JP2011150162A - 偏光板およびその製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性、特に耐湿潤性に優れた偏光板の提供。
【解決手段】(1)ポリエチレンテレフタレートシートを延伸して、分子配向度が100以上であるシートを得る工程、および(2)延伸されたポリエチレンテレフタレートシートを、ニュートラルグレーを構成する二色性色素混合物で染色する工程、を有することを特徴とする偏光板の製造方法、並びにそれによって得られる偏光板。
【選択図】無し
【解決手段】(1)ポリエチレンテレフタレートシートを延伸して、分子配向度が100以上であるシートを得る工程、および(2)延伸されたポリエチレンテレフタレートシートを、ニュートラルグレーを構成する二色性色素混合物で染色する工程、を有することを特徴とする偏光板の製造方法、並びにそれによって得られる偏光板。
【選択図】無し
Description
本発明は、偏光板およびその製法に関する。本発明は、偏光板に用いるイエロー系二色性色素に関する。本明細書において、「偏光板」と呼ぶときには、偏光シートおよび偏光フィルムをも包含するものである。
近年、液晶ディスプイの普及にともない、様々な用途での利用が進められているが、耐久性という観点から、特に湿度や熱、光に対する耐久性への要請が高まっている。従来の液晶ディスプレイではヨウ素系偏光フィルムを使用していることから湿度に対する耐久性が低く、耐湿潤性、耐熱性を改善することで将来的に大きな需要が見込まれることから、耐久性、生産性に優れる二色性色素を用いた偏光フィルムの技術の確立が期待されている状況にある。現在、耐久性に優れた二色性色素を用いた偏光フィルム部品の生産技術の確立に向けた研究開発が国内外で進められている。
従来、偏光板は、透明性、ヨウ素等の親和性や延伸時における高い分子配向性に優れるポリビニルアルコールのフィルムを延伸することによって製造されている。ヨウ素を吸着させたポリビニルアルコールのフィルムを一軸延伸する事により、ヨウ素が延伸方向に分子配向し、偏光性能を持った偏光素子層が得られる。
また、特開2002−48918号公報は、二色性色素を含有するポリビニルアルコールの層を用いて偏光板を製造することを開示している。
従来、偏光板は、透明性、ヨウ素等の親和性や延伸時における高い分子配向性に優れるポリビニルアルコールのフィルムを延伸することによって製造されている。ヨウ素を吸着させたポリビニルアルコールのフィルムを一軸延伸する事により、ヨウ素が延伸方向に分子配向し、偏光性能を持った偏光素子層が得られる。
また、特開2002−48918号公報は、二色性色素を含有するポリビニルアルコールの層を用いて偏光板を製造することを開示している。
しかし、従来、ポリビニルアルコールが水溶性であるので偏光板が耐湿潤性に劣るという欠点、使用できる二色性色素が限定されているという欠点などが存在した。
本発明の目的は、耐久性、特に耐湿潤性に優れた偏光板を提供することにある。
本発明は、
(1)ポリエチレンテレフタレートシートを延伸して、分子配向度が100以上であるシートを得る工程、および
(2)延伸されたポリエチレンテレフタレートシートを、ニュートラルグレーを構成する二色性色素混合物で染色する工程
を有することを特徴とする偏光板の製造方法、並びにそれによって得られる分子配向度が100以上の偏光板を提供する。
本発明はまた、偏光板に用いられるイエロー系二色性色素を提供する。
(1)ポリエチレンテレフタレートシートを延伸して、分子配向度が100以上であるシートを得る工程、および
(2)延伸されたポリエチレンテレフタレートシートを、ニュートラルグレーを構成する二色性色素混合物で染色する工程
を有することを特徴とする偏光板の製造方法、並びにそれによって得られる分子配向度が100以上の偏光板を提供する。
本発明はまた、偏光板に用いられるイエロー系二色性色素を提供する。
