの向上を両立させることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 ばね上加速度センサ8と積分器11によって、ばね上速度V1を検出する。ばね上加速度センサ8、ばね下加速度センサ9、減算器13および積分器12によって、車体1と車輪2との間の相対速度V2を検出する。ゲインマップ14は、ばね上速度V1に応じた目標減衰力DFを出力する。このゲインマップ14は、非線形ゲインKを有し、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも大きいときには、しきい値Vtよりも小さいときに比べて、目標減衰力DFのゲインを大きくする。減衰力マップ15は、目標減衰力DFおよび相対速度V2に基づいて電流指令値を求める。これにより、ばね上速度V1に応じて目標減衰力DFのゲインを変化させて、ストローク感の維持とダンピングの向上を両立させることができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、例えば4輪自動車等の車両に搭載され、車両の振動を緩衝するのに好適に用いられる車両用サスペンション制御装置に関する。
一般に、自動車等の車両には、車体と各車軸との間に減衰力調整式緩衝器が設けられ、調整信号を用いて該緩衝器による減衰力特性を調整する構成としたサスペンション制御装置が搭載されている(例えば、特許文献1,2参照)。
この種の従来技術による車両用サスペンション制御装置では、例えば車体の上,下方向の振動をばね上速度またはばね上加速度として検出し、この検出した速度等に応じた減衰力を発生させるように緩衝器に対して調整信号を出力していた。
ところで、上述した従来技術による車両用サスペンション制御装置では、制御効果を大きくするために、ばね上速度等に応じて減衰力を調整するゲイン(利得)を大きくすると、緩衝器の硬さが大きくなり、タイヤの上,下方向の変位が路面に追従するようなストローク感が損なわれてしまう。一方、減衰力のゲインを小さくすると、ストローク感は向上するものの、制御効果が小さくなって、車両の上,下方向の振動が減衰するダンピング(制振効果)が低下してしまう。このように、ストローク感とダンピングは、減衰力のゲインに対して互いに背反(トレードオフ)の関係があり、これらは両立させることは難しい傾向がある。
このような問題に対して、特許文献1には、ばね上速度がしきい値を超えた場合に、所定の振動回数の間に亘って減衰力のゲインを大きくして制振効果を高める構成が開示されている。また、特許文献2には、ばね上加速度またはばね上速度の振幅が設定値を超えた場合に、減衰力のゲインを大きくして、制振効果を高める構成が開示されている。
しかし、特許文献1,2の構成では、減衰力のゲインを大きくする条件に合致した後に解除条件を満たすまでの間、ゲインが大きくなっているため、減衰力が大きすぎる場合が発生し、ストローク感が失われて乗り心地が悪化するという問題がある。
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ストローク感を維持しつつダンピングを向上することができるようにした車両用サスペンション制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両の車体と車輪との間に介装され調整信号を用いて減衰力特性が調整される減衰力調整式緩衝器を備えた車両用サスペンション制御装置において、前記車体の上,下方向の速度を車体側上下速度として検出する車体側上下速度検出部と、該車体側上下速度検出部による車体側上下速度に基づいて前記減衰力調整式緩衝器に発生させる目標減衰力を算出する減衰力算出部と、前記車体と車輪との間の上,下方向の相対速度を検出する相対速度検出部と、前記減衰力算出部による目標減衰力および該相対速度検出部による相対速度に基づいて前記減衰力調整式緩衝器の減衰力特性を調整する調整信号を出力する調整信号出力部とを備え、前記減衰力算出部は、前記車体側上下速度が予め決められた所定のしきい値よりも大きいときには前記目標減衰力をハード側にシフトさせ、前記車体側上下速度が前記しきい値よりも小さいときには前記目標減衰力をソフト側にシフトさせる目標減衰力シフト手段を有する構成としたことを特徴としている。
