JP2010236555A - 改良されたポンプのインペラ - Google Patents

Abstract

【課題】本願発明は、インペラの補助翼の先端に形成された渦流が、フロー中の粒子をインペラとサイドライナの間に取り込むことにより、これらの表面に局部的に生じる深い窪みのような摩耗を低減することを目的とする。
【解決手段】本願発明に係るインペラは、対向する面、外縁端部、および回転軸を有する前方シュラウドと、前方シュラウドの一方の面上にあって、回転軸から離れる方向に延び、外周端を有する複数のポンプ羽根と、後方シュラウドであって、前方シュラウドと後方シュラウドの間にポンプ羽根を有する後方シュラウドと、前方シュラウドの他方の面上にある複数の補助羽根（２６）とを備え、各補助羽根が外側端を有し、回転軸から前方シュラウドの外縁端部までの寸法（Ｄａ）が、回転軸から補助羽根の外側端までの寸法（Ｄｂ）よりも大きく、かつ、回転軸からポンプ羽根の外周端までの寸法（Ｄｃ）より大きいことを特徴とする。
【選択図】図５

Description

本発明はインペラに関し、とりわけ遠心力ポンプで用いられるのに適したインペラに関する。

一般に、選鉱および浚渫業において、粒状固形物を含む液状混合物を処理するために遠心力ポンプが用いられる。これらのポンプは、フロー中の粒子による過酷なスラリ摩耗を受けやすく、こうした作業に対する相当な経済的な得失をもたらす。この問題を改善しようと、製造業者およびユーザが相当な努力を費やしている。

こうした遠心力ポンプは、内部にポンプチャンバを含むポンプハウジングと、回転軸の周りに回転するポンプチャンバ内に配置されたインペラとを有する。インペラは、その一方の面で駆動シャフトに作動可能に連結され、他方の面には吸入口が設けられている。インペラは、駆動シャフトが連結されたハブと、少なくとも１つのシュラウドとを有する。シュラウドの一方の面の上には複数のポンプ羽根が設けられる。ポンプ羽根は、しばしば２つのシュラウドの間に設けられる。一般に、吸入口に隣接する方のシュラウドを前方シュラウドといい、他方のシュラウドを後方シュラウドという。

特にスラリを搬送するために用いられる遠心力ポンプは、一般に、シュラウドおよびサイドライナの間の空間内にある流体を回転させやすくするために、ポンプのインペラの前方シュラウドおよび後方シュラウド上に設けられたいわゆる吐出羽根（expelling vane）、すなわち補助羽根を利用する。補助羽根の形状は、個々の設計者の意図により異なり得る。

インペラとサイドライナの間の空間にある流体を回転させることにより、遠心力による流れが生じ（渦巻効果）、インペラの吸入口側の静圧が減少するため、補助羽根の間にある流体がインペラの周縁部に向かって流れる。インペラの吐出口と吸入口の間の全体的な推進圧力差により、流体はサイドライナの面に沿って流れ落ちる。遠心力が粒子を補助羽根の間隙内に引き込む力より大きい場合には、流体内の粒子は同様に間隙から押し出される。

インペラの前方シュラウド上の補助羽根の主な目的は、推進圧力を抑制して、フローを渦巻き部からインペラの中心へ引き戻す（再循環フロー）ことにある。再循環するフローの速度を低減することにより、インペラおよびこれに係合する吸入口側のサイドライナの摩耗を実質的に低減する。

本願明細書および特許請求の範囲において、文中で特に指定しない限り、次の用語「備える（comprise）」、およびその変形した用語「備えた（comprises）」または「備えている（comprising）」は、明示した整数、ステップ、または整数またはステップのグループを含み、任意の他の整数、ステップ、または整数またはステップのグループを排除しないことを意味すると理解すべきである。

本願明細書中の任意の従来技術への言及は、従来技術がオーストラリアでの一般常識であると示唆または容認するものであると解釈すべきではない。

数多くの異なる形状を有する補助羽根が、これまでに既存のインペラについて開発され、使用されている。

特許文献１に記載された１つの具体例において、数多くの放射状の補助羽根が利用されており、特許文献１の内容はここに一体のものとして統合される。これらの補助羽根は前方シュラウドまたは後方シュラウドの面の上に配置され、環状の突起部が補助羽根の周縁部に配置され、隣接する補助羽根の間の環状の突起部を通って延びるチャネルが形成されている。

