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JP2011065983A - 鱗片状薄膜微粉末分散液又は鱗片状薄膜微粉末、及びこれを用いたペースト、電池用電極、並びにリチウム二次電池 - Google Patents

鱗片状薄膜微粉末分散液又は鱗片状薄膜微粉末、及びこれを用いたペースト、電池用電極、並びにリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 シリコンが元来有しているリチウムの吸蔵脱離性能を保ちつつ、サイクル特性に優れたリチウム二次電池の負極として用いることを可能とした鱗片状薄膜微粉末分散液を提供する。
【解決手段】 (A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、若しくは複数による積層、による薄膜、又は(B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、及びリチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない金属単体、又は合金、の何れか単体による層、の双方の層を用いて、合計2層以上となるように積層してなる薄膜、の何れかの薄膜が微粉砕されてなるリチウム吸蔵脱離を可能とする鱗片状薄膜微粉末が溶剤中に含有されてなる、鱗片状薄膜微粉末分散液とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は鱗片状薄膜微粉末分散液又は鱗片状薄膜微粉末に関する発明であり、具体的には、リチウム二次電池の負極に用いることでリチウム二次電池の高容量性を保ちつつ電池の寿命をより長期化することを可能とした、鱗片状薄膜微粉末分散液に関する。
リチウム二次電池が商業用に開発され発表されて以降、一気に二次電池の主流となった。これはリチウム二次電池の標準電圧が3.7Vであること、つまりニッケルカドミウム電池の約3倍、鉛蓄電池の約2倍、もあるという長所を備えているからである。さらに他の二次電池に比べ高エネルギー密度を有し、内部抵抗が低く、充放電による電池容量の低下が少ない、即ち充放電サイクル特性が他の方式に比べて高い、即ち電池寿命が長い、という利点を備えていることも、広く流通する要因としてあげられる。
リチウム二次電池の基本的な構成の一例は次の通りである。
正極(正極板)としてコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物を、負極(負極板)としてグラファイト(炭素)をそれぞれ用い、それぞれの極板を相互に何層か積み重ねたものを電解質である六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を溶解させたエチレンカーボネート(EC)系電解液に浸漬させてなる構成よりなる。尚、原理的には、正極、負極、電解質それぞれの材料はリチウムの移動による電荷の授受により充放電可能であれば良いので、上記に限らず種々多様な構成をとりうるものである。
炭素を負極として用いるリチウム二次電池が商品化されて以来、リチウム二次電池の有するエネルギー密度は2倍以上に向上したが、現在、リチウム二次電池を利用する携帯電話やノートパソコン等のいわゆるモバイル機器が高性能化を進めていくのに対し、炭素を負極として用いる従来のリチウム二次電池のエネルギー密度を向上させることはほぼ限界に達している、という課題がある。つまり、炭素を負極として用いた場合、そのサイクル特性は良好なものである一方、初期充電容量が求められるまでに大きく出来ない、という問題が生じるからである。
そこで炭素を負極に用いる代わりに、集電体として銅板を用い、この銅板の表面に化学気相成長法(CVD法)などによって薄膜状の非晶質シリコンや微結晶シリコンを積層したものを利用する技術が開発され、また利用されている。シリコンを用いた場合は、グラファイトを用いた場合に比べて初期充電容量が求められるまでに大きくすることが可能だからである。より詳しく述べると、シリコンの理論容量は4200mAh/gであり、グラファイトの理論容量(372mAh/g)に比べ、10倍以上もあり、よってグラファイトに変わる高容量負極として期待される所以である。
しかしシリコンを負極に用いる場合、シリコンはリチウムの吸蔵脱離に伴いシリコン負極が膨張と収縮を繰り返すため、シリコン粒子の割れによる微粒子化や、集電体として用いられる銅板からの剥離により、サイクル特性が悪い、という問題があった。
つまりこのような現象が繰り返されると、やがて負極が変形してしまい、その結果電池のエネルギー密度が低下してしまうことが考えられ、また膨張と収縮とを繰り返すことにより銅板に積層されているシリコン薄膜がやがて銅板から脱離する現象が生じ、その結果電池のサイクル特性が劣化してしまうことが考えられる。つまりシリコンを負極に用いる場合、サイクル特性が好ましいものと言えず、グラファイトの場合と比べても良好であるとは言えないものであった。
そこで例えば特許文献1に記載の発明では、負極材料層としてシリコンに銅を固溶させた薄膜を用いることによりリチウムの吸蔵量を抑制し、その結果リチウムを吸蔵脱離した場合の負極材料の膨張を抑制する、即ちシリコンを薄膜化したシリコン負極の膨張と収縮に伴う負極材料の劣化を抑制し、良好なサイクル特性を持つようにしたものが開示されている。
特開2002−289177号公報
しかしこの特許文献1に記載の発明では、シリコンを銅に固溶させた薄膜を集電体表面に積層しているので、確かにこれをリチウム二次電池の負極に用いてもある程度膨張収縮による影響を回避できるかも知れないが、それはシリコンにリチウムを積極的に吸蔵させないことを前提としているものであり、エネルギー密度を高く維持することが出来ない、という問題を呈していた。また集電体表面に薄膜を積層する前にシリコンを銅に固溶させるという作業が必要であり実際の負極製造において余分な工程を課せられることになり、好ましいものとは言えない。またシリコンを銅に固溶させるとしても、それらが理想的に均等に分散、存在しているかどうかは確実ではなく、つまり薄膜中にシリコンと銅とが偏在してしまうと当初期待した効果がさほど得られない、という問題も呈していた。
一方、エネルギー密度の観点から検討すると、実用的なリチウム二次電池の負極としてシリコンを薄膜化したシリコン負極を用いる場合、シリコンの薄膜には5μm程度の膜厚が必要とされる。しかし膜厚が厚くなるとシリコン負極のサイクル特性は急激に低下してしまい、その結果シリコン薄膜を用いたリチウム二次電池を実用化することは大変困難である。そして特許文献1に記載の発明では、シリコンに銅を固溶させた薄膜を用いることによりリチウムの吸蔵量を抑制し、負極材料の膨張を抑制することが開示されているものの、この手法であればシリコンの高いエネルギー密度を有効に利用できず、やはり問題であった。
そこで本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする性質を有する物質の持つその性能を維持しつつ、サイクル特性に優れたリチウム二次電池の負極として用いることを可能とした鱗片状薄膜微粉末分散液を提供することである。
以上の課題を解決するために、本願発明の請求項1に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液に関する発明は、(A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、若しくは複数による積層、による薄膜、又は(B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、及びリチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない金属単体、又は合金、の何れか単体による層、の双方の層を用いて、合計2層以上となるように積層してなる薄膜、の何れかの薄膜が微粉砕されてなるリチウム吸蔵脱離を可能とする鱗片状薄膜微粉末が溶剤中に含有されてなること、を特徴とする。
本願発明の請求項2に記載の発明は、基材フィルムである高分子樹脂フィルムの表面に、樹脂による剥離層と、(A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、若しくは複数による積層、による薄膜、又は(B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、及びリチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない金属単体、又は合金、の何れか単体による層、の双方の層を用いて、合計2層以上となるように積層してなる薄膜、の何れかの薄膜を、真空蒸着法、又はスパッタリング法によって前記剥離層表面に積層して積層体を得る積層体製造工程と、前記樹脂を溶解させることが可能な溶剤を用いつつ前記積層体から前記薄膜を剥離する薄膜層剥離工程と、前記溶剤中に存在する前記薄膜を微粉砕する微粉砕工程と、前記微粉砕工程後に、前記微粉砕された前記薄膜の前記溶剤中における固形分濃度を調整する濃度調整工程と、を経て得られてなること、を特徴とする。
本願発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液であって、前記鱗片状薄膜微粉末の、1個の前記鱗片状薄膜微粉末の略平面視における端から端の長さのうち最も長い長さ、の前記鱗片状薄膜微粉末全体の値の平均値である平均長径が0.1μm以上100μm以下であり、1個の前記鱗片状薄膜微粉末の略側面視における厚み、の前記鱗片状薄膜微粉末全体の値の平均値である平均厚みが0.01μm以上3μm以下であること、を特徴とする。
本願発明の請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液であって、前記鱗片状薄膜微粉末の前記平均長径と前記平均厚みとの比、即ち平均長径/平均厚みで示されるアスペクト比が5以上であること、を特徴とする。
本願発明の請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液であって、前記薄膜が、(A)リチウムを吸蔵脱離可能とする物質として次の(1)〜(3)に示す一群の何れかを用いてなる単層又は複数層による薄膜であること、を特徴とする。
(1)金属単体:シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、カルシウム、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛、カドミウム
(2)合金:スズ−銅合金(CuSn)、ケイ素−マグネシウム合金(MgSi)、鉄−スズ合金(SnFe)、スズ−ニッケル合金(NixSn)、スズ−コバルト合金(CoxSn)、ケイ素−ニッケル合金(NiSi)、ケイ素−鉄合金(FeSi)、ニッケル−マグネシウム合金(MgxNi)、アンチモン−スズ合金(SnSb)、アンチモン−インジウム合金(InSb)、銀−スズ−アンチモン合金(AgSnSb)、
