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JP2011064265A - 減速機の取付け構造、及び減速機の製造方法 - Google Patents

減速機の取付け構造、及び減速機の製造方法 Download PDF

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JP2011064265A JP2009215402A JP2009215402A JP2011064265A JP 2011064265 A JP2011064265 A JP 2011064265A JP 2009215402 A JP2009215402 A JP 2009215402A JP 2009215402 A JP2009215402 A JP 2009215402A JP 2011064265 A JP2011064265 A JP 2011064265A
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Abstract

【課題】減速機を被取付け体に取付ける構造において、減速機駆動時の振動を抑制することのできる減速機の取付け構造を提供する。また、減速機駆動時の振動を抑制することのできる減速機の製造方法を提供する。
【解決手段】サーキュラスプライン33においてモータ21側の端面から突出するスタッドボルト35が、モータプレート23においてスタッドボルト35を挿通させるために形成された貫通孔23bに挿通される。スタッドボルト35の先端部にナット36が締着されることにより、サーキュラスプライン33がモータプレート23に固定される。スタッドボルト35の圧入部が、サーキュラスプライン33のモータ21側の端面に設けられたボルト固定穴に圧入されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ロボットが備えるフレーム等に減速機を取付ける構造、及び減速機の製造方法に関する。
この種の構造として、ハーモニックドライブ(登録商標、以下同様)減速機を、ロボットが備えるアームのフレーム(被取付け体)にボルト締めにより固定したものがある(例えば、特許文献1参照)。こうした構造では一般的に、減速機のサーキュラスプラインに貫通孔が形成されるとともに、アームのフレームにタップ加工により雌ねじが形成される。そして、サーキュラスプラインの貫通孔にボルトを挿通して、ボルトの雄ねじをフレームの雌ねじに締付けることにより、サーキュラスプラインがフレームに固定されている。
特許第3801059号公報
ところで、上記のような減速機の取付け構造において、減速機の各部材が公差範囲内で製造されているにもかかわらず、減速機の駆動時に微小な振動が発生することが本願発明者らによって確認された。そして、本願発明者らが鋭意研究した結果、この微小な振動の原因として、サーキュラスプラインの内周歯とフレクスプラインの外周歯とが円滑に噛合っていないことが突き止められた。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、減速機を被取付け体に取付ける構造において、減速機駆動時の振動を抑制することのできる減速機の取付け構造を提供することを主たる目的とするものである。また、本発明は、減速機駆動時の振動を抑制することのできる減速機の製造方法を提供することを主たる目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本願発明者らが鋭意研究した結果、従来の構造においてサーキュラスプラインの内歯とフレクスプラインの外歯とが円滑に噛合っていない場合には、サーキュラスプラインに微小な歪が生じていることが発見された。そこで、減速機を被取付け体に取付ける構造に着目したところ、サーキュラスプラインを被取付け体とボルトの頭とで挟み込んで固定する従来の取付け構造に問題があるとの考えに至った。すなわち、従来の取付け構造では、ボルトの締め付け荷重がサーキュラスプラインの両面に作用するため、サーキュラスプラインに微小な歪が生じると考えられる。
