JP2011021207A - 再剥離型粘着剤および粘着シート類 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属板等の被着体に対する接着力の経時上昇が少なく、糊残りなく容易に剥離可能である再剥離型水系分散型粘着剤および粘着シートを、粘着剤の種類を増やすことなく提供することを目的としている。
【解決手段】少なくとも(メタ)アクリル酸エステルと、これらと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマーからなる単量体混合物を水系エマルション重合して得られる、重量平均分子量が5×104〜5×105未満の範囲にある水系分散体(A)、同じく重量平均分子量が5×105以上である水系分散体(B)、同じくゲルを有し、ゲル分が全体の95%以下であり、ゾル分の重量平均分子量が5×105以上である水系分散体(C)において、平均粒子径がいずれも0.01〜1μmの範囲にあり、水系分散体(A)が水系分散体(B)または水系分散体(C)と同等以下の平均粒子径を有し、固形分換算で(A)が10〜90wt%、(B)が10〜90wt%の範囲、あるいは(A)が10〜90wt%、(C)が10〜90wt%の範囲で任意に混合し、特定の貯蔵弾性率に調整できることを特徴とする再剥離型水系分散型粘着剤および粘着シート類を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも(メタ)アクリル酸エステルと、これらと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマーからなる単量体混合物を水系エマルション重合して得られる、重量平均分子量が5×104〜5×105未満の範囲にある水系分散体(A)、同じく重量平均分子量が5×105以上である水系分散体(B)、同じくゲルを有し、ゲル分が全体の95%以下であり、ゾル分の重量平均分子量が5×105以上である水系分散体(C)において、平均粒子径がいずれも0.01〜1μmの範囲にあり、水系分散体(A)が水系分散体(B)または水系分散体(C)と同等以下の平均粒子径を有し、固形分換算で(A)が10〜90wt%、(B)が10〜90wt%の範囲、あるいは(A)が10〜90wt%、(C)が10〜90wt%の範囲で任意に混合し、特定の貯蔵弾性率に調整できることを特徴とする再剥離型水系分散型粘着剤および粘着シート類を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、水分散型のアクリル系共重合体を用いた、金属板および樹脂成型品用表面保護フィルム、電子部品用保護フィルム、塗装用マスキングテープ、粘着メモ、使い捨てカイロ等の各種用途に用いられる再剥離型粘着剤と、これをシートやテープ状などの形態とした粘着シート類に関する。
たとえば表面保護フィルムは、金属板やプラスチック板、塗装板等の製品の運搬、貯蔵、加工時等における表面の傷付き、汚染、腐蝕等を防止するために、表面を一時的に保護し、この目的達成後は剥離除去される。したがって表面保護フィルムは、製品の運搬、貯蔵、加工時にはこの製品に接着して剥離することがなく、一方製品の使用時には容易に剥離できることが要求される。
同様に、塗装用マスキングテープにおいても、塗装時には接着して剥離することがなく、塗装後には糊残りなく容易に剥離できることが要求される。
一方、アクリル系粘着剤は、その優れた接着特性、耐候性などの点から従来のゴム系粘着剤に代わり広く普及してきた。また、環境対策、省資源、安全性などの観点から、有機溶剤を使用しない水系分散型アクリル系粘着剤の開発が進み、使用量もふえている。
表面保護フィルムに水系分散型の再剥離型粘着剤を用いた例も見られるが、従来の物は金属板等の製品に貼り付けた後、粘着剤の破壊が起こり、これが原因となって金属板等の製品の表面に糊残りが生じる場合があるという欠点を有していた。
さらに従来の再剥離型水系分散型粘着剤は被着体に対する濡れの進行にともない、表面粗さによる接着力の上昇が起こり、接着力の経時変化をもたらす場合があった。このため、この再剥離型粘着剤を用いた表面保護フィルムは、金属板等の製品に使用すると、剥離力が重く剥がしにくくなり、剥離作業に時間がかかったり、粘着剤の糊残りを生じたりした。
このように、従来のアクリル系共重合体の水系分散液をベースとした再剥離型粘着剤を用いた表面保護フィルムは、金属板等に貼り付けたのちの接着力の経時上昇が大きく、剥離作業に時間がかったり、糊残りが生じるなどの問題や、剥離力の温度依存性、被着体の表面粗さの影響等の問題もあった。
これらの問題点の対策として、従来は水系分散型再剥離型粘着剤のモノマー組成の変更によって対応することが多かった。しかしながらモノマー組成の変更は粘着剤の種類を無限に増加させることでもあり、製品群が煩雑になり、コスト面でも不利となっていた。
本発明は、従来の問題点を改善するためになされたもので、金属板等の被着体に対する接着力の経時上昇が少なく、糊残りなく容易に剥離可能である再剥離型水系分散型粘着剤および粘着シートを、粘着剤の種類を増やすことなく提供することを目的としている。
