JP2011012057A - 洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】毛穴に形成される硬い固形状の汚れ、特に角栓の除去効果に優れ、手間を要しない皮膚の洗浄方法を提供すること。
【解決手段】次の(A)、(B)の工程を含む皮膚の洗浄方法であって、(A)水溶性溶媒、界面活性剤、及び水を含み、連続相が水相からなる剤を皮膚になじませる工程、(B)連続相が油相からなる剤を皮膚になじませる工程で、(A)の工程の後、(B)の工程を行う皮膚の洗浄方法。
【選択図】図1
Description
従来、毛穴に形成される硬い固形状の汚れ、特に角栓を除去する方法としては、シート剤を肌に貼り付けたり、パック剤を塗布した後、シート剤、パック剤を剥がす方法が提案されている(特許文献1,2参照)。
また、角栓を除去する方法として、所定の粘度の油分を有する化粧料を用いて、皮膚をマッサージする方法が提案されている(特許文献3参照)。
特許文献1や特許文献2では、シート剤を皮膚に貼付、あるいはパック剤で毛穴を包み込んで、これらに毛穴の汚れである角栓を吸着させた後、シート剤やパック剤を剥離して、同時に角栓も除去する。この方法では、シート剤やパック剤を、肌に貼り付けた後、剥離前に乾燥させる必要があるなど、面倒であった。
また、特許文献3に記載された方法は、主基剤の油分が角栓を溶解する効果を利用したものであり、ある程度の角栓除去効果はあるものの根本的に角栓を取り去るには十分満足できるものではなかった。
(A)水溶性溶媒、界面活性剤、及び水を含み、連続相が水相からなる剤で皮膚を洗浄する工程の後、
(B)連続相が油相からなる剤で皮膚を洗浄する工程で皮膚を洗浄することで、
毛穴に形成される硬い固形状の汚れ、特に角栓の除去効果に優れ、手間を要しない皮膚の洗浄方法を得ることができることを見出した。
(A)水溶性溶媒、界面活性剤、及び水を含み、連続相が水相からなる剤を皮膚になじませる工程、
(B)連続相が油相からなる剤を皮膚になじませる工程を含み、
(A)の工程の後、(B)の工程を行う皮膚の洗浄方法を提供するものである。
また、本発明は、
(A)水溶性溶媒、界面活性剤、及び水を含み、連続相が水相からなる剤を皮膚になじませる工程と、
(C)油剤、界面活性剤、水溶性溶媒、及び水を含み、油相および水相それぞれが連続相となった等方性1液相からなる剤を皮膚になじませる工程と、
(B)連続相が油相からなる剤を皮膚になじませる工程を含み、
(A)の工程の後、(C)の工程を行い、その後、(B)の工程を行う皮膚の洗浄方法を提供するものである。
さらに、本発明は、(A)油剤、水酸基を1ないし2含有し、炭素数2〜6である化合物、界面活性剤、及び水を含み、連続相が水相からなるO/W型エマルジョンの剤を皮膚になじませる工程と、
(C)前記剤から、水分を蒸散させ、油相および水相それぞれが連続相となった等方性1液相に相変化させ、等方性1液相からなる剤を皮膚になじませる工程と、
(B)さらに、等方性1液相からなる前記剤から、水分を蒸散させ、連続相を油相に相変化させ、連続相が油相からなる剤を皮膚になじませる工程を含む皮膚の洗浄方法を提供するものである。
(第一実施形態)
第一実施形態にかかる洗浄方法は、
工程(A):水溶性溶媒、界面活性剤、及び水を含み、連続相が水相からなる剤を皮膚になじませる(洗浄する)工程、
工程(B):連続相が油相からなる剤を皮膚になじませる(洗浄する)工程を含み、
(A)の工程の後、(B)の工程を行うことで、皮膚の汚れを洗浄する洗浄方法である。
本発明の工程(A)は、水溶性溶媒(成分(a))、界面活性剤(成分(b))、及び水(成分(c))を含み、連続相が水相からなる剤を皮膚に塗布し、前記剤と皮膚の汚れとをなじませる工程である。
本発明の工程(A)に用いる成分(a)の化合物は、水溶性溶媒であり、炭素数2以上、6以下の1価又は2価のアルコール、炭素数2以上、35以下のポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類のいずれかが好ましい。洗浄性の高さの観点から、具体的には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の炭素数2以上、6以下の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール等の炭素数2以上、6以下であり、水酸基を2つ有するグリコール類、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル類があげられる。
