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JP2011096399A - 光電気素子 - Google Patents

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JP2011096399A JP2009246797A JP2009246797A JP2011096399A JP 2011096399 A JP2011096399 A JP 2011096399A JP 2009246797 A JP2009246797 A JP 2009246797A JP 2009246797 A JP2009246797 A JP 2009246797A JP 2011096399 A JP2011096399 A JP 2011096399A
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Abstract

【課題】光電変換効率の高い光電気素子を提供する。
【解決手段】光電気素子は、電極2と、この電極2に対向配置された対電極3と、電極2の対電極3と対向する面に設けられた半導体1と、半導体1上に担持された光増感剤5と、電極2と対電極3の間に介在する電荷輸送層4とを備え、電荷輸送層4が下記特定構造を有するアザアダマンタン−N−オキシル誘導体を含む。
(R、Rはそれぞれ独立に水素、フッ素、アルキル基又は置換アルキル基を示し、Xはメチレン基又はN−オキシル基である。)
Figure 2011096399

【選択図】図1

Description

本発明は、光を電気に、あるいは電気を光に変換する光電気素子に関するものである。
近年、光電池や太陽電池などの光電変換による発電素子、有機ELなどの発光素子、エレクトロクロミック表示素子や電子ペーパーなどの光学表示素子、温度・光などを感知するセンサ素子などに、光電気素子が用いられている。この中で太陽電池などの光電気素子において、pn接合型の素子が実用化されているが、例えば、特許文献1に記載されているように、光電気化学的な光電気素子も種々検討されている。この光電気素子は、半導体を付着した電極と、対電極との間に、電解質などの電荷輸送層を挟持して形成されるものであり、半導体には一般に光増感剤として色素を担持させ、色素増感型太陽電池として使用されている。そして光が半導体に照射されると、半導体から発生した電荷が電荷輸送層を移動し、半導体を付着した電極を負極、対電極を正極として、電気を外部に取り出すことができるものである。
このような光電気素子を含む光電気化学デバイスにおいて、特許文献2では、半導体に接してラジカル化合物を設けることが提案されている。このものでは、半導体に光照射して生じたキャリヤ(電子または正孔)がラジカル化合物のレドックス反応(酸化還元反応)に関与し、ラジカル化合物が電気化学的酸化反応又は還元反応を伴う酸化還元対となるので、半導体に光照射した際の応答速度が速くなり、また安定性や再現性に優れたものとなるものである。
しかし、上記の特許文献2のものでは、酸化還元対であるラジカル化合物と光増感剤との反応性が充分でないため、光増感剤とラジカル化合物の接合界面における効率的な電荷分離、さらにはラジカル化合物内における効率的な電荷輸送が行われないため、光電変換効率も不十分になるものであった。
特許第2664194号公報 特開2003−100360号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、光電変換効率の高い光電気素子を提供することを目的とするものである。
本発明に係る光電気素子は、電極2と、この電極2に対向配置された対電極3と、前記電極2の対電極3と対向する面に設けられた半導体1と、前記半導体1上に担持された光増感剤5と、前記電極2と対電極3の間に介在する電荷輸送層4とを備え、前記電荷輸送層4が[化1]に示すアザアダマンタン−N−オキシル誘導体を含むことを特徴とするものである。
Figure 2011096399
(R、Rはそれぞれ独立に水素、フッ素、アルキル基又は置換アルキル基を示し、Xはメチレン基又は[化2]に示すN−オキシル基である。)
Figure 2011096399
本発明によれば、アルコール類の酸化触媒として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)誘導体を上回る触媒能をもつ高活性なラジカル化合物であるアザアダマンタン−N−オキシル誘導体を用いることにより、電荷輸送層と光増感剤との接合界面における電子授受の反応が速く、電荷分離界面において発生電子の整流性を付与することができ、電荷分離後の電荷の再結合を抑制することが期待される。また、ラジカル化合物がニトロキシドを有することにより、電荷を捕捉する部位がより小さくなるため、電荷を輸送できる部分が高密度化でき、電荷の輸送特性が向上するために素子の光電変換効率を向上させることができるものである。
また、本発明において、アザアダマンタン−N−オキシル誘導体が、アザアダマンタン−N−オキシル及び1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシルのいずれか1種以上であることが好ましい。この場合、電荷の輸送特性がより向上するために素子の光電変換効率を向上させることができる。
本発明によれば、電荷分離界面における電荷分離後の電荷の再結合を抑制することができるとともに、電荷輸送層における電荷の輸送特性を向上することができ、光と電気の変換効率に優れた光電気素子を得ることができるものである。
