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JP2011061029A - インプリント方法および装置 - Google Patents

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JP2011061029A JP2009209541A JP2009209541A JP2011061029A JP 2011061029 A JP2011061029 A JP 2011061029A JP 2009209541 A JP2009209541 A JP 2009209541A JP 2009209541 A JP2009209541 A JP 2009209541A JP 2011061029 A JP2011061029 A JP 2011061029A
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明夫 青木
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Abstract

【課題】 インプリント装置において、樹脂の塗布及びパターンの転写における移動距離が無視できないほどの距離があり、スループットに影響を与えていた。
【解決手段】 モールドを保持する保持手段と基板に樹脂を塗布する塗布手段が並んでいる方向の複数のショット領域にパターンを転写する際、複数のショット領域に連続して樹脂を塗布(S106)した後、連続してパターンを転写(S108)する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、基板上に樹脂を塗布してモールドのパターンを転写するインプリント方法および装置に関する。
インプリント技術は、微細パターンが形成されたモールドを原版としてシリコンウエハやガラスプレート等の基板上に微細パターンを形成する技術のことである。この微細パターンは、基板上に樹脂を塗布し、その樹脂を介して基板にモールドのパターンを押し付けた状態で、樹脂を硬化させることによって形成される。
現時点において実用化されているインプリント技術の一つに光硬化法がある。光硬化法では、光硬化型の樹脂を使用し、樹脂を介して基板にモールドのパターンを押し付ける。モールドを押し付けた状態で紫外線等の光を照射して樹脂を硬化させた後、樹脂からモールドを引き離すことにより基板上にパターンが形成される。
従来、上述のインプリント技術で複数のショット領域にパターンを形成する方法としては、樹脂の塗布とパターンの転写を基板上のショット領域毎に対して繰り返し実行する方法が知られている(特許文献1)。
特許第4185941号
上記のようなインプリント装置においてショット領域にパターンの転写を行うには、まず基板上のショット領域を塗布手段の塗布位置に移動させて、塗布手段により樹脂の塗布を行う。次に樹脂が塗布されたショット領域をモールドヘッドに保持されたモールドが有するパターンを転写する位置(ショット位置)の下へ移動させた後、パターンの転写を行う。このような処理を行うインプリント装置は、樹脂を塗布する塗布手段と、パターンの転写時に上下駆動を行うモールドヘッドとが、水平方向に並んで配置される。そのため、基板上の複数のショット領域に対してパターンを形成する場合には、塗布位置とモールドのパターンのショット位置との間を移動する基板の移動距離が、装置のスループットを考える上で無視することができない程の長さになる。そのため、基板を移動させるための移動量がスループットに影響を与えていた。
本発明は、上記のようなインプリント装置において、樹脂の塗布及びパターンの転写における移動距離を短縮することによってスループットを向上させることを目的とする。
本発明のインプリント方法は、モールドを保持する保持手段と基板に樹脂を塗布する塗布手段を備えたインプリント装置を用いて、前記モールドのパターンを前記基板に塗布された前記樹脂に転写する転写方法であって、前記保持手段と前記塗布手段が並んでいる方向と同じ方向に並んでいる前記基板上のn個のショット領域に、前記樹脂を塗布する塗布工程と、前記塗布工程で前記n個のショット領域に前記樹脂を塗布した後、該n個のショット領域に、前記パターンを該ショット領域毎に転写する転写工程と、を有し、前記塗布手段と前記モールドの距離(D)と、前記保持手段と前記塗布手段が並んでいる方向の前記ショット領域の幅(W)は、下記式を満たし、前記塗布工程と前記転写工程を前記基板上で繰り返す、ことを特徴とする。
D>(3/2−1/n)W
本発明のインプリント方法によれば、ショット領域に樹脂を塗布してパターンの転写を行うために必要な基板の移動距離が短縮され、スループットを向上することができる。
実施例1におけるインプリント装置の構成を示す図 光硬化法によるパターン形成方法を説明する図 実施例1における塗布手段及びモールドの位置関係を示す図 実施例1における処理を示すフローチャート 実施例1におけるショット領域の選択の結果を示す図 実施例1における樹脂の塗布とパターンの転写を説明する図 先行技術における樹脂の塗布とパターンの転写を説明する図 実施例1における樹脂の塗布とパターンの転写を説明する図 先行技術における樹脂の塗布とパターンの転写を説明する図 実施例2におけるショット領域の選択の結果を示す図 実施例2における樹脂の塗布とパターンの転写を説明する図 実施例2における樹脂の塗布とパターンの転写を説明する図 実施例3における樹脂の塗布とパターンの転写を説明する図 実施例4における樹脂の塗布とパターンの転写を説明する図 表示装置におけるショット領域の配置の表示内容を示す図
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
図1を参照しながら本発明の好適な実施形態のインプリント装置IMPを説明する。インプリント装置IMPは、モールド11を保持する保持手段(以下、インプリントヘッド33)と、基板上に設定された複数のショット領域に対するインプリントの順番を制御する制御部301と、ショット領域に樹脂を塗布する塗布手段32を備える。制御部301は、インプリントの順番の制御に加えて、ウエハステージ31、塗布手段32、インプリントヘッド33及び光照射系34を制御することができる。制御部301は、特定のデータを記憶および参照するためのメモリを有している。また、インプリント装置IMPは、不図示のウエハチャックによって基板(以下、ウエハ12)を保持するウエハステージ31と、モールド11を介して樹脂に光39を照射する光照射系34を備えている。なお、図1のインプリント装置IMPにおいて、X軸方向及びY軸方向の原点はインプリントヘッド33の中心に一致するように設定されている。ウエハステージ31は、XYZ座標系における少なくともX方向及びY方向の2軸に関してウエハ12の位置を制御することができる。本発明におけるウエハの移動とはウエハステージの駆動によるものである。
ウエハ上に設定された複数のショット領域のうち、所望のショット領域に樹脂を塗布するには、塗布手段32による樹脂の吐出と、ウエハステージ31によるウエハ12の位置の制御を行う。
