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JP2011150314A - 複合位相差板及びその製造方法 - Google Patents

複合位相差板及びその製造方法 Download PDF

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JP2011150314A
JP2011150314A JP2010279030A JP2010279030A JP2011150314A JP 2011150314 A JP2011150314 A JP 2011150314A JP 2010279030 A JP2010279030 A JP 2010279030A JP 2010279030 A JP2010279030 A JP 2010279030A JP 2011150314 A JP2011150314 A JP 2011150314A
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Tadahiro Kobayashi
忠弘 小林
Koshiro Ochiai
鋼志郎 落合
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】より薄肉化され、さらに広い波長域において一様の偏光変換を行うことが可能な複合位相差板を提供すること。
【解決手段】重合性基を有する液晶化合物を重合して得られる位相差板(1)と、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を含有する位相差板(2)とを含み、波長λ(nm)の光における複屈折率Δn(λ)が、式(3)及び式(4)を充足する複合位相差板。
Δn(451)/Δn(549)≦1.04 (3)
0.98≦Δn(628)/Δn(549) (4)
【選択図】なし

Description

本発明は、複合位相差板及びその製造方法に関する。
複合位相差板は、λ/4板及びλ/2板を接合して得られる円偏光板等のように複数の位相差板を含むものであり、液晶表示装置等に使用されている。近年、液晶表示装置は、一層の小型化が求められており、複合位相差板についても、一層の薄肉化が求められている。
特許文献1には、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を含有する位相差板に、環状ポリオレフィン系樹脂の延伸フィルムからなるλ/4板を粘着剤で貼合して得られる複合位相差板が開示されている。
特開2005−338215号公報
上記文献に開示されるような従来の有機修飾粘度複合体及びバインダー樹脂を含有する位相差板と、環状ポリオレフィン系樹脂の延伸フィルムからなる位相差板とを粘着剤で貼合して得られる複合位相差板は、厚みがあり、液晶表示装置の小型化に対して必ずしも十分に満足できるものではなかった。本発明の課題は、従来の複合位相差板よりさらに薄肉化された複合位相差板を提供することにある。
本発明は以下の[1]〜[20]を提供するものである。
[1]重合性基を有する液晶化合物を重合して得られる位相差板(1)と、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を含有する位相差板(2)とを含み、波長λ(nm)の光における複屈折率Δn(λ)が、式(3)及び式(4)を充足する複合位相差板。
Δn(451)/Δn(549)≦1.04 (3)
0.98≦Δn(628)/Δn(549) (4)
[2]重合性基を有する液晶化合物が、式(A)で表される化合物である前記[1]記載の複合位相差板。

−G−D−Ar−D−G−L (A)

[式(A)中、Arは、芳香環を有する2価の基を表し、該芳香環に含まれるπ電子の数は、12以上22以下である。
及びDは、それぞれ独立に、単結合、−CO−O−、−O−CO−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−、−CR−O−CR−、−CR−O−CO−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−CR−、−CR−CO−O−CR−、−NR−CR−、−CR−NR−、−CO−NR−、又は−NR−CO−を表す。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−で置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換っていてもよい。
及びLは、それぞれ独立に、有機基を表し、L及びLからなる群から選ばれる少なくとも1種が、重合性基を有する基を表す。]
[3]Lが式(B)で表される基であり、かつLが式(C)で表される基である前記[2]記載の複合位相差板。

−F−(B−A−E− (B)
−F−(B−A−E− (C)

[式(B)及び(C)中、B、B、E及びEは、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。kが2以上の整数である場合、複数のBは互いに同一であっても異なっていてもよい。lが2以上の整数である場合、複数のBは互いに同一であっても異なっていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−で置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換っていてもよい。kが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。lが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
及びFは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
は、重合性基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。]
[4]式(A)で表される化合物が、式(5)及び式(6)を満たす化合物である前記[3]記載の複合位相差板。
(Nπ−4)/3<k+l+4 (5)
12≦Nπ≦22 (6)
[式(5)及び式(6)中、Nπは、Arが有する芳香環に含まれるπ電子の数を表す。k及びlは、式(B)及び(C)におけるものと同じ意味を表す。]
[5]Arが、式(Ar−6)で表される2価の基である前記[2]記載の複合位相差板。
Figure 2011150314
[式(Ar−6)中、Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−NR、−SRを表す。nが2以上の整数である場合、複数のZは互いに同一であっても異なっていてもよい。
及びRは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、−S−、−O−又は−NR−を表す。
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜12の芳香族複素環式基を表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
[6]G及びGが、ともにシクロヘキサン−1,4−ジイル基である前記[2]記載の複合位相差板。
[7]A及びAが、それぞれ独立に、p−フェニレン基又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基である前記[3]記載の複合位相差板。
[8]Aのみと結合しているB、及びAのみと結合しているBが、それぞれ独立に、−CH−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CH−、−CH−O−又は単結合であり、かつ
と結合しているB、及びFと結合しているBが、それぞれ独立に、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は単結合である前記[3]〜[7]のいずれかに記載の複合位相差板。
[9]重合性基が、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる1種以上である[1]〜[8]のいずれかに記載の複合位相差板。
[10]有機修飾粘土複合体が、4級アンモニウム塩とスメクタイト族に属する粘土鉱物とを含み、該粘土鉱物に含まれるマグネシウムとケイ素4原子との原子比(Mg/Si)が0.01以上2.73未満である前記[1]記載の複合位相差板。
[11]位相差板(2)が、負の一軸性の位相差板である前記[1]又は[10]記載の複合位相差板。
[12]位相差板(1)と位相差板(2)とが接合してなる前記[1]〜[11]のいずれかに記載の複合位相差板。
[13]さらに、プライマー層を、位相差板(1)と位相差板(2)との間に含む前記[1]〜[11]のいずれかに記載の複合位相差板。
[14]波長550nmにおける正面位相差値が、113nm以上163nm以下である前記[1]〜[13]のいずれかに記載の複合位相差板。
[15]偏光板及び前記[1]〜[14]のいずれかに記載の複合位相差板を含む偏光部材。
[16]液晶セル及び前記[15]記載の偏光部材を含む液晶表示装置。
[17]カラーフィルター及び、前記[1]〜[14]のいずれかに記載の複合位相差板を含む光学部材。
[18]下記(i)〜(v)の工程を有する複合位相差板の製造方法。
(i)重合性基を有する液晶化合物と有機溶媒とを混合して溶液を得る工程
(ii)工程(i)で得られた溶液から塗工膜を得る工程
(iii)工程(ii)で得られた塗工膜に含まれる重合性基を有する液晶化合物を重合させて、位相差板(1)を得る工程
(iv)有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂と有機溶媒とを混合して塗工液を得る工程
(v)工程(iv)で得られた塗工液を、得られた位相差板(1)に塗布して、複合位相差板を得る工程
[19]下記(i)〜(iv)および(vi)〜(vii)の工程を有する複合位相差板の製造方法。
(i)重合性基を有する液晶化合物と有機溶媒とを混合して溶液を得る工程
(ii)工程(i)で得られた溶液から塗工膜を得る工程
(iii)工程(ii)で得られた塗工膜に含まれる重合性基を有する液晶化合物を重合させて、位相差板(1)を得る工程
(iv)有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂と有機溶媒とを混合して塗工液を得る工程
(vi)得られた位相差板(1)に、プライマーを塗布して、位相差板(1)上にプライマー層を形成する工程
(vii)工程(iv)で得られた塗工液を、プライマー層上に塗布して、複合位相差板を得る工程
[20](i)重合性基を有する液晶化合物と有機溶媒とを混合して溶液を得る工程において、さらに重合開始剤を混合して溶液を得る前記[18]又は[19]記載の複合位相差板の製造方法。
本発明によれば、一層、薄肉化され、さらに広い波長域において一様の偏光変換を行うことが可能な複合位相差板を得ることができる。
図1は、複合位相差板を概略的に示す断面模式図である。 図2は、配向膜および/または支持基材を含む複合位相差板の概略断面模式図である。 図3は、複合位相差板を含む偏光部材の概略断面模式図である。 図4は、偏光部材および液晶セルを含む液晶表示装置の概略断面模式図である。 図5は、複合位相差板およびカラーフィルターを含む光学部材の概略断面模式図である。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の複合位相差板は、重合性基を有する液晶化合物(以下、「液晶モノマー」ということがある。)を重合して得られる位相差板(1)と、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を含有する位相差板(2)とを含み、波長λ(nm)の光に対する複屈折率Δn(λ)が、式(3)及び式(4)を満たす。
Δn(451)/Δn(549)≦1.04 (3)
0.98≦Δn(628)/Δn(549) (4)
本明細書中において、位相差板とは、光を透過し得る物体であって、光学的な機能を有する物体をいう。光学的な機能とは、屈折、複屈折などを意味する。位相差板は、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したりするために用いられる。
波長λnmの光が与える位相差板の位相差(Re(λ))は、複屈折率Δnと位相差板の厚みdとの積で表される(Re(λ)=Δn×d)。また波長分散性とは、位相差Reの波長依存性のことであり、逆波長分散特性とは、長波長になるほど位相差Reが大きくなる性質のことをいう。例えば、波長分散性は、ある波長λnmにおける位相差値Re(λ)を549nmにおける位相差値Re(549)で除した値(Re(λ)/Re(549))で表される。(Re(λ)/Re(549))が1に近い波長域(例えば、0.98〜1.04)や、[Re(451)/Re(549)]≦1.04(好ましくは0.8≦[Re(451)/Re(549)]≦1.04)かつ[Re(628)/Re(549)]≧0.98(好ましくは0.98≦[Re(628)/Re(549)]≦1.1)となる逆波長分散特性を示す波長域では、一様の偏光変換が可能である。
[位相差板(1)]