本発明の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の光電気素子の一例を示すものである。一対の基板6,7が対向して配置してあり、一方の基板6の内側の表面に電極2が、他方の基板7の内側の表面に対電極3が相対向させて設けてある。電極2の基板6と反対側の表面には半導体1の層が設けてあり、また基板6,7の間にアザアダマンタン−N−オキシル誘導体を含んだ電荷輸送層4が設けてある。
一対の基板6,7のうち、半導体1を設けた電極2が被着される基板6は、透光性のガラスやフィルム、光を透過するように加工された金属で形成することができる。例えば、上記金属が線状(ストライプ)、波線状、格子状(メッシュ状)、パンチングメタル状、粒子の集合体状であれば、隙間を光が通過でき、さらに透明導電材料を用いる必要がないため、材料コスト削減による経済的な観点から好ましい。これらの形状の基板を用いる場合は、素子の耐久性の観点からプラスチックやガラスなどの構造材料と共に適用することもできる。
また、他方の基板7を光入射用基板として機能させるのであれば、この基板6は光を透過しない材料を用いることができる。その場合、導電性はあってもなくてもよいが、基板を電極として作用させる場合には導電性のある材料が好ましい。例えば、炭素、アルミニウム、チタン、鉄、ニッケル、銅、ロジウム、インジウム、スズ、亜鉛、白金、金などの材料やステンレスなど上記材料のうち少なくとも1種類を含む合金を用いることができる。本発明では後述するように、ラジカル化合物がハロゲンイオンなどに比べて金属を腐食しにくいために、基板6,7及び電極2、対電極3には汎用の金属を用いることができる。
基板7は、基板6と同じ材料で形成することができる。基板7の透光性はあってもなくてもよいが、両側の基板6,7から光を入射させることを可能にすることができる点で、透明であることが好ましい。また、上記のように基板6に金属箔を使用した場合は、基板7は透光性のある材料で形成することが好ましい。
電極2は、基板6に成膜され、光電気素子の負極として機能するものであり、金属そのもので形成するようにしてもよく、又は基板やフィルム上に導電材層を積層して形成するようにしてもよい。好ましい導電材としては金属、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等、又は炭素、若しくは導電性の金属酸化物、例えばインジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等、あるいは上記化合物の複合物が挙げられる。本発明では電子移動速度が速いラジカル化合物を用いるので、電極2の表面での電子の漏れを防ぐため、つまり整流性を持たせるために、上記化合物上に酸化シリコン、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどでコートした材料を電極に用いるのが好ましい。
この電極2は、表面抵抗が低い程よいものであり、好ましい表面抵抗の範囲としては、200Ω/□以下であり、より好ましくは50Ω/□以下である。表面抵抗の下限は特に制限されないが、通常0.1Ω/□である。
また、電極2は光透過率が高い程よいものであり、好ましい光透過率の範囲としては50%以上であり、より好ましくは80%以上である。さらに電極2の膜厚は、1〜100nmの範囲内にあることが好ましい。膜厚がこの範囲内であれば、均一な膜厚の電極膜を形成することができ、また光透過性が低下せず、十分な光を半導体1に入射させることができるからである。透明な電極2を使用する場合、光は半導体1が被着される側のこの電極2から入射させることが好ましい。
対電極3は、光電気素子の正極として機能するものであり、上記の電極2と同様に形成することができる。この電極3は、光電気素子の正極として効率よく作用するために、電荷輸送層4に用いる電解質の還元体に電子を与える触媒作用を有する素材を使用することが好ましい。このような素材としては、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、又はグラファイト、カーボンナノチューブ、白金を担持したカーボン等の炭素材料、若しくはインジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等の導電性の金属酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを挙げることができる。これらのうち、白金やグラファイト、ポリエチレンジオキシチオフェンなどが特に好ましい。対電極3が設けられる側の基板7は、対電極3の被着面側に透明導電膜(図示しない)を有することもできる。この透明導電膜は、例えば電極2の材料としてあげたものから成膜することができる。この場合、対電極3も透明であることが好ましく、対電極3も透明であれば、対電極3の側から、あるいは電極2,3の両側から光を照射させるようにしてもよい。これは、例えば反射光などの影響により基板6,7両側からの光照射が期待される場合に有効だからである。
半導体1としては、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属元素の酸化物、SrTiO、CaTiOなどのペロブスカイト、CdS、ZnS、In、PbS、MoS、WS、Sb、Bi、ZnCdS、CuSなどの硫化物、CdSe、InSe、WSe、HgS、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド、その他GaAs、Si、Se、Cd、Zn、InP、AgBr、PbI、HgI、BiIなどを用いることができる。また、これらの半導体材料から選ばれる少なくとも一種以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO、CdS/AgI、AgS/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdS/CdSe1−x、CdS/Te1−x、CdSe/Te1−x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO/Cd、CdS/CdSeCdZn1−yS、CdS/HgS/CdSなどを用いることができる。また、ポリフェニレンビニレンやポリチオフェンやポリアセチレン、テトラセン、ペンタセン、フタロシアニンなどの有機半導体を用いることもできる。また、さらに、半導体1は、その分子内の一部として繰り返し酸化還元が可能な酸化還元部を有すると共に、他の一部として電解質溶液を含んで膨潤してゲルとなる部位を有する有機化合物でもよい。