この点、第1の発明は、楕円状のカムを有するウェーブジェネレータと、外周部に外歯が形成され前記ウェーブジェネレータの外側に位置するフレクスプラインと、内周部に前記外歯よりも多い内歯が形成され前記フレクスプラインの外側に位置するサーキュラスプラインとを備え、前記フレクスプラインの外歯と前記サーキュラスプラインの内歯とが噛み合う波動歯車減速機を、被取付け体に取付ける構造であって、前記サーキュラスプラインにおいてその中心軸線に直交する所定面に突出させて突出部が設けられるとともに、前記突出部に雄ねじ部が形成されており、前記被取付け体において前記突出部に対応して設けられた貫通孔に前記突出部が挿通され、前記雄ねじ部がナットにより締付けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、前記サーキュラスプラインにおいてその中心軸線に直交する所定面に突出させた突出部が、前記被取付け体において前記突出部に対応して設けられた貫通孔に挿通されている。そして、突出部に形成された雄ねじ部をナットで締付けることにより、サーキュラスプラインが被取付け体に固定されている。このため、サーキュラスプラインにおいて、被取付け体に取り付けられる取付け部の両面に締付け荷重が作用する構造とは異なり、この取付け部の片面にのみ締付け荷重が作用する構造となる。したがって、サーキュラスプラインに微小な歪みの生じることが抑制される。その結果、サーキュラスプラインの内歯とフレクスプラインの外歯とが円滑に噛合わされ、減速機駆動時の振動が抑制されることが本願発明者らによって確認されている。
なお、上記取付け部の両面に締付け荷重が作用する構造では、取付け部の両面においてばり等が挟み込まれるおそれがある。取付け部においてばり等が挟み込まれると、取付け部に隙間が生じたり、サーキュラスプラインが取付け部で歪んだりして、減速機駆動時に振動が発生する原因となる。これに対して、この取付け部の片面にのみ締付け荷重が作用する構造では、ばり等が挟み込まれるおそれがあるのは取付け部の片面のみとなる。このため、上記取付け部においてばり等が挟み込まれることを抑制することができる。したがって、サーキュラスプラインを被取付け体に固定する部分において、ばり等に起因する振動が発生することを抑制することができる。
両端に雄ねじが切られた植込みボルトを用いて、サーキュラスプラインに設けられた雌ねじに一方の雄ねじを締付けることにより、サーキュラスプラインの所定面に前記突出部を設ける構造では、サーキュラスプラインに雌ねじを形成する際にばりの生じるおそれがある。
この点、第2の発明では、第1の発明において、一端に圧入部を有する植込みボルトを用い、前記植込みボルトの圧入部が前記サーキュラスプラインの前記所定面に設けられた穴に圧入されることにより、前記サーキュラスプラインの前記所定面に前記突出部が設けられている。したがって、サーキュラスプラインの所定面に突出部を設ける部分にばりが生じることを抑制することができるため、ばりに起因する振動が発生することを更に抑制することができる。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、減速機収容部を有するハウジングに前記減速機を収容し、その状態で、前記ハウジング又は同ハウジングに固定される固定部材を前記被取付け体として前記減速機を取付ける構造であって、前記ハウジング又は前記固定部材には前記貫通孔が形成されるとともに、前記サーキュラスプラインには、前記ハウジングの外側に延びる向きに前記突出部が設けられており、前記貫通孔に前記突出部を挿通させ前記ハウジングの外側部分で前記雄ねじ部がナットにより締付けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、ハウジング外側から突出部先端の雄ねじ部にナットを締め付けることができ、減速機の組み付け作業性を向上させることができる。すなわち、減速機がハウジングの減速機収容部に収容され、かつ突出部の雄ねじ部にナットが締め付けられている状態で、フレクスプラインとサーキュラスプラインとの噛み合い状態の調整等を実施することができる。また上記構成によれば、減速機の組付が完了した後のメンテナンス等においても、減速機をハウジングから取り出すことなく、フレクスプラインとサーキュラスプラインとの噛み合い状態の調整等が可能となる。
第4の発明では、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記突出部の外周面と前記貫通孔の内周面との間に所定の隙間が形成されるように、前記貫通孔の開口寸法が前記突出部の外形寸法よりも大きい所定寸法に設定されていることを特徴とする。
上記構成によれば、前記突出部の外周面と前記貫通孔の内周面との間に所定の隙間が形成されるため、被取付け体にサーキュラスプラインを取付けた状態でそれらの相対位置を調整することができる。したがって、サーキュラスプラインを被取付け体に固定する際に、前記ウェーブジェネレータ、前記フレクスプライン、及びサーキュラスプラインの中心軸線を精度よく一致させることができる。
