JP2010236062A - 機械構造用部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】転動疲労寿命が例えばLl0で1×107回を超えるような、優れた耐疲労特性を有する機械構造用部品を、球状化焼鈍を行うことなしに提供する。
【解決手段】C:0.45〜0.70mass%、Si:0.8mass%以下、Mn:0.7〜1.5mass%、S:0.06mass%以下、P:0.02mass%以下、Al:0.05mass%以下、Cr:0.1mass%以下、Ti:0.003mass%以下、Mo:0.05〜0.60mass%およびO:10ppm以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になる鋼材を、製鋼時のスラグ組成がSiO2/CaO:4〜10、CaO/Al2O3:1.5〜5.0、TiO2:1%以下およびMgO:2〜15%を満足する条件の下に溶製し、次いで該鋼材を部品形状とする、熱間加工を施して該加工後の組織をベイナイト70%以上に調整し、その後前記部品の少なくとも一部分に高周波焼入れを行う。
【選択図】なし
【解決手段】C:0.45〜0.70mass%、Si:0.8mass%以下、Mn:0.7〜1.5mass%、S:0.06mass%以下、P:0.02mass%以下、Al:0.05mass%以下、Cr:0.1mass%以下、Ti:0.003mass%以下、Mo:0.05〜0.60mass%およびO:10ppm以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になる鋼材を、製鋼時のスラグ組成がSiO2/CaO:4〜10、CaO/Al2O3:1.5〜5.0、TiO2:1%以下およびMgO:2〜15%を満足する条件の下に溶製し、次いで該鋼材を部品形状とする、熱間加工を施して該加工後の組織をベイナイト70%以上に調整し、その後前記部品の少なくとも一部分に高周波焼入れを行う。
【選択図】なし
Description
本発明は、自動車のドライブシャフト、等速ジョイント、クランクシャフト、ミッションのインプットシャフトおよびアウトプットシャフトを典型例とする機械構造用部品の製造方法に関する。
自動車のドライブシャフト、等速ジョイント、クランクシャフト、ミッションのインプットシャフトおよびアウトプットシャフトなどの機械構造用部品では、加工した後に、高周波焼入れ−焼戻しを行うことにより、機械構造用部品としての特性を付与するのが一般的である。
この機械構造用部品の中でも特に、等速ジョイント、ベアリングおよびハブなどボールまたはコロの転走面を持つ部品では、高い転動疲労特性が要求される。高い転動疲労特性を示すところから現在多用されているのがJIS G4805 SUJ2鋼である。このSUJ2鋼は、転動疲労特性に対する信頼性はあるが、加工性が悪いために加工前の球状化焼鈍が必須である。
従来は、SUJ2鋼に代表されるように、高Cおよび高Cr成分鋼を用い、製鋼技術を駆使して高清浄化することによって、転動疲労特性の向上を図っている。
例えば、特許文献1には、超音波探傷により非破壊で材料を検査し、ある大きさ以上の非金属介在物を含む部位を不合格として排除することにより良好な材料を供給することが提案されている。しかし、この方法を実践するには、切断の工数が増加するばかりでなく、歩留まりが低下すると考えられる。
例えば、特許文献1には、超音波探傷により非破壊で材料を検査し、ある大きさ以上の非金属介在物を含む部位を不合格として排除することにより良好な材料を供給することが提案されている。しかし、この方法を実践するには、切断の工数が増加するばかりでなく、歩留まりが低下すると考えられる。
また、特許文献2では、成分調整と清浄度の向上でSUJ2鋼をしのぐ転動疲労特性を示し、かつ球状化焼鈍が不要である鋼材が開示されている。しかし、近年の自動車産業の転動疲労寿命要求は、累積破損率が10%となる寿命(Ll0)で1×107回を超えてきており、この鋼材でも不足していることは否めない。
本発明は、転動疲労寿命が例えばLl0で1×107回を超えるような、優れた耐疲労特性を有する機械構造用部品を、球状化焼鈍を行うことなしに提供することを目的とする。
発明者らは、転動疲労寿命を向上させるべく、C,Ti,B,MoおよびCr量の転動疲労寿命および棒材の母材硬さにおよぼす影響を詳細に調査することによって、転動疲労寿命(Ll0)が1×107回を超え、かつ母材硬さはHvで250以下で加工が容易となる成分と製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
(1)C:0.45〜0.70mass%、
Si:0.8mass%以下、
Mn:0.7〜1.5mass%、
S:0.06mass%以下、
P:0.02mass%以下、
Al:0.05mass%以下、
Cr:0.1mass%以下、
Ti:0.003mass%以下、
Mo:0.05〜0.6mass%および
O:10massppm以下
を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になる鋼材を、製鋼時のスラグ組成が
SiO2/CaO:4〜10、
CaO/Al2O3:1.5〜5.0、
