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JP2011062634A - 上水用凝集剤及び上水用原水の処理方法 - Google Patents

上水用凝集剤及び上水用原水の処理方法 Download PDF

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JP2011062634A
JP2011062634A JP2009215107A JP2009215107A JP2011062634A JP 2011062634 A JP2011062634 A JP 2011062634A JP 2009215107 A JP2009215107 A JP 2009215107A JP 2009215107 A JP2009215107 A JP 2009215107A JP 2011062634 A JP2011062634 A JP 2011062634A
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water
aqueous solution
soluble
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monomer
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Yasunori Taniguchi
安典 谷口
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Hymo Corp
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Abstract

【課題】上水用原水の凝集処理に有機高分子凝集剤の適用を検討し、PACのようなアルツハイマー病の危険が無く、また澱粉系やセルロース系に比べ凝集力の優れた上水用凝集剤を提供することである。
【解決手段】定義で表示される電荷内包率35%以上90%以下の水溶性高分子からなる上水用凝集剤であって、前記水溶性高分子が、特定の単量体および架橋性単量体を必須として含有する単量体混合物を重合した水溶性高分子からなる上水用凝集剤によって達成できる。

【選択図】 なし

Description

本発明は、上水用凝集剤に関するものであり、詳しくは定義で表示される電荷内包率35%以上90%以下の水溶性高分子からなる上水用凝集剤であって、前記水溶性高分子が、特定の単量体および架橋性単量体を必須として含有する単量体混合物を重合した水溶性高分子に関する。また前記水溶性高分子を使用した上水用原水の処理方法に関する。
飲用などに使用される上水処理原水は、原水中の懸濁質、溶存有機物を除去するため凝集処理を行う。上水処理に使用される凝集剤は、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムなどがあるが、これら無機凝集剤は、単独使用では十分大きなフロックが形成されないため、凝集沈殿工程、砂ろ過工程の固液分離速度が小さい。近年、上水用原水の富栄養化が進み、ミクロキスチスなどの藻類が多量に含まれる原水では、PAC又は硫酸バンドでは極めて沈降性の悪いフロックしか形成されず、フロックが浮上してしまうこともあり、藻類の効果的除去ができなくなるという大きな問題点も存在する。また凝集分離工程から排出される汚泥の沈降濃縮脱水性が悪いという欠点もある。無機系凝集剤の改良として硫酸チタニルが提案されているが、コストの問題などあり普及していない(特許文献1)。
これらの欠点を解決するには、フロック形成を促進するために、ポリアクリルアミドなどの合成有機高分子凝集剤の使用が考えられるが、上水処理では有機高分子凝集剤の安全性、すなわち合成有機高分子凝集剤に含まれるアクリルアミドなどのモノマーの毒性のため我が国の上水処理には使用が公的に認可されていない。安全性に問題がない天然高分子凝集剤としてアルギン酸ソーダまたはカルボキシメチルセルロース(特許文献2)は、ポリアクリルアミドなどの合成有機高分子凝集剤に比べ、コストがかかるわりにはフロック形成効果が小さく、日本の上水処理では利用されていない。
従来、高分子凝集剤中のモノマー除去技術には、(1)有機溶剤洗浄法、(2)再沈殿法、(3)放射線照射法が提案されているが、有機溶剤洗浄法は、モノマーが溶剤中に溶け出すには長時間かかり、また溶け出したモノマーの除害処理に問題がある。再沈殿法は、ポリマーを水に溶解させた後、メタノールを多量に加えて、ポリマーを再沈殿させ、メタノール中にモノマーを溶解させる方法である。しかし、この方法は、有機溶剤が多量に必要で、やはりモノマーの処理に問題がある。放射線照射法は、ポリマーにガンマ線などの放射線を照射して、ポリマー中に残留しているモノマーを重合させる方法である。しかし、放射線照射によってモノマーは低減するが、それと同時にポリマーの分子鎖切断がおき凝集効果が悪化し、さらにポリマーの架橋反応が平行して起こり、その結果ゲル化し不溶解性の粒子が発生するなど問題がある。
特開平9−168786号公報 特開2004−113892号公報
本発明の目的は、上水用原水の凝集処理に有機高分子凝集剤の適用を検討し、PACのようなアルツハイマー病の危険が無く、残留しているモノマーが少なく、また澱粉系やセルロース系に比べ凝集力の優れた上水用凝集剤を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、以下に述べるような発明に達した。請求項1の発明は、下記定義で表示される電荷内包率35%以上90%以下の水溶性高分子であって、前記水溶性高分子が、下記一般式(1)で表わされる単量体および架橋性単量体を必須として含有する単量体混合物を重合した水溶性高分子からなる上水用凝集剤である。
