JP2011031554A - 印刷用ブランケットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1のフィルム基材上に、硬化性の液状エラストマを塗布してエラストマ層を形成し、前記エラストマ層が硬化する前に、前記エラストマ層の表面に第2のフィルム基材を重ねて、圧着ローラにより前記エラストマ層を厚み方向に順次圧縮しながら、前記エラストマ層と第2のフィルム基材とを圧着させたのち、前記エラストマ層が硬化した後に、前記第1および第2のフィルム基材のうちの一方を前記エラストマ層から剥離する。
【選択図】なし
Description
例えば電気配線のパターンや蛍光体のパターン、あるいはプラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶ディスプレイパネル(LCD)の構成部品等における各種のパターンといった、微細でかつ高精度のパターンの形成が求められる分野において、前記オフセット印刷法が普及してきている。
かかるオフセット印刷法においては、前記印刷用ブランケットのエラストマ層の表面性状、厚みおよびその精度、エラストマ層を形成するエラストマの物性等が印刷結果に大きな影響を及ぼす。
エラストマ層の表面ができるだけ平坦で、しかも厚みの精度等にも優れた印刷用ブランケットを製造する製造方法としては、例えば硬化性の液状エラストマを金型に流し込んで硬化させる注型法が知られている。
また前記大面積の印刷用ブランケットであるほど、例えば硬化後のエラストマ層の物性等を考慮して、液状エラストマとして硬化前の粘度が高いものを用いる等した際に、前記液状エラストマを金型内の全体に十分に行き渡らせることが難しくなるという問題もある。
別の製造方法としては、所定の下地上(例えば印刷用ブランケットの支持体となるフィルム基材の表面)に、例えばドクターナイフ、バーコータ、ロールコータ等を用いて、エラストマ層のもとになる液状エラストマを一定の厚みに塗布したのち、硬化させてエラストマ層を形成するコーティング法が知られている。
また、先に説明したように液状エラストマとして硬化前の粘度が高いものを用いたりすると、前記液状エラストマをフィルム基材上に塗布する際に気泡が混入するいわゆる泡かみを生じやすく、前記気泡が欠陥となって硬化後のエラストマ層中に残留したり、あるいは前記ドクターナイフ、バーコータ、ロールコータ等をフィルム基材上で移動させた痕跡が、前記移動方向に沿う筋状の凹凸となって硬化後のエラストマ層の表面に残留したりして印刷に影響を及ぼすといった問題もある。
すなわち厚みの小さいエラストマ層を形成するためには、前記エラストマ層のもとになる第1および第2エラストマ層の厚みをできるだけ小さくするのが望ましいが、かかる厚みの小さい、しかも厚みがほぼ均一でかすれ等のない第1または第2のエラストマ層を、それぞれ第1および第2のフィルム基材上に形成するのは容易でない。
本発明の目的は、エラストマ層のもとになるエラストマの硬化が阻害されて均一かつ十分に硬化されない問題や泡かみ、筋状の凹凸等の問題を生じることなしに、特に高い印刷精度が要求される分野において好適に使用される、表面が平坦で厚みが小さい上、前記厚みの精度が高いエラストマ層を備えた印刷用ブランケットを製造するための新規な印刷用ブランケットの製造方法を提供することにある。
第1のフィルム基材上に、硬化性の液状エラストマを塗布してエラストマ層を形成する工程、
前記エラストマ層が硬化する前に、前記エラストマ層の表面に第2のフィルム基材を重ねて、圧着ローラにより前記エラストマ層を厚み方向に順次圧縮しながら、前記エラストマ層と第2のフィルム基材とを圧着させる工程、および
前記エラストマ層が硬化した後に、前記第1および第2のフィルム基材のうちの一方を前記エラストマ層から剥離する工程
を含むことを特徴とする印刷用ブランケットの製造方法である。
また前記塗布工程で筋状の凹凸を生じたとしても、エラストマ層を、前記第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とで挟んで圧着ローラによって厚み方向に順次圧縮することによって前記凹凸をなくして、その表裏両面を、それぞれ第1および第2フィルムの表面に対応した平坦な面とすることができる。
またそのため前記塗布厚みは、目的とするエラストマ層の厚みに拘らず、たとえ液状エラストマとして硬化前の粘度が高いものを用いた際にもほぼ均一でかすれ等を生じにくい厚みに設定できる。
