JP2011141155A - シラン系ガス中の水分濃度の測定方法および測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】CRDS装置1の測定セル7にサンプルガスライン5からサンプルガスを送る。シラン系ガスからなる測定対象ガスを測定対象ガスライン2を介してサンプルガスライン5に流すとともに窒素などからなる希釈ガスを希釈ガスライン3からサンプルガスライン5に流し、合流させる。測定セル7内の圧力をベンチュリポンプ24によって100〜500torrとし、かつ測定対象ガスの分圧を50torr以下となるように希釈ガスで測定対象ガスを希釈する。
【選択図】図1
Description
CRDS法については、1988年にO’Keefeらによって開発された分光分析法であって、既に周知技術であり、多くの報告等がなされているので、ここではその説明を省略する。
すなわち、水の吸収波長である1392nm付近にモノシランによる大きな吸収があることである。このため、モノシランの妨害を受けて水分濃度を正確に測定できないことになる。
請求項1に係る発明は、シラン系ガスを測定対象ガスとし、この測定対象ガス中の水分の濃度をキャビティリングダウン分光法によって測定する方法であって、
キャビティリングダウン分光装置の測定セルに導入するサンプルガス中の測定対象ガスの分圧を50torr以下として測定することを特徴とするシラン系ガス中の水分濃度の測定方法である。
請求項2に係る発明は、シラン系ガスを測定対象ガスとし、この測定対象ガス中の水分の濃度をキャビティリングダウン分光法によって測定する方法であって、
キャビティリングダウン分光装置の測定セルに導入するサンプルガスの圧力を100〜500torrとし、かつサンプルガス中の測定対象ガスの分圧を50torr以下として測定することを特徴とするシラン系ガス中の水分濃度の測定方法である。
請求項4に係る発明は、前記サンプルガスが測定対象ガスを不活性ガスからなる希釈ガスで希釈してなるガスであり、このサンプルガスを摺動部分を有しないポンプによって減圧してサンプルガスの圧力を100〜500torrとし、かつサンプルガス中の測定対象ガスの分圧を50torr以下として測定することを特徴とする請求項2記載のシラン系ガス中の水分濃度の測定方法である。
請求項5に係る発明は、希釈ガスによって、測定対象ガスをその濃度が1/2〜1/20になるように希釈することを特徴とする請求項3または4記載のシラン系ガス中の水分濃度の測定方法である。
キャビティリングダウン分光装置(以下、CRDS装置と呼ぶことがある)と、このキャビティリングダウン分光装置の測定セルに測定対象ガスと希釈ガスとからなるサンプルガスを導入するサンプルガスラインと、このサンプルガスラインに測定対象ガスを送る測定対象ガスラインと、前記サンプルガスラインに希釈ガスを送る希釈ガスラインと、測定セル内の圧力を100〜500torrとする摺動部分を有しないポンプと、前記測定対象ガスラインと希釈ガスラインとに流れるそれぞれのガスの流量を調整する流量調整装置を備えたシラン系ガス中の水分濃度の測定装置である。
請求項7に係る発明は、前記摺動部分を有しないポンプがベンチュリポンプである請求項6に記載のシラン系ガス中の水分濃度の測定装置である。
また、測定セル内のサンプルガスの圧力を100〜500torrとし、測定対象ガスの分圧を50torr以下とすることで、シラン系ガス中の水分の濃度をCRDS法によってシラン系ガスの妨害を受けることなく正確に測定できるとともにCRDS装置の光源であるDFBレーザ(分布帰還型レーザ)として発振波長の波長安定性のさほど高いものを用いなくとも、測定誤差を伴うことなく、水分濃度を求めることができる。
したがって、シラン系ガスの分圧を50torr以下とするために、窒素などの不活性ガスからなる希釈ガスでシラン系ガスを希釈してやれば、排気性能の低いベンチュリポンプなどの摺動部材を有しないポンプを用いても、測定セル内でのシラン系ガスの分圧を50torr以下とすることができることになる。