定義1)カチオン性の架橋性水溶性イオン性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体のモル濃度の差が正である架橋性水溶性イオン性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量。βは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を前記架橋性水溶性イオン性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量(ブランク値:架橋性水溶性イオン性高分子水溶液無添加時にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量)。
定義2)アニオン性の架橋性水溶性イオン性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体のモル濃度の差が負である架橋性水溶性イオン性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量。βはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を前記架橋性水溶性イオン性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量(ブランク値:架橋性水溶性イオン性高分子水溶液無添加時にジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量)。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
請求項2の発明は、前記水溶性高分子が、一般式(1)で表わされる単量体および架橋性単量体を必須として含有する混合物水溶液を分散相とし、水に非混和性の有機液体を連続相となるように界面活性剤により乳化し重合した後、得られる油中水型エマルジョンを乾燥した水溶性高分子の粉末であることを特徴とする請求項1に記載の上水用凝集剤である。
請求項3の発明は、前記水溶性高分子を構成する前記一般式(1)で表わされる単量体の共重合率が、20〜95モル%であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の上水用凝集剤である。
請求項4の発明は、前記水溶性高分子が両性の場合、前記水溶性両性高分子を0.1質量%以上に溶解した場合、溶解液pHを4以下にする量の酸性物質を混合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の上水用凝集剤である。
請求項5の発明は、上水用原水中の縣濁物を分離する場合、下記定義で表示される電荷内包率35%以上90%以下の水溶性高分子からなる上水用凝集剤であって、前記水溶性高分子が、下記一般式(1)で表わされる単量体および架橋性単量体を必須として含有する単量体混合物を重合した水溶性高分子を使用することを特徴とする上水用原水の処理方法である。
定義1)カチオン性の架橋性水溶性イオン性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体のモル濃度の差が正である架橋性水溶性イオン性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量。βは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を前記架橋性水溶性イオン性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量(ブランク値:架橋性水溶性イオン性高分子水溶液無添加時にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量)。
定義2)アニオン性の架橋性水溶性イオン性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体のモル濃度の差が負である架橋性水溶性イオン性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量。βはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を前記架橋性水溶性イオン性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量(ブランク値:架橋性水溶性イオン性高分子水溶液無添加時にジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量)。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
本発明は上水用原水に対し従来、使用されている無機アルミニウム系凝集剤であるPAC、チタン系凝集剤、ポリジアリルアンモニウム塩およびアクリルアミドの低分子量共重合物、アニオン性ポリアクリルアミド共重合物に替えて、電荷内包率35%以上、90%以下の水溶性高分子を使用する。この理由として以下のようなことが考えられる。すなわち直鎖状水溶性高分子は、水中に分子が広がった状態で存在する。重合系のような高分子量のカチオン性水溶性高分子の凝集作用は、いわゆる「架橋吸着作用」による多数懸濁粒子を水溶性高分子の分子鎖による結合作用で起きると考えられている。一般に上水用原水中には、泥、砂など無機懸濁粒子のほかに、フミン質などの有機性物質、あるいは溶解性のCOD成分も溶解あるいは分散している。しかしフミン質などは低分子であり、しかもアニオン性に帯電し安定なコロイドとして水中に存在する。そのためPACなどによって表面電荷を中和し、微細なフロックを生成させることによって処理している。一方、ポリジアリルアンモニウム塩およびアクリルアミド低分子量共重合物は、上記フミン質などの有機性物質は多少なりとも吸着によって除去できるが、チタン系凝集剤やアニオン性ポリアクリルアミド共重合物は、無機懸濁粒子の凝集、沈殿作用は有していても有機性物質は除去できない。