インプリントヘッド33は、交換可能なモールド11を保持しており、保持した状態で不図示のアクチュエータによって上下方向に駆動する。インプリントヘッド33がアクチュエータによって下方に駆動されることによってモールド11がウエハ12に押し付けられる。インプリントヘッド33がアクチュエータによって上方に駆動されることによってモールド11がウエハ12から引き離される。
図2を参照しながら光硬化法によるパターンの形成方法を説明する。まず、図2(a)のように樹脂13をウエハ12に塗布し、樹脂13を介してモールド11のパターン面15をウエハ12に押し付ける。光硬化法では、樹脂13として紫外線等の光が照射されることによって硬化する樹脂を用い、モールド11は紫外線等の光を透過する石英等の材料で作成される。また、モールド11のパターン面15にはパターン16が形成されている。モールド11をウエハ12に押し付けると樹脂13がパターン16の凹部に毛細管現象によって進入する。
次に、図2(b)のようにモールド11がウエハ12に押し付けられた状態で、モールド11を介して樹脂13に紫外線14が照射される。紫外線14が照射されることによって樹脂13は硬化し、これによってモールド11のパターン16がウエハ12上の樹脂13に転写される。ここで、モールド11をウエハ12に押し付けるとは、モールド11を樹脂13を介してウエハ12に押し付けることであり、図2(b)のようにモールド11のパターン16がウエハ12に接さなくてもよい。
最後に、図2(c)のように樹脂13からモールド11が引き離される。樹脂13は、パターン16に対応する形状のままでウエハ12上に留まる。モールド11を引き離した後の、樹脂13に転写されたパターンは、従来の露光装置のフォトリソグラフィー工程によって作成されたレジストパターンと同等のものとなっている。半導体デバイスの製造における以降の工程は、露光装置を用いた場合と同様に扱うことができる。本明細書では、インプリント技術によって基板の樹脂にパターンを形成あるいは転写することをインプリントと呼ぶ。
図3を参照しながら本実施例のインプリント装置IMPにおける樹脂の塗布およびパターンの転写に関係する部位の位置関係を説明する。図3は図1で説明した塗布手段32とインプリントヘッド33を−Z方向から見た図である。
モールド11には、パターンが形成されたパターン領域43が設けられている。塗布手段32は、インプリントヘッド33の中心から+X方向側に配置されている。また塗布手段32は、インプリントヘッド33の駆動と、塗布手段32によって吐出される樹脂とが、互いに影響を与えない位置に配置されている。さらに、塗布手段32には、吐出口47がY方向に複数設けられている。また、ショット領域のY軸方向の幅に合わせて吐出口47を設けることができる。図3には吐出口47が1列のみ設けられた例を示しているが、複数列の吐出口47を設けることもできる。
このようなインプリント装置IMPにおいてウエハ12を−X方向へ移動させながら樹脂の塗布を行う場合、始めに対象とするショット領域を樹脂の塗布を開始する位置(塗布位置)45に移動させる。その後、ウエハ12を−X方向へ移動させながら、樹脂を吐出口47から吐出してショット領域に樹脂を塗布する。樹脂が塗布されたショット領域にパターンの転写を行う場合、樹脂が塗布されたショット領域をパターン領域43のZ方向に設定されたパターンを転写する位置(ショット位置)48にウエハ12を移動させる。その後、パターンの転写を行う。
本明細書では、塗布手段32の吐出口47とモールド11のパターン領域43の中心までの距離をDと定義する。ここで、パターン領域43とは、ウエハ12上のショット領域に対応する領域のことであり、この領域内にパターン16が形成されている。またパターン領域43に対応するウエハ上に設定されたショット領域のうちX方向の幅をWと定義する。また塗布位置45及びショット位置48は、それぞれパターン領域43と吐出口47に対してZ軸が一致した位置に決まればよく、Z方向の高さを限定する必要は無い。
図4を参照しながらインプリント装置IMPにおけるインプリント動作について説明する。以下に示す一連の処理の流れは、インプリント装置IMPの制御部301で制御される。制御部301のメモリには、ウエハ上に設定された複数のショット領域のショット番号やウエハ上の位置等のデータが予め記憶されている。また、以下の説明では、X方向及びY方向にそれぞれ一定のピッチで配置された複数のショット領域のうち、X方向の並びを行と呼び、Y方向の並びを列と呼ぶことにする。
パターンを形成するウエハがウエハステージによって保持され、モールドがモールドヘッドに保持された状態でインプリント動作を開始する(S100)。
ステップS102は、本実施例において制御部301の一部である選択手段によって処理される。ステップS102では、複数のショット領域のうち、1つの行の中でn個のショット領域が選択される。選択されたショット領域のショット番号は1組の選択済みのショット領域として組番号と共に制御部301のメモリに記憶される。組番号は、ステップS102において選択された各組を識別できる番号である。例えば、組番号は1から始まり、ステップS102の実行の度に1ずつ加算される番号でもよい。ステップS102では、1つの行の中に未選択のショット領域の数がnに満たない場合には、その全てのショット領域が1組の選択済みのショット領域として組番号と共に制御部301のメモリに記憶される。
ステップS104では、複数のショット領域のうち、未選択のショット領域の有無を判断する。未選択のショット領域が存在する場合には、未選択のショット領域に対してステップS102による処理が行われる。こうして、ステップS102による処理はウエハ上の全ての行に対して行われる。未選択のショット領域が存在しない場合には、ステップS106による処理が行われる。
ステップS106では、ステップS102において制御部301のメモリに記憶された1組のショット領域に対して、塗布位置に移動して塗布手段によって連続して樹脂の塗布を行う。樹脂の塗布が完了した組については、ステップS102において記憶されたデータに対して、塗布済みの状態を表すデータが付加される。
ステップS108では、直前のステップS106において塗布手段によって連続して樹脂が塗布されたショット領域を、モールドのショット位置に移動させる。移動後に順次パターンの転写を連続して行う。
ステップS110では、ステップS102において制御部301のメモリに記憶されたショット領域のうち、直前のステップS106およびS108による樹脂の塗布とパターンの転写が行われていないショット領域の組の有無を判断する。未処理のショット領域の組が存在する場合には、未処理のショット領域に対して塗布位置への移動とショット位置へ移動し、ステップS106およびステップS108による処理が行われる。
こうして、未処理のショット領域の組が無くなると、ウエハ上のショット領域に対して樹脂の塗布とパターンの転写が終了する(S112)。