(3)金属化合物:(1)で示した金属単体を主とする酸化物又は硫化物、又は遷移金属酸化物又は硫化物
本願発明の請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液であって、前記薄膜が、(B)リチウムを吸蔵脱離可能とする物質として次の(1)〜(3)に示す一群の中の何れかを用いてなり、またリチウムを吸蔵脱離可能としない物質として次の(4)〜(5)に示す一群の中の何れかを用いてなること、を特徴とする。
(1)金属単体:シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、カルシウム、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛、カドミウム
(2)合金:スズ−銅合金(CuSn)、ケイ素−マグネシウム合金(MgSi)、鉄−スズ合金(SnFe)、スズ−ニッケル合金(NixSn)、スズ−コバルト合金(CoxSn)、ケイ素−ニッケル合金(NiSi)、ケイ素−鉄合金(FeSi)、ニッケル−マグネシウム合金(MgxNi)、アンチモン−スズ合金(SnSb)、アンチモン−インジウム合金(InSb)、銀−スズ−アンチモン合金(AgSnSb)、
(3)金属化合物:(1)で示した金属単体を主とする酸化物又は硫化物、又は遷移金属酸化物又は硫化物
(4)金属単体:チタン、マンガン、鉄、ニッケル、クロム、銅、ジルコニウム、モリブデン、タンタル、タングステン
(5)合金:(4)で示した金属単体を主とする合金
本願発明の請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液であって、前記溶剤が水又は有機溶剤であること、を特徴とする。
本願発明の請求項8に記載の鱗片状薄膜微粉末に関する発明は、請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液における溶剤を除去する溶剤除去工程を経て得られてなること、を特徴とする。
本願発明の請求項9に記載のペーストに関する発明は、請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液、又は請求項8に記載の鱗片状薄膜微粉末、の何れかと、導電性フィラーと、結着剤と、を一緒に混合することによって得られてなること、を特徴とする。
本願発明の請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のペーストであって、前記導電性フィラーが高導電性カーボンブラックであり、前記結着剤がポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース及びそのアルカリ金属塩、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、の何れか若しくは複数の混合物であること、を特徴とする。
本願発明の請求項11に記載の電池用電極に関する発明は、請求項9又は請求項10に記載のペーストを集電体表面に積層して得られること、を特徴とする。
本願発明の請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の電池用電極であって、前記集電体が銅、ニッケル、アルミニウムの何れかであること、を特徴とする。
本願発明の請求項13に記載のリチウム二次電池に関する発明は、請求項10ないし請求項12の何れか1項に記載の電池用電極を用いてなること、を特徴とする。
本願発明の請求項14に記載のリチウム二次電池に関する発明は、請求項10ないし請求項12の何れか1項に記載の電池用電極を用い、かつ電解液中に電極皮膜形成添加物、難燃性添加物、不燃性添加物、過充電防止添加物、の何れか若しくは複数を添加してなること、を特徴とする。
以上のように、本願発明にかかる鱗片状薄膜微粉末分散液はリチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質であるので、これをリチウム二次電池の負極として利用すれば、従来のグラファイト(炭素)を負極に用いていた場合に比べて初期充電容量を大きく出来るようになる。また、これをリチウム二次電池の負極として利用すれば、従来のシリコンを負極に用いていた場合に比べて、サイクル特性を良好なものに出来る。即ち、これをリチウム二次電池の負極として利用すれば、そのリチウム二次電池は長期間良好に繰り返し利用することが出来、即ち長寿命化することが出来るようになる。特に鱗片状薄膜微粉末の形状に関し、平均長径が0.1μm以上100μm以下であり、平均厚みが0.01μm以上3μm以下であるものとしたので、これを用いたペーストを、例えば銅箔による集電体表面に塗布するなどして得られる電極をリチウム二次電池の負極とすれば、従来のリチウム二次電池に比べ、シリコンの高容量性を保ちつつリチウム二次電池をより長寿命化できる。また鱗片状薄膜微粉末のアスペクト比が5以上であれば、より良好なリチウム二次電池負極用の鱗片状薄膜微粉末分散液を得ることが出来るし、さらにリチウム二次電池の電解液中に、電極皮膜形成添加物、難燃性添加物、不燃性添加物、過充電防止添加物、の何れか若しくは複数を添加してなることで、より一層リチウム二次電池の長寿命化を実現できるのみならず、添加剤によっては難燃性や不燃性を高めたり、過充電による事故を防止できたり、さらには電極の微粉化をより確実に防止できる、という特徴を有するリチウム二次電池を得られる。
要するに、本願発明にかかる鱗片状薄膜微粉末分散液に含まれる鱗片状薄膜微粉末を用いることにより、従来リチウム二次電池において問題とされていたシリコンを用いた負極の膨張収縮による歪みによる破損が生じにくくなり、その結果シリコンの高容量性を保ちつつサイクル特性の高いリチウム二次電池を実現する負極を得やすくなるのである。
さらに本願発明にかかる鱗片状薄膜微粉末分散液又は鱗片状薄膜微粉末を得る手法として、単純に述べると、基材フィルム/剥離層/薄膜層という構成を有する積層体を用意し、次いでこの剥離層が溶解可能な溶剤を用いつつ積層体から薄膜層を剥離し、次いで溶剤中に存在する剥離された薄膜層を微粉砕することで、これを得られる、という方法を用いるので、本願発明にかかる鱗片状薄膜微粉末分散液を容易に得られると言える。
本発明の実施例において作製した負極の一例を説明するための模式的断面図である。 (a)〜(f)は本発明の負極微粉末の好適な一例を説明するための概念的模式図である。 本発明の実施例において作製したリチウム二次電池の一例を説明するための構成図である。
以下、本願発明の実施の形態について説明する。尚、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずもこの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
本願発明にかかる鱗片状薄膜微粉末分散液(以下単に「分散液」とも言う。)につき、第1の実施の形態として説明する。
本実施の形態にかかる分散液は、要すれば溶剤の中に微粉砕された薄膜が薄膜微粉末として存在している液である。また個々の薄膜微粉末の形状は、単純に薄膜を微粉砕することで鱗片状となっている点に特徴があると言える。そして本実施の形態にかかる分散液は最終的にはリチウム二次電池の負極に用いることが想定されているものであることを予め述べておく。
まず本実施の形態にかかる分散液につき説明する。
本実施の形態にかかる分散液は、金属単体、合金、又は金属化合物の薄膜が微粉砕されてなる鱗片状薄膜微粉末(以下単に「微粉末」とも言う。)が溶剤中に含有されてなる、リチウム二次電池の電極に用いるための分散液である。そしてこの微粉末として用いられる金属単体、合金、又は金属化合物は、何れもリチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質である。
まず鱗片状薄膜微粉末につき説明する。
この鱗片状薄膜微粉末は本実施の形態においては金属単体、合金、又は金属化合物の何れか1種類からなる薄膜が微粉砕されたものであるが、重要なことは上述の通り、これらの何れを選択しても、その物質はリチウムを吸蔵脱離可能とすることが可能な物質とすることである。そしてそのような物質は多種存在するが、例えば以下のようなものがあげられる。
即ち、
(1)金属単体としては、シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、カルシウム、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛、カドミウム、等であり、
(2)合金としては、スズ−銅合金(CuSn)、ケイ素−マグネシウム合金(MgSi)、鉄−スズ合金(SnFe)、スズ−ニッケル合金(NixSn)、スズ−コバルト合金(CoxSn)、ケイ素−ニッケル合金(NiSi)、ケイ素−鉄合金(FeSi)、ニッケル−マグネシウム合金(MgxNi)、アンチモン−スズ合金(SnSb)、アンチモン−インジウム合金(InSb)、銀−スズ−アンチモン合金(AgSnSb)、等であり、
さらに
(3)金属化合物、として(1)で示した金属単体を主とする酸化物又は硫化物、又は遷移金属酸化物又は硫化物、等であるもの、
を用いることが考えられる。
そして以下の本実施の形態の説明においてはシリコン単体からなるシリコン薄膜を微粉砕したものを想定する。
本実施の形態におけるシリコン薄膜を微粉砕した薄膜微粉末の形状は基本的に鱗片状であり、かかる微粉末を含有した分散液を得る手法については後述する。
ここで鱗片状薄膜微粉末の形状の平均厚みと平均長径につき説明する。
本実施の形態にかかる微粉末は、文字通り鱗片状の外観を有している。つまりそれぞれは非常に微細な粉状となっているが、その個々を観察するとその殆ど何れもが鱗片状の外観を有している。これは薄膜を微粉砕することにより得られるものだからであり、当然、破砕された個々の物質は偏平なものとなっている。
そして個々の鱗片状微粉末につきさらに観察すると、略平面視において、その端から端の長さは当然個々にあっては全く異なるが、その個々の有する長さのうち最長のものを定め、個の有する最大長の鱗片状微粉末における平均値、即ち端から端の長さの平均値である平均長径であって、本実施の形態において好適な値の範囲を考察すると、本実施の形態にかかる鱗片状薄膜微粉末では0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。
また、この鱗片状の金属微粉の略側面視における厚みは、これも当然個々により厚みが違い、また単一の金属微粉であっても拡大して観察すれば完全に均一な厚みを有するものではないが、個々の厚みを平均した平均厚みは本実施の形態においては0.01μm以上3μm以下であることが好ましい。