かくして、シラン系ガス中の水分の濃度がシラン系ガスの妨害を受けることなく正確に測定できる。
CRDS装置1内には測定セル7が設けられ、この測定セル7の入口端にはサンプルガスライン5が接続され、サンプルガスライン5を通ってサンプルガスが導入されるようになっている。また、測定セル7の出口端には排気ライン6が接続され、測定セル7内のサンプルガスが排出されるようになっている。
排気ライン6には、弁23、ベンチュリポンプ24が設けられ、測定セル7内のガスを排気して測定セル7内の圧力を所定値にすることができるようになっている。
希釈ガスライン3には、図示しない水分を含まない高純度の窒素、アルゴンなどの不活性ガスからなる希釈ガスの供給源が接続されており、この供給源からの希釈ガスが弁12、第2マスフローコントローラ13、弁14を経て、その流量、圧力が調整されたうえ、サンプルガスライン5に流れるようになっており、サンプルガスライン5に測定対象ガスと希釈ガスの混合ガスが流れるようになっている。
また、測定対象ガスライン2にはバイパスライン19が設けられており、弁10を閉とすることで、測定対象ガスがバイパスライン19に流れ、弁20、水分除去器21、弁22を経て、測定対象ガスライン2に戻るようになっている。
測定対象ガスがバイパスライン19を流れる場合には、測定対象ガス中に含まれる水分が水分除去器21にて完全に除去されて測定対象ガスライン2に戻るようになっている。このバイパスライン19も水分濃度測定装置の校正の際に用いられるものである。
なお、図1中、P1〜P6はいずれも圧力計を示し、P6は測定セル7内の圧力を計測するものである。
本発明において、測定対象ガスとなるシラン系ガスとしては、SiXH(2X+2)(X=1、2、3、4)で表されるシランガス、(CH3)XSiH(4−X)(X=1、2、3)または(C2H5)XSiH(4−X)(X=1、2、3)で表される有機シランガスが挙げられ、これらの混合ガスであってもよい。
サンプルガスライン5の弁25を開としてサンプルガスライン5からのサンプルガスを測定セル7に導入する。この際、上述のように、測定セル7内に存在するサンプルガス中の測定対象ガスの分圧が50torr以下、好ましくは10〜40torrとする必要がある。
この条件を満たすために、ベンチュリポンプ24を作動させ、弁23を開として測定セル7内を減圧とするが、ベンチュリポンプ24の排気性能では測定セル7内のサンプルガスの圧力を100torr以下にまで減圧することはできない。このため、サンプルガスとして測定対象ガスを希釈ガスで希釈した混合ガスを用いる。これにより、測定セル7内での測定対象ガスの分圧50torr以下とすることができる。
例えば、ベンチュリポンプ24によって達成しうる圧力が200torrとすれば、測定対象ガスを希釈ガスで25%(体積比)以下に希釈すればよい。
そのためには、測定対象ガスライン2の第1マスフローコントローラ11と希釈ガスライン3の第2マスフローコントローラ13を調整して2種のガスの流量を調整し、測定対象ガスをその濃度が1/2〜1/20になるように希釈ガスで希釈する。
図2は、サンプルガスとして濃度1000ppbの水分を含む窒素ガスを対象として、測定セル7内の圧力を変化させた時の測定値の圧力依存性を示したグラフである。このグラフから、圧力を変化させても水分濃度はほとんど影響を受けたいことがわかる。しかし、圧力が低下するにつれて吸収ピークの形状がより急峻になることがわかる。
したがって、吸収ピークの形状がさほど急峻にならない圧力で測定することが好ましく、測定セル7内のサンプルガスの圧力を100〜500torr、さらに好ましくは150〜300torrとすることが望ましい。
