JP2011056514A - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザー光線による透明導電膜の熱損傷やガラス基板の割れを抑制し、レーザー光線の焦点合わせが容易となる光電変換素子の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス基板11上に成膜された透明導電膜12を含む膜13にスクライブ30を形成するスクライブ工程を有する光電変換素子の製造方法において、スクライブ工程は直径が100μm以下の水ジェット16で誘導したレーザー光線15によって行われ、レーザー光線15を膜13側からガラス基板11側に向かって照射する。
【選択図】図1
【解決手段】ガラス基板11上に成膜された透明導電膜12を含む膜13にスクライブ30を形成するスクライブ工程を有する光電変換素子の製造方法において、スクライブ工程は直径が100μm以下の水ジェット16で誘導したレーザー光線15によって行われ、レーザー光線15を膜13側からガラス基板11側に向かって照射する。
【選択図】図1
Description
本発明は光電変換素子の製造方法に関し、さらに詳細には、レーザー光線によって基板上の透明導電膜を含む膜に溝を形成するスクライブ工程を有する光電変換素子の製造方法に関する。本発明は、太陽電池等の光電変換素子の製造に有用なものである。
太陽光発電に代表されるクリーンエネルギー市場は世界的規模で拡大し、特に太陽電池市場は年々拡大している。それに伴い、より発電効率の高い太陽電池が求められている。太陽電池は、光エネルギーを直接電力に変換できる電力機器であり、光電変換素子が用いられる。光電変換素子は、光エネルギーを半導体のPN接合部で吸収することで電子が発生する「光起電力効果」を利用した半導体素子であり、電圧を加えると光を放出する発光ダイオード(LED)とは逆の仕組みである。
光電変換素子は「太陽電池パネル」と呼ばれるように薄板状であり、薄い透明のガラス基板と、薄い層状の半導体素子とが一体化されたものである。一般的な太陽電池パネルの構造を簡単に説明すると、ガラス基板上に、透明電極層(透明導電膜)、P型半導体層、I型半導体層、N型半導体層、裏面電極層の順で積層されており、ガラス基板から入射した太陽光は、透明導電膜を通過して、I型半導体層で吸収され、電子が発生する。
光電変換素子は「太陽電池パネル」と呼ばれるように薄板状であり、薄い透明のガラス基板と、薄い層状の半導体素子とが一体化されたものである。一般的な太陽電池パネルの構造を簡単に説明すると、ガラス基板上に、透明電極層(透明導電膜)、P型半導体層、I型半導体層、N型半導体層、裏面電極層の順で積層されており、ガラス基板から入射した太陽光は、透明導電膜を通過して、I型半導体層で吸収され、電子が発生する。
光電変換素子の構造の一例を図5に示す。図5に示す光電変換素子10は、ガラス基板11の裏面上に、透明導電膜12、アモルファスシリコン層53、結晶質シリコン層54、裏面電極層55が順に積層されてなるものである。ここで、図5では光電変換素子10を天地逆に描いており、下側が光電変換素子10の表面、上側が光電変換素子10の裏面である。
透明導電膜12は、酸化亜鉛系の透明導電膜であって、光の反射を低減させ内部発電を増加させるための層であり、透明導電膜12の裏面側には、テクスチャ57が形成されている。テクスチャ57は、微細な凹凸であり、ピラミッド状を成す。
アモルファスシリコン層53は、「トップセル」と呼ばれ、波長の短い太陽光を吸収するための層であり、p層60(P型半導体)、i層61(活性層)、n層62(N型半導体)の順で積層される。
結晶質シリコン層54は、「ボトムセル」と呼ばれ、波長の長い太陽光を吸収するための層であり、p層65(P型半導体)、i層66(活性層)、n層67(N型半導体)の順で積層される。
裏面電極層55は、太陽光を反射させるための層であり、ZnO層70(酸化亜鉛層)、Ag層71(銀層)の順で積層される。
透明導電膜12は、酸化亜鉛系の透明導電膜であって、光の反射を低減させ内部発電を増加させるための層であり、透明導電膜12の裏面側には、テクスチャ57が形成されている。テクスチャ57は、微細な凹凸であり、ピラミッド状を成す。
