JP2010233514A - センター入り油脂性菓子とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ココアバター又はココアバター代替油脂25〜60重量%をセンターに含有する油脂性菓子であって、該センターにグリセリン脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルと、1,3−ジベヘニル−2−オレイルグリセロールとを含有し、前記センターを被覆する外殻層にココアバター又はココアバター代替油脂、1,3−ジベヘニル−2−オレイルグリセロール及びショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とするセンター入り油脂性菓子。
【選択図】なし
Description
しかし、嗜好の変化や多様化に伴い、一般にかたい食感が好まれなくなる傾向が顕著になってきており、チョコレート類もその例にもれない。そのため100%チョコレートである板チョコよりも、他の可食素材と組み合わせた複合チョコレートや、またセンターの硬さを変えたチョコレートなどが消費者に好まれ、その生産量も増加して来ている。
可食素材としては、例えばナッツ、焼菓子、ドライフルーツなどあり、またチョコレートの食感を変える材料としては乳脂や液状脂などがある。
また、現在は流通菓子のみにならず、生菓子の市場が大きくなっている。その中でも、生チョコを始めとするチョコレートのニーズが拡大している。これらの生菓子は、名高いパテシエによるブランドイメージもあるが、柔らかく、滑らかな食感であるガナッシュの魅力を感じている為である。これらの商品はチョコレートと生クリームを乳化させて製造している為、日持ちがせず流通菓子として適していないものである。そこで、通常、融点の低い油脂やショートニングのような半固形状の油脂を用いることにより、長期保存可能な柔らかい食感のセンター用フィリングを作ることができる。
この現象は、外殻層とセンターとの油脂組成の違いや、径時変化による液体成分油脂の移動、或いは32℃以上の高温下での保管により溶解した油脂の移動によるものと考えられている。
また、センターと外殻層との境界を砂糖、蛋白、多糖類のフィルム糖等でコーティングして油脂移行を遮断することができるが、フィルム部の食感の違和感、コーティングの作業が非常に煩雑であるなどの問題がある。
液状のセンターにすることで油脂移行の無い組成に変えた場合(特許文献1)、長期間の保存に劣り、年間通して販売する商品にはなり得ないものになってしまう。
また、長期間の保存性を付加させる手段として、液状センターにアルコールを添加する方法が提案されて(特許文献2)いるが、水分の蒸発やアルコールの揮発により陥没を生じる。陥没をさけるためには外殻層を厚くする必要があり、それではセンターの食感が感じ難いものとなってしまうという欠点がある。
そのため、多くの発明がなされ、たとえばセンターにゼラチンを添加させて、結晶状態をゼラチンの骨格で形成することにより、保水性に優れた組成することで陥没を生じさせないものがある(特許文献3)あるいは、植物性ステロールを配合(参考文献4)があるが、それぞれ油脂性菓子の特徴である口溶け感が損なわれてしまうという欠点がある。
〔1〕ココアバター又はココアバター代替油脂25〜60重量%をセンターに含有する油脂性菓子であって、該センターにグリセリン脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルと、1,3−ジベヘニル−2−オレイルグリセロール(以降、BOB脂と示す。)とを含有し、前記センターを被覆する外殻層にココアバター又はココアバター代替油脂、BOB脂及びショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とするセンター入り油脂性菓子、
〔2〕ココアバター又はココアバター代替油脂を含む油脂組成物に、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルを混合して品温を37℃以下に調温した後、1,3−ジベヘニル−2−オレイルグリセロールを混合して、センター用生地を調製する工程、