TiO2:1%以下および
MgO:2〜15%
を満足する条件の下に溶製し、次いで該鋼材を部品形状とする、熱間加工を施して該加工後の組織をベイナイト70%以上に調整し、その後前記部品の少なくとも一部分に高周波焼入れを行うことを特徴とする機械構造用部品の製造方法。
(1)C:0.45〜0.70mass%、
Si:0.8mass%以下、
Mn:0.7〜1.5mass%、
S:0.06mass%以下、
P:0.02mass%以下、
Al:0.05mass%以下、
Cr:0.1mass%以下、
Ti:0.003mass%以下、
Mo:0.05〜0.6mass%および
O:10massppm以下
を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になる鋼材を、製鋼時のスラグ組成が
SiO2/CaO:4〜10、
CaO/Al2O3:1.5〜5.0、
TiO2:1%以下および
MgO:2〜15%
を満足する条件の下に溶製し、次いで該鋼材を部品形状とする、熱間加工を施して該加工後の組織をベイナイト70%以上に調整し、その後前記部品の少なくとも一部分に高周波焼入れを行うことを特徴とする機械構造用部品の製造方法。
(2)前記(1)において、前記鋼材が、さらに
Cu:0.5mass%以下
Ni:0.5mass%以下、
Co:1.0mass%以下、
Nb:0.1mass%以下、
V:0.5mass%以下および
W:1.Omass%以下
を含有する機械構造用部品の製造方法。
Cu:0.5mass%以下
Ni:0.5mass%以下、
Co:1.0mass%以下、
Nb:0.1mass%以下、
V:0.5mass%以下および
W:1.Omass%以下
を含有する機械構造用部品の製造方法。
(3)前記(1)または2において、前記鋼材が、さらに
Zr:0.1mass%以下、
Ta:0.5mass%以下、
Hf:0.5mass%以下および
Sb:0.1mass%以下
を含有する機械構造用部品の製造方法。
Zr:0.1mass%以下、
Ta:0.5mass%以下、
Hf:0.5mass%以下および
Sb:0.1mass%以下
を含有する機械構造用部品の製造方法。
(4)前記(1)、(2)または(3)において、前記鋼材が、さらに
Pb:0.1mass%以下、
Bi:0.1mass%以下、
Se:0.1mass%以下、
Te:0.1mass%以下および
Mg:0.01mass%以下
を含有する機械構造用部品の製造方法。
Pb:0.1mass%以下、
Bi:0.1mass%以下、
Se:0.1mass%以下、
Te:0.1mass%以下および
Mg:0.01mass%以下
を含有する機械構造用部品の製造方法。
(5)前記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記高周波焼入れを施した部分の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下である機械構造用部品の製造方法。
(6)前記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記鋼材30000mm2における非金属介在物の予測最大径が35μm以下である機械構造用部品の製造方法。
本発明によれば、転動疲労寿命が例えばLl0で1×107回以上と長く、かつ球状化焼鈍を省略しても切削性などの加工性に優れる、機械構造用部品を提供できる。
次に、本発明の機械構造用部品の製造方法を詳しく説明する。まず、鋼材の成分組成について説明する。
C:0.45〜0.70mass%
Cは、焼入れ性への影響が最も大きい元素であり、焼入れ硬化層の硬さおよび深さを高めることにより、転動疲労寿命の向上に寄与する成分である。しかしながら、含有量が0.45mass%に満たないと、必要とされる疲労強度を確保することができない。好ましくは、0.48mass%以上である。一方、0.70mass%を超えて含有させると、鋼材の母材硬さがHv250以上となり、棒材の切断が困難になる上、部品の硬さ(1.5℃/sから4.5℃/sで冷却した場合の部品硬さ)がHv330以上になってしまい、その後の切削加工やドリル旋削加工が困難になる。好ましくは0.65mass%以下、さらに好ましくは0.60mass%以下が良い。以上より、Cは0.45〜0.70mass%の範囲に限定した。
C:0.45〜0.70mass%
Cは、焼入れ性への影響が最も大きい元素であり、焼入れ硬化層の硬さおよび深さを高めることにより、転動疲労寿命の向上に寄与する成分である。しかしながら、含有量が0.45mass%に満たないと、必要とされる疲労強度を確保することができない。好ましくは、0.48mass%以上である。一方、0.70mass%を超えて含有させると、鋼材の母材硬さがHv250以上となり、棒材の切断が困難になる上、部品の硬さ(1.5℃/sから4.5℃/sで冷却した場合の部品硬さ)がHv330以上になってしまい、その後の切削加工やドリル旋削加工が困難になる。好ましくは0.65mass%以下、さらに好ましくは0.60mass%以下が良い。以上より、Cは0.45〜0.70mass%の範囲に限定した。
Si:0.80mass%以下