アモルファスシリコン層53は、「トップセル」と呼ばれ、波長の短い太陽光を吸収するための層であり、p層60(P型半導体)、i層61(活性層)、n層62(N型半導体)の順で積層される。
結晶質シリコン層54は、「ボトムセル」と呼ばれ、波長の長い太陽光を吸収するための層であり、p層65(P型半導体)、i層66(活性層)、n層67(N型半導体)の順で積層される。
裏面電極層55は、太陽光を反射させるための層であり、ZnO層70(酸化亜鉛層)、Ag層71(銀層)の順で積層される。
ところで、光電変換素子の製造工程において、「スクライブ」と呼ばれる溝を透明導電膜に形成するスクライブ工程がある。簡単に説明すると、透明導電膜の除去したい箇所や電気的に絶縁したい箇所同士の間に、気体中に伝播させるレーザー光線(以下、ドライレーザーと称す)を照射する。すると、ドライレーザーは透明導電膜で吸収され、瞬時に熱エネルギーとなって、照射された箇所の透明導電膜を昇華させ、透明導電膜に溝が形成される。そして、ドライレーザーの照射点の連続が「スクライブ」となる。
ちなみに、ドライレーザーの出力エネルギーは、レーザー発振器等で調整する。また、ドライレーザーの焦点は、レーザー発振焦点レンズ(光学レンズ)とガラス基板面との距離(Z方向距離)の調整により合わせる。
特許文献1には、ドライレーザーを用いた太陽電池の透明導電膜の加工方法が開示されている。
また、特許文献2には、液体ジェット中に入射されるレーザー光線を用いてシリコンウェハを複数のチップに切断する加工方法が開示されている。
ちなみに、ドライレーザーの出力エネルギーは、レーザー発振器等で調整する。また、ドライレーザーの焦点は、レーザー発振焦点レンズ(光学レンズ)とガラス基板面との距離(Z方向距離)の調整により合わせる。
特許文献1には、ドライレーザーを用いた太陽電池の透明導電膜の加工方法が開示されている。
また、特許文献2には、液体ジェット中に入射されるレーザー光線を用いてシリコンウェハを複数のチップに切断する加工方法が開示されている。
特許文献1に開示された透明導電膜の加工方法では、ドライレーザーの出力調整が容易ではない。例えば、ドライレーザーの出力が低すぎると、透明導電膜の除去が不十分となる「膜残り」が生じ、スクライブの絶縁性を確保することが困難となる。また、ドライレーザーの出力が高すぎると、スクライブを形成する箇所の周囲にまで熱エネルギーが印加され、酸化亜鉛等からなる透明導電膜ではスクライブのエッジ部分等が熱融解する「熱損傷」が発生するおそれがある。特に酸化亜鉛系の透明導電膜を用いた場合は、酸化亜鉛は耐熱性が悪いため、レーザー光線印加による吸収発熱によりエッジ部分が加熱融解するため「熱損傷」が大きくなるという課題がある。また、「膜残り」が生じず、「熱損傷」も発生しない加工可能範囲をプロセスウィンドウと呼んでいるが、酸化亜鉛系の透明導電膜は他の材料(例えば酸化スズや酸化インジウムスズ系の透明導電膜)に比べ、「熱損傷」の発生が顕著であるため、そのプロセスウィンドウが狭くなる傾向がある。さらに、ドライレーザーの出力が過剰であると「熱損傷」に加え、ガラス基板に「割れ」が生じるおそれがある。
また、ドライレーザーのZ方向距離の焦点合わせも容易ではない。これは、レーザー発振焦点レンズ(光学レンズ)とガラス基板面との焦点深度(焦点が合う許容範囲)が浅いことに起因している。例えば、大型のガラス基板では、ガラス基板自体に反りがあると、ドライレーザーの焦点に「ずれ」や「ぼけ」が生じ、粗悪な形状のスクライブが形成されることや、スクライブのエッジ部分に残渣が多く生じること等、スクライブの加工状態は悪くなる。或いは、ガラス基板を載置する加工台表面の平坦度が悪い場合も、前記と同様であり、スクライブの加工精度を一定に保つことは困難である。このため、スクライブ工程後は、スクライブ残渣を除去するための洗浄工程が必須である。
なお、特許文献2には、光電変換素子の製造に関する記載はない。