本発明の位相差板(1)は、式(A)で表される化合物(以下「化合物(A)」という場合がある)を重合して得られる位相差板であることが好ましい。
−G−D−Ar−D−G−L (A)
[式(A)中、Arは芳香環を有する2価の基を表し、該芳香環に含まれるπ電子の数Nπは、12以上22以下である。
及びDは、それぞれ独立に、単結合、−CO−O−、−O−CO−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−、−CR−O−CR−、−CR−O−CO−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−CR−、−CR−CO−O−CR−、−NR−CR−、−CR−NR−、−CO−NR−、又は−NR−CO−を表す。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−で置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換っていてもよい。
及びLは、それぞれ独立に、有機基を表し、L及びLからなる群から選ばれる少なくとも1種が、重合性基を有する基を表す。]
本明細書において、−CH(−)−はメチン基を意味し、−N(−)−はニトリロ基を意味する。
芳香環を有する2価の基であるArは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する2価の基であることが好ましい。該2価の基に含まれる芳香環のπ電子の合計数Nπは、好ましくは12以上、より好ましくは13以上であり、好ましくは22以下である。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスロリン環等が挙げられ、芳香族複素環としては、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環及びベンゾチアゾール環等が挙げられる。中でも、ベンゼン環、チアゾール環又はベンゾチアゾール環が好ましい。
Arとしては、例えば式(Ar−1)〜式(Ar−13)で表される2価の基が挙げられる。
Figure 2011150314
[式(Ar−1)〜式(Ar−13)中、Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基または炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
及びQは、それぞれ独立に、−CR10−、−S−、−NR−、−CO−又は−O−を表す。
及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
、Y及びYは、それぞれ独立で置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、芳香族複素環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基又はハロゲン原子を表す。
mは、0〜6の整数を表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のアルキルスルフィニル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルスルフィニル基がより好ましく、メチルスルフィニル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のアルキルスルホニル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルスルホニル基がより好ましく、メチルスルホニル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルキルスルファニル基としては、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、イソブチルスルファニル基、sec−ブチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基、ペンチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のアルキルスルファニル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルスルファニル基がより好ましく、メチルスルファニル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−イソブチルアミノ基、N−sec−ブチルアミノ基、N−tert−ブチルアミノ基、N−ペンチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基が好ましく、炭素数1〜2のN−アルキルアミノ基がより好ましく、N−メチルアミノ基が特に好ましい。
炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N,N−ジペンチルアミノ基、N,N−ジヘキシルアミノ基等が挙げられる。中でも炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルアミノ基がより好ましく、N,N−ジメチルアミノ基が特に好ましい。
炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基としては、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のN−アルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数1〜2のN−アルキルスルファモイル基がより好ましく、N−メチルスルファモイル基が特に好ましい。
炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−メチル−N−エチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N,N−ジイソプロピルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジイソブチルスルファモイル基、N,N−ジペンチルスルファモイル基、N,N−ジヘキシルスルファモイル基等が挙げられる。中でも炭素数2〜8のN,N−ジアルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルスルファモイル基がより好ましく、N,N−ジメチルスルファモイル基が特に好ましい。
式(Ar−1)〜(Ar−13)中のZは、特にハロゲン原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、メチルスルホニル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルスルファニル基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチルスルファモイル基またはN,N−ジメチルスルファモイル基であることが好ましい。
及びR10における炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(Ar−1)〜(Ar−13)中のQは、−S−、−CO−、−NH−又は−N(CH)−であることが好ましく、Qは、−S−又は−CO−であることが好ましい。
、Y及びYの芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、単環系芳香族炭化水素基、単環系芳香族複素環基、多環系芳香族炭化水素基及び多環系芳香族複素環基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。中でもフェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも一つ含む炭素数4〜20の芳香族複素環基が挙げられる。中でもフリル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基が好ましい。
かかる芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基等が挙げられる。
ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基及び炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、前述したZにおけるものと同様のものが挙げられる。
前記置換基としては、中でもハロゲン原子、炭素数1〜2のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜2のアルキルスルホニル基、炭素数1〜2のフルオロアルキル基、炭素数1〜2のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキルスルファニル基、炭素数1〜2のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜2のアルキルスルファモイル基が好ましい。
単環系芳香族炭化水素基又は単環系芳香族複素環基としては、例えば式(Y−1)〜式(Y−6)で表される基が挙げられる。
Figure 2011150314
[式(Y−1)〜式(Y−6)中、*は結合手を表し、Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基または炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
は、0〜5の整数、aは、0〜4の整数、bは、0〜3の整数、bは、0〜2の整数、Rは、水素原子又はメチル基を表す。]
におけるハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基または炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、前述したZにおけるものと同様のものが挙げられる。
としては、特にハロゲン原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、スルホン基、カルボキシ基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルスルファニル基、N,N−ジメチルアミノ基又はN−メチルアミノ基が好ましい。
、Y及びYは、それぞれ独立に、式(Y−1)又は式(Y−3)で表される基であることが、製造工程やコストの点で特に好ましい。
多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基としては、例えば式(Y−1)〜式(Y−7)で表される基が挙げられる。
Figure 2011150314
[式(Y−1)〜式(Y−7)中、*は結合手を表し、Zは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
及びVは、それぞれ独立に、−CO−、−S−、−NR11−、−O−、−Se−又は−SO−を表す。
〜Wは、それぞれ独立に、−CH=又は−N=を表す。
ただし、V、V及びW〜Wのうち少なくとも1つは、S、N、O又はSeを含む基を表す。
11は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
aは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
bは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表す。]
さらに、式(Y−1)〜式(Y−7)で表されるいずれかの基は、式(Y−1)〜式(Y−6)で表される基であることが好ましい。
Figure 2011150314
[式(Y−1)〜式(Y−6)中、*、Z、a、b、V、V及びWは、前記と同じ意味を表す。]
としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基等が挙げられる。
ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基及び炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、前述したZにおけるものと同様のものが挙げられる。
としては、中でもハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、シアノ基、ニトロ基、スルホン基、ニトロキシキド基、カルボキシ基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルスルファニル基、N,N−ジメチルアミノ基又はN−メチルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が特に好ましい。
さらに、V及びVは、それぞれ独立に、−S−、−NR11−又は−O−であることが好ましく、W〜Wは、それぞれ独立に、−CH=又は−N=である。
また、V、V及びW〜Wのうち少なくとも1つは、S、N又はOを含む基を表すことが好ましい。
aは0または1であることが好ましく、bは0であることが好ましい。
Arとしては、具体的に下記の基が例示される。