本発明によれば、ストローク感を維持しつつダンピングを向上することができる。
以下、本発明の実施の形態による車両用サスペンション装置を、例えば4輪自動車に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図5は本発明の実施の形態を示している。図中、1は車両のボディを構成する車体で、該車体1の下側には、例えば左,右の前輪と左,右の後輪(以下、総称して車輪2という)が設けられ、該車輪2はタイヤ3を含んで構成されている。このとき、タイヤ3は、路面の細かい凹凸を吸収するばねとして作用する。
4は車体1と車輪2との間に介装して設けられたサスペンション装置で、該サスペンション装置4は、懸架ばね5(以下、ばね5という)と、該ばね5と並列になって車体1と車輪2との間に設けられた減衰力調整式緩衝器(以下、緩衝器6という)とにより構成されている。なお、図1中では1組のサスペンション装置4を、車体1と車輪2との間に設けた場合を例示している。しかし、サスペンション装置4は、例えば4輪の車輪2と車体1との間に個別に独立して合計4組設けられるもので、このうちの1組のみを図1では模式的に図示している。
ここで、サスペンション装置4の緩衝器6は、減衰力調整式の油圧緩衝器を用いて構成される。そして、この緩衝器6には、発生減衰力の特性(減衰力特性)をハードな特性(硬特性)からソフトな特性(軟特性)に連続的に調整するため、減衰力調整バルブ等からなるアクチュエータ7が付設されている。なお、減衰力調整バルブは、減衰力特性を連続的でなくとも、2段階又は複数段階に調整可能なものであってもよい。
8は車体1に設けられたばね上加速度センサで、該ばね上加速度センサ8は、所謂ばね上側となる車体1側で上,下方向の振動加速度を検出するため、例えば緩衝器6の近傍となる位置で車体1に取付けられている。そして、ばね上加速度センサ8は、上,下方向の振動加速度を検出し、その検出信号を後述のコントローラ10に出力する。
9は車両の車輪2側に設けられたばね下加速度センサで、このばね下加速度センサ9は、所謂ばね下側となる車輪2側で上,下方向の振動加速度を検出し、その検出信号を後述のコントローラ10に出力するものである。
10はマイクロコンピュータ等により構成されるコントローラで、該コントローラ10は、その入力側が加速度センサ8,9等に接続され、出力側が緩衝器6のアクチュエータ7等に接続されている。また、コントローラ10は、ROM、RAM等からなる記憶部10Aを有している。
そして、コントローラ10の記憶部10Aには、図3に示すばね上速度V1と目標減衰力DFとの関係を示すゲインマップ14と、図4に示す目標減衰力DF、相対速度V2と電流値Iとの関係を示す減衰力マップ15とが格納されている。
ここで、コントローラ10は、図2に示すように、積分器11,12、減算器13、ゲインマップ14、減衰力マップ15を備えている。そして、コントローラ10の積分器11は、ばね上加速度センサ8からの検出信号を積分することによって、車体1の上,下方向に対する速度となるばね上速度V1を演算する。このため、ばね上加速度センサ8と積分器11によって車体側上下速度検出部が構成されると共に、積分器11は、車体側上下速度となるばね上速度V1を出力する。
一方、減算器13は、ばね上加速度センサ8からの検出信号からばね下加速度センサ9からの検出信号を減算し、ばね上加速度とばね下加速度との差分を演算する。このとき、この差分値は、車体1と車輪2との間の相対加速度に対応する。そして、積分器12は、減算器13から出力された相対加速度を積分し、車体1と車輪2との間の上,下方向の相対速度V2を演算する。このため、ばね上加速度センサ8、ばね下加速度センサ9、減算器13および積分器12によって相対速度検出部が構成されると共に、積分器12は、相対速度V2を出力する。
