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JP2011048349A - レンズ鏡筒および撮像装置 - Google Patents

レンズ鏡筒および撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のレンズ鏡筒においては、遮光部材の先端部で光線が透過しやすく、フレア等の光学的問題を発生するという課題を有していた。
【解決手段】レンズ鏡筒は、レンズと、当該レンズの近傍に設けられ、レンズに入射しようとする光線の一部を遮る遮光部材であって、熱可塑性エラストマー樹脂を主材料とする遮光部材とを備えている。
【選択図】図6

Description

本発明は、撮像装置のレンズ鏡筒に関する。より具体的には、本発明は、レンズの周辺を覆うように設けられ、レンズに入射しようとする不要な光線を遮る遮光部材を備えた、レンズ鏡筒に関する。
スティルカメラなどの光学機器は、レンズ鏡筒に入射した光線をレンズによって集束させ、フィルムや撮像素子などを用いてその像を撮影する。しかしながら、レンズ鏡筒内には、そのような撮影に必要な光線だけでなく、たとえばレンズ鏡筒内を反射してレンズに到達する光線のような、撮影には必要のない不要な光線も存在する。不要な光線がフィルムや撮像素子に到達すると、撮影された被写体像にゴーストあるいはフレアを生じさせる。よってそのような不要な光線がレンズに入射しないように遮る必要がある。
図7を参照しながら、従来のレンズ鏡筒を説明する。
図7は従来のレンズ鏡筒100の部分拡大図である。レンズ鏡筒100には、レンズ102が接着されて取り付けられている。レンズ鏡筒100の内部をレンズ102へ向かって進む光線には、撮影に必要とされる有効光線104と、不要光線105とが含まれている。遮光部材103は、レンズ102に入射しようとする不要光線105をカットするために、レンズ102の周辺を覆うように設けられている。
特許文献1には、レンズ鏡筒内の部品の一部に遮光板を設け、不要な光線をカットする技術が開示されている(たとえば図4および5)。
特開2009−116085号公報
図7に示す従来のレンズ鏡筒100において、遮光部材103は、一般に、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene resin)などの熱可塑性樹脂にカーボンブラックを添加した樹脂によって成形されていることが多い。遮光部材103の先端部103aは不要光線105の乱反射によるフレアを防止するために鋭角状に尖っている必要がある。
図8は従来の遮光部材103の先端の断面模式図である。遮光部材103は、ABS等の樹脂の主材料107に、カーボンブラック108が添加されて形成されている。
図8に示すように、遮光部材103の表面で不要光線105が反射し、レンズ102に入射している。場合によっては、レンズ102と遮光部材103との隙間に入り込んだ不要光線105がレンズ102表面で反射された後さらに遮光部材103表面で反射され、レンズ102に入射することもある。
また、遮光部材103の最先端103bに注目すると、製造上の理由から、最先端103bは完全に鋭角ではなく、実際には曲率半径R=0.01程度の球面になっている。そのため、最先端103bで反射された不要光線105は多くの場合、レンズ102に入射してしまう。
この結果、不要光線105によってフレアやゴーストといった光学的問題が発生していた。これは、遮光部材103を設けたにもかかわらず、このような光学的問題が依然として解決されていなかったことを意味する。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、従来よりも光線の反射が十分少なく、フレアやゴースト等の光学的問題を発生させにくいレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
本発明によるレンズ鏡筒は、レンズと、前記レンズの近傍に設けられ、前記レンズに入射しようとする光線の一部を遮る遮光部材であって、熱可塑性エラストマー樹脂を主材料とする遮光部材とを備えている。
前記遮光部材は射出成形によって作製されていてもよい。
前記熱可塑性エラストマー樹脂には、カーボンブラックが添加されていてもよい。
前記遮光部材の表面にはシボが形成されていてもよい。
前記遮光部材は、撮影対象の被写体からの光線を受けるための開口部を備え、前記レンズに入射しようとする、前記撮影対象の被写体からの光線の一部を遮ってもよい。
前記遮光部材は前記レンズに対し固定されていてもよい。
前記レンズと前記遮光部材との間には空隙が存在してもよい。
本発明による撮像装置は、上述のレンズ鏡筒を備えている。
本発明のレンズ鏡筒には、熱可塑性エラストマー樹脂で成形された遮光部材が設けられている。熱可塑性エラストマー樹脂は反射率が低いため、フレアやゴースト等の光学的問題の発生しにくいレンズ鏡筒を実現することができる。
レンズ鏡筒50を備えたデジタルカメラ40の外観図である。 デジタルカメラ40のレンズ鏡筒50を含む部分の断面図である。 沈胴した状態にあるときのレンズ鏡筒50の断面図である。 繰り出された状態にあるときのレンズ鏡筒50の断面図である。 レンズL3と遮光部材6との位置関係を示す部分拡大図である。 遮光部材6の先端部6aの断面模式図である。 従来のレンズ鏡筒100の部分拡大図である。 従来の遮光部材103の先端の断面模式図である。