例えば、式(Ar−1)〜式(Ar−4)で表される基の具体例としては、式(ar−1)〜式(ar−29)で表される基等が挙げられる。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
式(Ar−5)で表される基の具体例としては、式(ar−30)〜式(ar−39)で表される基等が挙げられる。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
式(Ar−6)又は式(Ar−7)で表される基の具体例としては、式(ar−40)〜式(ar−119)で表される基等が挙げられる。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
式(Ar−8)又は式(Ar−9)で表される基の具体例としては、式(ar−120)〜式(ar−129)で表される基等が挙げられる。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
式(Ar−10)で表される基の具体例としては、式(ar−130)〜式(ar−149)で表される基等が挙げられる。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
式(Ar−11)で示される基の具体例としては、式(ar−150)〜式(ar−159)で示される基等が挙げられる。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
式(Ar−12)で表される基の具体例としては、式(ar−160)〜式(ar−179)で表される基等が挙げられる。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
式(Ar−13)で示される基の具体例としては、式(ar−180)〜式(ar−189)で示される基等が挙げられる。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
化合物(A)におけるArとしては、化合物を合成しやすいため、また位相差の波長分散性をしやすいため、特に式(Ar−6)で表される2価の基であることが好ましい。
式(A)中のD及びDは、*−O−CO−、*−O−C(=S)−、*−O−CR−、*−NR−CR−または*−NR−CO−(*はArとの結合手を表わす。)であることが好ましい。D及びDが、*−O−CO−、*−O−C(=S)−または*−NR−CO−(*はArとの結合手を表す。)であることがより好ましい。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基またはエチル基であることがより好ましい。
式(A)中のG及びGとしては、式(g−1)〜式(g−10)で示されるヘテロ原子を含んでもよい脂環式炭化水素基が挙げられ、5員環又は6員環の脂環式炭化水素基であることが好ましい。
Figure 2011150314
上記式(g−1)〜(g−10)で示される基に含まれる水素原子は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基;トリフルオロメトキシ基等の炭素数1〜4のフルオロアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びGとしては、式(g−1)で表される6員環からなる脂環式炭化水素基であることが好ましい。中でも、G及びGがともにシクロヘキサン−1,4−ジイル基であることがより好ましく、trans−シクロへキサン−1,4−ジイル基であることが特に好ましい。
式(A)中のL及びLは有機基であり、L及びLからなる群から選ばれる少なくとも1種は、重合性基を有する基である。
有機基Lは式(B)で表される基であり、Lは式(C)で表される基であることが好ましい。
−F−(B−A−E− (B)
−F−(B−A−E− (C)
[式(B)及び(C)中、B、B、E及びEは、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。kが2以上の整数である場合、複数のBは互いに同一であっても異なっていてもよい。lが2以上の整数である場合、複数のBは互いに同一であっても異なっていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−で置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換っていてもよい。kが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。lが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
及びFは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
は、重合性基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。]
及びAにおける炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基としては、前記式(g−1)〜式(g−10)で表される5員環又は6員環などからなる脂環式炭化水素基や、下記式(a−1)〜式(a−8)で表される2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
Figure 2011150314
なお、A及びAとして、前記例示された基に含まれる水素原子は、メチル基、エチル基、i−プロピル基又はt−ブチル基等の炭素数1〜4程度のアルキル基;メトキシ基又はエトキシ基等の炭素数1〜4程度のアルコキシ基;トリフルオロメチル基;トリフルオロメトキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子又は臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びAとしては、それぞれ独立に、単環の1,4−フェニレン基又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基であることが好ましく、特に、化合物(A)の製造が容易なことから、1,4−フェニレン基であることが好ましい。さらに、A及びAとしては、化合物(A)の製造が容易となる傾向にあることから、同種類の基であることが好ましい。
及びBは、化合物(A)の製造が容易となる傾向にあることから同種類の基であることが好ましい。また、化合物(A)の製造がより容易となることから、Aのみと結合しているB、及びAのみと結合しているBが、それぞれ独立に、−CH−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CH−、−CH−O−又は単結合であることが好ましい。特に、高い液晶性を示すことから、−CO−O−又は−O−CO−であることが好ましい。さらに、Fと結合しているB、及びFと結合しているBが、それぞれ独立に、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は単結合であることがより好ましい。
k及びlは、液晶性の観点から、それぞれ独立に、0〜3の整数を表すことが好ましく、k及びlは0〜2であることがより好ましい。k及びlの合計は、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。
及びFは、炭素数1〜12のアルキレン基であることが好ましい。特に、無置換のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。また、該アルキレン基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−に置換されていてもよい。
は重合性基であり、Pは、水素原子又は重合性基である。得られる位相差板の硬度が優れる傾向にあることから、P及びPがともに重合性基であるとことが好ましい。
ここで重合性基とは、化合物(A)を重合させることのできる置換基を意味し、具体的には、ビニル基、p−スチルベン基、アクリロイル基、メタクロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシ基、メチルカルボニル基、ヒドロキシ基、アミド基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、アルデヒド基、イソシアネート基及びチオイソシアネート基等が例示される。
重合性基としては、光重合させるのに適したラジカル重合性基、カチオン重合性基が好ましく、特に取り扱いが容易な上に製造も容易となる傾向にあることから、アクリロイル基、メタクロイル基、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基が好ましい。中でも重合性基が、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることが好ましく、特にアクリロイルオキシ基であることが好ましい。
が式(B)で表される基である場合の*−D−G−L(*は、Arとの結合手を示す。)の具体例としては、下記式(R−1)〜式(R−120)及び式(R−129)〜式(R−131)で表される基等が挙げられる。Lが式(C)で表される基である場合の*−D−G−L(*は、Arとの結合手を示す。)の具体的例としては、下記式(R−1)〜式(R−134)で表される基等が挙げられる。
なお、式(R−1)〜式(R−134)におけるnは2〜12の整数を表す。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
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Figure 2011150314
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化合物(A)は、式(5)及び式(6)を満たす化合物であることが好ましい。
(Nπ−4)/3<k+l+4 (5)
12≦Nπ≦22 (6)
[式(5)及び式(6)中、Nπは、Arが有する芳香環に含まれるπ電子の数を表す。k及びlは、式(B)および(C)におけるものと同じ意味を表す。]
化合物(A)としては、例えば、下記化合物(i)〜化合物(xxxiv)が挙げられる。なお、表中のR1は、−D−G−Lを、R2は、−D−G−Lを表す。
Figure 2011150314
上記表1中、化合物(xvii)は、Arが式(ar−78)で示される基である化合物又はArが式(ar−79)で示される基である化合物あるいはArが式(ar−78)で示される基である化合物と式(ar−79)で示される基である化合物との混合物のいずれかであることを意味する。
上記表1中、化合物(xxx)は、Arが式(ar−120)で示される基である化合物又はArが式(ar−121)で示される基である化合物あるいはArが式(ar−120)で示される基である化合物と式(ar−121)で示される基である化合物との混合物のいずれかであることを意味する。同じく、化合物(xxxi)は、Arが式(ar−122)で示される基である化合物又はArが式(ar−123)で示される基である化合物あるいはArが式(ar−122)で示される基である化合物と式(ar−123)で示される基である化合物との混合物のいずれかであることを意味する。
表1の化合物の具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。下記に化合物(i)、化合物(ii)、化合物(iv)、化合物(v)、化合物(vi)、化合物(ix)、化合物(x)、化合物(xi)、化合物(xvi)、化合物(xviii)、化合物(xix)、化合物(xx)、化合物(xxi)、化合物(xxiii)、化合物(xxiv)、化合物(xxv)、化合物(xxvi)、化合物(xxvii)、化合物(xxviii)及び化合物(xxix)の代表的な構造式を例示する。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
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さらに、化合物(A)として、例えば以下のものが例示される。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
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Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
さらに、化合物(A)としては、式(A1−1)〜式(A68−8)で表される化合物も挙げられる。該式中、*は結合手を表し、例えば式(A1−1)で表される化合物は、下記のように表される化合物である。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
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本発明の位相差板(1)において、異なる複数の種類の化合物(A)を組み合わせて用いてもよい。
化合物(A)は、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、Organic Syntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の