ポリエチレングリコール類又はポリプロピレングリコール類としては、分子量1000以下のポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類を用いることができ、例えばジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(9)ジグリセリル等が挙げられる。これらのうち、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、特に、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが、油性汚れ及び水溶性汚れに対する洗浄性能が良好であるので好ましい。
なかでも、毛穴へのなじみやすさの観点から、炭素数2以上、6以下のグリコール類が好ましく、特に、炭素数3以上、6以下のグリコール類が好ましい。たとえば、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールは角栓の除去性能に優れている。
成分(b)の混合界面活性剤のHLBを10以上、18以下とすることで、洗浄剤組成物を、可溶化系、又はO/W型エマルジョンとすることができる。
なお、2種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。
非イオン界面活性剤が複数ある場合、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの重量(g)を示す。
具体的には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリアルキルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、(ポリ)アルキルグリセリルエーテル、等が挙げられる。
特に、油性汚れに対する洗浄性の面で、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、(ポリ)アルキルグリセリルエーテル、アルキルポリグルコシドが好ましい。
つまり、混合した2種以上の非イオン界面活性剤の最も高いHLBと最も低いHLBの差が5以上ある組み合わせにすることが良く、特に7以上であることで、洗浄剤組成物の安定性を高めることに優れている。
本発明の工程(B)は、連続相が油相からなる剤を皮膚に塗布し皮膚の汚れとをなじませる工程である。
連続相が油相からなる剤は、成分(d)として、油剤を含むことが好ましい。
本発明の工程(B)に用いる成分(d)の油剤は、常温で液状であり、30℃における粘度が30mPa・s以下のものが好ましい。ここで、粘度は、BM型粘度計(トキメック社製、測定条件:ローターNo.1、60rpm、30℃)により測定するものである。
このような粘度の低い油剤は、細かな部分への浸透性が高く、汚れの溶解性も高いため、毛穴に形成される硬い固形状の汚れ、特に角栓などの汚れに対して優れた洗浄力を有する。特に、油っぽさを緩和して、適度な使用感にする観点から成分(d)の30℃における粘度が、10mPa・s以下の低粘度のものが、強い油性感を伴わず、使用感も良好である。
ここで、従来の技術水準について説明する。従来は、皮膚を洗浄する場合において、はじめに、肌に油剤を塗布し、メイキャップ等と油剤とをなじませる。その後、油剤を水で洗浄して油剤を肌から除去した後、連続相が水相で構成される洗浄剤で肌を再度洗浄する。
メイキャップ等の脂を含む汚れと、連続相が水相で構成される洗浄剤とは比較的なじみにくいので、あらかじめ、油剤でメイキャップ等を浮かせて洗浄させることが有効であると考えられている。この場合には、メイキャップ等を除去することはできるものの、毛穴の汚れまでも除去することは難しい。
これに対し、本発明者は、従来の洗浄方法とは逆の手順で肌を洗浄する、すなわち、あらかじめ、連続相が水相で構成される剤で肌を洗浄し、その後、連続相が油相で構成される剤で肌を洗浄することで、毛穴内部の皮脂を溶解して毛穴に形成される硬い固形状の汚れ、特に角栓を確実に除去することができることを見出した。あらかじめ連続相が水相で構成される剤を使用することで、毛穴周りなどの表層の汚れが除去しやすくなり、連続相が油相である洗浄剤が毛穴のより内部に作用できる状況にでき、毛穴内部の汚れが確実に除去できるのであると考えられる。
さらに本実施形態では、各工程において、剤(洗浄液)を皮膚になじませているため、従来のシートやパックを使用する方法に比べ、刺激性が少なくなるとともに、シートやパックを乾燥させるための手間を省くことができる。
(B)の工程後は、(D)水を添加し、前記剤を皮膚から除去する工程を行う。この結果、角栓とともに洗浄剤も肌から除去される。(A)の工程で使用した剤、(B)の工程で使用した剤は、肌から除去され、肌内部に浸透することはない。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