そして鱗片状薄膜微粉末のアスペクト比、即ち平均長径/平均厚みが5以上、より好ましくは10以上となるような鱗片状薄膜微粉末としておけば、その鱗片状薄膜微粉末の形状は本実施の形態において好ましい偏平形状を有したものであることを意味する。
これら平均長径、平均厚み、アスペクト比の数値範囲が前述の通りであることが好ましい理由については別途後述する。
以上、本実施の形態において鱗片状薄膜微粉末の平均長径、平均厚み、アスペクト比に関する数値範囲をこのように定めることにより、必要以上に小さすぎず、また必要以上に大きすぎない、適正なサイズの鱗片状薄膜微粉末としている。
尚、上記で述べた金属微粉の平均長径と平均厚みは、次の方法にて求めた。また本実施の形態に限らず、本願発明においては全て同様であることを断っておく。
まず平均長径はレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定し、その結果得られた50%平均粒子径(メディアン径)を平均長径とした。
また平均厚みは、後述の本実施の形態にかかる分散液を製造する際に用いる積層の手法において、鱗片状薄膜微粉末のもととなる積層箇所の厚みがそのまま鱗片状薄膜微粉末の厚みとなるものであって、その厚み測定として蛍光X線分析装置により積層箇所を複数箇所測定し、その平均値として得られた値を平均厚みとした。
以上説明した鱗片状薄膜微粉末分散液は次のようにして得られる。
まず基材フィルムである高分子樹脂フィルムの表面に樹脂による剥離層を積層する。
次に、前述した、リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層を薄膜として、即ち本実施の形態ではシリコンを、真空蒸着法、又はスパッタリング法等のいわゆるドライコーティング法により前述の剥離層表面に積層して積層体を得る積層体製造工程を実行する。
次に、得られた積層体に対し、前述した剥離層を形成する樹脂を溶解させることが可能な溶剤を用いつつ、積層体から薄膜を剥離する薄膜層剥離工程を実行する。
そして溶剤中に存在する薄膜を微粉砕する微粉砕工程を実行し、そしてさらにその後に、微粉砕された薄膜の溶剤中における固形分濃度を調整する濃度調整工程と、を経ることにより、本実施の形態にかかる、リチウム二次電池電極に用いるための、鱗片状薄膜微粉末分散液を得ることが出来る。
この手順につき説明する。
基材フィルムとしては従来公知の高分子樹脂フィルムを利用すれば良く、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルムなどが考えられるが、ここでは厚みが25μmのPETフィルムを用いることとする。ちなみに、PETフィルムであればその扱い等も周知なものであり、容易であるため用いるものである。またPETフィルムの厚みに関しては特段制限するものではないが、12μm以上100μm以下程度の厚みであれば以後説明する操作性の観点からも好ましいと言える。
尚、本実施の形態において基材フィルムをPETフィルムに限定するものではなく、例えば後述する剥離層を溶解させることが出来る溶剤に対しても耐性を有する高分子樹脂フィルムを基材フィルムとして用いるならば、後述の薄膜層剥離工程を経ても基材フィルムが溶剤により溶解したり損傷したりすることがないので、それを再び基材フィルムとして利用することが可能となり、即ち再利用可能な基材フィルムとして用いることが出来るので好適なものとすることも可能であることを述べておく。
PETフィルムの表面に剥離層を積層する。この剥離層は、後述の薄膜層剥離工程において特定の溶剤により容易に溶解するものでなければならず、その厚みとしては後述のように特定の溶剤に溶解するレベルの厚みであれば特段これを制限するものではない。そして本実施の形態において剥離層としてはセルロースアセテートブチレート(CAB)等のように、酢酸ブチルなどのような有機溶剤にも水にも溶解するものが好適であると考えられ、本実施の形態ではCABを用いるものとする。このCABをグラビアコート法等の、いわゆる公知のウェットコーティング法によりPETフィルムの表面に積層する。さらに述べるならば、PETフィルムをロール・ツー・ロールで搬送しつつ、その途中でCABをグラビアコート法によりPETフィルムに積層していくことでCABが積層されたPETフィルムが得られることとなる。
またこのCABによる剥離層の厚みは適宜設定すれば良く、要は、薄すぎて剥離層として充分機能しないことのないように、また厚すぎて後述する薄膜層剥離工程に悪影響を及ぼすことのないような厚みとしておけば良い。
PETフィルムの表面にCABによる剥離層を積層してなるフィルムが準備できれば、次にこの剥離層表面にシリコンを積層する積層体製造工程を実行する。
ここでシリコンを積層する手法として従来公知のドライコーティングと称される一群の手法の何れかであって良いが、本実施の形態では一般的に行われるところの真空蒸着法によるものとする。
シリコンを積層するに際してシリコン薄膜層の厚みは0.01μm以上3μm以下であれば良い。これは後述するように、本実施例にかかる鱗片状薄膜微粉末分散液における薄膜微粉末は、この積層体製造工程において積層されるシリコン薄膜層が原料となるからである。即ち、このシリコン薄膜層が基材フィルムから剥離し、それを微粉末になるまでに微粉砕されることによって鱗片状薄膜微粉末が得られるのであり、得られた鱗片状薄膜微粉末分散液中の薄膜微粉末の厚みは0.01μm以上3μm以下であることが望まれるので、そもそも最初に積層する際の厚みを上記範囲内としておけば良いのである。
次に、得られた積層体に対し、前述した剥離層を形成する樹脂を溶解させることが可能な溶剤を用いつつ、積層体から薄膜を剥離する薄膜層剥離工程を実行する。尚本実施の形態では、溶剤として有機溶剤を用いるが、これは剥離層を形成する樹脂に応じて選定すれば良く、例えば水を溶剤としても構わない。何れにせよ、用いられる剥離層に応じたものを選択すれば良い。そしてこの工程を経ることで、溶剤中に剥離された薄膜が存在した溶液を得ることとなる。
次に溶剤中に存在する薄膜を微粉砕する微粉砕工程を実行する。この微粉砕工程における粉砕方法は、本実施の形態において特段制限したり特別な方法を選択するものではなく、結果として前述した鱗片状薄膜微粉末の大きさ等の数値条件を満たせるように粉砕できれば良い。
そしてさらにその後に、微粉砕された薄膜の溶剤中における固形分濃度を調整する濃度調整工程を実行する。この濃度調整工程における濃度調整方法は本実施の形態において特段制限したり特別な方法を選択するものではなく、例えば濾過や加熱による溶剤除去、また溶剤を追加する等の方法によって、結果として後述するリチウム二次電池の負極を得るのに好適な濃度とすれば良い。
以上の工程を経ることにより、本実施の形態にかかるリチウム二次電池電極に用いるための鱗片状薄膜微粉末分散液を得る。そしてさらにかかる分散液から鱗片状薄膜微粉末を取り出すために、例えば分散液を乾燥させることにより溶剤を除去する、等の溶剤を除去する溶剤除去工程を実行することにつき、ここでは詳述しないが実際の利用に応じて実施可能であることを付言しておく。
尚、本実施の形態により得られた鱗片状薄膜微粉末分散液を用いてリチウム二次電池電極とすることに関しては後述する。
(実施の形態2)
以上説明した第1の実施の形態にかかる鱗片状薄膜微粉末分散液に含有される鱗片状薄膜微粉末はシリコン単体による単層であるものとしたが、次にこれとは異なる場合につき説明する。
発明者の研究により、本願発明により得られる鱗片状薄膜微粉末分散液をリチウム二次電池電極に用いる場合、鱗片状薄膜微粉末としてシリコン単体による単層である薄膜により得られる微粉末でも好適に利用可能であることがわかったが、それ以外にも、リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質であるが異なる種類のものを2種類以上積層してなる薄膜を準備し、これを微粉砕した微粉末としても第1の実施の形態の場合と同様の効果を得られることが見いだされた。
そこで第2の実施の形態としてこの場合につき説明する。
基本的に本実施の形態により得られる分散液は先に説明した第1の実施の形態の場合と同様であるのでその説明を省略する。
第1の実施の形態では基材フィルム(PETフィルム)/剥離層、という構成の剥離層側表面にシリコンを単体で単層となるように積層し、これを用いて最終的に微粉末を得ることにつき説明したが、本実施の形態ではこの剥離層の表面に形成される層は単層ではなく、2層以上の複数層であるものとした。
選択されるべき物質は本実施の形態の場合、何れの層もリチウムを吸蔵脱離可能とすることが可能な物質である。そのような物質は多種存在するが、例えば以下のようなものがあげられる。
即ち、
(1)金属単体としては、シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、カルシウム、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛、カドミウム、等であり、
(2)合金としては、スズ−銅合金(CuSn)、ケイ素−マグネシウム合金(MgSi)、鉄−スズ合金(SnFe)、スズ−ニッケル合金(NixSn)、スズ−コバルト合金(CoxSn)、ケイ素−ニッケル合金(NiSi)、ケイ素−鉄合金(FeSi)、ニッケル−マグネシウム合金(MgxNi)、アンチモン−スズ合金(SnSb)、アンチモン−インジウム合金(InSb)、銀−スズ−アンチモン合金(AgSnSb)、
さらに
(3)金属化合物、として(1)で示した金属単体を主とする酸化物又は硫化物、又は遷移金属酸化物又は硫化物、
を用いることが考えられる。
つまり、例えば「PETフィルム/剥離層」という構成の剥離層側表面に「シリコン/スズ」という構成の薄膜を積層しても構わないし、同じく「シリコン/スズ−銅合金」であっても良く、さらに「スズ/シリコン」や「スズ−銅合金/シリコン」としてあっても構わない。さらには「シリコン/スズ/シリコン」というように3層になっても良いし、同様にさらに複数の層を積層しても構わない。
これらを、PETフィルム/剥離層の剥離層側に積層する手法は従来公知のいわゆるドライコーティング法によるものであって良く、特段制限するものではない。ここでは積層する薄膜を「シリコン/スズ」という構成としたものとしてさらに説明する。
シリコン/スズという構成の薄膜による層の平均厚みは、しかしながら第1の実施の形態の場合と同様0.01μm以上3μmであることが好ましい。同様にこの薄膜層を微粉砕して得られる薄膜微粉末の平均長径も同様に0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、アスペクト比についても同様に5以上、より好ましくは10以上、であるものとする。つまり、たとえ層構成が変わろうとも、特に全体としての厚みは第1の実施の形態の場合と同様でなければ同様の効果が得られない。よって、例えば「シリコン/スズ」という構成であって、シリコン層の厚みが2μmであり、そこに積層されているスズ層の厚みが1μmである、という組み合わせでも良いし、シリコン層が0.1μm、スズ層が2.5μm、という組み合わせでも良い。