さらに、サーキュラスプラインの所定面に突出部を設ける部分にばりが生じたとしても、突出部の外周面と貫通孔の内周面との間の隙間にばりを収容することができる。その結果、サーキュラスプラインを被取付け体に固定する部分において、ばりに起因する振動が発生することを更に抑制することができる。
第5の発明は、楕円状のカムを有するウェーブジェネレータと、外周部に外歯が形成され前記ウェーブジェネレータの外側に位置するフレクスプラインと、内周部に前記外歯よりも多い内歯が形成され前記フレクスプラインの外側に位置するサーキュラスプラインとを備え、前記フレクスプラインの外歯と前記サーキュラスプラインの内歯とが噛み合う波動歯車減速機を製造する方法であって、前記サーキュラスプラインにおいてその中心軸線に直交する所定面に突出させて、先端部に雄ねじ部を有する突出部を形成する第1工程と、前記第1工程の後に、前記サーキュラスプラインに前記内歯を設ける第2工程と、
を備えることを特徴とする。
上記工程によれば、第1工程として、前記サーキュラスプラインにおいてその中心軸線に直交する所定面に突出させて、先端部に雄ねじ部を有する突出部が形成される。そして、第1工程の後に、前記サーキュラスプラインに前記内歯が設けられる。このため、サーキュラスプラインの所定面に突出部を設ける際にサーキュラスプラインに歪が生じたとしても、その歪の影響を受けないようにしてサーキュラスプラインに内歯を設けることができる。その結果、サーキュラスプラインの内歯とフレクスプラインの外歯とを円滑に噛み合わせることができる。
第6の発明では、第5の発明において、前記第1工程は、前記サーキュラスプラインの前記所定面に穴を設ける工程と、一端に圧入部を有する植込みボルトの前記圧入部を前記穴に圧入する工程とを含むことを特徴とする。
上記工程によれば、第2の発明で説明したように、サーキュラスプラインに雌ねじを切る工程と比較して、サーキュラスプラインの所定面に突出部を設ける部分にばりが生じることを抑制することができる。したがって、減速機の駆動時において、ばりに起因する振動が発生することを抑制することができる。
ロボット装置の関節部における内部構造を示す断面図。 減速機ユニットの分解断面図。 ロボット装置の概要を示す正面図。 減速機ユニットの組付手順を示す図。
以下、本発明を垂直多関節型ロボットとして具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のロボットは、例えば産業用ロボット装置として機械組立工場などの組立システムにて用いられる。
はじめに、ロボット装置10の概要を図3を用いて説明する。図3に示すように、ロボット装置10は、回動中心軸線として第1軸J1、第2軸J2、第3軸J3、第4軸J4、第5軸J5、第6軸J6を有する6軸ロボットであり、これら各軸における各部の動作角度がそれぞれサーボモータ等からなる駆動源の駆動により調整されるものとなっている。サーボモータはいずれも正逆両方向の回転が可能であり、モータ駆動により原点位置を基準として各部が動作する。本実施形態では、第1軸J1が鉛直方向に延びるようにしてロボット装置10が床等のロボット設置箇所に設置されるものとしており、図1の上下方向が鉛直方向を示すとして以下説明する。
ロボット装置10において、基台11は、床等に固定される固定部12と、その固定部12の上方に設けられる回動部13とを有しており、回動部13が第1軸J1を回動中心として水平方向に回動可能になっている。回動部13の上端部分には下アーム15が回動可能に連結されている。下アーム15は基本姿勢として鉛直方向に延びる向きに設けられ、その上端部には上アーム16が回動可能に連結されている。上アーム16は基本姿勢として水平方向に延びる向きに設けられている。
下アーム15は、水平方向に延びる第2軸J2を回動中心として回動部13に対して回動可能になっており、所定の動作範囲内において時計回り方向又は反時計回り方向に回動動作する。また、上アーム16は、水平方向に延びる第3軸J3を回動中心として下アーム15に対して回動可能になっており、所定の動作範囲内において時計回り方向又は反時計回り方向に回動動作する。
上アーム16は、基端側と先端側とで2つのアーム部に分割されて構成されており、基端側は第1上アーム16A、先端側は第2上アーム16Bとなっている。第1上アーム16Aは上述したとおり下アーム15に回動可能に連結されている。これに対し、第2上アーム16Bは、本上アーム16の長手方向に延びる第4軸J4を回動中心として第1上アーム16Aに対してねじり方向に回動可能になっている。
上アーム16(詳しくは第2上アーム16B)の先端部には手首部17が設けられ、その手首部17には、ワークやツール等を取り付けるためのハンド部18が設けられている。手首部17は、水平方向に延びる第5軸J5を回動中心として第2上アーム16Bに対して回動可能になっている。また、ハンド部18は、その中心線である第6軸J6を回動中心としてねじり方向に回動可能になっている。