ここで、前記半導体1に用いられる有機化合物について詳しく説明する。
この有機化合物は、その分子内の一部として繰り返し酸化還元が可能な酸化還元部を有すると共に、他の一部として電解質溶液を含んで膨潤してゲルとなる部位(以下ゲル部位と呼ぶ)を有する。酸化還元部はゲル部位に化学的に結合している。分子内での酸化還元部とゲル部位の位置関係は、特に限定されないが、例えばゲル部位で分子の主鎖などの骨格が形成される場合に、酸化還元部は側鎖として主鎖に結合している。またゲル部位を形成する分子骨格と酸化還元部を形成する分子骨格が交互に結合した構造であってもよい。
ここで、酸化還元(酸化還元反応)とは、イオンや原子や化合物が電子を授受することであり、酸化還元部とは、酸化還元反応(レドックス反応)により安定的に電子を授受することができる部位をいうものである。
また、有機化合物は酸化還元部を有しており、電解質溶液によって膨潤された状態で半導体1を形成している。すなわちゲル状態では有機化合物は立体網目構造をとり、この網目空間内を液体が満たしている。
酸化還元部とゲル部位を有する有機化合物は、低分子体でもよいし、高分子体でもよい。低分子体である場合、水素結合などを介したいわゆる低分子ゲルを形成する有機化合物を使用することができる。また高分子体の場合は数平均分子量1000以上の有機化合物であれば、自発的にゲル化の機能を発現することができるために好ましい。高分子体の場合の有機化合物の分子量の上限は特に制限されないが、100万以下であることが好ましい。また、ゲルの状態は、例えば、こんにゃく状や、イオン交換膜のような外観形状であることが好ましいが、特に制限されるものではない。
また、「繰り返し酸化還元が可能な酸化還元部」とは、酸化還元反応において可逆的に酸化体および還元体となる部位を指す。この酸化還元部は酸化体と還元体が同一電荷を持つ酸化還元系構成物質であることが好ましい。
上記のような酸化還元部とゲル部位とを一つの分子中に有する有機化合物は、次の一般式で表すことができる。
(Xnj:Y
(Xおよび(Xnjはゲル部位を示し、Xはゲル部位を形成する化合物のモノマーを示すものであり、ポリマー骨格で形成することができる。モノマーの重合度nは、n=1〜10万の範囲が好ましい。YはXに結合している酸化還元部を示すものである。またj,kはそれぞれ1分子中に含まれる(X、Yの数を表す任意の整数であり、いずれも1〜10万の範囲が好ましい。酸化還元部Yはゲル部位(Xおよび(Xnjをなすポリマー骨格のいかなる部位に結合していてもよい。また、酸化還元部Yは種類の異なる材料を含んでいてもよく、この場合は電子交換反応の観点から酸化還元電位が近い材料が好ましい。
酸化還元部とゲル部位を一分子中に有し、半導体1として機能する有機化合物としては、キノン類が化学結合したキノン誘導体骨格を有するポリマー、イミドを含有するイミド誘導体骨格を有するポリマー、フェノキシルを含有するフェノキシル誘導体骨格を有するポリマー、ビオロゲンを含有するビオロゲン誘導体骨格を有するポリマーなどが挙げられる。これらの有機化合物では、それぞれポリマー骨格がゲル部位となり、キノン誘導体骨格、イミド誘導体骨格、フェノキシル誘導体骨格、ビオロゲン誘導体骨格がそれぞれ酸化還元部となる。
上記の有機化合物のうち、キノン類が化学結合したキノン誘導体骨格を有するポリマーの例として、下記[化3]〜[化6]の化学構造を有するものが挙げられる。[化3]〜[化6]において、Rはメチレン、エチレン、プロパン−1,3−ジエニル、エチリデン、プロパン−2,2−ジイル、アルカンジイル、ベンジリデン、プロピレン、ビニリデン、プロペン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,4−ジイルなどの飽和又は不飽和炭化水素類;シクロヘキサンジイル、シクロヘキセンジイル、シクロヘキサジエンジイル、フェニレン、ナフタレン、ビフェニレンなど環状炭化水素類;オキサリル、マロニル、サクシニル、グルタニル、アジポイル、アルカンジオイル、セバコイル、フマロイル、マレオイル、フタロイル、イソフタロイル、テレフタロイルなどケト、二価アシル基;オキシ、オキシメチレノキシ、オキシカルボニルなどエーテル、エステル類;サルファンジイル、サルファニル、サルホニルなど硫黄を含む基;イミノ、ニトリロ、ヒドラゾ、アゾ、アジノ、ジアゾアミノ、ウリレン、アミドなど窒素を含む基;シランジイル、ジシラン−1,2−ジイルなど珪素を含む基;またはこれらの基の末端を置換した基或いは複合した基を示す。
[化3]はポリマー主鎖にアントラキノンが化学結合して構成される有機化合物の例である。[化4]はアントラキノンが繰り返しユニットとしてポリマー主鎖に組み込まれて構成される有機化合物の例である。また[化5]はアントラキノンが架橋ユニットとなっている有機化合物の例である。さらに[化6]は酸素原子と分子内水素結合を形成するプロトン供与性基を有するアントラキノンの例を示すものである。
Figure 2011096399