そして本実施の形態にかかる分散液は、第1の実施の形態と同様の工程を実施することで得られる。得られた分散液の用い方については後述する。
(実施の形態3)
さらに、第1の実施の形態及び第2の実施の形態とは異なる構成を有する分散液につき説明する。
第1の実施の形態では微粉末は例えばシリコン等のリチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質1種類のみを用いた単層によるものであり、第2の実施の形態では例えばシリコン/スズといったようなリチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質2種類以上を積層した複数層を原料に、それぞれを微粉砕して得られるものであったが、発明者はこれら以外にも、リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない物質を、リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質と同時に積層してなる薄膜を微粉砕して得られる分散液であっても同様の効果を生じることを見いだした。そこで本実施の形態ではこの場合につき説明する。尚、本実施の形態にあっても、第1及び第2の実施の形態と同様である部分に関してはその説明を省略する。
第1及び第2の実施の形態において基材フィルム(PETフィルム)/剥離層、という構成の剥離層側表面にシリコンを単体で単層となるように積層すること、さらに2種類以上のリチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質を複数積層してなる場合、につき説明したが、本実施の形態では、(A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質と、(B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない物質と、を同時に積層した薄膜を用いて鱗片状薄膜微粉末分散液を得るものである。
ここで(A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質としては、
(1)金属単体としては、シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、カルシウム、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛、カドミウム、等であり、
(2)合金としては、スズ−銅合金(CuSn)、ケイ素−マグネシウム合金(MgSi)、鉄−スズ合金(SnFe)、スズ−ニッケル合金(NixSn)、スズ−コバルト合金(CoxSn)、ケイ素−ニッケル合金(NiSi)、ケイ素−鉄合金(FeSi)、ニッケル−マグネシウム合金(MgxNi)、アンチモン−スズ合金(SnSb)、アンチモン−インジウム合金(InSb)、銀−スズ−アンチモン合金(AgSnSb)、
さらに
(3)金属化合物、として(1)で示した金属単体を主とする酸化物又は硫化物、又は遷移金属酸化物又は硫化物、
を用いることが考えられる。
また(B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない物質としては、
(4)金属単体:チタン、マンガン、鉄、ニッケル、クロム、銅、ジルコニウム、モリブデン、タンタル、タングステン
(5)合金:(4)で示した金属単体を主とする合金
を用いることが考えられる。
以下、単純に(A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質を○、(B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない物質を×、とすると、本実施の形態における薄膜としては「○/×」であっても良く、「○/×/○」であっても良いし、また「×/○/×」であっても良いし「○/○/×」であっても良く(隣接する○は異なるものとする。)、さらには「×/×/○」であっても良い。(隣接する×は異なるものとする。)要するに、本実施の形態における薄膜は複数層より構成されるものであって、かつ複数層には必ず1つ以上の(A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質と、1つ以上の(B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない物質と、を同時に用いる、という条件を満たす、ということが特徴である。そして本実施の形態としては「シリコン/ニッケル/シリコン」であるものとする。
これらの物質を順次PETフィルム/剥離層の剥離層側に積層していくための手法は従来公知のいわゆるドライコーティング法によるものであって良く、特段制限するものではない。
また本実施の形態においてもやはり第2の実施の形態において述べたのと同様、シリコン/ニッケル/シリコンという複数の層からなる薄膜層の平均厚みは第1の実施の形態の場合と同様、0.01μm以上3μmであることが好ましい。そしてこれも同様であるが、各層の厚みは前述の全体の厚み、即ち0.01μm以上3μm以下となれば良いのであって、例えばシリコン/ニッケル/シリコンの各層厚みがそれぞれ同一に0.3μmであっても良く、また両端のシリコン層厚みは0.5μm、ニッケル層厚みは0.3μm、といったように不均等であっても構わない。
同様にこの薄膜層を微粉砕して得られる薄膜微粉末の平均長径も同様に0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、アスペクト比についても同様に5以上、より好ましく亜10以上、であるものとする。
そして第1の実施の形態と同様の工程を実施することで、「シリコン/ニッケル/シリコン」という構成を有する分散液を得る。得られた分散液の用い方については後述する。
(実施の形態4)
以上、本願発明にかかる鱗片状薄膜微粉末分散液につき、これに含まれる鱗片状薄膜微粉末を3つのケースに分けて説明したが、以後の説明は何れの微粉末及び分散液であっても同様であることを予め断った上で、第1の実施の形態におけるシリコン単体による薄膜を用いて得られた分散液を想定して説明を続ける。
この分散液は、これを得るに際して用いた溶剤中に微粉末が分散して存在しているものである。そこで、微粉末そのものを得るために溶剤を除去することも可能であり、また除去するための手法は特段制限はされない。例えば分散液全体を加熱することにより溶剤を除去することも考えられるし、また分散液を濾過することによって溶剤を除去することも考えられる。
何れにせよ、本願発明にかかる分散液はリチウム二次電池の電極として用いられることを想定してなるものであり、本実施の形態ではこの電極を得ること及びそれを用いたリチウム二次電池に関し説明をする。
この説明に先立ち、電極を得るに際して分散液の濃度が問題となる場合があるのでこれにつき述べておく。分散液における微粉末の量によって電極を好適に得られるように、若しくは逆に好適に得られなくなる可能性があるからである。そこでこの濃度を調整するためには、微粉砕工程の後に微粉砕された薄膜の溶剤中における固形分濃度を調整するための濃度調整工程を行えば良く、その工程としては前述したように特段特殊な手法を用いるものではない。何れにせよ本実施の形態においては、結果として所望する濃度となるように溶剤を調整すれば良いものとする。
例えば溶剤として水を選択した場合、水を蒸発させて分散液を濃縮することも考えられ、又は水を追加することにより濃度を下げる処理をすることも考えられるが、ここではこれ以上の詳述は省略して、実際に本願発明にかかる分散液を用いてリチウム二次電池用電極、より具体的には二次電池に用いる負極、を得る方法につき説明をする。
まずリチウム二次電池の負極を得るにあたり集電体を選択しなければならないが、これは銅、ニッケル、又はアルミニウム等であれば良く、本実施の形態では銅を箔状態にしたもの(以下単に「銅箔」とする。)を用いるものとする。
そして集電体である銅箔の表面に微粉末を積層することで負極とするのであるが、銅箔表面に微粉末を定着させるために、例えば以下に述べるペーストを準備しておき、これを銅箔表面に塗布などにより積層、定着させる、という方法を用いると良く、本実施の形態でもそのようにする。
このペーストは、分散液と導電性フィラーと結着剤とを、又は分散液から溶剤を除去して得られる微粉末と導電性フィラーと結着剤とを、一緒に混合することにより得られるものであり、一例として次のようにして得られる。
まず最初に分散液を60℃の高温槽を用いて溶剤を蒸発させる。溶剤を蒸発させた後さらに80℃の真空乾燥機にこれを移し約1時間乾燥させ、完全に溶剤を蒸発させる。次に得られた微粉末(=活物質)を回収し、これとケッチェンブラックとの重量比が75対15になるよう、それぞれを秤量し、そしてそれらを15分間混合する。一方、結着剤としてカルボキシメチルセルロースが5wt%になるように水溶液にしたものを用意しておく。ここでカルボキシメチルセルロースの重量と微粉末との重量比が75対10となるようにカルボキシメチルセルロース水溶液を秤量しておく。そして結着剤と前述の混合により得られた混合体とを混合することにより、ペーストを得る。
得られたペーストは集電体である銅箔表面に塗布等により積層させて用いるのであるが、ペーストに導電体フィラーが含有されているので、リチウム二次電池を充放電させる際に微粉末から吸蔵脱離される電子を銅箔に導通させ、外部負荷に電流を供給する回路が構成されるようになる。またこのような導電性フィラーと微粉末とを相互に結着させるために結着剤も一緒に混合させるのであるが、結着剤にはその他にも、銅箔と微粉末層即ちこのペーストとを接着させるという目的も有する。さらに、リチウム二次電池を充放電させる過程において生じる銅箔や微粉末が膨張、収縮する現象に対し、それでも微粉末の相互結着や、集電板と微粉末層との接着性を維持する、という目的や、微粉末をペースト化するに際して製造工程を改善する、つまり各要素が粉体状のままで作業を行っているところから離散してしまうことを防ぐ、という目的も有する。
このような目的を達する導電性フィラーとしては、既に述べたように例えば高導電性カーボンブラック等が好ましく、本実施の形態でもこれを用いることとする。また同じくこのような目的を達する結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、の何れか若しくは複数の混合物、等を用いれば良く、本実施の形態では既に述べたようにカルボキシメチルセルロースを用いることとする。そしてこれらを、微粉末と混合し、粘性を有するペーストを得るのである。