本発明者らは、再剥離型水系分散型粘着剤層を有する表面保護粘着シートの糊残りの原因を、ポリマー粒子間の境界、すなわち粒界の破壊にあることに着目した。粒界の破壊を防止するためには粒子間の相互作用を強力にするか、粒子間の融着を向上させ、粒界を消失させることにより、より均一な粘着剤層を創造する方法が考えられる。また剥離力を自由にコントロールするためには、たとえば低分子量ポリマーを多く含む軟らかい水系分散ポリマーと高分子量ポリマーやゲルを多く含む硬い水系分散ポリマーを、少なくとも2種類以上、任意の比率で混合する手段が考えられる。
このような観点から、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、耐候性および環境衛生などの特性面ですぐれるアクリル系共重合体の水系分散液をベースとした再剥離型粘着剤において、ポリマー粒子内にゲルを持たない、比較的低分子量の直線状ポリマーからなる水系分散体を混合することにより、粒子間の融着性が改善され、さらに混合比率の選択により自由に弾性率を調整し、剥離コントロールできることが分かった。さらにこの水系分散体は、融着性を改善したい他の水系分散体より粒子径が小さい方が効果的であった。
これらの知見を元に、本発明は、数種類のアクリルポリマーの水系分散体のみを利用し、これらの混合比率だけで弾性率を自由に調整して幅広い剥離力を有する製品郡を提供する。
すなわち本発明は、 少なくとも(メタ)アクリル酸エステルと、これらと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマーからなる単量体混合物を水系エマルション重合して得られる、重量平均分子量が5×104〜5×105未満の範囲にある水系分散体(A)、および少なくとも(メタ)アクリル酸エステルと、これらと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマーからなる単量体混合物を水系エマルション重合して得られる、重量平均分子量が5×105以上である水系分散体(B)において、平均粒子径がいずれも0.01〜1μmの範囲にあり、水系分散体(A)が水系分散体(B)と同等以下の平均粒子径を有し、固形分換算で(A)が10〜90wt%、(B)が10〜90wt%の範囲で任意に混合してなる粘着剤で、最終的に貯蔵弾性率が0℃で20〜100N/cm2、 23℃で20〜100N/cm2、100℃で1〜30N/cm2の範囲で調整できることを特徴とする再剥離型水系分散型粘着剤を提供する(請求項1)。
さらに本発明は、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルと、これらと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマーからなる単量体混合物を水系エマルション重合して得られる、ゲルを有し、ゲル分が全体の95wt%以下であり、ゾル分の重量平均分子量が5×105以上である水系分散体(C)、および上記(A)において、平均粒子径がいずれも0.01〜1μmの範囲にあり、水系分散体(A)が水系分散体(C)と同等以下の平均粒子径を有し、(A)が固形分換算で10〜90wt%、(C)が10〜90wt%の範囲で任意に混合してなる粘着剤で、最終的に貯蔵弾性率が0℃で20〜100N/cm2、 23℃で20〜100N/cm2、100℃で1〜30N/cm2の範囲で調整できることを特徴とする再剥離型水系分散型粘着剤に関わる(請求項2)。
(ここでゾル分分子量とは、上記重合物を酢酸エチルに一定時間浸漬した後、酢酸エチル中に溶出したポリマーの分子量である。)
(ここでゾル分分子量とは、上記重合物を酢酸エチルに一定時間浸漬した後、酢酸エチル中に溶出したポリマーの分子量である。)
また、上記官能基含有ビニル系モノマーが、官能基としてカルボキシル基を含むこと(請求項3)、さらにカルボキシル基を含む官能基含有ビニル系モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれること(請求項4)を特徴とする。
さらに請求項1〜請求項4記載の再剥離型水系分散型粘着剤を基材の片面あるいは両面に設けてなることを特徴する再剥離型粘着シートを提供する(請求項5)。
本発明は、ポリマーの拡散性が高い低分子量ポリマー粒子からなる水系分散体と、高凝集力が望める高分子量ポリマー粒子あるいはゲル含有ポリマー粒子からなる水系分散体とを混合することにより、高分子量ポリマーやゲルの特徴を生かしながら、融着性を高めた再剥離型水系分散型粘着剤を得ることができる。さらにこれらの水系分散体の混合比率により、少ない種類の水系分散ポリマーで、高弾性率粘着剤から低弾性率粘着剤まで自由に弾性率調整でき、低剥離力タイプの再剥離型粘着シートから高剥離力タイプの再剥離型粘着シートを得ることができる。これらの粘着剤を用いた再剥離型粘着シートは、剥離後の糊残りがなく、再剥離性も良好である。
本発明における水系分散体(A)、(B)および(C)は、a)一般式(1)
CH2=CR1COOR2 …(1)