このような理由によって、測定対象ガスを希釈ガスで希釈してサンプルガス中の測定対象ガスの分圧を50torr以下とし、同時にサンプルガスの圧力(全圧)を100〜500torrとすることが必要である。
実際の測定対象ガス中の水分濃度を求める測定作業の前に、予め水分濃度測定装置の校正作業を行う。
標準ガス供給源15から水分量が既知の水分を含む高純度窒素ガスなどの標準ガスを標準ガスライン4からサンプルガスライン5に流す。これと同時に測定対象ガス源8から測定対象ガスとなる未知量の水分を含むシラン系ガスを測定対象ガスライン2に送り出し、弁10を閉とし、弁20を開としてこのガスをバイパスライン19に流す。水分除去器21を通過することによって水分が完全に除去された測定対象ガスは弁22、第1マスフローコントローラ11を経てサンプルガスライン5に流入する。
この時、測定対象ガスおよび希釈ガスのそれぞれの流量を第1マスフローコントローラ11および第2マスフローコントローラ13によってそれぞれ調整し、測定対象ガスを希釈ガスによって希釈し、その濃度を1/2〜1/20となるようにする。このようにして得られたサンプルガスはサンプルガスライン5から測定セル7に導入される。ついで、ベンチュリポンプ24を作動させて、測定セル7内の圧力を100〜500torrとする。これにより、測定セル7内の測定対象ガスの分圧を50torr以下とし、測定セル7内のサンプルガスの圧力を100〜500torrとする。こののち、CRDS装置1によりサンプルガス中の水分濃度を示す減衰時間を測定する。
(実施例1)
図1に示した構成の水分濃度測定装置を使用し、以下の条件で測定対象ガスとしてモノシランガス中の水分濃度を測定した。
CRDS装置 Tiger Optics社製 MTO−1000−H2O
モノシランガス流量 100cc/min.
乾燥窒素流量 400cc/min.
モノシランガス濃度 20%
測定セル内圧力 190torr
使用ポンプ ベンチュリポンプ(日酸TANAKA製TE−140A)
また、水分濃度の異なる標準ガスを30分毎に変えて測定対象ガスに添加したときの減衰時間変化を図4に示す。濃度応答は30分以内であり、安定性も非常に良い。
このときの定量下限は2ppbとなった。よってモノシランガス中水分濃度の定量下限は10ppbと計算できる。
実施例1と同様の条件で図1でのベンチュリポンプ24を除いた。このときの測定圧力は大気圧(760torr)である。
モノシランガス流量 100cc/min.
乾燥窒素流量 400cc/min.
モノシランガス濃度 20%
測定セル内圧力 760 torr
使用ポンプ なし
この場合、減衰時間が短くなりすぎ測定不能となった。
比較例1のようにベンチュリポンプ24を除いた装置として、実施例のモノシランガス、乾燥窒素の流量をそれぞれ25cc/min.、475cc/min.とした。この条件で実施例と同様の測定を実施した。
モノシランガス流量 25cc/min.
乾燥窒素流量 475cc/min.
モノシランガス濃度 5%
測定セル内圧力 760torr
このときの定量下限は実施例と同様2ppbとなった。よってモノシランガス中水分濃度の定量下限は40ppbと計算できる。
同様にモノシランガス、乾燥窒素の流量をそれぞれ50cc/min.,450cc/min.とし、モノシランガス濃度を10%としたときにも定量下限は実施例と同様2ppbとなった。
つまりモノシラン−窒素混合ガス中の水分濃度の測定において、モノシラン濃度が10%以下の領域では、その定量下限は測定する混合ガスの濃度に依存せずに測定が可能であったが、10%以上の濃度ではモノシランの影響により測定できなかった。
この場合、モノシラン中の水分濃度を最も高感度で測定できるのはモノシラン濃度を高濃度で導入できる10%の場合であり、その水分濃度の定量下限は20ppbであった。
実施例と同様の条件で図1のベンチュリポンプに代えてダイヤフラムポンプを使用した。このときの測定圧力は50torrである。
モノシランガス流量 100cc/min.