Siは、脱酸剤として作用するだけでなく、強度の向上にも有効な成分であり、好ましくは0.20mass%以上で含有させるが、含有量が0.8mass%を超えると、被削性および鍛造性の低下を招くため、Si量は0.8mass%以下にする必要がある。なお、強度向上のためには0.05mass%以上とすることが好ましい。
Siは、脱酸剤として作用するだけでなく、強度の向上にも有効な成分であり、好ましくは0.20mass%以上で含有させるが、含有量が0.8mass%を超えると、被削性および鍛造性の低下を招くため、Si量は0.8mass%以下にする必要がある。なお、強度向上のためには0.05mass%以上とすることが好ましい。
Mn:0.7〜1.5mass%
Mnは、焼入れ性を向上させ、焼入れ時の硬化層深さを確保して疲労強度を向上させるために非常に重要な成分である。含有量が0.7mass%未満では、焼入れ性が不足し、硬化層の硬さが確保できないため、転動疲労寿命(Ll0)が1×107回を満たさなくなる。一方、Mn量が1.5mass%を超えると、部品の硬さがHv330以上になり、その後の切削やドリル旋削などの加工が困難になるために、Mnは1.5mass%以下にすることが必要である。好適範囲は、0.8〜1.3mass%である。
Mnは、焼入れ性を向上させ、焼入れ時の硬化層深さを確保して疲労強度を向上させるために非常に重要な成分である。含有量が0.7mass%未満では、焼入れ性が不足し、硬化層の硬さが確保できないため、転動疲労寿命(Ll0)が1×107回を満たさなくなる。一方、Mn量が1.5mass%を超えると、部品の硬さがHv330以上になり、その後の切削やドリル旋削などの加工が困難になるために、Mnは1.5mass%以下にすることが必要である。好適範囲は、0.8〜1.3mass%である。
Al:0.05mass%以下
Alは、脱酸に有効な元素である。また、焼入れ加熱時におけるオーステナイト粒成長を抑制することによって焼入れ硬化層の粒径を微細化する上でも有用な元素である。そのためには、好ましくは0.010mass%以上で含有させる。しかしながら、0.5mass%を超えて含有させても、その効果は飽和し、むしろ成分コストの上昇を招く不利が生じるため、Alは0.05mass%以下の範囲で含有させることが必要である。なお、MnSの形態制御を行う場合には、0.005mass%未満にすることが、有効となる場合がある。
Alは、脱酸に有効な元素である。また、焼入れ加熱時におけるオーステナイト粒成長を抑制することによって焼入れ硬化層の粒径を微細化する上でも有用な元素である。そのためには、好ましくは0.010mass%以上で含有させる。しかしながら、0.5mass%を超えて含有させても、その効果は飽和し、むしろ成分コストの上昇を招く不利が生じるため、Alは0.05mass%以下の範囲で含有させることが必要である。なお、MnSの形態制御を行う場合には、0.005mass%未満にすることが、有効となる場合がある。
Ti:0.003mass%以下
Tiは、不可避不純物として混入するNと結合することによりTiNを形成するが、これは転動疲労に有害であり、極力排除したい。従って、Tiは添加しないこととし、その際、不可避不純物として混入する程度であれば、害は小さく許容される。
Tiは、不可避不純物として混入するNと結合することによりTiNを形成するが、これは転動疲労に有害であり、極力排除したい。従って、Tiは添加しないこととし、その際、不可避不純物として混入する程度であれば、害は小さく許容される。
Mo:0.05〜0.60mass%
Moは、オーステナイト粒の成長を抑制し、旧オーステナイト粒を微細化する上で有用な元素であり、そのためには0.05mass%以上添加する必要がある。0.6mass%を超えて添加すると、被削性の劣化を招くため、Moは0.6mass%以下とすることが好ましい。
Moは、オーステナイト粒の成長を抑制し、旧オーステナイト粒を微細化する上で有用な元素であり、そのためには0.05mass%以上添加する必要がある。0.6mass%を超えて添加すると、被削性の劣化を招くため、Moは0.6mass%以下とすることが好ましい。
S:0.06mass%以下
Sは、鋼中でMnSを形成し、切削性を向上させる有用元素であるが、0.06mass%を超えて含有させると粒界に偏析して粒界強度を低下させるため、Sは0.06mass%以下に制限した。好ましくは0.04mass%以下である。
Sは、鋼中でMnSを形成し、切削性を向上させる有用元素であるが、0.06mass%を超えて含有させると粒界に偏析して粒界強度を低下させるため、Sは0.06mass%以下に制限した。好ましくは0.04mass%以下である。
P:0.02mass%以下
Pは、不純物元素として粒界に偏析し、粒界強度を低下させるために、0.02mass%以下にする必要がある。
Pは、不純物元素として粒界に偏析し、粒界強度を低下させるために、0.02mass%以下にする必要がある。
Cr:0.1mass%以下
Crは、焼入れ性の向上に有効であり、硬化深さを確保する上で有用な元素である。そのためには、好ましくは0.05mass%以上で含有させる。SUJ2鋼では、1.0mass%以上添加され、転動疲労寿命の向上に有効であるが、逆に焼入れ性を上げるために球状化焼鈍が必要となる。従って、本発明では、球状化焼鈍を不要とするために、0.1mass%以下とする。