Figure 2011096399
Figure 2011096399
Figure 2011096399
また酸化還元部Yがイミドを含有するイミド誘導体骨格を有するポリマーとして、[化7]や[化8]に示すポリイミドを用いることができる。ここで、[化7]や[化8]において、R〜Rはフェニレン基などの芳香族基、アルキレン基、アルキルエーテルなど脂肪族鎖、エーテル基である。ポリイミドポリマー骨格はR〜Rの部分で架橋していてもよく、また、用いた溶媒中で膨潤するのみで溶出しなければ架橋構造を有さなくてもよい。架橋した場合はその部分がゲル部位(Xおよび(Xnjに相当する。また架橋構造を導入する場合、架橋ユニットにイミド基が含有されていてもよい。イミド基は、電気化学的に可逆な酸化還元特性を示すのであれば、フタルイミドやピロメリットイミドなどが好適である。
Figure 2011096399
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また、フェノキシルを含有するフェノキシル誘導体骨格を有するポリマーとして、例えば[化9]に示すようなガルビ化合物(ガルビポリマー)が挙げられる。このガルビ化合物において、ガルビノキシル基([化10]参照)が酸化還元部位Yに相当し、ポリマー骨格がゲル部位(Xおよび(Xnjに相当する。
Figure 2011096399
Figure 2011096399
また、ビオロゲンを含有するビオロゲン誘導体骨格を有するポリマーとして、例えば、[化11]や[化12]に示すようなポリビオロゲンポリマーを挙げることができる。このポリビオロゲンポリマーにおいては、[化13]に示す部分が酸化還元部Yに相当し、ポリマー骨格がゲル部位(Xおよび(Xnjに相当する。
Figure 2011096399
Figure 2011096399
Figure 2011096399
なお、[化3]〜[化5]、[化7]〜[化9]、[化11]及び[化12]で示すm、nは、モノマーの重合度を示すものであり、1〜10万の範囲が好ましい。
前述したように、上記の酸化還元部とポリマー骨格を有する有機化合物は、ポリマー骨格がその骨格間に電解質溶液を含有して膨潤し、これにより半導体1の層がゲル化してゲル層となる。このようにポリマー骨格間に電解質溶液が含まれることで、酸化還元部の酸化還元反応により形成されるイオン状態が電解質溶液中の対イオンで補償され、酸化還元部を安定化させることができるものである。前記電解質溶液としては、例えば後述する電化輸送層4を形成する電解質溶液が挙げられる。
以上のような半導体1の中でも、TiO及び上記酸化還元部とゲル部位を一分子中に有する有機化合物が、電荷輸送層4を形成する電解質溶液中への光溶解の回避と、高い光電変換特性を得ることができる点で好ましい。
電極2の表面に形成される半導体1の層の膜厚は、0.01〜100μmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、十分な光電変換効果が得られ、また、可視光及び近赤外光に対する透過性が悪化することもないからである。半導体1の層の膜厚の一層好ましい範囲は0.5〜50μmであり、特に好ましい範囲は1〜20μmである。
半導体1が無機化合物である場合、半導体1の層は半導体とバインダーの混合溶液を、公知慣用の方法、例えば、ドクターブレードやバーコータなどを使う塗布方法、スプレー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法などにより電極2の表面に塗布し、その後、加熱焼成やプレス機での加圧などによりバインダー成分を除去することによって形成することができる。
また、半導体1が無機化合物である場合、半導体1の層の表面粗さは、実効面積/投影面積において10以上であることが好ましい。表面粗さを10以上にすることにより、電荷分離界面の表面積を上げることができるために、光電変換特性を向上させることができるものである。より好ましい表面粗さは100〜2000である。
また、半導体1が有機化合物である場合、半導体1の層を形成するにあたっては、溶液などを塗布して形成する湿式の形成方法が、より簡便で低コストな製法であることから好ましい。特に半導体1を数平均分子量1000以上のいわゆる高分子の有機化合物で形成する場合は、成形性の観点から湿式の形成方法が好ましい。湿式のプロセスとしては、スピンコート法や液滴を滴下乾燥して得られるドロップキャスト法、スクリーン印刷やグラビア印刷などの印刷法などが挙げられる。そのほか、スパッタ法や蒸着法などの真空プロセスを採用することもできる。
以上のようにして形成される半導体1の表面上には、光増感剤5が担持される。これにより、光増感剤5で光電荷分離の界面を形成することができるため、光電変換効率を向上させることができるものである。
このような光増感剤5としては、公知な材料を用いることができるものであり、半導体超微粒子などの無機材料でも、色素、顔料などの有機材料でもよい。効率よく光を吸収し、電荷を分離する観点からは色素が好ましく、9−フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、テトラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素などが挙げられる。または、RuL(HO)タイプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体(ここで、Lは4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジンを示す。)