有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応など)を、その構造に応じて、適宜組み合わせることにより、製造することができる。
例えば、化合物(A)のD及びDが*−O−CO−である場合には、式(1−1)
Figure 2011150314
[式中、Arは上記と同一の意味を表わす。]
で示される化合物と式(1−2)
Figure 2011150314
[式中、G、E、A、B、F、P及びkは上記と同一の意味を表わす。]
で示される化合物とを反応させることにより、式(1−3)
Figure 2011150314
[式中、Ar、G、E、A、B、F、P及びkは上記と同一の意味を表わす。]
で示される化合物を得て、得られた式(1−3)で示される化合物と式(1−4)
Figure 2011150314
[式中、G、E、A、B、F、P及びlは上記と同一の意味を表わす。]
で示される化合物とを反応させることにより製造することができる。
式(1−1)で示される化合物と式(1−2)で示される化合物との反応及び式(1−3)で示される化合物と式(1−4)で示される化合物との反応は、エステル化剤の存在下に実施することが好ましい。
エステル化剤としては、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−パラ−トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(一部水溶性カルボジイミド:WSCとして市販されている)、ビス(2、6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ビスイソプロピルカルボジイミド、などのカルボジイミド、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、1,1’−オキサリルジイミダゾール、ジフェニルホスフォリルアジド、1(4−ニトロベンゼンスルフォニル)−1H−1、2、4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート、N−(1,2,2,2−テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N−カルボベンゾキシスクシンイミド、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2−ブロモ−1−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスフェート、2−クロロ−1−メチルピリジニウムアイオダイド、2−クロロ−1−メチルピリジニウム パラートルエンスルホネート、2−フルオロ−1−メチルピリジニウム パラートルエンスルホネート、トリクロロ酢酸ペンタクロロフェニルエステ等が挙げられる。中でも、反応性、コスト、使用できる溶媒の点から、縮合剤としてはジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ビス(2、6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ビスイソプロピルカルボジイミド、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾールが好ましい。
本発明の位相差板(1)は、化合物(A)と、重合性基を有し、かつ化合物(A)とは異なる液晶化合物(以下、液晶化合物(A1)という場合がある。)とを共重合して得られる位相差板であってもよい。
液晶化合物(A1)の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の3章 分子構造と液晶性の、3.2 ノンキラル棒状液晶分子、3.3 キラル棒状液晶分子に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物が挙げられる。
液晶化合物(A1)として、異なる複数の化合物を併用してもよい。中でも、重合性基を有していて液晶性を示す化合物が好ましい。
液晶化合物(A1)としては、例えば、式(D)で表される基を含む化合物(以下「化合物(D)」という場合がある)等が挙げられる。
11−B11−E11−B12−A11−B13− (D)
[式(D)中、P11は、重合性基を表す。
11は、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。該炭素数1〜6のアルキル基及び該炭素数1〜6のアルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
11は、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR16−、−NR16−CO−、−CO−、−CS−又は単結合を表す。R16は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
12及びB13は、それぞれ独立に、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR16−、−NR16−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。
11は、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていてもよい。該アルキル基及びアルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルキレン基に含まれるメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよい。]
位相差板を硬化するために、たとえば光重合を利用することがある。そのため、P11としては、光重合させるのに適した、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基が好ましい。特に取り扱いが容易な上、製造も容易であることから、下記式(P−1)〜(P−5)で表される基が好ましい。
Figure 2011150314
[式(P−1)〜(P−5)中、R17〜R21はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は水素原子を表す。*は、B11との結合手を表す。]
さらに、P11は、式(P−6)〜式(P−10)で表される基であることが好ましく、ビニル基、p−スチルベン基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基及びチオイソシアネート基などが挙げられる。
Figure 2011150314
特に、P11−B11−が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることが好ましい。
11における芳香族炭化水素基及び脂環式炭化水素基の炭素数は、例えば3〜18であり、5〜12であることが好ましく、5又は6であることが特に好ましい。A11としては、シクロヘキサン−1,4−ジイル基又は1,4−フェニレン基が好ましい。
11としては、2つ以上に分岐していない炭素数1〜12のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基に含まれるメチレン基は、−O−で置換されていてもよい。
11としては具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカレン基、ウンデカレン基、ドデシレン基、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−及びCH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−などが挙げられる。
化合物(D)としては、例えば、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)又は式(VI)で表される化合物が挙げられる。
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-B16-E12-B17-P12 (I)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-F11 (II)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-E12-B17-P12 (III)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-F11 (IV)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-E12-B17-P12 (V)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-F11 (VI)
[式中、P12は、P11と同じ意味を表す。
12〜A14は、A11と同じ意味を表す。
14〜B16はB12と、B17はB11と同じ意味を表す。
12は、E11と同じ意味を表す。
11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシ基、メチロール基、アルデヒド基、スルホン酸基、カルボキシ基、炭素数1〜10のアルコールでエステル化されたカルボキシ基又はハロゲン原子を表す。該アルキル基及びアルコキシ基に含まれるメチレン基は、−O−で置換されていてもよい。]
化合物(D)としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。これらの液晶化合物は、市販されていることから入手が容易であり、また合成が容易であることから好ましい。なお、式中k1及びk2は、2〜12の整数を表す。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
Figure 2011150314
化合物(A)の含有量は、化合物(A)と液晶化合物(A1)との合計量100質量部に対して、好ましくは10質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは30質量部以上100質量部以下である。化合物(A)の含有量が上記範囲内にあると、より大きい逆波長分散特性を示す傾向にあり、好ましい。
本発明の複合位相差板の波長分散特性は、位相差板(1)における化合物(A)に由来する構造単位の含有量及び化合物(A1)に由来する構造単位の含有量によって、決定することができる。位相差板(1)において、化合物(A)に由来する構造単位の含有量を増加させると、より逆波長分散特性を示す。
本発明の複合位相差板の波長分散特性は、具体的には、以下のようにして決定することができる。まず、化合物(A)に由来する構造単位の含有量が異なる組成物を2〜5種類程度調製する。それぞれの組成物について後述するように、同じ膜厚の位相差板を製造し、得られる位相差板の位相差値を求める。その結果から、化合物(A)に由来する構造単位の含有量と位相差板の位相差値との相関を求め、得られた相関関係から、上記膜厚における位相差板に所望の位相差値を与えるために必要な化合物(A)に由来する構造単位の含有量を決定する。
以下、化合物(A)及び液晶化合物(A1)からなる群から選ばれる少なくとも1種を総称して、「液晶モノマー」という場合がある。
位相差板(1)は、例えば、液晶モノマーと有機溶媒とを含む溶液を、支持基材や配向膜等の上に塗布した後、有機溶媒を除去して塗膜を得て、得られた塗膜中の液晶モノマーを重合させることにより製造することができる。支持基材上に、配向膜が成膜されていてもよい。
以下、位相差板(1)の製造方法について説明する。
〔(i)液晶モノマーと有機溶媒とを混合して溶液を得る工程〕
まず、液晶モノマーを有機溶媒に溶解させることにより、液晶モノマーと有機溶媒とを含む溶液(以下、溶液(1)と略記する。)を調製する。必要に応じて、重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、架橋剤、レベリング剤等の添加剤が、溶液(1)に含まれていてもよい。特に、得られた位相差板を硬化させる働きを有することから、重合開始剤を含有することが好ましい。また、溶液(1)には、位相差板の光学特性をコントロールする目的等で、液晶モノマー以外の化合物を混合してもよい。
[有機溶媒]
有機溶媒としては、液晶モノマーを溶解し得る有機溶媒であれば特に制限されることなく用いることができる。具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノール等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の非塩素系脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン等の非塩素系芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、該有機溶媒は、水を含んでいてもよい。