1組のショット領域として選択されるショット領域の最大個数を示すnの設定方法の一つとして次の方法がある。nは2以上の整数であり、樹脂の特性やウエハ上に設定されたショット領域の配置などに応じて決定される。樹脂の特徴として樹脂がウエハ12上に塗布された後、その経時変化によって樹脂の状態が変化する可能性がある。そのため、樹脂が塗布されてパターンの転写までの時間が長くなると、樹脂の揮発により転写の結果に影響を与える可能性がある。このような転写の結果に影響が無いようにnを設定することによって、個々のショット領域に対する樹脂の塗布から転写までの時間を制限することができる。
図5を参照しながら、実際にステップS102においてn個のショット領域が選択手段により選択される結果を説明する。図5はnを2とした場合の結果を示す図である。ウエハ12の表面には、ショット領域51、52、53および54を含む複数のショット領域が配置されている。図5はウエハ12の表面に64個のショット領域が配置されていることを示している。点線55は、ステップS102において選択されたショット領域の組を表している。図5は32個のショット領域の組として選択されている。ショット領域51と52は同じショット領域の組、ショット領域53と54は同じショット領域の組として選択されている。
実際にステップS106とステップS108において行われる複数ショット領域の連続塗布と連続転写の動作を説明する。以下、ウエハ上に設定されたショット領域に対して(1)+X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合と、(2)−X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合に分けて説明する。
(1)+X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合について、図6を参照しながら説明する。ここでは図5で選択されたショット領域51と52の組と、ショット領域53と54の組に対する樹脂の塗布およびパターンの転写を説明する。
図6(a)は、図5で選択されたショット領域51と52の組に対する樹脂の塗布を行う直前の状態である。ショット領域51を図3の樹脂の塗布位置45に移動させた状態である。この状態から樹脂の塗布動作が開始される。ウエハ12を−X方向へ移動させると同時に、塗布手段32から樹脂の塗布を行い、ショット領域51に樹脂を塗布する。図6(b)はショット領域51に樹脂の塗布が終了した状態である。ショット領域51への樹脂の塗布に続けてショット領域52に樹脂の塗布をショット領域51と同じ方法で行う。図6(c)はショット領域52に樹脂の塗布が終了した状態である。ショット領域51と52の組への樹脂の塗布が終了すると、モールド11のパターン16の転写を行うためにショット領域51を図3のパターンを転写するショット位置48に移動させる。ウエハ12の移動後、モールド11のパターン16の転写を行う。図6(d)はパターン16の転写が終了した状態である。ショット領域51のパターンの転写に続けてショット領域52にパターンの転写を行う。図6(e)はショット領域52へのパターンの転写が終了した状態である。ショット領域51と52の組へのパターンの転写が終了すると、ショット領域53と54の組に樹脂の塗布を行うためにウエハ12を+X方向へ移動させ、ショット領域53を図3の樹脂の塗布位置45に移動させる。図6(f)はショット領域53と54の組に対する樹脂の塗布を行う直前の状態である。この状態から、再び図6(b)〜(e)を行うことによって、ショット領域53と54の組に樹脂の塗布とパターンの転写の処理が施される。これを全ショット領域に繰り返すことによって、ウエハ全面のショット領域に対して、樹脂の塗布とパターンの転写が行われる。
このような本実施例において、n個のショット領域に対して連続して樹脂を塗布した後、連続してパターンの転写に要するウエハの移動量を求める。本実施例を含め以下の説明においてショット領域のうちX方向の幅Wは、パターン16が形成されたパターン領域43のX方向の幅と、X方向に隣接するショット領域の中心距離と等しいものとする。1ショット領域に樹脂を塗布する際に移動するウエハの移動量はWである。よってn個のショット領域の移動量はnWである。ウエハ上に設定されたn個のショット領域に対して樹脂の塗布が終了した時点で、以下の2つの場合に分けることができる。
(1−1)D+W/2>nWの場合(図6(g)、最初の転写の際に−X方向に移動する場合)を考える。樹脂の塗布後、モールドのパターン下にショット領域を移動するウエハの移動量はD+W/2−nWである。n個のショット領域に連続してパターンの転写するために移動するウエハの移動量は(n−1)Wである。次の組のショット領域に樹脂を塗布するために移動するウエハの移動量はD−W/2である。よって本発明におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハの移動量は、下記の式1.1のように表される。
nW+(D+W/2−nW)+(n−1)W+(D−W/2)=2D−W+nW …(1.1)
(1−2)D+W/2<nWの場合(図6(h)、最初の転写の際に+X方向に移動する場合)を考える。樹脂の塗布後、モールドのパターン下にショット領域を移動するウエハの移動量はnW−D−W/2である。n個のショット領域に連続してパターンの転写するために移動するウエハの移動量は(n−1)Wである。次の組のショット領域に樹脂を塗布するために移動するウエハの移動量はD−W/2である。よって本実施例におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハの移動量は、下記の式1.2のように表される。
nW+(nW−D−W/2)+(n−1)W+(D−W/2)=3nW−2W …(1.2)
ここで、本実施例のウエハの移動と比較するために、図7を参照しながら従来技術におけるウエハの移動を説明する。図7(a)はショット領域51に対する樹脂の塗布を行う直前の状態である。この状態から樹脂の塗布動作が開始される。図7(b)はショット領域51に樹脂の塗布が終了した状態である。ショット領域51への樹脂の塗布が終了すると、モールド11のパターン16の転写を行う。図7(c)はショット領域51にパターン16の転写が終了した状態である。ショット領域51への転写が終了すると、ショット領域52に対して樹脂の塗布を行うためにウエハを+X方向へ移動させる。図7(d)はショット領域52に対する樹脂の塗布を行う直前の状態である。図7(e)〜(g)はショット領域52に対する樹脂を塗布とパターンの転写を示した図であり、図7(b)〜(d)に相当する。図7は2個のショット領域について説明したものであるが、図7(b)〜(d)を全ショット領域に繰り返すことによって、ウエハ全面のショット領域に対して、樹脂の塗布とパターンの転写が行われる。
このような従来技術において、n個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハの移動量を求める。1ショット領域に樹脂を塗布する際に移動するウエハの移動量はWである。樹脂の塗布後、モールドのパターン下に移動するウエハの移動量はD−W/2である。次のショット領域に樹脂を塗布するために移動させるウエハの移動量はD−W/2である。よってn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハの移動量は、下記の式1.3のように表される。
