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JP2011021901A - 液体金属冷却原子炉用受動冷却システム - Google Patents

液体金属冷却原子炉用受動冷却システム Download PDF

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JP2011021901A JP2009164558A JP2009164558A JP2011021901A JP 2011021901 A JP2011021901 A JP 2011021901A JP 2009164558 A JP2009164558 A JP 2009164558A JP 2009164558 A JP2009164558 A JP 2009164558A JP 2011021901 A JP2011021901 A JP 2011021901A
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Daigo Kikko
大悟 橘高
Hideo Komita
秀雄 小見田
Takaya Inatomi
誉也 稲冨
Yasushi Tsuboi
靖 坪井
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Toshiba Corp
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Abstract

【課題】原子炉建屋近くの空気温度が周囲での事故等で上昇した場合でも、受動冷却機能が働かなくなってしまう虞のない液体金属冷却原子炉用受動冷却システムを提供する。
【解決手段】原子炉容器102を格納する格納容器105とサイロ106との間に設けたヒートコレクタ112とサイロ106の間に気体冷却流路111の下降流通路113、格納容器105との間に上昇流通路114をそれぞれ形成し、下降流通路113に空気取入れ部7、取入れ配管8を介して外部空気を導入して流下させ、さらに上昇流通路114を流通させた後に、排出配管115、空気排出口116を介して外部に放出するようにして冷却を行う受動冷却システム2で、空気取入れ部7を相互間に離間距離を設けると共に空気排出口とも離間して複数設け、かつ格納容器105とも格納容器105近傍での航空機事故等の影響を受け難い所定の距離以上に設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、外部から空気を導入して原子炉容器を受動冷却する液体金属冷却原子炉用受動冷却システムに関する。
従来、例えば図10に縦断面図を示すように、液体金属冷却原子炉100は、ナトリウム、あるいはナトリウム・カリウム等の液体金属冷却材101を満たした原子炉容器102内に原子燃料集合体から構成される原子炉炉心103を保持し、この原子炉容器102を、間に不活性ガスを満たした間隙104を設けて格納容器(ガードベッセル)105に格納し、格納容器105を地表下に掘り下げて形成したコンクリート製のサイロ106内に間隔を置いて収容するようにして構成されている。また、こうした構成の液体金属冷却原子炉100では、原子炉運転中の緊急事態に対処するため、あるいは保守サービスを行うために、燃料の核分裂反応を停止し、低温停止の状態にする必要がある。このような場合、一般的には炉心103内に中性子吸収制御装置107を挿入して、核分裂を生じるために必要な中性子を奪うことにより原子炉運転の停止が行なわれる。
しかし、停止操作を行った後にも、ある一定時間残留崩壊熱が核燃料炉心103から生じ続けるため原子炉容器102内の液体金属冷却材101の温度は低下しない。従って、停止後に何らかの作業を行うためには、この残留崩壊熱をできるだけ速く消散させなければならない。炉心103の熱については、熱容量の大きい液体金属冷却材101から原子炉容器102、さらに格納容器105に熱放射により伝えられ、格納容器105の温度が上昇し、さらに格納容器105の熱は、外側のコンクリート製サイロ106等の構造物に向かって放射される。
しかしながら、コンクリート製のサイロ106等の構造物は、長期間の高温にさらされると、その性質が変化して脆くなる傾向があり、例えばサイロ106は膨張し、ひび割れを生じることも想定され得る。また、ステンレス鋼で形成された原子炉容器102も、過大な高温に長時間さらされると、その強度が低下することが考えられる。こうしたことから、格納容器105の熱除去のために、空気を作動流体として格納容器105とサイロ106の間の間隙108に流通させるようにし、自然対流、熱伝導、熱輻射の完全に受動的なプロセスで連続的に動作する受動冷却システム(RVACS:Reactor Vessel Auxiliary Cooling System)(原子炉容器補助冷却系)109を設け、これにより対応できるようになっている。
