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JP2010230846A - 表示用粒子、表示用粒子分散液、表示媒体および表示装置 - Google Patents

表示用粒子、表示用粒子分散液、表示媒体および表示装置 Download PDF

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JP2010230846A JP2009076662A JP2009076662A JP2010230846A JP 2010230846 A JP2010230846 A JP 2010230846A JP 2009076662 A JP2009076662 A JP 2009076662A JP 2009076662 A JP2009076662 A JP 2009076662A JP 2010230846 A JP2010230846 A JP 2010230846A
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量磁郎 明石
Daisuke Nakayama
大輔 中山
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淳 川原
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Abstract

【課題】親水基を有する第2の高分子化合物を含まない場合に比べ、表示用粒子の優れた分散性と高い帯電特性とを両立する。
【解決手段】着色剤と、帯電基を有する第1の高分子ゲルと、親水基を有する第2の高分子化合物と、を含み、前記第1の高分子ゲルと前記第2の高分子化合物とが、IPN構造またはセミIPN構造を形成している表示用粒子、並びに、少なくとも一方が透光性を有する一対の基板を有し、前記一対の基板に挟まれる領域に前記表示用粒子および分散媒が封入された表示媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示用粒子、表示用粒子分散液、表示媒体および表示装置に関するものである。
メモリー性を有するディスプレイとして電気泳動表示素子が盛んに研究されている。本表示方式では、液体中に帯電した着色粒子(泳動粒子)が分散された電気泳動材料を用いて、電場付与によって泳動粒子をセル内(二枚の電極基板を重ねて該基板に挟まれる領域に電気泳動材料を封入した構成)の視野面および背面へ交互に移動させることによって表示が行なわれる。
本技術では、前記の電気泳動材料が重要な要素になっており、様々な技術開発がなされている。また、粒子を分散する液体として、揮発性が低く、化学物質としての安全性の高い材料が望まれる。この安全性の高い液体として、石油由来高沸点成分であるイソパラフィン系炭化水素溶媒(市販されている製品としてはエクソン社製のアイソパー系材料等が挙げられる)、シリコーンオイル、フッ素系液体等が望ましく、この液体中で安定に分散し、帯電性や電気泳動性に優れた材料が必要となっている。特にシリコーンオイルは揮発性や可燃性が低く、安全性が高いことから有用である。
従来技術としては、例えば、シリコーン系帯電制御高分子分散剤を用いた技術が特許文献1および特許文献2に提案されている。また、高分子ゲルを電気泳動材料として用いた技術が特許文献3および特許文献4に提案されている。
特許第3936588号公報 特開2002−212423号公報 特開2003−091024号公報 特開2003−156768号公報
本発明の目的は、親水基を有する第2の高分子化合物を含まない場合に比べ、表示用粒子の優れた分散性と高い帯電特性とを両立することにある。
上記課題は、以下の本発明により達成される。即ち、
請求項1に係る発明は、
着色剤と、帯電基を有する第1の高分子ゲルと、親水基を有する第2の高分子化合物と、を含み、
前記第1の高分子ゲルと前記第2の高分子化合物とが、IPN構造またはセミIPN構造を形成している表示用粒子である。
請求項2に係る発明は、
前記第2の高分子化合物が高分子ゲルである請求項1に記載の表示用粒子である。
請求項3に係る発明は、
前記第1の高分子ゲルと前記第2の高分子化合物とが、化学的に結合していると共に、セミIPN構造を形成している請求項1に記載の表示用粒子である。
請求項4に係る発明は、
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の表示用粒子を含む粒子群と、
前記粒子群を分散する分散媒と、
を有する表示用粒子分散液である。
請求項5に係る発明は、
平衡膨潤状態において前記表示用粒子が前記分散媒を吸液する量が0.1g/g以上50g/g以下である請求項4に記載の表示用粒子分散液である。
請求項6に係る発明は、
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
前記一対の基板に挟まれる領域に封入された請求項4または請求項5に記載の表示用粒子分散液と、
を備えた表示媒体である。
請求項7に係る発明は、
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
前記一対の基板に挟まれる領域に封入された請求項4または請求項5に記載の表示用粒子分散液と、
前記一対の基板に電圧を印加する電圧印加装置と、
を備えた表示装置である。
請求項1に係る発明によれば、帯電基を有する第1の高分子ゲルと親水基を有する第2の高分子化合物とがIPN構造またはセミIPN構造を形成していない場合に比べ、表示用粒子の優れた分散性と高い帯電特性とが両立される。
請求項2に係る発明によれば、第2の高分子化合物が高分子ゲルでない場合に比べ、表示用粒子の優れた安定性、分散性と高い帯電特性とが両立される。
請求項3に係る発明によれば、第1の高分子ゲルおよび第2の高分子化合物がセミIPN構造を形成している場合であって、第1の高分子ゲルおよび第2の高分子化合物が化学的に結合していない場合に比べ、表示用粒子の優れた安定性、分散性と高い帯電特性とが両立される。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、液体−粒子分散物としての表示用粒子の優れた分散性と高い帯電特性とが両立される。
請求項5に係る発明によれば、吸液量を考慮しない場合に比べ、表示用粒子の優れた安定性、分散性と高い帯電特性とが両立される。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、優れた表示性能が実現される。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、優れた表示性能が実現される。
第1実施形態に係る表示装置の概略構成図である。 第1実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。 第2実施形態に係る表示装置の概略構成図である。 第2実施形態に係る表示装置における、印加する電圧と粒子の移動量(表示濃度)との関係を模式的に示す線図である。 表示媒体の基板間へ印加する電圧態様と、粒子の移動態様との関係を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<表示用粒子、表示用粒子分散液>
本実施形態に係る表示用粒子分散液は、電界に応じて移動する表示用粒子(泳動粒子)を含む粒子群(泳動粒子群)と、粒子群を分散するための分散媒と、を有する。そして、当該表示用粒子(本実施形態に係る表示用粒子)は、着色剤と、帯電基を有する第1の高分子ゲルと、親水基を有する第2の高分子化合物と、を含み、前記第1の高分子ゲルと前記第2の高分子化合物とが、IPN構造またはセミIPN構造を形成している。
上記表示用粒子は、後述するイソパラフィンやシリコーンオイル等の分散媒を吸収して膨潤する特性を持った着色高分子ゲル粒子である。尚、上記第2の高分子化合物は高分子ゲルであってもよい。
ここで、上記「高分子ゲル」とは、高分子の架橋体であって前記分散媒を吸収した膨潤体を表す。尚、上記第1の高分子ゲルや上記第2の高分子化合物が高分子ゲルの状態であるか否かは、以下の方法により分析される。
まず、作製した高分子ゲルをその構成要素である高分子良溶媒(分散媒)に分散し、十分な時間攪拌を行い、その後顕微鏡観察によってゲルの形態を光学的に観察する。ゲルを形成している場合であれば、溶媒に不溶であり膨潤した状態を示す。一方、ゲル化していない場合であれば、溶媒に溶解し溶液を示すものとなる。こうして顕微鏡観察による外観の差異によってゲル化の状態の有無が判断される。
尚、この他にもガラス転移温度や熱分解温度などの熱物性の差異による方法など、公知の方法によってゲル化の有無を判断してもよい。
また前述の通り、本実施形態に係る表示用粒子は前記第1の高分子ゲルと第2の高分子化合物とが、IPN(Interpenetrating Polymer-Networks)構造またはセミIPN構造を形成している。ここで、本明細書において「IPN構造」とは、第1の高分子ゲルと、高分子ゲルである第2の高分子化合物と、が相互進入網目構造を形成していることを表す。また、本明細書において「セミIPN構造」とは、第1の高分子ゲルと、架橋構造を有さない(即ち高分子ゲルでない)第2の高分子化合物と、が相互進入網目構造を形成していることを表す。尚、上記相互進入網目構造とは、二成分以上の高分子化合物が互いに架橋し絡み合っている構造を表す。
特にシリコーン系溶媒などの非極性溶媒を用いた電気泳動材料(表示用粒子)では帯電基の酸塩基解離が進まないために正・負の帯電極性の付与が難しいうえ、高い帯電特性を得ることが難しかった。そのため、極性添加剤を溶媒中に添加し、実質的に極性溶媒として機能し得る設計が行われている。つまり、非極性溶媒中で電気泳動粒子の帯電性を得るため、極性添加剤が利用される。しかしながらこの方法では、添加剤が電気泳動材料のメモリー性を低下させたり、添加剤の劣化が電気特性や耐久性に影響を与えることがあった。
また、電気泳動材料(表示用粒子)の粒子間凝集が発生し、その結果分散性に乏しくなる場合があった。
本実施形態に係る表示用粒子は、電界に応じて移動する粒子であり、分散媒に分散された状態において帯電特性を有し、形成された電界に応じて分散媒内を移動するものである。そして、本実施形態に係る表示用粒子(表示用粒子分散液)は、従来技術のように極性添加剤を使用せずに上記構成とすることで、親水基を有する第2の高分子化合物を含まない場合に比べ、表示用粒子の優れた分散性と高い帯電特性とが両立される。即ち、電気泳動粒子(表示用粒子)に十分な帯電特性が付与され、且つ優れた安定性が得られる。
以下、表示用粒子について説明する。
(第1の高分子ゲル)
本実施形態に係る表示用粒子に用いられる第1の高分子ゲルについて説明する。尚、第1の高分子ゲルには添加剤を含んでいてもよい。
第1の高分子ゲルに用いられる高分子ゲルとしては、例えば、下記に列挙するモノマー群から選択される1種以上のモノマーからなる単独重合体の架橋体(高分子ゲル)、2種以上のモノマーからなる共重合体の架橋体(高分子ゲル)が挙げられ、後述の分散媒に不溶である膨潤体を形成する性質を持つものである。また、上記高分子ゲルとしては、下記モノマー群からなる重合体または共重合体の架橋体の他にも、ポリエステル系高分子の架橋体、ポリビニルアセタール誘導体の架橋体、ポリウレタン系高分子の架橋体、ポリウレア系高分子の架橋体、ポリエーテル系高分子の架橋体、ポリアミド系高分子の架橋体、またはポリカーボネート系高分子の架橋体等も挙げられる。
−モノマー群−
例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族置換基をもった(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シリコーン鎖をもった(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルアミン、アリルアミン、スチレン、ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、スチレン、スチレン誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。なお、これらの表記において、「(メタ)アクリレート」等の記述は、「アクリレート」および「メタクリレート」等のいずれをも含む表現である。
尚、重合反応時に高分子ゲルを形成する場合には、架橋性モノマーでもある多官能モノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シリコーン系の多官能性(メタ)アクリレートモノマー(信越化学工業社製:XX−22−164、XX−22−164AS、XX−22−164A、XX−22−164B、XX−22−164C、XX−22−164Eなど)、メチレンビスアクリルアミド、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが使用される。
・帯電基を有するモノマー
また、第1の高分子ゲルには酸基(またはその塩)や塩基(またはその塩)等の帯電基が含有される。
帯電付与のために共重合するモノマーとしては、アミノ基や酸基等の帯電基(帯電官能基)を持ったモノマーが挙げられる。また、これらの官能基のうち、アミノ基は酸と反応させた塩として、あるいはアルキルハライドやトシラートと反応させた4級化物とすることが望ましい。そのためにはモノマーとして処理されたものを使用しても、あるいは重合後に上記反応によって処理してもいずれでも構わない。
帯電基をもったモノマーとしては、アミノ基、4級アンモニウム基、酸基、酸塩基などをもったモノマー、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルアミン、アリルアミンおよびこれらの4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸およびその塩、マレイン酸、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩、ビニルスルホン酸およびその塩等が挙げられる。特に、4級アンモニウム塩が好ましく、具体的にはテトラアルキルアンモニウム・ハライド塩、テトラアルキルアンモニウム・スルホン酸塩、テトラアルキルアンモニウム・テトラフェニルボロン塩が有用である。また、酸の塩としてはカルボン酸、スルホン酸やりん酸のアンモニウム塩等が有用である。