本発明によれば、耐湿潤性および耐熱性に優れた偏光板や偏光フィルムを作製できる。従来は、水溶性のポリビニルアルコール(PVA)を使用しているために、偏光フィルムは、高湿度の条件では使用できなかったが、高湿度の環境下でも偏光板の使用が可能となる。
本発明では複数の二色性色素を、ニュートラルグレーを構成するように混色(混合)して用いるため、可視光全体を偏光させることができる。そのため、ディスプレイに使用できるので、実用性の点で優れている。
本発明で云う分子配向とは、PETを構成する線状分子が、ある一定方向に並ぶ現象を指す。即ち、PETシートの異方性に対応する。PETにおける分子配向構造は、シートやフィルムの力学的性質(フィルム強度)、熱収縮、電気特性、さらには光学的性質等、種々の物性に影響を与えることが知られている。この分子配向の度合いを分子配向度と称する。一般に分子配向度の測定は、マイクロ波法、X線回折法、赤外二色法、複屈折法などによって行われる。
本発明における分子配向度の測定は、マイクロ波法によった。使用した機器は、王子計測器製のマイクロ波法分子配向度測定器:MOA‐6015型である。マイクロ波法は、測定部にマイクロ波空洞共振器を利用し、試料のマイクロ波透過強度の角度依存性から分子配向状態を評価する(笹生茂広、化学と工業、vol. 78、pp. 625 (2004)参照)。測定で得られるマイクロ波共振曲線の長軸と短軸の比を分子配向度と称し、MOR(Microwave Orientation Ratio)と略す。試料シートの厚み補正後の分子配向度をMOR‐cと略す。本発明では、厚み補正後の分子配向度(MOR‐c)の値を分子配向度の値とする。
分子配向度測定のより具体的な態様を説明すれば、測定対象フィルムを3cm角に切り取り、マイクロ波法分子配向度測定器にセットし、フィルム厚を入力し、自動測定する。得られたデータで、MOR−cの値が出力され、読み取る。
本発明において、PETシートの分子配向度は100以上、好ましくは130以上、より好ましくは150以上であってよい。分子配向度の上限は特に制限は無いが、通常300、例えば、250程度である。
PETシートの分子配向度が高い方が、通常、二色性色素の配向性も増加するので、結果としてPETシート(又はフィルム)の偏光度も向上することが期待される。
一方、PETシートの分子配向性が極端に高くなると結晶化率が上がり、光透過性が低下することもあり得る。
また、染色前の分子配向度が高すぎる場合、PETシートの結晶化度が上がるために二色性色素が浸透し難くなって、染色性が低下することもあり得る。その様な場合には、染色前のPETシートの分子配向度をある程度抑制し、染色後に更に分子配向度を上げて、結果として最終的に得られる偏光板の分子配向度を100以上、好ましくは130以上、より好ましくは150以上とすることができる。
PETシートの分子配向度が高い方が、通常、二色性色素の配向性も増加するので、結果としてPETシート(又はフィルム)の偏光度も向上することが期待される。
一方、PETシートの分子配向性が極端に高くなると結晶化率が上がり、光透過性が低下することもあり得る。
また、染色前の分子配向度が高すぎる場合、PETシートの結晶化度が上がるために二色性色素が浸透し難くなって、染色性が低下することもあり得る。その様な場合には、染色前のPETシートの分子配向度をある程度抑制し、染色後に更に分子配向度を上げて、結果として最終的に得られる偏光板の分子配向度を100以上、好ましくは130以上、より好ましくは150以上とすることができる。
本発明では、PETシートの分子配向度を延伸工程(1)によって上げることができる。延伸工程は通常の延伸機を用いて、通常の方法によって行うことができる。延伸には一軸延伸と二軸延伸とが知られており、本発明の所望の分子配向度が得られるのであれば、いずれの方法を用いて延伸してもよい。高い分子配向度を得るという観点からは、一軸延伸によるのが好ましい。例えば、無配向PETシートを一軸延伸機で、65℃で一軸延伸すること等である。