この受動冷却システム109は、作動流体の空気110を自然対流させて熱除去を行うので、空気110が格納容器105の外側を下降、上昇するための気体冷却流路111を、格納容器105とサイロ106の間の間隙108に筒状のヒートコレクタ112を設けた構成となっている。
気体冷却流路111は、サイロ106とヒートコレクタ112の間に形成された低温の空気110Cが下降する下降流通路113、ヒートコレクタ112と格納容器105外壁との間に形成された高温の空気110Hが上昇する上昇流通路114を有するものとなっている。格納容器105の熱により加熱され高温となった空気110Hが上昇流通路114中を上昇し、排出配管115を流れ、格納容器105が収容されたサイロ106近傍に設けられた空気排出口116から外部に放出される。
そして、これに伴い下降流通路113へは空気取入れ口117から外部の空気110の取り込みが行なわれ、取り込まれた低温の空気110Cは取入れ配管118から下降流通路113を下方に流れ、サイロ106の底部空間内で流れ方向を変えて上昇流通路114に流れ込み、格納容器105外壁に沿って上方に流れる間に加熱されて格納容器105の熱を外部に放出する。なお、119は反射体であり、120は電磁ポンプであり、121は中間熱交換器(IHX)であり、122は上部を覆う格納ドームである。
また受動冷却システム109は、季節により40℃〜−40℃程度変化する外部から取り入れる低温の空気110Cと、原子炉容器102の熱で暖められた空気110Hとの温度差による密度差により起こる空気110の循環によって冷却機能を生じるものであるため、低温の空気110Cと高温の空気110Hの温度差が大きいと空気110の循環流量が増加し、残留崩壊熱の除去を行うには好ましが、通常運転時には、受動冷却システム109による除熱量が大きくなって原子炉の発電効率が低下することになる。
なお、こうした受動冷却システムについては、液体金属冷却原子炉の原子炉容器補助冷却系である受動熱除去系を、格納容器とサイロの間の間隙に、じゃま板として互いに隔離して筒状の無孔の集熱外壁と有孔の集熱内壁を設けて構成し、崩壊熱の除去を促進させるようにしたもの(例えば、特許文献1参照)があり、また、加圧水型原子炉の格納容器の受動的冷却装置として、格納容器と収納する遮蔽建屋との間に空気転流体を設けて内外に第1、第2の環状スペースを形成し、外部空気を両環状スペースに加熱による自然循環によって流しながら、水供給源から格納容器の上部中心に水を流下させ、発生した水蒸気を格納容器上方の煙突状筒体から排出させるようにして冷却を行うようにしたもの(例えば、特許文献2参照)がある。
特許第3499920号公報 特許第2813412号公報
上記のように液体金属冷却原子炉等では、外部からの低温の空気と原子炉容器の熱で暖められた高温空気の温度差により生じる空気の自然循環によって受動冷却システムを構成するので、例えば、原子炉建屋近くに航空機等が墜落し炎上するなどの火災が発生した場合、周囲の空気温度が上昇し高温となるため、原子炉建屋近くに受動冷却システムの空気取入れ口があると低温の空気の取り込みが行なえなくなり、受動冷却機能を確保することができなくなる虞が生じる。
こうした状況に鑑みて本発明はなされたもので、その目的とするところは、原子炉建屋近くの空気温度が、例えば航空機墜落炎上事故等による火災などにより上昇しても、受動冷却機能を正常に保つことができる液体金属冷却原子炉用受動冷却システムを提供することにある。
この発明は上記目的を達成するものであって、原子炉容器を格納する格納容器と、この格納容器を収納するサイロとの間に筒状のヒートコレクタを設けて前記ヒートコレクタと前記サイロとの間に気体冷却流路として下降流通路、前記ヒートコレクタと前記格納容器外壁との間に上昇流通路をそれぞれ形成し、前記下降流通路に空気取入れ部、取入れ配管を介して外部空気を導入して流下させ、前記サイロ底部で空気の流れを下降流から上昇流に変えて前記上昇流通路を流通させた後に、排出配管、空気排出口を介して外部に放出するよう構成して冷却を行う液体金属冷却原子炉用受動冷却システムであって、前記空気取入れ部が、相互間に所定離間距離以上の間隔を保って複数設けられ、かつ、前記空気排出口とも離間して設けるようにして配設されていると共に、前記空気取入れ部と前記格納容器との離間距離が、前記格納容器近傍での航空機事故等の影響を受け難い所定の距離以上となっていることを特徴とするシステムである。