ココアバター又はココアバター代替油脂と、ショ糖脂肪酸エステル及び油脂とを混合して品温を37℃以下に調温した後、BOB脂を混合して、外殻層用生地を調製する工程、
モールドにセンター用生地を外殻層用生地で被覆するように充填して凝固させる工程
を有することを特徴とするセンター入り油脂性菓子の製造方法
に関する。
なお、センターと外殻層の重量比率は、10:90〜60:40が好ましく、10:90〜50:50がより好ましい。
ココアバター又はココアバター代替油脂を含む油脂組成物に、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルを混合して品温を37℃以下に調温した後、BOB脂を混合して、センター用生地を調製する工程、
ココアバター又はココアバター代替油脂及びショ糖脂肪酸エステルを混合して品温を37℃以下に調温した後、BOB脂を混合して、外殻層用生地を調製する工程、
モールドにセンター用生地を外殻層用生地で被覆するように充填して凝固させる工程
を有することを特徴とするセンター入り油脂性菓子の製造方法
を経て製造することができる。
BOB脂の融点は37〜39℃であり、結晶核として油脂性菓子中に存在させる必要があるため、センター用生地及び外殻層用生地に前記の特定の乳化剤を添加した工程を経てから、各構成部位の品温が37℃以下、好ましくは35℃以下となった状態でBOB脂を混合して各生地中に分散させることが好ましい。なお、品温は、常法の手段を用いて測定すればよい。
また、調温方法としては、テンパー型油脂組成であれば、生地を常法の冷却方法にて所望の温度に調整する。非テンパー型油脂組成であれば、生地を直接冷却する方法が挙げられる。
凝固させたセンター用生地の表面に新たに外殻層用生地をボトム充填する工程
を経て行われる。
この場合、内側にセンター用生地を吐出するためのノズル、外側に外殻層用生地を吐出するためのノズルを有する、2重以上の多重ノズルを用いることが好ましい。
外殻層用生地とセンター用生地を同時に吐出することでセンター用生地を外殻層用生地で被覆することができる。
ココアパウダー11.9重量部、全脂粉乳7.8重量部、砂糖35重量部、ノンテンパー型植物油脂(商品名精製ヤシ油、ニューメラリン36;不二製油社製)40重量部、乳化剤0.3重量部、香料0.1重量部を用い、常法により混合した。混合後、3段ロール(井上製作所社製)にて磨砕し、その後「Stephan真空ミキサー」(Stephan社製)によりコンチングを行い、センター用フィリングを得た。
溶解したチョコレート(大東カカオ社製)にショ糖脂肪酸エステル(商品名POS−135;三菱化学フーズ社製)を各1重量部添加した後、品温が35℃となったところで結晶BOB(商品名チョコシードB;不二製油社製)を結晶量として、1重量部混合して外殻層用生地を得た。大理石にてテンパリングを行った後、モールドに注入し、その後モールドを反転し、モールドに振動を与え余分なチョコレートを除去した後20℃の室温で20分間固化させ、モールド内面にチョコレートの外殻層(以降、これをシェルと示す)を形成させた。
次に、製造例1のセンター用フィリング42.5重量部、スイートチョコレート(大東カカオ社製)42.5重量部、ノンテンパー型植物油脂(商品名ビスケッティンSF20B;Jオイルミルズ社製)3重量部、ソルビタン脂肪酸エステル(商品名ポエムS−60V;理研ビタミン社製)1重量部を混合し、品温が35℃となったところで、結晶BOB(商品名チョコシードB;不二製油社製)を結晶量として、1重量部混合してセンター用生地を得た。調温後先ほどのシェルへ充填し、冷蔵庫内にて10分間冷却固化させた。その後、上記の外層用生地15重量部を充填してボトムを形成し、冷蔵庫内にて5分間冷却固化させ剥離しセンター比率40%の食感が柔らかいセンター入りチョコレートを得た。
実施例1において、センター用フィリングの調製に使用した乳化剤をソルビタン脂肪酸エステルからグリセリン脂肪酸エステル(商品名TAISET26;太陽化学工業社製)へ変更して、センター比率40%のセンター入りチョコレートを得た。