本実施形態の皮膚の洗浄方法は、
(A)水溶性溶媒、界面活性剤、及び水を含み、連続相が水相からなる剤を皮膚になじませる(洗浄する)工程、
(C)油剤、界面活性剤、水溶性溶媒、及び水を含み、油相および水相それぞれが連続相となった等方性1液相からなる剤を皮膚になじませる(洗浄する)工程、
(B)連続相が油相からなる剤を皮膚になじませる(洗浄する)工程を含み
(A)の工程の後、(C)の工程を行い、その後、(B)の工程を行うことで、皮膚の汚れを洗浄する方法である。
たとえば、特開2004−217640号公報、特開2008−184413号公報、特開2008−184414号公報に開示された洗浄剤組成物を使用することができる。
(e)油剤3〜80質量%、(f)親水性非イオン界面活性剤1〜45質量%、(g)親油性親媒性物質1〜45質量%、(h)水溶性溶媒3〜80質量%、(i)水3〜80質量%含有し、バイコンティニュアス相で構成される洗浄剤組成物を使用することができる。
更には、25℃における粘度が30mPa・s以下のものが好ましい。なお、粘度は、BM型粘度計(トキメック社製、測定条件:ローターNo.1、60rpm)により測定したものである。
成分(h)は、成分(f)の親水性非イオン性界面活性剤、および成分(g)の親油性両親媒性物質の親水性を高くすることができるものが好ましい。成分(f)親水性非イオン性界面活性剤、及び成分(g)親油性両親媒性物質の親水性を高くすることができる性質とは、成分(h)を添加することによって、非イオン性界面活性剤の曇り点(曇点)を上げる性質などのことを意味し、鷺谷ら、油化学、第33巻、第3号、p.156−161(1984)等に記載されているものである。
初め、工程(A):連続相が水相である洗浄剤を皮膚になじませる。
連続相が水相である洗浄剤は、毛穴周りの汚れと皮膚からの代謝物を膨潤させ、表層の汚れを除去する。
次に、工程(C):油相および水相それぞれが連続相となった等方性1液相である洗浄剤を皮膚になじませる。
濡れ性が高く、肌に良くなじみ、細かい部分にまで剤が浸透する。これにより、洗浄剤は、表層の汚れが除去されたところから、浸透し、毛穴のより深いところまで作用することができる。
次に、工程(B):連続相が油相である洗浄剤を皮膚になじませる。
この洗浄剤は、毛穴内部のより固体状の皮脂が成分(d)によって溶解される。毛穴に形成される硬い固形状の汚れ、特に角栓を溶解する効果に優れ、肌に刺激性が少なく、さらに角栓除去効果が高まるものである。
また本実施形態では、各工程において、剤(洗浄液)を皮膚になじませており、従来のシートやパックを使用する方法に比べ、剤を乾燥させる必要がないので簡便である。
本実施形態の皮膚の洗浄方法は、
(A)非イオン界面活性剤(成分(j))、油剤(成分(k))、水酸基を1ないし2含有し、炭素数2〜6である化合物(成分(l))、特定の水溶性ポリマー(成分(m))及び水(成分(n))を含み、連続相が水相からなるO/W型エマルジョンの洗浄剤を皮膚になじませ、
(C)その後、前記洗浄剤から、水分を蒸散させ、連続相を等方性1液相に相変化させ、油相および水相それぞれが連続相となった等方性1液相からなる洗浄剤を皮膚になじませ、
(B)さらに、等方性1液相からなる洗浄剤から、水分を蒸散させ、連続相を油相に相変化させ、連続相が油相からなる洗浄剤を皮膚になじませることで、皮膚の汚れを洗浄する洗浄方法である。
本実施形態では、
成分(j)は、非イオン界面活性剤であり、1種の非イオン界面活性剤又は2種以上の非イオン界面活性剤からなる混合界面活性剤で構成され、前記1種の非イオン界面活性剤又は前記混合界面活性剤のHLBが10以上、15以下である。
成分(j)の1種の非イオン界面活性剤又は混合界面活性剤のHLBを10以上、15以下とすることで、洗浄剤組成物をO/W型エマルジョンとすることができる。
具体的には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリアルキルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、(ポリ)アルキルグリセリルエーテル、等が挙げられる。
特に、油性汚れに対する洗浄性の面で、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、(ポリ)アルキルグリセリルエーテル、アルキルポリグルコシドが好ましい。
つまり、混合した2種以上の非イオン界面活性剤の最も高いHLBと最も低いHLBの差が5以上ある組み合わせにすることが良く、特に7以上であることで、洗浄剤組成物の安定性を高めることに優れている。