延伸工程の操作温度(延伸温度)はPETの融点を越えない範囲から任意に選んでよい。延伸温度は、通常50〜100℃、例えば、55〜80℃の範囲であってよい。
延伸工程の操作時間(延伸時間)は、延伸温度によっても変化し得る。延伸温度が低い場合、所望の分子配向性を得るためには、より長い延伸時間を要し、延伸温度が高い場合には、所望の分子配向性を得るための延伸時間はより短くてよい。従って、適正な延伸時間は延伸温度や経済性等によって異なり得るが、通常1分〜60分、例えば、5分〜30分の範囲であってよい。
延伸工程の操作温度(延伸温度)はPETの融点を越えない範囲から任意に選んでよい。延伸温度は、通常50〜100℃、例えば、55〜80℃の範囲であってよい。
延伸工程の操作時間(延伸時間)は、延伸温度によっても変化し得る。延伸温度が低い場合、所望の分子配向性を得るためには、より長い延伸時間を要し、延伸温度が高い場合には、所望の分子配向性を得るための延伸時間はより短くてよい。従って、適正な延伸時間は延伸温度や経済性等によって異なり得るが、通常1分〜60分、例えば、5分〜30分の範囲であってよい。
本発明では、延伸工程(1)を、(イ)染色工程(2)の前のみ、(ロ)染色工程(2)の後のみ、または(ハ)染色工程(2)の前後両方、のいずれかに行うことができる。
(イ)の方法は延伸操作が1回で済むという経済的メリットに加えて、染色前にPETシートの分子配向度が上がっているために、染色時の染料分子の配列が容易となり、染色効果も増加し、結果として良好な偏光性が得られることから、好ましい方法である。
(ロ)の方法も延伸操作が1回で済むという経済的メリットを伴うが、染色時における色素分子の充分な配列が得られないことから染色性が不十分となり得る。染色後の延伸操作によってPET分子の分子配向度は増加するが、色素分子の配列が向上しない場合も多く、結果として望みの偏光性が得られない場合もある。
(ハ)の方法は延伸操作を2回要するという工程数の増加および経済的デメリットを伴う一方、染色前後のPETの分子配向性を適宜調節することによって色素分子の配列を調節することができるため、良好な染色性を維持しつつ所望の偏光性を得ることができる。
(イ)〜(ハ)のいずれの方法を選択するかは、前述の各要素を勘案して当業者が容易に定めることができるが、(イ)及び(ハ)の方法が好ましい。
(イ)の方法は延伸操作が1回で済むという経済的メリットに加えて、染色前にPETシートの分子配向度が上がっているために、染色時の染料分子の配列が容易となり、染色効果も増加し、結果として良好な偏光性が得られることから、好ましい方法である。
(ロ)の方法も延伸操作が1回で済むという経済的メリットを伴うが、染色時における色素分子の充分な配列が得られないことから染色性が不十分となり得る。染色後の延伸操作によってPET分子の分子配向度は増加するが、色素分子の配列が向上しない場合も多く、結果として望みの偏光性が得られない場合もある。
(ハ)の方法は延伸操作を2回要するという工程数の増加および経済的デメリットを伴う一方、染色前後のPETの分子配向性を適宜調節することによって色素分子の配列を調節することができるため、良好な染色性を維持しつつ所望の偏光性を得ることができる。
(イ)〜(ハ)のいずれの方法を選択するかは、前述の各要素を勘案して当業者が容易に定めることができるが、(イ)及び(ハ)の方法が好ましい。
本発明の方法において、PETシートは無色透明であってよい。PETは熱可塑性であり、非晶質であることが好ましい。
無色透明なPETシートとは、厚さ100マイクロメートルのシートの可視光(波長450nm〜650nm)に於ける光線透過率が、70%以上のものをいう。
無色透明なPETシートとは、厚さ100マイクロメートルのシートの可視光(波長450nm〜650nm)に於ける光線透過率が、70%以上のものをいう。
PETシートは、PETをシートに成形することによって得られる。成形方法としては、種々の成形法が可能であるが、例えば、押し出し成形法を使用し得る。シートの厚さは、一般に、0.1〜5mm、例えば、0.2〜1mmであってよい。