Crは、焼入れ性の向上に有効であり、硬化深さを確保する上で有用な元素である。そのためには、好ましくは0.05mass%以上で含有させる。SUJ2鋼では、1.0mass%以上添加され、転動疲労寿命の向上に有効であるが、逆に焼入れ性を上げるために球状化焼鈍が必要となる。従って、本発明では、球状化焼鈍を不要とするために、0.1mass%以下とする。
O:10massppm以下
Oは、Al、CaおよびMg等と結合して非金属介在物を形成し、転動疲労寿命を著しく低下させる。従って、Oは極力低減させた方が良く、10massppm以下とする。
Oは、Al、CaおよびMg等と結合して非金属介在物を形成し、転動疲労寿命を著しく低下させる。従って、Oは極力低減させた方が良く、10massppm以下とする。
以上、基本成分について説明したが、本発明では、その他にも、必要に応じて、以下に述べる6成分のうちの1種または2種以上を適宜含有させることができる。
Cu:0.5mass%以下
Cuは、焼入れ性の向上に寄与することから、好ましくは0.2mass%以上で、かつ0.5mass%を上限として添加してもかまわない。しかし、0.5mass%を超えて添加すると、圧延後の鋼材表面に割れを発生するため、Cu添加量は0.5mass%以下とする。より好ましくは0.2mass%以下、さらには0.1mass%以下である。
Cu:0.5mass%以下
Cuは、焼入れ性の向上に寄与することから、好ましくは0.2mass%以上で、かつ0.5mass%を上限として添加してもかまわない。しかし、0.5mass%を超えて添加すると、圧延後の鋼材表面に割れを発生するため、Cu添加量は0.5mass%以下とする。より好ましくは0.2mass%以下、さらには0.1mass%以下である。
Ni:0.5mass%以下
Niは、焼入れ性の向上に寄与する上、母材の靭性を向上させることから、好ましくは0.2mass%以上で、かつ0.5mass%を上限として添加してもかまわない。しかし、高価な元素であるので添加量は0.5mass%以下とする。
Niは、焼入れ性の向上に寄与する上、母材の靭性を向上させることから、好ましくは0.2mass%以上で、かつ0.5mass%を上限として添加してもかまわない。しかし、高価な元素であるので添加量は0.5mass%以下とする。
Co:1.0mass%以下
Coは、炭化物の生成を抑制して炭化物による粒界強度の低下を抑制し、疲労強度を向上させる元素である。しかしながら、Coは極めて高価な元素であり、1.0mass%超えて添加すると鋼材のコストが上昇するので、1.0mass%以下の添加とする。なお、0.01mass%未満の添加では、粒界強度の低下抑制効果が小さいので、0.01mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.02〜0.5mass%である。
Coは、炭化物の生成を抑制して炭化物による粒界強度の低下を抑制し、疲労強度を向上させる元素である。しかしながら、Coは極めて高価な元素であり、1.0mass%超えて添加すると鋼材のコストが上昇するので、1.0mass%以下の添加とする。なお、0.01mass%未満の添加では、粒界強度の低下抑制効果が小さいので、0.01mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.02〜0.5mass%である。
Nb:0.1mass%以下
Nbは、焼入れ性の向上効果があるだけでなく、鋼中でCやNと結合し析出強化元素として作用する。また、焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1mass%超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.1mass%以下とすることが好ましい。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼戻し軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上で添加することが望ましい。さらに好ましくは、0.01〜0.05mass%である。
Nbは、焼入れ性の向上効果があるだけでなく、鋼中でCやNと結合し析出強化元素として作用する。また、焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1mass%超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.1mass%以下とすることが好ましい。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼戻し軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上で添加することが望ましい。さらに好ましくは、0.01〜0.05mass%である。
V:0.5mass%以下