一方、集電体たる銅箔は予め充分乾燥させておく。そして乾燥させた銅箔表面に、得られたペーストをドクターブレード法などの手法によって塗布し、その後高温環境下で一定時間真空乾燥を行うことで、負極を得る。
具体的には、集電体である銅箔表面に対し、ドクターブレードを銅箔表面に対して均一な厚みの空隙を有するようにあてがい、そしてドクターブレードを銅箔表面上を移動させつつ空隙からペーストを押し出すことで、ペーストが銅箔表面上にあって均一な厚みとなるように塗布する。尚、当然これ以外の手法によってペーストが銅箔表面上に塗布されても構わない。
そしてしかる後にテンプレートを銅箔表面から外し、ペーストがその表面に塗布され、銅箔を取り出し、これを一定時間・一定条件で乾燥させる。
得られた板をリチウム二次電池の負極として用いると、従来の炭素素材による負極を用いた場合に比して、リチウム二次電池のサイクル特性を向上することが出来るようになる。
そこで得られたリチウム二次電池の負極の動作などにつき考察、説明をする。
リチウム二次電池の動作については冒頭に述べた通りであるが、その動作における負極で生じる現象を中心に改めて簡単に説明する。
一般的にリチウム二次電池は正極と負極とを、電解質(例えば六フッ化リン酸リチウム(LiPF))を溶解させた電解液に浸漬させてなる構成よりなる。その原理は、正極、負極、電解質それぞれの材料間でリチウムの移動により電荷の授受が行われることで充放電が可能となっている。ここで負極はリチウムを電解液中に脱離するとそれと同時に電荷を接続された正極側に放出する。このようにすることで電荷の移動、即ち電流が発生し、電池としての作用を生じるようになる。
そして一定時間利用すると、負極から脱離されるリチウムが負極に存在しなくなり、即ち電荷の移動が生じなくなり、電流が発生しなくなり、その結果電池として作用しなくなる。
電池として作用しなくなると、リチウム二次電池では充電を行うことで再び電池としての利用が可能となる。この充電状態にあるリチウム二次電池の負極における動きは、先の動きとは逆に、正極側から電子を流れ込ませると同時に電解液中に存在するリチウムを吸蔵するのである。つまり電池として作用している時の負極よりリチウムが脱離し、逆に充電中にあっては、負極はリチウムを吸蔵するのである。
このようにリチウム二次電池の負極ではリチウムは常に吸蔵脱離しているのであるが、この吸蔵脱離により、負極は常に膨張と収縮を繰り返している。つまりリチウムを吸蔵するに伴い負極は膨張し、リチウムが脱離することで負極は収縮する。
そこで本実施の形態にかかる電極につき従来例と比較しつつさらに説明する。
従来の負極では炭素を用いているためにサイクル特性は好ましいもののエネルギー密度が低いという問題があった。そこでこの問題に対処すべくシリコン又はシリコン系の合金を高容量負極として用いることが提案されるようになったが、シリコンは体積変化が激しいので、先に述べた諸問題、特に何度も充放電を繰り返すことによる膨張と収縮に耐えられずに、結果としてシリコンによる負極は容易に破損してしまい、よってリチウム二次電池のサイクル特性が悪くなる、という問題があった。
例えばシリコン系の合金を用いた負極とした場合、選択した合金によってはリチウムが完全に吸蔵されると体積が300%程度までに膨張することがある。当然、この状態からリチウムが完全に脱離されてもとに戻る、というサイクルを繰り返すことは、体積がそれだけ激しく膨張・収縮を繰り返すことを意味し、即ちそれだけ負極の寿命が短くなることを意味する。つまり、負極の原料が従来より用いられている球状及びフレーク状シリコン単体(以下単に「従来単体」と呼ぶ。)である場合、これに吸蔵されるリチウムは当然外部表面から負極内部へと浸透するのであるが、従来単体であるために浸透の速度は必ずしも迅速であるとは言えない。しかし一方で負極は続々とリチウムを吸蔵しようとするので、結果として負極表面と内部とで吸蔵しているリチウムの量に著しい差が生じ、即ち濃度に大きな差が生じることになる。そして負極の表面と内部とで著しいリチウム濃度差が生じることにより、従来単体よりなる負極全体を観察すると、その内部で無視できない大きなストレスがかけられてしまうことが容易に想像できる。そしてこの状態で今度はリチウムを脱離し始めると、やはり負極表面ではどんどんリチウムが脱離し始めるのに、内部に浸透してしまったリチウムは容易に脱離されない、という現象が生じてしまう。
このように、負極を従来単体により構成した場合、リチウムの吸蔵脱離に伴う負極内部のリチウム濃度の差は、負極表面と内部とで無視できない差となってしまう。そしてその状態でサイクルを繰り返そうとするならば、負極表面と内部と、それぞれにおける膨張・収縮の度合いの大きさ、速度、等に著しい差が生じてしまい、その結果負極が自然崩壊を始め、最終的に負極が微粉化してしまいその能力を失う、という現象が生じてしまうのである。
しかし本実施の形態にかかる負極であれば、まずシリコンによる本願発明にかかる微粉末を含有する分散液を製造し、次いでこれから微粉末を含有するペーストを用意し、そしてこのペーストを銅箔などの集電体表面に積層する、という方法により得られるものとしているので、得られる負極は破損しにくいものとなっている。
つまり、個々の微粉末は、個々の微粉末にあって仮に激しく膨張と収縮を繰り返すとしても、これを含有するペーストにより得られる負極全体から観察した場合、その内部で個々の微粉末の伸縮は全て吸収されていることになる。さらに述べると、鱗片状微粉末を用いることで、負極表面から合金化したリチウム原子が負極内部に迅速に拡散することを可能としたため、前述した従来の負極における負極外部と内部との濃度差が大きくならず、結果として膨張と収縮を繰り返してもそのために負極内部に大きなストレスが生じることがなくなり、即ちストレスによる負極の破砕、微粉化が生じなくなるのである。つまり、従来単体に用いられる従来の粉末であれば、球状であったり通常のフレークであるため、要するに厚みがあることが問題であったのに対し、本願発明では非常に薄いものとしたため、急激な膨張や収縮により生じていた問題を解決できるのである。
このように負極全体としては、シリコンを一連に銅箔表面に積層した単体の板状とした従来の負極に比べ、リチウム二次電池の充放電を繰り返すことによる伸縮に対しても充分な耐性を有した新たなる負極とすることが出来るのである。
よって、まずシリコンを負極に用いることでリチウム二次電池の初期充電容量が高くすることが出来、さらに負極として本実施の形態にかかる負極を用いれば、結果としてリチウム二次電池の初期充電容量を高く出来るのみならず、充放電に伴う負極の激しい伸縮にも容易に追従することが出来るので、サイクル特性の向上が出来る。即ちリチウム二次電池を何度も繰り返し利用することが出来るようになり、つまりこれを長寿命化することが出来るようになる。
但し鱗片状薄膜微粉末を極力微細なものにすれば良い、というものではないことには注意が必要である。これは、単体の負極の体積を「1」とした場合、これに代えて本願発明の微粉末を負極として用いた場合、微粉末同士の積み重ね方によっては無為な空間が生じることがある。即ち所望の特定体積内に微粉末を充填し、その結果所望の特定体積内に無為な空間が生じることなく完璧に充填が出来たならば充填率100%となるが、実際には上述の通りそのようにはならず、どうしても無為な空間が生じてしまう。そしてリチウム二次電池の負極として用いるのであれば、この充填率は40%以上は必要であるところ、微粉末の平均長径を特定値より大きくしてしまうと前述した無為な空間が多数発生してしまい、必要な充填率を達することが困難となる。また微粉末それ自体の平均長径が一定以上になってしまうと、これを含有したペーストを塗布した時にあって、塗布表面をいくら平坦なものにしようとしても微粉末の例えば端部同士が重なり合ってしまい、その結果無視できない凹凸が生じてしまいかねない。つまり電極の表面としては許容できない凹凸が生じてしまうことになりかねないのである。また微粉末の平均長径が必要以上に小さくなってしまうと、微粉末同士の間に働く力のためにどうしても充填率を必要なまでに引き上げることが困難となってしまうのである。
本願発明における平均長径につきさらに述べると、リチウムイオン二次電池の電極の表面は極力均一でなければならず、即ち本願発明にあっては銅箔の表面に塗布等により積層されるペーストの塗布後表面は極力平坦でなければならない。しかもその厚みは1μm以上30μm以下であることが求められる。よって微粒子の平均厚みが一定値以上厚いものとなってしまうと、ペーストを平坦に塗布しようとしてもペーストに含有される微粉末が必要以上に長いと、互いの微粉末が重なり合ってしまうことによりどうしても表面に凹凸が生じてしまう可能性がある。そこで本願発明にあってはその平均長径を100μm以下としているのである。換言するならば、この値を超えるようであると、ペーストを均一に積層することが出来なくなってしまうのである。また逆に0.1μmに満たない平均長径の微粉末を用いると、今度は先に述べた充填率を達成することが出来なくなることより、結果として体積当たりの電池容量を向上させられなくなってしまう。
また微粉末の厚みが一定の厚みを超えてしまうと、先に述べたように、従来単体を負極とした場合における説明と同様な現象が個々の微粉末に生じてしまうことがわかった。つまり、リチウムを吸蔵する微粉末と言えど限界以上に急激に膨張し、その後リチウムを脱離すると急激に収縮し、その結果微粉末自体がさらに微粉砕されてしまい、その機能を失う現象を生じてしまうことを見いだしたのである。また厚みが一定の厚み以下となってしまうと、そもそもリチウムの吸蔵脱離機能を発揮できなくなってしまうし、薄すぎる鱗片状微粉末の扱いが非常に困難となる、という問題も生じてしまう。
本願発明における平均厚みにつきさらに述べると、発明者が種々検討した結果、平均厚みが3μmを超えてしまうと微粉末自体の微粉砕が観測されたので、本願発明ではその上限を3μmとした。また微粉末それ自体の扱いを容易に行える厚みの下限は、やはり発明者が種々検討した結果0.01μmであった。
さらに平均長径及び平均厚みそれぞれに関しては上記の通りであったが、微粉末個体の形状を左右するアスペクト比としては5以上であることが好ましいことも、やはり発明者が種々検討した結果判明した。
よって本願発明にあっては、微粉末の平均長径は0.1μm以上100μm以下であることが、平均厚みは0.01μm以上3μm以下であることが、またアスペクト比は5以上であることが、それぞれ好適であるとした。
以上、用いた鱗片状薄膜微粉末として第1の実施の形態において説明したものを用いたが、第2の実施の形態において説明したものを用いても同様であるため、その説明は省略する。
さらに第3の実施の形態において説明した鱗片状薄膜微粉末を用いても、同様であることを述べておくが、これに関しては以下簡単に説明しておく。