(W+(D−W/2)+(D−W/2))×n=2nD …(1.3)
ここで、従来技術と比較して本実施例のウエハの移動距離が短くなる条件を求める。式1.1と式1.3から次のような条件を求めることができる。
2D−W+nW<2nD
D>W/2 …(1.4)
式1.1の条件は、D+W/2>nWの場合であり、nは2以上の整数であるから、D>3W/2となり、この場合は必ず本発明におけるウエハの移動距離が短くなる。
一方で、式1.2と式1.3から次のような条件を求めることができる。
3nW−2W<2nD
D>(3/2−1/n)W …(1.5)
式1.2の条件は、D+W/2<nWの場合であり、この場合には本実施例におけるウエハの移動距離が短くなるには式1.5を満たすようにDとWを決定する必要がある。本実施例の場合、式1.4と式1.5の条件式を比較すると本実施例の効果を奏するための下限を決めるのは式1.5である。
(2)−X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合について、図8と図9を参照しながら説明する。ここでは図5で選択されたショット領域51と52の組と、ショット領域53と54の組に対する樹脂の塗布およびパターンの転写を説明する。図8および図9は、ショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写が−X方向に行われる場合におけるウエハの移動を示した図である。
図8の(a)〜(h)はそれぞれ図6の(a)〜(h)に相当する。図6と異なる点は、始めにショット領域53と54の組に対する樹脂の塗布を行い、−X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行うことである。
このような実施例において、n個のショット領域に対して連続して樹脂を塗布した後、連続してパターンの転写に要するウエハの移動量を求める。1ショット領域に樹脂を塗布する際に移動するウエハの移動量はWである。よってn個のショット領域の移動量はnWである。ウエハ上に設定されたn個のショット領域に対して樹脂の塗布が終了した時点で、以下の2つの場合に分けることができる。
(2−1)D+W/2>nWの場合(図8(g)、最初の転写の際に−X方向に移動する場合)を考える。樹脂の塗布後、モールドのパターン下にショット領域を移動するウエハの移動量はD+W/2−nWである。n個のショット領域に連続してパターンの転写するために移動するウエハの移動量は(n−1)Wである。次の組のショット領域に樹脂を塗布するために移動するウエハの移動量はD−W/2+2nWである。よって本実施例におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハの移動量は、下記の式2.1のように表される。
nW+(D+W/2−nW)+(n−1)W+(D−W/2+2nW)=2D−W+3nW …(2.1)
(2−2)D+W/2<nWの場合(図8(h)、最初の転写の際に+X方向に移動する場合)を考える。樹脂の塗布後、モールドのパターン下にショット領域を移動するウエハの移動量はnW−D−W/2である。n個のショット領域に連続してパターンの転写するために移動するウエハの移動量は(n−1)Wである。次の組のショット領域に樹脂を塗布するために移動するウエハの移動量はD−W/2+2nWである。よって本実施例におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハステージの移動量は、下記の式2.2のように表される。
nW+(nW−D−W/2)+(n−1)W+(D−W/2+2nW)=5nW−2W …(2.2)
ここで、本実施例のウエハの移動と比較するために、図9を参照しながら従来技術におけるウエハの移動を説明する。図9の(a)〜(g)はそれぞれ図7の(a)〜(g)に相当する。図7と異なる点は、始めにショット領域54に対する樹脂の塗布を行い、−X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行うことである。
このような従来技術において、n個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハの移動量を求める。1ショット領域に樹脂を塗布する際に移動するウエハの移動量はWである。樹脂の塗布後、モールドのパターン下に移動するウエハの移動量はD−W/2である。次のショット領域に樹脂を塗布するために移動させるウエハの移動量はD+3W/2である。よってn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハの移動量は、下記の式2.3のように表される。
(W+(D−W/2)+(D+3W/2))×n=2nD+2nW…(2.3)
ここで、従来技術と比較して本実施例のウエハの移動距離が短くなる条件を求める。式2.1と式2.3から次のような条件を求めることができる。
2D−W+3nW<2nD+2nW
D>W/2 …(2.4)
式2.1の条件は、D+W/2>nWの場合であり、nは2以上の整数であるから、D>3W/2となり、この場合は必ず本実施例におけるウエハの移動距離が短くなる。
一方で、式2.2と式2.3から次のような条件を求めることができる。
5nW−2W<2nD+2nW
D>(3/2−1/n)W …(2.5)
式2.2の条件は、D+W/2<nWの場合であり、この場合には本実施例におけるウエハの移動距離が短くなるには式2.5を満たすようにDとWを決定する必要がある。本実施例の場合、式2.4と式2.5の条件式を比較すると本発明の効果を奏するための下限を決めるのは式2.5である。
また、図6の(b)と(c)および図8の(b)と(c)では2個のショット領域に対して1ショット領域毎に樹脂を塗布したように説明をしたが、2個のショット領域に対して続けて樹脂を塗布するためにウエハを動かし続けても良い。ウエハステージを加速、減速する回数が減るために、2つのショット領域に対して樹脂の塗布を行う時間を短くすることができる。
以下、本発明の第2の実施例を説明する。2以上の隣接したショット領域に塗布された樹脂に対して、連続して紫外線等の光の照射を伴うパターンの転写を行う場合、光の散乱が隣接するショット領域に影響を与えることがある。散乱光の影響の1つとして考えられるものは、パターン転写前の樹脂の硬化である。使用される樹脂の感度、照射の条件、隣接するショット領域の間隔などの条件によっては、その影響を考慮しなければならない。このような問題点を考慮すると、選択手段において1組のショット領域として選択される各ショット領域の間に、予め設定された間隔を空けることが有用である。本実施例では予め設定された間隔を空けてパターンの転写を行う例を、sを用いて説明する。ここでsとはショット領域の選択の際にs個離れたショット領域を選択すると定義する。例えば、s=1は選択手段によって隣接するショット領域が選択されることを示し、s=2は選択手段によって1ショット分の間隔を空けながらショット領域が選択されることを示している。このようにショット領域の整数倍の間隔を空けるように、ショット領域をn個選択する場合について説明する。