Vは、鋼中でCやNと結合し析出強化元素として作用する。また、焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素であり、これらの効果により疲労強度を向上させる。しかしながら、8.5mass%超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.5mass%以下とすることが好ましい。なお、0.01mass%未満の添加では、疲労強度の向上効果が小さいため、0.01mass%以上添加することが望ましい。さらに好ましくは、0.03〜0.3mass%である。
Vは、鋼中でCやNと結合し析出強化元素として作用する。また、焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素であり、これらの効果により疲労強度を向上させる。しかしながら、8.5mass%超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.5mass%以下とすることが好ましい。なお、0.01mass%未満の添加では、疲労強度の向上効果が小さいため、0.01mass%以上添加することが望ましい。さらに好ましくは、0.03〜0.3mass%である。
W:1.0mass%以下
Wは、オーステナイト粒の成長を抑制する上で有用な元素であり、そのためには0.005mass%以上で含有することが好ましいが、1.0mass%超えて添加すると、被削性の劣化を招くため、Wは1.0mass%以下とすることが好ましい。
Wは、オーステナイト粒の成長を抑制する上で有用な元素であり、そのためには0.005mass%以上で含有することが好ましいが、1.0mass%超えて添加すると、被削性の劣化を招くため、Wは1.0mass%以下とすることが好ましい。
さらに、上記した成分に加えて、必要に応じて、以下に述べる4成分のうちの1種または2種以上を適宜含有させることができる。
Zr:0.1mass%以下
Zrは、焼入れ性の向上効果を有するだけでなく、鋼中でCやNと結合して析出強化元素として作用する。また、焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素であり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.lmass%を超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.1mass%以下とすることが好ましい。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼戻し軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上添加することが望ましい。さらに、好ましくは0.81〜0.05mass%である。
Zr:0.1mass%以下
Zrは、焼入れ性の向上効果を有するだけでなく、鋼中でCやNと結合して析出強化元素として作用する。また、焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素であり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.lmass%を超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.1mass%以下とすることが好ましい。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼戻し軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上添加することが望ましい。さらに、好ましくは0.81〜0.05mass%である。
Ta:0.5mass%以下
Taは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化を防止する効果があるため、添加してもよい。しかし、その添加量が0.5mass%を超えても、それ以上の強度向上には寄与しないため、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Taは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化を防止する効果があるため、添加してもよい。しかし、その添加量が0.5mass%を超えても、それ以上の強度向上には寄与しないため、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Hf:0.5mass%以下
Hfは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労強度の劣化を防止する効果があるため、添加してもよい。しかし、その含有量が0.5mass%を超えても、それ以上の強度向上には寄与しないため、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Hfは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労強度の劣化を防止する効果があるため、添加してもよい。しかし、その含有量が0.5mass%を超えても、それ以上の強度向上には寄与しないため、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Sb:0.01mass%以下