工程(1)において、成形されたシートを延伸する。延伸条件に関して、温度は前記の通り通常50〜100℃、好ましくは55〜80℃の範囲であってよく、圧力は、0.1〜10気圧、例えば、1気圧であってよい。一軸方向に延伸を行うことが好ましい。
延伸倍率は、一般に、2〜20倍、例えば3〜10倍である。
染色工程(2)の前と後に延伸工程(1)を行う場合に、延伸の合計が、2〜20倍であることが好ましく、染色工程(2)の前の延伸倍率が2〜6倍、例えば、3〜5倍であり、染色工程(2)の後の延伸倍率が通常1.3〜5倍、例えば、1.4〜3倍であってよい。この染色工程(2)の前と後に延伸工程(1)を行う場合には、染色前の延伸工程によってPETシートの分子配向度の上昇に伴ってPETシートの結晶化度(それに伴ってTg)も上昇しているのが通常であることから、染色工程(2)の後の延伸(「再延伸」と称する。)温度は100℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは160℃〜200℃程度の温度であってよい。染色工程(2)の前と後の延伸は、同一方向の一軸延伸であることが好ましい。
延伸倍率は、一般に、2〜20倍、例えば3〜10倍である。
染色工程(2)の前と後に延伸工程(1)を行う場合に、延伸の合計が、2〜20倍であることが好ましく、染色工程(2)の前の延伸倍率が2〜6倍、例えば、3〜5倍であり、染色工程(2)の後の延伸倍率が通常1.3〜5倍、例えば、1.4〜3倍であってよい。この染色工程(2)の前と後に延伸工程(1)を行う場合には、染色前の延伸工程によってPETシートの分子配向度の上昇に伴ってPETシートの結晶化度(それに伴ってTg)も上昇しているのが通常であることから、染色工程(2)の後の延伸(「再延伸」と称する。)温度は100℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは160℃〜200℃程度の温度であってよい。染色工程(2)の前と後の延伸は、同一方向の一軸延伸であることが好ましい。
工程(2)において、延伸されたシートを二色性色素の混合物からなるニュートラルグレー混色物で染色する。すなわち、PETシートに二色性色素を含浸させる。染色は、二色性色素の分散液にPETを浸漬することによって行うことができる。染色において、圧力は1〜100気圧、例えば、10〜80気圧、温度は70〜150℃、例えば、100〜140℃であってよい。二色性色素の混合物からなるニュートラルグレー混色物の分散液の濃度(分散液に対しての色素の重量割合)は、一般に、0.1〜30重量%、例えば、1〜20重量%であってよい。二色性色素の混合物からなるニュートラルグレー混色物の分散液の濃度(on weight of fiber)(色素のシートに対する重量%)は、一般に、0.1〜30重量%、例えば、2〜10重量%であってよい。分散液を振動させながら、染色を行うことが好ましい。
分散液において、媒体(溶媒)は、色素を分散させる水または有機溶媒であれば、限定されない。媒体は、色素を溶解してもよい。媒体は、シートを溶解するなどのシートの変化を生じさせるものではない。媒体は、シートを溶解しない。媒体の例としては、水、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド類等が挙げられる。
色素と媒体の混合物は、一般に、色素の分散液である。色素の分散液において、色素の分散を促進するように、分散剤が存在してもよい。分散剤は、一般に、界面活性剤、例えば、ノニオン性またはイオン性(カチオン性またはアニオン性)の界面活性剤であってよい。
色素と媒体の混合物は、一般に、色素の分散液である。色素の分散液において、色素の分散を促進するように、分散剤が存在してもよい。分散剤は、一般に、界面活性剤、例えば、ノニオン性またはイオン性(カチオン性またはアニオン性)の界面活性剤であってよい。