本発明によれば、原子炉建屋近くの空気温度が、周囲での事故等により上昇した場合でも、受動冷却機能を正常に保つことができる等の効果を有する。
本発明の第1の実施形態における液体金属冷却原子炉の縦断面図である。 図1に示す液体金属冷却原子炉のA−A線での横断面図である。 図1に示す液体金属冷却原子炉のB−B線での横断面図である。 本発明の第1の実施形態の変形形態における液体金属冷却原子炉の縦断面図である。 本発明の第2の実施形態における液体金属冷却原子炉の要部の縦断面図である。 本発明の第3の実施形態における液体金属冷却原子炉の要部の縦断面図である。 本発明の第4の実施形態における液体金属冷却原子炉の要部の縦断面図である。 本発明の第5の実施形態における液体金属冷却原子炉の要部の縦断面図である。 本発明の第6の実施形態における液体金属冷却原子炉の要部の縦断面図である。 従来の液体金属冷却原子炉を示す縦断面図である。
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、従来と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、従来と異なる本発明の実施の形態の構成について説明する。
(第1の実施形態)
先ず本発明の第1の実施形態を図1乃至図3により説明する。また、本実施形態における変形形態を図4により説明する。
図1乃至図3に示すように、第1の実施形態の液体金属冷却原子炉1は、原子炉容器102内の液体金属冷却材101中に炉心103を沈め、原子炉容器102を格納容器105に格納し、コンクリート製サイロ106内に収容するようにして構成されている。そして、格納容器105とサイロ106の間の環状間隙108には、筒状のヒートコレクタ112を設けることにより受動冷却システム2の気体冷却流路111が形成されており、作動流体の気体、例えば空気110は、サイロ106とヒートコレクタ112の間の環状下降流通路113に外部から導入され、下降方向に流れ、ヒートコレクタ112の下端下方のサイロ106底部空間内で流れ方向を変え、ヒートコレクタ112と格納容器105外壁の間の環状上昇流通路114を上昇方向に流れ、外部に放出されるようになっている。
また、サイロ106の上部周囲の地表下には、環状の取入れ側ヘッダ3と排出側ヘッダ4が、取入れ側ヘッダ3を上方側とするようにして同心円状に設けられている。そして、取入れ側ヘッダ3は複数の取入れ側連通管5により気体冷却流路111の下降流通路113の上部に連通しており、排出側ヘッダ4は複数の排出側連通管6により気体冷却流路111の上昇流通路114の上部に連通するようになっている。
さらに、取入れ側ヘッダ3には、各先端部分に空気取入れ部7が設けられた長寸法、例えば長さ50m以上の地表下に放射状に埋設された複数の取入れ配管8の各他端が接続されている。各取入れ配管8先端に設けられた空気取入れ部7は、空気取入れ口9と所定温度以上で作動し閉止する溶融弁10を備え、溶融弁10が空気取入れ口9の近傍に位置するようにして、共に地表面上に露出するように設置されている。一方、排出側ヘッダ4には、取入れ配管8より短寸法で、各先端部分に空気排出口116が空気取入れ口9から離間した地表面上に露出するように設けるようにして地表下に同じく放射状に埋設された複数の排出配管115の各他端が接続されている。
これにより、各空気取入れ口9は格納容器105を収納する原子炉建屋から十分離れた位置に互いに所定離間距離を設けて開口し、空気排出口116は格納容器105の比較的近くの空気取入れ口9と異なる位置に開口することになる。なお、図1のA−A線及びB−B線での横断面を示す図2、図3では、原子炉容器102内に格納される原子炉炉心103、中性子吸収制御装置107、電磁ポンプ120等の図示を省略している(以下の各図も同じ)。
そして、上記のように構成された液体金属冷却原子炉1では、例えば中性子吸収制御装置107を炉心103に挿入して原子炉運転の停止が行なわれ、運転停止がなされた後も発生する炉心103の残留崩壊熱は、液体金属冷却材101から原子炉容器102、さらに格納容器105に熱放射により伝えられ、格納容器105の温度が上昇し、さらに格納容器105の熱は、受動冷却システム2により外部に放出される。
この受動冷却システム2による熱の外部への放出は、気体冷却流路111の格納容器105外壁に沿った上昇流通路114を、格納容器105で加熱された高温の空気110Hが上昇し、排出配管115、空気排出口116から外部に送り出されることで行なわれる。また高温の空気110Hが上昇流通路114を流れることで自然対流が起こり、サイロ106内壁に沿った下降流通路113に外部の低温の空気110Cが、空気取入れ口9及び取入れ配管8を介して導入され、空気110を介しての外部への熱放出が継続する。