同様に、20℃〜32℃を1サイクルとする虐待試験を行い、センター入りチョコレート表面の陥没状態を確認したところ、6サイクル経過しても陥没の起きないものであった。
実施例1において、センター用フィリングの調整に使用した乳化剤をソルビタン脂肪酸エステル(商品名ポエムS−60V;理研ビタミン社製)0.5重量部とグリセリン脂肪酸エステル(商品名TAISET26;太陽化学工業社製)0.5重量部へ変更して、センター比率40%のセンター入りチョコレートを得た。
同様に、20℃〜32℃を1サイクルとする虐待試験を行い、センター入りチョコレート表面の陥没状態を確認したところ、6サイクル経過しても陥没の起きないものであった。
40℃のチョコレート(大東カカオ社製)を大理石にてテンパリングを行った後、モールドに注入し、その後モールドを反転し、モールドに振動を与え余分なチョコレートを除去した後20℃の室温で20分間固化させ、モールド内面にチョコレートのシェルを形成させた。
次に、製造例1のセンター用フィリング50重量部、スイートチョコレート(大東カカオ社製)50重量部を混合し、調温後先ほどのシェルへ充填し、冷蔵庫内にて10分間冷却固化させた。その後、上記のシェル形成に用いたチョコレート15重量部を充填してボトムを形成し、冷蔵庫内にて5分間冷却固化させ剥離しセンター比率40%の食感が柔らかいセンター入りチョコレートを得た。
このセンター入りチョコレートにおいて20℃〜32℃を1サイクルとする虐待試験を行い、センター入りチョコレート表面の陥没状態を確認したところ、1サイクル経過した時点で陥没が生じた。
40℃のチョコレート(大東カカオ社製)を大理石にてテンパリングを行った後、モールドに注入し、その後モールドを反転し、モールドに振動を与え余分なチョコレートを除去した後20℃の室温で20分間固化させ、モールド内面にチョコレートのシェルを形成させた。
次に、製造例1のセンター用フィリング48.5重量部、スイートチョコレート(大東カカオ社製)48.5重量部、ノンテンパー型植物油脂(商品名ビスケッティンSF20B;Jオイルミルズ社製)3重量部を混合し、調温後先ほどのシェルへ充填し、冷蔵庫内にて10分間冷却固化させた。その後、上記のシェル形成に用いたチョコレート15重量部を充填してボトムを形成し、冷蔵庫内にて5分間冷却固化させ剥離しセンター比率40%の食感が柔らかいセンター入りチョコレートを得た。
このセンター入りチョコレートにおいて20℃〜32℃を1サイクルとする虐待試験を行い、センター入りチョコレート表面の陥没状態を確認したところ、1サイクル経過した時点で陥没が生じた。
40℃のチョコレート(大東カカオ社製)を大理石にてテンパリングを行った後、モールドに注入し、その後モールドを反転し、モールドに振動を与え余分なチョコレートを除去した後20℃の室温で20分間固化させ、モールド内面にチョコレートのシェルを形成させた。
次に、製造例1のセンター用フィリング42.5重量部、スイートチョコレート(大東カカオ社製)42.5重量部、ノンテンパー型植物油脂(商品名ビスケッティンSF20B;Jオイルミルズ社製)3重量部、ソルビタン脂肪酸エステル(商品名ポエムS−60V;理研ビタミン社製)1重量部、品温が35℃となったところで結晶BOB(商品名チョコシードB;不二製油社製)を結晶量として、1重量部を混合し、調温後先ほどのシェルへ充填し、冷蔵庫内にて10分間冷却固化させた。その後、上記のシェル形成に用いたチョコレート15重量部を充填してボトムを形成し、冷蔵庫内にて5分間冷却固化させ剥離しセンター比率40%の食感が柔らかいセンター入りチョコレートを得た。
このセンター入りチョコレートにおいて20℃〜32℃を1サイクルとする虐待試験を行い、センター入りチョコレート表面の陥没状態を確認したところ、2サイクル経過した時点で陥没が生じた。
溶解したチョコレート(大東カカオ社製)にショ糖脂肪酸エステル(商品名POS−135;三菱化学フーズ社製)を各1重量部、品温が35℃となったところで結晶BOB(商品名チョコシードB;不二製油社製)を結晶量として、1重量部を混合した。大理石にてテンパリングを行った後、モールドに注入し、その後モールドを反転し、モールドに振動を与え余分なチョコレートを除去した後20℃の室温で20分間固化させ、モールド内面にチョコレートのシェルを形成させた。