乾燥窒素流量 400cc/min.
モノシランガス濃度 20%
測定セル内圧力 50torr
使用ポンプ ダイヤフラムポンプ(Edowrds製MD1C)
実施例1と同様に規定濃度添加したときの減衰時間変化を図5に示す。濃度応答は30分以内であり、実施例1と同様に非常に速い応答を示すが安定性は実施例1と比較すると劣る。これは図2から予想されることであり、測定圧力が低い場合には測定する水分のピークが急峻になるためピーク近傍での減衰時間の測定誤差が大きくなる為である。
従ってモノシランガス中の水分濃度を測定する場合、モノシランの影響を低減させる方法として測定圧力を低くすることは有効であるものの、圧力が低すぎる場合には測定値の安定性で劣る。筆者は種々の圧力条件で測定した結果、圧力が100torr以下であるとより測定値の不安定さが顕著になることを見出した。
比較例3から引き続き、測定セル7の出口端とダイヤフラムポンプの間にオリフィスを設置して圧力を190torrに保持して同様の測定を試みた。
モノシランガス流通後に圧力が若干上昇した。測定120分後の圧力は203torrとなった。真空ポンプの出口側の配管に白色固体が堆積していた。この配管を新しく取り替えると同様に圧力を190torrに保持できるようになったが、測定を続けると徐々に圧力は上昇を始めた。
Claims (7)
- シラン系ガスを測定対象ガスとし、この測定対象ガス中の水分の濃度をキャビティリングダウン分光法によって測定する方法であって、
キャビティリングダウン分光装置の測定セルに導入するサンプルガス中の測定対象ガスの分圧を50torr以下として測定することを特徴とするシラン系ガス中の水分濃度の測定方法。 - シラン系ガスを測定対象ガスとし、この測定対象ガス中の水分の濃度をキャビティリングダウン分光法によって測定する方法であって、
キャビティリングダウン分光装置の測定セルに導入するサンプルガスの圧力を100〜500torrとし、かつサンプルガス中の測定対象ガスの分圧を50torr以下として測定することを特徴とするシラン系ガス中の水分濃度の測定方法。 - 前記サンプルガスが測定対象ガスを不活性ガスからなる希釈ガスで希釈してなるガスであり、このサンプルガスを摺動部分を有しないポンプによって減圧してサンプルガス中の測定対象ガスの分圧が50torr以下とすることを特徴とする請求項1記載のシラン系ガス中の水分濃度の測定方法。
- 前記サンプルガスが測定対象ガスを不活性ガスからなる希釈ガスで希釈してなるガスであり、このサンプルガスを摺動部分を有しないポンプによって減圧してサンプルガスの圧力を100〜500torrとし、かつサンプルガス中の測定対象ガスの分圧を50torr以下として測定することを特徴とする請求項2記載のシラン系ガス中の水分濃度の測定方法。
- 希釈ガスによって、測定対象ガスをその濃度が1/2〜1/20になるように希釈することを特徴とする請求項3または4記載のシラン系ガス中の水分濃度の測定方法。
- シラン系ガスを測定対象ガスとし、この測定対象ガス中の水分の濃度をキャビティリングダウン分光法によって測定する装置であって、
キャビティリングダウン分光装置と、このキャビティリングダウン分光装置の測定セルに測定対象ガスと希釈ガスとからなるサンプルガスを導入するサンプルガスラインと、このサンプルガスラインに測定対象ガスを送る測定対象ガスラインと、前記サンプルガスラインに希釈ガスを送る希釈ガスラインと、測定セル内の圧力を100〜500torrとする摺動部分を有しないポンプと、前記測定対象ガスラインと希釈ガスラインとに流れるそれぞれのガスの流量を調整する流量調整装置を備えたシラン系ガス中の水分濃度の測定装置。 - 前記摺動部分を有しないポンプがベンチュリポンプである請求項6に記載のシラン系ガス中の水分濃度の測定装置。
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