そのため本発明によれば、エラストマ層のもとになるエラストマの硬化が阻害されて均一かつ十分に硬化されない問題や泡かみ、筋状の凹凸等の問題を生じることなしに、特に高い印刷精度が要求される分野において好適に使用される、表面が平坦で厚みが小さい上、前記厚みの精度が高いエラストマ層を備えた印刷用ブランケットを製造することができる。
第1のフィルム基材上に、硬化性の液状エラストマを塗布してエラストマ層を形成する工程、
前記エラストマ層が硬化する前に、前記エラストマ層の表面に第2のフィルム基材を重ねて、圧着ローラにより前記エラストマ層を厚み方向に順次圧縮しながら、前記エラストマ層と第2のフィルム基材とを圧着させる工程、および
前記エラストマ層が硬化した後に、前記第1および第2のフィルム基材のうちの一方を前記エラストマ層から剥離する工程
を含むことを特徴とする。
第1のフィルム基材上に液状エラストマを塗布するためには、従来同様にドクターナイフ、バーコータ、ロールコータ等を用いるのが好ましい。これにより、できるだけ簡単な設備で精度良く液状エラストマを塗布することができる。
特に液状エラストマの硬化時の体積変化や、圧着工程でエラストマ層を厚み方向に圧縮することで塑性変形させて所定の厚みにできること等を考慮すると、液状エラストマの塗布厚みは、前記範囲内でもエラストマ層の厚みの目標値の100%以上、500%以下、特に200%以上、400%以下に設定するのが好ましい。
ただし複数回に分けて塗布する場合は、硬化の進行によって液状エラストマの粘度が徐々に上昇し、塗布しにくくなって前記泡かみや筋状の凹凸等を生じやすくなる上、塗布の工程数も増加するため、できれば1回の塗布で前記塗布厚みになるように塗布するのが好ましい。
液状エラストマとしては、液状シリコーンゴム、液状フロロシリコーンゴム等の液状シリコーン系エラストマ、または液状フッ素ゴム、液状フッ素エラストマ等の液状フッ素系エラストマが好ましい。
前記二液付加反応型のRTV液状シリコーンゴムは、硬化反応に際して反応副生成物を生じないため、エラストマ層の厚みの精度をより一層向上できる。
これらの利点は、エラストマ層の両面が第1および第2のフィルム基材で被覆された状態で前記エラストマ層が硬化されるため前記反応副生成物の逃げ場がない本発明の製造方法において特に有効である。
また液状フッ素系エラストマとしては、フッ素化ポリエーテル骨格の末端にシリコーン架橋反応基を導入した信越化学工業(株)製の商品名SIFELシリーズの液状フッ素エラストマが、特にインキやその溶剤に対する耐性に優れたエラストマ層を形成できる点で好ましい。
第2のフィルム基材を重ねる理由の一つは、先に説明したように空気との接触によってエラストマの硬化が阻害されるのを防止することにある。
そのため前記第2のフィルム基材はエラストマ層が硬化する前、つまり液状エラストマを第1のフィルム基材上に塗布してエラストマ層を形成してから、前記エラストマ層を形成するエラストマの硬化が完了するまでの期間のうち任意の時点で、前記エラストマ層の表面に重ねるようにする。
前記期間は、たとえば同じ液状エラストマを、印刷用ブランケットを製造するのと同じ作業環境下で硬化させた際の粘度等の変化を測定し、前記粘度の場合は硬化の進行に伴う粘度上昇によって所定値に達するまでに要する時間でもって特定することができる。
これにより、前記第2のフィルム基材を重ねた後の圧着ローラによる圧縮によって、エラストマ層を厚み方向にできるだけスムースに塑性変形させるとともに筋状の凹凸をなくさせたり、前記第2のフィルム基材に良好に圧着させたり、前記エラストマ層中からできるだけスムースに気泡を押し出して除去させたりすることができる。
次いで、前記第2のフィルム基材を重ねたエラストマ層を、圧着ローラにより厚み方向に順次圧縮しながら、前記エラストマ層と第2のフィルム基材とを圧着させる。
また前記塗布工程で筋状の凹凸を生じたとしても、エラストマ層を、前記第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とで挟んで圧着ローラによって厚み方向に順次圧縮することによって前記凹凸をなくして、その表裏両面を、それぞれ第1および第2フィルムの表面に対応した平坦な面とすることができる。
またそのため前記塗布厚みは、目的とするエラストマ層の厚みに拘らず、たとえ液状エラストマとして硬化前の粘度が高いものを用いた際にもほぼ均一でかすれ等を生じにくい厚みに設定できる。