本実施形態において第1の高分子ゲルは、上記したモノマー群から選択されたものを重合し、例えば架橋性モノマーを用いて重合の際にゲル化を行うことにより製造し得る。また、重合時には架橋性モノマーを添加せず、生成した高分子に必要に応じて架橋剤を添加して紫外線や電子線などの放射線や熱を付与することによっても製造し得る。尚、上記架橋剤としては、周知のごとく、多官能イソシアネート、多官能エポキシ、メラミン等が使用される。
本実施形態において特に、高分子ゲルとしては、架橋されたシリコーン系高分子、または架橋された長鎖アルキル系高分子が好適に挙げられる。以下に詳しく説明する。
・架橋されたシリコーン系高分子
例えば、以下の各成分(A.シリコーン鎖成分、B.帯電成分、C.その他共重合成分)からなる共重合体が好適に挙げられる。
A.シリコーン鎖成分
シリコーン鎖成分としては、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越化学工業社製:X−22−174DX,X−22−2426,X−22−2475等、Gelest Inc.社製:RMS−044,RMS−033,RMS−083等の単官能モノマーや、信越化学工業社製:XX−22−164,XX−22−164AS,XX−22−164A,XX−22−164B,XX−22−164C,XX−22−164E等、Gelest Inc.社製:DMS−R05,DMS−R11,DMS−R18,DMS−R22,DMS−R31,DMS−U22,DBE−U12,DBE−U22,SIB1400等)が挙げられる。
B.帯電成分
帯電成分としては、上記した帯電基を有するモノマーが挙げられる。
C.その他共重合成分
必要に応じて共重合可能な、その他共重合成分を添加してもよい。
その他共重合成分としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート。エチレンオキシドユニットを持ったモノマー、例えばテトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートなどのアルキルオキシオリゴエチレングリコールの(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの片末端(メタ)アクリレート、前記した架橋性モノマーなどが挙げられる。
なお、上記のうち成分A,Bは必須成分であり、成分Cは必要に応じて共重合する。3成分の共重合比は、A.シリコーン鎖成分は20質量%以上が望ましく、50質量%以上がより望ましい。また、B.帯電成分は1質量%以上50質量%以下が望ましい。
これら高分子の架橋によるゲル化は、前述の通り、前記したモノマー群から選択されたものを重合し、例えば架橋モノマーを用いて重合の際にゲル化を行う方法、生成した高分子に必要に応じて架橋剤を添加して紫外線や電子線などの放射線や熱を付与する方法、とうによって行われる。
シリコーン系モノマーとしては、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(下記構造式2で示されるシリコーン化合物:例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越シリコーン(株):X−22−174DX,X−22−2426,X−22−2475等)が挙げられる。
構造式2中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。R’は、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。nは自然数(例えば1以上1000以下、好ましくは3以上100以下)を示す。xは1以上3以下の整数を示す。
・架橋された長鎖アルキル系高分子
一方、長鎖アルキル系高分子としては、例えば上記したシリコーン系共重合体と類似した構成のもので、成分A.シリコーン鎖成分の代わりに長鎖アルキル成分A’として長鎖アルキル(メタ)アクリレートを用いたものが挙げられる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては炭素数4以上のアルキル鎖をもったものが望ましく、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、共重合体中の成分A’、B,Cの組成比は前述のシリコーン系高分子における範囲から選択される。
なお、長鎖アルキル系高分子の「長鎖」とは、例えば、炭素数4以上30以下のアルキル鎖を側鎖に有する高分子を意味する。
−第1の高分子ゲルの作製方法(重合法)−
第1の高分子ゲルは架橋された高分子であり、上記した各材料(モノマー)を用いて以下の組み合わせで作製される。
(1)少なくとも、前記モノマー群におけるモノマーと、前記帯電基を有するモノマーと、架橋剤と、を重合して形成する。上記架橋剤としては例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多官能モノマーや、前記した多官能モノマーが使用される。なお、この場合には架橋剤である多官能モノマーは、モノマー全体量に対して0.01質量%以上90質量%以下の範囲で添加することが好ましい。
(2)前記した多官能モノマーを主成分として重合する。尚、ここで「主成分」とは、高分子ゲルの組成として最も多い質量比をもったものであることを表す。例えばシリコーン系の多官能モノマーを主成分として、これに帯電基を有するモノマーを配合して重合することでシリコーン系高分子ゲルが作製される。
尚、後述の表示用粒子の作製に記載の方法によって本実施形態に係る表示用粒子を作製する場合には、上記第1の高分子ゲルの作製の際に、上記モノマー等の各種材料と共に着色剤を添加し、第1の高分子ゲルに着色剤を含有させることが好ましい。
(着色剤)
上記着色剤としては、有機若しくは無機の顔料や、油溶性染料等が使用され、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。具体的には、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして例示される。また、空気を内包した多孔質のスポンジ状粒子や中空粒子は白色粒子としても用いられる。
また、この他公知の染料を使用してもよい。
(第2の高分子化合物)
次いで、本実施形態に係る表示用粒子に用いられる親水基を有する第2の高分子化合物について説明する。
前述の通り、前記第1の高分子ゲルと第2の高分子化合物とはポリマーネットワークレベルで絡ませた相互進入網目構造(即ちIPN構造またはセミIPN構造)を形成していることが好ましい。IPN構造である場合には第2の高分子化合物が高分子ゲルであり、一方セミIPN構造である場合には第2の高分子化合物が架橋構造を有さない(即ち高分子ゲルでない)。
上記第2の高分子化合物としては、例えば、前記第1の高分子ゲルに用いたモノマー群に記載のモノマーと、親水基を持ったモノマーと、の共重合体が挙げられる。また、第2の高分子化合物は後述する分散媒に溶解あるいは膨潤する性質をもつことが望ましい。
前記第1の高分子ゲルに用いたモノマー群に記載のモノマーの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シリコーン鎖をもった(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく用いられる。
また、上記親水基としては、例えば、水酸基、ポリエチレングリコール基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。親水基を持ったモノマーとしてはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
尚、種々のアルキル(メタ)アクリレート類、スチレン類などを予め定められた組成で共重合してもよい。またIPN構造を形成させる場合には、前述の第1の高分子ゲルに用いた多官能性モノマーを架橋剤として使うことが好ましい。
親水基を持ったモノマーは、第2の高分子中に0.1質量%以上50質量%以下の範囲で共重合することが好ましい。
また、第2の高分子化合物が架橋構造を有さない(セミIPN構造である)場合、第2の高分子化合物の重量平均分子量は1万以上であることが好ましい。重量平均分子量が1万以上であれば、第1の高分子ゲルと第2の高分子化合物とが安定に複合化され、第2の高分子化合物が、第1の高分子ゲルの外部に溶出しづらくなるため安定な特性が得られる。
(表示用粒子の作製)
次いで、本実施形態に係る表示用粒子の作製方法について説明する。
本実施形態に係る表示用粒子がセミIPN構造である(即ち第2の高分子化合物が架橋構造を有さない)場合には、前述の方法により得られた着色剤を含有する第1の高分子ゲルと、前記第2の高分子化合物の材料(第1の高分子ゲルに用いたモノマー群に記載のモノマー、親水基を持ったモノマー等)と、更に場合によって溶媒(後述の分散媒)と、開始剤と、を含浸した後に重合を行う。重合後に未反応モノマー等を洗浄等よって除去することで表示用粒子が作製される。
また、本実施形態に係る表示用粒子がIPN構造である場合には、更に架橋剤を含浸させて重合を行う。
尚、本実施形態に係る表示用粒子は、セミIPN構造であることにより優れた製造性をもち、また形状がより球形に近い表示用粒子を得ることが容易なため、その結果泳動性により優れた表示用粒子となる。
また、上記表示用粒子がセミIPN構造である場合には、更に第1の高分子ゲルと前記第2の高分子化合物とが化学的に結合していることが好ましい。化学的に結合していることにより、更に強固に絡みあいが達成される。
尚、化学的な結合を形成する方法としては、例えば、第2の高分子化合物の材料として反応性基(例えば、エポキシ基、イソシアネート基等)を有するモノマーを用い、当該反応性基と第1の高分子ゲルの表面に存在する官能基(該官能基が前記帯電基を兼ねていてもよい)とを結合させつつ、第2の高分子化合物を重合させる方法が挙げられる。
ここで、第1の高分子ゲルと第2の高分子化合物との添加割合は、質量比で50/1乃至1/10の範囲が好ましい。また、表示用粒子中における着色剤の濃度は、粒子質量に対して1質量%以上80質量%以下の範囲が好ましい。
次いで、本実施形態に係る表示用粒子分散液について説明する。
(溶媒)
本実施形態に係る表示用粒子分散液は、前述の通り、本実施形態に係る表示用粒子(泳動粒子)を含む粒子群(泳動粒子群)と、粒子群を分散するための分散媒と、を有する。
前記分散媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、パーフルオロエーテル類、高純度石油、エチレングリコール、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン等や、これらの混合物が使用される。
中でも、イソパラフィンまたはシリコーンオイル、或いはこれらと他の溶媒との混合物が好適に用いられる。
上記シリコーンオイルとして具体的には、シロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル等)、変性シリコーンオイル(例えば、フッ素変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイルなど)が挙げられる。これらの中も、ジメチルシリコーンが特に望ましい。
シリコーンオイルの粘度は、温度20℃の環境下において、0.1mPa・s以上20mPa・s以下であることが望ましく、より望ましくは0.1mPa・s以上2mPa・s以下である。なお、この粘度の測定には、東京計器製B−8L型粘度計を用いる。
パラフィン系炭化水素溶媒としては、炭素数20以上(沸点80℃以上)のノルマルパラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素が挙げられるが、イソパラフィンを用いることがより望ましい。具体的には、シェルゾル71(シェル石油製)、アイソパーO、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーG、アイソパーM(アイソパーはエクソン社の商品名)やアイピーソルベント(出光石油化学製)等が挙げられる。
本実施形態に係る表示用粒子分散液中の表示用粒子の濃度は、表示特性や応答特性あるいはその用途によって種々選択されるが0.1質量%以上30質量%以下の範囲で選択されることが望ましい。色の異なった多粒子を混合する場合にはその粒子総量がこの範囲であると望ましい。
また、色や帯電極性の異なる複数種の粒子を混合して使用し、カラー表示を得るということも望ましく実施される。
本実施形態に係る表示用粒子の平衡膨潤状態における吸液量(前記分散媒を吸液する量)は0.1g/g以上50g/g以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.2g/g以上50g/g以下、特に好ましくは0.5g/g以上20g/g以下である。
尚、上記平衡膨潤状態における吸液量は以下の方法により測定され、本明細書に記載の値は下記方法によって測定されたものである。まず、乾燥状態(分散媒を全く含んでいない状態)の表示用粒子を分散媒中に室温(22℃)で24時間浸漬し、その前後の大きさの変化を測定し、これに分散媒および表示用粒子の比重を考慮して乾燥表示用粒子質量当たりの分散媒質量の比として算出する。
本実施形態に係る表示用粒子分散液は、電気泳動方式の表示媒体、電気泳動方式の調光媒体(調光素子)、液体現像方式電子写真システムの液体トナーなどに利用される。なお、電気泳動方式の表示媒体、電気泳動方式の調光媒体(調光素子)としては、公知である電極(基板)面に対して垂直方向に粒子群を移動させる方式、それとは異なり水平方向に移動させる方式(いわゆるインプレーン型素子)、またはこれらを組み合わせたハイブリッド素子がある。
<表示媒体、表示装置>
次いで、本実施形態に係る表示媒体、および表示装置について説明する。