これに対し架橋性水溶性高分子は、架橋することによって水中における分子の広がりが抑制される。そのためにより「密度の詰まった」分子形態として存在し、さらに架橋が進めば水膨潤性の微粒子となる。通常高分子凝集剤として使用されるのは、前記の「密度の詰まった」分子形態である場合が効率的とされる。架橋性水溶性高分子が上水用原水に添加されると、直鎖状水溶性高分子と異なり架橋吸着による巨大フロックが生成されることはなく、上記重縮合系高分子や低分子量重合系高分子と同様に表面電荷の中和を主とした機能が発現し微細なフロックを生成させる。すなわちフミン質などの有機性コロイドと反応し微細なフロックを生成する。また一方PAC、チタン系凝集剤、ポリアミン系重縮合系高分子あるいはポリジアリルアンモニウム塩およびアクリルアミド低分子量共重合物に較べ分子形態は大きいので、泥、砂など無機懸濁粒子も効率的に除去できる。すなわち水溶性高分子は、架橋度が高まるにつれて分子が粒子状的な性質を多く持つようになるためと考えられる。本発明で使用する架橋度の高い水溶性高分子は、架橋が進んだ水不溶性粒子と直鎖水溶性高分子の中間的な性質を持っていると考えられる。
本発明で使用する架橋度の高い水溶性高分子は、従来使用されている無機アルミニウム系凝集剤であるPACに較べアルツハイマー病の危険も低減でき、またチタン系凝集剤あるいはアニオン性ポリアクリルアミド共重合物に較べ、フミン質などの有機性物質も除去できるだけでなく、油中水型エマルジョンを乾燥する過程で残留モノマーも少なくなり、さらに泥、砂など無機懸濁粒子も効率的に除去できる。
はじめに電荷内包率35%以上90%以下であるカチオン性水溶性高分子(A)に関して説明する。電荷内包率は、以下のように定義される。すなわち
定義)水溶性カチオン性高分子および両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体共重合率の差が正である水溶性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αは酢酸にてpH4.0に調整した水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量。βは酢酸にてpH4.0に調整した水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を前記水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量。ここでブランク値とは、水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液無添加時にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量である。
すなわち電荷内包率の高い水溶性高分子は、架橋が高まった水溶性高分子であり、電荷内包率の低い水溶性高分子は、架橋が少ない水溶性高分子であると言える。この理由は、以下の通りに説明される。直鎖状水溶性高分子は、希薄溶液中では、分子はほぼ「伸びきった」形状をしている。一方、架橋性水溶性高分子は、溶液中において粒子状の丸まった形状をしていて、粒子状の内部に存在するイオン性基は、外側には現われにくく、反対電荷との反応も緩慢に起こると考えられる。
以下、上記式のαおよびβの意味に関して簡単に説明する。上記式において滴定量αは、試料である架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子に反対電荷を有するポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を滴下して行き、水溶性カチオン性(両性)高分子の「表面」(粒子状の表面部)に存在するイオン性基にイオン的静電反応を行わせる操作を意味する。
その後、架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子の理論的な電荷量を中和するに十分な量以上の反対電荷を有するポリビニルスルホン酸カリウムを添加し、反応時間を十分取ったその後、余剰のポリビニルスルホン酸カリウムをジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液により滴定する。また別に架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子を添加しないでポリビニルスルホン酸カリウム溶液をジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液により滴定し、ブランク値を出しておき、ブランク値より架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子を添加した場合の滴定量を差し引き、この値がβとなる。β値は、架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子の化学組成から計算される理論的な電荷量に相当すると考えられる。すなわち架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子に対し、反対電荷が多量に存在するので、表面のカチオン性電荷だけでなく、内部の電荷まで静電的な中和反応が行われると考えられる。架橋度が高ければ、αはβに対し小さくなり、(1−α/β)値は、1に比べ大きくなり電荷内包率は大きい(すなわち架橋の度合いは高くなる)。