(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数2〜14のアルキル基であ る。)
で表される(メタ)アクリル酸エステルを主単量体とし、これと、b)これらと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマー、を必須成分とし、必要により、c)上記aおよびb成分と共重合可能な単量体、を加えた単量体混合物を用いて、これらを公知の方法で水分散系重合、特に乳化重合させることにより得られるものである。
CH2=CR1COOR2 …(1)
(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数2〜14のアルキル基であ る。)
で表される(メタ)アクリル酸エステルを主単量体とし、これと、b)これらと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマー、を必須成分とし、必要により、c)上記aおよびb成分と共重合可能な単量体、を加えた単量体混合物を用いて、これらを公知の方法で水分散系重合、特に乳化重合させることにより得られるものである。
ここで、本発明における水系分散体(A)は重量平均分子量が5×104〜5×105未満の範囲であり、(B)は重量平均分子量が5×105以上、好ましくは5×105〜5×106であり、(C)はゲルを有し、ゲル分が全体の95wt%以下であり、ゾル分の重量平均分子量が5×105以上、好ましくは5×105〜5×106であることを特徴とする。(ここでゾル分分子量とは、上記重合物を酢酸エチルに一定時間浸漬した後、酢酸エチル中に溶出したポリマーの分子量である。)
a成分の(メタ)アクリル酸エステルは、アルキル基(一般式(1)中のR2)がエチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基などからなるアクリル酸ないしメタクリル酸のアルキルエステルである。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、目的、用途によって、その内の1種または2種以上を用いる。
これらの(メタ)アクリル酸エステルは、全単量体混合物100重量部に対し、60〜99重量部で用いることが好ましい。60重量部より少ないと粘着特性が損なわれるおそれがある。
b成分の官能基含有ビニル系モノマーは、乳化重合によって得られた水系分散体におけるポリマー粒子の安定化、粘着剤層の基材への密着性を向上させ、また被着体への初期接着性を良くするためのものであり、上記a成分の(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体である。これらは官能基としてカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などを含有するものを用いることができ、特にカルボキシル基を含有するものが好適に用いられる。
カルボキシル基を含有するビニル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸などを用いることができ、特に共重合反応性の高さやポリマー粒子の分散安定性及び機械的安定性の点でアクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。これらもは、目的、用途に応じて1種または2種以上が用いられる。
また、スルホン酸基を含有するビニル系モノマーとしては、たとえば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、4−スチレンスルホン酸などが挙げられ、リン酸基を含有する単量体としては、たとえば2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−ヒドロキシプロピルアクリロイルホスフェートなどの化合物が挙げられ、その目的、用途に応じて1種または2種以上用いられる。
これらの官能基含有ビニル系モノマーからなる単量体は、全単量体混合物100重量部に対し、1〜40重量部で用いることが好ましい。1重量部未満ではその効果が得にくく、40重量部を超えると粘着特性が損なわれるおそれがある。
本発明においては,要求される特性に応じて、上記aおよびb成分と共重合可能な単量体(c成分)を加えることができる。これらは(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸メチル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンなどが含まれる。これらは必要に応じ、1種または2種以上用いることができる。
これらc成分は、各単量体の種類に応じて適宜使用量を選択できるが、良好な感圧接着性を発現させるために、得られるポリマーのガラス転移温度が通常−20℃以下となるように使用量を決めるのが望ましい。
