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JP2010230759A - 液晶シート - Google Patents

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Kenji Tokuoka
謙二 徳岡
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】応答速度が速く、意匠性に優れ、耐候性にも優れる調光シートとして使用できる液晶シートを提供する。
【解決手段】液晶、二色性色素、及び、下記一般式(1)で表される酸化防止剤を含有する液晶層を有する液晶シート。
[化1]
Figure 2010230759

式(1)中、Rは、炭素数5〜25のアルキル基又は不飽和アルキル基を示す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、応答速度が速く、意匠性に優れ、耐候性にも優れる調光シートとして使用できる液晶シートに関する。
電圧を印加することにより光の透過率が変化する調光体は、広く用いられている。近年、
防眩ミラー等の自動車用ミラー、自動車の天井用ガラス、パーティション、窓ガラス等の建材、ショーケース、ディスプレー等のインテリア材に、調光体を用いた調光シートを用いることが提案されている。
調光体は、液晶材料を用いた調光体と、エレクトロクロミック材料を用いた調光体とに大別される。エレクトロクロミック材料を用いた調光体は、周辺をシールして液晶が漏れないようにする必要がなく、自由な形状に切断することができる。しかしながら、エレクトロクロミック材料を用いた調光体は、応答速度が遅く、特に低温時には応答速度が極端に低下するという課題がある。更に、エレクトロクロミック材料を用いた調光体は、多色性に欠け、意匠性が乏しいという問題もある。
これに対して、液晶と二色性色素とを含有する液晶シートは、応答速度が速く、低温時においても応答速度の低下を抑制できるという利点がある。また、二色性色素の種類や量を選択することにより多色を呈することができることから、意匠性にも優れる(特許文献1〜3等)。
しかしながら、液晶と二色性色素とを含有する液晶シートは、耐候性に欠けるという問題があった。具体的には例えば、耐候性試験としてキセノン照射を行った場合、液晶シートが退色してしまうという問題があった。
特願2007−248622号公報 特願2007−183526号公報 特願2008−291113号公報
本発明は、応答速度が速く、意匠性に優れ、耐候性にも優れる調光シートとして使用できる液晶シートを提供することを目的とする。
本発明は、液晶、二色性色素、及び、下記一般式(1)で表される酸化防止剤を含有する液晶層を有する液晶シートである。
Figure 2010230759
式(1)中、Rは、炭素数5〜25のアルキル基又は不飽和アルキル基を示す。
以下に本発明を詳述する。
液晶と二色性色素とを含有する液晶シートが退色する原因は、含有する二色性色素が、酸素、光又は熱によってラジカル反応してしまうことにあると考えられる。このようなラジカル反応による退色を防止する方法としては、発生したラジカルをラジカル補足剤で補足して無効化する方法、過酸化物分解剤により発生した過酸化物を無害な物質に分解して、新たなラジカルが発生しないようにする方法、紫外線吸収剤を配合して紫外線を吸収する方法等が考えられる。しかしながら、実際には、効果的に液晶シートの退色を防止できる方法は知られていなかった。
本発明者は、鋭意検討の結果、特定の酸化防止剤を併用することにより、特に高い効果で液晶シートの退色を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の液晶シートは、液晶、二色性色素、及び、酸化防止剤を含有する液晶層を有する。
上記液晶は、誘電異方性(Δε)が正であっても負であってもよい。
正の誘電異方性を有する液晶を用いる場合には、水平配向の配向膜と組み合わせて用いることが好ましく、負の誘電異方性を有する液晶を用いる場合は、垂直配向の配向膜と組み合わせて用いることが好ましい。
誘電異方性が正のネマチック液晶は、例えば、MERCK社製「MLC−7003」、「MLC−7020」、「MLC−7021」、「MLC−7022」等が挙げられる。
誘電異方性が負のネマチック液晶は、例えば、2,3−ジフルオロベンゼン系液晶が好適であり、2,3−ジフルオロベンゼン系液晶として、例えば、MERCK社製「ZLI−2806」、「MLC−6608」、「MLC−6609」、「MLC−6610」、「MLC−6886」等が挙げられる。