本実施形態に係る表示媒体は、少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、前記一対の基板に挟まれる領域に封入された前記本実施形態に係る表示用粒子分散液と、を備えたことを特徴とする。
また、本実施形態に係る表示装置は、前記表示媒体と、前記表示媒体の前記一対の基板に電圧を印加する電圧印加装置と、を備えたことを特徴とする。
以下、本実施形態に係る表示媒体、および表示装置の一例について図面を用いて説明する。
−第1実施形態−
まず、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る表示装置の概略構成図である。図2は、第1実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。
第1実施形態に係る表示装置10は、その表示媒体12の分散媒50と粒子群34とを含む粒子分散液として、上記実施形態に係る表示用粒子と分散媒とを含む本実施形態に係る表示用粒子分散液を適用する形態である。
第1実施形態に係る表示装置10は、図1に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18と、を含んで構成されている。
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板20、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22、これらの基板間を定められた間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との基板間を複数のセルに区画する間隙部材24、各セル内に封入された粒子群34、および粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する大径着色粒子群36を含んで構成されている。
上記セルとは、表示基板20と、背面基板22と、間隙部材24と、によって囲まれた領域を示している。このセル中には、分散媒50が封入されている。粒子群34(詳細後述)は、複数の粒子から構成されており、この分散媒50中に分散され、セル内に形成された電界強度に応じて表示基板20と背面基板22との基板間を大径着色粒子群36の間隙を通じて移動する。
なお、本実施形態では、1つのセル内に封入されている粒子群34は、定められた色を有すると共に、正または負に帯電処理されて予め調製されているものとして説明する。
なお、この表示媒体12に画像を表示したときの各画素に対応するように間隙部材24を設け、各画素に対応するようにセルを形成することで、表示媒体12を、画素毎に表示し得るように構成してもよい。
また、本実施形態では、説明を簡易化するために、1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。以下、各構成について詳細に説明する。
まず、一対の基板について説明する。表示基板20は、支持基板38上に、表面電極40および表面層42を順に積層した構成となっている。背面基板22は、支持基板44上に、背面電極46および表面層48を積層した構成となっている。
表示基板20、または表示基板20と背面基板22との双方は、透光性を有している。ここで、本実施形態における透光性とは、可視光の透過率が60%以上であることを示している。
支持基板38および支持基板44としては、ガラスや、プラスチック、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
表面電極40および背面電極46には、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等が使用される。これらは単層膜、混合膜あるいは複合膜として使用でき、蒸着法、スパッタリング法、塗布法等で形成される。また、その厚さは、蒸着法、スパッタリング法によれば、通常100Å以上2000Å以下である。背面電極46および表面電極40は、従来の液晶表示媒体あるいはプリント基板のエッチング等従来公知の手段により、所望のパターン、例えば、マトリックス状、またはパッシブマトリックス駆動をし得るストライプ状に形成してもよい。
また、表面電極40を支持基板38に埋め込んでもよい。また、背面電極46を支持基板44に埋め込んでもよい。この場合、支持基板38および支持基板44の材料を粒子群34の各粒子の組成等に応じて選択する。
なお、背面電極46および表面電極40各々を表示基板20および背面基板22と分離させ、表示媒体12の外部に配置してもよい。
なお、上記では、表示基板20と背面基板22の双方に電極(表面電極40および背面電極46)を備える場合を説明したが、何れか一方にだけ設けるようにして、アクティブマトリクス駆動させるようにしてもよい。
また、アクティブマトリックス駆動を採用にするために、支持基板38および支持基板44は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)を備えていてもよい。配線の積層化および部品実装が容易であることから、TFTは表示基板ではなく背面基板22に形成することが望ましい。
次に、間隙部材について説明する。上記表面電極40および背面電極46が、各々支持基板38および支持基板44上に形成されている場合、表面電極40および背面電極46各々上に誘電体膜としての表面層42および表面層48を形成してもよい。
この表面層42および表面層48を形成する材料としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂、フッ素樹脂等を用いてもよい。
また、上記した絶縁材料の他に、絶縁材料中に電荷輸送物質を含有させたものも使用され得る。
電荷輸送物質としては、例えば、正孔輸送物質であるヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、アリールアミン化合物等が挙げられる。また、電子輸送物質であるフルオレノン化合物、ジフェノキノン誘導体、ピラン化合物、酸化亜鉛等も使用してもよい。さらに、電荷輸送性を有する自己支持性の樹脂を用いてもよい。
具体的には、ポリビニルカルバゾール、米国特許第4806443号に記載の特定のジヒドロキシアリールアミンとビスクロロホルメートとの重合によるポリカーボネート等が挙げられる。誘電体膜は、粒子の組成等に応じて選択する。基板の一方である表示基板は光を透過する必要があるので、上記各材料のうち透明のものを使用することが望ましい。
次に、間隙部材について説明する。表示基板20と背面基板22との基板の間隙を保持するための間隙部材24は、表示基板20の透光性を損なわないように形成され、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で形成される。
間隙部材24は表示基板20および背面基板22の何れか一方と一体化されてもよい。この場合には、支持基板38または支持基板44をエッチングするエッチング処理、レーザー加工処理、予め作製した型を使用してプレス加工処理または印刷処理等を行うことによって作製する。
この場合、間隙部材24は、表示基板20側、背面基板22側のいずれか、または双方に作製する。
間隙部材24は有色でも無色でもよいが、表示媒体12に表示される表示画像に悪影響を及ぼさないように無色透明であることが望ましく、その場合には、例えば、ポリスチレンやポリエステルやアクリルなどの透明樹脂等が使用される。
また、粒子状の間隙部材24もまた透明であることが望ましく、ポリスチレン、ポリエステルまたはアクリル等の透明樹脂粒子の他、ガラス粒子も使用される。
なお、「透明」とは、可視光に対して、透過率60%以上有することを示している。
次に、大径着色粒子群について説明する。大径着色粒子群36は、帯電されていない粒子群であり、粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する大径着色粒子から構成され、粒子群34とは異なる色を表示する反射部材として機能するものである。そして、表示基板20と背面基板22との基板間の移動を阻害することなく、移動させる空隙部材としての機能も有している。すなわち、大径着色粒子群36の間隙を通って、背面基板22側から表示基板20側、または表示基板20側から背面基板22側へ粒子群34の各粒子は移動される。この大径着色粒子群子36の色としては、例えば、背景色となるように白色または黒色を選択することが望ましい。なお、本実施形態では、大径着色粒子群36は白色である場合を説明するが、この色に限定されることはない。
大径着色粒子群36は、例えば、酸化チタンや酸化ケイ素、酸化亜鉛などの白色顔料を、ポリスチレンやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、PMMA、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド縮合物などに分散した粒子が使用される。また、着色部材を構成する粒子として、白色以外の粒子を適用する場合、例えば、所望の色の顔料、あるいは染料を内包した前記した樹脂粒子を使用してもよい。顔料や染料は、例えばRGBやYMC色であれば、印刷インキやカラートナーに使用されている一般的な顔料あるいは染料が使用してもよい。
大径着色粒子群36を基板間へ封入するには、例えば、インクジェット法などにより行う。また、大径着色粒子群36を固定化する場合、例えば、大径着色粒子群36を封入した後、加熱(および必要があれば加圧)して、大径着色粒子群36の粒子群表層を溶かすことで、粒子間隙を維持させつつ行われる。
表示媒体12における上記セルの大きさとしては、表示媒体12の解像度と密接な関係にあり、セルが小さいほど高解像度な画像を表示可能な表示媒体12を作製することができ、通常、表示媒体12の表示基板20の板面方向の長さが10μm以上1mm以下である。
上記表示基板20および背面基板22を、間隙部材24を介して互いに固定するには、ボルトとナットの組み合わせ、クランプ、クリップ、基板固定用の枠等の固定手段を使用する。また、接着剤、熱溶融、超音波接合等の固定手段も使用してもよい。
このように構成される表示媒体12は、例えば、画像の保存および書換えが可能な掲示板、回覧版、電子黒板、広告、看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、および複写機・プリンタと共用するドキュメントシート等に使用する。
上記に示したように、本実施形態に係る表示装置10は、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18とを含んで構成されている(図1参照)。
電圧印加部16は、表面電極40および背面電極46に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、表面電極40および背面電極46の双方が、電圧印加部16に電気的に接続されている場合を説明するが、表面電極40および背面電極46の一方が、接地されており、他方が電圧印加部16に接続された構成であってもよい。
電圧印加部16は、制御部18に信号授受可能に接続されている。
制御部18は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、装置全体を制御する制御プログラム等の各種プログラムが予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、を含むマイクロコンピュータとして構成されていてもよい。
電圧印加部16は、表面電極40および背面電極46に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部18の制御に応じた電圧を表面電極40および背面電極46間に印加する。
次に、表示装置10の作用を説明する。この作用は制御部18の動作に従って説明する。
ここで、表示媒体12に封入されている粒子群34は、黒色であり且つ負極性に帯電されている場合を説明する。また、分散媒50は透明であり、大径着色粒子群36が白色であるものとして説明する。すなわち、本実施形態では、表示媒体12は、粒子群34の移動によって黒色または白色を表示する場合を説明する。
まず、電圧を、定められた時間、表面電極40が負極となり背面電極46が正極となるように印加することを示す初期動作信号を、電圧印加部16へ出力する。基板間に負極で且つ濃度変動が終了する閾値電圧以上の電圧が印加されると、負極に帯電している粒子群34を構成する粒子が背面基板22側へと移動して、背面基板22に到る(図2(A)参照)。
このとき、表示基板20側から視認される表示媒体12の色は、大径着色粒子群36の色としての白色として視認される。
このT1時間は、初期動作における電圧印加における電圧印加時間を示す情報として、予め制御部18内の図示を省略するROM等のメモリ等に記憶しておけばよい。そして、処理実行のときに、この定められた時間を示す情報を読み取るようにすればよい。
次に、表面電極40と背面電極46との電極間に、基板間に印加した電圧とは極性を反転させて、表面電極40を正極とし背面電極46を負極として電圧を印加すると、図2(B)に示すように、粒子群34は表示基板20側へと移動して表示基板20側に到達し、粒子群34による黒表示がなされる。
−第2実施形態−
以下、第2実施形態に係る表示装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る表示装置の概略構成図である。図4は、第2実施形態に係る表示装置における、印加する電圧と粒子の移動量(表示濃度)との関係を模式的に示す線図である。図5は、第2実施形態に係る表示装置における、表示媒体の基板間へ印加する電圧態様と、粒子の移動態様との関係を模式的に示す説明図である。
第2実施形態に係る表示装置10は、2種類以上の粒子群を適用した形態である。なお、2種類以上の粒子群は、全て同じ極性で帯電されている。
本実施形態に係る表示装置10は、図3に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18と、を含んで構成されている。