ゲインマップ14は、減衰力算出部を構成し、ばね上速度V1に基づいて緩衝器6に発生させる目標減衰力DFを出力する。この目標減衰力DFは、スカイフック制御理論より求められる目標減衰力に基づき、後述の非線形性を加味したものとなっている。また、ゲインマップ14は、目標減衰力シフト手段として図3に示す非線形ゲインKを有している。この非線形ゲインKは、ばね上速度V1を変換して目標減衰力DFを出力すると共に、この目標減衰力DFをばね上速度V1に応じてリアルタイムに変更する。
また、目標減衰力DFは、例えばばね上速度V1に比例して増加または減少する。但し、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも大きい(|V1|>|Vt|)ときには、しきい値Vtよりも小さい(|V1|<|Vt|)ときに比べて、ばね上速度V1に対する目標減衰力DFの変化分が大きくなっている。
具体的に説明すると、ばね上速度V1が負側のしきい値(−Vt)から正側のしきい値Vtまでの範囲にあるとき(−Vt≦V1≦Vt)は、非線形ゲインKの傾きΔK1は一定である。これに対し、下側に向かうばね上速度V1が負側のしきい値(−Vt)よりも大きいとき(V1<−Vt)には、非線形ゲインKの傾きΔK2は、傾きΔK1よりも大きくなる。同様に、上側に向かうばね上速度V1が正側のしきい値Vtよりも大きいとき(V1>Vt)には、非線形ゲインKの傾きΔK3は、傾きΔK1よりも大きくなる。
このように、非線形ゲインKは、しきい値−Vt,Vtを挟んで比例定数となる傾きΔK2,ΔK1,ΔK3が切り換わり、全体としてばね上速度V1に対して目標減衰力DFが非線形に変化する。これにより、非線形ゲインKは、ばね上速度V1の大きさ(絶対値|V1|)がしきい値Vtよりも大きいときには目標減衰力DFをハード側にシフトさせると共に、しきい値Vtよりも小さいときには目標減衰力DFをソフト側にシフトさせる。
また、しきい値−Vt,Vtの大きさ(絶対値|Vt|)は、発明者等が鋭意検討した結果として得られたものであり、例えば0.3m/sから0.6m/sの間、好ましくは0.45m/sから0.55m/sの間の数値(例えば|Vt|=0.5m/s)に設定されている。即ち、ストローク感が問題となるばね上速度Vaとダンピングが問題となるばね上速度Vbを調べたところ、これらが互いに異なる値となることが分かった。具体的には、ストローク感が乗り心地に影響し易いばね上速度Vaは0.3m/s程度であるのに対し、ダンピングが低下して振動が継続し易いばね上速度Vbは0.6m/s程度であることが分かった。
このため、図5に示すように、しきい値−Vt,Vtの絶対値|Vt|は、ばね上速度Va,Vbの間に値に設定されている(Va<|Vt|<Vb)。これにより、ばね上速度V1が、ストローク感が問題となる低速側(|V1|<|Vt|)になるときには、目標減衰力DFをソフト側にシフトさせて、ストローク感を向上させている。一方、ばね上速度V1が、ダンピングが問題となる高速側(|V1|>|Vt|)になるときには、目標減衰力DFをハード側にシフトさせて、ダンピングを高めている。
減衰力マップ15は、調整信号出力部を構成し、目標減衰力DFおよび相対速度V2に基づいて緩衝器6の減衰力特性を調整する調整信号としての電流値Iを出力する。この減衰力マップ15は、図4に示すように、目標減衰力DFと電流値Iとの関係を相対速度V2に従って可変に設定するもので、発明者等による試験データに基づいて作成されたものである。そして、減衰力マップ15は、ゲインマップ14からの目標減衰力DFと積分器12からの相対速度V2とに基づいて、緩衝器6のアクチュエータ7に出力すべき電流指令値を電流値Iとして出力する。
また、減衰力マップ15は、減衰力調整式緩衝器をスカイフック理論に適合させるように緩衝器6を制御するための調整信号(電流値I)を出力する。具体的に説明すると、相対速度V2が正側(伸び側)となる場合、まず、図4中に実線で示される複数の特性線から、相対速度V2の大きさに応じて1本が選択される。図4では、相対速度V2が大きいほど右側の特性線となる。次に、選択された特性線における目標減衰力DFの値に対応する電流値Iが求められる。幾何学的には、目標減衰力DFの値から垂直に線を引き、選択された特性線との交点を求め、そこから水平に引いた線と縦軸との交点が電流値Iとなる。