PETシートは、耐候剤、耐光剤、帯電防止剤、潤滑剤、遮光剤、抗酸化剤、蛍光増白剤、マット化剤、熱安定剤などを含有してもよい。
本発明の染色工程(2)は、二色性色素の混合物からなるニュートラルグレー混色物の分散液に、PETシートを浸漬することによって行うことができる。染色工程(2)を、回転式高圧染色機もしくはジッガー染色機を用いて行うことが好ましい。
本発明で用いる二色性色素は、それらを混合してニュートラルグレーとなるものなら、どのようなものであっても良い。カルボキシル基、スルホン酸基等の親水性基を含まない二色性色素が好ましい。例えば、アゾ系色素であってよい。アゾ基の数は2(すなわち、ジアゾ)または3(すなわち、トリアゾ)であってよい。アゾ基とアゾ基の間にアリール基(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)またはスチルベン基が存在していてよい。1つの末端には、ベンゾチアゾール基またはチエノチアゾール基が存在していてよい。他の末端には、炭素数1〜6のジアルキルアミノフェニル基、特にジエチルアミノフェニル基、アニソール基、ヒドロキシフェニル基またはフェニル基が存在していてよい。本発明において、基(例えば、アニソール基およびベンゼン環)は、置換されていてもあるいはされていなくてもよい。
本発明の二色性色素混合物は、それらを混色することによってニュートラルグレーを構成する様に混合する。通常、ニュートラルグレーは、マゼンタ系若しくはレッド系二色性色素、シアン系若しくはブルー系二色性色素、及びイエロー系二色性色素の3系統色を、混合物のマルセル値におけるx値及びy値が共に0.31付近となるように減法混色することにより得ることができる。
本発明で用いられる好ましい二色性色素の内、吸収極大波長(λmax)が500nm〜600nm付近にあるマゼンタ系若しくはレッド系二色性色素としては、例えば、片末端にチエノチアゾール基を有するビスアゾ型のR−02が例示される。
より具体的に示せば、R−1、R−2およびR−3が例示される。
吸収極大波長(λmax)が600nm〜650nm付近にあるシアン系若しくはブルー系二色性色素としては、例えば、片末端若しくはジアゾ基間にチエノチアゾール基若しくはベンゾチアゾール基を有するビスアゾ若しくはトリアゾ型の二色性色素が挙げられる。それらを例示すれば、B−4、B−5、およびB−07が挙げられる。
更に、B−07の好ましい具体例としては、B−7が挙げられる。
吸収極大波長(λmax)が450nm〜4000nm付近にあるイエロー系二色性色素としては、例えば、本発明らが見出したビスアゾスチルベン構造を有するY−08が挙げられる。
即ち、本発明はまた、式Y−08のイエロー色素を提供する。
Y−08の更に好ましい例としては、両末端ヒドロキシ型のY−8が挙げられる。
本発明におけるニュートラルグレーを構成する好ましい二色性色素の組み合わせの具体例を挙げれば、例えば、
式R-02のマゼンタ色素
式R-02のマゼンタ色素
ニュートラルグレーを構成する更に好ましい組み合わせは、例えば、
式R−2のマゼンタ色素
式R−2のマゼンタ色素
本発明で用いる二色性色素の合成は、通常の方法で実施することができるが、例えば、公開特許公報昭60−228568号に記載の方法等を用いることができる。
イエロー系二色性色素の内、例えば本発明者らが見出した前記Y−8のイエロー系色素は、次の反応式に従って合成することができる。
イエロー系二色性色素の内、例えば本発明者らが見出した前記Y−8のイエロー系色素は、次の反応式に従って合成することができる。
即ち、4,4’−ジアミノスチルベン亜硝酸ナトリウムを用いてジアゾ化し、フェノールのNa塩とジアゾカップリングを行った後、酸で中和することによって、両末端ヒドロキシ型のY−8を得ることができる。
また、このY−8のNa塩をジアルキル硫酸またはアルキルクロライドと反応させることによって、両末端アルコキシ型のY−08を得ることができる。