第3の実施の形態にかかる微粉末は、(A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質と、(B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない物質と、を同時に積層してなる構成を有しているものである。これは、リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質のみを用いた微粉末を利用したものであれば、リチウムを吸蔵脱離可能とする速度等を制御しにくくなる状況が生じる可能性があるため、結果、リチウム二次電池の寿命をさほど長くさせられない場合が生じることが考えられる。そこでそのような現象が生じないようにするために、(A)と(B)とを同時に積層した微粉末としているのである。
つまり、従来のリチウム二次電池に用いるシリコンによる負極であれば、リチウムの吸蔵を制御するためとして、集電体の表面にリチウムを吸蔵可能とするシリコンと、吸蔵可能としない物質(例えばニッケル)とを交互に積層することが提案されていたが、この場合繰り返し相互の積層工程を実行する必要があり、負極製造に多工程を要し、時間がかかってしまう問題があった。さらに交互に積層したとしても、特にシリコンがリチウム二次電池の充放電に伴い負極が激しく膨張収縮を繰り返すのは変わらないため、結局負極が破損してしまうという現象が生じていた。しかし第3の実施の形態で説明した分散液であれば、最初から個々の微粉末には(A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする物質と(B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない物質とが同時に含有されていることより、これを含んだペースト全体を観察すると、ペースト全体としてリチウムを吸蔵脱離可能とすることを制御しやすくしたものを得られるのである。
当然、この負極は先に述べたのと同等の理由により、激しい伸縮にも追従可能な負極となせるので、リチウム二次電池を何度も繰り返し利用することが出来るようになり、つまりこれを長寿命化することが出来るようになる。
尚、研究者の実験等により、その詳細なメカニズムはともあれ、本願発明におけるリチウムを吸蔵脱離可能とする物質とそうでない物質との利用の仕方、即ちリチウムを吸蔵脱離可能とする物質のみによる鱗片状薄膜微粉末、両方を同時に積層してなる鱗片状薄膜微粉末、をどのように用いても、つまり第1の実施の形態から第3の実施の形態において述べたいかなる構成を採用しても、結果としてエネルギー密度を高くすると同時に、何度も繰り返し利用することが出来るようになった、即ち長寿命化することが出来るようになったリチウム二次電池が得られたものであることを述べておく。
ちなみに、ここで述べた負極を用いたリチウム二次電池にあって、正極としては従来のものと同様にコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物が用いられ、また電解液としては以下のものが好適なものとしてあげられることを付言しておく。
また本願発明にかるリチウム二次電池の電解液としては次のようなものとすることが考えられる。
<1>非水電解質の溶剤としては、例えば
(1) エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、等の環状炭酸エステルと、
ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、等の鎖状炭酸エステルと、
これら両者の混合溶剤。
(2) 環状炭酸エステルと、
1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、等のエーテルと、
これら両者の混合溶剤。
等が例示される。
<2>非水電解質の溶質としては、例えば
(1) LiXFp
(式中、XはP、As、Sb、Al、B、Bi、Ga又はInであり、
X=P、As又はSb の時はp=6であり
X=Al、B、Bi、Ga又はIn の時はp=4である)
(2)LiCFSO
(3)LiN(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO
(式中、m及びnはそれぞれ独立して1〜4の整数である),
(4)LiC(ClF(2l+1)SO)(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO
(式中、l、m及びnはそれぞれ独立して1〜4の整数である)
及びこれらの混合物が例示される。
尚、非水電解質として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、等の高分子に非水電解液を含浸せしめてなるゲル状高分子電解質を用いても良い。さらにまた、電極特性、サイクル特性、保存特性等を改善するために、例えばビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンサルファイト(ES)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、等、種々の添加物を添加することが好適になされる。
この点に関しさらに説明を加える。
リチウム二次電池において、電極表面において電解液の溶媒が分解するという現象は知られているところであるが、この現象故にリチウム二次電池の保存特性やサイクル特性が低下してしまうこともまた知られているところである。そこでこの問題に対処するために、電極を保護するための皮膜を形成することが出来る物質を添加物として、その少量を電解液中に添加することが行われる。この対処法は従来の炭素(グラファイト)を電極又は集電板として用いた場合に限定されるものではなく、本実施の形態に見られるように、スズやシリコンなどの金属、その酸化物等を電極又は集電板として用いた場合にあっても有効であり、本実施の形態においても同様の処理を施すことで、より性能の高められたリチウム二次電池を得ることが出来るのである。
さらに加えて説明すると、リチウム二次電池の電極近辺では、電解液に用いられるエチレンカーボネートなどの有機溶媒が分解し、その分解生成物が電極表面に蓄積し、電極表面に皮膜を形成してしまう。そして蓄積が増大し皮膜が成長すると、皮膜の電気抵抗が高くなり、その結果電池としての性能が劣化してしまうのである。
そこでこのような現象を防止するために、リチウム二次電池の電解液に電極表面に皮膜が形成されることを防止するための電極皮膜形成添加物を少量添加することが好適であり、本実施の形態にかかるリチウム二次電池にも同様に添加物を添加すればより性能の良いリチウム二次電池を得ることが出来る。
例えばVC、FEC、ES、VEC等を電極府膜形成添加物として少量を電解液に添加すると、これらの少量添加物は通常リチウム二次電池の電解液に用いられるEC等の有機溶媒より分解しやすい性質を有するので、電極付近でECが分解するよりも先に分解し電極付近に蓄積し、皮膜を形成するので、ECが電極付近で分解しても少量添加物の分解生成物の存在故にそれらが電極に蓄積し皮膜となって電気抵抗を高める、という現象が発生することを防止することが出来る。
さらにまたこれらの物質、特にVCやFECを添加した場合、シリコンなどを電極に用いた場合の問題である電極の微粉化を防止することが出来ることを発明者は見いだした。これは本願発明における電極である、微粉末を電極表面に塗布した状態の電極であっても同様である。即ち微粉末を塗布することで電極を微粉化を防止することが出来るのみならず、さらにVCやFECを添加することでより一層電極の微粉化を防止することが出来るので、その結果、電極の長寿命化を実現でき、ひいてはリチウム二次電池の長寿命化を実現することが出来るようになるのである。
このように電極表面に不要な皮膜が形成されることを防止するための皮膜形成を目的とした添加物を電解液に少量添加すること以外にも、難燃性、不燃性添加物を電解液に少量添加することでリチウム二次電池に難燃性、不燃性を付与しその安全性を高めること、過重電防止添加物を添加することで、規定以上に充電をすることで溶媒が分解し続けその結果ガスが発生しリチウム二次電池が破裂することを防止すること、が考えられ、またそのためにビニルスルホン、クロロアニソール、1−メチル−2−ピロリドン、アルキルスルホキシド、ホスフィンオキシド化合物、アルミニウムトリス(2、4−ペンタンジオネート)誘導体、ホウ酸アルキルエステル、フッ素含有脂肪族環状化合物、等を添加剤として用いるが、これらの行為は従来のリチウム二次電池に対して行われることと同等であるので、ここではこれ以上の詳述は省略する。
本願発明にかかる鱗片状薄膜微粉末分散液を実際に用いてリチウム二次電池の負極を得た場合につき、さらに実施例を交えて以下説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、以下の実施例及び比較例においては、対極としてリチウム箔を用いた試験用電池(ハーフセル)を用いることとするが、これは本願発明にかかる鱗片状薄膜微粉末分散系を用いたリチウム二次電池の負極特性のみを評価することを目的としたためである。そして対極のリチウム泊をコバルト三リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物からなる正極に単純に置換すれば、実際のリチウム二次電池を得ることが出来ることを述べておく。
(実施例1)
図1に示した概略断面構造の負極を用いて、コイン電池を作製した。
負極微粉末として図2(a)のような膜厚100nm、平均粒径4.44μmのシリコンの単層微粉を用い、導電助剤のケッチェンブラック、結着剤のカルボキシメチルセルロースナトリウムとそれぞれ重量比で75:15:10の割合でめのう乳鉢を用いて混合し、粘性を持つペーストを作製した。アセトンで約30分間超音波洗浄し、その後乾燥させた集電体の銅箔(Φ15×0.05mm)上に上記のペーストを、直径は約10mm、厚さ約50μmになるように塗布した。その後、80℃で12時間以上真空乾燥を行うことにより負極を作製した。
対極には厚さ0.5mm、直径15mmのリチウム箔を使用した。
電解液にはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比で1:1となるように混合した溶剤に、過塩素酸リチウムを1M(mol/l)溶解したものを用いた。
図3に示すように二極式のコイン型セルを用いて、上記作用極と対極、電解液を負極―対極間にセパレーターのCelgard 2326を挟んでコイン電池を作製した。セルの組み立ては循環装置付アルゴングローボックス内で行った。
(実施例2)
図1に示した概略断面構造の負極を用いて、コイン電池を作製した。