また、ドライレーザーのZ方向距離の焦点合わせも容易ではない。これは、レーザー発振焦点レンズ(光学レンズ)とガラス基板面との焦点深度(焦点が合う許容範囲)が浅いことに起因している。例えば、大型のガラス基板では、ガラス基板自体に反りがあると、ドライレーザーの焦点に「ずれ」や「ぼけ」が生じ、粗悪な形状のスクライブが形成されることや、スクライブのエッジ部分に残渣が多く生じること等、スクライブの加工状態は悪くなる。或いは、ガラス基板を載置する加工台表面の平坦度が悪い場合も、前記と同様であり、スクライブの加工精度を一定に保つことは困難である。このため、スクライブ工程後は、スクライブ残渣を除去するための洗浄工程が必須である。
なお、特許文献2には、光電変換素子の製造に関する記載はない。
上記した現状に鑑み、本発明は、レーザー光線による透明導電膜の熱損傷やガラス基板の割れを抑制し、レーザー光線の焦点合わせが容易となる光電変換素子の製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、基板上に成膜された透明導電膜を含む膜に溝を形成するスクライブ工程を有する光電変換素子の製造方法において、前記スクライブ工程は直径が100μm以下の水ジェットで誘導したレーザー光線によって行い、前記レーザー光線を膜側から基板側に向かって照射することによって溝を形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
本発明の光電変換素子の製造方法は、基板上に成膜された透明導電膜を含む膜に溝を形成するスクライブ工程を有するものであり、スクライブ工程を直径が100μm以下の水ジェットで誘導したレーザー光線に行い、レーザー光線を膜側から基板側に向かって照射することによって溝を形成するものである。本発明の光電変換素子の製造方法は、レーザー光線による透明導電膜の熱損傷やガラス基板の割れを防止し、レーザー光線の焦点合わせが不要となるものである。
「水ジェットで誘導したレーザー光線」は、水による冷却効果が高く、透明導電膜の熱損傷やガラス基板の割れを防止できる。
また、前記レーザー光線は、「水ジェット」を用いることにより、光学的な焦点合わせが不要であり、加工精度が高い。このため、スクライブ残渣がほとんど発生せず、且つ水ジェットにより少量の前記残渣は洗い流すことが可能である。すなわち、従来、スクライブ工程後に行われていた前記残渣の洗浄工程は、不要となりうるものである。
「水ジェットで誘導したレーザー光線」は、水による冷却効果が高く、透明導電膜の熱損傷やガラス基板の割れを防止できる。
また、前記レーザー光線は、「水ジェット」を用いることにより、光学的な焦点合わせが不要であり、加工精度が高い。このため、スクライブ残渣がほとんど発生せず、且つ水ジェットにより少量の前記残渣は洗い流すことが可能である。すなわち、従来、スクライブ工程後に行われていた前記残渣の洗浄工程は、不要となりうるものである。
請求項2に記載の発明は、水ジェットの径は、30〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法である。
かかる構成により、より精密にスクライブ工程を行うことができる。
請求項3に記載の発明は、水ジェットに用いる水は、酸性又はアルカリ性であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子の製造方法である。
かかる構成により、スクライブ工程時に、水ジェットによる物理的洗浄と同時に酸又はアルカリによる化学的洗浄を行うことができる。
レーザー光線の出力エネルギーは、前記膜上の照射点で1〜40Wであることが好ましい(請求項4)。
レーザー光線の波長は、YAGレーザーの基本波である1064nm、第二高調波である532nm、又は第三高調波である355nmの波長であることが好ましい(請求項5)。
本発明の光電変換素子の製造方法は、酸化亜鉛系の透明導電膜の加工に好適である(請求項6)。
ここで「酸化亜鉛系の透明導電膜」とは、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜であり、必要に応じてドーパント等の他の物質を含むものをいう。
ここで「酸化亜鉛系の透明導電膜」とは、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜であり、必要に応じてドーパント等の他の物質を含むものをいう。
