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JP2011142866A - 輪郭による有精卵の雌雄識別法 - Google Patents

輪郭による有精卵の雌雄識別法 Download PDF

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JP2011142866A JP2010006622A JP2010006622A JP2011142866A JP 2011142866 A JP2011142866 A JP 2011142866A JP 2010006622 A JP2010006622 A JP 2010006622A JP 2010006622 A JP2010006622 A JP 2010006622A JP 2011142866 A JP2011142866 A JP 2011142866A
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Abstract

【課題】
卵の雌雄識別は、古来より頭部の膨らみを基準にする手法が提案されているが、この手法は、親鳥の加齢が進むと卵の大きさが増大する。併せて親鳥の成長の度合いが異なることで、膨らみの基準が特定出来なくなる。その結果、現在の雌雄鑑定法である肛門鑑定や羽毛鑑定のような95%から98%の鑑定率を得ることが出来ない。
【解決手段】
卵の形から得られる弛張振動運動の位相とリミットサイクルを45°の間隔で配置した3台のカメラで撮影した画像から求め、その要素を組み合わせて、鑑定率の高い雌雄識別理論を確立した。
【選択図】図6

Description

種鶏業に於ける有精卵雌雄鑑定技術の分野。
有精卵の雌雄識別は、古来より頭部の膨らみや細長さなどを基準にする手法が提案されているが、この手法による具体的な実用化は行われていない。
実用化が行われていない背景には親鳥の成長に伴い卵の形が大きくなり、その短径の位置が僅かにではあるが尾部の方向に移行し、更に親鳥の成長変化の度合いが個々で異なることと相まって共通の識別基準を作ることが困難なことが挙げられる。
図1は頭部の膨らみによる雌雄識別例である。対象卵は親鳥の個体や週令(雛の孵化後の日数を7で除した数字)が異なるサンプルである。
図1(a)の棒グラフは図1(b)に示すように卵の頭部から卵の長径の25%の位置に線分を引き、その線分の長さと卵の短径の比をとって%表示したものである。
数値が大きいほど頭部の膨らみが強い。図1の棒グラフは、古来から伝えられている雌卵の膨らみが強いという特性は確かに見られるが、現在実施されている孵化後の雌雄鑑定法である肛門鑑定や羽毛鑑定と同じ95%から98%の鑑定率を得ることが出来ない。
公開特許公報52−16380 公開特許公報64−55131 特願2002−088135
カオスの中の秩序 P.ベルジェ Y.ポモウ 他著 産業図書
本発明が解決しようとする課題は雌雄識別特性が親鳥の成長の影響を受けない新しい雌雄鑑別法の確立である。
本発明は、卵の外郭に於ける歪みが振り子の強制振動に於ける弛張振動と同じ特性を持っており、しかもファン・デル・ポルの方程式で求められるリミットサイクルも卵の形から抽出出来ることに着目して、雌雄を鑑定する手法を提示するものである。
卵を孵化することなく、卵の状態で雌雄を鑑別出来る。その結果、これまで孵化後に焼却または廃棄されていた雄雛は卵の段階で食用やワクチン用の種卵に転用出来るようになる。更にこれまでの孵化設備の50%は雌雛の増産に使うことが出来、蛋白源の確保に有効になる。
卵の形に潜在する弛張振動に於ける位相情報とリミットサイクルを組み合わせた雌雄識別の1実施例について述べる。
リミットサイクルとはある点の極限集合に含まれる周期軌道のことをいう。数学者ファン・デル・ポル(Van der Pol)は振り子の強制振動についてのリミットサイクルを導く方程式を提案した。
その結果、式はシンプルな周期関数で表わせるようになった。このリミットサイクルはゆっくりした変動と急激な変動の合成すなわち数式1のようなフーリエ級数で表すことが出来る。
代表的なリミットサイクルを図2に示す。卵の外郭の立体的な構造を分析した結果、このリミットサイクルが卵にも存在することを発見した。
卵の画像から輪郭を抽出し、卵の頭部(鈍端部)の任意の範囲でバランスをとって後、図3のように鈍端、鋭端、左端、右端と卵の4頂点を求める。
卵の鈍端から卵の鋭端を結んだ線を長径とし、卵の左端と右端を結んだ線を短径とする。
長径を境にして、短径より頭部の左の面積S_LHおよび右の面積S_RH、短径より尾部の左の面積S_LTと右の面積S_RTを計算する。
次に頭部と尾部それぞれについて、右の面積から左の面積を差し引いた値を頭部はS_HD尾部を S_TDとする。これらの値は短径を境にした頭部の面積歪みと尾部の面積歪みである。
卵の鈍端を左にして一定の角度毎に回転させて撮影する。具体的には図4に示すようにπ/8 (22.5°)毎に16個の目盛り線を施し、卵の鈍端の頂点を手前にして、矢印方向に回転させ、角度毎に卵の画像を撮影した。図4の(b)はカメラからみた卵の回転方向を示す。撮影画像毎に輪郭を抽出し、図3に示すような卵の4個の頂点、卵の長径、卵の短径、卵の頂点および短径と長径で分割した輪郭面積を計算する。
図5の(a)は尾部の面積歪みについて、16面すなわち360°全周でプロットした値を示す。図5(a)の棒グラフの頂点をグラフにプロットすると図5の(b)のような曲線になる。
この曲線は、0からπまでは数式2に示すようなフーリエ級数で表わされる。πから2πまではπまでの曲線を正負逆にしている。