特に、上述した液晶モノマーは相溶性に優れているため、クロロホルム等の塩素系炭化水素溶媒を用いなくても、アルコール溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒、非塩素系脂肪族炭化水素溶媒及び非塩素系芳香族炭化水素溶媒に溶解させることができ、溶液(1)を調製することができる。
有機溶媒の含有量は、溶液(1)に対して、通常50〜95質量%、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは70〜90質量%である。有機溶媒の含有量が上記範囲内にあると、塗布ムラが発生しにくく、所望する膜厚を得やすい傾向がある。
[重合開始剤]
溶液(1)は、上述したように、液晶モノマーを重合させるための重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤等が挙げられ、低温で安定的に液晶モノマーを重合できるという点で、光重合開始剤が好ましい。
熱重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル等の過酸化物等が挙げられる。
光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンジルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、ヨードニウム塩、スルホニウム塩等が挙げられる。具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、及びイルガキュア369(以上、全てチバスペシャルティケミカルズ社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170(以上、全てADEKA社製)等が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、液晶モノマーの合計100質量部に対して、通常0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.5質量部〜10質量部である。重合開始剤の含有量が上記範囲内にあると、液晶モノマーの配向性を乱すことなく重合させることができることから、好ましい。
[重合禁止剤]
溶液(1)は、重合禁止剤を含有していてもよい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、アルコキシ基(例えばメトキシ基等)等の置換基を有するハイドロキノン化合物、ブチルカテコールのようなアルコキシ基(例えばメトキシ基等)等の置換基を有するカテコール化合物、ピロガロール化合物、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル捕捉剤、チオフェノール化合物、β−ナフチルアミン化合物、β−ナフトール化合物等が挙げられる。
重合禁止剤を用いることにより、液晶モノマーの重合を容易に制御することができ、得られる位相差板の安定性及び溶液(1)の安定性を向上させることができる。重合禁止剤の含有量は、液晶モノマーの合計100質量部に対して、通常0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.5質量部〜10質量部である。重合禁止剤の含有量が上記範囲内にあると、液晶モノマーの配向性を乱すことなく重合させることができることから、好ましい。
[光増感剤]
溶液(1)は、光増感剤を含有していてもよい。光増感剤としては、キサントン、チオキサントン等のキサントン化合物、アントラセン、アルコキシ基(例えばメトキシ基等)等の置換基を有するアントラセン化合物、フェノチアジン、ルブレン等が挙げられる。
光増感剤を用いることにより、より高感度で液晶モノマーの重合を行うことができる。
光増感剤の含有量は、液晶モノマーの合計100質量部に対して、通常0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.5質量部〜10質量部である。光増感剤の含有量が上記範囲内にあると、液晶モノマーの配向性を乱すことなく重合させることができることから、好ましい。
[レベリング剤]
溶液(1)は、レベリング剤を含有してもよい。レベリング剤としては、放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352,BYK−353,BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング社製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越シリコーン社製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)、フッ素系添加剤(DIC(株)製:F−445、F−470、F−479)等が挙げられる。
レベリング剤を用いることにより、より平滑な位相差板を得ることができる。さらに、位相差板の製造過程において、溶液(1)の流動性を制御したり、位相差板の架橋密度を調整したりすることもできる。レベリング剤の含有量は、液晶モノマーの合計100質量部に対して、通常0.01質量部〜30質量部であり、好ましくは0.01質量部〜10質量部である。レベリング剤の含有量が上記範囲内にあると、液晶モノマーの配向性を乱すことなく重合させることができることから、好ましい。
溶液(1)は、上記各成分を混合、溶解した後、塗布しやすいように、通常、10mPa・s以下、好ましくは0.1〜7mPa・s程度の粘度に調整される。
溶液(1)中の固形分は、通常5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。ここで、固形分とは、溶液(1)から溶剤を除いた成分の合計量をいう。
〔(ii)工程(i)で得られた溶液から塗工膜を得る工程〕
前記工程(i)で得られた溶液(1)を、支持基材や配向膜等の上に塗布した後、有機溶媒を除去することにより、塗工膜が得られる。好ましくは、配向膜上に、溶液(1)を塗布した後、有機溶媒を除去し、塗工膜を得る。
[配向膜]
配向膜は、溶液(1)により溶解しない溶剤耐性を持つこと、有機溶媒の除去や液晶モノマーの配向性を調整するための加熱処理における耐熱性を有すること、ラビングによる摩擦等による剥がれが起きないこと等を満たす必要がある。
配向膜はポリマーを含有し、該ポリマーとしては、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸エステル類等を挙げることができる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上混ぜたり、共重合体にしたりして用いてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミン等による重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合、開環重合等で容易に得ることができる。
かかるポリマーは、通常、溶媒に溶解して、支持基材上に塗布される。溶媒としては制限されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒等が挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
配向膜を形成するために、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学社製)、オプトマー(登録商標、JSR製)等が挙げられる。
このような配向膜を用いれば、液晶モノマーの配向が容易になるため、複屈折の面内ばらつきが小さくなる。そのため、FPDの大型化にも対応可能な大きな位相差板を提供できるという効果を奏する。また、配向膜の材料やラビング条件等によって、配向の制御もより容易になり、水平配向、垂直配向、ハイブリッド配向、傾斜配向等の様々な配向を得ることができ、各種液晶パネルの視野角改善等に利用できる。
配向膜は、例えば、支持基材上に、市販の配向膜材料や配向膜の材料となる化合物の溶液を塗布し、その後、アニールすることにより形成することができる。
配向膜の厚さは、通常10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。配向膜の厚さが上記範囲にあると、溶液(1)を塗布する際に、液晶モノマーを当該配向膜上で所望の方向や角度に配向させることができ、好ましい。
これら配向膜には、通常、ラビングまたは偏光紫外線照射を行なう。これら処理を行った配向膜を用いることにより、液晶モノマーを所望の方向や角度に配向させることができる。
配向膜をラビングする方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられて搬送されている支持基材上の配向膜に接触させる方法が挙げられる。
配向膜材料を支持基材上に塗布して配向膜を調製する方法としては、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター等のコーターを用いて塗布する方法も挙げられる。
上記支持基材は、当該支持基材上に配向膜を形成できるものであればよい。例えば、ガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルム、透光性フィルム等が挙げられる。透光性フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリフェニレンオキシドフィルム等が挙げられる。
本発明の位相差板(1)は、通常、薄膜であるが、例えば、本発明の複合位相差板を他の部材に接合したり、位相差板(1)を運搬、保管したりする際等フィルム強度が必要となる場合でも、支持基材を用いることにより、破れ等を生じることなく容易に取り扱うことができる。
溶液(1)を配向膜に塗布する方法としては、配向膜材料を支持基材に塗布する前記と同様な塗布方法が挙げられる。
溶液(1)の塗布量や溶液(1)中の有機溶媒の量を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように位相差板(1)の膜厚を調製することができる。位相差板(1)における正面方向の位相差値(リタデーション値、R(λ))は、式(7)により決定されることから、所望のR(λ)を得るためには、膜厚dを調整すればよい。
(λ)=d×Δn(λ) (7)
[式中、R(λ)は、波長 λ nmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長 λnmにおける屈折率異方性を表す。]
得られる位相差板(1)の位相差値は、複合位相差板の用途により、30〜300nm程度の範囲から適宜選択すればよい。例えば、携帯電話や携帯情報端末の如き比較的小型の液晶表示装置に複合位相差板を適用する場合、位相差板(1)は、λ/4板であるのが有利である。
例えば、位相差板(1)を広帯域λ/4板又はλ/2板として使用するためには、液晶モノマーに由来する構造単位の含有量を適宜選択し、式(7)に従い、位相差板(1)の膜厚を調整すればよい。位相差板(1)における膜厚は、0.1〜10μmであることが好ましく、光弾性を小さくする点で0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
具体的には、λ/4板の場合には、得られる位相差板(1)のR(550)を113〜163nm、好ましくは、130〜150nmに調整すればよく、λ/2板の場合には得られる位相差板のR(550)を250〜300nm、好ましくは、265〜285nmとなるように、調整すればよい。所望の位相差値を得るために、膜厚も調整される。
溶液(1)の塗布と同時に、または塗布後に、有機溶媒を除去する。有機溶媒の除去方法としては、自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥等の方法が挙げられる。除去温度としては、10〜150℃であることが好ましく、25〜120℃であることがより好ましい。除去時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。除去温度及び除去時間が上記範囲内にあると、比較的耐熱性の低い支持基材及び配向膜を用いることができることから好ましい。
有機溶媒を除去して得られた塗膜は、未重合の液晶モノマーからなる。該塗膜は、通常、液晶モノマーがネマチック相等の液晶性を示す相を与えるため、モノドメイン配向による複屈折性を有する。該塗膜は、通常0〜150℃程度、好ましくは25〜120℃の低温で配向するものが好ましい。有機溶媒を除去した後、さらに加熱を行い、液晶モノマーの配向状態を調整してもよい。
〔(iii)液晶モノマーを重合させて位相差板(1)を得る工程〕
工程(ii)で得られた塗膜には、未重合の液晶モノマーが含まれており、これを重合させることにより、位相差板(1)が得られる。具体的には、得られた塗膜に光照射をするか、または塗膜を加熱するか、あるいは塗膜に光照射及び加熱をして、液晶モノマーを重合させることにより位相差板(1)を得ることができる。
重合は、液晶モノマーに含まれる重合性基が光重合性であれば、可視光、紫外光、レーザー光等の光を照射して硬化させることにより実施される。また、該重合性基が熱重合性であれば、加熱により実施される。成膜性の観点から、光重合の方が好ましく、取り扱い性の観点から、紫外光による重合がより好ましい。
得られた位相差板(1)は、正の一軸性を示すことが好ましい。位相差板(1)が正の一軸性を示すためには、通常、液晶モノマーの分子形状が棒状のものを用いればよい。