本発明では上記のような電荷内包率を有する水溶性カチオン性高分子あるいは水溶性両性高分子を製造するため、高分子の構造改質剤として架橋性単量体を単量体総量に対し0.0005〜0.0050モル%、また好ましくは0.001〜0.003モル%重合時あるいは重合後存在させる。架橋性単量体の例としては、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルアミン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸―1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N−ビニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアリルアクリルアミド、アクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アクロレイン、グリオキザール、ビニルトリメトキシシランなどがあるが、この場合の架橋剤としては、水溶性ポリビニル化合物がより好ましく、最も好ましいのはN,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミドである。またギ酸ナトリウム、イソプロピルアルコール等の連鎖移動剤を併用して使用することも架橋性を調節する手法として効果的である。
水溶性両性高分子を製造する場合は、アニオン性単量体を重合時共存させる他は、同様な操作によって目的のものを得ることができる。使用する架橋性単量体は、前述と同様であり、最も好ましいのはN,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミドである。連鎖移動剤も併用して使用すると効果的である。
水溶性カチオン性高分子を製造するため使用するカチオン性単量体は、前記一般式(1)で表わされる単量体を必須として含有する単量体あるいは単量体混合物を重合したものである。水溶性両性高分子は、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2)で表わされる単量体を必須として含有する単量体混合物を重合したものである。カチオン性単量体の例は、(メタ)アクリロイルオキシアルキル4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムブロマイドなど(メタ)アクリロイルオキシアルキル3級アミン塩は、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルアミン硫酸塩、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルアミン塩酸塩などである。(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩としては(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートなどである。(メタ)アクリロイルアミノ(ヒドロキシ)アルキル3級アミン塩としては、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルアミン塩酸塩、硫酸塩などである。
水溶性両性高分子を製造するため使用するアニオン性単量体の例は、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸あるいは2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。
水溶性カチオン性高分子あるいは水溶性両性高分子を製造する場合、非イオン性単量体を共重合してもよくその例としては以下のようなものがある。すなわちアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリンなどがあげられる。
これら水溶性高分子におけるカチオン性単量体のモル%は、20〜95モル%であり、好ましくは30〜95モル%である。この理由としてカチオン性単量体が20モル%より低いと凝集力や有機物質の吸着能力が低下する。またアクリルアミドのような非イオン性単量体を共重合したほうが架橋は係りやすく好ましいからでる。従ってカチオン性単量体のモル%は、最大でも95モル%である。また両性水溶性高分子も使用可能であり、その場合のアニオン性単量体のモル%は、2〜30モル%であり、好ましくは5〜20モル%である。また分子量は重量平均分子量で100万〜2000万であり、好ましくは200万〜1000万である。
本発明における水溶性カチオン性高分子あるいは水溶性両性高分子の製品形態としては、粉末あるいは塩水溶液中分散液などどのような形態でも実施可能である。
粉末状の製品は、以下のようにして製造することができる。例えば塩水溶液中あるいは水に非混和性有機液体中にて分散重合した分散液、あるいは油中水型エマルジョンを得て、その後乾燥し造粒した粉末とする。すなわち塩水中にて分散重合した分散液の場合は、直接乾燥機に入れ、一定時間乾燥し、シート状物を粉砕する方法がある。また水に非混和性有機液体中にて分散重合した分散液の場合は、非混和性有機液体を分離し、湿潤な重合粒子を乾燥機にて乾燥し粉末状とする。油中水型エマルジョンは、噴霧乾燥、あるいはエマルジョンを
直接乾燥機に入れ、一定時間乾燥し、シート状物を粉砕する方法がある。