負極微粉末として図2(b)のような膜厚30nmのニッケル層の上下面を膜厚30nmのシリコン層で挟んだ積層構造を有し、平均粒径が4.46μmの積層微粉を用い、導電助剤のケッチェンブラック、結着剤のカルボキシメチルセルロースナトリウムとそれぞれ重量比で75:15:10の割合でめのう乳鉢を用いて混合し、粘性を持つスラリーを作製した。アセトンで約30分間超音波洗浄し、その後乾燥させた集電体の銅箔(Φ15×0.05mm)上に上記のスラリーを、直径は約10mm、厚さ約50μmになるように塗布した。その後、80℃で12時間以上真空乾燥を行うことにより負極を作製した。
以下は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(実施例3)
図1に示した概略断面構造の負極を用いて、コイン電池を作製した。
負極微粉末として図2(c)のような膜厚15nmのニッケル層の上下面を膜厚30nmのシリコン層で挟んだ積層構造を有し、平均粒径が4.47μmの積層微粉を用い、導電助剤のケッチェンブラック、結着剤のカルボキシメチルセルロースナトリウムとそれぞれ重量比で75:15:10の割合でめのう乳鉢を用いて混合し、粘性を持つスラリーを作製した。アセトンで約30分間超音波洗浄し、その後乾燥させた集電体の銅箔(Φ15×0.05mm)上に上記のスラリーを、直径は約10mm、厚さ約50μmになるように塗布した。その後、80℃で12時間以上真空乾燥を行うことにより負極を形成した。
以下は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(実施例4)
図1に示した概略断面構造の負極を用いて、コイン電池を作製した。
負極微粉末として図2(d)のような膜厚50nmのニッケル層の上下面を膜厚50nmのシリコン層で挟んだ積層構造を有し、平均粒径が4.76μmの積層微粉を用い、導電助剤のケッチェンブラック、結着剤のカルボキシメチルセルロースナトリウムとそれぞれ重量比で75:15:10の割合でめのう乳鉢を用いて混合し、粘性を持つスラリーを作製した。アセトンで約30分間超音波洗浄し、その後乾燥させた集電体の銅箔(Φ15×0.05mm)上に上記のスラリーを、直径は約10mm、厚さ約50μmになるように塗布した。その後、80℃で12時間以上真空乾燥を行うことにより負極を形成した。
以下は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(実施例5)
図1に示した概略断面構造の負極を用いて、コイン電池を作製した。
負極微粉末として図2(e)のような膜厚60nmのシリコン層の上下面を膜厚15nmのニッケル層で挟んだ積層構造を有し、平均粒径が4.02μmの積層微粉を用い、導電助剤のケッチェンブラック、結着剤のカルボキシメチルセルロースナトリウムとそれぞれ重量比で75:15:10の割合でめのう乳鉢を用いて混合し、粘性を持つスラリーを作製した。アセトンで約30分間超音波洗浄し、その後乾燥させた集電体の銅箔(Φ15×0.05mm)上に上記のスラリーを、直径は約10mm、厚さ約50μmになるように塗布した。その後、80℃で12時間以上真空乾燥を行うことにより負極を形成した。
以下は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(実施例6)
図1に示した概略断面構造の負極を用いて、コイン電池を作製した。
負極微粉末として図2(f)のような膜厚30nmの銅層の上下面を膜厚30nmのシリコン層で挟んだ積層構造を有し、平均粒径が4.56μmの積層微粉を用い、導電助剤のケッチェンブラック、結着剤のカルボキシメチルセルロースナトリウムとそれぞれ重量比で75:15:10の割合でめのう乳鉢を用いて混合し、粘性を持つスラリーを作製した。アセトンで約30分間超音波洗浄し、その後乾燥させた集電体の銅箔(Φ15×0.05mm)上に上記のスラリーを、直径は約10mm、厚さ約50μmになるように塗布した。その後、80℃で12時間以上真空乾燥を行うことにより負極を形成した。
以下は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(比較例1)
実施例1の負極に替えて、作用極微粉末に−325meshのシリコン粉末(Aldrich)を用いて、実施例1と同様にして負極を形成した。
以下は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた
(リチウム二次電池の性能評価)
実施例1〜6及び比較例1で作製したリチウム二次電池の性能評価を以下の条件で充放電サイクル試験を行い、比較例1の電池と比較して性能を評価した。尚以下に示す電位は対極であるリチウム箔を基準としたものである。
充放電サイクル試験は、コイン電池を組み立ててから6時間後に定電流−定電圧充電方式(CC−CVモード)で充電を開始した。定電流充電の際の電流値はシリコンの理論容量を4198.8mAh/gとし、それぞれの作用極微粉末の重量から計算される容量を基準にしてレートがC/6(6hで理論容量となる電流値)になるように設定した。
充電電位が0.02Vに達するまで上記方法で求めた電流値で定電流充電を行なった後、定電圧充電方式に切り換え電流値が10μA以下になるまで充電を行った。
30分の休止時間を経て、放電をカットオフ電位1.5Vに達するまで行った。
その後の充電―放電間の休止時間は全て30分とした。
表1に充放電サイクル試験で得られた、1サイクル目、10サイクル目、20サイクル目、30サイクル目の容量及びそれぞれの1サイクル目の容量を基準とした容量維持率を示す。
Figure 2011065983










表1に示す結果から、本発明に従い作製した高アスペクト比を有するシリコン微粉末を用いた実施例1においては、−325meshのシリコン微粉末を用いた比較例1に比べて良好なサイクル特性を示した。また、ニッケル層をシリコン層で挟んだ積層構造を有する微粉末を用いた実施例2においては、比較例1や実施例1よりも良好なサイクル特性を示し、さらに実施例2におけるニッケル層の膜厚を15nmに減少させた実施例3やニッケル層、シリコン層何れの膜厚も50nmに増大させた実施例4においても良好なサイクル特性が得られた。実施例2とは逆にシリコン層をニッケル層で挟んだ積層構造を有する微粉末を用いた実施例5においても比較例1よりも良好なサイクル特性を示し、実施例2のニッケル層を銅層にした微粉末を用いた実施例6においても比較例1よりも良好なサイクル特性を示した。
(実施例7)
実施例1で用いた条件のうち、電解液のみをECとDECの等量混合溶媒に過塩素酸リチウムを1M溶解したものに、さらにビニレンカーボネート(VC)を5wt%添加したものに変更し、その他の条件は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(実施例8)
実施例1で用いた条件のうち、電解液のみをECとDECの等量混合溶媒に過塩素酸リチウムを1M溶解したものに、さらにフルオロエチレンカーボネート(FEC)を5wt%添加したものに変更し、その他の条件は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(実施例9)
実施例2で用いた条件のうち、電解液のみをECとDECの等量混合溶媒に過塩素酸リチウムを1M溶解したものに、さらにVCを5wt%添加したものに変更し、その他の条件は実施例2と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(実施例10)
実施例2で用いた条件のうち、電解液のみをECとDECの等量混合溶媒に過塩素酸リチウムを1M溶解したものに、さらにFECを5wt%添加したものに変更し、その他の条件は実施例2と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(比較例2)
比較例1で用いた条件のうち、電解液のみをECとDECの等量混合溶媒に過塩素酸リチウムを1M溶解したものに、さらにVCを5wt%添加したものに変更し、その他の条件は比較例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(比較例3)
比較例1で用いた条件のうち、電解液のみをECとDECの等量混合溶媒に過塩素酸リチウムを1M溶解したものに、さらにFECを5wt%添加したものに変更し、その他の条件は比較例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(リチウムニ次電池の性能評価)
実施例7〜10及び比較例2〜3で作製したリチウムニ次電池の性能評価を、以下の条件で充放電サイクル試験を行い、比較例2〜3の電池と比較して性能を評価した。尚以下に示す電位は対極であるリチウム箔を基準としたものである。
充放電サイクル試験は、コイン電池を組み立ててから6時間後に定電流−定電圧充電方式(CC−CVモード)で充電を開始した。定電流充電の際の電流値はシリコンの理論容量を4198.8mAh/gとし、それぞれの作用極微粉末の重量から計算される容量を基準にしてレートがC/6(6hで理論容量となる電流値)になるように設定した。
充電電位が0.02Vに達するまで上記方法で求めた電流値で定電流充電を行なった後、定電圧充電方式に切り換え電流値が10μA以下になるまで充電を行った。
30分の休止時間を経て、放電をカットオフ電位1.5Vに達するまで行った。
その後の充電―放電間の休止時間は全て30分とした。
表2に充放電サイクル試験で得られた、1サイクル目、10サイクル目、20サイクル目、30サイクル目の容量及びそれぞれの1サイクル目の容量を基準とした容量維持率を示す。
Figure 2011065983













表2に示す結果から、本発明に従い作製した高アスペクト比を有するシリコン微粉末を用い、添加物としてVC及びFECを添加した実施例7、8に関しては、添加物を添加物を用いていない表1の実施例1よりも格段にサイクル特性の向上が見られ、30サイクル後でも高い放電容量及び容量維持が得られた。また、ニッケル層をシリコン層で挟んだ積層構造を有する微粉末を用い、添加物としてVC及びFECを添加した実施例9、10に関しても、添加物を用いていない表1の実施例2と比べると30サイクル後の放電容量が向上し、また同程度以上の容量維持が得られた。一方、−325meshのシリコンを微粉末を用い、添加物としてVC及びFECを添加した比較例2、3は、添加物を用いていない表1の比較例1に比べるとサイクル特性が向上することは確認されたが、30サイクル後の放電容量及び容量維持は実施例7、8,9、10に比べて低かった。即ち、VC及びFECの添加効果は、特に本発明に従い作製したシリコン微粉末及びニッケル層をシリコン層で挟んだ積層構造を有する微粉末を用いた時に高いことがわかった。
(実施例11)