図10を参照しながら、ステップS102においてn個のショット領域が選択される結果を説明する。図10はnを2とし、sを2とした場合の結果を示す図である。ウエハ12の表面には、ショット領域101、102、103、104、106および107を含む複数のショット領域が配置されている。105は、ステップS102において選択された1組のショット領域を表している。ショット領域101とショット領域103は組111、ショット領域102とショット領域104は組112としてそれぞれ別の組として選択されている。本実施例では、選択されたショット領域の間に、別の組に属するショット領域が挟まった状態になる。このように互いに重なり合う関係になる組はs=2の場合2組(組111と組112)存在する。言い換えると、s組のショット領域が互いに重なり合う関係として存在することになる。なお、ショット領域106あるいは107はそれぞれ条件を満たさない例外として、単独で樹脂の塗布およびパターンの転写が行われる。
以下、本実施例による効果が現れる条件をウエハ上に設定されたショット領域に対して(1)+X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合と、(2)−X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合に分けて説明する。
(1)+X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合について、図11を参照しながら、図10で組として選択された組111と、組112に対する樹脂の塗布およびパターンの転写を説明する。
図11(a)は、ショット領域101と103の組111に対する樹脂の塗布を行う直前の状態である。図11(b)はショット領域101に樹脂の塗布が終了した状態である。図11(c)はショット領域101への樹脂の塗布に続けてショット領域103に樹脂の塗布を行う直前の状態である。図11(d)はショット領域103に樹脂の塗布が終了した状態である。組111への樹脂の塗布が終了するとパターン16の転写を行う。図11(e)はショット領域101へのパターンの転写が終了した状態である。ショット領域101のパターンの転写に続けてショット領域103にパターンの転写を行う。図11(f)はショット領域103へのパターンの転写が終了した状態である。ショット領域101と103の組111へのパターンの転写が終了すると、ショット領域102と104の組112に樹脂の塗布を行うためにウエハを移動させる。図11(g)はショット領域102と104の組112に対する樹脂の塗布を行う直前の状態である。この状態から、再び図11(b)〜(f)を行うことによって、ショット領域102と104の組112に樹脂の塗布とパターンの転写の処理が施される。これを全ショット領域に繰り返すことによって、ウエハ全面のショット領域に対して、樹脂の塗布とパターンの転写が行われる。
このような本実施例において、ウエハの移動量を求める。対象はn個のショット領域に対して連続して樹脂を塗布した後、連続してパターンの転写を行い、それをs組の互いに重なり合うショット領域に対する処理に要するウエハの移動量とする。1ショット領域に樹脂を塗布する際に移動するウエハの移動量はWである。ショット領域の中心の距離はsWであるから、n個のショット領域の移動量は(n−1)sW+Wである。n個のショット領域に対して樹脂の塗布が終了した時点で、以下の2つの場合に分けることができる。
(1−1)D+W/2>(n−1)sW+Wの場合(最初の転写の際に−X方向に移動する場合)を考える。樹脂の塗布後、モールドのパターン下にショット領域を移動するウエハの移動量はD+W/2−(n−1)sW−Wである。n個のショット領域に連続してパターンの転写するために移動するウエハの移動量は(n−1)sWである。次の組のショット領域に樹脂を塗布するためのウエハの移動量は(n−1)sW+(D−W/2)である。ただし、s組終了した時点ではD−W/2となる。よって本実施例におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写をs組の処理に要するウエハの移動量は、下記の式3.1のように表される。
((n−1)sW+W+D+W/2−(n−1)sW−W+(n−1)sW)×s+((n−1)sW+(D−W/2))(s−1)+D−W/2=(n−1)(2s−1)sW+2sD …(3.1)
(1−2)D+W/2<(n−1)sW+Wの場合(最初の転写の際に+X方向に移動する場合)を考える。樹脂の塗布後、モールドのパターン下にショット領域を移動するウエハの移動量は(n−1)sW+W−D−W/2である。n個のショット領域に連続してパターンの転写するために移動するウエハの移動量は(n−1)sWである。次の組のショット領域に樹脂を塗布するためのウエハの移動量は(n−1)sW+(D−W/2)である。ただし、s組終了した時点ではD−W/2となる。よって本実施例におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写をs組の処理に要するウエハの移動量は、下記の式3.2のように表される。
((n−1)sW+W+(n−1)sW+W−D−W/2+(n−1)sW)×s+((n−1)sW+(D−W/2))(s−1)+D−W/2=(4ns−4s−n+2)sW …(3.2)
従来技術におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写をs組の処理に要するウエハの移動量を求める。n×s個のショット領域を1ショット毎に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合である。実施例1の図7を用いて求めた式1.3のnにnsを代入することで移動量とすることができる。
2nsD …(3.3)
ここで、従来技術と比較して本実施例のウエハの移動距離が短くなる条件を求める。式3.1と式3.3から次のような条件を求めることができる。
(n−1)(2s−1)sW+2sD<2nsD
D>(s−1/2)W …(3.4)
式3.4の条件は、D+W/2>(n−1)sW+Wの場合であり、この場合で本発明におけるウエハの移動距離が短くなるには式3.4を満たすようにDとWを決定する必要がある。
一方で、式3.2と式3.3から次のような条件を求めることができる。
(4ns−4s−n+2)sW<2nsD
D>(2s−2s/n−1/2+1/n)W …(3.5)
式3.5の条件は、D+W/2<(n−1)sW+Wの場合であり、この場合で本実施例におけるウエハの移動距離が短くなるには式3.5を満たすようにDとWを決定する必要がある。式3.4、式3.5は本発明の効果の奏する前提条件を示した式である。
nおよびsはショット領域の配置、ショット領域の幅W、樹脂の特性などによって決めることができる。したがって、式3.4または式3.5を満たすnとsを決めれば、本発明の効果を有する。あるいは、予め設定されたnとsに基づき式3.4または式3.5によって、本実施例の効果の有無を判別することもできる。