図1は、レンズ鏡筒50を備えたデジタルカメラ40の外観図である。電源スイッチ60により電源が投入されると、デジタルカメラ100のレンズ鏡筒50が繰り出され、撮影が可能になる。
なお図1にはデジタルカメラ100が示されているが、これは撮像装置の一例である。デジタルカメラではなく、フィルムカメラであってもよいし、また、レンズ鏡筒50を取り外して交換することが可能なカメラであってもよい。さらに、スティルカメラではなく、動画を撮影可能なカムコーダであってもよい。
図2は、デジタルカメラ40のレンズ鏡筒50を含む部分の断面図を示している。図2は、図1のZ軸に沿ってみたときの断面図である。レンズ鏡筒50は、電源スイッチ60がオフのときは沈胴した状態にあり、オンのときは繰り出された状態になる。図2では、レンズ鏡筒50は、沈胴した状態にある。
図3は、沈胴した状態にあるときのレンズ鏡筒50の断面図である。また図4は、繰り出された状態にあるときのレンズ鏡筒50の断面図である。なお、図3および図4には、理解の便宜のため主要部品のみを記載したレンズ鏡筒50が示されている。実際にはより多くの部品が含まれ得る。
以下、図4を参照しながらレンズ鏡筒50の主要な構成要素を説明する。
外部からみると、レンズ鏡筒50はレンズ枠1、駆動枠2および外枠3を備えている。
レンズ枠1には、レンズL1およびL2が設けられる。駆動枠2は、レンズ枠1に対して相対的に移動する。レンズ枠1と駆動枠2との間には遮光リング4が設けられている。この遮光リング4を設ける目的は、レンズ枠1と駆動枠2との間から入射するすべての光線を遮ること、および、レンズ枠1と駆動枠2の間から入ってくる異物(たとえば埃)を防ぐことにある。そのため、遮光リング4はレンズ鏡筒50の内部に設けられるのではなく、レンズ枠1および駆動枠2の間であって、かつ、外縁に近い位置に設けられる。外枠3はデジタルカメラ40の筐体に取り付けられる。
レンズ鏡筒50の内部には、さらにレンズL3〜L7、および、撮像素子5が設けられている。ここで、レンズL3に着目する。
本実施形態においては、レンズL3の近傍には、遮光部材6が設けられている。遮光部材6は、レンズL3の周囲に沿って、その周辺部分を覆っている。遮光部材6が設けられることにより、フレアやゴーストを発生させる不要光線がレンズL3に入射することを防ぐことが可能となる。レンズ鏡筒50の比較的奥の位置に存在するレンズL3近傍に遮光部材6を設けた理由は、不要光線に起因するフレアの悪影響は、不要光線が撮像素子5に近い位置のレンズに入射するほど大きく現れるからである。
ここで、図5を参照しながら、遮光部材6をより詳細に説明する。
図5は、レンズL3と遮光部材6との位置関係を示す部分拡大図である。レンズL3は、レンズ鏡筒50のレンズ保持枠7に接着によって取り付けられている。そして遮光部材6は、レンズL3の周囲に沿って、レンズL3の半径方向内側に張り出すように設けられており、これにより、レンズL3の周辺部分からレンズL3に入射しようとする不要光線11を遮る。不要光線11とは、たとえばレンズ鏡筒50に入射した後にその内壁で反射した光線である。遮光部材6を設けることにより、レンズL3には撮影の対象である有効光線10のみが入射する。
遮光部材6の先端部6aは、不要光線の乱反射によるフレアを防止するために鋭角状に尖っている。本願発明者は、遮光部材6の素材によって、先端部6aを透過する不要光線を大幅に低減できることを見出した。以下、図6を参照しながら詳細を説明する。
図6は、遮光部材6の先端部6aの断面模式図である。
本実施形態による遮光部材6は、主材料である熱可塑性エラストマー樹脂20にカーボンブラック21が添加された樹脂材料を射出成形して作製されている。
熱可塑性エラストマー樹脂の反射率は、他の樹脂(例えばABS)の反射率に比べて低いという特性を有している。そのため、熱可塑性エラストマー樹脂で遮光部材6を作製するのみでも、従来の遮光部材103よりも不要光線の反射を低減させることができる。熱可塑性エラストマー樹脂で遮光部材6を作製すると、たとえば鋭角状の先端部6aが微視的には球面形状になっていた場合であっても、不要光線が反射してレンズL3に入射することを防ぐことができる。
熱可塑性エラストマー樹脂は、広い温度範囲でゴムのような弾性を示す。言い換えると、たとえばアクリル樹脂と比較すれば、熱可塑性エラストマー樹脂は比較的柔らかい材料である。一般には、レンズ鏡筒のような、レンズの位置を精密に決定すべき構造体の内部に、比較的柔らかく位置を精密に固定することが困難な素材が利用されることはなかった。しかしながら、本実施形態では熱可塑性エラストマー樹脂を遮光部材6の主材料として用いている。遮光部材6はレンズ等の位置決めに影響しないため、レンズの位置を精密に決定する際の障害にはならない。
また、遮光部材6の材料にはカーボンブラック21が添加されているため、不要光線は遮光部材6を透過しにくくなる。特に、鋭角状のために肉厚が薄い先端部6aを不要光線が透過することを防ぐことができる。よって、光線の透過が少なく、フレアやゴースト等の光学的問題の発生しにくいレンズ鏡筒を実現できる。