液晶モノマーの分子形状が棒状とは、2価のメソゲン基を2個以上有し、メソゲン基とメソゲン基とを連結する基を有する化合物である。
[位相差板(2)]
本発明に用いられる位相差板(2)は、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を含有するものであり、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂と有機溶媒とを含む塗工液(以下、塗工液(2)と略記する。)から有機溶媒を除去して得ることができる。
有機修飾粘土複合体は、有機物と粘土鉱物との複合体であって、具体的には、層状構造を有する粘土鉱物と有機化合物とを複合化したものであり、有機溶媒に分散可能なものである。
層状構造を有する粘土鉱物としては、スメクタイト族や膨潤性雲母等が挙げられ、その陽イオン交換能により有機化合物との複合化が可能となる。特に、スメクタイト族に属する粘土鉱物は、透明性にも優れることから、好ましい。スメクタイト族に属する粘土鉱物としては、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイト等が挙げられる。中でも、化学合成されたものは、不純物が少なく、透明性に優れる点で好ましい。特に、粒径を小さく制御した合成ヘクトライトは、可視光線の散乱が抑制されるために好ましく用いられる。
とりわけ、スメクタイト族に属するマグネシウムとケイ素4原子との原子比(Mg/Si4)が0.01以上2.73未満である有機修飾粘土複合体が好ましい。
粘土鉱物と複合化され得る有機物としては、粘土鉱物の酸素原子やヒドロキシ基と反応しうる化合物、または交換性陽イオンと交換可能なイオン性化合物等が挙げられる。具体的には、1〜4個の炭素数1〜30の炭化水素基が窒素原子に結合した含窒素化合物、4個の炭素数1〜30の炭化水素基がリン原子に結合したホスホニウム塩、3個の炭素数1〜30の炭化水素基が硫黄原子に結合したスルホニウム塩等が挙げられる。上記含窒素化合物としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩等が挙げられる。
炭素数1〜30の炭化水素基としては、炭素数1〜30アルキル基、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数7〜30のアラルキル基等が挙げられる。少なくとも1個が、炭素数4〜20の炭化水素基であることが好ましく、少なくとも1個が、炭素数6〜10の炭化水素基であることがより好ましい。含窒素化合物としては、4級アンモニウム塩が好ましい。
有機修飾粘土複合体は、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。適当な有機修飾粘土複合体の市販品には、コープケミカル(株)から“ルーセンタイト STN”や“ルーセンタイト SPN”の商品名で販売されている合成ヘクトライトと4級アンモニウム塩との複合体等がある。
有機修飾粘土複合体には、その由来によって、塩素が塩素イオン等の形態として含まれている場合があり、塗工液(2)中のかかる塩素含有量が2,000ppm以下となるよう、例えば、有機修飾粘土複合体を水で洗浄することが好ましい。
バインダー樹脂は、有機修飾粘土複合体を分散させ、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチル等の有機溶媒に溶解するものであり、特に、ガラス転移温度が室温以下(約20℃以下)であるものが好ましい。好ましいバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラールやポリビニルホルマール等のポリビニルアセタール樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂、ブチルアクリレート等のアクリル系樹脂、ウレタン樹脂、メタアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
バインダー樹脂の市販品としては、電気化学工業(株)から“デンカブチラール ♯3000-K”の商品名で販売されているポリビニルアルコールのアルデヒド変性樹脂、東亞合成(株)から“アロン S1601”の商品名で販売されているアクリル系樹脂、住化バイエルウレタン(株)から“SBU ラッカー 0866” の商品名で販売されているイソホロンジイソシアネートベースのウレタン樹脂等が挙げられる。
位相差板(2)における有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂の質量比(有機修飾粘土複合体:バインダー樹脂)は、通常1:2〜10:1であり、1:1〜2:1が好ましい。
塗工液(2)中の有機溶媒は、有機修飾粘土複合体を分散し、バインダー樹脂を溶解し得る有機溶媒であれば特に制限はなく、具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノール等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の非塩素系脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン等の非塩素系芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系炭化水素溶媒等が挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
かくして得られた位相差板(2)は、負の一軸性を示す。
[複合位相差板]
本発明の複合位相差板は、位相差板(1)と位相差板(2)が接合していてもよいし、位相差板(1)と位相差板(2)との間にプライマー層が設けられていてもよい。
位相差板(1)と位相差板(2)とが接合している複合位相差板は、例えば、以下に示す方法により製造することができる。
〔(iv)塗工液(2)を調製する工程〕
有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂と有機溶媒とを混合することにより、塗工液(2)を調製する。通常、バインダー樹脂は有機溶媒に溶解され、有機修飾粘土複合体は有機溶媒中に分散されている。塗工液(2)中の有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂の合計の濃度は、塗工液(2)が実用上問題ない範囲でゲル化したり白濁したりしない程度に希釈すればよく、通常、3〜15質量%程度である。最適な濃度は、有機修飾粘土複合体、バインダー樹脂それぞれの種類や両者の組成比により異なるため、組成毎に設定すればよい。また、製膜する際の塗布性を向上させるための粘度調整剤や、疎水性及び/または耐久性をさらに向上させるための架橋剤等の各種添加剤を加えてもよい。
塗工液(2)中の塩素含有量は、2,000ppm以下が好ましい。塗工液(2)中の塩素含有量が2,000ppm以下であると、得られる位相差板(2)の面に、粘着剤層を介して液晶セルガラスを強く接合させることができる傾向があり、好ましい。塗工液(2)中の塩素含有量を2,000ppm以下に調整するためには、上述したように、有機修飾粘土複合体を水で洗浄する方法等が挙げられる。
カールフィッシャー水分計で測定される塗工液(2)の含水率は、0.15〜0.35質量%の範囲であることが好ましい。含水率が0.35質量%以下であると、塗工液(2)が水相と有機相に分離しにくい傾向にあり、含水率が0.15質量%以上であると、位相差板(2)のヘイズ値を抑制する傾向にあることから好ましい。
〔(v)塗工液(2)を位相差板(1)に塗布して、複合位相差板を得る工程〕
塗工液(2)を位相差板(1)上に塗布する方法としては、ダイレクト・グラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法、カンマコート法、バーコート法等のコーティング法が挙げられる。
位相差板(2)の厚み方向の屈折率異方性は、式(8)により定義される厚み方向の位相差値Rthで表わされ、この値は、面内の進相軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定される位相差値R40と面内の位相差値R0 とから算出できる。すなわち、式(8)による厚み方向の位相差値Rthは、面内の位相差値R0 、進相軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定した位相差値R40、フィルムの厚みd、及びフィルムの平均屈折率n0 を用い、以下の式 (9)〜(11)から数値計算によりnx、ny及びnz を求め、これらを式(8)に代入して、算出することができる。
th=[(n+n)/2−n]×d (8)
=(n−n)×d (9)
40=(n−n')×d/cos(φ) (10)
(n+n+n)/3=n (11)
ここで、
φ=sin−1〔sin(40°)/n
'=n×n/〔n ×sin(φ)+n ×cos(φ)〕1/2
位相差板(2)の厚み方向位相差値Rthは、40〜300nm程度の範囲から、その用途、特に液晶セルの特性に合わせて、適宜選択するのが好ましい。その厚み方向位相差値Rthは、50nm以上200nm以下が好ましい。
次に、得られた塗工膜を加熱して有機溶媒を除去して、位相差板(1)と位相差板(2)とが接合された複合位相差板を得ることができる。
加熱温度は、通常0〜150℃であり、好ましくは25〜120℃である。
本発明の複合位相差板は、位相差板(1)及び位相差板(2)を含むものであり、配向膜、支持基材、プライマー層等を含んでいてもよい。例えば、図1(a)、図2(a)、図2(c)及び図2(e)に示すように、位相差板(1)11と位相差板(2)12とが接合されてなる複合位相差板であってもよいし、例えば、図1(b)、図2(b)、図2(d)及び図2(f)に示すように、位相差板(1)と位相差板(2)との間にプライマー層13が設けられていてもよい。
図2(a)に示すように、本発明の複合位相差板は、位相差板(1)と位相差板(2)とが接合されており、位相差板(1)の位相差板(2)が接合された面とは反対側の面に、支持基材14が接合されていてもよい。図2(c)及び(e)に示すように、位相差板(1)と位相差板(2)とが接合されており、位相差板(1)の位相差板(2)が接合された面とは反対側の面に、配向膜15が接合されていてもよい。図2(c)に示すように、配向膜の位相差板(1)が接合された面とは反対側の面に、支持基材14が接合されていてもよい。
図2(b)に示すように、本発明の複合位相差板は、位相差板(1)と位相差板(2)との間にプライマー層13が形成されており、位相差板(1)のプライマー層13が接合された面とは反対側の面に、支持基材14が接合されていてもよい。図2(d)及び(f)に示すように、位相差板(1)と位相差板(2)との間にプライマー層13が形成されており、位相差板(1)のプライマー層13が接合された面とは反対側の面に、配向膜15が接合されていてもよい。図2(d)に示すように、配向膜15の位相差板(1)が接合された面とは反対側の面に、支持基材14が接合されていてもよい。
図2(a)〜図2(f)に示した複合位相差板は、そのまま使用してもよいし、支持基材または支持基材及び配向膜を剥離して転写した後、使用してもよい。
支持基材または支持基材及び配向膜を剥離して転写する方法としては、本発明の複合位相差板を積層したい支持基材に後述する粘着剤層を積層し、次いで、支持基材及び配向膜を同時に剥離、または支持基材のみを剥離し、粘着剤層に接合する方法等が挙げられる。
本発明の複合位相差板は、Nz係数と呼ばれる数値で、その位相差板の屈折率楕円体の形状を議論することができる。なお、Nz係数は、下記式(12)により算出される。
Nz=(n−n)/(n−n) (12)
Nz係数が1.1〜2.0、好ましくは1.2〜1.8を示す複合位相差板は、円偏光モードであり、垂直配向(VA)モードの液晶セルと接合して、中小型の液晶表示装置用の液晶パネルに好適に用いられる。Nz係数が2.0〜5.0、好ましくは2.5〜4.5を示す複合位相差板は、直線偏光モードであり、垂直配向(VA)モードの液晶セルと接合して、大型の液晶表示装置用の液晶パネルに好適に用いられる。
Nz係数は、液晶パネル毎に調整されるため、位相差板(1)の膜厚と位相差板(2)の膜厚を調整するだけで、所望のNz係数を有する複合位相差板を調製することができる。
本発明の複合位相差板は、通常、正の一軸性の位相差板と負の一軸性の位相差板を積層した、著しく薄肉化された複合位相差板である。また、薄肉であることから軽量化された複合位相差板である。
[プライマー層]
プライマー層は、通常、透明樹脂であるプライマーから形成される。コーティングによって形成される位相差板(2)の成膜時の欠陥や塗布ムラを抑制することができることからプライマー層を設けることが好ましい。また、塗工液(2)中の有機溶媒による位相差板(1)への影響を防ぐことができるという点でも、プライマー層を設けることが好ましい。
プライマー層は、プライマー層用樹脂溶液を位相差板(1)上に塗布し、溶媒を除去させることで形成することができる。プライマーとしては、塗工性に優れ、特に層形成後の透明性及び密着性に優れたものが好ましい。