また、成分(j)の含有量は、5質量%以上、更には10質量%以上、好ましくは、16質量%以上である。このようにすることで、肌とのなじみが良好で角栓を含む毛穴汚れを浮き上がらせることができる。また、成分(j)の含有量は、全組成中、50質量%以下である。なかでも、成分(j)の含有量が、40質量%以下、特に33質量%以下であることが好ましい。このようにすることで、残留感なくすっきりと洗い流すことができる。
本発明で用いる成分(k)の油剤は、常温で液状であり、30℃における粘度が15mPa・s以下である。ここで、粘度は、BM型粘度計(トキメック社製、測定条件:ローターNo.1、60rpm、30℃)により測定するものである。
このような粘度の低い油剤は、毛穴に詰まった角栓周りへのなじみが高く、汚れの溶解性が高いため、毛穴に形成される硬い固形状の汚れ、特に角栓などの汚れに対して優れた洗浄力を有する。更に、強い油性感を伴わず、使用感も良好である。
油っぽさを緩和して、適度な使用感にする観点から、成分(k)の30℃における粘度が、10mPa・s以下の低粘度のものが好ましい。
なかでも、グリコール類、例えば、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールは安定領域の広い等方性1液相の構築に優れている。
(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む水溶性ポリマーとしては、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体であり、アクリル酸とアルキル(C10〜30)メタクリル酸エステルの架橋型共重合体で、市販品としては例えば、PEMULEN TR−1、PEMULEN TR−2、カーボポールETD2020(Lubrizol Advanced Materials社製)等が挙げられる。
成分(m)の(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む水溶性ポリマーは、アルカリ剤を用いて(メタ)アクリル酸単位の全部または一部を中和することが好ましい。中和するアルカリ剤としては通常化粧料に配合可能なアルカリ剤であれば特に限定はされず、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を使用することができる。アルカリ剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができ、全組成中に0.01質量%以上、5質量%以下を配合し、系のpHを5.5〜9、特に6〜8に調整するのが好ましい。
なお、成分(m)としては、O/W乳化組成物をつくる観点から、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が特に好ましい。
成分(m)の含有量は、全組成中に0.01質量%以上、5質量%以下であることが好ましい。なかでも、0.2質量%以上、4質量%以下、更には3質量%以下とすることで、角栓除去効果が高く、安定したO/W型エマルジョン、並びに等方性1液相の構築に寄与している点で優れている。
本発明における洗浄剤組成物は、O/W型エマルジョンである。成分(j)、(k)、(l)、(n)の四成分系の相状態図で説明する(図1参照)。この相状態図は、水分の減少に伴い、O/W型エマルジョンエリア、隣り合った等方性1液相エリア・油相エリアの3つの領域が出現する。この3つの相で洗浄することが、毛穴に形成される硬い固形状の汚れ、特に角栓を溶解する効果に優れ、角栓除去効果が高まるものである。
図1は、本発明の洗浄剤組成物の三成分系の相状態図であり、相変化の様子を示す。図1は、成分(l)として、1,3−ブチレングリコールを使用し、水と、成分(l)との重量比を3:1とした場合の図である。成分(m)は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル(C10-30)共重合体(Lubrizol Advanced Materials社製 PEMULEN TR−1)であり、0.9質量%とした。さらに成分(j)はモノイソステアリン酸ジグリセリン(HLB8)(日清オイリオグループ社製 コスモール 41V)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(HLB11)(花王社製 レオドール 430)、モノラウリン酸(12)ポリエチレングリコール(HLB14)(花王社製 エマノーン1112HG)、アルキル(C8-16)グルコシド(HLB17)(40質量%水溶液)(花王社製 マイドール 10)を使用し、重量比を10:6:22:15とした場合である。
