JP2010538863A - 高圧積層シートを備える複合材シート - Google Patents

Abstract

本発明は、複数の高圧積層シートの仕上層Ａ及びその間に配置されたコア層Ｂを備える複合材シートに関する。該コア層は空隙を含有する繊維強化熱可塑性プラスチックから形成されており、前記仕上層に接着接合されている。

Description

本発明は、２つのカバー層Ａ及びその間に配置されたコア層Ｂを備える、高圧積層シート（ＨＰＬシート）をベースにした複合材シートに関する。更に、本発明はこのような複合材シートを製造する方法及びその用途を備えている。

装飾用高圧積層シート、いわゆるＨＰＬシート（「高圧積層板」）は以前から知られており、ＤＩＮ規格ＥＮ４３８及びＩＳＯ規格４５８６に従って規格化されている。前記ＨＰＬシートは例えばレソパル（ＲＥＳＯＰＡＬ）積層ＨＰＬシートとして流通している。該レソパル（ＲＥＳＯＰＡＬ）積層ＨＰＬシートは、実質的には、熱硬化性樹脂、より具体的にはフェノール樹脂を含浸させ、メラミン樹脂に浸漬して置いた装飾紙から成る表面被覆を有する、繊維状セルロースのシートから構成される多層シートである。熱（１２０℃以上）及び高圧（５ＭＰａ以上）を同時に加えることにより、熱硬化樹脂の流動及びそれに続く硬化が可能になり、１．４ｇ／ｃｍ^３を超える原料密度を有し、また平滑面を有する均質及び無孔の材料が得られる。表面被覆には、特定の審美的影響を達成するため、印刷紙、金属フォイル、ベニヤ、布又はそれらの模造品を使用することができる。ＨＰＬ積層シートは例えば床板や家具部品、より具体的には台所の作業台に使用される。該ＨＰＬ積層シートは溶融せず、耐熱性、耐光性、耐水性を有し、また耐衝撃性及び耐摩耗性を有する。十分な安定性及び自立寸法安定特性を達成するため、前記ＨＰＬ積層シートは少なくとも５ｍｍの厚さを有するべきである。しかしながら、それにより重量は比較的重くなる。

特許文献１にはとりわけ、無水の強化用繊維及び有機繊維から成り、２つのカバー層の間に配置され、随意に空隙を含有し得るコア層を備えたサンドウィッチシートが説明されている。カバー層の例としては、グラスマット強化ポリプロピレン、金属又はプラスチックのフォイルが挙げられている。前記シートは防音材及び断熱材に使用することができる。

特許文献２及び対応する特許文献３には、熱可塑性プラスチック及び強化用繊維から成る、気孔を含有するコア層と、ＩＳＯ規格４５８９に準じた「限界酸素指数」ＬＯＩが少なくとも２２であり、とりわけ高い耐熱性を有する熱可塑性フォイル、金属フォイル、熱硬化被覆又は繊維構造から構成され得るカバー層とを有する複合材シートが説明されている。前記カバー層は、耐火性及び耐熱性、並びにコア層の既燃ガス濃度を向上させるものである。前記複合材シートは、主に航空機産業において使用されるが、建造物においても使用される。

特許文献４（訳注：特許文献５であろう）には、厚さ９ｍｍを有する独立気泡フォームポリスチレンのベースプレートと、これに接着接合された厚さ１．２ｍｍを有するＨＰＬカバー層とを有し、特に浴室シャワーを囲む壁材を被覆する複合材パネルが説明されている。これらの材料は、パネルが耐水性を有し、可能な限り軽量であるように選択され、一方、壁材の固定を考慮して改良された曲げ剛性を有する必要はない。コア層表面の気孔内の接着剤の機械的固定は独立気泡フォームでは不可能である。

国際公開第２００６／０７１４６３Ａ２号 国際公開第２００５／０９７８７９Ａ２号 米国特許第２００５／０２１５６９８Ａ１号 英国特許第２４２８９９２Ａ号 英国特許第２４２８９９３Ａ号

本発明の目的は、より軽量の、またより高い曲げ剛性を有する、ＨＰＬ積層シートをベースにした複合材シートを提供することにある。

上記目的は、本発明に従って、２つのカバー層Ａ及びその間に配置されたコア層Ｂを備えており、各カバー層ＡはＨＰＬシートから形成され、前記コア層Ｂ及び前記カバー層Ａが接着剤を用いて互いに接着されている、高圧積層シート（ＨＰＬシート）をベースにした複合材シートを用いることで達成される。前記コア層Ｂは含量３５〜８０重量％の強化用繊維及び含量２０〜８５体積％の空隙を有する繊維強化熱可塑性プラスチックから成り、前記接着剤は前記コア層の表面に存在する気孔内に機械的に固定される。