(2)−X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合について、図12を参照しながら説明する。ここでは図10で選択されたショット領域101と103の組111と、ショット領域102と104の組112に対する樹脂の塗布およびパターンの転写を説明する。
図12の(a)〜(g)はそれぞれ図11の(a)〜(g)に相当する。図11と異なる点は、始めにショット領域102と104の組に対する樹脂の塗布を行い、−X方向の順に樹脂の塗布とパターンの転写を行うことである。
このような本実施例において、ウエハの移動量を求める。対象はn個のショット領域に対して連続して樹脂を塗布した後、連続してパターンの転写を行い、それをs組の互いに重なり合うショット領域に対する処理に要するウエハの移動量とする。1ショット領域に樹脂を塗布する際に移動するウエハの移動量はWである。ショット領域の中心の距離はsWであるから、n個のショット領域の移動量はW+(n−1)(sW+2W)である。
樹脂の塗布後、モールドのパターン下にショット領域を移動するウエハの移動量はD+W/2+(n−1)sW−Wである。n個のショット領域に連続してパターンの転写するために移動するウエハの移動量は(n−1)sWである。n個のショット領域に対してパターンの転写が終了した時点で、以下の2つの場合に分けることができる。
(2−1)D+W/2>(n−1)sW−Wの場合(次の組のショット領域に樹脂の塗布の際に+X方向に移動する場合)を考える。パターンの転写後、次の組のショット領域に樹脂を塗布するためのウエハの移動量はD+W/2−(n−1)sW+Wである。ただし、s組終了した時点ではD+3W/2となる。よって本実施例におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写をs組の処理に要するウエハの移動量は、下記の式4.1のように表される。
(W+(n−1)(sW+2W)+D+W/2+(n−1)sW−W+(n−1)sW)×s+(D+W/2−(n−1)sW+W)(s−1)+(D+3W/2)=(n−1)(2s−1)sW+2sD+2sW(2n−1) …(4.1)
(2−2)D+W/2<(n−1)sW−Wの場合(次の組のショット領域に樹脂の塗布の際に−X方向に移動する場合)を考える。パターンの転写後、次の組のショット領域に樹脂を塗布するためのウエハの移動量は(n−1)sW−W−D−W/2である。ただし、s組終了した時点ではD+3W/2となる。よって本実施例におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写をs組の処理に要するウエハの移動量は、下記の式4.2のように表される。
(W+(n−1)(sW+2W)+D+W/2+(n−1)sW−W+(n−1)sW)×s+((n−1)sW−W−D−W/2)(s−1)+(D+3W/2)=(n−1)(4s+1)sW−sW+3W+2D …(4.2)
従来技術におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写をs組の処理に要するウエハの移動量を求める。n×s個のショット領域を1ショット毎に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合である。実施例2の図9を用いて求めた式2.3のnにnsを代入することで移動量とすることができる。
2nsD+2nsW …(4.3)
ここで、従来技術と比較して本実施例のウエハの移動距離が短くなる条件を求める。式4.1と式4.3から次のような条件を求めることができる。
(n−1)(2s−1)sW+2sD+2sW(2n−1)<2nsD+2nsW
D>(s+1/2)W …(4.4)
式4.4の条件は、D+W/2>(n−1)sW−Wの場合であり、この場合で本実施例におけるウエハの移動距離が短くなるには式4.4を満たすようにDとWを決定する必要がある。
一方で、式4.2と式4.3から次のような条件を求めることができる。
(n−1)(4s+1)sW−sW+3W+2D<2nsD+2nsW
D>(2s−1/2−((2s+1)(s−1))/(ns−1))W …(4.5)
式4.5の条件は、D+W/2<(n−1)sW−Wの場合であり、この場合で本実施例におけるウエハの移動距離が短くなるには式4.5を満たすようにDとWを決定する必要がある。式4.4、式4.5は本実施例の効果の奏する前提条件を示した式である。
nおよびsはショット領域の配置、ショット領域の幅W、樹脂の特性などによって決めることができる。したがって、式4.4または式4.5を満たすnとsを決めれば、本発明の効果を有する。あるいは、予め設定されたnとsに基づき式4.4または式4.5によって、本実施例の効果の有無を判別することもできる。
実施例1の(2)では樹脂の塗布とパターンの転写が−X方向に行われる場合のウエハの移動を示した。実施例1の(2)ではウエハを−X方向へ移動させながら樹脂を塗布する場合を示したが、本実施例ではウエハステージを+X方向へ移動させながら樹脂を塗布する場合について説明する。
図13の(a)〜(f)はそれぞれ図8の(a)〜(f)に相当する。図13は連続して樹脂を塗布するショット領域の組を図8と同様でショット領域53と54の組に対する樹脂の塗布を行う場合を示した。図8と異なる点は、樹脂の塗布の際にウエハを+X方向へ移動させるため、樹脂を塗布するショット領域の順番がショット領域54から樹脂の塗布を行うことである。また、+X方向へ移動させながら樹脂を塗布するため、ショット領域54は図3で説明した樹脂の塗布位置45とは異なる位置に移動させる。本実施例では、吐出口47に対して−X方向へ位置する場所が樹脂の塗布位置となる。
このような本実施例において、n個のショット領域に対して連続して樹脂を塗布した後、連続してパターンの転写に要するウエハの移動量を求める。1ショット領域に樹脂を塗布する際のウエハの移動量はWである。よってn個のショット領域の移動量はnWである。実施例1の(2)ではn個のショット領域に対して樹脂の塗布が終了した時点で場合分けを行ったが、本実施例ではその必要は無い。
樹脂の塗布後、モールドのパターン下にショット領域を移動するウエハの移動量はD+nW−W/2である。n個のショット領域に連続してパターンの転写するために移動するウエハの移動量は(n−1)Wである。次の組のショット領域に樹脂を塗布するためのウエハの移動量はD+W/2である。よって本実施例におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハの移動量は、下記の式5.1のように表される。
(nW+(D+nW−W/2)+(n−1)W+(D+W/2)=2D−W+3nW …(5.1)