ロボット装置10において各軸J1〜J6の関節部分には、それぞれ前段部材側に設けられているサーボモータの回転を減速して次段部材側に伝達するための減速機構が設けられており、以下その詳細を説明する。ここでは、前段部材を基台11の回動部13、次段部材を下アーム15としてそれら両者の連結部分(関節部)について説明する。図1は、基台11における回動部13の上端部と下アーム15との連結部分(関節部)における内部構造を示す断面図であり、これは図3のA−A線断面図に相当する。
図1に示すように、回動部13の上端部は、下アーム15の内部に入り込むようにして、具体的には下アーム15を構成するアームカバー15aに覆われるようにして設けられている。そして、アームカバー15a内に、回動部13と下アーム15との連結機構が設けられている。この連結機構は、基本構造として、回動部13側(すなわち基台11側)に固定されるモータ(サーボモータ)21と、そのモータ21の出力軸側に設けられた減速手段としての減速機ユニット22とから構成されている。なお、モータ21及び減速機ユニット22の中心軸が上述した第2軸J2となっている。
モータ21の出力軸側の端面部には金属製のモータプレート(固定部材)23が設けられており、このモータプレート23を挟んでモータ21とは反対側に減速機ユニット22が取り付けられている。モータプレート23は環状をなし、回動部13を構成する金属製の基台フレーム24に対して複数のボルト25により固定されている。基台フレーム24の先端部(図の上端部)には、減速機ユニット22の軸線方向に沿って延びる中空状の円筒部26が形成されており、その円筒部26の内側に減速機ユニット22が組み込まれている。円筒部26は、モータ側(図1の左側)と反モータ側(図1の右側)とで開口の大きさが異なっており、その両端開口のうち大きい方のモータ側開口から減速機ユニット22が組み込まれるようになっている。円筒部26がハウジングに相当し、この内部空間が減速機収容部となっている。なお、円筒部26のモータ側端面には段差部26aが形成されており、その段差部26aにはめ込まれるようにしてモータプレート23が取り付けられている。
基台フレーム24に対するモータプレート23の固定に関して、モータプレート23にはその厚み方向に貫通する貫通孔23aが形成されるとともに、基台フレーム24にはモータプレート23との当接面側に開口するねじ孔24aが形成されている。そして、それら貫通孔23a及びねじ孔24aにボルト25を差し入れて締着することで、基台フレーム24に対してモータプレート23が固定されている。
次に、減速機ユニット22の構成について、同ユニット22の主要な構成を分解して示す図2を用いて説明する。
減速機ユニット22は、ハーモニックドライブ(登録商標、以下同様)構造を有する減速装置とクロスローラベアリングからなる軸受27とを一体化したものとして構成されている。なお、本実施形態の減速装置が波動歯車減速装置である。減速装置は、楕円状のカムの外周にボールベアリングが組み付けられてなるウェーブジェネレータ31と、その外側に配置される薄肉カップ状のフレクスプライン(弾性歯車)32と、その外側に配置される剛体環状のサーキュラスプライン(内歯車)33とを備えて構成されている。フレクスプライン32のカップ外周部には多数の外歯32aが形成されるとともに、サーキュラスプライン33の内周部にはフレクスプライン32よりも所定数(例えば2つ)だけ歯数が多い内歯33aが形成されており、それら外歯32aと内歯33aとがウェーブジェネレータ31の長軸の部分で噛み合う構成となっている。
ウェーブジェネレータ31にはモータ21の出力軸21aがボルト等により連結されており、ウェーブジェネレータ31はモータ出力軸21aを入力軸としてこれと一体に回転する。
サーキュラスプライン33は、そのモータ側端面(所定面)がモータプレート23に当接した状態で同モータプレート23に対して固定されるようになっている。詳しくは、サーキュラスプライン33において、その中心軸に直交するモータ側端面に有底のボルト固定穴33bが複数形成されており、そのボルト固定穴33bに圧入によりスタッドボルト(植込みボルト)35が立設されている。スタッドボルト35は、一端(植え込み側)が圧入部、他端が雄ねじ部である圧入式スタッドボルトである。このスタッドボルト35により、サーキュラスプライン33のモータ側端面から突出する突出部が形成されている。すなわち、サーキュラスプライン33には、円筒部26の外側に延びる向きにスタッドボルト35が設けられている。ここで、スタッドボルト35は、サーキュラスプライン33よりも高硬度の金属で形成されている。このため、サーキュラスプライン33に形成された固定穴33bにスタッドボルト35が圧入されることにより、スタッドボルト35が補強部材として機能する。したがって、サーキュラスプライン33の剛性を高くすることができる。