このような液体金属冷却原子炉1では、通常時、原子炉容器102内に通常時液面位置まで満たされた液体金属冷却材101中に核燃料炉心103が沈められており、核燃料炉心103での核分裂によって発生した熱は、液体金属冷却材101を循環させることで外部に取り出され、発電等に供される。そして、運転中は核分裂による発生熱で格納容器105も高温になっていて、常時、受動冷却システム2の気体冷却流路111を流通する空気110で冷却が行なわれている。
また、格納容器105を収納する原子炉建屋の近くで航空機等が墜落し炎上するなどした場合、原子炉建屋の周囲温度は高温度となる。しかし、格納容器105を収容するサイロ106から、例えば50m以上の十分に遠く離れ、墜落事故等の熱影響を受け難い所定の距離以上の離れた場所に設けられている空気取入れ部7周囲の温度は高温度とならず、溶融弁10は閉止動作することがない。また、空気取入れ部7から気体冷却流路111の下降流通路113に取入れ側ヘッダ3を介して導入される外部空気110の温度も高温度でないため、受動冷却システム2も機能して、原子炉運転停止後に発生する炉心103の残留崩壊熱の除去も確実に行うことができ、長時間を要することなく液体金属冷却原子炉1を低温停止の状態にすることができる。
また、例えば航空機等の墜落場所が空気取入れ部7の近くである場合には、複数がそれぞれ離間するようにして設けられている空気取入れ部7うち、墜落場所近くの空気取入れ部7周囲温度は高温度となる。それによって墜落場所近くの空気取入れ部7の溶融弁10は閉止動作し、空気取入れ口9からの外部空気110の取入れが行われなくなる。しかし、他の空気取入れ部7は、少なくとも1つの空気取入れ部7が墜落事故等の影響を受けず機能するように離間して設けられているため、その周囲温度は高温度とはならず、空気取入れ口9から気体冷却流路111の下降流通路113に導入される外部空気110の温度も高温度でないため、受動冷却システム2も機能して、この場合においても原子炉運転停止後に発生する炉心103の残留崩壊熱の除去も確実に行うことができ、長時間を要することなく液体金属冷却原子炉1を低温停止の状態にすることができる。
またさらに、例えば航空機等の墜落場所が空気排出口116の近くである場合には、空気排出口116周囲温度は高温度となり、また墜落場所近くの空気温度が高くなることで上昇流が発生する。そして、上昇流の発生に伴い空気排出口116周囲の空気も随伴して上昇することになり、さらに格納容器105で加熱され空気排出口116から排出される高温の空気110Hも随伴し排出が促進されるので、受動冷却システム2の空気循環量が増加し、冷却機能を十分に確保することができる。
以上の通り、本実施形態によれば、例えば、航空機等が墜落し炎上するなどの火災が空気取入れ口9や空気排出口116の近くで発生した場合でも、受動冷却システム2が正常に機能し、確実に原子炉運転停止後に発生する残留崩壊熱を除去することができ、長時間を要することなく液体金属冷却原子炉1を低温停止の状態にすることができる。
なお、本実施形態においては、排出配管115を短寸法とし、空気排出口116を格納容器105が収容されたサイロ106近傍に設けるようにしたが、図4に示す変形形態のように排出配管11を長寸法に構成してもよい。
すなわち、図4に示すように、液体金属冷却原子炉1aの受動冷却システム2aは、例えば取入れ配管8と同じ長さ寸法であるか、あるいはそれより短寸法である比較的長寸法の複数の排出配管11が、排出側ヘッダ4から放射状に突出するように設けられている。排出配管11は、取入れ配管8と同様に地表下に埋設されていて、各先端部分には空気排出口116が、格納容器105が収容されたサイロ106から所定距離離れ、空気取入れ口9からも離間した地表面上の位置に露出するように設けられている。
これにより、空気取入れ口9と空気排出口116は格納容器105を収納する原子炉建屋等から十分離れ、空気取入れ口9と空気排出口116とが相互に十分に離間した異なる位置に開口することになる。
このような構成により、受動冷却システム2aの各空気取入れ口9、空気排出口116が分散配置され、例えば航空機等が墜落し炎上するなどした際に、航空機の機体残骸によって1つの空気排出口116が塞がれるようなことが有っても、受動冷却機能を確保することができて事故発生に伴う影響を最小限に止めることができるものとなり、上述した本実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態を図5により説明する。なお、本実施形態は第1の実施形態とヒートコレクタの構成のみが異なるものであるため、異なる部分を主体に説明する。