このようにして、ばね上速度V1が正側(上向き側)となるときには、目標減衰力DFが大きくなるに従って電流値Iを小さくして減衰力特性をハードな特性(硬特性)に設定する。ばね上速度V1が負側(下向き側)となるときには、目標減衰力DFの大きさに関わらず電流値Iは大きい値で一定となり減衰力特性をソフトな特性に設定する。
一方、相対速度V2が負側(縮み側)となる場合は、図4中に破線で示される複数の特性線から、相対速度V2の大きさに応じて1本が選択される。図4では、相対速度V2が大きいほど左側の特性線となる。次に、選択された特性線における目標減衰力DFの値に対応する電流値Iが求められる。
このようにして、ばね上速度V1が正側(上向き側)となるときには、目標減衰力DFの大きさに関わらず電流値Iは大きい値で一定となり減衰力特性をソフトな特性に設定する。ばね上速度V1が負側(下向き側)となるときには、目標減衰力DFが小さく(マイナス方向に大きく)なるに従って電流値Iを小さくして減衰力特性をハードな特性に設定する。
以上により、緩衝器6の発生減衰力は、アクチュエータ7に供給された電流値Iに従ってハードとソフトとの間で連続的、または複数段で可変に調整される。
本実施の形態による車両用サスペンション制御措置は、上述の如き構成を有するもので、次に、コントローラ10を用いて緩衝器6の減衰力特性を可変に制御する処理について説明する。
まず、コントローラ10には、車両の走行時に図1および図2に示すように、ばね上加速度センサ8からばね上(車体1)側の上,下方向の振動加速度の検出信号が入力されると共に、ばね下加速度センサ9からばね下(車輪2)側の上,下方向の振動加速度の検出信号が入力される。
このとき、コントローラ10に設けられた積分器11は、ばね上加速度センサ8による振動加速度の検出信号を積分し、車体1の上,下方向の速度をばね上速度V1として算出する。
一方、コントローラ10に設けられた減算器13は、ばね上加速度センサ8による車体1側の上,下方向の振動加速度の検出信号からばね下加速度センサ9による車輪2側の上,下方向の振動加速度の検出信号を減算し、車体1と車輪2との間の相対加速度を算出する。そして、積分器12は、この相対加速度を積分して車体1と車輪2との間の上,下方向の相対速度V2を算出する。
また、積分器11から出力されたばね上速度V1は、ゲインマップ14に入力され、非線形ゲインKを用いてスカイフックゲインとしての目標減衰力DFに変換される。そして、非線形ゲインKは、ばね上速度V1に応じて目標減衰力DFをリアルタイムに変更し、ばね上速度V1の大きさが大きくなるに従って、目標減衰力DFを大きくする。
そして、ゲインマップ14から出力された目標減衰力DFは、減衰力マップ15に入力される。この減衰力マップ15は、目標減衰力DFと相対速度V2に基づいて、緩衝器6の減衰力特性を調整する調整信号としての電流値Iを出力する。このとき、減衰力マップ15は、スカイフック理論に基づいて、緩衝器6の減衰力特性を制御する。具体的には、減衰力マップ15は、ばね上速度V1の大きさと方向(上向き、下向き)、および相対速度V2の大きさと方向(伸び、縮み)に基づいて電流指令値としての電流値Iを求める。これにより、コントローラ10は、電流値Iに応じた電流を緩衝器6のアクチュエータ7に供給し、緩衝器6の発生減衰力をハードとソフトとの間で可変に調整する。
然るに、図6に示すように、緩衝器6の制御においては、ストローク感とダンピングとは、目標減衰力DFのゲインの大,小に関してトレードオフの関係がある。即ち、目標減衰力DFのゲインを大きくすると、ダンピングは向上するのに対し、ストローク感は悪化する。一方、目標減衰力DFのゲインを小さくすると、ストローク感は向上するものの、ダンピングは悪化する。このため、目標減衰力DFのゲインを単に大,小させるだけでは、ストローク感の維持とダンピングの向上を両立させることは難しい。