基板は、その少なくとも一方の面に凹凸を有していても構わない(請求項7)。すなわち、太陽光の反射防止を目的として、基板に凹凸加工を施す場合があるが、この時ガラス基板上に形成される透明導電膜は、アンカー効果(凹凸面に入り込んで密着強度が増す)によって基板の凹凸と強固に密着する。このため、ドライレーザーに比べ、プロセスウィンドウが広い「水ジェットで誘導したレーザー光線」にて加工することが好ましい。
本発明の光電変換素子の製造方法によれば、スクライブ工程におけるレーザー光線による透明導電膜の熱損傷やガラス基板の割れを防止できる。また、レーザー光線の焦点合わせが不要となるので、加工精度が高い。さらに、スクライブ工程後の残渣の洗浄工程が不要となり、簡便である。
以下では、本発明の光電変換素子の製造方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
まず、本発明の光電変換素子の製造方法に使用可能な水ジェット誘導式レーザー装置の構成について説明する。図1に示す水ジェット誘導式レーザー装置1は、レーザー発振器2と、焦点レンズ3と、混合チャンバー4を備えている。水ジェット誘導式レーザー装置1は、例えばSYNOVA社製LCS300を用いるのが好適である。
レーザー発振器2は、レーザー光線15の出力エネルギーを調整して照射するための装置であり、YAGレーザーで構成されることが好ましい。
焦点レンズ3は、レーザー光線15を絞ることにより、レーザー光線15の出力エネルギーを高めるものである。
混合チャンバー4は、混合チャンバー4内に充填された水7と、レーザー光線15とを混合し、水ジェット誘導式レーザー20(水ジェットで誘導したレーザー光線)を発生させるための装置であり、開口5と、噴射ノズル6を備える。
開口5は、レーザー光線15を混合チャンバー4内に導入するための孔である。
噴射ノズル6は、レーザー光線15の出力エネルギーを利用して、水7を水ジェット16へと変換して噴射するためのものである。
なお、図1中の拡大図に示すように、噴射ノズル6から噴射された水ジェット16内をレーザー光線15が乱反射することで、レーザー光線15は高出力エネルギーを保ったまま水ジェット16内に閉じ込められ、水ジェット誘導式レーザー20となる。
レーザー発振器2は、レーザー光線15の出力エネルギーを調整して照射するための装置であり、YAGレーザーで構成されることが好ましい。
焦点レンズ3は、レーザー光線15を絞ることにより、レーザー光線15の出力エネルギーを高めるものである。
混合チャンバー4は、混合チャンバー4内に充填された水7と、レーザー光線15とを混合し、水ジェット誘導式レーザー20(水ジェットで誘導したレーザー光線)を発生させるための装置であり、開口5と、噴射ノズル6を備える。
開口5は、レーザー光線15を混合チャンバー4内に導入するための孔である。
噴射ノズル6は、レーザー光線15の出力エネルギーを利用して、水7を水ジェット16へと変換して噴射するためのものである。
なお、図1中の拡大図に示すように、噴射ノズル6から噴射された水ジェット16内をレーザー光線15が乱反射することで、レーザー光線15は高出力エネルギーを保ったまま水ジェット16内に閉じ込められ、水ジェット誘導式レーザー20となる。
本実施形態では、水ジェット誘導式レーザー装置1を用い、ガラス基板11上の透明導電膜12に対してスクライブ工程を行う。なお、ガラス基板11は、その少なくとも一方の面に、太陽光の反射を防止するための凹凸を形成してもかまわない(図示は省略)。以下、図2(a)〜(c)を参照しながら、スクライブ工程について具体的に説明する。
まず、ガラス基板11の上に、化学気相蒸着法(CVD法)等により酸化亜鉛系の透明導電膜12を成膜する。これにより、図2(a)に示すように、ガラス基板11上に透明導電膜12が積層される。
まず、ガラス基板11の上に、化学気相蒸着法(CVD法)等により酸化亜鉛系の透明導電膜12を成膜する。これにより、図2(a)に示すように、ガラス基板11上に透明導電膜12が積層される。