油中水型エマルジョンの場合は、イオン性単量体、あるいはイオン性単量体、共重合可能な単量体及びこれら単量体に対し生成した重合体が水溶性を保つモル比で添加した架橋性単量体を含有する単量体混合物を水、少なくとも水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させ重合することにより合成する。
また分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油などの鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度などの特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物があげられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20質量%〜50質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜35質量%の範囲である。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB1〜8のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−トなどがあげられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%の範囲である。
この場合、高HLB界面活性剤により乳化させ油中水型エマルジョンを形成
させ重合したエマルジョンは、このままで水となじむので転相剤を添加する必
用がない。これら界面活性剤のHLBは、9〜20のもの、好ましくは11〜
20のものを使用する。そのような界面活性剤の例としては、カチオン性界面
活性剤やHLB9〜15のノニオン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレンアルキルエ−テル系、ポリオキシエチレンアルコールエ
−テル系などである。
低HLBの界面活性剤により乳化、重合した場合は重合後転相剤と呼ばれる親水性界面化成剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行い、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9〜15のノニオン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル系、ポリオキシエチレンアルコールエ−テル系などである。
塩水溶液中分散液の場合は、硫酸アンモニウムのような多価アニオン塩の水溶液を調製し、この中にカチオン性単量体、あるいは非イオン性単量体からなる混合物を仕込み、また、両性水溶性重合体の場合はアニオン性単量体をしこみ、分散剤として該塩水溶液に可溶な高分子分散剤を共存させ攪拌下、分散重合し合成することができる。
高分子分散剤としては、非イオン性あるいはカチオン性高分子のいずれでも使用可能であるが、カチオン性高分子のほうがより好ましい。カチオン性高分子としては、アクリル系カチオン性単量体、たとえば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの無機酸や有機酸の塩、あるいは塩化メチルや塩化ベンジルによる四級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体である。例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物などがあげられ、これら単量体と非イオン性単量体との共重合体でも良い。またジメチルジアリルアンモニウム塩化物重合体などジアリルアミン系重合体でも使用できる。
非イオン性高分子の例としては、上記非イオン性単量体の(共)重合体、ポリビニルアルコ−ル、スチレン/無水マレイン酸共重合物あるいはブテン/無水マレイン酸共重合物の完全アミド化物などである。
上記イオン性高分子の分子量としては、5、000から300万、好ましくは5万から150万である。また、非イオン性高分子分の分子量としては、1,000〜100万であり、好ましくは1,000〜50万である。これら高分子分散剤の単量体に対する添加量は、1/100〜1/10であり、好ましくは2/100〜5/100である。
これら上記の種々重合は、重合は窒素雰囲気下にて、重合開始剤、例えば2、
2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物または2、2’−アゾビ
ス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素
化物のような水溶性アゾ系重合開始剤、あるいは過硫酸アンモニウムおよび亜
硫酸水素ナトリウム併用のような水溶性レドックス系重合開始剤を添加し、撹
拌下あるいは無攪拌下ラジカル重合を行う。
本発明の水溶性高分子は、水溶性カチオン性あるいは水溶性両性高分子を使用することができるが、特に水溶性両性高分子の場合は、0.1質量%濃度の水溶液とした時、水溶液pHが通常4.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは3.0以下である。水溶液pHが4.0を上回ると十分な性能が得られない。そのため酸性物質を配合する。この理由は二つある。すなわち水溶性両性高分子を配合するため溶液pHが約5〜約9の範囲でイオンコンプレックスを形成し溶液が白濁する。このイオンコンプレックスが生成した状態で汚泥など処理対照に添加すると、性能が低下するためである。またpHが5付近より高い範囲では本発明で使用する水溶性(メタ)アクリル系高分子が加水分解を受け、劣化しやすくなる。0.1質量%濃度というのは、処理対照に添加する場合の下限に近い溶液濃度である。これら現象を防止するため水溶液のpHは4以下にすることが好ましい。