この組成物は、O/W型エマルジョンであり、を皮膚になじませ肌をマッサージすることで、等方性1液相(バイコンティニュアス相)に変わり、さらにマッサージしていくと、相変化を起こし、油相が形成される。毛穴内部のより固体状の皮脂が成分(k)によって溶解され、毛穴に詰まった角栓を除去することができるのである。この図1に示した組成物では、角栓を除去する効果が高い。
図2(a)は、成分(l)として、ジエチレングリコール使用した場合の相状態図、図2(b)は、成分(l)としてジプロピレングリコールを使用した場合の相状態図である。水と、成分(l)との重量比は、3:1であり、成分(m)は、0.9質量%とした。
図3(a)は、成分(l)として1,3−ブチレングリコールを使用し、水と、成分(l)との重量比は、3:1であり、成分(m)は、0.5質量%とした場合の相状態図である。
また、図3(b)は、成分(l)として、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールを使用し、水と、成分(l)との重量比は、1:1であり、成分(m)は、0.5質量%とした場合の相状態図である。
図3(b)の点線の丸で囲んだ部分は、後述する実施例21の組成物の相変化を示している。
図3(c)は、成分(l)として、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールを使用し、水と、成分(l)との重量比は、2:3であり、成分(m)は、0.5質量%とした場合の相状態図である。
図3(c)の点線の丸で囲んだ部分は、後述する実施例22の組成物の相変化を示している。
なお、本発明で使用する洗浄剤組成物には、更に洗浄剤に通常用いられる成分、増粘剤、殺菌剤、保湿剤、高粘度の油剤、湿潤剤、着色剤、防腐剤、感触向上剤、香料、酸化防止剤、各種の抽出液等を、適宜含有させることができる。
角栓除去効果:
健常パネル5名を用いて後述する実施例、比較例に従い小鼻を洗浄する試験を行い、洗浄前後の小鼻に存在する角栓数をそれぞれ計測した。
次に、(式1)により角栓除去率を求め評価した。
角栓除去率=100−(使用後小鼻上1cm2中に存在する角栓数)/(使用前小鼻上1cm2中に存在する角栓数)×100(式1)
A:角栓除去率が40%以上
B:角栓除去率が30%以上40%未満
C:角栓除去率が10%以上30%未満
D:角栓除去率が10%未満
なお、室温で固体の成分のある場合、あるいは室温での混合によってゲル状成分を生成する場合には、溶解させるために、攪拌しながら70〜75℃で加熱した。十分に溶解させた後に、室温に戻して、洗浄剤を得た。
はじめに、洗浄剤(A)−1を1g鼻部分のみに塗布し、15秒間よくなじませた。なお、「なじませる」とは、剤を指でよく伸ばし、もみこんだり、すりこむ行為をいう。ただし、剤が皮膚に吸収されることはない。以下同様である。(A)−1の剤が肌に付着した状態で、次に、洗浄剤(B)−1を1g鼻部分のみに塗布し、15秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表4参照)。
はじめに、洗浄剤(A)−2を1g鼻部分のみに塗布し、15秒間よくなじませた。A−2の剤が肌に付着した状態で、次に、洗浄剤(B)−2を1g鼻部分のみに塗布し、15秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表4参照)。
はじめに、洗浄剤(A)−3を1g鼻部分のみに塗布し、15秒間よくなじませた。(A)−3の剤が肌に付着した状態で、次に、洗浄剤(B)−3を1g鼻部分のみに塗布し、15秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表4参照)。
(実施例4)
はじめに、洗浄剤(A)−1、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−1の剤が肌に付着した状態で、洗浄剤(C)−1、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませ(A)−1、(C)−1の剤が肌に付着した状態で、さらに、洗浄剤(B)−1、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表4参照)。
はじめに、洗浄剤(A)−1、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−1の剤が肌に付着した状態で、洗浄剤(C)−1、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませ、(A)−1、(C)−1の剤が肌に付着した状態で、さらに、洗浄剤(B)−2、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表4参照)。