次に、図2(b)に示すように、水ジェット誘導式レーザー装置1で発生させた直径100μm以下の水ジェット誘導式レーザー20を、透明導電膜12側からガラス基板11側に向かって、透明導電膜12の除去したい領域Pに照射する。そうすると、領域Pが熱で昇華されて除去される。このときの水ジェット16の直径は100μm以下であればよいが、好ましくは30〜50μm、より好ましくは、30〜45μm、さらに好ましくは35〜45μmである。また、レーザー光線15の出力エネルギーは透明導電膜の厚さによって適宜選択すればよいが、透明導電膜12上の照射点において、好ましくは1〜40W、より好ましくは5〜25W、さらに好ましくは5〜10Wである。また、レーザー光線15の波長についても透明導電膜の種類によって適宜選択すればよいが、YAGレーザーの基本波である1064nm(赤外線)、第二高調波である532nm(可視光線の内の緑色の光線)、又は第三高調波である355nm(紫外線)であることが好ましい。特に酸化亜鉛系の透明導電膜は、第三高調波、基本波、第二高調波の順に光吸収特性が良く、低出力での加工性が容易となるが、商用ベースでの生産を考えた場合、第三高調波のレーザー発振器は非常に高価なものであるため、経済性、加工の容易性を総合的に考慮すると、基本波での加工がより好ましい。
領域Pの除去が完了すると、水ジェット誘導式レーザー装置1を停止する。この結果、図2(c)に示すように、透明導電膜12にスクライブ30(溝)が形成される。このとき、本実施形態では水ジェット誘導式レーザーを用いているので、スクライブ残渣がほとんど発生せず、且つ水ジェットにより少量の残渣は洗い流すことができる。そのため、その後の洗浄工程は不要である。
その後、スクライブされた透明導電膜12(図2(c))の上に、P型半導体層、I型半導体層、N型半導体層、裏面電極層等を順に積層することにより、光電変換素子を製造することができる。例えば、透明導電膜12の上に、アモルファスシリコン層53、結晶質シリコン層54、裏面電極層55を順に積層することにより、図5に示す光電変換素子10を製造することができる。
なお、水7として、酸性又はアルカリ性のものを使用することができる。これにより、水ジェットによる物理的洗浄と同時に酸又はアルカリによる化学的洗浄を行うことができる。酸性液の例としては、硝酸、塩酸等が挙げられる。酸性液のphとしては、1.0〜4.0、好ましくは1.5〜2.0の硝酸水溶液が用いられる。
アルカリ性液の例としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ性液のphとしては、9.0〜11.0、好ましくは9.5〜10.5の水酸化ナトリウム水溶液が用いられる。
アルカリ性液の例としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ性液のphとしては、9.0〜11.0、好ましくは9.5〜10.5の水酸化ナトリウム水溶液が用いられる。
以上のように、本実施形態によれば、水ジェット誘導式レーザー20を用いるため、水7による冷却効果が高く、透明導電膜12の熱損傷やガラス基板11の割れを防止できる。また、水ジェット誘導式レーザー20は、水ジェット16を用いることにより、光学的な焦点合わせが不要であり、加工精度が高い。このため、スクライブ残渣がほとんど発生せず、且つ水ジェット16により少量のスクライブ残渣は洗い流すことが可能である。すなわち、従来、スクライブ工程後に行われていた前記残渣の洗浄工程は、不要となる。
本実施形態では、透明導電膜12として酸化亜鉛系のものを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の材料からなる透明導電膜を有する光電変換素子の製造にも適用することができる。酸化亜鉛以外の材料としては、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウムスズ(ITO)等が挙げられる。
以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例〕