また上記c成分以外に多官能性アクリル系単量体を用いることで、重合段階で予め架橋を行い、粒子内部にゲルを有する水系分散体(C)を得ることができる。多官能性アクリル系単量体としては、たとえばメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性アクリル系単量体は、(メタ)アクリル酸エステル、官能基含有ビニル系モノマーおよびその他の単量体、乳化剤等と共に水に乳化分散させ、乳化重合できる。これらの使用量はアクリルポリマー固形分、100重量部に対し、通常2重量部以下が望ましい。
また、本発明における、粒子内部にゲルを有することを特徴とする水系分散体(C)の作製方法として、後述する重合開始剤に過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩を用いることで、乳化重合の際にポリマー鎖間での架橋反応を起こしゲルを生じさせることもできる。
なお、本発明において水系分散体(C)のゲル分、すなわちアクリルポリマーの固形分に占めるゲルの割合は、95wt%以下であることが必要であり、これを超えると初期接着性が極端に低下するおそれがあり好ましくない。
本発明において乳化重合の方法は特に限定されず、水に乳化分散した単量体混合物を一括仕込み、あるいは滴下法など、目的や用途に応じて任意の手法で乳化重合できる。この乳化重合において、乳化剤としては、ノニオン系界面活性剤およびまたはアニオン系界面活性剤を利用することが望ましい。使用する量は、要求する粒子径により、全単量体量混合物100重量部に対し、ノニオン系界面活性剤あるいはアニオン系界面活性剤単独の場合、0.3〜30重量部であり、両者を併用する場合は、前者が0.2〜20重量部、後者が0.1〜10重量部である。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類などが用いられる。一方アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルスルホ琥珀酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類などが用いられる。
本発明において各水系分散体の平均粒子径は、0.01〜1μmに調整され、水系分散体(A)の平均粒子径は水系分散体(B)および(C)の平均粒子径以下である。ここで、各平均粒子径が0.01μmより小さい場合は水系分散体の粘度が上昇し、塗工の際、平滑な粘着剤層が得にくく、また1μmより大きい場合は粒子間の融着性が低下し、再剥離時に糊残りを起こす場合があり、いずれも好ましくない。
本発明において用いられる重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば2,2'−アゾビス(2−アミジノプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ヂメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ニ硫酸塩二水和物、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などのアゾ系開始剤、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムなどのレドックス系開始剤などが挙げられ、その目的、用途に応じて1種または2種以上用いられる。
本発明においては、アクリルポリマーの分子量を調整するために連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノールなどが挙げられ、その目的、用途に応じて1種または2種以上が用いられる。
本発明におけるアクリル系水系分散体(A)、(B)および(C)は、それぞれアクリルポリマーとしての固形分が30〜65wt%の範囲で調整されているものが好ましい。この範囲に調整することで、適当な粘度が得られ取り扱いが容易となる。
本発明に用いる再剥離型水系分散型粘着剤は、重量平均分子量が5×104〜5×105未満の範囲にあるアクリル系ポリマーを含む水系分散体(A)と重量平均分子量が5×105以上、好ましくは5×105〜5×106であるアクリル系ポリマーを含む水系分散体(B)とを、固形分換算で(A)が10〜90wt%、好ましくは20〜80wt%、(B)が10〜90wt%、好ましくは20〜80wt%の範囲で混合することを特徴とする。
または別の形態として水系分散体(A)は、ゲルを有し、ゲル分が全体の95wt%以下であり、ゾル分の重量平均分子量が5×105以上、好ましくは5×105〜5×106であるアクリル系ポリマーを含む水系分散体(C)とも混合でき、(A)が固形分換算で10〜90wt%、好ましくは20〜80wt%、(C)が10〜90wt%、好ましくは20〜80wt%の範囲で任意に混合することを特徴とする。(ここでゾル分分子量とは、上記重合物を酢酸エチルに一定時間浸漬した後、酢酸エチル中に溶出したポリマーの分子量である。)