図5に示すように、第2の実施形態の液体金属冷却原子炉21は、受動冷却システム22を構成するヒートコレクタ23が、筒状の中空壁によって形成されており、中空部24には、例えば球体状をなす同サイズあるいは異なるサイズの複数の中空部材25が充填されている。なお、中空部材25は、その中空内に、例えば空気や熱伝導度の低いアルゴンやクリプトン、キセノンなどのガスが封止された状態、あるいは中空内が所定圧力に減圧された真空状態となっている。
そして、このように構成された液体金属冷却原子炉21では、上述した第1の実施形態と同様に、例えば中性子吸収制御装置107を炉心103に挿入して原子炉運転の停止が行なわれると、運転停止後に発生する残留崩壊熱は、液体金属冷却材101から原子炉容器102、さらに格納容器105に熱放射により伝えられ、伝えられた格納容器105の熱は、受動冷却システム22によって外部に放出される。
この受動冷却システム22による熱の外部への放出は、気体冷却流路111の格納容器105外壁に沿った上昇流通路114を、格納容器105で加熱された高温の空気110Hが上昇して空気排出口116から外部に送り出されることで行なわれる。また空気110が加熱され上昇流通路114を流れることで自然対流が起こり、サイロ106内壁に沿った下降流通路113に外部からの低温の空気110Cが空気取入れ口9、取入れ配管8を介して導入され、空気110を介しての外部への熱放出が継続する。
受動冷却システム22による外部への熱放出の際、格納容器105の外壁表面から輻射によってヒートコレクタ23の格納容器105外壁に対向する壁面に熱が伝えられる。伝えられた熱は、ヒートコレクタ23の内部を熱伝導によりサイロ106内壁に対向する壁面側に伝えられる。しかし、ヒートコレクタ23の中空部24に複数の中空部材25が充填され、熱通過抵抗が高くなっているので、サイロ106内壁に対向するヒートコレクタ23の壁面の温度上昇が抑制され、壁面温度を低温度に保持することができる。
そして、ヒートコレクタ23に対向するサイロ106の内壁面への輻射が抑えられ、サイロ106内壁の壁面温度を低温度に保持することができることになる。これにより、外部から空気取入れ口9、取入れ配管8を介して導入された低温の空気110Cが、低温度のまま格納容器105外壁に沿った上昇流通路114に流れ込むことになり、原子炉容器102の熱で暖められた格納容器105外壁との温度差を大きくとることができることになる。
以上の通り、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、確実に原子炉運転停止後に発生する残留崩壊熱を除去することができると共に、上昇流通路114に流れ込む低温の空気110Cと高温の空気110Hの温度差を大きくでき、より高い熱除去能力が得られ、長時間を要することなく液体金属冷却原子炉21を低温停止の状態にすることができる。
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態を図6により説明する。なお、本実施形態は第1の実施形態とヒートコレクタの構成のみが異なるものであるため、異なる部分を主体に説明する。
図6に示すように、第3の実施形態の液体金属冷却原子炉31は、受動冷却システム32を構成するヒートコレクタ33が、筒状の中空壁によって形成されており、中空部34には、空気より熱伝導度の低い、例えばアルゴンやクリプトン、キセノンなどのガス35が所定圧力で充填され、熱伝達効率が低くなるようになっている。
そして、このように構成された液体金属冷却原子炉31では、上述した第1の実施形態と同様に、例えば中性子吸収制御装置107を炉心103に挿入して原子炉運転の停止が行なわれると、運転停止後に発生する残留崩壊熱は、液体金属冷却材101から原子炉容器102、さらに格納容器105に熱放射により伝えられ、伝えられた格納容器105の熱は、受動冷却システム32によって外部に放出される。
この受動冷却システム32による熱の外部への放出は、気体冷却流路111の格納容器105外壁に沿った上昇流通路114を、格納容器105で加熱された高温の空気110Hが上昇して空気排出口116から外部に送り出されることで行なわれる。また空気110が加熱され上昇流通路114を流れることで自然対流が起こり、サイロ106内壁に沿った下降流通路113に外部からの低温の空気110Cが空気取入れ口9、取入れ配管8を介して導入され、空気110を介しての外部への熱放出が継続する。