Sbは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労強度の劣化を防止する効果があるため、添加してもよい。しかし、その含有量が0.01mass%を超えると、靭性が劣化するため0.01mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.005mass%以上とすることが好ましい。
Sbは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労強度の劣化を防止する効果があるため、添加してもよい。しかし、その含有量が0.01mass%を超えると、靭性が劣化するため0.01mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.005mass%以上とすることが好ましい。
さらにまた、上記した成分に加えて、必要に応じて、以下に述べる5成分のうちの1種または2種以上を適宜含有させることができる。
Pb:0.1mass%以下
Bi:0.1mass%以下
PbおよびBiはいずれも、切削時の溶融、潤滑および脆化作用により、被削性を向上させるため、この目的で添加することができる。しかしながら、Pb:0.1mass%およびBi:0.1mass%を超えて添加しても、効果が飽和するばかりか、成分コストが上昇するため、それぞれ上記の範囲で含有させるものとした。なお、被削性の改善のためには、Pbは0.01mass%以上およびBiは0.01mass%以上含有させることが好ましい。
Bi:0.1mass%以下
PbおよびBiはいずれも、切削時の溶融、潤滑および脆化作用により、被削性を向上させるため、この目的で添加することができる。しかしながら、Pb:0.1mass%およびBi:0.1mass%を超えて添加しても、効果が飽和するばかりか、成分コストが上昇するため、それぞれ上記の範囲で含有させるものとした。なお、被削性の改善のためには、Pbは0.01mass%以上およびBiは0.01mass%以上含有させることが好ましい。
Se:0.1mass%以下
Te:0.1mass%以下
SeおよびTeはそれぞれ、Mnと結合してMnSeおよびMnTeを形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善する。しかしながら、含有量が0.1mass%を超えると、前記効果が飽和する上、成分コストの上昇を招くため、いずれも0.1mass%以下で添加するものとした。また、被削性の改善のためには、Seの場合は0.003mass%以上およびTeの場合は0.003mass%以上で含有させることが好ましい。
Te:0.1mass%以下
SeおよびTeはそれぞれ、Mnと結合してMnSeおよびMnTeを形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善する。しかしながら、含有量が0.1mass%を超えると、前記効果が飽和する上、成分コストの上昇を招くため、いずれも0.1mass%以下で添加するものとした。また、被削性の改善のためには、Seの場合は0.003mass%以上およびTeの場合は0.003mass%以上で含有させることが好ましい。
Mg:0.01mass%以下
Mgは、脱酸元素であるだけでなく、応力集中源となって被削性を改善する効果があるので、必要に応じて添加することができる。しかしながら、過剰に添加すると、効果が飽和する上に成分コストが上昇するため、0.01mass%以下で含有させるものとした。なお、被削性の改善のためには、Mgは0.000lmass%以上で含有させることが好ましい。
Mgは、脱酸元素であるだけでなく、応力集中源となって被削性を改善する効果があるので、必要に応じて添加することができる。しかしながら、過剰に添加すると、効果が飽和する上に成分コストが上昇するため、0.01mass%以下で含有させるものとした。なお、被削性の改善のためには、Mgは0.000lmass%以上で含有させることが好ましい。
以上説明した元素以外の残部は、Feおよび不可避不純物であることが好ましく、不可避不純物としてはNが挙げられ、N:0.015mass%までをそれぞれ許容できる。
上記した成分組成を有する鋼材は、鍛造や圧延などの熱間加工を施して部品形状が与えられるが、該加工後の組織をベイナイト70%以上とすることが肝要である。例えば、部品形状を与える鍛造は、Ac3点以上の温度域での加工率60%以上で加工後に1.5から4.5℃/sで冷却するのが一般的な条件であるから、かような条件を経たとき、得られる組織がベイナイトを70%以上含んでいる必要がある。かような部品鍛造後の組織がベイナイト70%以上であることは、少なくとも硬いマルテンサイトは30%未満であり、部品硬さは低く抑えられる。また、フェライトやパーライトも30%未満であり被削性が良好になる。なぜなら、同じ硬さであればフェライトやパーライトの組織よりもベイナイト組織の方が被削性は良好であるからである。上記ベイナイトの組織分率は、80%以上とすることが好ましい。