これに対し、本実施の形態では、非線形ゲインKは、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも大きいときには、小さいときに比べて、ばね上速度V1に対する目標減衰力DFの変化分が大きくなっている。具体的には、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも大きいとき(|V1|>|Vt|)の非線形ゲインKの傾きΔK2,ΔK3は、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも小さいとき(|V1|<|Vt|)の非線形ゲインKの傾きΔK1よりも大きくなっている。このため、非線形ゲインKは、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも大きいときには目標減衰力DFをハード側にシフトさせると共に、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも小さいときには目標減衰力DFをソフト側にシフトさせる。
また、しきい値Vtは、ストローク感が問題となるばね上速度Vaとダンピングが問題となるばね上速度Vbとの間に設定されている。このため、非線形ゲインKは、図5に示すように、ばね上速度V1がしきい値Vtよりも小さくなり速度Va側となるときには、ばね上速度V1に対する目標減衰力DFの変化分を小さくする。これにより、緩衝器6の発生減衰力を抑制して、ストローク感を向上することができる。
一方、非線形ゲインKは、ばね上速度V1がしきい値Vtよりも大きくなり速度Vb側となるときには、ばね上速度V1に対する目標減衰力DFの変化分を大きくする。これにより、緩衝器6の発生減衰力を大きく変化させて、ダンピングを高めることができる。
このように、本実施の形態では、ばね上速度V1に応じて目標減衰力DFのゲインを切り換えることができ、ストローク感が問題となる低速側では目標減衰力DFのゲインを小さくすることができ、ダンピングが問題となる高速側では目標減衰力DFのゲインを大きくすることができる。この結果、本実施の形態では、図6に示すように、ストローク感の維持とダンピングの向上を両立させることができる。
本実施の形態によるばね上速度V1および目標減衰力DFとの関係を説明するために、ばね上速度V1および目標減衰力DFの時間変化を図7に示す。ここで、図7中の二点鎖線は、第1の比較例による目標減衰力DFの時間変化を示している。この第1の比較例は、ばね上速度V1に対する目標減衰力DFのゲイン(傾き)を常に一定値(例えば図3中の傾きΔK1)にした場合を示している。
第1の比較例の場合には、ばね上速度V1が大,小に拘らず目標減衰力DFのゲインが一定となっている。このため、ストローク感を優先して目標減衰力DFのゲインを設定した場合には、ストローク感は良いものの、ばね上速度V1が大きいときには、目標減衰力DFに応じた制御指令が小さくなり、ダンピングが不十分になる。
また、図7中の破線は、第2の比較例による目標減衰力DFの時間変化を示している。この第2の比較例は、ばね上速度V1がしきい値を超えて大きくなったときに、解除条件が成立するまでの間(例えば所定の振動回数が経過するまでの間)に亘って目標減衰力DFのゲインを大きくした場合を示している。
第2の比較例の場合には、初期のばね上速度V1が小さい状態では、目標減衰力DFのゲインが小さいため、ストローク感は良くなる。一方、ばね上速度V1がしきい値を超えた後では解除条件が成立するまで目標減衰力DFのゲインが大きくなる。このため、ばね上速度V1が大きい状態では、ダンピング(制振効果)が高まる。しかし、その後にばね上速度V1が小さくなった状態でも、目標減衰力DFに応じた制御指令が大きくなるから、この状態でのストローク感が失われてしまう。
これらの第1,第2の比較例に比べて、本実施の形態では、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも大きい(|V1|>|Vt|)場合にのみ目標減衰力DFのゲインを大きくし、しきい値Vtよりも小さい(|V1|<|Vt|)場合には目標減衰力DFのゲインを小さくする。このため、ストローク感の維持とダンピングを常に両立させることができる。このような効果を確認するために、大きなうねりと小さなうねりがある路面を走行した場合について、本実施の形態および第1の比較例についてシミュレーションを行った。この結果、第1の比較例に比べて、本実施の形態では、ストローク感を表す3〜6Hzの加速度を悪化させることなく、ダンピングを例えば40%程度向上できることが分かった。