なお、本実施形態に係る表示装置10は、上記第1実施形態で説明した表示装置10と略同一の構成であるため、同一構成には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板20、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22、これらの基板間を定められた間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との基板間を複数のセルに区画する間隙部材24、各セル内に封入された粒子群34、および粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する大径着色粒子群36を含んで構成されている。
表示基板20および背面基板22の対向面は、第1実施形態に記載のごとく帯電処理されており、この対向面上には、表面層42および表面層48各々が設けられている。
本実施形態では、粒子群34として、互いに色の異なる複数種の粒子群34が分散媒50に分散されている。
なお、本実施形態では3種類の粒子群34として、互いに色の異なる粒子群34として、イエロー色のイエロー粒子群34Y、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、およびシアン色のシアン粒子群34Cが分散されているとして説明するが、3種類に限られない。
この複数種類の粒子群34は、基板間を電気泳動する粒子群であり、電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が各色の粒子群でそれぞれ異なる。すなわち、各色の粒子群34(イエロー粒子群34Y、マゼンタ粒子群34M、およびシアン粒子群34C)は、色毎に各色の粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲を有し、当該電圧範囲がそれぞれ異なる。
この電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が異なる複数種の粒子群34の各粒子としては、上記前述の本実施形態に係る表示用粒子を構成する材料の内の、例えば、粒子を構成する樹脂の種類や濃度、帯電制御剤の量等を換える等して、帯電量の異なる粒子を含む粒子分散液をそれぞれ作製し、これを混合することで得られる。
ここで、上述のように、本実施形態に係る表示媒体12には3種類の粒子群34として、互いに色の異なるイエロー粒子群34Y、マゼンタ粒子群34M、およびシアン粒子群34Cが分散されており、これらの複数種類の粒子群34は、電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が各色の粒子群でそれぞれ異なる。
なお、本実施形態では、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、シアン色のシアン粒子群34C、およびイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の粒子群各々が移動を開始するときの電圧の絶対値として、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mが|Vtm|、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vtc|、イエロー色のイエロー粒子群34Yが|Vty|であるとして説明する。また、各色粒子群34のゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、シアン色のシアン粒子群34C、およびイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の粒子群各々を全て移動させるための最大電圧の絶対値として、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mが|Vdm|、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vdc|、イエロー色のイエロー粒子群34Yが|Vdy|であるとして説明する。
なお、以下で説明するVtc、−Vtc、Vdc、−Vdc、Vtm、−Vtm、Vdm、−Vdm、Vty、−Vty、Vdy、および−Vdyの絶対値は、|Vtc|<|Vdc|<|Vtm|<|Vdm|<|Vty|<|Vdy|の関係であるとして説明する。
具体的には、図4に示すように、例えば、3種類の粒子群34は、全て同極性に帯電された状態で分散媒50内に分散され、シアン粒子群34Cを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtc≦Vc≦Vdc|(Vtc以上Vdc以下の値の絶対値)、マゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(Vtm以上Vdm以下の値の絶対値)、およびイエロー粒子群34Yを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(Vty以上Vdy以下の値の絶対値)が、この順で重複することなく、大きくなるように設定されている。
また、各色の粒子群34を独立駆動するために、シアン粒子群34Cを全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdc|が、マゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(Vtm以上Vdm以下の値の絶対値)、およびイエロー粒子群34Yを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(Vty以上Vdy以下の値の絶対値)よりも小さく設定されている。また、マゼンタ粒子群34Mを全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdm|が、イエロー粒子群34Yを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(Vty以上Vdy以上の値の絶対値)よりも小さく設定されている。
即ち、本実施形態では、各色の粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲が重ならないように設定することによって、各色の粒子群34が独立駆動されるようにしている。
なお、「粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲」とは、粒子が移動開始するために必要な電圧と移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和するまでの電圧範囲を示す。
また、「粒子群34を全て移動させるために必要な最大電圧」とは上記の移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和する電圧を示す。
また、「全て」とは、各色の粒子群34の特性ばらつきがあるため、一部の粒子群34の特性が表示特性に寄与しない程度異なるものがあることを含む。すなわち上述した移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和した状態である。
また、「表示濃度」は、表示面側における色濃度を光学濃度(Optical Density=0D)の反射濃度計X−rite社の反射濃度計で測定しながら、表示面側と背面側との間に電圧を印加して且つこの電圧を測定濃度が増加する方向に徐々に変化(印加電圧を増加または減少)させて、単位電圧あたりの濃度変化が飽和し、且つその状態で電圧および電圧印加時間を増加させても濃度変化が生じず、濃度が飽和したときの濃度を示している。
そして、本実施形態に係る表示媒体12では、表示基板20と背面基板22との基板間に0Vから電圧を印加して除々に印加電圧の電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtcを超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdcとなると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
さらに電圧値を上昇させて、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vtmを超えると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vdmとなると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が止まる。
さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtyを超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdyとなると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が止まる。
反対に、表示基板20と背面基板22との基板間に0Vからマイナス極の電圧を印加して除々に電圧の絶対値を上昇させ、基板間に印加された電圧−Vtcの絶対値を超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの基板間の移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値の絶対値を上昇させ、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdc以上となると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
さらに電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表示基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtmの絶対値を超えると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdmとなると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が止まる。
さらに電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表示基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtyの絶対値を超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、基板間に印加された電圧が−Vdyとなると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が止まる。
すなわち、本実施形態では、図4に示すように、基板間に印加される電圧が−Vtcから+Vtcの範囲内(電圧範囲|Vtc|以下)となる電圧が表示基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子群34(シアン粒子群34C、マゼンタ粒子群34M、およびイエロー粒子群34Y)の粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtcおよび電圧−Vtcの絶対値より高い電圧が印加されると、3色の粒子群34の内のシアン粒子群34Cについて表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子の移動が生じはじめて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdcおよび電圧Vdcの絶対値|Vdc|以上の電圧が印加されると、単位電圧あたりの表示濃度に変化は生じなくなる。
さらに、基板間に印加される電圧が−Vtmから+Vtmの範囲内(電圧範囲|Vtm|以下)となる電圧が表示基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程のマゼンタ粒子群34Mおよびイエロー粒子群34Yの粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtmおよび電圧−Vtmの絶対値より高い電圧が印加されると、マゼンタ粒子群34Mおよびイエロー粒子群34Yの内のマゼンタ粒子群34Mについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子の移動が生じはじめて単位電圧あたりの表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdmおよび電圧Vdmの絶対値|Vdm|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
さらに、基板間に印加する電圧が−Vtyから+Vtyの範囲内(電圧範囲|Vty|以下)となる電圧が表示基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程のイエロー粒子群34Yの粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtyおよび電圧−Vtyの絶対値より高い電圧が印加されると、イエロー粒子群34Yについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子の移動が生じ始めて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdyおよび電圧Vdyの絶対値|Vdy|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
次に、図5を参照して、表示媒体12に画像を表示するときの粒子移動のメカニズムを説明する。
例えば、表示媒体12に、複数種類の粒子群34として、図4を用いて説明したイエロー粒子群34Y、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34Cが封入されているとして説明する。