一般的に、高分子量ポリマーは凝集力が相対的に大きく、ポリマーの凝集力を必要とする用途には有利である。しかし、これと相反して分子量の増大にともないポリマーの拡散が低下する。拡散の低下は水系分散体をベースとするポリマー粒子間の融着性や融着にともなう成膜性も低下する傾向がある。結果的に粘着剤層には粒界が残り、加工時において粒子間での破壊を招く。この問題は、相対的に高分子量のポリマー粒子からなる水系分散体[本明細書における水系分散体(B)]に、相対的に低分子量のポリマー粒子からなる水系分散体[本明細書における水系分散体(A)]を混合することにより、高分子量体の高凝集力を維持しながら、低分子量体の高拡散性による融着性の向上によって改善できる。
ポリマー粒子の融着性や成膜性の低下はポリマー粒子内にゲルが存在する場合[本明細書における水系分散体(C)]においても考えられ、ここでも(A)のような低分子量体のポリマー粒子からなる水系分散体を混合することにより改善が可能になる。
これらの効果が現れるのは(A)の比率が固形分換算で90wt%以下の場合であり、これを越えると、融着性は維持されるものの、凝集力が低下し、これにともない濡れ性が上がってしまい、加工時における糊残りや接着力上昇の原因にもなり得る。また、(A)の比率が固形分換算で10wt%未満の場合、実質的に融着性の改善効果は得にくく好ましくない。
また(A)の重量平均分子量が5×104未満では、(A)自身の凝集力不足のため加工時における糊残りや接着力上昇を導き、また5×105以上では低分子量体の高拡散性による融着性の改善がみられず好ましくない。
さらに(B)の重量平均分子量が5×105未満では、高分子量体の高凝集力が維持されず好ましくない。
同様に(C)のゾル分の重量平均分子量が5×105未満では、高分子量体の高凝集力が維持されず好ましくない。
さらに付け加えると、融着性を向上させる低分子量ポリマー粒子の平均粒子径は、高分子量ポリマー粒子やゲル含有ポリマー粒子の平均粒子径より同等か、より小さい方が有効である。本発明においては、水系分散体(A)、(B)および(C)は、平均粒子径がいずれも0.01〜1μm範囲にあり、(A)の平均粒子径が(B)および(C)の平均粒子径以下である。これはより小さい粒子は比表面積がより増大するため、大粒子の表面に対する小粒子の接触面積も増加し、粒子間の融着が効果的に起こることを考慮したものである。
このように調製される再剥離型水系分散型粘着剤に対して、凝集性やポリマー粒子間の結合力の向上を図る目的で、粒子外部架橋剤を後添加することが重要である。このような粒子外部架橋剤には従来より用いられてきたものを使用することができ、例えば『ウォーターゾールS−695』(大日本インキ(株)製)等の水溶性メラミン樹脂化合物、『アクアネート』(日本ポリウレタン工業(株)製)、『タケネート』、『タケラック』(武田薬品工業(株)製)等の水性イソシアネート化合物、『エポミン』(日本触媒工業(株)製)等の水溶性エチレンイミン(アジリジン)系化合物、『ケミタイトDZ−22』(日本触媒工業(株)製)等の水分散型アジリジン系化合物、『ポリメント』(日本触媒工業(株)製)等のエチレンイミン(アジリジン)系化合物、『ニッサンT.E.P.I.C』(日産化学(株)製)、『エポライト』(共栄社化学(株)製)等の水性エポキシ系化合物、『エポクロスWS−500』(日本触媒工業(株)製)等の水性オキサゾリン系化合物などを挙げることができる。
これらの架橋剤は目的、用途、ポリマーの単量体組成に応じ、水系分散体(A)と(B)、あるいは(A)と(C)のアクリルポリマーの合計固形分100重量部に対し、0.01〜20重量部が望ましい。0.01重量部未満ではその効果が得にくく、また20重量部を超えると実質的に未反応の架橋剤が残存し、剥離時に被着体を汚染する場合があり好ましくない。
さらに本発明においては、分子量の異なる2種類の水系分散体(A)および(B)あるいは、(A)および(C)を所定の範囲内で任意に混合して、最終的に貯蔵弾性率が0℃で20〜100N/cm2、好ましくは20〜70N/cm2、 23℃で20〜100N/cm2、好ましくは20〜70N/cm2、100℃で1〜30N/cm2、好ましくは5〜25N/cm2の範囲で調整できることを特徴とする。ここで最終的にとは、分子量の異なる2種類の水系分散体を混合し、前述の粒子外部架橋剤および必要に応じて後述の添加剤を配合して粘着剤混合物とし、これをフィルム状に塗布、乾燥した状態を言う。貯蔵弾性率測定用の粘着フィルムの作製方法は、後述の実施中に記載した。
各温度において所定の範囲内の貯蔵弾性率に調整することで、得られる粘着剤組成物は良好な再剥離性を示し、また高弾性率から低弾性率まで自由に弾性率を調整でき、低剥離力タイプから高剥離力タイプの再剥離型粘着シートを得ることができる。
ここで、各温度において下限値より低い貯蔵弾性率では剥離力が高くなりすぎ再剥離用としては適さず、また上限値より高い貯蔵弾性率では適度な剥離力が得られず、いずれも好ましくない。
本発明における再剥離型水系分散型粘着剤には、上記水系分散体(A)、(B)および(C)、粒子外部架橋剤あるいは粒子内部架橋剤の他、必要により、無機粉末、金属粉末などの充填剤、顔料、着色剤などの通常使用される添加剤を配合してもよい。これらの添加剤の使用量は、通常用いられている量でよい。