このような酸性物質の例として、無機あるいは有機の酸として塩酸、硫酸、酢酸、スルファミン酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸などである。これら酸性物質の添加量として水溶性高分子の固形分換算として、5〜20質量%であり、好ましくは7〜15質量%であり、0.1質量%濃度に溶解してもpHが4以下を確保できる。
本発明は上水用原水に対し従来、使用されている無機アルミニウム系凝集剤であるPAC、チタン系凝集剤、ポリジアリルアンモニウム塩およびアクリルアミドの低分子量共重合物、アニオン性ポリアクリルアミド共重合物に替えて、電荷内包率35%以上90%以下の水溶性高分子を使用する。この理由として以下のようなことが考えられる。すなわち直鎖状水溶性高分子は、水中に分子が広がった状態で存在する。重合系のような高分子量のカチオン性水溶性高分子の凝集作用は、いわゆる「架橋吸着作用」による多数懸濁粒子を水溶性高分子の分子鎖による結合作用で起きると考えられている。一般に上水用原水中には、泥、砂など無機懸濁粒子のほかに、フミン質などの有機性物質、あるいは溶解性のCOD成分も溶解あるいは分散している。しかしフミン質などは低分子であり、しかもアニオン性に帯電し安定なコロイドとして水中に存在する。そのためPACなどによって表面電荷を中和し、微細なフロックを生成させることによって処理している。一方、ポリジアリルアンモニウム塩およびアクリルアミド低分子量共重合物は、上記フミン質などの有機性物質は多少なりとも吸着によって除去できるが、チタン系凝集剤やアニオン性ポリアクリルアミド共重合物は、無機懸濁粒子の凝集、沈殿作用は有していても有機性物質は除去できない。
これに対し架橋性水溶性高分子は、架橋することによって水中における分子の広がりが抑制される。そのためにより「密度の詰まった」分子形態として存在し、さらに架橋が進めば水膨潤性の微粒子となる。通常高分子凝集剤として使用されるのは、前記の「密度の詰まった」分子形態である場合が効率的とされる。架橋性水溶性高分子が上水用原水に添加されると、直鎖状水溶性高分子と異なり架橋吸着による巨大フロックが生成されることはなく、上記重縮合系高分子や低分子量重合系高分子と同様に表面電荷の中和を主とした機能が発現し微細なフロックを生成させる。すなわちフミン質などの有機性コロイドと反応し微細なフロックを生成する。また一方PAC、チタン系凝集剤、ポリアミン系重縮合系高分子あるいはポリジアリルアンモニウム塩およびアクリルアミド低分子量共重合物に較べ分子形態は大きいので、泥、砂など無機懸濁粒子も効率的に除去できる。すなわち水溶性高分子は、架橋度が高まるにつれて分子が粒子状的な性質を多く持つようになるためと考えられる。本発明で使用する架橋度の高い水溶性高分子は、架橋が進んだ水不溶性粒子と直鎖水溶性高分子の中間的な性質を持っていると考えられる。
本発明で使用する架橋度の高い水溶性高分子は、従来使用されている無機アルミニウム系凝集剤であるPACに較べアルツハイマー病の危険も低減でき、またチタン系凝集剤あるいはアニオン性ポリアクリルアミド共重合物に較べ、フミン質などの有機性物質も除去でき、さらに泥、砂など無機懸濁粒子も効率的に除去できる。
浄水場において凝集処理を行う原水に本発明の水溶性高分子からなる上水用凝集剤を凝集攪拌槽において添加し、攪拌すると、速やかに非常に微細なフロックが形成され、その後アニオン性ポリアクリルアミド系凝集剤を使用することによって大きなフロックを形成し固液分離ができる。従って、本発明による上水用凝集剤は、他の無機凝集剤のポリ塩化アルミニウム、あるいは有機高分子であるアルギン酸ナトリウムやポリアクリル酸ナトリウムなどと併用することを妨げない。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにソルビタンモノオレート6.0g及びポリリシノ−ル酸/ポリオキシエチレンブロック共重合物0.6gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水55.0gとアクリル酸(AACと略記)60%水溶液19.7gを混合し、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液119.1g、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMCと略記)80%水溶液42.6g、アクリルアミド(AAMと略記)50%水溶液116.4g及びメチレンビスアクリルアミド0.1質量%水溶液3.0g(対単量体0.0015質量%)を各々採取し、各々を混合し完全に溶解させた。その後pHを3.95に調節し、油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMC/DMQ/AAC/AAM=10/30/10/50(モル%、試作−1)である。
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール10質量%水溶液2.0g(対単量体0.1質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の1質量%水溶液2.0g(対単量体0.01質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレントリデシルエ−テル7.5g(対エマルジョン1.5質量%)を添加混合して試験に供する試料(試料−1)とした。得られた試料をミューテック社製PCD滴定装置により電荷内包率を測定し、また光散乱法による重量平均分子量は約670万であった。同様な操作によりDMQ/AAM=80/20(モル%、試作−2)、DMQ/AAM=50/50(モル%、試作−3)からなる油中水型エマルジョンを合成した。結果を表1に示す。