また、以下では、イエロー粒子群34Yを構成する粒子が移動開始するために必要な電圧の絶対値より大きく、且つイエロー粒子群34Yの上記最大電圧以下で基板間に印加する電圧を「大電圧」と称し、マゼンタ粒子群34Mを構成する粒子が移動開始するために必要な電圧の絶対値より大きく、且つマゼンタ粒子群34Mの上記最大電圧以下で基板間に印加する電圧を「中電圧」と称し、シアン粒子群34Cを構成する粒子が移動開始するために必要な電圧の絶対値より大きく、且つシアン粒子群34Cの上記最大電圧以下で基板間に印加する電圧を「小電圧」と称して説明する。
また、表示基板20側に背面基板22側より高い電圧を基板間に印加する場合には、各々の電圧を、「+大電圧」、「+中電圧」、および「+小電圧」と各々と称する。また、背面基板22側に表示基板20側より高い電圧を基板間に印加する場合には、各々の電圧を、「−大電圧」、「−中電圧」、および「−小電圧」と各々と称して説明する。
図5(A)に示すように、初期状態では全ての粒子群としてのマゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Yの全てが背面基板22側に位置されるとすると(白色表示状態)、この初期状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+大電圧」を印加させると、全ての粒子群として、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Yが表示基板20側に移動する。この状態で、電圧印加を解除しても、各粒子群各々は表示基板20側に付着したまま移動せずに、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Yによる減色混合(マゼンタと、シアンと、イエロー色の減色混合)により黒色を表示したままの状態となる。(図5(B)参照)。
次に、図5(B)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−中電圧」を印加させると、全ての色の粒子群34の内、マゼンタ粒子群34Mと、シアン粒子群34Cと、が背面基板22側に移動する。このため、表示基板20側にはイエロー粒子群34Yのみが付着した状態となることから、イエロー色表示がなされる(図5(C)参照)。
さらに、図5(C)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+小電圧」を印加させると、背面基板22側に移動したマゼンタ粒子群34Mおよびシアン粒子群34Cの内、シアン粒子群34Cが表示基板20側に移動する。このため、表示基板20側には、イエロー粒子群34Yおよびシアン粒子群34Cが付着した状態となり、イエローとシアンとの減色混合による緑色が表示される(図5(D)参照)。
また、上記図5(B)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−小電圧」を印加させると、全ての粒子群34のシアン粒子群34Cが背面基板22側に移動する。このため、表示基板20側にはイエロー粒子群34Yとマゼンタ粒子群34Mが付着した状態となることから、シアンとマゼンタの加色混合による赤色表示がなされる(図5(I)参照)。
一方、図5(A)に示す上記初期状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+中電圧」を印加させると、全ての粒子群34(マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Y)の内、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cとが表示基板20側に移動する。このため、表示基板20側には、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cとが付着するので、マゼンタとシアンの減色混合による青色が表示される(図5(E)参照)。
この図5(E)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−小電圧」を印加させると、表示基板20側に付着しているマゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cの内の、シアン粒子群34Cが背面基板22側に移動する。
このため、表示基板20側には、マゼンタ粒子群34Mのみが付着した状態となるので、マゼンタ色が表示される(図5(F)参照)。
この図5(F)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−大電圧」を印加させると、表示基板20側に付着しているマゼンタ粒子群34Mが背面基板22側に移動する。
このため、表示基板20側には、何も付着しない状態となるため、大径着色粒子群36の色としての白色が表示される(図5(G)参照)。
また、上記図5(A)に示す上記初期状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+小電圧」を印加させると、全ての粒子群34(マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Y)の内、シアン粒子群34Cが表示基板20側に移動する。このため、表示基板20側には、シアン粒子群34Cが付着するので、シアン色が表示される(図5(H)参照)。
さらに、上記図5(I)に示す状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−大電圧」を印加させると、図5(G)に示すように全ての粒子群34が背面基板22側に移動して白色表示がなされる。
また、上記図5(D)に示す状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−大電圧」を印加させると、図5(G)に示すように全ての粒子群34が背面基板22側に移動して白色表示がなされる。
本実施形態では、各粒子群34に応じた電圧を基板間に印加することで、当該電圧による電界に応じて選択的に所望の粒子を移動させるので、所望の色以外の色の粒子が分散媒50中を移動することを抑制することができ、所望の色以外の色が混じる混色を抑制され、表示媒体12の画質劣化を抑制しつつ、カラー表示がなされる。なお、各粒子群34は、互いに電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が異なれば、互いに電界に応じて移動するために必要な電圧範囲が重なっていても、鮮明なカラー表示が実現されるが、当該電圧範囲が互いに異なるほうが、より混色を抑制してカラー表示が実現される。
また、シアン、マゼンタ、イエローの3色の粒子群34を分散媒50中に分散することによって、シアン、マゼンタ、イエロー、青色、赤色、緑色、および黒色を表示するとともに、例えば、白色の大径着色粒子群36によって白色を表示し、特定のカラー表示を行うことが実現される。
このように、本実施形態に係る表示装置10でも、上記第1実施形態で説明した表示装置10に記載のごとく、粒子群34が表示基板20または背面基板22に到達して、付着することで表示が行われる。
以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
〔比較例1〕
ステアリルメタクリレートを主成分とした酸基を含む青色高分子ゲル粒子を下記の方法で作製し評価を行った。
(顔料分散液)
青色顔料(山陽色素:シアニンブルー3020):3.0質量部、IsoparM(エクソンモービル製):27質量部、および分散剤であるSolsperse17000(アビシア社製):1.5質量部を混合し、超音波破砕機(エスエムテー社製UH−600S)を用いて10分間攪拌し顔料を分散した。
次に分散媒としてポリビニルピロリドン(和光純薬製、分子量:90K)2質量部およびドデシル硫酸ナトリウム:0.5質量部を蒸留水100質量部に混合した溶液を調製した。
(ゲル粒子)
上記で調製した顔料分散液:5質量部、ステアリルメタクリレート4質量部、メタクリル酸のトリヘキシルアミン塩1質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.1質量部、および開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製)0.05質量部を混合した。この混合溶液を上記で調製した分散媒中に混合し、ホモジナイザーで攪拌し、水溶液の連続相中にモノマー液滴を分散した。さらに溶液をフラスコに移し、十分な窒素置換を行った後、回転羽根で攪拌しながら55℃、5時間、重合を行った。
重合終了後、ろ過によって生成した粒子を回収し、テトラヒドロフラン(THF)およびトルエンで洗浄した。得られた着色ゲル粒子の乾燥時の体積平均粒子径は6μmであった(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)。この着色ゲル粒子をIsoparM(エクソンモービル製)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ9.6μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
IsoparM(エクソンモービル製)を分散媒として上記ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動性の評価を行った。
泳動性の評価は2枚の電極基板(ITO付ガラス基板:厚み2mm、大きさ1cm×5cmの短冊形)を用意し、該2枚の電極のギャップを1mmとして、これを上記分散液中に浸漬し、これに200Vの直流電圧を10秒間印加した後、上記分散液から引き上げ、各電極上に付着した粒子量の外観評価から粒子の帯電極性を評価した。その結果、正・負両極の粒子が混在していて正帯電の粒子が多いことから、高分子ゲルに酸基を導入したが負帯電とならないことが分かった。つまり、十分な酸塩基解離が起きていないものと推察される。
また上記ゲル粒子についてζ電位計(日本ルフト社製:Model502非水系測定ユニット)で測定したところ、泳動速度が遅く、ζ電位は+2mVと低かった。
一方で、ゲル粒子の分散安定性については顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔比較例2〕
比較例1で作製した着色ゲル粒子をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に分散し、比較例1に記載の方法により粒径と吸液量を測定したところ、体積平均粒子径は6μmで、吸液量も0.1g/g未満で膨潤していないことがわかった。
また、比較例1に記載の方法によりシリコーンオイル中で泳動性を評価したところ、ほとんど電気泳動せず極めて帯電性が悪いことがわかった。つまり、十分な酸塩基解離が起きていないことがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、泳動せず、ζ電位はゼロであった。
また、ゲル粒子は凝集性が高く、粗大な塊を形成しやすいこともわかり、分散安定性に劣ることがわかった。
〔比較例3〕
まず、極性基として親水基をもった添加剤高分子を、以下のとおり作製した。
トルエン5質量部、ステアリルメタクリレート1.6質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.4質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して重合を5時間行った。重合後に減圧・加熱によってトルエンを除去し添加剤高分子を精製した。生成した高分子をGPC測定によって分子量を求めたところ、重量平均分子量は15万であった。
比較例1で作製した着色ゲル粒子を用い、IsoparM(エクソンモービル製)を分散媒としてこの着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、更に上記で作製した添加剤高分子を該分散液全体に対して2質量%の濃度で添加して、泳動特性の評価を行った。
その結果、正・負両極の粒子が混在していて正帯電の粒子が多いことから、親水基を持った添加剤高分子を添加しても負帯電とならないことが分かった。つまり、十分な酸塩基解離が起きていないものと推察される。
また、帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は+3mVと低かった。
〔実施例1〕
比較例1で作製した着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、以下の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物)をセミIPN構造化した。
比較例1で作製した着色ゲル粒子1質量部、トルエン5質量部、ステアリルメタクリレート1.6質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.4質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して重合を5時間行った。重合終了後に粒子をろ過した上でトルエン、THFで洗浄を行った。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2の高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して20質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
得られたセミIPN着色ゲル粒子をIsoparM(エクソンモービル製)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ10μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
IsoparM(エクソンモービル製)を分散媒として上記セミIPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は負帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は−40mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔実施例2〕