受動冷却システム32による外部への熱放出の際、格納容器105の外壁表面から輻射によってヒートコレクタ33の格納容器105外壁に対向する壁面に熱が伝えられる。伝えられた熱は、ヒートコレクタ33の内部を熱伝導によりサイロ106内壁に対向する壁面側に伝えられる。しかし、ヒートコレクタ33の中空部34にガス35が充填され、熱通過抵抗が高くなっているので、サイロ106内壁に対向するヒートコレクタ33の壁面の温度上昇が抑制され、壁面温度を低温度に保持することができる。
そして、ヒートコレクタ33に対向するサイロ106の内壁面への輻射が抑えられ、サイロ106内壁の壁面温度を低温度に保持することができることになる。これにより、外部から空気取入れ口9、取入れ配管8を介して導入された低温の空気110Cが、低温度のまま格納容器105外壁に沿った上昇流通路114に流れ込むことになり、原子炉容器102の熱で暖められた格納容器105外壁との温度差を大きくとることができることになる。
以上の通り、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、確実に原子炉運転停止後に発生する残留崩壊熱を除去することができると共に、上昇流通路114に流れ込む低温の空気110Cと高温の空気110Hの温度差を大きくでき、より高い熱除去能力が得られ、長時間を要することなく液体金属冷却原子炉31を低温停止の状態にすることができる。
(第4の実施形態)
次に本発明の第4の実施形態を図7により説明する。なお、本実施形態は第1の実施形態とヒートコレクタの構成のみが異なるものであるため、異なる部分を主体に説明する。
図7に示すように、第4の実施形態の液体金属冷却原子炉41は、受動冷却システム42を構成するヒートコレクタ43が、筒状の中空壁によって形成されており、中空部44内は、所定圧力にまで減圧された真空状態になっている。
そして、このように構成された液体金属冷却原子炉41では、上述した第1の実施形態と同様に、例えば中性子吸収制御装置107を炉心103に挿入して原子炉運転の停止が行なわれると、運転停止後に発生する残留崩壊熱は、液体金属冷却材101から原子炉容器102、さらに格納容器105に熱放射により伝えられ、伝えられた格納容器105の熱は、受動冷却システム42によって外部に放出される。
この受動冷却システム42による熱の外部への放出は、気体冷却流路111の格納容器105外壁に沿った上昇流通路114を、格納容器105で加熱された高温の空気110Hが上昇して空気排出口116から外部に送り出されることで行なわれる。また空気110が加熱され上昇流通路114を流れることで自然対流が起こり、サイロ106内壁に沿った下降流通路113に外部からの低温の空気110Cが空気取入れ口9、取入れ配管8を介して導入され、空気110を介しての外部への熱放出が継続する。
受動冷却システム42による外部への熱放出の際、格納容器105の外壁表面から輻射によってヒートコレクタ43の格納容器105外壁に対向する壁面に熱が伝えられる。伝えられた熱は、ヒートコレクタ43の内部を熱伝導によりサイロ106内壁に対向する壁面側に伝えられる。しかし、ヒートコレクタ43の中空部44が所定圧力に減圧された真空状態になっていて熱通過抵抗が高くなっているので、サイロ106内壁に対向するヒートコレクタ43の壁面の温度上昇が抑制され、壁面温度を低温度に保持することができる。
そして、ヒートコレクタ43に対向するサイロ106の内壁面への輻射が抑えられ、サイロ106内壁の壁面温度を低温度に保持することができることになる。これにより、外部から空気取入れ口9、取入れ配管8を介して導入された低温の空気110Cが、低温度のまま格納容器105外壁に沿った上昇流通路114に流れ込むことになり、原子炉容器102の熱で暖められた格納容器105外壁との温度差を大きくとることができることになる。
以上の通り、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、確実に原子炉運転停止後に発生する残留崩壊熱を除去することができると共に、上昇流通路114に流れ込む低温の空気110Cと高温の空気110Hの温度差を大きくでき、より高い熱除去能力が得られ、長時間を要することなく液体金属冷却原子炉41を低温停止の状態にすることができる。
(第5の実施形態)
次に本発明の第5の実施形態を図8により説明する。なお、本実施形態は第1の実施形態とヒートコレクタの構成のみが異なるものであるため、異なる部分を主体に説明する。
図8に示すように、第5の実施形態の液体金属冷却原子炉51は、受動冷却システム52を構成する筒状のヒートコレクタ53を備えており、そのヒートコレクタ53には、下降流通路113の中間位置となる部位に、周方向に所定間隔で下降流通路113から上昇流通路114に向けて貫通する貫通孔54が形成されている。また各貫通孔54に対応して、上昇流通路114内にはエジェクタ55が、ノズル部55aを空気流通方向の上流側に、ディフューザ部55bを下流側とし、スロート部55cの吸引孔55dと貫通孔54とが連通するように配置され、例えば炉心103の格納位置より上方に配置されている。