かくして、本実施の形態によれば、ゲインマップ14は非線形ゲインKを有し、この非線形ゲインKは、ばね上速度V1がしきい値Vtよりも大きいときには、ばね上速度V1がしきい値Vtよりも小さいときに比べて、ばね上速度V1に対する目標減衰力DFの変化分(ゲイン)を大きくした。
このため、非線形ゲインKは、ばね上速度V1がしきい値Vtよりも小さいときには、目標減衰力DFのゲインを小さくする。これにより、ストローク感が問題となるばね上速度V1の低速側では、目標減衰力DFをソフト側にシフトさせて、ストローク感を維持することができる。
一方、ばね上速度V1がしきい値Vtよりも大きいときには、目標減衰力DFのゲインを大きくする。これにより、ダンピングが問題となるばね上速度V1の高速側では、目標減衰力DFをハード側にシフトさせて、ダンピングを高めることができる。
この結果、ばね上速度V1に応じて目標減衰力DFのゲインを切り換えることができ、ストローク感の維持とダンピングの向上を両立させることができる。
また、非線形ゲインKは、ばね上速度V1に応じて目標減衰力DFをリアルタイムに変更するから、一旦ゲインが増加した後でも、ばね上速度V1がしきい値Vtよりも小さくなると、ゲインを低下させることができる。このため、例えば特許文献1に記載された制御装置のように、一旦ゲインが増加した後に解除条件を満たすまで大きなゲインを維持した場合に比べて、ばね上速度V1の低速時のストローク感が失われることがなくなる。この結果、ストローク感が問題となるばね上速度V1の低速側では、常にゲインを低下させて、ストローク感の維持を図ることができる。
さらに、非線形ゲインKのしきい値Vtは、ストローク感が問題となるばね上速度Vaとダンピングが問題となるばね上速度Vbとの間の値に設定した。このため、ばね上速度V1がしきい値Vtよりも大きいか否かに応じて、ストローク感とダンピングとのうち問題となる特性を重視して目標減衰力DFのゲインを変化させることができ、ストローク感の維持とダンピングの向上を両立させることができる。
なお、前記実施の形態では、ばね上加速度センサ8および積分器11を用いて車体側上下速度検出部を構成したが、車体1側の上,下方向の速度(ばね上速度V1)を直接的に検出するばね上速度センサを用いて車体側上下速度検出部を構成としてもよい。
また、前記実施の形態では、ばね上加速度センサ8、ばね下加速度センサ9、減算器13および積分器12を用いて相対速度検出部を構成したが、ばね上速度センサ、ばね下速度センサおよび減算器を用いて相対速度検出部を構成してもよく、車体1と車輪2との間の相対速度V2を直接的に検出する速度センサを用いて相対速度検出部を構成してもよく、車体1と車輪2との間の相対変位を検出する変位センサと微分器にて相対速度検出部を構成してもよい。
また、前記実施の形態では、非線形ゲインKは、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも大きいか否かに応じて、目標減衰力DFのゲインを不連続に切り換える構成とした。しかし、本発明は、これに限らず、非線形ゲインは、例えば3次曲線に沿うように、ばね上速度V1の大きさに応じて滑らかに切り換わる構成としてもよい。この場合には、連続的にゲインが変化するため、制御による不連続感を低減することができる。
また、前記実施の形態では、非線形ゲインKは、ばね上速度V1が正側(上向き側)と負側(下向き側)とでしきい値Vt,−Vtの大きさ(絶対値|Vt|)は同じ値としたが、しきい値Vtの大きさは、ばね上速度V1が正側(上向き側)と負側(下向き側)とで異なる構成としてもよい。さらに、しきい値Vt,−Vtの大きさを決める値として、ストローク感が問題になるばね上速度Vaは0.3m/sとし、ダンピングが問題になるばね上速度Vbは0.6m/sとした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、ばね上速度Va,Vbはこれらの数値に限らず、車両の大きさ、形状やサスペンション装置の構成等に応じて適宜設定されるものである。