次に、製造例1のセンター用フィリング50重量部、スイートチョコレート(大東カカオ社製)50重量部を混合し、調温後先ほどのシェルへ充填し、冷蔵庫内にて10分間冷却固化させた。その後、上記のシェル形成に用いたチョコレート15重量部を充填してボトムを形成し、冷蔵庫内にて5分間冷却固化させ剥離しセンター比率40%の食感が柔らかいセンター入りチョコレートを得た。
このセンター入りチョコレートにおいて20℃〜32℃を1サイクルとする虐待試験を行い、センター入りチョコレート表面の陥没状態を確認したところ、2サイクル経過した時点で陥没が生じた。
溶解したチョコレート(大東カカオ社製)にショ糖脂肪酸エステル(商品名POS−135;三菱化学フーズ社製)を各1重量部及び結晶BOB(商品名チョコシードB;不二製油社製)を結晶量として、1重量部混合した。大理石にてテンパリングを行った後、モールドに注入し、その後モールドを反転し、モールドに振動を与え余分なチョコレートを除去した後20℃の室温で20分間固化させ、モールド内面にチョコレートのシェルを形成させた。
次に、製造例1のセンター用フィリング42.5重量部、スイートチョコレート(大東カカオ社製)42.5重量部、ノンテンパー型植物油脂(商品名ビスケッティンSF20B;Jオイルミルズ社製)3重量部、ソルビタン脂肪酸エステル(商品名ポエムS−60V;理研ビタミン社製)1重量部、結晶BOB(商品名チョコシードB;不二製油社製)を結晶量として、1重量部を混合し、調温後先ほどのシェルへ充填し、冷蔵庫内にて10分間冷却固化させた。その後、上記のシェル形成に用いたチョコレート15重量部を充填してボトムを形成し、冷蔵庫内にて5分間冷却固化させ剥離しセンター比率40%の食感が柔らかいセンター入りチョコレートを得た。
このセンター入りチョコレートにおいて20℃〜32℃を1サイクルとする虐待試験を行い、センター入りチョコレート表面の陥没状態を確認したところ、2サイクル経過した時点で陥没が生じた。
実施例1において、シェルチョコレートに添加した乳化剤及び結晶BOB脂の添加量を0.005重量部へ変更して、センター比率40%のセンター入りチョコレートを得た。
同様に、20℃〜32℃を1サイクルとする虐待試験を行い、センター入りチョコレート表面の陥没状態を確認したところ、2サイクル経過した時点で陥没が生じた。
〈シェルチョコレートの陥没状況〉
「◎」陥没が生じていない。
「○」陥没が生じる傾向が見られる。
「×」陥没が生じている。
Claims (2)
- ココアバター又はココアバター代替油脂25〜60重量%をセンターに含有する油脂性菓子であって、該センターにグリセリン脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルと、1,3−ジベヘニル−2−オレイルグリセロールとを含有し、前記センターを被覆する外殻層にココアバター又はココアバター代替油脂、1,3−ジベヘニル−2−オレイルグリセロール及びショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とするセンター入り油脂性菓子。
- ココアバター又はココアバター代替油脂を含む油脂組成物に、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルを混合して品温を37℃以下に調温した後、1,3−ジベヘニル−2−オレイルグリセロールを混合して、センター用生地を調製する工程、
ココアバター又はココアバター代替油脂及びショ糖脂肪酸エステルを混合して品温を37℃以下に調温した後、1,3−ジベヘニル−2−オレイルグリセロールを混合して、外殻層用生地を調製する工程、
モールドにセンター用生地を外殻層用生地で被覆するように充填して凝固させる工程
を有することを特徴とするセンター入り油脂性菓子の製造方法。
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