本発明で得られる偏光板は、分子配向度が100以上、好ましくは130以上、より好ましくは150以上であってよい。分子配向度の上限は特に制限は無いが、通常300、例えば、250程度である。本発明で得られる偏光板は、ニュートラルグレー系色素を使用するため可視光全体を偏光させることができるため、例えばディスプレイ等に用いることができる。また、高い偏光度、例えば、90%以上、更には99%以上の偏光度を示すことができる。本発明で得られる偏光板は、耐久性(耐湿潤性及び耐熱性)の点でも優れた特性を示す。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例では、以下のような実験方法を用いた。
試料シートの準備
使用したPETシートは、市販品で、厚み500μm、比重1.27のPETシートである。
使用したPETシートは、市販品で、厚み500μm、比重1.27のPETシートである。
延伸方法
PETシートを、延伸機(柴山科学機械製作所製のSS−70型機)を用いて、所定温度で所定時間、延伸を行った。延伸は一軸延伸を行った。
PETシートを、延伸機(柴山科学機械製作所製のSS−70型機)を用いて、所定温度で所定時間、延伸を行った。延伸は一軸延伸を行った。
染色方法
シートを高温高圧染色機(辻井染機工業(株) 製HCC-BS-1)を用いて、130℃において2時間で染色した。染色液は、ニュートラルグレー色素混合物を10%o.w.f.の濃度で水中に分散し、分散剤として、CIBA社製Irgasol NA を1%濃度になるように染色液に加えたものを用いた。
シートを高温高圧染色機(辻井染機工業(株) 製HCC-BS-1)を用いて、130℃において2時間で染色した。染色液は、ニュートラルグレー色素混合物を10%o.w.f.の濃度で水中に分散し、分散剤として、CIBA社製Irgasol NA を1%濃度になるように染色液に加えたものを用いた。
二色性測定
染色後、染色シートと同じ処理をして、二色性色素の入っていないフィルムをリファレンスとして、可視部最大吸収波長とその吸光度を測定した。
二色性測定は、コニカミノルタ製スペクトロフォトメーターCM−3600dを用いて測定した。
偏光子を振動方向が垂直になるようサンプル側に挿入し、ベースライン測定した。
ついで、サンプル延伸シートを検出器側に600nmの波長で入射偏光の振動方向と
延伸軸が垂直になるように挿入し、800nm 〜400nmを測定し、次に入射偏光の振動方向と延伸軸が垂直になるように挿入し、それぞれの吸光度を測定し、二色性比を算出した。
次にもう1枚のサンプルシートをサンプル側に振動方向と延伸軸が平行になるように挿入し、800nm 〜400nmを測定し、次に2枚目のサンプルシートを振動方向と延伸軸が平行になるように挿入し、透過率を同様に測定した。下記の式により、偏光度を算出した。
染色後、染色シートと同じ処理をして、二色性色素の入っていないフィルムをリファレンスとして、可視部最大吸収波長とその吸光度を測定した。
二色性測定は、コニカミノルタ製スペクトロフォトメーターCM−3600dを用いて測定した。
偏光子を振動方向が垂直になるようサンプル側に挿入し、ベースライン測定した。
ついで、サンプル延伸シートを検出器側に600nmの波長で入射偏光の振動方向と
延伸軸が垂直になるように挿入し、800nm 〜400nmを測定し、次に入射偏光の振動方向と延伸軸が垂直になるように挿入し、それぞれの吸光度を測定し、二色性比を算出した。
次にもう1枚のサンプルシートをサンプル側に振動方向と延伸軸が平行になるように挿入し、800nm 〜400nmを測定し、次に2枚目のサンプルシートを振動方向と延伸軸が平行になるように挿入し、透過率を同様に測定した。下記の式により、偏光度を算出した。
偏光度の計算式
A=-log(T)
A:吸光度
T:透過率
T=10(-A)
p(%):偏光度
p=[(Ty-Tz)/(Ty+Tz)]1/2×100
Ty:入射偏光の振動方向と延伸軸が平行な時の透過率
Tz:入射偏光の振動方向と延伸軸が垂直な時の透過率
A=-log(T)
A:吸光度