比較例1で作製した着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、以下の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物)をセミIPN構造化した。
比較例1で作製した着色ゲル粒子1質量部、トルエン5質量部、ステアリルメタクリレート1.0質量部、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(M90G)1.0質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して重合を5時間行った。重合終了後に粒子をろ過した上でトルエン、THFで洗浄を行った。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2の高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して30質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
得られたセミIPN着色ゲル粒子をIsoparM(エクソンモービル製)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ10μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
IsoparM(エクソンモービル製)を分散媒として上記セミIPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は負帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は−30mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔比較例4〕
ステアリルメタクリレートを主成分とした4級アミノ基を含むマゼンタ色高分子ゲル粒子を下記の方法で作製し評価を行った。
(顔料分散液)
マゼンタ色顔料(山陽色素:エマコールSF レッド):3.0質量部、IsoparM(エクソンモービル製):27質量部、および分散剤であるSolsperse17000(アビシア社製):1.5質量部を混合し、超音波破砕機(エスエムテー社製UH−600S)を用いて10分間攪拌し顔料を分散した。
次に分散媒としてポリビニルピロリドン(和光純薬製、分子量:90K)2質量部およびドデシル硫酸ナトリウム:0.5質量部を蒸留水100質量部に混合した溶液を調製した。
(ゲル粒子)
上記で調製した顔料分散液:5質量部、ステアリルメタクリレート4質量部、ジエチルアミノエチルメタクリレート1質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.1質量部、および開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製)0.05質量部を混合した。この混合溶液を上記で調製した分散媒中に混合し、ホモジナイザーで攪拌し、水溶液の連続相中にモノマー液滴を分散した。さらに溶液をフラスコに移し、十分な窒素置換を行った後、回転羽根で攪拌しながら55℃、5時間、重合を行った。さらに、ヨウ化エチル1質量部を添加し、80℃で2時間加熱を行ってアミノ基を4級化(トリエチルアンモニウム化)した。
反応終了後、ろ過によって生成した粒子を回収し、テトラヒドロフラン(THF)およびトルエンで洗浄した。得られた着色ゲル粒子の乾燥時の体積平均粒子径は6μmであった(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)。この着色ゲル粒子をIsoparM(エクソンモービル製)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ9.6μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
IsoparM(エクソンモービル製)を分散媒として上記ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、比較例1に記載の方法で泳動特性の評価を行った。
その結果、正帯電粒子が多いものの負帯電の粒子も混在し、4級アミノ基を導入したにもかかわらず完全な正帯電とはならないことが分かった。つまり、十分な酸塩基解離が起きていないものと推察される。
また上記ゲル粒子についてζ電位計(日本ルフト社製:Model502非水系測定ユニット)で測定したところ、泳動速度が遅く、ζ電位は+4mVと低かった。
一方で、ゲル粒子の分散安定性については顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔比較例5〕
比較例4で作製した着色ゲル粒子をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に分散し、比較例1に記載の方法により粒径と吸液量を測定したところ、体積平均粒子径は6μmで、吸液量も0.1g/g未満で膨潤していないことがわかった。
また、比較例1に記載の方法によりシリコーンオイル中で泳動性を評価したところ、弱く正帯電しているが、泳動性が悪く帯電性が低いことがわかった。つまり、十分な酸塩基解離が起きていないことがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は+2mVと低かった。
また、ゲル粒子は凝集性が高く、粗大な塊を形成しやすいこともわかり、分散安定性に劣ることがわかった。
〔実施例3〕
比較例4で作製した着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、以下の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物)をセミIPN構造化した。
比較例4で作製した着色ゲル粒子1質量部、トルエン5質量部、ステアリルメタクリレート1.6質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.4質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して重合を5時間行った。重合終了後に粒子をろ過した上でトルエン、THFで洗浄を行った。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2の高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して30質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
得られたセミIPN着色ゲル粒子をIsoparM(エクソンモービル製)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ10μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
IsoparM(エクソンモービル製)を分散媒として上記セミIPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は正帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は+80mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔実施例4〕
比較例4で作製した着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、以下の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物)をセミIPN構造化した。
比較例4で作製した着色ゲル粒子1質量部、トルエン5質量部、ステアリルメタクリレート1.0質量部、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(M90G)1.0質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して重合を5時間行った。重合終了後に粒子をろ過した上でトルエン、THFで洗浄を行った。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2の高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して30質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
得られたセミIPN着色ゲル粒子をIsoparM(エクソンモービル製)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ10μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
IsoparM(エクソンモービル製)を分散媒として上記セミIPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は正帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は+60mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔実施例5〕
比較例4で作製した着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、以下の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物の架橋体:ゲル)をIPN構造化した。
比較例4で作製した着色ゲル粒子1質量部、トルエン5質量部、ステアリルメタクリレート1.6質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.4質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.02質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して攪拌しながら重合を5時間行った。重合終了後には溶液全体が高粘度化し、第2の高分子化合物のゲルが形成された。得られた粒子を大量のトルエンおよびTHFで攪拌・溶媒置換を繰り返し、過剰な第2の高分子化合物のゲルを除去して洗浄した。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して35質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
得られたIPN着色ゲル粒子をIsoparM(エクソンモービル製)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ10μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
IsoparM(エクソンモービル製)を分散媒として上記IPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は正帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は+80mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔実施例6〕
実施例3を基本としてセミIPN化する第2の高分子化合物と第1の高分子ゲルとを共有結合した構成のゲル粒子を作製した。つまり、ステアリルメタクリレートを主成分としたアミノ基および第2の高分子化合物との反応基としてイソシアネート基を含むマゼンタ色高分子ゲル粒子を下記の方法で作製し評価を行った。
(ゲル粒子)
比較例4で調製した顔料分散液:5質量部、ステアリルメタクリレート4質量部、ジエチルアミノエチルメタクリレート1質量部、含イソシアネートモノマー(昭和電工製:カレンズMOI):0.2質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.1質量部、および開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製)0.05質量部を混合した。この混合溶液を比較例4で調製した分散媒中に混合し、ホモジナイザーで攪拌し、水溶液の連続相中にモノマー液滴を分散した。さらに溶液をフラスコに移し、十分な窒素置換を行った後、回転羽根で攪拌しながら55℃、5時間、重合を行った。さらに、ヨウ化エチル1質量部を添加し、80℃で2時間加熱を行ってアミノ基を4級化(トリエチルアンモニウム化)した。
反応終了後、ろ過によって生成した粒子を回収し、テトラヒドロフラン(THF)およびトルエンで洗浄した。得られた着色ゲル粒子の乾燥時の体積平均粒子径は6.0μmであった(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)。この着色ゲル粒子をIsoparM(エクソンモービル製)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ9.6μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
また、IR分光分析によって、ゲル粒子中にはイソシアネート基が存在することがわかった。
次いで、こうして得られた着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、実施例3に記載の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物)をセミIPN構造化した。