なお、スタッドボルト35の圧入部をボルト固定穴33bに圧入する構成ではなく、両端に雄ねじが切られたスタッドボルトを用いて、サーキュラスプラインに設けられた雌ねじに一方の雄ねじを締付ける構成を採用することもできる。しかし、こうした構成では、サーキュラスプラインに雌ねじを形成する際にばりの生じるおそれがある。すなわち、雌ねじを切る加工では材料を削り取る過程で微小なばりが生じ易く、こうした微小なばり(例えば数十μm程度のばり)がサーキュラスプライン33の締付け部に挟み込まれても、サーキュラスプライン33が歪む原因となり得る。さらに、こうしたばりは、一定の大きさではなくばらつきを持っているため、その影響を予想することが困難である。
また、モータプレート23には、スタッドボルト35を挿通させるための貫通孔23bが形成されている。貫通孔23bはスタッドボルト35の外径寸法よりも大径の孔部として、すなわちスタッドボルト35に対して多少の遊びを有する孔部として形成されている。このため、貫通孔23bを形成する際の位置精度を高くする必要がなく、貫通孔23bの形成前におけるモータプレート23の表面加工を省略することができる。そして、スタッドボルト35を貫通孔23bに挿通させてサーキュラスプライン33がモータプレート23に組み付けられ、その状態でスタッドボルト35の先端部にナット36が締着されることにより、モータプレート(被取付け体)23に対してサーキュラスプライン33が固定されるようになっている。こうした構成によれば、スタッドボルト35の圧入部をボルト固定穴33bに圧入したときの変形により微小な膨らみが生じたとしても、上記遊びの部分にこの微小な膨らみを収容することができる。
また、フレクスプライン32の中心軸線方向において外歯32aとは反対側には厚肉のボス部32bが形成されており、そのボス部32bに軸受27が組み付けられている。軸受27は、内輪28と2つの外輪29とを備えて構成されており、内輪28がボス部32bに対して固定されている。より詳しくは、ボス部32bには貫通孔32cが形成されるとともに、内輪28にはねじ孔28aが形成されており、このボス部32bと内輪28とに対して取付部材37を介してボルト38が締着されている。軸受27の内輪28はフレクスプライン32と一体に回転し、これが減速機ユニット22の出力軸となっている。
さらに、軸受27の内輪28には、この内輪28をアームフレーム41(図1参照)に連結するためのねじ孔28bが形成されている。また、軸受27の外輪29には、フレクスプライン32のカップ外周部よりも外側の位置に、この外輪29を基台フレーム24の円筒部26(図1参照)に連結するための貫通孔29aが形成されている。なお、外輪29の外径寸法は、基台フレーム24の円筒部26における反モータ側の開口寸法よりも大きいものとなっている。
図1の説明に戻り、軸受27の外輪29は、基台フレーム24の円筒部26に複数のボルト39により固定されている。また、軸受27の内輪28は、下アーム15を構成する金属製のアームフレーム41に複数のボルト42により固定されている。この場合、円筒部26の反モータ側の開口部を閉じるようにして軸受27にアームフレーム41の下端取付部が取り付けられている。
上記構成のロボット装置10について、基台11の回動部13と下アーム15との関節部における動作を説明する。モータ21が回転駆動されると、ウェーブジェネレータ31がモータ出力軸21aと一体に回転し、所定の減速比にて減速されつつウェーブジェネレータ31の回転がフレクスプライン32に伝達される。そして、フレクスプライン32と共に軸受27の内輪28が一体回転するとともに、内輪28に固定されているアームフレーム41が第2軸J2を中心に正逆いずれかの方向に回転する。これにより、下アーム15が所望とする動作角度に調整される。
なお、上記のロボット装置10を備えるロボットシステムでは、同ロボット装置10の動作を制御する制御装置を備えている。この制御装置は、CPUや各種メモリを有するロボット制御手段であり、この制御装置により各軸の回転角度や各部の軌跡等が制御される。ただし、ここではその詳細な説明を割愛する。
次に、ロボット装置10の製造方法について説明する。ここでは、サーキュラスプライン33の加工手順と、減速機ユニット22の組付手順とについて説明する。
(1)サーキュラスプライン33の加工手順