次に、実施例1の(2)と同様に従来技術におけるウエハの移動を説明する。実施例1の(2)の説明で用いた図9と本実施例と異なるのは、ショット領域に対して樹脂を塗布する際にウエハを+X方向へ移動させることだけである。そこで、n個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハの移動量を求める。1ショット領域に樹脂を塗布するためのウエハの移動量はWである。樹脂の塗布後、モールドのパターン下に移動するウエハの移動量はD+W/2である。次のショット領域に樹脂を塗布するためのウエハの移動量はD+W/2である。よってn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写に要するウエハの移動量は、下記の式5.2のように表される。
(W+(D+W/2)+(D+W/2))×n=2nD+2nW… (5.2)
式5.1は実施例1の(2)の式2.1と等しく、式5.2は実施例1の(2)の式2.3と等しい。そのため、従来技術と比較して本実施例でウエハの移動距離が短くなる条件は、式2.1と式2.3から求めた条件である式2.4と等しい。
つまり、本実施例のように樹脂の塗布とパターンの転写が−X方向に行われ、かつ、樹脂の塗布の際にウエハを+X方向へ移動させる場合には、DとWが式2.4を満たせば、本発明におけるウエハの移動距離が短くなる。
実施例2の(2)では樹脂の塗布とパターンの転写が−X方向へ行われる場合のウエハの移動を示した。実施例2の(2)ではウエハを−X方向へ移動させながら樹脂を塗布する場合を示したが、本実施例ではウエハステージを+X方向へ移動させながら樹脂を塗布する場合について説明する。
図14の(a)〜(g)はそれぞれ図12の(a)〜(g)に相当する。図14は連続して樹脂を塗布するショット領域の組を図12と同様でショット領域102と104の組に対する樹脂の塗布を行う場合を示した。図8と異なる点は、樹脂の塗布の際にウエハを+X方向へ移動させるため、樹脂を塗布するショット領域の順番がショット領域54から樹脂の塗布を行うことである。また、+X方向へ移動させながら樹脂を塗布するため、ショット領域54は図3で説明した樹脂の塗布位置45とは異なる位置に移動させる。本実施例では、吐出口47に対して−X方向へ位置する場所が樹脂の塗布位置となる。
このような本実施例において、実施例2と同様にウエハの移動量を求める。1ショット領域に樹脂を塗布する際に移動するウエハの移動量はWである。ショット領域の中心の距離はsWであるから、n個のショット領域の移動量はW+(n−1)sWである。樹脂の塗布後、モールドのパターン下にショット領域を移動するウエハの移動量はD+W/2+(n−1)sWである。n個のショット領域に連続してパターンの転写するために移動するウエハの移動量は(n−1)sWである。n個のショット領域に対してパターンの転写が終了した時点で、以下の2つの場合に分けることができる。
(1)D+W/2>(n−1)sWの場合(次の組のショット領域に樹脂の塗布の際に+X方向に移動する場合)を考える。パターンの転写後、次の組のショット領域に樹脂を塗布するためのウエハの移動量はD+W/2−(n−1)sWである。ただし、s組終了した時点ではD+W/2となる。よって本実施例におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写をs組の処理に要するウエハの移動量は、下記の式6.1のように表される。
(W+(n−1)sW+D+W/2+(n−1)sW+(n−1)sW)×s+(D+W/2−(n−1)sW)(s−1)+(D+W/2)=(n−1)(2s+1)sW+2sD+2sW …(6.1)
(2)D+W/2<(n−1)sWの場合(図14(h)、次の組のショット領域に樹脂の塗布の際に−X方向に移動する場合)を考える。パターンの転写後、次の組のショット領域に樹脂を塗布するためのウエハの移動量は(n−1)sW−D−W/2である。ただし、s組終了した時点ではD+W/2となる。よって本実施例におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写をs組の処理に要するウエハの移動量は、下記の式6.2のように表される。
(W+(n−1)sW+D+W/2+(n−1)sW+(n−1)sW)×s+((n−1)sW−D−W/2)(s−1)+(D+W/2)=(n−1)(4s−1)sW+sW+W+2D …(6.2)
従来技術におけるn個のショット領域に対する樹脂の塗布とパターンの転写をs組の処理に要するウエハの移動量を求める。n×s個のショット領域を1ショット毎に樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合である。実施例3で求めた式5.2のnにnsを代入することで移動量とすることができる。
2nsD+2nsW …(6.3)
ここで、従来技術と比較して本実施例のウエハの移動距離が短くなる条件を求める。式6.1と式6.3から次のような条件を求めることができる。
(n−1)(2s+1)sW+2sD+2sW<2nsD+2nsW
D>(s−1/2)W …(6.4)
式6.4の条件は、D+W/2>(n−1)sWの場合であり、この場合で本実施例におけるウエハの移動距離が短くなるには式6.4を満たすようにDとWを決定する必要がある。
一方で、式6.2と式6.3から次のような条件を求めることができる。
(n−1)(4s−1)sW+sW+W+2D<2nsD+2nsW
D>(2s−3/2−((2s−1)(s−1))/(ns−1))W …(6.5)
式6.5の条件は、D+W/2<(n−1)sWの場合であり、この場合で本実施例におけるウエハの移動距離が短くなるには式6.5を満たすようにDとWを決定する必要がある。式6.4、式6.5は本実施例の効果の奏する前提条件を示した式である。
nおよびsはショット領域の配置、ショット領域の幅W、樹脂の特性などによって決めることができる。したがって、式6.4または式6.5を満たすnとsを決めれば、本実施例の効果を有する。あるいは、予め設定されたnとsに基づき式6.4または式6.5によって、本実施例の効果の有無を判別することもできる。
本発明のいずれの実施例も、インプリント装置IMPはショット領域の配列や選択手段によって選択された各組のショット領域について、不図示の表示装置に表示することが可能である。表示装置はインプリント装置IMPに備えても良いし、インプリント装置からの出力を外部の表示装置を用いて表示させることもできる。表示方法として、インプリント処理に伴い、樹脂が塗布されたショット領域やパターンの転写が行われたショット領域が識別できるように、対応するショット領域の表示を色や模様あるいは記号などを変えて表示させることができる。これにより、インプリントの処理が行われる前に、ウエハ上のショット領域の配置に加えて、選択手段によって選択されたショット領域の各組の構成を確認することができる。必要に応じて事前にショット領域の組を変更したり、インプリント処理を行わないショット領域を選択したりすることが可能になる。
図15は表示装置に表示される内容の一例である。表示装置はウエハ12上のショット領域50の配置を表示する。また、ショット領域を区別するショット領域毎の番号60と選択手段によって選択されたショット領域の各組の配置を示す組番号62を表示している例である。