また、頭部の面積歪みと尾部の面積歪みの差を求めると、図6(a)のような特性が現れる。これは図5(b)の曲線を正負逆にした図6(b)のような曲線とほぼ同じである。数式2におけるωtは角度を時系列に直したものであり、fを周波数、周期をTとしたとき、ωは数式3で表され、角周波数と呼ばれている。
数式2は半サイクルと1サイクルの周波成分を持つフーリエ級数である。このような特性を持つ運動は弛張振動と呼ばれている。
今、図6の(b)をπの位置で折り返すと、図2と同じ形態のリミットサイクルになることが判明する。
卵は基本的には楕円形である。楕円の中心から等間隔の角度で放射状に線を引き、この線と楕円の輪郭との交点までの距離の変動分を角度でプロットすると余弦曲線になる。
卵も同じような操作で、余弦曲線に近い曲線を得ることが出来る。この曲線を位相曲線と定義する。図7(b)の曲線16は卵から求めることが出来る位相曲線である。
角度を90°離した2個の面、すなわち0°と90°の面から卵を撮影し、各々の位相曲線を求める。0°の位相曲線と90°の位相曲線との差は位相の差を表している。
面積ひずみによるリミットサイクルと90°間隔の位相を使った雌雄識別手法を説明する。
リミットサイクル(面積ひずみ)について、歪みが卵の右側に強い場合をRight(右方向)、左側に強い場合をLeft(左方向)として2値化する。
位相曲線の数値化は次のように行った。まず位相曲線を輪郭の左右で平均する。この平均曲線を0°と90°の面でそれぞれ求め、更に0°と90°の差を求める。図8において曲線17は0°の位相曲線、曲線18は90°の位相曲線、曲線19は0°と90°と位相曲線の差の拡大値を示す。位相差曲線19を頭部頂点から長径の30%の位置まで積算した値を求める。位相差曲線の積算値が正の値をとるときLead(位相進み)、負の値をとる場合をLag(位相遅れ)として2値化し、これを位相差PhaseDと定義する。
一般には、物体の立体的な輪郭の認識には、複数のカメラを使って、物体に対し、カメラを回転させたり、物体を回転させる方法が行われる。
カメラの数は通常2個ないし3個であり、各カメラは一定の角度で配置される。卵の歪みは180°角度が変われば歪みの方向が逆になるので、卵を360°全周回転させる必要は無い。本例では45°間隔で配置した図9に示すような3台のカメラによる計測系を想定し、45°間隔で右に回転して3面の輪郭を抽出した。
この3面の輪郭から抽出したリミットサイクルおよび位相曲線を使って2値化パラメータを生成し、孵化後の羽毛鑑定結果と照合した。
卵群は図1で示したサンプルに適用した。またリミットサイクルは図6の特性を持つリミットサイクルを適用した。
照合した結果を表1(a)に示す。識別例の対象は図1にも適用した卵群である。この卵群は2008年と2009年にわたって計測して孵化した卵であり親鳥の固体は全て異なる。
表1(a)はこの卵群を雌雄に分けて卵の番号、孵化後の羽毛鑑定結果、位相差および2値化リミットサイクルで一覧にした表である。表中の記号Egg_Noは卵の番号、JBFは羽毛鑑定結果である。PhaseDは位相差を表す。位相差は0°と90°の頭部の面積の差から求めた。リミットサイクルは卵の短径を境にした頭部の面積歪みと尾部面積歪の差を2値化しており、0°、45°および90°の面から求めたリミットサイクルをそれぞれLMC0、LMC45、LMC90とした。
表1(b)は位相PhaseDが進み(Lead)と位相が遅れ(Lag)とで分けて0°の面で見たリミットサイクルLMC0と雌雄の関係を表している。
表1(b)では位相が進み(Lead)の場合、雌卵はリミットサイクルLMC0が左(Left)である。これに対し雄卵はLMC0が右(Right )と逆になっている。
一方、位相が遅れ(Lag)の場合は。雌卵は雌卵15を除いてLMC0は右(Right )であり、雄卵は左(Left)となる。雌雄、位相差、リミットサイクルの間について注意深く観察すると見事な可逆性を持っていることが判明する。これは雌雄の識別の基本的な論理を示していると考えられる。
表1(b)において誤判定となった雌卵15の特性を理解するために2値化リミットサイクルLMC0の元になる数値グラフを図10に示す。図10(a)は位相差PhaseDがLeadの場合、図10(b)は位相差PhaseDがLagの場合を示す。
位相差PhaseDがLagである(b)の場合、雌卵15は雄卵に比べて数値に大きな差があり、閾値をTh3にすれば数値上は雌卵として判定できる。しかし、この閾値を採用すれば、位相差PhaseDがLeadにおいて、雌卵2個が雄と判定されてしまう。表1(b)に於いて雌卵15はPhaseDがLagであり、LMC0はLeftになっていることに着目する。そこでPhaseDがLagでLMC0がLeftを集め、45°と90°の面から見たリミットサイクルLMC45およびLMC90との関係を調べた。その結果、表1(c)に示すように雌卵15はLMC45とLMC90で区別出来るようになる。しかもLMC45とLMC90の方向は可逆である。以上のように、卵の輪郭に潜在するリミットサイクルには雌雄との間に極めて強い規則性が存在していることは明らかである。
しかも雌雄を100%識別出来ている。この結果、親鳥や週令、更には天候など飼育環境に関係なく雌雄が識別出来ることが判明した。
識別例に用いた卵群は、卵の全周計測によったものではなく、卵を0°45°90°の間隔で右側方向に回転させて計測した。
位相差は0°の面の輪郭と90°の面の輪郭で生成出来る。更に45°の面の輪郭を使えば、0°と90°の面での特性を補うことが出来る。
これは、45°の面を撮影するカメラを中心にして左右45°の位置に2台のカメラを配置すれば、卵やカメラを回転させることなく雌雄識別が行えることを示唆している。