サーキュラスプライン33を鋳造品にて構成する場合、まずはサーキュラスプライン33の鋳物粗材を製造し、その鋳物粗材の外表面を荒加工する。次に、荒加工後のサーキュラスプライン33の外周面を加工する。さらに、モータプレート23との当接面となる片側の端面を加工し、その端面側(モータプレート当接面側)において複数箇所に有底のボルト固定穴33bを形成する。
次に、ボルト固定穴33bにスタッドボルト35を圧入してサーキュラスプライン33にスタッドボルト35を一体化する(第1工程)。これにより、サーキュラスプライン33の片側の端面には、サーキュラスプライン33の中心軸線と同方向に延びる複数のスタッドボルト35が立設されることとなる。その後、サーキュラスプライン33の内周部に歯加工を施し、内歯33aを形成する(第2工程)。かかる場合、ボルト固定穴33bにスタッドボルト35を圧入する際にサーキュラスプライン33に歪が生じたとしても、その歪の影響を受けないようにして、サーキュラスプライン33の内周部に内歯33aを形成することができる。また、スタッドボルト35の圧入が行われた後に歯加工が行われるため、歯加工後の別工程が原因で内歯33aに歪みが生じる等の不都合を抑制できる。
(2)減速機ユニット22の組付手順
減速機ユニット22の組付手順については図4を用いて説明する。
まずはフレクスプライン32と軸受27とを一体化して減速機ユニット22の出力側アセンブリA1の組付を行っておくとともに、モータ21とモータプレート23とウェーブジェネレータ31とを一体化して減速機ユニット22の入力側アセンブリA2の組付を行っておく。また、例えば鋳造品からなる基台フレーム24を用意しておく。なお、基台フレーム24は、サーキュラスプライン33が直接連結されるものではなく、しかもサーキュラスプライン33の端面(中心軸線に直交する端面)に当接するものでないため、同端面に対応した面加工やタップ加工は施されていない。
そして、図4(a)に示すように、基台フレーム24の円筒部26内に、円筒部26のモータ側から(端部開口が大きい方から)減速機ユニット22の出力側アセンブリA1(フレクスプライン32と軸受27との一体物)を収容配置するとともに、ボルト39により出力側アセンブリA1を円筒部26に対して固定する。
一方で、図4(b)に示すように、減速機ユニット22の入力側アセンブリA2(モータ21とモータプレート23とウェーブジェネレータ31との一体物)に対してサーキュラスプライン33を組み付ける。具体的には、サーキュラスプライン33に一体化されたスタッドボルト35をモータプレート23の貫通孔23bに挿通させるとともに、スタッドボルト35の先端部にナット36を締着することでモータプレート23に対してサーキュラスプライン33を固定する。なおこのとき、ナット36を仮締めの状態とし、サーキュラスプライン33の若干の動きを許容しておく。
その後、図4(c)に示すように、減速機ユニット22の出力側アセンブリA1を組み付けた状態の基台フレーム24に対して、さらに、サーキュラスプライン33を仮固定した減速機ユニット22の入力側アセンブリA2を組み付ける。このとき、基台フレーム24に対して出力側アセンブリA1を組み付ける方向と同じ方向から、入力側アセンブリA2が組み付けられる。
この組付について詳しくは、ウェーブジェネレータ31外周のボールベアリングとサーキュラスプライン33の内歯33aとの間の隙間にフレクスプライン32を差し入れ、フレクスプライン32の外歯32aとサーキュラスプライン33の内歯33aとを噛み合わせる。そして、ボルト25の締着により基台フレーム24に対してモータプレート23を固定する。
その後、フレクスプライン32の外歯32aとサーキュラスプライン33の内歯33aとの噛み合わせ調整を行う。このとき、サーキュラスプライン33は仮固定状態であり若干の動きが許容されている。また図4(c)の状態では、スタッドボルト35の先端部(すなわち、仮締めしたナット36)が基台フレーム24の円筒部26の外側に位置しており、ナット36の締め付け作業が可能になっている。そこで、モータ出力軸21aを低回転で回転させながら、各歯の噛み合わせ調整と芯出し調整とを実施する。なお、外部から電気信号を与えることでモータ21を回転させるか、手動でモータ出力軸21aを回転させるとよい。上記の調整作業により、ウェーブジェネレータ31、フレクスプライン32及びサーキュラスプライン33の芯出し精度が向上する。