上記の着色ゲル粒子1質量部、トルエン5質量部、ステアリルメタクリレート1.6質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.4質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して重合を5時間行った。重合終了後に粒子をろ過した上でトルエン、THFで洗浄を行った。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2の高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して25質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
また、IR分光分析を行ったところ、イソシアネート基が消失しており、水酸基をもったHEMAと反応することで、第2の高分子化合物と共有結合していることがわかった。
得られたセミIPN着色ゲル粒子をIsoparM(エクソンモービル製)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ11μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2.5g/gであった。
また、セミIPN化した第2の高分子化合物が共有結合によって安定に複合化されていることを確認するために、実施例3との比較評価を実施した。評価方法はIsoparM中に定められた量のセミIPN着色ゲル粒子を分散した溶液を調製し、その後上記分散液を100℃で48時間加熱し、遠心分離を行って上澄み溶液を分離した上で、そこに存在する遊離高分子化合物の量を質量測定した。
その結果、実施例3で得たセミIPN着色ゲル粒子では乾燥粒子あたり1質量%の第2の高分子化合物が遊離したが、実施例6で得たセミIPN着色ゲル粒子では検出できなかった。この結果から、実施例6で得たセミIPN着色ゲル粒子では第2の高分子化合物がイソシアネート基と反応することでより安定に複合化されているものと推察される。
(評価)
IsoparM(エクソンモービル製)を分散媒として上記セミIPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は正帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は+85mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔比較例6〕
シリコーンモノマーを主成分とした酸基を含むマゼンタ色高分子ゲル粒子を下記の方法で作製し評価を行った。
(顔料分散液)
顔料分散剤としてシリコーン系モノマー(チッソ(株)製サイラプレーンFM−0711)とジメチルアミノエチルメタクリレートとの質量比95/5の共重合体(重量平均分子量20万)を作製して使用した。
マゼンタ色顔料(山陽色素:エマコールSF レッド):3.0質量部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs):7質量部、および分散剤である上記の共重合体:1質量部を混合し、超音波破砕機(エスエムテー社製UH−600S)を用いて顔料を分散した。
次に分散媒としてポリビニルピロリドン(和光純薬製、分子量:90K)2質量部およびドデシル硫酸ナトリウム:0.5質量部を蒸留水100質量部に混合した溶液を調製した。
(ゲル粒子)
上記で調製した顔料分散液:5質量部、2官能性シリコーンモノマー(X22−164AS:信越化学製)4質量部、メタクリル酸のトリヘキシルアミン塩1質量部、および開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製)0.05質量部を混合した。この混合溶液を上記で調製した分散媒中に混合し、ホモジナイザーで攪拌し、水溶液の連続相中にモノマー液滴を分散した。さらに溶液をフラスコに移し、十分な窒素置換を行った後、回転羽根で攪拌しながら55℃、5時間、重合を行った。
重合終了後、ろ過によって生成した粒子を回収し、テトラヒドロフラン(THF)で洗浄した。得られた着色ゲル粒子の乾燥時の体積平均粒子径は6μmであった(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)。この着色ゲル粒子をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ9.5μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
前記シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)を分散媒として上記ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、比較例1に記載の方法で泳動特性の評価を行った。
その結果、大半は正帯電であり帯電極性の制御はできていないことがわかった。
また負帯電粒子のみをζ電位計(日本ルフト社製:Model502非水系測定ユニット)で測定したところ、泳動速度が遅く、ζ電位は−5mVと低かった。
一方で、ゲル粒子の分散安定性については顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔実施例7〕
比較例6で作製したシリコーン系の着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、以下の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物)をセミIPN構造化した。
比較例6で作製した着色ゲル粒子1質量部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 1cs)3質量部、テトラヒドロフラン(THF)3質量部、シリコーン系モノマー(チッソ(株)製サイラプレーンFM−0711)1.6質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.4質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して重合を5時間行った。重合終了後に粒子をろ過した上でTHFで洗浄を行った。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2の高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して20質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
得られたセミIPN着色ゲル粒子をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ10μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)を分散媒として上記セミIPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は負帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は−30mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔実施例8〕
比較例6で作製したシリコーン系の着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、以下の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物)をセミIPN構造化した。
比較例6で作製した着色ゲル粒子1質量部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 1cs)3質量部、テトラヒドロフラン(THF)3質量部、シリコーン系モノマー(チッソ(株)製サイラプレーンFM−0711)1質量部、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(M90G)1.0質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して重合を5時間行った。重合終了後に粒子をろ過した上でTHFで洗浄を行った。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2の高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して25質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
得られたセミIPN着色ゲル粒子をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ10.2μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)を分散媒として上記セミIPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は負帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は−35mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔実施例9〕
比較例6で作製したシリコーン系の着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、以下の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物の架橋体:ゲル)をIPN構造化した。
比較例6で作製した着色ゲル粒子1質量部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 1cs):3質量部、テトラヒドロフラン(THF):3質量部、シリコーン系モノマー(チッソ(株)製サイラプレーンFM−0711):1質量部、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(M90G):1.0質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.02質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に攪拌しながら重合を5時間行った。重合終了後には溶液全体が高粘度化し、第2の高分子化合物のゲルが形成された。得られた粒子を多量のTHFで攪拌・溶液置換を繰り返し、過剰な第2の高分子化合物のゲルを除去して洗浄した。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して30質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
得られたIPN着色ゲル粒子をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ10.2μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)を分散媒として上記IPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は負帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は−40mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔比較例7〕
シリコーンモノマーを主成分としたアミノ基を含む青色高分子ゲル粒子を下記の方法で作製し評価を行った。
(顔料分散液)
顔料分散剤としてシリコーン系モノマー(チッソ(株)製サイラプレーンFM−0711)とジメチルアミノエチルメタクリレートとの質量比95/5の共重合体(重量平均分子量20万)を作製して使用した。
青色顔料(山陽色素:シアニンブルー3020):3.0質量部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs):7質量部、および分散剤である上記の共重合体:1質量部を混合し、超音波破砕機(エスエムテー社製UH−600S)を用いて顔料を分散した。
次に分散媒としてポリビニルピロリドン(和光純薬製、分子量:90K)2質量部およびドデシル硫酸ナトリウム:0.5質量部を蒸留水100質量部に混合した溶液を調製した。
(ゲル粒子)
上記で調製した顔料分散液:5質量部、シリコーン系モノマー(チッソ(株)製、サイラプレーンFM−0711)4質量部、ジエチルアミノエチルメタクリレート1質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.1質量部、および開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製)0.05質量部を混合した。この混合溶液を上記で調製した分散媒中に混合し、ホモジナイザーで攪拌し、水溶液の連続相中にモノマー液滴を分散した。さらに溶液をフラスコに移し、十分な窒素置換を行った後、回転羽根で攪拌しながら55℃、5時間、重合を行った。さらに、ヨウ化エチル1質量部を添加し、80℃で2時間加熱を行ってアミノ基を4級化(トリエチルアンモニウム化)した。
反応終了後、ろ過によって生成した粒子を回収し、テトラヒドロフラン(THF)で洗浄した。得られた着色ゲル粒子の乾燥時の体積平均粒子径は6μmであった(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)。この着色ゲル粒子をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ9.5μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
(評価)
前記シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)を分散媒として上記ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、比較例1に記載の方法で泳動特性の評価を行った。