前記カバー層Ａは、基本的には既知の、以上に詳述された高圧積層シート（ＨＰＬシート）である。該ＨＰＬシートは、より具体的には、互いにスタックされ、また樹脂を含浸させた複数のセルロース繊維組織シートから成り、少なくとも１．４ｇ／ｃｍ^３の密度を有する。ＨＰＬシートは、好ましくは厚さ０．５〜２．０ｍｍ、特に好ましくは、厚さ０．８〜１．２ｍｍを有する。

前記コア層Ｂは、含量３５〜８０重量％、好ましくは含量４０〜７０重量％の強化用繊維を有する繊維強化熱可塑性プラスチックから成る。該強化用繊維は、好ましくは無方向性でありニードリングを施されている。コア層は、具体的には２０〜８５体積％、好ましくは２５〜７５体積％の空隙を含有することが必要不可欠である。完成複合材料におけるコア層は、好ましくは厚さ１〜１０ｍｍ、特に好ましくは厚さ２〜８ｍｍを有する。コア層として使用される半製品シートは、例えば熱可塑性繊維及び強化用繊維にドライブレンドを施し、このようにして得られる混合ノンウーブンにニードリングを施し、熱可塑性プラスチックの軟化点より高い温度に加熱し、圧縮することにより製造できる。

有用な熱可塑性プラスチックは、全ての紡績可能な熱可塑性プラスチック、例えばポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、線状ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアセタール、並びに対応するコポリマー及び熱可塑性配合物、またポリアリレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド及びポリエーテルケトン等の高温耐熱ポリマーを備えている。特に好適であるのは、ＤＩＮ規格５３７３５に準じたメルトフローインデックス（ＭＦＩ）が２０ｇ／１０分より高い、好ましくは２５ｇ／１０分から１５０ｇ／１０分の間であるポリプロピレンである。一般的に熱可塑性繊維は平均長（重量平均）２０〜１２０ｍｍを有する。

好適な強化用繊維はガラス繊維であるが、カーボン繊維（いわゆる「炭素繊維」）、玄武岩繊維及びアラミド繊維、更に天然繊維、例えば亜麻、黄麻、大麻、ケナフ麻、サイザル麻及び木綿の繊維も使用することができる。特に興味深いのは、ガラス繊維と比較して繊維強化成型品の再熱処理時に溶融しないという利点と、スラグを生成しないという利点とを有する玄武岩繊維である。高価な玄武岩繊維は例えば１０：９０から最高５０：５０までの重量比で天然繊維と混合すると都合がよい。一般的に強化用繊維も平均長（重量平均）２０〜１２０ｍｍを有する。熱可塑性繊維との混合性を高めるため、前記強化用繊維は個々の非結合の繊維として入手される必要がある。すなわち、前記強化用繊維はポリマ
ー結合剤と結合していないものとする。

好ましくは、ダブルバンド又はカレンダー導入時に連続的に、より具体的には各々が少なくとも３秒に対して１バールより小さい圧力で前記混合ノンウーブンを圧縮する加熱圧縮型及び冷却圧縮型を通して連続的に、プレスが生じる。圧縮中の圧力を変化させることにより、空隙含量、またそれに応じてコア層の密度も具体的に０．１〜０．６ｇ／ｃｍ^３の範囲内で調整することができる。このような処理は、例えば欧州特許第５９３７１６号、国際公開第０２／０６２５６３号、国際公開第２００５／０３７８９７号及び国際公開第２００６／０５６８２号に説明されている。

別の処理において、強化用繊維及び熱可塑性粒子を紙製造処理に従って混合し、水のプレスオフを実施し、マットを乾燥させた後に半製品にホットプレスを施す。このような処理は、例えば米国特許第４，９７８，４８９Ａ号に説明されている。

複合材シートの各層は好ましくは、無水の、又は少なくとも水分含量の少ない接着剤を用いて、より具体的には発泡型一液型ポリウレタン接着剤を用いて、若しくはポリウレタン、修飾ポリオレフィン、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル（ＥＶＡ）又はエチレン酢酸アクリル（ＥＥＡ）等のプラスチックベースのホットメルト接着剤を用いて、若しくは好ましくは発泡型のフィルム状接着剤を用いて互いに接着されている。適切なフェノール樹脂及びメラミン樹脂接着剤も有用である。好適な接着剤としてユリアホルムアルデヒド接着剤が使用される。液化又は液体接着剤がコア層の表面に存在する気孔内に浸透することにより、良好な機械的固定が形成される。特に好適な発泡型ポリウレタン接着剤は、繊維強化コア層の凹凸が複合材シートの表面におけるカバー層を通して現れることのないよう該凹凸を補正することができる。また、適切な発泡型接着剤を対応する正確なプレス処理に使用することにより、複合材シートの所望の厚さ公差への適合性が得られる。