本実施形態による遮光部材6の表面には、不要光線の反射をさらに低減するため、微細な凹凸形状のシボ(roughness)6bが設けられている。このような遮光部材6は、表面にシボが設けられた金型(図示せず)を用いて熱可塑性エラストマー樹脂20を射出成形することにより、得ることができる。熱可塑性エラストマー樹脂は成形時の転写性が良いため、良好なシボ(微細な凹凸)を遮光部材6の表面に形成できる。
金型にシボを設ける方法は種々考えられる。たとえば、金型をブラスト加工すればよい。本実施形態によるシボ6bは、たとえば、平滑な金型の表面が十点平均粗さ2〜6μmとなるブラスト加工を金型に行うことにより、得ることができる。ブラスト加工に利用される砥粒は凹凸形状、球状、楕円状等の任意の形状でよく、たとえばアルミナを含む材料で形成される。
ここで、本実施形態における遮光部材6と遮光リング4(図3、図4)とを説明する。
上述のとおり、遮光部材6および遮光リング4はいずれも、不要光線を遮るという点において同じ機能を有している。しかしながら、各々が配置される位置、材料等に関して大きく相違している。
まず本実施形態による遮光部材6は、レンズL3の近傍に、レンズL3に対して固定されている。一方、遮光リング4は、レンズ枠1と駆動枠2との間に設けられており、レンズに対して固定的に設けられていない。レンズに対する遮光リング4の位置は、変化する。
また、遮光部材6は、撮影対象の被写体からの光線を受けるための開口部、および、レンズL1(図4)等を経てレンズ鏡筒50に入射した光線のうち、レンズ鏡筒50内部で反射するなどしてレンズL3に入射しようとする不要光線を遮る。そして遮光部材6はレンズ鏡筒50内部の比較的奥の位置に設けられる。また遮光部材6は埃等の異物の進入を防ぐことを目的としていないため、遮光部材6とレンズL3との間には空隙が存在している。すなわち遮光部材6はレンズL3を密封または接触していない。一方の遮光リング4は、レンズ枠1および駆動枠2の間であって、かつ、外縁に近い位置に設けられる。遮光リング4はレンズ枠1と駆動枠2との間から入射しようとするすべての不要光線を遮る。また遮光リング4は、レンズ枠1および駆動枠2の隙間を密閉することにより、埃等の異物の進入を防ぐ。
遮光部材6の主材料は、熱可塑性エラストマー樹脂である。また遮光部材6は、レンズに対して固定的に設けられるため、摺動する駆動枠2と接することはない。よって、摺動負荷や、異音の発生が問題になることはない。一方、遮光リング4は、レンズ枠1および駆動枠2の隙間を完全になくすため、駆動枠2に接することによってレンズ枠1に押し付けられ、若干変形して配置される。このため、遮光リング4の主材料は一般にゴム材料である。そして、遮光リング4とレンズ枠1とが摺動するため、遮光リング4の材料には、フッ素等の摺動性を良くするための添加剤が加えられることが多い。これにより、遮光リング4とレンズ枠1との摺動負荷を減らし、摺動時の異音の発生を防ぐことが可能になる。
本発明にかかる、遮光部材を備えたレンズ鏡筒によれば、レンズに入射する不要な光線を大幅に低減でき、フレアやゴースト等の光学的問題の発生を抑制できる。そのようなレンズ鏡筒を備えることにより、高品質な撮像結果を得ることが可能な撮像装置を得ることができる。
L1〜L7 レンズ
6 遮光部材
6a 先端部
10 有効光線
11 不要光線
20 主材料のポリマーアロイ樹脂
20a ABS
20b ポリカーボネート
21 カーボンブラック
40 デジタルカメラ
50 鏡筒

Claims (8)

  1. レンズと、
    前記レンズの近傍に設けられ、前記レンズに入射しようとする光線の一部を遮る遮光部材であって、熱可塑性エラストマー樹脂を主材料とする遮光部材と
    を備えたレンズ鏡筒。
  2. 前記遮光部材は射出成形によって作製されている、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  3. 前記熱可塑性エラストマー樹脂には、カーボンブラックが添加されている、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  4. 前記遮光部材の表面にはシボが形成されている、請求項1から3のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
  5. 前記遮光部材は、
    撮影対象の被写体からの光線を受けるための開口部を備え、
    前記レンズに入射しようとする、前記撮影対象の被写体からの光線の一部を遮る、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  6. 前記遮光部材は前記レンズに対し固定されている、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  7. 前記レンズと前記遮光部材との間には空隙が存在する、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  8. 請求項1に記載のレンズ鏡筒を備えた、撮像装置。
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