米国特許第４６６４５９２号明細書

外周部に環状の突起部を有するか否かにかかわらず、補助羽根に関する問題は、（羽根端渦流に類似の）先端渦流が補助羽根に形成され、この先端渦流に粒子が取り込まれると、インペラの周縁部、およびこれに隣接するサイドライナにおいて、局部的に深い窪みを形成するように摩耗し得ることである。

部品が摩耗するほど、突出する羽根の先に形成される渦流はより大きくなり、かつ強くなり、隣接したサイドライナの摩耗速度がますます増大する。

ウォーターポンプの補助羽根は、シュラウドおよび主羽根の直径（これらは通常同じ）よりも小さな直径を有するものとして知られている。その理由は、摩耗を低減するためではなく、インペラに作用する軸方向の推圧圧力を低減するためである。補助羽根の直径は軸方向の推圧圧力の均衡を維持するような寸法を有する。

本発明の１つの形態によれば、遠心力ポンプで用いられるのに適したインペラが提供され、上記インペラが、遠心力ポンプで用いられるのに適したインペラであって、対向する面、外縁端部、および回転軸を有するシュラウドと、シュラウドの一方の面上にあって、回転軸から離れる方向に延び、外周端を有する複数のポンプ羽根と、シュラウドの他方の面上にある複数の補助羽根とを備え、各補助羽根が外側端を有し、回転軸からシュラウドの外縁端部までの寸法Ｄａが、回転軸から補助羽根の外側端までの寸法Ｄｂよりも大きいことを特徴とする。

１つの好ましい形態では、インペラは、２つのシュラウド（前方シュラウドおよび後方シュラウド）を有し、これらの間にはポンプ羽根が設けられ、一方または両方のシュラウド上には補助羽根が設けられる。１つの実施の形態では、前方シュラウドが補助羽根および主ポンプ羽根の直径より長い。別の実施の形態では、後方シュラウドが補助羽根および主ポンプ羽根の直径より長い。さらに別の態様では、前方シュラウドおよび後方シュラウドの両方が、補助羽根および主ポンプ羽根の直径より長い。好ましくは、ポンプ羽根および補助羽根の直径は、例えば互いに対して約５％の範囲内でほぼ同じである。

好ましくは、ポンプ羽根および補助羽根は、十分に圧力を低減し、再循環流を抑制するために同等の直径を有するが、インペラのシュラウドはポンプ羽根および補助羽根の両方より長く延びるものである。

長く延びたシュラウドを有するインペラの利点は、各補助羽根からの先端渦流が、長く延びたシュラウドの面に沿って流れ落ち、シュラウドおよびこれに隣接したサイドライナの間の間隙内または空間内に閉じ込められることである。この構成により、インペラおよびライナに対する摩耗が実質的に低減される。有効な効果は、本発明により先端渦流が完全に形成されることが阻止されること起因するものと考えられる。

さらに、本発明の１つの実施の形態によれば、直径Ｄａのシュラウドを有するインペラが設けられ、直径Ｄｂを有する前方シュラウドの面の上にある主として半径方向に延びる複数の補助羽根が設けられ、羽根の半径方向の最も外側にある外側端がシュラウドの後方に対し角度Ｚで傾斜している。ＤｂがＤａの０．９５倍より小さいとき、好適にはＤｂがＤａの０．６５〜０．９５倍の範囲にあるとき、より好適にはＤｂがＤａの０．９倍以下であるとき、シュラウド、サイドライナ、および補助羽根の摩耗が抑制されることが確認されている。これは、補助羽根の先端およびシュラウドの外縁端部の間に、渦流を閉じ込めるための空間が十分であるためと考えられる。直径Ｄｂは、主ポンプ羽根の直径とほぼ等しいことが好ましい。この関係により、主ポンプ羽根により生成される圧力に比較して、補助羽根による圧力低減機能が実質的に損なわれないようにすることができる。