このように調製した再剥離型水系分散型粘着剤を有する再剥離型粘着シート類は、基材の片面または両面にこれら粘着剤を塗付、乾燥して、厚さが通常1〜100μmの粘着剤層を形成して、シート状やテープ状などの形態としたものである。基材上に粘着剤組成物を塗布するには、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工などの塗工方式を用いて行えばよい。また、表面に剥離処理を行った剥離紙に粘着剤組成物を塗布し加熱乾燥させた後、基材に転写することにより粘着剤層を形成することもできる。基材については、使用目的に応じ、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルムなどからなる、厚さが通常10〜300μmのプラスチックフィルムや、不織布、織布、網状物などの多孔部材、金属箔などの公知の各種材質のものが用いられる。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。なお、ここで部とは重量部を示す。
[参考例1〜3] 以下の処方により、3種類の水系分散体を作製した。なお、それぞれの重量平均分子量、ゲル分率、平均粒子径は以下の方法にて測定した。
[分子量測定] 水系分散体を剥離紙上に塗布し、80℃で5分間乾燥後、ゲルを含まない粘着剤組成物はそのままテトラヒドロフランを加え、0.1wt%のテトラヒドロフラン溶液を作製した。ゲルを有する粘着剤組成物は酢酸エチルに一定時間浸漬し、不溶分をろ過後、ろ液を乾燥し、残留物(酢酸エチル溶出物)にテトラヒドロフランを加え、0.1wt%のテトラヒドロフラン溶液を作製した。これを孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン膜によりろ過し、このろ液を用いて、GPC(ゲル浸透クロマトフィー)により分子量を測定した。
測定条件:溶出液THF、液送量1.0ml/min、カラム温度38℃
標準ポリスチレン換算
測定条件:溶出液THF、液送量1.0ml/min、カラム温度38℃
標準ポリスチレン換算
[ゲル分測定法] 水系分散体を剥離紙上に塗布し、80℃で5分間乾燥して粘着剤組成物を得た。粘着剤組成物を秤量し、酢酸エチルに一定時間浸漬した後、不溶分をろ過し、酢酸エチルを乾燥後、この酢酸エチル不溶分を秤量した。ゲル分は以下の式により算出した。
ゲル分(wt%)=(酢酸エチル不溶分の重量/酢酸エチル浸漬前の重量)×100
ゲル分(wt%)=(酢酸エチル不溶分の重量/酢酸エチル浸漬前の重量)×100
[平均粒子径] 水系分散体の希釈液を調整し、(株)堀場製作所製、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−910)にをより、平均粒子径を測定した。
[参考例1] 冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル59部、メタクリル酸ブチル40部およびアクリル酸1部からなる単量体混合物、重合開始剤として、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド0.02部、連鎖移動剤として1−ドデカンチオール0.15部、乳化剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル1.5部、およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム1.5部、水100部を乳化分散後、乳化重合し、水系分散体(A)を得た。このものは、得られたポリマーの重量平均分子量が3.5×105、平均粒子径が0.1μmであった。
[参考例2] 冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル59部、メタクリル酸ブチル40部およびアクリル酸1部からなる単量体混合物、重合開始剤として、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド0.02部、連鎖移動剤として1-ドデカンチオール0.05部、乳化剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.3部、およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム0.3部、水100部を乳化分散後、乳化重合し、水系分散体(B)を得た。このものは、得られたポリマーの重量平均分子量が30×105、平均粒子径が0.5μmであった。
[参考例3] 冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル59部、メタクリル酸ブチル40部およびアクリル酸1部からなる単量体混合物、重合開始剤として、過硫酸アンモニウム0.3部、乳化剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル1部、およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム1部、水100部を乳化分散後、乳化重合し、水系分散体(C)を得た。このものは、得られたポリマーのゲル分が75%、ゾル分の重量平均分子量が10×105、平均粒子径が0.3μmであった。