なお、加工後の組織をベイナイト70%以上とするには、上述した成分組成の鋼材を用いて部品形状への熱間鍛造を行い、その後の冷却速度を1.5℃/s〜4.5℃/sとする必要がある。
さらに、後述するように部品の少なくとも部分、すなわち一部または全部に高周波焼入れを行うが、この焼入れ部分の旧オーステナイト粒径は12μm以下である必要がある。焼入れ部の旧オーステナイト粒径を微細化することによって、転動疲労寿命の向上が期待できる。12μm以下の旧オーステナイト粒径を得るためには、Mo添加量を上昇させることおよび、焼入れ時の最高加熱温度をAc3以上1000℃以下にすることが肝要である。
次に、本発明の製造方法について説明する。
上記した所定の成分組成に調整した鋼材に、熱間加工を施して部品形状を与える。熱間加工としては、例えば棒鋼圧延後に部品形状に切削または鍛造する。このようにして得られた部品素材の一部または全部に、高周波焼入れを行い、必要に応じて焼戻し処理を行う。さらに必要に応じて、切削や研磨等の処理を行い、最終的に機械構造用部品を作製する。
上記した所定の成分組成に調整した鋼材に、熱間加工を施して部品形状を与える。熱間加工としては、例えば棒鋼圧延後に部品形状に切削または鍛造する。このようにして得られた部品素材の一部または全部に、高周波焼入れを行い、必要に応じて焼戻し処理を行う。さらに必要に応じて、切削や研磨等の処理を行い、最終的に機械構造用部品を作製する。
特に、上記工程中の高周波焼入れは、1000℃以下で行うことが、短時間側の疲労強度を上昇できるために有効となる。すなわち、1000℃以下の焼入れおよびMo添加の成分設計により、旧オーステナイト粒径が微細化し、短時間側の疲労強度が上昇するのである。ただし、焼入れが不十分になる温度域まで焼入れ温度を低下させると、疲労強度は極端に低下するため、焼入れはAc3点以上とすることが好ましい。
ちなみに、高周波焼入れにより形成される硬化層の厚さは、3mm以上とすることが好ましい。この理由は、転動疲労寿命が硬化層の厚みが増す程、安定的に長くなるためである。
さらに、非金属介在物の最大径を小さくすることが、転動疲労寿命の向上に有効である。具体的には、鋼材の30000mm2における非金属介在物の予測最大径が35μm以下であることが有効である。すなわち、非金属介在物の径が大きいと、介在物界面での応力集中が大きくなり、き裂が発生しやすくなるため、非金属介在物の予測最大径は小さければ小さいほど良い。ここで、予測最大径が35μmを超えると、1×107回以上のL10寿命を得ることが困難になるため、35μm以下であることが有効である。
なお、鋼材の30000mm2における非金属介在物の予測最大径は、日本トライポロジー学会 第2種研究会の軸受鋼における非金属介在物の評価法研究会報告書(2002年3月)に掲載された方法を用いて求める。
ここで、非金属介在物の最大径を抑制するには、製鋼時、具体的には、取鍋精錬処理時のスラグ組成が、SiO2/CaO:4〜10、CaO/Al2O3:1.5〜5.0、TiO2:1%以下およびMgO:2〜15%を満足することが肝要になる。
すなわち、上記スラグにおける、SiO2/CaOを4以上にすることによって、再酸化を抑制しO(酸素)が混入しないようにする。また、CaO/Al2O3を1.5以上かつMgO濃度を2%以上とすることによって、介在物のスラグへの吸収能を高める。但し、SiO2/CaOが10以上、CaO/Al2O3が5.0以上またはMgO濃度が15%以上になると、スラグの滓化性が著しく低下し、介在物の吸収速度が低下するため、それ以上の濃度にしないことが重要である。さらに、スラグ中のTi02の濃度についても1%以下にすることにより、鋼中のTi濃度を低位にすることが可能となり、TiNの生成を抑制することができる。
以上の溶製方法を適用することにより、上記した30000mm2における非金属介在物の予測最大径を35μm以下とすることができる。このように介在物の径を小さくすることにより、転動疲労寿命の向上をはかることができる。
すなわち、上記スラグにおける、SiO2/CaOを4以上にすることによって、再酸化を抑制しO(酸素)が混入しないようにする。また、CaO/Al2O3を1.5以上かつMgO濃度を2%以上とすることによって、介在物のスラグへの吸収能を高める。但し、SiO2/CaOが10以上、CaO/Al2O3が5.0以上またはMgO濃度が15%以上になると、スラグの滓化性が著しく低下し、介在物の吸収速度が低下するため、それ以上の濃度にしないことが重要である。さらに、スラグ中のTi02の濃度についても1%以下にすることにより、鋼中のTi濃度を低位にすることが可能となり、TiNの生成を抑制することができる。
以上の溶製方法を適用することにより、上記した30000mm2における非金属介在物の予測最大径を35μm以下とすることができる。このように介在物の径を小さくすることにより、転動疲労寿命の向上をはかることができる。
表1に示す成分組成を有する鋼材を、表1に示すスラグ組成に調整した取鍋精錬の下に溶製し、該鋼材を1000℃にて65mmφの棒に鍛造したのち空冷した。得られた棒鋼からスラスト転動疲労試験片を採取した。該スラスト試験片は、ポールの転送面に焼入れられるように、表2に示す、種々の高周波焼入れ条件にて焼入れを行ってから、170℃×30minの焼戻しを全ての試験片に行った。これらの試験片を、最終加工(研磨)して63mmφ×5mmに仕上げ、スラスト試験に供した。