ガラス基板11上に酸化亜鉛系の透明導電膜12を成膜した後、水ジェット誘導式レーザー20を透明導電膜12側からガラス基板15側に向かって照射し、スクライブ30を形成した。この時、水ジェット誘導式レーザー20を構成するレーザー光線15の出力エネルギーは透明導電膜12上の照射点で10.2W、水ジェット16の径は40μm、加工速度は1000mm/secとした。
ガラス基板11上に酸化亜鉛系の透明導電膜12を成膜した後、水ジェット誘導式レーザー20を透明導電膜12側からガラス基板15側に向かって照射し、スクライブ30を形成した。この時、水ジェット誘導式レーザー20を構成するレーザー光線15の出力エネルギーは透明導電膜12上の照射点で10.2W、水ジェット16の径は40μm、加工速度は1000mm/secとした。
〔比較例1〕
従来のドライレーザーを用いて透明導電膜12にスクライブ30を形成した。この時、ドライレーザーの出力エネルギーは透明導電膜12上の照射点で4.5W、加工速度は1000mm/secとした。なお、ドライレーザーの焦点深度(焦点が合う許容範囲)は±0.2mmである。
従来のドライレーザーを用いて透明導電膜12にスクライブ30を形成した。この時、ドライレーザーの出力エネルギーは透明導電膜12上の照射点で4.5W、加工速度は1000mm/secとした。なお、ドライレーザーの焦点深度(焦点が合う許容範囲)は±0.2mmである。
図3に、実施例で行った透明導電膜に対するスクライブ工程の結果を示す顕微鏡写真を示す。図4に、比較例1で行った透明導電膜に対するスクライブ工程の結果を示す顕微鏡写真を示す。倍率はいずれも200倍である。図3に示すように、実施例の透明導電膜では、スクライブ30は整った形状であり、スクライブ残渣は見受けられなかった。一方、図4に示すように、比較例1の透明導電膜ではスクライブ残渣35が残っており、さらにスクライブ30のエッジ部分等が熱融解する「熱損傷」が発生していた。
〔比較例2〕
ドライレーザーの出力エネルギーを透明導電膜12上の照射点で5.3Wに設定し透明導電膜12に照射したところ、ガラス基板11に「割れ」が生じた。
ドライレーザーの出力エネルギーを透明導電膜12上の照射点で5.3Wに設定し透明導電膜12に照射したところ、ガラス基板11に「割れ」が生じた。
7 水
10 光電変換素子
11 ガラス基板(基板)
12 透明導電膜
13 膜
15 レーザー光線
16 水ジェット
30 スクライブ(溝)
10 光電変換素子
11 ガラス基板(基板)
12 透明導電膜
13 膜
15 レーザー光線
16 水ジェット
30 スクライブ(溝)
Claims (7)
- 基板上に成膜された透明導電膜を含む膜に溝を形成するスクライブ工程を有する光電変換素子の製造方法において、
前記スクライブ工程は直径が100μm以下の水ジェットで誘導したレーザー光線によって行い、前記レーザー光線を膜側から基板側に向かって照射することによって溝を形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 水ジェットの径は、30〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- 水ジェットに用いる水は、酸性又はアルカリ性であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子の製造方法。
- レーザー光線の出力エネルギーは、前記膜上の照射点で1〜40Wであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- レーザー光線の波長は、YAGレーザーの基本波である1064nm、第二高調波である532nm、又は第三高調波である355nmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- 透明導電膜は、酸化亜鉛系のものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- 基板は、その少なくとも一方の面に凹凸を有するものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
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