その結果、弱く正帯電しているが、泳動性が悪く帯電性が低いことがわかった。つまり、十分な酸塩基解離が起きていないことがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は+3mVと低かった。
また、ゲル粒子は凝集性が高く、粗大な塊を形成しやすいこともわかり、分散安定性に劣ることがわかった。
〔実施例10〕
比較例7で作製したシリコーン系の着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、以下の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物)をセミIPN構造化した。
比較例7で作製した着色ゲル粒子1質量部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 1cs)3質量部、テトラヒドロフラン(THF)3質量部、シリコーン系モノマー(チッソ(株)製サイラプレーンFM−0711)1.5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.5質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して重合を5時間行った。重合終了後に粒子をろ過した上でTHFで洗浄を行った。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2の高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して25質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
得られたセミIPN着色ゲル粒子をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ11μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は3g/gであった。
(評価)
シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)を分散媒として上記セミIPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は正帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は+90mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔実施例11〕
実施例10を基本としてセミIPN化する第2の高分子化合物と第1の高分子ゲルとを共有結合した構成のゲル粒子を作製した。つまり、シリコーンモノマーを主成分としたアミノ基および第2の高分子化合物との反応基としてイソシアネート基を含む青色高分子ゲル粒子を下記の方法で作製し評価を行った。
(顔料分散液)
顔料分散剤としてシリコーン系モノマー(チッソ(株)製サイラプレーンFM−0711)とジメチルアミノエチルメタクリレートとの質量比95/5の共重合体(重量平均分子量20万)を作製して使用した。
青色顔料(山陽色素:シアニンブルー3020):3.0質量部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs):7質量部、および分散剤である上記の共重合体:1質量部を混合し、超音波破砕機(エスエムテー社製UH−600S)を用いて顔料を分散した。
次に分散媒としてポリビニルピロリドン(和光純薬製、分子量:90K)2質量部およびドデシル硫酸ナトリウム:0.5質量部を蒸留水100質量部に混合した溶液を調製した。
(ゲル粒子)
上記で調製した顔料分散液:5質量部、シリコーン系モノマー(チッソ(株)製、サイラプレーンFM−0711)4質量部、ジエチルアミノエチルメタクリレート1質量部、含イソシアネートモノマー(昭和電工製:カレンズMOI):0.2質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.1質量部、および開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製)0.05質量部を混合した。この混合溶液を上記で調製した分散媒中に混合し、ホモジナイザーで攪拌し、水溶液の連続相中にモノマー液滴を分散した。さらに溶液をフラスコに移し、十分な窒素置換を行った後、回転羽根で攪拌しながら55℃、5時間、重合を行った。さらに、ヨウ化エチル1質量部を添加し、80℃で2時間加熱を行ってアミノ基を4級化(トリエチルアンモニウム化)した。
反応終了後、ろ過によって生成した粒子を回収し、テトラヒドロフラン(THF)で洗浄した。得られた着色ゲル粒子の乾燥時の体積平均粒子径は6μmであった(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)。この着色ゲル粒子をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ9.5μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は2g/gであった。
また、IR分光分析によって、ゲル粒子中にはイソシアネート基が存在することがわかった。
次いで、こうして得られた着色ゲル粒子(第1の高分子ゲル)に、実施例10に記載の方法で親水基をもった高分子化合物(第2の高分子化合物)をセミIPN構造化した。
上記で作製した着色ゲル粒子1質量部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 1cs)3質量部、テトラヒドロフラン(THF)3質量部、シリコーン系モノマー(チッソ(株)製サイラプレーンFM−0711)1.5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.5質量部、重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬社製):0.02質量部を混合し、十分に窒素置換を行った後に55℃に加熱して重合を5時間行った。重合終了後に粒子をろ過した上でTHFで洗浄を行った。得られた粒子を熱重量測定で分析し、複合された第2の高分子化合物の量を求めたところ、第1の高分子ゲルに対して30質量%の親水性高分子化合物が複合化されていることがわかった。
また、IR分光分析を行ったところ、イソシアネート基が消失しており、水酸基をもったHEMAと反応することで、第2の高分子化合物と共有結合していることがわかった。
得られたセミIPN着色ゲル粒子をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に24時間放置し、平衡膨潤状態における体積平均粒子径を測定したところ11μmであり(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置にて測定)、また乾燥重量変化測定によるゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量は3g/gであった。
また、セミIPN化した第2の高分子化合物が共有結合によって安定に複合化されていることを確認するために、実施例10との比較評価を実施した。評価方法はシリコーンオイル中に定められた量のセミIPN着色ゲル粒子を分散した溶液を調製し、その後上記分散液を100℃で48時間加熱し、遠心分離を行って上澄み溶液を分離した上で、そこに存在する遊離高分子化合物の量を質量測定した。
その結果、実施例10で得たセミIPN着色ゲル粒子では乾燥粒子あたり1質量%の第2の高分子化合物が遊離したが、実施例11で得たセミIPN着色ゲル粒子では検出できなかった。この結果から、実施例11で得たセミIPN着色ゲル粒子では第2の高分子化合物がイソシアネート基と反応することでより安定に複合化されているものと推察される。
(評価)
シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)を分散媒として上記セミIPN着色ゲル粒子を2質量%で含有した分散液を調製し、泳動特性の評価を比較例1に記載の方法で行った。その結果、得られた粒子は正帯電であり、良好な電気泳動性を示した。つまり、十分な酸塩基解離が起きていることがわかった。
またゲル粒子の帯電量を比較例1に記載の方法でζ電位計で測定したところ、ζ電位は+100mVと高い帯電量を持つことがわかった。
粒子の分散安定性については、顕微鏡観察でも粒子同士の凝集は起こっておらず、優れていた。これは十分な吸液量を持った高分子ゲルの特長といえる。
〔実施例12〕
上記の実施例で作製したゲル粒子(電気泳動粒子)を用いて表示モデル素子を作製して評価を行った。
ITOガラス基板(5cm×10cm、厚み2mm)を1枚ずつ用意し、配線のための電極面を一部確保したオフセット形状で、またテープスペーサを外周部に形成(一部開口部を形成)することで、電極基板面を対向させて2枚の基板を100μmの間隔で貼り合わせたセル構造体(空セル)を複数作製した。
本実施例では代表的に実施例1のゲル粒子(電気泳動粒子)を使用した。
実施例1の青色負帯電泳動粒子を2質量%含むIsoparM分散液を調製し、これに白色粒子(高分子被覆酸化チタン粒子、体積平均粒子径0.5μm:積水化成品工業(株)製)を分散させた。
前記のセル(空セル)の開口部から、上記により調製した分散液を減圧法で注入し、開口部を封止して、評価光学素子を作製した。
この作製した光学素子に10Vの極性の異なる直流電圧を付与すると、視野側の電場極性を正とした場合に青色表示、負にした場合には白表示が交互に実施できた。X−rite(X−rite社製)で表示コントラストを測定した結果、着色時のピーク波長での比で20以上の高いコントラストが得られた。また、繰り返し安定性を電場を交互に付与して10万回以上実施し、繰り返し前後のコントラストを評価したところ全く劣化は無く安定であった。
〔実施例13〕
本実施例では代表的に実施例8のゲル粒子(電気泳動粒子)を使用した。
実施例8のマゼンタ色負帯電泳動粒子を2質量%含むシリコーン(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)分散液を調製し、これに実施例12に記載の白色粒子(高分子被覆酸化チタン粒子、体積平均粒子径0.5μm:積水化成品工業(株)製)を分散させた。
実施例12に記載の方法で作製したセル構造体(空セル)の該セル(空セル)の開口部から、上記により調製した分散液を減圧法で注入し、開口部を封止して、評価光学素子を作製した。
この作製した光学素子に10Vの極性の異なる直流電圧を付与すると、視野側の電場極性を正とした場合にマゼンタ色表示、負にした場合には白表示が交互に実施できた。X−rite(X−rite社製)で表示コントラストを測定した結果、着色時のピーク波長での比で20以上の高いコントラストが得られた。また、繰り返し安定性を電場を交互に付与して10万回以上実施し、繰り返し前後のコントラストを評価したところ全く劣化は無く安定であった。
〔実施例14〕
本実施例では代表的に実施例10のゲル粒子(電気泳動粒子)を使用した。
実施例10の青色正帯電泳動粒子を2質量%含むシリコーン(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)分散液を調製し、これに実施例12に記載の白色粒子(高分子被覆酸化チタン粒子、体積平均粒子径0.5μm:積水化成品工業(株)製)を分散させた。
実施例12に記載の方法で作製したセル構造体(空セル)の該セル(空セル)の開口部から、上記により調製した分散液を減圧法で注入し、開口部を封止して、評価光学素子を作製した。
この作製した光学素子に10Vの極性の異なる直流電圧を付与すると、視野側の電場極性を負とした場合に青色表示、正にした場合には白表示が交互に実施できた。X−rite(X−rite社製)で表示コントラストを測定した結果、着色時のピーク波長での比で20以上の高いコントラストが得られた。また、繰り返し安定性を電場を交互に付与して10万回以上実施し、繰り返し前後のコントラストを評価したところ全く劣化は無く安定であった。
10 表示装置
12 表示媒体
16 電圧印加部
18 制御部
20 表示基板
22 背面基板
24 間隙部材
34 粒子群
34Y イエロー粒子群
34C シアン粒子群
34M マゼンタ粒子群
36 大径着色粒子群
38 支持基板
40 表面電極
42 表面層
44 支持基板
46 背面電極
48 表面層
50 分散媒

Claims (7)

  1. 着色剤と、帯電基を有する第1の高分子ゲルと、親水基を有する第2の高分子化合物と、を含み、
    前記第1の高分子ゲルと前記第2の高分子化合物とが、IPN構造またはセミIPN構造を形成している表示用粒子。
  2. 前記第2の高分子化合物が高分子ゲルである請求項1に記載の表示用粒子。
  3. 前記第1の高分子ゲルと前記第2の高分子化合物とが、化学的に結合していると共に、セミIPN構造を形成している請求項1に記載の表示用粒子。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の表示用粒子を含む粒子群と、
    前記粒子群を分散する分散媒と、
    を有する表示用粒子分散液。
  5. 平衡膨潤状態において前記表示用粒子が前記分散媒を吸液する量が0.1g/g以上50g/g以下である請求項4に記載の表示用粒子分散液。
  6. 少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
    前記一対の基板に挟まれる領域に封入された請求項4または請求項5に記載の表示用粒子分散液と、
    を備えた表示媒体。
  7. 少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
    前記一対の基板に挟まれる領域に封入された請求項4または請求項5に記載の表示用粒子分散液と、
    前記一対の基板に電圧を印加する電圧印加装置と、
    を備えた表示装置。
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