そして、噛み合わせ調整と芯出し調整とが完了した後にナット36を本締めする。これにより、基台フレーム24に対するモータ21及び減速機ユニット22の組付が完了する。このとき、スタッドボルト35はサーキュラスプライン33に一部が埋め込まれて一体化されているため、サーキュラスプライン33においてボルト突出側とは反対の端面にはナット36の締め付け荷重が作用することはなく、ボルト突出側の端面にのみナット36の締め付け荷重が作用することとなる。したがって、ナット36を本締めすることに伴いサーキュラスプライン33が締め付け固定される場合において、その締め付けに起因してサーキュラスプライン33の内歯33aに歪みが生じることを抑制できる。
上記のように減速機ユニット22の組付が完了した後、基台11に対して下アーム15を連結する。このとき、軸受27の内輪28に対してボルト42によりアームフレーム41を固定することにより、減速機ユニット22に下アーム15を連結する。
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
・サーキュラスプライン33においてモータ側端面から突出するスタッドボルト35が、モータプレート23においてスタッドボルト35を挿通させるために形成された貫通孔23bに挿通される。そして、スタッドボルト35の先端部にナット36が締着されることにより、サーキュラスプライン33がモータプレート23に固定される。したがって、サーキュラスプライン33において、モータプレート23に取り付けられる取付け部の片面にのみ締付け荷重が作用する構造となり、サーキュラスプライン33に微小な歪みの生じることが抑制される。その結果、サーキュラスプライン33の内歯33aとフレクスプライン32の外歯32aとが円滑に噛合わされ、減速機ユニット22駆動時の振動を抑制することができる。また、この取付け部の片面にのみ締付け荷重が作用する構造では、ばり等が挟み込まれるおそれがあるのは取付け部の片面のみとなる。このため、上記取付け部においてばり等が挟み込まれることを抑制することができる。
・円筒部26の外側からスタッドボルト35の先端部にナット36を締め付けることができ、減速機ユニット22の組み付け作業性を向上させることができる。すなわち、減速機ユニット22が円筒部26の内部空間に収容され、かつスタッドボルト35の先端部にナット36が締め付けられている状態で、フレクスプライン32とサーキュラスプライン33との噛み合い状態の調整等を実施することができる。また、減速機ユニット22の組付が完了した後のメンテナンス等においても、減速機ユニット22を円筒部26から取り出すことなく、フレクスプライン32とサーキュラスプライン33との噛み合い状態の調整等が可能となる。
・ボルト固定穴33bに圧入によりスタッドボルト35が立設される構成のため、サーキュラスプライン33に雌ねじを切ってスタッドボルトの雄ねじを締付ける構成と比較して、スタッドボルト35を設ける部分にばりが生じることを抑制することができる。特に、多関節型ロボットでは、こうしたばりによるサーキュラスプライン33の微小な歪が各関節部で積み重なることにより、アームの先端であるハンド部18において軌跡のずれが大きくなるおそれがある。したがって、サーキュラスプライン33の微小な歪を抑制することによる効果は顕著なものとなる。
上記実施形態に限定されず、例えば次のように実施することもできる。
・上記実施形態では、サーキュラスプライン33においてモータ側に突出するスタッドボルト35を設け、そのスタッドボルト35をモータプレート23に結合させる構成としたが、これを変更し、サーキュラスプライン33において反モータ側に突出するスタッドボルト35を設け、そのスタッドボルト35を基台フレーム24に結合させる構成としてもよい。この場合、基台フレーム24においてその一部をサーキュラスプライン33の端面に当接する当接部とし、その当接部に形成された貫通孔にスタッドボルト35を挿通させるとともにスタッドボルト35の先端側でナットを締着する。これにより、サーキュラスプライン33を基台フレーム24に対して固定することができる。
なお、上記構成では、基台フレーム24に対してサーキュラスプライン33と軸受27の外輪29とを固定することとなるため、減速機ユニット22の出力側アセンブリを、サーキュラスプライン33を含むものとする。また、基台フレーム24に対して軸受27の外輪29を固定する際のボルト挿入方向を反対(反モータ側から挿入)にし、円筒部26の内側の外輪29、又は更にその内側のナットによりボルトを締着するとよい。
・上記実施形態では、基台フレーム24の円筒部26に対して、同一方向から減速機ユニット22の出力側アセンブリA1と入力側アセンブリA2とを組み付ける構成としたが(図4参照)、これを変更し、各々異なる方向から各アセンブリA1,A2を組み付ける構成としてもよい。具体的には、図4(c)と同様にして入力側アセンブリA2を円筒部26のモータ側から基台フレーム24に組付ける一方、出力側アセンブリA1を円筒部26の反モータ側の端部開口から円筒部26内に収容配置するとよい。この場合には、円筒部26の反モータ側の端部開口を出力側アセンブリA1が通過可能な大きさに形成するとともに、軸受27の外輪29を固定するボルトを反モータ側から挿入して基台フレーム24の一部に締着するとよい。