プライマーとしては、溶媒に溶解したものでもよく、また、膜厚を調整するために、その樹脂を溶媒で希釈して用いてもよい。樹脂の溶解性に応じて、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル溶媒;塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム等の塩素化炭化水素溶媒;エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール溶媒等の一般的な有機溶媒を用いることもできるが、有機溶媒を含む溶液を用いてプライマー層を形成すると、位相差板(1)の光学特性に影響を及ぼすことがあるため、水を溶媒とする溶液を用いてプライマー層を形成することが好ましい。
プライマー層用樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等)、セルロース樹脂(例えばセルロースアセテートブチレート等)、(メタ)アクリル樹脂(例えばポリブチルアクリレート等)、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール樹脂及びエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、一液硬化型のものを用いてもよいし、二液硬化型のものを用いてもよい。水溶性のエポキシ樹脂が特に好ましい。水溶性のエポキシ樹脂としては、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂が挙げられる。かかるポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている“スミレーズレジン(登録商標) 650(30)”や“スミレーズレジン(登録商標) 675”(登録商標)等が挙げられる。
プライマーとして水溶性のエポキシ樹脂を用いる場合は、さらに塗布性を向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を併用することが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。適当なポリビニルアルコール系樹脂の市販品としては、(株)クラレから販売されているアニオン性基含有ポリビニルアルコールである“KL-318”(商品名)等が挙げられる。
水溶性のエポキシ樹脂を含む溶液からプライマー層を形成する場合、エポキシ樹脂は、水100質量部に対して、0.2〜1.5質量部程度の範囲とすることが好ましい。また、この溶液にポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は、水100質量部に対して、1〜6質量部程度とすることが好ましい。プライマー層の厚みは、 0.1〜10μm程度の範囲とすることが好ましい。
プライマー層の形成方法は制限されず、ダイレクト・グラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法、カンマコート法、バーコート法等の公知の各種コーティング法を用いることができる。
〔(vi)位相差板(1)上に、プライマー層を形成する工程〕
例えば、位相差板(1)上に、水や有機溶媒に溶解したプライマーの溶液を塗布し、乾燥することによりプライマー層を得ることができる。乾燥温度は、通常0〜150℃程度、好ましくは25〜120℃である。
〔(vii)プライマー層上に、位相差板(2)を形成する工程〕
塗工液(2)を、得られたプライマー層上に塗布し、乾燥させることにより、複合位相差板を得ることができる。
[偏光部材]
本発明の偏光部材は、本発明の複合位相差板及び偏光板を含む。偏光部材は、通常、複合位相差板、粘着剤層及び偏光板が、この順序で積層されたものであり、その具体例として、図3の(a)〜(f)で示す偏光部材が挙げられる。
図3(a)の偏光部材18は、図1(a)の複合位相差板11、12、粘着剤層16及び偏光板17が、この順序で積層された偏光部材である。図3(b)の偏光部材は、図1(b)の複合位相差板、粘着剤層及び偏光板が、この順序で積層された偏光部材である。
図3(c)の偏光部材は、図2(e)の複合位相差板、粘着剤層及び偏光板が、この順序で積層された偏光部材である。図3(d)の偏光部材は、図2(f)の複合位相差板、粘着剤層及び偏光板が、この順序で積層された偏光部材である。図3(e)の偏光部材は、図2(c)の複合位相差板、粘着剤層及び偏光板が、この順序で積層された偏光部材である。図3(f)の偏光部材は、図2(d)の複合位相差板、粘着剤層及び偏光板が、この順序で積層された偏光部材である。
偏光板は、面内の一方向に振動面を有する直線偏光を透過し、面内でそれと直交する方向に振動面を有する直線偏光を吸収するものであればよい。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性色素を吸着させて延伸した偏光子を有するフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素や二色性色素を吸着させた偏光子を有するフィルムなどが挙げられる。また、このような偏光子は単独で偏光板として利用してもよいが、好ましくは、偏光子の少なくとも片面(片面または両面)に保護フィルムが貼合されたものを用いることができる。この保護フィルムとしては、トリアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂や、ノルボルネンのような多環式の環状オレフィンをモノマーとした環状ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、アクリル系ポリマーや、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするもので構成することができる。特に、アクリル系粘着剤のように、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらには耐候性や耐熱性などを有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の剥離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。アクリル系粘着剤においては、メチル基やエチル基、ブチル基等の炭素数20以下のアルキル基を有するアクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどからなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
[光学部材]
本発明の光学部材は、本発明の複合位相差板及びカラーフィルターを含む。
具体的には、図5(a)に示すように、支持基材上にカラーフィルター層20を形成し、その上に、上記したように位相差板(1)及び位相差板(2)を順次、形成して得られる光学部材が挙げられる。また、図5(b)に示すように、支持基材14上にカラーフィルター層20を形成し、その上に、上記したように位相差板(1)、プライマー層13及び位相差板(2)を順次、形成して得られる光学部材も挙げられる。さらに、図5(c)に示すように、支持基材14、カラーフィルター層20、配向膜15、位相差板(1)及び位相差板(2)が、この順で積層されてなる光学部材、図5(d)に示すように、支持基材14、カラーフィルター層20、配向膜15、位相差板(1)、プライマー層13及び位相差板(2)が、この順で積層されてなる光学部材等も挙げられる。
また、図5(e)に示すように、支持基材14、位相差板(1)及び位相差板(2)を含む複合位相差板に、カラーフィルター層20を積層してなる光学部材、図5(f)に示すように、支持基材14、位相差板(1)、プライマー層13、位相差板(2)及びカラーフィルター層20が、この順で積層されてなる光学部材、図5(g)に示すように、支持基材14、配向膜15、位相差板(1)、位相差板(2)及びカラーフィルター層20が、この順で積層されてなる光学部材、図5(h)に示すように、支持基材14、配向膜15、位相差板(1)、プライマー層13、位相差板(2)及びカラーフィルター層20が、この順で積層されてなる光学部材等が挙げられる。
本発明の光学部材を用い、定法により液晶セルを作製することができる。また、作製された液晶セルを用い、定法により液晶表示装置(LCD)も作製することができる。
本発明の光学部材を含む液晶セルは、視野角や色再現性が改善される。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置(以下、LCDと記すことがある)は、本発明の偏光部材及び液晶セルを含み、具体的には、偏光部材を液晶セルの一方の面に配置したLCD、偏光部材を液晶セルの両面に配置したLCDが挙げられる。
偏光部材18と液晶セル19は、図4に示すように、通常、粘着剤層16を介して積層される。
液晶セルの片面に本発明の偏光部材を配置し、液晶セルのもう一方の面には、本発明の偏光部材以外の偏光部材(例えば、偏光板)を前記と同様の粘着剤層を介して設けてもよい。また、液晶セルの片面に本発明の偏光部材を配置し、液晶セルのもう一方の面には、本発明の複合位相差板、本発明以外の複合位相差板、または、通常の位相差板を接合してもよい。上記構成によれば、図示しない電極を用いて、液晶パネルに電圧を印加することにより、液晶分子が駆動し、光シャッター効果を奏する。
液晶セルとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignmen)方式、IPS(In-plane Switching)方式、ECB(Electrically Controlled Bireviringence)方式などが挙げられ、好ましくはVA方式及びECB方式であり、特に好ましくは、VA方式である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表わす部は、特記ない限り質量基準である。以下の例で用いた溶液(1)及び塗工液(2)の組成は、それぞれ次のとおりである。
[溶液(1)]
表2に示す組成となるように各成分を混合し、得られた溶液を80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却して溶液(1)を調製した。
Figure 2011150314
光重合開始剤:イルガキュア819(チバ・ジャパン社製)
レベリング剤:BYK361N(ビックケミージャパン社製)
有機溶媒:クロロホルム
液晶化合物:
Figure 2011150314
[塗工液(2)]
下記各成分を混合し、得られた混合物を攪拌した後、孔径1μmのフィルターで濾過し、塗工液(2)を調製した。
有機修飾粘土複合体:合成ヘクトライトとトリオクチルメチルアンモニウムイオンとの複合体〈コープケミカル(株)製“ルーセンタイト STN”(商品名)〉7.2部
バインダー樹脂:イソホロンジイソシアネートベースのポリウレタン樹脂の固形分濃度30%の樹脂ワニス〈住化バイエルウレタン(株)製“SBU ラッカー0866”(商品名)〉 16.0部
有機溶媒:トルエン 76.8部
その他:水 0.3部
用いた“ルーセンタイト STN”(商品名)中の塩素含有量は、1,111ppmであった。
塗工液(2)中の含水率をカールフィッシャー水分計で測定したところ、0.25%であった。また、塗工液(2)中の有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂との質量比は、6/4であった。
(実施例1)
ガラス基板(支持基材)に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業(株)製)の2質量%水溶液を塗布した後、100℃で5分間加熱乾燥し、ガラス基板上に厚さ89nmのポリビニルアルコール膜を得た。続いて、ポリビニルアルコール膜の表面にラビング処理を施し、配向膜及び支持基材の積層体を得た。得られた積層体のラビング処理を施した面に、表2の組成の溶液(1)をスピンコート法により塗布した。溶液(1)が塗布された積層体を、ホットプレート上で100℃で1分間乾燥させた後、加熱しながら、UV照射装置(ユニキュア(ウシオ電気株式会社製))で2400mJ/cmの紫外線を照射して、位相差板(1)が積層された積層体を作成した。次に、位相差板(1)上に、塗工液(2)をスピンコート法により塗布した。
塗工液(2)が塗布された積層体を80℃で5分間加熱乾燥し、ガラス基板(支持基材)、配向膜、位相差板(1)及び位相差板(2)が、この順で積層された複合位相差板を得た。
<光学特性の測定>
上記で得られた複合位相差板の549nmの波長での位相差値の入射角依存性を、測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)を用いて測定した。支持体を傾斜せずに測定した位相差値(即ち正面位相差値)をR、支持体を40度傾斜させて測定した位相差値をR40として、結果を表3に示した。尚、配向膜及び支持基材(ガラス基板)のみからなる積層体のR及びR40は、それぞれ、どちらも0nmであったことから、該積層体に位相差はなく、測定機で得られた複合位相差板の位相差値R及びR40は、複合位相差板のうち位相差板(1)及び位相差板(2)に由来する位相差によるものであるとみなすことができることを確認した。