種卵である雄卵の食用やワクチンおよび薬品への転用が可能となる。
卵の形成過程を輪郭で分析することで、孵化した後でしか出来なかった鶏の品種改良の手段などに道を広げることが出来る。
更には卵以外の生物の世界にも非線形物理学が適用出来る可能性があり、これはカオス理論の提唱にマッチしている。
従来の雌雄鑑定法を用いた特性グラフと計算要素 弛張振動に於けるリミットサイクル。 卵の輪郭に於ける基本要素 卵の360°輪郭計測方法とカメラから見た卵の回転方向。 卵の短径より尾部の面積歪みから求めたリミットサイクル。 卵の短径より頭部の面積歪みと尾部の面積歪みの差から求めたリミットサイクル。 卵の位相要素の求め方を表す図。 位相差を表す図 静止型3面計測機構例 位相の進みと遅れに分けたときの0°のカメラから見たリミットサイクルの数値グラフ
1 卵の輪郭
2 卵の鈍端
3 卵の輪郭の鋭端
4 卵の輪郭の左端
5 卵の輪郭の右端
6 卵の長径
7 卵の短径。
8 鈍端から約20%の位置に引いた卵の短径に平行な線
9 輪郭の中心
10 卵
11 カメラ
12 222.5°毎の目盛り線。
13 卵を撮影するときの回転方向。
14 卵の中心から一定の角度にある卵の輪郭と交わる点と卵の中心からの距離を表す線。
15 楕円、または円の中心からの距離を角度に沿って表した曲線。
16 卵の中心から一定の角度にある卵の輪郭と交わる点と卵の中心からの距離を表す線を角度に沿って表した曲線。
17 0°の位相曲線
18 90°の位相曲線
19 0°と90°の位相曲線の差を増幅した曲線
20 卵の頭部頂点を手前に置いて、卵の中心から垂直の位置に配置したカメラ
21 垂直に配置したカメラから半時計方向45°に配置したカメラ
22 垂直に配置したカメラから時計方向45°に配置したカメラ
23 卵の設置台
S_RH 短径より頭部の輪郭と長径より右側で囲まれた面積
S_LH 短径より頭部の輪郭と長径より左側で囲まれた面積
S_RT 短径より尾部の輪郭と長径より右側で囲まれた面積
S_RT 短径より尾部の輪郭と長径より左側で囲まれた面積
DRL 短径を境にした卵の尾部に於ける右側の面積と左側の面積との差
DHT 短径より頭部の面積歪みと尾部の面積歪みとの差
Egg_No 卵の資料番号
JBF 羽毛鑑定結果
LMC0n 0°の面で見た短径より頭部の面積歪みと尾部の面積歪みとの差
LMC0 0°の面で見た短径より頭部の面積歪みと尾部の面積歪みとの差で求めた歪みの方向
LMC45 45°の面で見た短径より頭部の面積歪みと尾部の面積歪みとの差で求めた歪みの方向
LMC90 90°の面で見た短径より頭部の面積歪みと尾部の面積歪みとの差で求めた歪みの方向
PhaseD 0°の面の頭部面積と90°の面の頭部面積との差を2値化して位相差としたもの
♀ 雌を表す
♂ 雄を表す
Right 右方向
Left 左方向
Lead 位相進み
Lag 位相遅れ
Th1 雌卵を分離するための閾値
Th2 雄卵を分離するための閾値
Th3 雌卵15を分離するための閾値















Claims (3)

  1. 有精卵の形に潜在する弛張振動のリミットサイクルと位相情報を組み合わせて卵の段階で雌雄を識別する方法。
  2. 卵の中心から等間隔の角度で放射状に引いた線が輪郭と交差する点までの長さを卵の全周に亘って求め、その最大値と最小値の平均値を各線の長さから差し引いた値で表した曲線から位相を抽出する方法。
  3. 卵の輪郭の左右の面積差からリミットサイクルを抽出する方法。


































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