カバー層及びコア層は、非連続的に、又は連続的に、より具体的には０℃から１４０℃の間の温度及び０．１バールから２０バールの間の圧力において接着剤を用いて互いにプレスされる。このようにして得られる複合材シートの寸法は適用目的に応じて広範囲にわたって変化し得る。その厚さは、一般的には１．５ｍｍから１２ｍｍの間にある。複数のコア層を接着することにより、１００ｍｍを超える厚さを有する複合材シートを製造することができる。

コア層の厚さを変化させることにより、複合材シートの材料特性、例えば曲げ剛性、曲げ弾性率、剪断強さ及び圧縮強さを一定の厚さにおいて調整することができる。
本発明の複合材シートの興味深い用途は積層床材である。従来の積層床板では、コアはプレスを施した木質繊維（「高密度ファイバーボード」、ＨＤＦ）から構成され、カバー層はＨＰＬシートから構成される。このような場合、床板は好ましくは、接着剤を用いることなく前側及び縦方向側で互いに接合される。使用中、例えば掃除時又は大気の影響により、湿気が隙間内に浸透し、しばらくして床材の周辺部の膨潤を引き起こす恐れがある。このような膨潤は、床材の光学的性質及び取扱適性に不利な影響を与える。この問題は、本発明の複合材シートでは発生しない。コア層は感湿性を有さないため、膨潤は発生せず、床材の耐久性は著しく伸びる。従って、本発明の複合材シートは湿気に暴露された状態における高い寸法安定性を有する。また、より軽いコア層により達成される軽量化は、例えば運搬及び取り扱いに際して重要な役割を果たす。

コア層Ｂは、更なる複合材シートのコア層に結合するために周辺固定手段を備えていると都合が良い。このようなシステムは一般的に既知であり、例えば接着剤を用いることなく床板を結合させるのに使用される。該システムは、例えば相互結合要素（圧延突起＋対応する窪み）又は溝／接着に適したスプリング又はフリースプリングシステムを備えてい
る。

更なる適用分野は、卓球台、屋外用家具部品及び内張り材、例えばバルコニーの欄干である。
ＨＰＬ積層シートのカバー層により様々な表面設計と、本発明に係る複合材シートの構築とが可能になるため、数多くの装飾的な表面設計が実現される。

Claims (8)

1. ２つのカバー層Ａ及びその間に配置されたコア層Ｂを備え、各カバー層ＡはＨＰＬシートから形成され、前記コア層Ｂ及び前記カバー層Ａは接着剤を用いて互いに接着されている、高圧積層シート（ＨＰＬシート）をベースにした複合材シートにおいて、前記コア層Ｂは含量３５〜８０重量％の強化用繊維及び含量２０〜８５体積％の空隙を有する繊維強化熱可塑性プラスチックから成り、前記接着剤は前記コア層の表面に存在する気孔内に機械的に固定されることを特徴とする複合材シート。
2. 前記ＨＰＬシートは、互いにスタックされるとともに樹脂を含浸させた複数のセルロース繊維組織シートから成り、少なくとも１．４ｇ／ｃｍ^３の密度を有することを特徴とする請求項１に記載の複合材シート。
3. 前記熱硬化性プラスチックはポリプロピレンであり、前記強化用繊維はガラス繊維であることを特徴とする請求項１又は２に記載の複合材シート。
4. 前記カバー層は厚さ０．５〜２．０ｍｍを有し、前記コア層は厚さ１〜１０ｍｍを有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の複合材シート。
5. 前記接着剤は発泡型一液型ポリウレタン接着剤、プラスチックベースのホットメルト接着剤、フェノール樹脂又はメラミン樹脂接着剤、若しくはユリアホルムアルデヒド接着剤であることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の複合材シート。
6. 前記コア層Ｂは更なる複合材シートのコア層に結合するための周辺固定手段を備えていることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項に記載の複合材シート。
7. 前記カバー層及び前記コア層は接着剤を用いて０℃から１４０℃の間の温度及び０．１バールから２０バールの間の圧力で非連続的にプレスされることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１項に記載の複合材シートを製造する方法。
8. 請求項１〜７のいずれか１項に記載の複合材シートの、積層床材の製造への使用。