このように構成された液体金属冷却原子炉51では、上述した第1の実施形態と同様に、通常時、原子炉容器102内に通常時液面位置まで満たされた液体金属冷却材101中に核燃料炉心103が沈められており、核燃料炉心103での核分裂によって発生した熱は、液体金属冷却材101を循環させることで外部に取り出され、発電等に供される。また運転中は核分裂による発生熱で格納容器105も高温になっていて、受動冷却システム52の気体冷却流路111を流通する空気110で冷却が行なわれている。
そして、気体冷却流路111に空気110を流通させて冷却を行う際、例えば冬季で外部空気の温度が−40℃であると、その低温の空気110Cが気体冷却流路111に取り込まれ、低温の空気110Cが低温度のまま下降流通路113を流下する。流下する低温の空気110Cの一部は、ヒートコレクタ53と格納容器105の間の上昇流通路114内中間位置に設けられたエジェクタ55により吸引され、高温の空気110Hとの混合がなされ、高温の空気110Hより低温となった混合空気110Mが上昇流通路114下流側に送り出されて流通し、空気排出口116から外部に排出される。
これにより、下降流通路113を流下する低温の空気110Cと上昇流通路114を流通しては排出される混合空気110Mの温度差が小さくなり、空気の循環流量が減少し、通常運転時の発電効率の減少を抑制することができる。
以上の通り、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、確実に原子炉運転停止後に発生する残留崩壊熱を除去することができると共に、通常運転時、空気取入れ口9から取り込む空気の温度が低い場合でも、空気排出口116から排出される空気との温度差を小さくでき、液体金属冷却原子炉51の発電効率の減少を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、ヒートコレクタ53が中空となっていないが、上述した第2乃至第4の実施形態のように、図示しないがヒートコレクタ53に中空部を形成し、中空部内に多数個の中空部材を充填したり、所定のガスを充填したり、中空部を真空状態にするようにして熱通過抵抗を高くし、サイロ106内壁面温度を低温度に保持できるよう構成してもよい。
(第6の実施形態)
次に本発明の第6の実施形態を図9により説明する。なお、本実施形態は第1の実施形態とヒートコレクタの構成のみが異なるものであるため、異なる部分を主体に説明する。
図9に示すように、第6の実施形態の液体金属冷却原子炉61は、受動冷却システム62を構成する筒状のヒートコレクタ63を備えており、そのヒートコレクタ63には、下降流通路113の中間位置、例えば炉心103の格納位置より上方となる部位に、周方向に所定間隔で下降流通路113から上昇流通路114に向けて貫通する連通孔64が形成されている。
このように構成された液体金属冷却原子炉61では、上述した第1の実施形態と同様に、通常時、原子炉容器102内に通常時液面位置まで満たされた液体金属冷却材101中に核燃料炉心103が沈められており、核燃料炉心103での核分裂によって発生した熱は、液体金属冷却材101を循環させることで外部に取り出され、発電等に供される。また運転中は核分裂による発生熱で格納容器105も高温になっていて、受動冷却システム62の気体冷却流路111を流通する空気110で冷却が行なわれている。
そして、気体冷却流路111に空気110を流通させて冷却を行う際、例えば冬季で外部空気の温度が−40℃であると、その低温の空気110Cが気体冷却流路111に取り込まれ、低温の空気110Cが低温度のまま下降流通路113を流下する。流下する低温の空気110Cの一部は、ヒートコレクタ63に形成された連通孔64からヒートコレクタ63と格納容器105の間の上昇流通路114内に流れ込み、上昇流通路114を流通する高温の空気110Hとの混合がなされ、高温の空気110Hより低温となった混合空気110Mが、連通孔64形成位置より下流側の上昇流通路114内を流通し、空気排出口116から外部に排出される。
これにより、下降流通路113を流下する低温の空気110Cと上昇流通路114を流通しては排出される混合空気110Mの温度差が小さくなり、空気の循環流量が減少し、通常運転時の発電効率の減少を抑制することができる。
