JP2011068757A - 酸化マグネシウム系高耐水性熱伝導フィラー及びその製造方法、樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】BET比表面積が1〜20m2/gで、平均2次粒子径が0.5〜20μmの酸化マグネシウムを1〜10質量%のアルキルアルコキシシランで乾式表面被覆した耐水性の改善された酸化マグネシウム系熱伝導フィラー。
【選択図】なし
Description
特許文献1と特許文献2では、MgO粉末表面をリン酸マグネシウム系化合物による被覆層を形成し、被覆酸化マグネシウム粉末に対してさらにエチルシリケートを被覆して耐水性を改善している。
特許文献3では、ケイ素とマグネシウムとの複酸化物により、マグネシア粉末の表面を被覆して耐水和性(耐湿性)を改善している。
特許文献4と特許文献5では、アルミニウムとマグネシウムとの複酸化物により、マグネシア粉末の表面を被覆して耐水和性(耐湿性)を改善している。
特許文献6では、酸性リン酸エステルで表面処理して、高耐水和性を改善している。
特許文献7では、死焼マグネシアをカップリング剤で表面処理し、250〜850℃で再焼成して耐水性を改善している。
特許文献8では、酸化マグネシウムの表面に有機シラン層を形成させて高耐水和性に改善している。
特許文献9では、酸化マグネシウムの表面にシリコーンオイルを焼き付けることにより、耐水性を改善している。
特許文献10では、マグネシア粉末に有機珪素化合物を添加した後、加熱処理して、耐水性を改善している。
特許文献11では、シリコーンオイル、シランカップリング剤で酸化マグネシウムを表面処理し、加熱処理して耐水性を改善している。
特許文献12では、ガラス成分(PbOを50wt%以上含有し、残りの成分がB2 O3 ,SiO2 のうち少なくとも1種類以上である成分組成であることを特徴とするガラス)を被覆して耐水性を改善している。
(CkH(2k+1))n-Si-(OCmH(2m+1))(4-n) [k:6以上、m:2以下、n:1〜3] 式(1)
なお、乾式処理に用いる装置は、例えばヘンシェルミキサー等の高速攪拌混合可能なものが効率的に被覆処理できるため好ましい。
基材となる酸化マグネシウムの調製方法および性状を表1に示す。
酸化マグネシウム(A)500gをヘンシェルミキサー(三井三池化工製、容量30L)に入れ、攪拌しながらデシルトリメトキシシラン10gを徐々に添加した。添加終了後、150℃で30分間表面被覆処理を行い、酸化マグネシウム系フィラー(A-1)を得た。
表1に示す酸化マグネシウム(B、C)を使用した以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム系フィラー(B-1、C-1)を得た。
実施例1の被覆剤を25gのヘキシルトリメトキシシランに変えた以外は同様に行って、酸化マグネシウム系フィラー(A-2)を得た。
表1の酸化マグネシウム(A)を被覆剤で処理せずに酸化マグネシウム系フィラー(A-3)とした。
実施例1の被覆剤をジメチルジメトキシシランに変えた以外は同様に行って、酸化マグネシウム系フィラー(A-4)を得た。
実施例1の被覆剤をジフェニルジメトキシシランに変えた以外は同様に行って、酸化マグネシウム系フィラー(A-5)を得た。
実施例1の被覆剤をエポキシシランカップリング剤に変えた以外は同様に行って、酸化マグネシウム系フィラー(A-6)を得た。
実施例1の被覆剤をリン酸エステルに変えた以外は同様に行って、酸化マグネシウム系フィラー(A-7)を得た。
実施例1の被覆剤の処理量を2.5gに変えた以外は同様に行って、酸化マグネシウム系フィラー(A-8)を得た。
酸化マグネシウム(A)500gをヘンシェルミキサー(三井三池化工製、容量30L)に入れ、撹拌しながらアルコキシ変性シリコンオイル10gを徐々に添加した。添加終了後、ステンレス製トレーに移し、送風乾燥機中で、300℃、1時間加熱処理して、酸化マグネシウム系フィラー(A-9)を得た。
酸化マグネシウム(A)500gとデシルトリメトキシシラン10gをエタノール5Lに分散させ、1時間混合撹拌後、ろ過、乾燥、解砕して、酸化マグネシウム系フィラー(A-10)を得た。
酸化マグネシウム(D)500gとヒュームドシリカ50gをエタノール5Lに分散させ、10分間撹拌混合した。ろ過、乾燥した後、衝撃型粉砕機で解砕し、1400℃で1時間加熱処理し、酸化マグネシウム系フィラー(D-1)を得た。
「耐水性試験」:秤量瓶に試料2.0gを入れ、温度85℃/湿度85%の恒温恒湿槽中に1週間放置後、試験前後の重量変化を測定した。
重量変化が1.0重量%未満であれば良好とし、1.0重量%以上を不良とした。試験結果を表2に示す。
しかし、比較例6のように本発明の請求項で規定した酸化マグネシウムを所定の被覆剤で処理しても、被覆剤量が所定量以下であると耐水性は改善されない。
また、比較例2〜5及び比較例7〜8のように、従来検討されてきた被覆剤を同様に処理しても、耐水性は本発明の実施例と比較していずれも劣り、不良の評価であった。
なお、比較例9の耐水性評価は良好の範囲であったが、本発明の実施例に較べると劣っていた。
ポリアミド樹脂100質量部に対し、酸化マグネシウム系フィラー(A-1)300質量部を配合して、250℃で5分間混練した。混練物を金型(150×50×10mm)に入れ、20MPaに加圧して250℃で5分間プレスして成型体を作製した。
実施例2〜4及び比較例1〜9で得られた酸化マグネシウム系フィラー(B-1、C-1、A-2、A-3、A-4、A-5、A-6、A-7、A-8、A-9、A-10、D-1)について、実施例11と同様にして成型体を得た。
「熱伝導率測定」:ASTM−E1503に準拠して測定した。熱伝導率が3.0W/mK以上であれば良好とし、それより小さいものは不良とした。測定結果を表3に示す。
また、比較例14は処理剤にエポキシシランカップリング剤を用いたもので、比較的良好な熱伝導率を示したが、耐水性評価が不良であり使用できない。
耐水性が良好で樹脂に混練した時の樹脂組成物の熱伝導率が良好な酸化マグネシウムは、本発明の請求項に記載のBET比表面積と平均2次粒子径を有する酸化マグネシウムを本発明の請求項に記載の被覆剤で処理した酸化マグネシウム系フィラーである。
Claims (4)
- 式(1)の被覆剤を酸化マグネシウムに対して1〜10質量%表面被覆した、BET比表面積が0.1〜100m2/g、平均2次粒子径が0.5〜20μmの酸化マグネシウムであることを特徴とする高耐水性熱伝導フィラー。
(CkH(2k+1))n-Si-(OCmH(2m+1))(4-n) [k:6以上、m:2以下、n:1〜3] 式(1) - BET比表面積が1〜20m2/g、平均2次粒子径が0.5〜20μmの酸化マグネシウムである請求項1に記載の高耐水性熱伝導フィラー。
- BET比表面積が1〜50m2/g、平均2次粒子径が0.5〜5μmの水酸化マグネシウムを800〜2000℃で焼成して得られた酸化マグネシウムを、式(1)の被覆剤で酸化マグネシウムに対して1〜10質量%乾式表面被覆した請求項1又は請求項2に記載の高耐水性熱伝導フィラー。
- 合成樹脂100質量部に対し、請求項1又は請求項2に記載の高耐水性熱伝導フィラーを100〜500質量部配合した樹脂組成物。
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