表2に、焼入れ条件とスラスト試験により得られたL10寿命とを示す。なお、スラスト試験の条件は、周波数1800CPM、Hertz最大応力5880MPa(600kgf/mm2)で行った。
表2に、焼入れ条件とスラスト試験により得られたL10寿命とを示す。なお、スラスト試験の条件は、周波数1800CPM、Hertz最大応力5880MPa(600kgf/mm2)で行った。
試験後の試験片の焼入れ部を試験片直径方向で切断し、旧オーステナイト粒を現出するエッチングを行って、旧オーステナイト粒径を切断法で測定した。すなわち、エッチング面を観察することで得られた組織写真に、縦横の直線を引き、これら直線で切断された結晶粒の切片長さの平均値Lに対し、1.128×Lの値を、公称粒径として求めた。
また、上記の65 mmφの棒鋼から、別途8mmφ×12mmのサーメックマスター試験片を作製し、1050℃に加熱後940℃で62%の圧下率で圧縮加工し、直ちに3.0℃/sで冷却した。その後、試験片を半分に切断し、中心部のミクロ組織を観察した。
また、上記の65 mmφの棒鋼から、別途8mmφ×12mmのサーメックマスター試験片を作製し、1050℃に加熱後940℃で62%の圧下率で圧縮加工し、直ちに3.0℃/sで冷却した。その後、試験片を半分に切断し、中心部のミクロ組織を観察した。
さらに、65mmφの鍛造材の長手方向と平行な面の直径の4/1の位置から、10×10mmの視野のサンプルを30個採取し、各サンプルの最大非金属介在物径を光学顕微鏡観察にて求め、得られた最大非金属介在物径を極値統計して30000mm2部分における非金属介在物の予測最大径を求めた。極値統計法は、日本トライポロジー学会 第2種研究会の軸受鋼における非金属介在物の評価法研究会による「軸受鋼における非金属介在物の評価法研究会報告書(2002年3月)」に従った。
以上の旧オーステナイト粒径、ミクロ組織の観察結果および非金属介在物の予測最大径について表2に併記する。
表2に示すように、C量が低い(H)条件はサーメック試験片のベイナイト組織分率が70%未満であり、スラストLl0寿命も目標に達しない。一方、C量の高い(I)条件は母材硬さがHv330以上のために球状化熱処理が必要であり、スラストLl0寿命も目標に若干不足している。Mn量の高い(J)条件では、同様に球状化熱処理が必要である。これは、ベイナイト組織分率が70%未満の(N)条件や、Mo量が多い(M)条件でも同様に球状化熱処理が必要となる。また、取鍋精錬時のスラグ組成が本発明範囲から外れる(P)条件および(Q)条件では、非金属介在物の予測最大径が大きく、スラストLl0寿命が不足している。
Claims (6)
- C:0.45〜0.70mass%、
Si:0.8mass%以下、
Mn:0.7〜1.5mass%、
S:0.06mass%以下、
P:0.02mass%以下、
Al:0.05mass%以下、
Cr:0.1mass%以下、
Ti:0.003mass%以下、
Mo:0.05〜0.60mass%および
O:10ppm以下
を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になる鋼材を、製鋼時のスラグ組成が
SiO2/CaO:4〜10、
CaO/Al2O3:1.5〜5.0、
TiO2:1%以下および
MgO:2〜15%
を満足する条件の下に溶製し、次いで該鋼材を部品形状とする、熱間加工を施して該加工後の組織をベイナイト70%以上に調整し、その後前記部品の少なくとも一部分に高周波焼入れを行うことを特徴とする機械構造用部品の製造方法。 - 請求項1において、前記鋼材が、さらに
Cu:0.5mass%以下
Ni:0.5mass%以下、
Co:1.0mass%以下、
Nb:0.1mass%以下、
V:0.5mass%以下および
W:1.Omass%以下
を含有する機械構造用部品の製造方法。 - 請求項1または2において、前記鋼材が、さらに
Zr:0.1mass%以下、
Ta:0.5mass%以下、
Hf:0.5mass%以下および
Sb:0.1mass%以下
を含有する機械構造用部品の製造方法。 - 請求項1、2または3において、前記鋼材が、さらに
Pb:0.1mass%以下、
Bi:0.1mass%以下、
Se:0.1mass%以下、
Te:0.1mass%以下および
Mg:0.01mass%以下
を含有する機械構造用部品の製造方法。 - 請求項1から4のいずれかにおいて、前記高周波焼入れを施した部分の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下である機械構造用部品の製造方法。
- 請求項1から5のいずれかにおいて、前記鋼材の30000mm2における非金属介在物の予測最大径が35μm以下である機械構造用部品の製造方法。
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-
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