[実施例1〜6、比較例1〜3] 以下の実施例および比較例においては、下記組成からなる水系分散型粘着剤組成物を調整し、そのまま厚さ60μmのポリエチレンフィルム上に最終的に厚さ5μmの粘着剤層になるように塗工、乾燥して粘着シートを得た。
[実施例1] 参考例1で得た水系分散体(A)と参考例2で得た水系分散体(B)とを固形分換算でポリマー比、(A):(B)=20wt%:80wt%で混合し、この混合物のポリマー固形分100部あたり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒(株)製「エポクロスWS500」)3部を混合して再剥離型水系分散型粘着剤を調製した。
[実施例2] 参考例1で得た水系分散体(A)と参考例2で得た水系分散体(B)とを固形分換算でポリマー比、(A):(B)=50wt%:50wt%で混合し、この混合物のポリマー固形分100部あたり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒(株)製「エポクロスWS500」)3部を混合して再剥離型水系分散型粘着剤を調製した。
[実施例3] 参考例1で得た水系分散体(A)と参考例2で得た水系分散体(B)とを固形分換算でポリマー比、(A):(B)= 80wt%:20wt%で混合し、この混合物のポリマー固形分100部あたり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒(株)製「エポクロスWS500」)3部を混合して再剥離型水系分散型粘着剤を調製した。
[実施例4] 参考例1で得た水系分散体(A)と参考例3で得た水系分散体(C)とを固形分換算でポリマー比、(A):(C)=20wt%:80wt%で混合し、この混合物のポリマー固形分100部あたり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒(株)製「エポクロスWS500」)3部を混合して再剥離型水系分散型粘着剤を調製した。
[実施例5] 参考例1で得た水系分散体(A)と参考例3で得た水系分散体(C)とを固形分換算でポリマー比、(A):(C)=50wt%:50wt%で混合し、この混合物のポリマー固形分100部あたり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒(株)製「エポクロスWS500」)3部を混合して再剥離型水系分散型粘着剤を調製した。
[実施例6] 参考例1で得た水系分散体(A)と参考例3で得た水系分散体(C)とを固形分換算でポリマー比、(A):(C)=80wt%:20wt%で混合し、この混合物のポリマー固形分100部あたり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒(株)製「エポクロスWS500」)3部を混合して再剥離型水系分散型粘着剤を調製した。
[比較例1] 参考例1で得た水系分散体(A)100部に、この分散体のポリマー固形分100部あたり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒(株)製「エポクロスWS500」)3部を混合して再剥離型水系分散型粘着剤を調製した。
[比較例2] 参考例2で得た水系分散体(B)100部に、この分散体のポリマー固形分100部あたり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒(株)製「エポクロスWS500」)3部を混合して再剥離型水系分散型粘着剤を調製した。
[比較例3] 参考例3で得た水系分散体(B)100部に、この分散体のポリマー固形分100部あたり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒(株)製「エポクロスWS500」)3部を混合して再剥離型水系分散型粘着剤を調製した。
[評価] 各実施例および比較例で得られた粘着剤の貯蔵弾性率とこれらの粘着剤からなる粘着シートにおける、粘着剤の接着性試験、再剥離性試験および糊残り試験(加工試験)を下記方法で測定し、貯蔵弾性率の結果を表1に、粘着剤の接着性試験、再剥離性試験および糊残り試験(加工試験)を表2まとめた。
[接着性試験] 得られた粘着シートから、20mm×100mm(幅×長さ=塗工の流れ方向)の試験片をサンプリングし、被着体であるステンレス鋼板(SUS430BA)に2kgの圧着ローラを1往復させ圧着した。23℃で20分間放置した後、引張り速度300mm/min、23℃、65%RHの条件下で、180°剥離により、剥離に要する力を測定した。
[再剥離性試験] 得られた粘着シートから、20mm×100mm(幅×長さ=塗工の流れ方向)の試験片をサンプリングし、被着体であるステンレス鋼板(SUS430BA)に2kgの圧着ローラを1往復させ圧着した。23℃で24時間放置した後、引張り速度300mm/min、23℃、65%RHの条件下で、180°剥離により、剥離に要する力を測定した。