以上の通り、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、確実に原子炉運転停止後に発生する残留崩壊熱を除去することができると共に、通常運転時、空気取入れ口9から取り込む空気の温度が低い場合でも、空気排出口116から排出される空気との温度差を小さくでき、液体金属冷却原子炉61の発電効率の減少を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、ヒートコレクタ63が中空となっていないが、上述した第2乃至第4の実施形態のように、図示しないがヒートコレクタ63に中空部を形成し、中空部内に多数個の中空部材を充填したり、所定のガスを充填したり、中空部を真空状態にするようにして熱通過抵抗を高くし、サイロ106内壁面温度を低温度に保持できるよう構成してもよい。
1,1a,21,31,41,51,61…液体金属冷却原子炉、2,2a,22,32,42,52,62…受動冷却システム、3…取入れ側ヘッダ、4…排出側ヘッダ、5…取入れ側連通管、6…排出側連通管、7…空気取入れ部、8…取入れ配管、9…空気取入れ口、10…溶融弁、11,115…排出配管、23,33,43,53,63,112…ヒートコレクタ、24,34,44…中空部、25…中空部材、35…ガス、54…貫通孔、55…エジェクタ、55a…ノズル部、55b…ディフューザ部、55c…スロート部、55d…吸引孔、64…連通孔、101…液体冷却材、102…原子炉容器、103…炉心、104…間隙、105…格納容器、106…サイロ、107…中性子吸収制御装置、108…間隙、110…空気、110C…低温の空気、110H…高温の空気、110M…混合空気、111…気体冷却流路、113…下降流通路、114…上昇流通路、116…排出口、119…反射体、120…電磁ポンプ、121…IHX、122…格納ドーム

Claims (7)

  1. 原子炉容器を格納する格納容器と、この格納容器を収納するサイロとの間に筒状のヒートコレクタを設けて前記ヒートコレクタと前記サイロとの間に気体冷却流路として下降流通路、前記ヒートコレクタと前記格納容器外壁との間に上昇流通路をそれぞれ形成し、前記下降流通路に空気取入れ部、取入れ配管を介して外部空気を導入して流下させ、前記サイロ底部で空気の流れを下降流から上昇流に変えて前記上昇流通路を流通させた後に、排出配管、空気排出口を介して外部に放出するよう構成して冷却を行う液体金属冷却原子炉用受動冷却システムであって、
    前記空気取入れ部が、相互間に所定離間距離以上の間隔を保って複数設けられ、かつ、前記空気排出口とも離間して設けるようにして配設されていると共に、前記空気取入れ部と前記格納容器との離間距離が、前記格納容器近傍での航空機事故等の影響を受け難い所定の距離以上となっていることを特徴とする液体金属冷却原子炉用受動冷却システム。
  2. 前記空気取入れ部が、空気取入れ口と溶融弁を備えてなり、かつ前記溶融弁が、前記空気取入れ口近傍の地表面に露出するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体金属冷却原子炉用受動冷却システム。
  3. 前記ヒートコレクタが中空に形成されており、前記中空の内部に複数の中空部材が充填されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の液体金属冷却原子炉用受動冷却システム。
  4. 前記ヒートコレクタが中空に形成されており、前記中空の内部に所定の気体が充填されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の液体金属冷却原子炉用受動冷却システム。
  5. 前記ヒートコレクタが中空に形成されており、前記中空の内部が所定の真空度に保たれていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の液体金属冷却原子炉用受動冷却システム。
  6. 前記ヒートコレクタと前記格納容器との間の前記上昇流通路中間部に、前記下降流通路中間部を流下する空気の一部を吸引し、前記上昇流通路を流通する空気と混合させて流通させるエジェクタが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の液体金属冷却原子炉用受動冷却システム。
  7. 前記ヒートコレクタに、前記下降流通路中間部と前記上昇流通路中間部とを連通する連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の液体金属冷却原子炉用受動冷却システム。
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