、または、ルテニウム−トリス(RuL)、ルテニウム−ビス(RuL)、オスニウム−トリス(OsL)、オスニウム−ビス(OsL)などのタイプの遷移金属錯体、または亜鉛−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシアニド錯体、フタロシアニンなどが挙げられる。その他、例えば、「FPD・DSSC・光メモリーと機能性色素の最新技術と材料開発」((株)エヌ・ティー・エス)のDSSCの章にあるような色素も適用することができる。中でも半導体1上で会合性を有する色素は、密に充填して半導体1表面を覆うため、絶縁体層として機能するという観点から好ましい。光増感剤5が絶縁体層として機能する場合、電荷分離界面において発生電子の整流性を付与することができ、電荷分離後の電荷の再結合を抑制することができる。また、電子輸送材料と正孔輸送材料に存在する電子と正孔の再結合点を劇的に減らすことができるものであり、それにより得られる光電気素子の変換効率をより向上させることができるものである。
会合体を形成して効果のある色素としては、[化14]の構造で示されるものが好ましく、具体的には、[化15]の構造で示される色素が好ましい。なお、有機溶剤などに溶けている色素と半導体1上に担持された色素の吸収スペクトルの形状から会合性の判別は可能である。会合していれば、前者と後者でスペクトルの形状が大きく異なることが知られている。
Figure 2011096399
(但し、X、Xはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環を少なくとも一種類以上を含み、それぞれ置換基を有していてもよい。Xに半導体と吸着する部位、例えば、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホニル基を有する。)
Figure 2011096399
また、上記光増感剤5に用いることができる半導体超微粒子としては、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化銀などの硫化物半導体などを挙げることができる。また、その粒子径としては、本発明の半導体1層に対して光増感作用があれば特に制限はないが、1〜10nmの範囲が好ましい。
半導体1に光増感剤5を担持させる方法は、例えば、光増感剤5を溶解あるいは分散させた溶液に、半導体1を被着させた電極2を備えた基板6を浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドなど光増感剤5を溶解可能なものであれば全て使用できる。また、光増感剤溶液に一定時間浸漬させている時に、加熱還流をしたり、超音波を印加したりすることもできる。さらに光増感剤5を担持させた後、担持されずに残ってしまった光増感剤5を取り除くために、アルコールで洗浄あるいは加熱還流することが望ましい。
光増感剤5の半導体1における担持量は、1×10−10〜1×10−4mol/cmの範囲内であればよく、特に0.1×10−8〜9.0×10−6mol/cmの範囲が好ましい。この範囲内であれば、経済的且つ十分に光電変換効率向上の効果を得ることができるからである。
電荷輸送層4には電解質を用いることができる。電荷輸送層4に電解質を用いる場合、この電解質は支持塩と、酸化体と還元体からなる一対の酸化還元系構成物質の、いずれか一方あるいは両方である。支持塩(支持電解質)としては、例えば過塩素酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化リン酸テトラエチルアンモニウム、イミダゾリウム塩やピリジニウム塩などのアンモニウム塩、過塩素酸リチウムや四フッ化ホウ素カリウムなどアルカリ金属塩などが挙げられる。酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応において可逆的に酸化体および還元体の形で存在する一対の物質を意味するものであり、このような酸化還元系構成物質としては、例えば、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、ニッケルイオン(II)−ニッケルイオン(III)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定はされない。この場合、半導体1を形成する有機化合物の酸化還元部とは区別されて機能する。また、電解質溶液がゲル化または固定化されていてもよい。
電荷輸送層4に用いられる電解質を溶解するために使用される溶媒は、酸化還元系構成物質を溶解してイオン伝導性に優れた化合物が好ましい。溶媒としては水性溶媒及び有機溶媒のいずれも使用できるが、構成物質をより安定化するため、有機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して併用することもできる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、γ―ブチロラクトン、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、吉草酸ニトリル等のニトリル化合物が好ましい。
また、電荷輸送層4にイオン性液体を用いることも、不揮発性,難燃性などの観点から有効といえる。その場合、公知公例のイオン性液体全般を用いることができるが、例えばイミダゾリウム系、ピリジン系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、アゾニウムアミン系イオン性液体や、欧州特許第718288号明細書、国際公開第95/18456号パンフレット、電気化学第65巻11号923頁(1997年)、J. Electrochem. Soc.143巻,10号,3099頁(1996年)、Inorg. Chem. 35巻,1168頁(1996年)に記載された構造のものが挙げられる。