はじめに、洗浄剤(A)−2、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−2の剤が肌に付着した状態で、洗浄剤(C)−2、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。その後、(A)−2、(C)−2の剤が肌に付着した状態で、さらに、洗浄剤(B)−2、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表4参照)。
はじめに、洗浄剤(A)−3、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−3の剤が肌に付着した状態で、洗浄剤(C)−3、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−3、(C)−3の剤が肌に付着した状態で、さらに、洗浄剤(B)−3、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表4参照)。
はじめに、洗浄剤(A)−4、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−4の剤が肌に付着した状態で、次に、洗浄剤(C)−3、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−4、(C)−3の剤が肌に付着した状態で、洗浄剤(B)−3、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表4参照)。
はじめに、洗浄剤(A)−4、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−4の剤が肌に付着した状態で、次に、洗浄剤(C)−4、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−4、(C)−4の剤が肌に付着した状態で、洗浄剤(B)−2、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ。
はじめに、洗浄剤(A)−4、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−4の剤が肌に付着した状態で、次に、洗浄剤(C)−5、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−4、(C)−5の剤が肌に付着した状態で、洗浄剤(B)−2、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ。
はじめに、洗浄剤(A)−5、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−5の剤が肌に付着した状態で、次に、洗浄剤(C)−6、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませた。(A)−5、(C)−6の剤が肌に付着した状態で、洗浄剤(B)−3、1gを鼻部分のみに塗布し、10秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ。
表5、表6(実施例32に該当)に示す洗浄剤を作成した。
成分(l)、(m)、(n)に必要に応じて保湿剤(ソルビトール、グリセリン)さらには、必要に応じてポリプロピレングリコール、水添ポリイソブテンを加え、攪拌して全成分を均一に混合した。そして、この混合物に水酸化カリウムを添加して中和した。ついで、成分(j)、(k)、香料を均一に分散させることにより洗浄剤組成物を得た。
この洗浄剤は、O/W型エマルジョンである。相の状態は、外観の観察、光学偏光顕微鏡による観察、相状態図の作成、NMRによる自己拡散係数の測定等により確認した。なお、表2,3、表5、表6中に記載された粘度の値は、BM型粘度計(トキメック社製、測定条件:ローターNo.1、60rpm、30℃)により測定したものである。
作成した洗浄剤1gを鼻部分のみに塗布し、30秒間マッサージを行い、その後、水で1分すすいだ。
実施例21において作成した剤が相変化する様子を図3(b)に示し、実施例22において作成した剤が相変化する様子を図3(c)に示す。