米国特許第4,664,592号の図１に示す従来技術によるインペラの斜視図である。 従来技術に係る遠心力ポンプのインペラおよびエクスペラすなわち補助羽根の部分断面図である。 補助羽根とケーシング・ライナの間のスラリの流路を示す、図２の円形部分の拡大図である。 典型的な吐出羽根の摩耗形態を示す一連の写真である。 本発明に係る実施形態によるインペラの図２と同様の部分断面図である。 従来技術に係るインペラの補助羽根の摩耗状態を示す写真である。 本発明の実施形態に係るインペラの補助羽根の摩耗状態を示す写真である。 本発明に係る別の実施形態によるインペラの軸方向端面図である。 本発明に係るさらに別の実施形態によるインペラの軸方向端面図である。

本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら具体例をもって以下説明する。

図１に示す従来技術によるインペラは、米国特許第4,664,592号において十分に記載されており、その明細書を参照すれば理解される。

図２に示すように、インペラ２０はケーシング・ライナ２１の中に収納されている。インペラがケーシング・ライナ２１内で回転するとき、スラリは、各ポンピングチャンバ２４の吸入口２２から吐出口２３へインペラ２０を介して搬送される。スラリは吐出口２３から吸入口２２へ自然に再循環し、これにより吸入口側のサイドライナ２５が摩耗する。放出羽根すなわち補助羽根２６は、再循環するスラリ２７を粒子２８で示すようにインペラの吐出口へ戻すよう機能する。インペラ２０とサイドライナ２５の間に形成されたスラリの流路が図３でより詳細に図示されている。

図４の写真で明らかな補助羽根の摩耗状態は、産業が直面する問題を示すものであり、本発明の実施の形態の態様により改善すべきものである。

図５は、図２および図３で示す構成部品に対して同様の参照番号を含む。本発明のこの実施の形態では、補助羽根はまっすぐであり、Ｄａをシュラウドの直径とすると、補助羽根２６上の図示されたポイントまでの直径Ｄｂは０．８５Ｄａであり、角度Ｚは４５°である。直径Ｄｂは、図５のＤｃで示す主ポンプ羽根の直径とほぼ等しい。

本発明のこの実施の形態について試験を行い、図４に示す従来技術に係る具体例のものと結果を比較すると、ほぼ同じ動作時間において、羽根の先端部であってサイドライナに隣接する側面における摩耗が相当に軽減されていることが分かる。

図６の写真から分かるように、これらの従来技術に係るインペラの補助羽根上の摩耗は甚大である。

これに対して、図７のインペラの補助羽根は、同様な期間、同様な環境下で作動させたが、図６に示す補助羽根よりもかなりよい状態である。

図８に示す態様のインペラ３０は、図５および図７に示す態様のように直線的なものではなく、湾曲した前縁端部および後縁端部を有する補助羽根３１で形成されている。対応する従来技術の構成は図６に図示されている。また、本発明の態様は、同様な作動時間で従来技術の同等物と比較すると、羽根の先端における摩耗がかなり抑制されていることを示す。

図９に示す実施形態は、インペラ４０の補助羽根４１に関するさらに別の変形例による形態を示す。

最後に、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変形例、修正例、および／または追加例をさまざまな部品の構造および構成に組み込むことができる点を理解されたい。

２０：インペラ、２２：吸入口、２３：吐出口、２４：ポンピングチャンバ、２５：サイドライナ、２６：補助羽根、２７：再循環スラリ、２８：粒子、３０：インペラ、３１：補助羽根、４０：インペラ、４１：補助羽根。

Claims (1)

1. 粒状固形物を含む液状混合物を処理する遠心力ポンプで用いられるのに適したインペラ（２０）であって、
   対向する面、外縁端部、および回転軸を有する前方シュラウドと、
   前方シュラウドの一方の面上にあって、回転軸から離れる方向に延び、外周端を有する複数のポンプ羽根と、
   後方シュラウドであって、前方シュラウドと後方シュラウドの間にポンプ羽根を有する後方シュラウドと、
   前方シュラウドの他方の面上にある複数の補助羽根（２６）とを備え、
   各補助羽根が外側端を有し、
   回転軸から前方シュラウドの外縁端部までの寸法（Ｄａ）が、回転軸から補助羽根の外側端までの寸法（Ｄｂ）よりも大きく、かつ、回転軸からポンプ羽根の外周端までの寸法（Ｄｃ）より大きいことを特徴とするインペラ。