また、電荷輸送層4として、ゲル化電解質、あるいは高分子電解質を使用することもできる。ゲル化剤としては、ポリマー、またはポリマー架橋反応等の手法によるゲル化剤、または重合することができる多官能モノマーによるゲル化剤、オイルゲル化剤などが挙げられる。ゲル化電解質、高分子電解質には一般に用いられるものを適用することができるが、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ化ビニリデン系重合体、ポリアクリル酸などのアクリル酸系重合体、ポリアクリロニトリルなどのアクリロニトリル系重合体およびポリエチレンオキシドなどのポリエーテル系重合体、あるいは構造中にアミド構造を有する化合物が好ましい。
本発明は、上記のような電荷輸送層4が、既述の[化1]に示すアザアダマンタン−N−オキシル誘導体を含有することを特徴とするものである。
アザアダマンタン−N−オキシル誘導体は分子中にニトロキシド(NO・)を有しており、電気化学的酸化反応または還元反応の少なくとも一方の過程でラジカル化合物を生成する。このラジカル化合物が生成されることで、電荷を非常に速い電荷移動反応によって効率よく対極まで輸送させることができる。さらにアザアダマンタン−N−オキシル誘導体は、アルコール類の酸化触媒として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)誘導体を上回る触媒能をもつ高活性な化合物である。そのため、電荷輸送層と光増感剤との接合界面における電子授受の反応が速く、電荷分離界面において発生電子の整流性を付与することができ、電荷分離後の電荷の再結合を抑制することが期待される。また、アザアダマンタン−N−オキシル誘導体がニトロキシドを有していることにより、電荷を捕捉する部位がより小さくなるため、電荷を輸送できる部分が高密度化でき、電荷の輸送特性が向上するために素子の光電変換効率を向上させることができるものである。
光吸収及び半導体1への電荷移動の観点から、アザアダマンタン−N−オキシル誘導体の酸化還元電位を制御することが重要である。例えば、[化1]におけるR、Rが共に水素であるアザアダマンタン−N−オキシルに対して、R、Rの少なくとも一方をヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、エステル基、ホスホニル基、スルホニル基などの置換基を有する置換アルキル基に置き換えた誘導体とすることにより、酸化還元電位を変化させることができる。
また、例えば[化16]は、[化1]におけるR、Rが共に水素でありXが[化2]に示すN−オキシル基であるものを示すものであるが、このように化合物中に複数のニトロキシラジカル構造が存在することにより、上記と同様に酸化還元電位を制御できる他、反応サイトが増加することによる電荷移動の安定性向上が期待できる。
Figure 2011096399
また、例えば[化17][化18]にそれぞれ示すように、[化1]におけるR、Rの一方又は両方をフッ素置換することにより、アザアダマンタン−N−オキシル誘導体の化学的安定性を高めることも好ましい。なお、[化17][化18]は、Xがメチレン基の場合を示すものである。
Figure 2011096399
Figure 2011096399
上記アザアダマンタン−N−オキシル誘導体の電荷輸送層中の濃度は、1mM〜1Mであることが好ましい。この範囲内であれば、アザアダマンタン−N−オキシル誘導体が光電変換に充分な電荷輸送性を発揮することができるものである。上記アザアダマンタン−N−オキシル誘導体の濃度が1mMより小さい場合は、光増感された電荷が充分に対極へ輸送されることができないおそれがある。
以上のように形成される光電気素子にあって、半導体1に光が照射されると、半導体1から電子又は正孔が生成し、この電子又は正孔がアザアダマンタン−N−オキシル誘導体の酸化還元反応に関与し、アザアダマンタン−N−オキシル誘導体が電気化学的酸化反応又は還元反応を伴う酸化還元対となり、このときの電流を、電極2を負極、対電極3を正極として、外部に取り出すことができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
平均1次粒子径が20nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、
スクリーン印刷用のペーストを作製した。そして、表面にフッ素ドープSnOで電極2を形成した厚み1mmの導電性ガラス基板6(旭硝子製、10Ω/□)を用い、このガラス基板6の電極2を形成した側の表面にスパッタ法により約10nm厚の酸化チタン層を付着させた後、この上に上記のペーストを塗布して乾燥し、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成することによって、電極2上に厚さ2μmの多孔質酸化チタン半導体1の膜(チタンコート)を形成した。この半導体1の表面粗さは、実効面積/投影面積において約250であった。
次に、この酸化チタン半導体1膜を設けた基板6を、既述の[化15]で示される光増感色素(D131(三菱製紙製))の濃度が0.3mMであるアセトニトリル−ブタノール1:1混合溶媒溶液中に浸漬し、室温で16時間暗所下静置し、半導体1に光増感剤5を担持させることによって、作用電極とした。
一方、表面にフッ素ドープSnOを形成した厚み1mmの導電性ガラス基板7(旭硝子製、10Ω/□)を用い、このSnOの表面に白金をスパッタ法により設けて対電極3とした。そして上記の作用電極の酸化チタン半導体1膜を形成された部分を囲むように、熱溶融性接着剤(三井デュポンポリケミカル製「バイネル」)の封止材を対電極3の上に配置し、その上に上記の作用電極を形成したガラス基板6を重ね、加熱しながら加圧して貼り合わせた。この対電極3を形成したガラス基板7にはダイヤモンドドリルで孔が開けてある。