また、前記実施の形態では、図3に示す非線形ゲインKは、原点を中心に点対称な特性となる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、非線形ゲインは、ばね上速度V1が正側(上向き側)と負側(下向き側)とで目標減衰力DFのゲインが異なる構成としてもよい。さらに、前記実施の形態では、非線形ゲインKは、相対速度V2には関係しないものとしたが、相対速度V2が正側(伸び側)と負側(縮み側)とに応じて目標減衰力DFのゲインが異なる構成としてもよい。
また、前記実施の形態では、単一の車輪2を模式的に例示した説明したが、例えば4輪自動車の場合には4輪それぞれに設けたサスペンション装置4に対して個別に独立して適用するものである。この場合、前輪側と後輪側とで非線形ゲインは異なる構成としてもよい。
また、前記実施の形態では、非線形ゲインKは、ばね上速度V1の大きさがしきい値Vtよりも小さい範囲と大きい範囲では、それぞればね上速度V1に比例した目標減衰力DFを出力する構成としたが、ばね上加速度に比例した目標減衰力DFを出力する構成としてもよい。但し、ばね上加速度の位相とばね上速度の位相は、ずれているので、フィルタなどにより位相を調整することが好ましい。
さらに、前記実施の形態では、スカイフック理論に基づいてサスペンション装置4の緩衝器6を制御するコントローラ10に適用した場合を例に挙げて説明したが、ロールフィードバック制御やピッチフィードバック制御を行うコントローラに適用する構成としてもよい。
1 車体
2 車輪
4 サスペンション装置
5 ばね
6 減衰力調整式緩衝器
7 アクチュエータ
8 ばね上加速度センサ
9 ばね下加速度センサ
10 コントローラ
11,12 積分器
13 減算器
14 ゲインマップ(減衰力算出部)
15 減衰力マップ(調整信号出力部)
K 非線形ゲイン
2 車輪
4 サスペンション装置
5 ばね
6 減衰力調整式緩衝器
7 アクチュエータ
8 ばね上加速度センサ
9 ばね下加速度センサ
10 コントローラ
11,12 積分器
13 減算器
14 ゲインマップ(減衰力算出部)
15 減衰力マップ(調整信号出力部)
K 非線形ゲイン
Claims (4)
- 車両の車体と車輪との間に介装され調整信号を用いて減衰力特性が調整される減衰力調整式緩衝器を備えた車両用サスペンション制御装置において、
前記車体の上,下方向の速度を車体側上下速度として検出する車体側上下速度検出部と、該車体側上下速度検出部による車体側上下速度に基づいて前記減衰力調整式緩衝器に発生させる目標減衰力を算出する減衰力算出部と、前記車体と車輪との間の上,下方向の相対速度を検出する相対速度検出部と、前記減衰力算出部による目標減衰力および該相対速度検出部による相対速度に基づいて前記減衰力調整式緩衝器の減衰力特性を調整する調整信号を出力する調整信号出力部とを備え、
前記減衰力算出部は、前記車体側上下速度が予め決められた所定のしきい値よりも大きいときには前記目標減衰力をハード側にシフトさせ、前記車体側上下速度が前記しきい値よりも小さいときには前記目標減衰力をソフト側にシフトさせる目標減衰力シフト手段を有する構成としたことを特徴とする車両用サスペンション制御装置。 - 前記目標減衰力シフト手段は、前記車体側上下速度検出部による車体側上下速度を変換して前記目標減衰力を出力する非線形ゲインであり、
該非線形ゲインは、前記車体側上下速度が前記しきい値よりも大きいときには、前記車体側上下速度が前記しきい値よりも小さいときに比べて、前記車体側上下速度に対する前記目標減衰力の変化分が大きいことを特徴とする請求項1に記載の車両用サスペンション制御装置。 - 前記非線形ゲインは、前記車体側上下速度検出部による車体側上下速度に応じて前記目標減衰力をリアルタイムに変更することを特徴とする請求項2に記載の車両用サスペンション制御装置。
- 前記しきい値は、前記前記車体側上下速度のうちストローク感が問題となる値とダンピングが問題となる値との間に設定することを特徴とする請求項1,2または3に記載の車両用サスペンション制御装置。
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