T:透過率
T=10(-A)
p(%):偏光度
p=[(Ty-Tz)/(Ty+Tz)]1/2×100
Ty:入射偏光の振動方向と延伸軸が平行な時の透過率
Tz:入射偏光の振動方向と延伸軸が垂直な時の透過率
実施例1
市販の非晶質PETシートを用い、65℃、5分間、6倍一軸延伸した。分子配向度が124のPETシートを得た。
このPETシートを用いて、分子配向度に及ぼす再延伸効果を、延伸温度及び時間の因子に関して検討した。得られた結果を表1に示す。
市販の非晶質PETシートを用い、65℃、5分間、6倍一軸延伸した。分子配向度が124のPETシートを得た。
このPETシートを用いて、分子配向度に及ぼす再延伸効果を、延伸温度及び時間の因子に関して検討した。得られた結果を表1に示す。
実施例2
ブルー二色性色素としてB−7、マゼンタ二色性色素としてR−2、およびイエロー二色性色素として実施例4で得られたY−8を選びクロロホルム溶液として、ニュートラルグレー系への混色比の確認を行った。得られた結果を表2に示す。
ブルー二色性色素としてB−7、マゼンタ二色性色素としてR−2、およびイエロー二色性色素として実施例4で得られたY−8を選びクロロホルム溶液として、ニュートラルグレー系への混色比の確認を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例3
実施例1で得た分子配向度が124のPETシートを用い、実施例2の結果を参考に、二色性色素混合物の水性分散液によるニュートラルグレー系色素での染色を行った。染色は高温高圧染色機(辻井染機工業(株) 製HCC-BS-1)を用いて、120℃において2時間で染色した。染色後、24時間デシケーター内で乾燥して、偏光板(偏光シート)を得た。得られた偏光板の分子配向度は染色前と同程度であった。得られた偏光板の光学特性を測定して、表3の結果を得た。偏光度は、入射光を市販の偏光フィルムで偏光し、そのときの透過率を100%として、偏光に対して平行および垂直にサンプルフィルムをセットしたときの平行方向の全光透過率(Y//)および垂直方向の全光透過率(Y⊥)を測定し、その値をもとに以下の式より算出した。
偏光度(%)=[(Y//−Y⊥)/(Y//+Y⊥)]1/2*100
実施例1で得た分子配向度が124のPETシートを用い、実施例2の結果を参考に、二色性色素混合物の水性分散液によるニュートラルグレー系色素での染色を行った。染色は高温高圧染色機(辻井染機工業(株) 製HCC-BS-1)を用いて、120℃において2時間で染色した。染色後、24時間デシケーター内で乾燥して、偏光板(偏光シート)を得た。得られた偏光板の分子配向度は染色前と同程度であった。得られた偏光板の光学特性を測定して、表3の結果を得た。偏光度は、入射光を市販の偏光フィルムで偏光し、そのときの透過率を100%として、偏光に対して平行および垂直にサンプルフィルムをセットしたときの平行方向の全光透過率(Y//)および垂直方向の全光透過率(Y⊥)を測定し、その値をもとに以下の式より算出した。
偏光度(%)=[(Y//−Y⊥)/(Y//+Y⊥)]1/2*100
表3より、No. Gのニュートラルグレー偏光シートで、99%という高い偏光度が得られた。
実施例4(イエロー色素Y−8の合成)
100ml四つ口フラスコに4,4−ジアミノスチルベン0.45g (0.0016mol) と濃塩酸1.40g、水1.48gを0−5℃で10分間攪拌し、亜硝酸ナトリウム0.23g (0.0034mol) を30%水溶液にして一度に加え、1時間攪拌してテトラゾ液とした。水酸化ナトリウム0.03gと炭酸ナトリウム0.23gを水2.1gに溶解した溶液にフェノール0.33g (0.035mol)を冷却しながら溶かし、そのフェノール溶液にテトラゾ液を10分かけて滴下、さらに水酸化ナトリウム0.06gを40%水溶液にして1時間かけて滴下後、室温で一晩攪拌した。