次に、[化19]に示すアザアダマンタン−N−オキシルを用い、アセトニトリルに、アザアダマンタン−N−オキシルを0.01mol/l、N−メチルベンズイミダゾールを0.025mol/l、過塩素酸リチウムを0.1mol/lそれぞれ溶解した電解質溶液を調製し、この電解液をガラス基板7にダイヤモンドドリルで明けた上記の孔から注入した後に、孔を紫外線硬化樹脂を用いて封止することによって、電荷輸送層4を形成した。
Figure 2011096399
このようにして図1のような構造の光電気素子を作製した。そして光電気素子に、安定化蛍光灯を用いて200lxの照度の光を照射し、電流−電圧特性を測定して安定化後の変換効率を求めた。尚、本測定環境は太陽光に対しては約500分の1ではあるが、当然、太陽光下でも適用でき、用途を限定するものではない。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、アザアダマンタン−N−オキシルの代わりに[化20]に示す1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシルを用い、その他は実施例1と同様の方法で光電気素子を作製した。結果を表1に示す。
Figure 2011096399
(比較例1)
実施例1において、アザアダマンタン−N−オキシルの代わりに[化21]に示す2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を用い、そのほかは実施例1と同様にして光電気素子を作製した。結果を表1に示す。
Figure 2011096399
(実施例3)
実施例1において、アザアダマンタン−N−オキシルの電解液中での濃度を1mMとして、その他は実施例1と同様にして光電気素子を作成した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、アザアダマンタン−N−オキシルの電解液中での濃度を1Mとして、その他は実施例1と同様にして光電気素子を作成した。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、アザアダマンタン−N−オキシルの代わりに、既述の[化17]のフッ素二置換アザアダマンタン−N−オキシルを用い、その他は実施例1と同様にして光電気素子を作成した。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、アザアダマンタン−N−オキシルの代わりに、既述の[化18]のフッ素一置換アザアダマンタン−N−オキシルを用い、その他は実施例1と同様にして光電気素子を作成した。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1において、アザアダマンタン−N−オキシルの代わりに、[化22]に示すメチル二置換アザアダマンタン−N−オキシルを用い、その他は実施例1と同様にして光電気素子を作成した。結果を表1に示す。
Figure 2011096399
Figure 2011096399
表1の結果から、電荷輸送層4中にアザアダマンタン−N−オキシル誘導体を含んでいる実施例1〜7は、比較例1と比べて、高い光電変換効率を得られることが分かった。
(実施例8)
[化23]に示す反応の手順で、既述の[化9]のガルビ(Galvi)化合物を合成した。
Figure 2011096399
(ガルビモノマーの合成)
まず、4−ブロモ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(135.8g;0.476mol)にアセトニトリル(270ml)を加え、さらに不活性雰囲気下、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)(106.3g;129.6ml)を加え、70℃で終夜撹拌し、完全に結晶が析出するまで反応した。そして析出した白色結晶を濾過し、真空乾燥した後、エタノールで再結晶して精製することによって、[化22]において符号1で示す、(4−ブロモ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)トリメチルシラン(150.0g;0.420mol)を白色板状結晶として得た。
次に、上記のようにして得た、(4−ブロモ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)トリメチルシラン(9.83g;0.0275mol)を、不活性雰囲気下、テトラヒドロフラン(200ml)に溶解し、ドライアイス/メタノールを用いて−78℃に冷却した。これに1.58Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(15.8ml;0.025mol)を加え、78℃の温度で30分撹拌した。リチオ化後、テトラヒドロフラン(75ml)に溶解した4−ブロモ安息香酸メチル(1.08g;0.005mol、Mw:215.0、TCI)を添加し、−78℃〜室温で終夜撹拌した。反応溶液は黄色から薄黄色、アニオンの発生を示す濃青色へと変化した。反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液を反応溶液が完全に黄色になるまで加え、エーテル/水で分液抽出することにより黄色粘稠液体を得た。