図3(b)、(c)によれば、連続相が水相からなるO/W型の剤を皮膚に塗布すると、この剤から、水分が蒸発して、等方性一液相(バイコンティニュアス相)からなる前記剤となることがわかる。そして、さらに、等方一液相からなる前記剤から、水分が蒸散すると、連続相が油相に相変化し、連続相が油相からなる前記剤となることがわかる。実施例12〜32の他の剤も、連続相が水相からなるO/W型の剤を皮膚に塗布すると、この剤から、水分が蒸発して、等方性一液相(バイコンティニュアス相)からなる剤となり、そして、等方一液相からなる前記剤から、水分が蒸散すると、連続相が油相に相変化し、連続相が油相からなる剤となる。
洗浄剤(A)−3、1gを鼻部分のみに塗布し、30秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表7参照)。
洗浄剤(A)−4、1gを鼻部分のみに塗布し、30秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表7参照)。
洗浄剤(C)−2、1gを鼻部分のみに塗布し、30秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表7参照)。
洗浄剤(C)−3、1gを鼻部分のみに塗布し、30秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表7参照)。
洗浄剤B−2、1gを鼻部分のみに塗布し、30秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表7参照)。
洗浄剤(B)−3、1gを鼻部分のみに塗布し、30秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表7参照)。
洗浄剤(B)−1、1gを鼻部分のみに塗布し、15秒間よくなじませ、(B)−1の剤が肌に付着した状態で、次に、洗浄剤(A)−1、1gを鼻部分のみに塗布し、15秒間よくなじませ、その後、水で1分すすいだ(表8参照)。
なお、表2、3、5、6の粘度は、BM型粘度計(トキメック社製、測定条件:ローターNo.1、60rpm、30℃)により測定したものである。
また、表5,6から、実施例12〜32においても、角栓除去効果に優れていることがわかる。
また、いずれも剤を塗布してよくなじませ、洗浄する方法であるので、刺激性が低いものであることがわかる。また、実施例1〜32の方法は、パック等を乾燥させる必要がないので手間もかからない。
一方、表7,8から、比較例1〜7では、角栓除去効果が劣ることがわかる。
なお、実施例12〜31で作製した洗浄剤組成物に関しては、以下のようにして洗いあがりの肌感触についても評価した。
女性評価パネル8名にて、洗い上がりの肌感触について以下の基準で官能評価し、8名の合計点を求めた。その結果を表5に併せて示す。
3:しっとりとうるおった肌になったと感じた。
2:ややべたつきがある、もしくはやや肌がかさかさすると感じた。
1:べたつきが多い、もしくは肌がかさかさになったと感じた。
実施例12〜31で作製した洗浄剤組成物を使用した場合には、洗い上がりの肌感が良好であることがわかる。
Claims (5)
- (A)水溶性溶媒、界面活性剤、及び水を含み、連続相が水相からなる剤を皮膚になじませる工程と、
(B)連続相が油相からなる剤を皮膚になじませる工程を含み、
(A)の工程の後、(B)の工程を行う皮膚の洗浄方法。 - (A)水溶性溶媒、界面活性剤、及び水を含み、連続相が水相からなる剤を皮膚になじませる工程と、
(C)油剤、界面活性剤、水溶性溶媒、及び水を含み、油相および水相それぞれが連続相となった等方性1液相からなる剤を皮膚になじませる工程と、
(B)連続相が油相からなる剤を皮膚になじませる工程を含み、
(A)の工程の後、(C)の工程を行い、その後、(B)の工程を行う皮膚の洗浄方法。 - (A)油剤、水酸基を1ないし2含有し、炭素数2〜6である化合物、界面活性剤、及び水を含み、連続相が水相からなるO/W型エマルジョンの剤を皮膚になじませる工程と、
(C)前記剤から、水分を蒸散させ、油相および水相それぞれが連続相となった等方性1液相に相変化させ、前記等方性1液相からなる剤を皮膚になじませる工程と、
(B)さらに、等方性1液相からなる前記剤から、水分を蒸散させ、連続相を油相に相変化させ、連続相が油相からなる剤を皮膚になじませる工程と、を含む皮膚の洗浄方法。 - 前記(B)を皮膚になじませた後に、(D)水を添加し、前記剤を皮膚から除去する工程を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の皮膚の洗浄方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の皮膚の洗浄方法は、皮膚の角栓を除去する洗浄方法である皮膚の洗浄方法。
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