[糊残り性試験(加工試験)] 幅30mm、長さ100mm、厚さ1.0mmのステンレス鋼板(SUS430BA)を被着体とし、得られた粘着シートからサンプリングした、被着体とほぼ同じ大きさのテープ状物を5kgの圧着ローラを1往復させ圧着した。23℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置し試験片とした。
この試験片を幅8mm、R=1.0mmの断面逆三角形の凹部を有する金型の上に、上記凹部側に粘着テープが接するように試験片を配置した後、その上から、すなわち被着体の粘着シートを貼り合せていない側の上方から、プレス機にて90°曲げ試験を行なった。その後、試験片から粘着テープを剥離したときに、被着体への糊残りを調べた。糊残りが全くないものを○、部分的に糊残りが見られるものを△、糊残りが全面に見られるものを×と評価した。
[貯蔵弾性率測定] ポリエチレンシート上に各実施例および比較例の粘着剤を塗布、乾燥して、厚みが約10μmの貯蔵弾性率測定用の粘着剤フィルムを作製した。得られた粘着剤フィルムを積層し厚さ約1.5mmの粘着剤の板を作製し、これを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートに上下から挟み込み、温度を走査してその粘弾性測定から貯蔵弾性率を計測した。
表1に示したように、水系分散体の種類および混合比率によって、様々な弾性率を調整することができる。
また表2に示したように、2種類の異なった水系分散体を混合するだけで、高接着力タイプから低接着力タイプまで幅広い対応ができる。糊残り試験において、比較例1では凝集力不足により、比較例2および3では粒界の破壊によるものと思われる糊残りが観察された。これに対し、実施例1〜6において、低分子量ポリマー粒子からなる水系分散体(A)を混合することにより、糊残り性が改善されていることが分かる。これは低分子量ポリマーを加えたことによって、拡散性および融着性が向上したものと予想できる。高接着力タイプ(実施例3)でも糊残り性は比較的良好であった。またこれら実施例は、剥離力の上昇性が小さく、再剥離性に関しても問題がないことが分かる。
Claims (5)
- 少なくとも(メタ)アクリル酸エステルと、これらと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマーからなる単量体混合物を水系エマルション重合して得られる、重量平均分子量が5×104〜5×105未満の範囲にある水系分散体(A)、および少なくとも(メタ)アクリル酸エステルと、これらと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマーからなる単量体混合物を水系エマルション重合して得られる、重量平均分子量が5×105以上である水系分散体(B)において、平均粒子径がいずれも0.01〜1μmの範囲にあり、水系分散体(A)が水系分散体(B)と同等以下の平均粒子径を有し、固形分換算で(A)が10〜90wt%、(B)が10〜90wt%の範囲で任意に混合してなる粘着剤で、最終的に貯蔵弾性率が0℃で20〜100N/cm2、 23℃で20〜100N/cm2、100℃で1〜30N/cm2の範囲で調整できることを特徴とする再剥離型水系分散型粘着剤。
- 少なくとも(メタ)アクリル酸エステルと、これらと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマーからなる単量体混合物を水系エマルション重合して得られる、ゲルを有し、ゲル分が全体の95wt%以下であり、ゾル分の重量平均分子量が5×105以上である水系分散体(C)、および上記(A)において、平均粒子径がいずれも0.01〜1μmの範囲にあり、水系分散体(A)が水系分散体(C)と同等以下の平均粒子径を有し、(A)が固形分換算で10〜90wt%、(C)が10〜90wt%の範囲で任意に混合してなる粘着剤で、最終的に貯蔵弾性率が0℃で20〜100N/cm2、 23℃で20〜100N/cm2、100℃で1〜30N/cm2の範囲で調整できることを特徴とする再剥離型水系分散型粘着剤。
(ここでゾル分分子量とは、上記重合物を酢酸エチルに一定時間浸漬した後、酢酸エチル中に溶出したポリマーの分子量である。) - 官能基含有ビニル系モノマーが、官能基としてカルボキシル基を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の再剥離型水系分散型粘着剤。
- カルボキシル基を含む官能基含有ビニル系モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる、請求項3に記載の再剥離型水系分散型粘着剤。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の再剥離型水系分散型粘着剤を基材の片面あるいは両面に設けてなることを特徴する再剥離型粘着シート類。
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