次にこの生成物、THF(10ml)、メタノール(7.5ml)、撹拌子を入れ、溶解後、10N−HClを反応溶液が赤橙色に変化するまで徐々に加え、30分間、室温にて撹拌した。次に溶媒除去、エーテル/水による分液抽出、溶媒除去、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=1/1)による分画、ヘキサンによる再結晶の各操作を経て精製し、[化23]において符号2で示す、(p−ブロモフェニル)ヒドロガルビノキシル(2.86g;0.0049mol)を橙色結晶として得た。
次いで、上記のようにして得た(p−ブロモフェニル)ヒドロガルビノキシル(2.50g;4.33mmol)を、不活性雰囲気下、トルエン(21.6ml;0.2M)に溶解し、これに2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(4.76mg;0.0216mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.150g;0.130mmol)、トリ−n−ブチルビニルすず(1.65g;5.20mmol,Mw:317.1,TCI)をすばやく加え、100℃で17時間加熱撹拌した。
そして反応生成物をエーテル/水で分液抽出し、溶媒除去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=1/3)にて分画し、さらにヘキサンで再結晶して精製することによって、[化23]において符号3で示す、p−ヒドロガルビノキシルスチレン(1.54g;2.93mmol)を橙色微結晶として得た。
(ガルビモノマーの重合)
上記ガルビモノマーの合成で得られたガルビモノマー(p−ヒドロガルビノキシルスチレン)1gと、テトラエチレングリコールジアクリレート57.7mgと、アゾビスイソブチロニトリル15.1mgを、テトラヒドロフラン2mlに溶解した後、窒素置換し、一晩還流することで、ガルビモノマーを重合させ、[化23]において符号4で示すガルビポリマーを得た。このガルビポリマーの数平均分子量は10000であった。
一方、厚み1mmのガラス基板6の表面にフッ素ドープSnOの透明導電性酸化物で電極2を形成したものを用いた(旭硝子(株)製、10Ω/□)。
そして上記のように合成したガルビ化合物22.5mgをクロロホルム4.5mlに溶解し、これを電極2の表面にドロップキャストし、膜厚100nmに成膜した。
次に、電極2に通電して1.5V以下の電圧を印加することによって、ガルビ化合物を電解酸化してラジカルに誘導し、ガルビノキシラジカルポリマーによる半導体1を電極2の表面に形成した。
このように電極2に半導体1を積層して形成したものを作用極、白金ワイヤ電極を対電極3、銀/塩化銀電極を参照電極とし、支持電解質溶液として過塩素酸リチウムを用いて電気化学測定槽にセットした。そしてサイクリックボルタンメトリーで測定を行なったところ、参照電極に対して0Vにガルビノキシラジカル由来の安定かつ可逆な酸化還元波が観測され、n型としての動作が確認された。また還元過程における電極反応電子量はラジカルサイト数(塗布量から算出)より算出した理論反応量とほぼ一致し、塗布したガルビノキシラジカルの定量的な反応が示された。また、繰り返して電圧を印加(40サイクル)しても酸化還元波は安定に観測され、安定した作動が確認された。
次に、このように形成した半導体1に、D131色素のアセトニトリル飽和溶液をスピンコートで塗布することによって、光増感剤5を担持させて修飾した。
そして電極2の周囲に付いた半導体1の材料を削り取り、半導体1を囲むように、熱溶融性接着剤(三井デュポンポリケミカル製「バイネル」)の封止材を配置した。次に、ダイヤモンドドリルで中央付近に孔をあけた電極2にPt対電極3を対向させて張り合わせ、アセトニトリルにD131色素を5mmol/l、アザアダマンタン−N−オキシルを0.1mol/l、N−メチルベンズイミダゾールを1.6mol/l、過塩素酸リチウムを1mol/lそれぞれ溶解して調製した電解質溶液を上記の孔から注入し、紫外線硬化樹脂で孔を封止することによって、光電気素子を得た。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例8において、アザアダマンタン−N−オキシルの代わりに2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を用いて光電気素子を作成した。結果を表2に示す。
表2の結果から、電荷輸送層4中にアザアダマンタン−N−オキシル誘導体を含んでいる実施例8は、比較例2と比べて、高い光電変換効率を得られることが分かった。
Figure 2011096399
1 半導体
2 電極
3 対電極
4 電荷輸送層
5 光増感剤
6 基板
7 基板

Claims (2)

  1. 電極と、この電極に対向配置された対電極と、前記電極の対電極と対向する面に設けられた半導体と、前記半導体上に担持された光増感剤と、前記電極と対電極の間に介在する電荷輸送層とを備え、前記電荷輸送層が[化1]に示すアザアダマンタン−N−オキシル誘導体を含むことを特徴とする光電気素子。
    Figure 2011096399
    (R、Rはそれぞれ独立に水素、フッ素、アルキル基又は置換アルキル基を示し、Xはメチレン基又は[化2]に示すN−オキシル基である。)
    Figure 2011096399
  2. 前記アザアダマンタン−N−オキシル誘導体が、アザアダマンタン−N−オキシル及び1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシルのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電気素子。
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