また、複合位相差板から位相差板(1)及び位相差板(2)を一部剥離し、位相差板(1)及び位相差板(2)のみからなる複合位相差板の厚みd(μm)を、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス社製)を用いて測定した。複合位相差板の平均屈折率(n)を1.6として、前記式(9)〜式(11)から、n、n及びnを求め、下記式(12):
Nz=(n−n)/(n−n) (12)
より、Nz係数を算出した。以上の結果を表3に示す。
さらに、波長451nm、549nm、及び628nmにおける複合位相差板の位相差値Re(451)、Re(549)及びRe(628)を測定した。その位相差値の値から、[Re(451)/Re(549)](αとする)及び[Re(628)/Re(549)](βとする)を算出した。結果を表4に示す。
(実施例2)
位相差板(2)の厚みを変化させた以外は実施例1と同様にして複合位相差板を得た。得られた複合位相差板の光学特性の結果を表3及び表4に示す。
(実施例3〜11)
実施例1と同様にして、表2に示す組成の溶液(1)を塗布して得られた位相差板(1)上に塗工液(2)を塗布し、位相差板(2)を積層することにより複合位相差板を得た。得られた複合位相差板の光学特性の結果を表3及び表4に示す。
(比較例1)
位相差フィルム(一軸延伸フィルムWRF−S(変性ポリカーボネート系樹脂)、位相差値141nm、厚み50μm、帝人化成(株)製)上に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業(株)製)の2質量%水溶液を塗布した後、加熱乾燥し、位相差フィルム上に、厚さ79nmのポリビニルアルコール膜を得た。続いて、ポリビニルアルコール膜の表面にラビング処理を施した後、該フィルムをガラス基板(支持基材)に粘着剤で貼合した。続いて、ラビング処理を施した面に、塗工液(2)をスピンコート法により塗布し、加熱乾燥することにより、支持基材、粘着剤層、位相差フィルム、配向膜及び位相差板(2)が、この順で積層されてなる複合位相差板を得た。
<光学特性の測定>
上記にて得られた複合位相差板の549nmの波長での位相差値の入射角依存性を、実施例と同様の方法で測定した。尚、支持基材(ガラス基板)のR及びR40は、どちらも0nmであったことから、支持基材に位相差はなく、測定機で得られた複合位相差板の位相差値は、位相差フィルム、配向膜及び位相差板(2)に由来する位相差によるものであるとみなすことができることを確認した。
また、前記複合位相差板の平均屈折率(n)を1.6として、実施例1と同様に、Nz係数を算出した。さらに、実施例1と同様に、複合位相差板のRe(451)、Re(549)及びRe(628)を測定し、その位相差値の値から、α及びβを算出した。結果を表4に示す。
(比較例2)
位相差板(2)の厚みを変化させた以外は比較例1と同様にして複合位相差板を得た。
得られた複合位相差板の光学特性の結果を表3及び表4に示す。
(比較例3)
位相差フィルム(横一軸延伸エスシーナ(ノルボルネン系樹脂))、位相差値140nm、厚み26.7μm、積水化学工業(株)製)を用いて、比較例1と同様にして複合位相差板を得た。得られた複合位相差板の光学特性の結果を表3及び表4に示す。
(比較例4)
位相差板(2)の厚みを変化させた以外は比較例3と同様にして複合位相差板を得た。得られた複合位相差板の光学特性の結果を表3及び表4に示す。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
(実施例12〜18)
実施例1と同様にして、表2に示す組成の溶液(1)を塗布して得られた位相差板(1)上に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業(株)製)の2質量%水溶液を塗布した後、100℃で5分間加熱乾燥することにより、厚さ90nmのプライマー層を形成した。次に、該塗工液(2)をスピンコート法により塗布し、80℃で5分間加熱乾燥することにより、ガラス基板(支持基材)、配向膜、位相差板(1)、プライマー層及び位相差板(2)が、この順で積層された複合位相差板を得た。得られた複合位相差板の光学特性の結果を実施例1と同様の方法で測定した。表5及び表6に示す。
Figure 2011150314
Figure 2011150314
表3〜6によれば、本発明の複合位相差板は、Nz係数及び位相差値の波長分散特性について、比較例の複合位相差板と同等程度の優れた光学特性を示すとともに、厚みは一桁小さく、薄肉化されている。
本発明の複合位相差板は、厚みの薄い複合位相差板を得ることができ、かつ広い波長域において一様の偏光変換を行うことができる。

Claims (20)

  1. 重合性基を有する液晶化合物を重合して得られる位相差板(1)と、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を含有する位相差板(2)とを含み、波長λ(nm)の光における複屈折率Δn(λ)が、式(3)及び式(4)を充足する複合位相差板。
    Δn(451)/Δn(549)≦1.04 (3)
    0.98≦Δn(628)/Δn(549) (4)
  2. 重合性基を有する液晶化合物が、式(A)で表される化合物である請求項1記載の複合位相差板。

    −G−D−Ar−D−G−L (A)

    [式(A)中、Arは、芳香環を有する2価の基を表し、該芳香環に含まれるπ電子の数は、12以上22以下である。
    及びDは、それぞれ独立に、単結合、−CO−O−、−O−CO−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−、−CR−O−CR−、−CR−O−CO−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−CR−、−CR−CO−O−CR−、−NR−CR−、−CR−NR−、−CO−NR−、又は−NR−CO−を表す。
    、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
    及びGは、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−で置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換っていてもよい。
    及びLは、それぞれ独立に、有機基を表し、L及びLからなる群から選ばれる少なくとも1種が、重合性基を有する基を表す。]
  3. が式(B)で表される基であり、かつLが式(C)で表される基である請求項2記載の複合位相差板。

    −F−(B−A−E− (B)
    −F−(B−A−E− (C)

    [式(B)及び(C)中、B、B、E及びEは、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。kが2以上の整数である場合、複数のBは互いに同一であっても異なっていてもよい。lが2以上の整数である場合、複数のBは互いに同一であっても異なっていてもよい。
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
    及びAは、それぞれ独立に、炭素数5〜8の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−で置き換っていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−は、−N(−)−で置き換っていてもよい。kが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。lが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
    k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
    及びFは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
    は、重合性基を表す。
    は、水素原子又は重合性基を表す。]
  4. 式(A)で表される化合物が、式(5)及び式(6)を満たす化合物である請求項3記載の複合位相差板。
    (Nπ−4)/3<k+l+4 (5)
    12≦Nπ≦22 (6)
    [式(5)及び式(6)中、Nπは、Arが有する芳香環に含まれるπ電子の数を表す。k及びlは、式(B)及び(C)におけるものと同じ意味を表す。]
  5. Arが、式(Ar−6)で表される2価の基である請求項2記載の複合位相差板。
    Figure 2011150314
    [式(Ar−6)中、Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−NR、−SRを表す。nが2以上の整数である場合、複数のZは互いに同一であっても異なっていてもよい。
    及びRは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    は、−S−、−O−又は−NR−を表す。
    は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
    は、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜12の芳香族複素環式基を表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
  6. 及びGが、ともにシクロヘキサン−1,4−ジイル基である請求項2記載の複合位相差板。
  7. 及びAが、それぞれ独立に、p−フェニレン基又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基である請求項3記載の複合位相差板。
  8. のみと結合しているB、及びAのみと結合しているBが、それぞれ独立に、−CH−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CH−、−CH−O−又は単結合であり、かつ
    と結合しているB、及びFと結合しているBが、それぞれ独立に、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は単結合である請求項3〜7のいずれかに記載の複合位相差板。
  9. 重合性基が、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜8のいずれかに記載の複合位相差板。
  10. 有機修飾粘土複合体が、4級アンモニウム塩とスメクタイト族に属する粘土鉱物とを含み、該粘土鉱物に含まれるマグネシウムとケイ素4原子との原子比(Mg/Si)が0.01以上2.73未満である請求項1記載の複合位相差板。
  11. 位相差板(2)が、負の一軸性の位相差板である請求項1又は10記載の複合位相差板。
  12. 位相差板(1)と位相差板(2)とが接合してなる請求項1〜11のいずれかに記載の複合位相差板。
  13. さらに、プライマー層を、位相差板(1)と位相差板(2)との間に含む請求項1〜11のいずれかに記載の複合位相差板。
  14. 波長550nmにおける正面位相差値が、113nm以上163nm以下である請求項1〜13のいずれかに記載の複合位相差板。
  15. 偏光板及び請求項1〜14のいずれかに記載の複合位相差板を含む偏光部材。
  16. 液晶セル及び請求項15記載の偏光部材を含む液晶表示装置。
  17. カラーフィルター及び、請求項1〜14のいずれかに記載の複合位相差板を含む光学部材。
  18. 下記(i)〜(v)の工程を有する複合位相差板の製造方法。
    (i)重合性基を有する液晶化合物と有機溶媒とを混合して溶液を得る工程
    (ii)工程(i)で得られた溶液から塗工膜を得る工程
    (iii)工程(ii)で得られた塗工膜に含まれる重合性基を有する液晶化合物を重合させて、位相差板(1)を得る工程
    (iv)有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂と有機溶媒とを混合して塗工液を得る工程
    (v)工程(iv)で得られた塗工液を、得られた位相差板(1)に塗布して、複合位相差板を得る工程
  19. 下記(i)〜(iv)および(vi)〜(vii)の工程を有する複合位相差板の製造方法。
    (i)重合性基を有する液晶化合物と有機溶媒とを混合して溶液を得る工程
    (ii)工程(i)で得られた溶液から塗工膜を得る工程
    (iii)工程(ii)で得られた塗工膜に含まれる重合性基を有する液晶化合物を重合させて、位相差板(1)を得る工程
    (iv)有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂と有機溶媒とを混合して塗工液を得る工程
    (vi)得られた位相差板(1)に、プライマーを塗布して、位相差板(1)上にプライマー層を形成する工程
    (vii)工程(iv)で得られた塗工液を、プライマー層上に塗布して、複合位相差板を得る工程
  20. (i)重合性基を有する液晶化合物と有機溶媒とを混合して溶液を得る工程において、さらに重合開始剤を混合して溶液を得る請求項18又は19記載の複合位相差板の製造方法。
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