・上記実施形態では、スタッドボルト35として、一端(植え込み側)が圧入部、他端が雄ねじ部である圧入式スタッドボルトを用いたが、これを変更し、同スタッドボルト35の両端部又は全てに雄ねじが形成された構成のものを用いてもよい。この場合であっても、ボルト突出側の端面にのみナット36の締め付け荷重を作用させることができる。
・上記実施形態では、サーキュラスプライン33においてその片側の端面に突出部を設ける構成としてスタッドボルト35を固定する手法を用いたが、これ以外に、鋳造品や鍛造品の研削加工等によりサーキュラスプライン33に突出部を一体に設けることも可能である。
・減速機ユニットとして、クロスローラベアリングを有していない構成を採用することも可能である。
・上記実施形態では、ロボット装置を6軸の垂直多関節型ロボットとして具体化したが、6軸以外のロボット装置として具体化することが可能である。また、水平多関節型ロボットとして具体化することも可能である。
21…モータ、22…減速機ユニット、23…モータプレート、24…基台フレーム、31…ウェーブジェネレータ、32…フレクスプライン、33…サーキュラスプライン、35…スタッドボルト、36…ナット。

Claims (6)

  1. 楕円状のカムを有するウェーブジェネレータと、外周部に外歯が形成され前記ウェーブジェネレータの外側に位置するフレクスプラインと、内周部に前記外歯よりも多い内歯が形成され前記フレクスプラインの外側に位置するサーキュラスプラインとを備え、前記フレクスプラインの外歯と前記サーキュラスプラインの内歯とが噛み合う波動歯車式の減速機を、被取付け体に取付ける構造であって、
    前記サーキュラスプラインにおいてその中心軸線に直交する所定面に突出させて突出部が設けられるとともに、前記突出部に雄ねじ部が形成されており、前記被取付け体において前記突出部に対応して設けられた貫通孔に前記突出部が挿通され、前記雄ねじ部がナットにより締付けられていることを特徴とする減速機の取付け構造。
  2. 一端に圧入部を有する植込みボルトを用い、前記植込みボルトの圧入部が前記サーキュラスプラインの前記所定面に設けられた穴に圧入されることにより、前記サーキュラスプラインの前記所定面に前記突出部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の減速機の取付け構造。
  3. 減速機収容部を有するハウジングに前記減速機を収容し、その状態で、前記ハウジング又は同ハウジングに固定される固定部材を前記被取付け体として前記減速機を取付ける構造であって、
    前記ハウジング又は前記固定部材には前記貫通孔が形成されるとともに、前記サーキュラスプラインには、前記ハウジングの外側に延びる向きに前記突出部が設けられており、前記貫通孔に前記突出部を挿通させ前記ハウジングの外側部分で前記雄ねじ部がナットにより締付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の減速機の取付け構造。
  4. 前記突出部の外周面と前記貫通孔の内周面との間に所定の隙間が形成されるように、前記貫通孔の開口寸法が前記突出部の外形寸法よりも大きい所定寸法に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の減速機の取付け構造。
  5. 楕円状のカムを有するウェーブジェネレータと、外周部に外歯が形成され前記ウェーブジェネレータの外側に位置するフレクスプラインと、内周部に前記外歯よりも多い内歯が形成され前記フレクスプラインの外側に位置するサーキュラスプラインとを備え、前記フレクスプラインの外歯と前記サーキュラスプラインの内歯とが噛み合う波動歯車減速機を製造する方法であって、
    前記サーキュラスプラインにおいてその中心軸線に直交する所定面に突出させて、先端部に雄ねじ部を有する突出部を形成する第1工程と、
    前記第1工程の後に、前記サーキュラスプラインに前記内歯を設ける第2工程と、
    を備えることを特徴とする減速機の製造方法。
  6. 前記第1工程は、前記サーキュラスプラインの前記所定面に穴を設ける工程と、一端に圧入部を有する植込みボルトの前記圧入部を前記穴に圧入する工程とを含むことを特徴とする請求項5に記載の減速機の製造方法。
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