(油中水型エマルジョン乾燥品の作成)
油中水型エマルジョン試作−1〜試作−3に関し、転相剤を加えず噴霧乾燥機を用いてスプレードライ製粉末を作成した。乾燥後の試作名を試作−4〜試作−6とする。
また油中水型エマルジョン試作−1〜試作−3を分散液の状態で乾燥機に入れ、乾燥物にした後、粉砕し粉末製品を作成した。乾燥後の試作名を試作−7〜試作−9とする。以上の結果をまとめて表1に示す。
(比較合成例1)攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにソルビタンモノオレート6.0g及びポリリシノ−ル酸/ポリオキシエチレンブロック共重合物0.6gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水55.0gとアクリル酸(AACと略記)60%水溶液19.7gを混合し、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液119.1g、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMCと略記)80%水溶液42.6g、アクリルアミド(AAMと略記)50%水溶液116.4g及びメチレンビスアクリルアミド0.1質量%水溶液1.0g(対単量体0.0004質量%)を各々採取し、各々を混合し完全に溶解させた。その後pHを3.95に調節し、油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMC/DMQ/AAC/AAM=10/30/10/50(モル%、比較試料−1)である。
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール10質量%水溶液2.0g(対単量体0.1質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の1質量%水溶液2.0g(対単量体0.01質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレントリデシルエ−テル7.5g(対エマルジョン1.5質量%)を添加混合して試験に供する試料とした。得られた試料をミューテック社製PCD滴定装置により電荷内包率を測定し、また光散乱法による重量平均分子量は約670万であった。同様な操作によりDMQ/AAM=80/20(モル%、比較試料−2)、DMQ/AAM=50/50(モル%、比較試料−3)からなる油中水型エマルジョンを合成した。
油中水型エマルジョン比較−1〜比較−3に関し、転相剤のポリオキシエチレントリデシルエ−テルを添加してないものを用い、噴霧乾燥機を用いてスプレードライ製粉末を作成した。乾燥後の試作名を比較−4〜比較−6とする。以上の結果をまとめて表1に示す。










(表1)
DMC;メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、
DMQ;アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
AAC;アクリル酸、AAM;アクリルアミド、電荷内包率;%、
製品形態;EM;油中水型エマルジョン、SDP;噴霧乾燥品、
DDP;ドライヤー乾燥品
実施例1
浄水場より採取した水道水原水(濁度20NTU)500ミリリットルを500ミリリットルビーカーに採取してジャーテスター(株式会社 宮本製作所製MIS−6)にセットし、油中水型エマルジョンを乾燥した試料−4〜試料−9を0.1質量%含む水溶液を各試作品が原水に対して1ppmになるように添加して、150rpmで30秒間撹拌後、80rpmで30秒間撹拌後、40rpmで30秒間撹拌後3分間静置した。その後、液面から深さ2cmの位置より処理水を抜き取り、濁度計(HACH社製 2100P)による濁度を測定しまた全有機体炭素計(島津製作所製TOC−V CSN型)にてTOC(全有機体炭素)を測定した。結果を表2に示す。
(比較試験)
同様な操作により油中水型エマルジョンを乾燥した比較試料、比較−4〜比較−6を用いて試験をした。同時にポリアクリルアミド系アニオン性高分子凝集剤(アニオン化度20モル%、分子量1000万、比較−7)、アルギン酸ナトリウム(比較−8)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)(比較−9)も試験を行った。ポリ塩化アルミニウム(PAC)に関しては水道水原水に対して20ppmとなるように添加した。結果を第2表に示す。
(表2)
濁度の単位はNTU、TOCの単位はmg/L

Claims (5)

  1. 下記定義で表示される電荷内包率35%以上90%以下の水溶性高分子であって、前記水溶性高分子が、下記一般式(1)で表わされる単量体および架橋性単量体を必須として含有する単量体混合物を重合した水溶性高分子からなる上水用凝集剤。
    定義1)カチオン性の架橋性水溶性イオン性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体のモル濃度の差が正である架橋性水溶性イオン性高分子の場合
    電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