実施例1の負極に替えて、負極微粉末として膜厚50nm、平均粒径4.19μmのシリコンの単層微粉を用いて、実施例1と同様にして負極を形成した。また、実施例1で用いた条件のうち、電解液のみをECとDECの等量混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを1M溶解したものに変更し、その他の条件は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(実施例12)
実施例1の負極に替えて、負極微粉末として膜厚200nm、平均粒径4.79μmのシリコンの単層微粉を用いて、実施例1と同様にして負極を形成した。また、実施例1で用いた条件のうち、電解液のみをECとDECの等量混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを1M溶解したものに変更し、その他の条件は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(実施例13)
実施例12で用いた条件のうち、電解液のみをECとDECの等量混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを1M溶解したものに、さらにVCを10wt%添加したものに変更し、その他の条件は実施例1と同様にして、コイン電池を組み立てた。
(リチウムニ次電池の性能評価)
実施例7〜10及び比較例2〜3で作製したリチウムニ次電池の性能評価を上記段落0139に記載した条件で充放電サイクル試験を行いその性能を評価した。表3に充放電サイクル試験で得られた、1サイクル目、10サイクル目、20サイクル目、30サイクル目、50サイクル目の容量及びそれぞれの1サイクル目の容量を基準とした容量維持率を示す。
Figure 2011065983


















表3の実施例11および実施例12に示す結果から、アスペクト比の異なるシリコン微粉末でも、アスペクト比が10以上であれば良好なサイクル特性が得られることがわかった。また、添加物としてVCを10wt%添加した実施例13では、50サイクル後でも容量維持率も80%以上であり、添加物を用いていない実施例12と比較することにより、本発明に従い作製したシリコン微粉末のサイクル特性向上に有効であることがわかった。
本願発明にかかる鱗片状薄膜微粉末分散液をもとに電極を製造し、この電極をリチウム二次電池の負極として用いれば、高容量でかつ良好なサイクル特性を有するリチウム二次電池を得ることが出来る。
1 集電体
2 微粉末
3 導電助剤
4 結着剤
5 膜厚100nmのシリコンの単層微粉
6 膜厚30nmのシリコン層
7 膜厚30nmのニッケル層
8 膜厚15nmのニッケル層
9 膜厚50nmのシリコン層
10 膜厚50nmのシリコン層
11 膜厚60nmのニッケル層
12 膜厚30nmの銅層
13 負極
14 リチウム箔
15 セパレーター
16 ポリテトラフルオロエチレンガイド
17 スプリング

Claims (14)

  1. (A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、若しくは複数による積層、による薄膜、
    又は
    (B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、及び
    リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない金属単体、又は合金、の何れか単体による層、
    の双方の層を用いて、合計2層以上となるように積層してなる薄膜、
    の何れかの薄膜が微粉砕されてなるリチウム吸蔵脱離を可能とする鱗片状薄膜微粉末が溶剤中に含有されてなること
    を特徴とする、リチウム二次電池電極に用いるための、鱗片状薄膜微粉末分散液。
  2. 基材フィルムである高分子樹脂フィルムの表面に、
    樹脂による剥離層と、
    (A)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、若しくは複数による積層、による薄膜、
    又は
    (B)リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能とする金属単体、合金、又は金属化合物、の何れか単体による層、及び
    リチウムを可逆的に吸蔵脱離可能としない金属単体、又は合金、の何れか単体による層、
    の双方の層を用いて、合計2層以上となるように積層してなる薄膜、
    の何れかの薄膜を、真空蒸着法、又はスパッタリング法によって前記剥離層表面に積層して積層体を得る積層体製造工程と、
    前記樹脂を溶解させることが可能な溶剤を用いつつ前記積層体から前記薄膜を剥離する薄膜層剥離工程と、
    前記溶剤中に存在する前記薄膜を微粉砕する微粉砕工程と、
    前記微粉砕工程後に、前記微粉砕された前記薄膜の前記溶剤中における固形分濃度を調整する濃度調整工程と、
    を経て得られてなること、
    を特徴としてなる、リチウム二次電池電極に用いるための、鱗片状薄膜微粉末分散液。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液であって、
    前記鱗片状薄膜微粉末の、
    1個の前記鱗片状薄膜微粉末の略平面視における端から端の長さのうち最も長い長さ、の前記鱗片状薄膜微粉末全体の値の平均値である平均長径が0.1μm以上100μm以下であり、
    1個の前記鱗片状薄膜微粉末の略側面視における厚み、の前記鱗片状薄膜微粉末全体の値の平均値である平均厚みが0.01μm以上3μm以下であること、
    を特徴とする、鱗片状薄膜微粉末分散液。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液であって、
    前記鱗片状薄膜微粉末の前記平均長径と前記平均厚みとの比、即ち平均長径/平均厚みで示されるアスペクト比が5以上であること、
    を特徴とする、鱗片状薄膜微粉末分散液。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液であって、
    前記薄膜が、(A)リチウムを吸蔵脱離可能とする物質として次の(1)〜(3)に示す一群の何れかを用いてなる単層又は複数層による薄膜であること、
    を特徴とする、鱗片状薄膜微粉末分散液。
    (1)金属単体:シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、カルシウム、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛、カドミウム
    (2)合金:スズ−銅合金(CuSn)、ケイ素−マグネシウム合金(MgSi)、鉄−スズ合金(SnFe)、スズ−ニッケル合金(NixSn)、スズ−コバルト合金(CoxSn)、ケイ素−ニッケル合金(NiSi)、ケイ素−鉄合金(FeSi)、ニッケル−マグネシウム合金(MgxNi)、アンチモン−スズ合金(SnSb)、アンチモン−インジウム合金(InSb)、銀−スズ−アンチモン合金(AgSnSb)、
    (3)金属化合物:(1)で示した金属単体を主とする酸化物又は硫化物、又は遷移金属酸化物又は硫化物
  6. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液であって、
    前記薄膜が、(B)リチウムを吸蔵脱離可能とする物質として次の(1)〜(3)に示す一群の中の何れかを用いてなり、またリチウムを吸蔵脱離可能としない物質として次の(4)〜(5)に示す一群の中の何れかを用いてなること、
    を特徴とする、鱗片状薄膜微粉末分散液。
    (1)金属単体:シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、カルシウム、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛、カドミウム、
    (2)合金:スズ−銅合金(CuSn)、ケイ素−マグネシウム合金(MgSi)、鉄−スズ合金(SnFe)、スズ−ニッケル合金(NixSn)、スズ−コバルト合金(CoxSn)、ケイ素−ニッケル合金(NiSi)、ケイ素−鉄合金(FeSi)、ニッケル−マグネシウム合金(MgxNi)、アンチモン−スズ合金(SnSb)、アンチモン−インジウム合金(InSb)、銀−スズ−アンチモン合金(AgSnSb)、
    (3)金属化合物:(1)で示した金属単体を主とする酸化物又は硫化物、又は遷移金属酸化物又は硫化物
    (4)金属単体:チタン、マンガン、鉄、ニッケル、クロム、銅、ジルコニウム、モリブデン、タンタル、タングステン
    (5)合金:(4)で示した金属単体を主とする合金
  7. 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液であって、
    前記溶剤が水又は有機溶剤であること、
    を特徴とする、鱗片状薄膜微粉末分散液。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液における溶剤を除去する溶剤除去工程を経て得られてなること、
    を特徴とする、鱗片状薄膜微粉末。
  9. 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の鱗片状薄膜微粉末分散液、又は請求項8に記載の鱗片状薄膜微粉末、の何れかと、導電性フィラーと、結着剤と、を一緒に混合することによって得られてなること、
    を特徴とする、ペースト。
  10. 請求項9に記載のペーストであって、
    前記導電性フィラーが高導電性カーボンブラックであり、
    前記結着剤がポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース及びそのアルカリ金属塩、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、の何れか若しくは複数の混合物であること、
    を特徴とする、ペースト。
  11. 請求項9又は請求項10に記載のペーストを集電体表面に積層して得られること、
    を特徴とする、電池用電極。
  12. 請求項11に記載の電池用電極であって、
    前記集電体が銅、ニッケル、アルミニウムの何れかであること、
    を特徴とする、電池用電極。
  13. 請求項10ないし請求項12の何れか1項に記載の電池用電極を用いてなること、
    を特徴とする、リチウム二次電池。
  14. 請求項10ないし請求項12の何れか1項に記載の電池用電極を用い、
    かつ電解液中に電極皮膜形成添加物、難燃性添加物、不燃性添加物、過充電防止添加物、の何れか若しくは複数を添加してなること、
    を特徴とする、リチウム二次電池。
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