本発明のいずれの実施例もウエハ12を保持するウエハステージ31を動かして樹脂の塗布とパターンの転写を行う場合を説明した。しかし、ウエハ12を固定させ塗布手段32とインプリントヘッド33を動かして樹脂の塗布とパターンの転写を行ってもよい。さらに、塗布手段32を移動する手段が構成されていなかったが、ショット領域を静止した状態で塗布機構が水平方向に移動しながら樹脂の塗布を行う装置構成であっても同様な効果が得られる。本実施例では塗布手段が1つの場合を説明したが、第2の塗布手段をインプリントヘッドに対して塗布手段32と概ね対称な位置に設け、2つの塗布手段を選択的に使用しても、同様な効果が得られる。
本発明のいずれの実施例も樹脂の塗布から転写までの時間のバラつきを最小限に抑える為に、複数のショット領域に対する連続した樹脂の塗布と転写は、同じ順番で行うことを前提条件としている。
本発明の各実施例の説明においては、光硬化法を例に説明を行ったが、他の実施形態としては、加熱された樹脂を冷却することにより硬化する特徴を持つ樹脂を用いてウエハ上にパターンを転写することができる。
物品としてのデバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)の製造方法は、前述したインプリント装置(押印装置)を用いて基板(ウエハ、ガラスプレート、フィルム状基板等)にパターンを転写(形成)するステップを含む。さらに、パターンを転写された前記基板をエッチングするステップを含みうる。なお、パターンドメディア(記録媒体)や光学素子などの他の物品を製造する場合には、エッチングステップの代わりに、パターンを転写された前記基板を加工する他の加工ステップを含みうる。
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内において様々な変形及び変更が可能である。
11 モールド
12 ウエハ(基板に対応)
13 樹脂
31 ウエハステージ
32 塗布手段、
33 インプリントヘッド(保持手段に対応)

Claims (9)

  1. モールドを保持する保持手段と基板に樹脂を塗布する塗布手段を備えたインプリント装置を用いて、前記モールドのパターンを前記基板に塗布された前記樹脂に転写する転写方法であって、
    前記保持手段と前記塗布手段が並んでいる方向と同じ方向に並んでいる前記基板上のn個のショット領域に、前記樹脂を塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程で前記n個(nは2以上の整数)のショット領域に前記樹脂を塗布した後、該n個のショット領域に、前記パターンを該ショット領域毎に転写する転写工程と、有し
    前記塗布手段と前記モールドの距離(D)と、前記保持手段と前記塗布手段が並んでいる方向の前記ショット領域の幅(W)は、下記式を満たし、
    前記塗布工程と前記転写工程を前記基板上で繰り返す、
    ことを特徴とする転写方法。
    D>(3/2−1/n)W
  2. 前記インプリント装置に前記基板上のショット領域を選択する選択手段を有し、前記選択手段は設定された間隔を空けるようにショット領域をn個選択することを特徴とする請求項1に記載の転写方法。
  3. 前記設定された間隔は、前記ショット領域の幅の整数倍であることを特徴とする請求項2に記載の転写方法。
  4. 前記塗布工程で前記n個のショット領域に前記樹脂を塗布した順に、前記転写工程で前記n個のショット領域に前記パターンを転写することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の転写方法。
  5. モールドを保持する保持手段と基板に樹脂を塗布する塗布手段を備えたインプリント装置を用いて、前記モールドのパターンを前記基板に塗布された前記樹脂に転写する転写方法であって、
    前記保持手段と前記塗布手段が並んでいる方向と同じ方向に並んでいる前記基板上のn個(nは2以上の整数)のショット領域に、前記樹脂を塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程で前記n個のショット領域に前記樹脂を塗布した後、該n個のショット領域に、前記パターンを該ショット領域毎に転写する転写工程と、有し
    前記塗布工程で前記基板を前記保持手段から前記塗布手段へ向かう方向へ移動させながら前記樹脂の塗布を行い、前記転写工程で前記基板上に並んでいるショット領域に対して、前記塗布手段から前記保持手段へ向かう方向の順に前記パターンの転写を行うとき、
    前記塗布手段と前記モールドの距離(D)と、前記保持手段と前記塗布手段が並んでいる方向の前記ショット領域の幅(W)は、下記式を満たし、
    前記塗布工程と前記転写工程を前記基板上で繰り返す、
    ことを特徴とする転写方法。
    D>W/2
  6. 基板上のショット領域に樹脂を塗布して、前記ショット領域の前記樹脂にモールドのパターンを転写するインプリント装置であって、
    前記樹脂を塗布する塗布手段と、
    前記モールドを保持する保持手段と、を備え、
    前記塗布手段と前記モールドの距離(D)と、前記塗布手段と前記保持手段が並んでいる方向の前記ショット領域の幅(W)と、が下記式を満たし、
    前記塗布手段と前記保持手段が並んでいる方向と同じ方向に並んでいる前記基板上のn個(nは2以上の整数)のショット領域に前記樹脂をショット領域毎に塗布した後、前記樹脂が塗布されたn個のショット領域に、前記パターンを該ショット領域毎に転写し、前記基板上のn個のショット領域に前記樹脂の塗布と、前記樹脂が塗布されたn個のショット領域に前記パターンの転写を前記基板上で繰り返すことを特徴とするインプリント装置。
    D>(3/2−1/n)W
  7. 基板上のショット領域に樹脂を塗布して、前記ショット領域の前記樹脂にモールドのパターンを転写するインプリント装置であって、
    前記樹脂を塗布する塗布手段と、
    前記モールドを保持する保持手段と、を備え、
    前記塗布手段と前記モールドの距離(D)と、前記保持手段と前記塗布手段が並んでいる方向の前記ショット領域の幅(W)は、下記式を満たし、
    前記塗布手段と前記保持手段が並んでいる方向と同じ方向に並んでいる前記基板上のn個(nは2以上の整数)のショット領域に前記基板を前記保持手段から前記塗布手段へ向かう方向へ移動させながら前記樹脂をショット領域毎に塗布した後、前記樹脂が塗布されたn個のショット領域に、前記塗布手段から前記保持手段へ向かう方向の順に前記パターンを該ショット領域毎に転写し、前記基板上のn個のショット領域に前記樹脂の塗布と、前記樹脂が塗布されたn個のショット領域に前記パターンの転写を前記基板上で繰り返すことを特徴とするインプリント装置。
    D>W/2
  8. 基板上に設けられたショット領域の配置を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載のインプリント装置。
  9. 請求項6〜8のいずれか一項に記載のインプリント装置を用いて樹脂のパターンを基板に形成する工程と、
    前記パターンが形成された基板を加工する工程と、
    を有することを特徴とする物品の製造方法。
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