濃塩酸0.38gを加え70℃で1時間攪拌した後室温まで冷却してろ過した。ろ過物を水洗して得られた固体を乾燥後、メタノール50mlに溶解して再度ろ過を行い、ろ液を濃縮して90℃で真空乾燥を行なうことにより、濃緑色の固体を0.58g(粗収率86.9%)得た。
この固体を、溶離液にアセトン/トルエン(20:80)混合溶媒を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して、黄色結晶120mgを得た。
この結晶のIR吸収スペクトル分析の結果は以下の通りであった。
IR(KBr) /cm-1; 3272,1591,1377,1248,968,849。
この結果より、両末端水酸基型のイエロー色素Y−8の生成が確認された。
100ml四つ口フラスコに4,4−ジアミノスチルベン0.45g (0.0016mol) と濃塩酸1.40g、水1.48gを0−5℃で10分間攪拌し、亜硝酸ナトリウム0.23g (0.0034mol) を30%水溶液にして一度に加え、1時間攪拌してテトラゾ液とした。水酸化ナトリウム0.03gと炭酸ナトリウム0.23gを水2.1gに溶解した溶液にフェノール0.33g (0.035mol)を冷却しながら溶かし、そのフェノール溶液にテトラゾ液を10分かけて滴下、さらに水酸化ナトリウム0.06gを40%水溶液にして1時間かけて滴下後、室温で一晩攪拌した。
濃塩酸0.38gを加え70℃で1時間攪拌した後室温まで冷却してろ過した。ろ過物を水洗して得られた固体を乾燥後、メタノール50mlに溶解して再度ろ過を行い、ろ液を濃縮して90℃で真空乾燥を行なうことにより、濃緑色の固体を0.58g(粗収率86.9%)得た。
この固体を、溶離液にアセトン/トルエン(20:80)混合溶媒を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して、黄色結晶120mgを得た。
この結晶のIR吸収スペクトル分析の結果は以下の通りであった。
IR(KBr) /cm-1; 3272,1591,1377,1248,968,849。
この結果より、両末端水酸基型のイエロー色素Y−8の生成が確認された。
本発明によれば、複数の二色性色素の混合物であるニュートラルグレー系色素を使用して、耐久性(耐湿潤性及び耐熱性)のある偏光板(または偏光シート、または偏光フィルム)が得られる。本偏光板は、可視光全体を偏光させることができることから、種々の用途、特に液晶ディスプレイに有用である。
Claims (9)
- (1)ポリエチレンテレフタレートシートを延伸して、分子配向度が100以上であるシートを得る工程、および
(2)前記ポリエチレンテレフタレートシートを、ニュートラルグレーを構成する二色性色素混合物で染色する工程
を有することを特徴とする偏光板の製造方法。 - 延伸が一軸延伸である請求項1に記載の製造方法。
- 延伸工程(1)を、染色工程(1)の前のみ、染色工程(2)の後のみ、または染色工程(2)の前後に行う請求項1または2に記載の製造方法。
- 染色工程(2)を、二色性色素の分散液にポリエチレンテレフタレートシートを漬けることによって行う請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 染色工程(2)を、回転式高圧染色機を用いて行う請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 二色性色素混合物はアゾ系色素を含んでなる請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかの製法によって製造された分子配向度が100以上の偏光板。
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2010
- 2010-01-22 JP JP2010011799A patent/JP2011150162A/ja not_active Withdrawn
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