    αは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量。βは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を前記架橋性水溶性イオン性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量(ブランク値:架橋性水溶性イオン性高分子水溶液無添加時にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量)。
    定義2)アニオン性の架橋性水溶性イオン性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体のモル濃度の差が負である架橋性水溶性イオン性高分子の場合
    電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
    αはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量。βはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を前記架橋性水溶性イオン性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量(ブランク値:架橋性水溶性イオン性高分子水溶液無添加時にジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量)。
    一般式(1)
    は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
  2. 前記水溶性高分子が、一般式(1)で表わされる単量体および架橋性単量体を必須として含有する混合物水溶液を分散相とし、水に非混和性の有機液体を連続相となるように界面活性剤により乳化し重合した後、得られる油中水型エマルジョンを乾燥した水溶性高分子の粉末であることを特徴とする請求項1に記載の上水用凝集剤。
  3. 前記水溶性高分子を構成する前記一般式(1)で表わされる単量体の共重合率が、20〜95モル%であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の上水用凝集剤。
  4. 前記水溶性高分子が両性の場合、前記水溶性両性高分子を0.1質量%以上に溶解した場合、溶解液pHを4以下にする量の酸性物質を混合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の上水用凝集剤。
  5. 上水用原水中の縣濁物を分離する場合、下記定義で表示される電荷内包率35%以上90%以下の水溶性高分子であって、前記水溶性高分子が下記一般式(1)で表わされる単量体および架橋性単量体を必須として含有する単量体混合物を重合した水溶性高分子を使用することを特徴とする上水用原水中の縣濁物の分離方法。
    定義1)カチオン性の架橋性水溶性イオン性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体のモル濃度の差が正である架橋性水溶性イオン性高分子の場合
    電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
    αは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量。βは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を前記架橋性水溶性イオン性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量(ブランク値:架橋性水溶性イオン性高分子水溶液無添加時にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量)。
    定義2)アニオン性の架橋性水溶性イオン性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体のモル濃度の差が負である架橋性水溶性イオン性高分子の場合
    電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
    αはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量。βはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子水溶液にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を前記架橋性水溶性イオン性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量(ブランク値:架橋性水溶性イオン性高分子水溶液無添加時にジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量)。
    一般式(1)
    は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102464390A (zh) * 2011-10-20 2012-05-23 常州亚环环保科技有限公司 一种处理低浓度含磷废水絮凝剂的制备及其应用方法
CN102942245A (zh) * 2012-11-13 2013-02-27 常州大学 一种水处理用净水剂
CN110078188A (zh) * 2019-05-23 2019-08-02 南京师范大学 一种季膦盐改性淀粉絮凝剂及其制备方法和应用

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