そのため次工程で前記第1および第2のフィルム基材のうちの一方を前記エラストマ層から剥離することにより、前記エラストマ層のもとになるエラストマの硬化が阻害されて均一かつ十分に硬化されない問題や泡かみ、筋状の凹凸等の問題を生じることなしに、特に高い印刷精度が要求される分野において好適に使用される、表面が平坦で厚みが小さい上、前記厚みの精度が高いエラストマ層を備えた印刷用ブランケットを製造できる。
圧着ローラを用いた圧縮の条件は、所定の塗布厚みとなるように形成したエラストマ層を、印刷用ブランケットに求められるエラストマ層の厚み範囲まで塑性変形できる任意の条件に設定すればよい。
このうち樹脂のフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびその共重合物、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリアミド、ポリイミド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、TPXポリマ、およびポリパラキシレン等の樹脂からなるフィルムが好ましい。
特に任意の厚み、および表面粗さを有するフィルム状に加工しやすい上、寸法安定性に優れたPETのフィルムが、前記第1および第2のフィルム基材として好ましい。
前記第1および第2のフィルム基材のうちの一方は、製造後の印刷用ブランケットにおいてエラストマ層を背面側から支持するベース層として用いられる。
前記フィルム基材の、エラストマ層を形成する側の表面は、前記エラストマ層の厚みにばらつきを生じさせないため適度に平坦であることが求められる。
前記第1および第2のフィルム基材のうちの他方は、圧着ローラを用いた圧縮後にエラストマ層から剥離される。
また前記フィルム基材の、エラストマ層と接する側の表面の表面形状は、そのままエラストマ層の、インキパターンが転写される表面に転写されるため、前記表面はできるだけ平坦であることが求められる。
表面の十点平均粗さRzJIS94が前記範囲内にあるフィルム基材を剥離した後のエラストマ層の表面は十点平均粗さRzJIS94が前記範囲内とされ、平坦であるためインキパターンに乱れを生じるおそれがなく、特に精密印刷用の印刷用ブランケットとして好適に使用できる。
そのためには前記圧縮後の積層体を、例えば2時間以上、48時間以下程度、特に室温で静置すればよい。
これにより、例えばフィルム基材の剥離時にエラストマ層の厚みや表面の平坦性が阻害されるのを防いで、前記のようにフィルム基材の表面粗さに対応した表面粗さを有するエラストマ層を形成できる。
〈実施例1〉
二液付加反応型のRTV液状シリコーンゴム〔信越化学工業(株)製のKE1606〕の主剤100質量部と硬化剤10質量部とを配合し、かく拌したのち脱泡して液状エラストマを調製した。
前記印刷用ブランケットにおけるエラストマ層の厚みを、縦横それぞれ10cmおきに154点で測定したところ平均厚み0.10mm、厚みの最大値と最小値の差は0.012mmであって厚みの精度が高いことが判った。また前記エラストマ層の表面を目視にて観察したところ平坦で、インキパターンに影響を及ぼすような欠陥は見られなかった。
〈比較例1〉
フィルム基材としての厚み0.30mmのPETフィルムを台盤上に平面性、水平性を維持した状態でセットし、前記PETフィルム上の縦120cm×横150cmの領域に、実施例1で調整したのと同じ液状エラストマを、バーコータを用いて塗布厚みが0.10mmとなるように塗布したのち24時間静置してエラストマを硬化さて印刷用ブランケットを製造した。
Claims (2)
- 第1のフィルム基材上に、硬化性の液状エラストマを塗布してエラストマ層を形成する工程、
前記エラストマ層が硬化する前に、前記エラストマ層の表面に第2のフィルム基材を重ねて、圧着ローラにより前記エラストマ層を厚み方向に順次圧縮しながら、前記エラストマ層と第2のフィルム基材とを圧着させる工程、および
前記エラストマ層が硬化した後に、前記第1および第2のフィルム基材のうちの一方を前記エラストマ層から剥離する工程
を含むことを特徴とする印刷用ブランケットの製造方法。 - 前記液状エラストマとして室温硬化型の液状エラストマを用いる請求項1に記載の印刷用ブランケットの製造方法。
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