上記二色性色素は、例えば、アントラキノン系、アゾ系、アゾメチン系、メロシアニン系、ジオキサジン系、シアニン系等が挙げられる。なかでも、上記液晶への分散性が良好であることからアントラキノン系の二色性色素であるDisperse Blue 14が好適である。
Disperse Blue 14として、例えば、紀和化学工業社製「KP PLAST BLUE G」等が挙げられる。
上記液晶層における上記二色性色素の配合量は特に限定されないが、上記液晶100重量部に対する配合量の好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が5重量部である。上記二色性色素の配合量が0.1重量部未満であると、液晶シートの色彩が薄すぎることがあり、5重量部を超えると、液晶シートの色彩が濃すぎて、交流駆動した際のコントラストが低下することがある。上記二色性色素の配合量のより好ましい下限は0.2重量部、より好ましい上限は4重量部である。
上記酸化防止剤は、上記一般式(1)で表されるものである。上記一般式(1)で表される酸化防止剤はヒンダードアミン系光安定剤の1種であるが、該酸化防止剤を用いた場合にのみ、特に高い本発明の液晶シートの退色防止効果を発揮することができる。
上記一般式(1)で表される酸化防止剤として、例えば、CYTEC社製「CYASORB UV−3853」等が挙げられる。
なお、CYTEC社製「CYASORB UV−3853」は、上記一般式(1)で表される酸化防止剤の他に炭素数18の不飽和脂肪酸エステルも含有する。液晶シートの退色防止には、この不飽和脂肪酸エステルも作用している可能性がある。
上記液晶層における上記一般式(1)で表される酸化防止剤の配合量は特に限定されないが、上記液晶100重量部に対する配合量の好ましい下限は1重量部、好ましい上限は12.5重量部である。上記一般式(1)で表される酸化防止剤の配合量が1重量部未満であると、充分な退色防止効果が得られないことがあり、12.5重量部を超えると、液晶層中に指紋状液晶縞が発生して、ヘイズが増加することがある。上記一般式(1)で表される酸化防止剤の配合量のより好ましい下限は2.5重量部、より好ましい上限は10重量部である。
上記液晶層は、上記一般式(1)で表される酸化防止剤以外の酸化防止剤を含有してもよい。上記酸化防止剤は、例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、クェンチャー系、ヒンダードベンゾエート系の光安定剤等が挙げられる。なかでも、上記液晶への溶解性が高い酸化防止剤が好ましい。
上記液晶への溶解性が高い酸化防止剤は、例えば、下記式(2)で表される1、6ヘキサジアミン−N,N−ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−モルフォリン−2、4、6−トリクロロ−1、3、5−トリアジン反応物(CIBA社製「CYASORB UV−3529」)、下記式(3)で表される高分子ヒンダードアミン系光安定剤(CIBA社製「CHIMASSORB 2020」)、下記式(4)で表されるエチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリフ)プロピオネート](CIBA社製「IRGANOX 245」)、下記式(5)で表されるペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](CIBA社製「IRGANOX 1010」)、下記式(6)で表される3,5−ジ−[tert−ブチル]−4−ヒドロキシ安息香酸、n−ヘキサデシルエステル(CYTEC社製「CYASORB UV−2908」)等が挙げられる。
Figure 2010230759
上記液晶層は、上記液晶中における上記二色性色素の分散性を改善する目的で、分散剤を含有してもよい。
上記分散剤は、例えばアニオン性分散剤、カチオン性分散剤、電気的中性分散剤、両性分散剤、非イオン性分散剤、フッ素系分散剤、高分子分散剤等が挙げられる。
本発明の液晶シートは、通常、配向膜、透明電極を積層した透明樹脂フィルム又はガラス板間に、上記液晶層をスペーサ介して挟持し、端部をシール剤で封止した態様が挙げられる。
図1に、本発明の液晶シートの一例を表す模式図を示した。
上記透明樹脂フィルム1は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)からなるフィルム等が挙げられる。
上記ガラス板1は、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、グリーンガラス等の一般に使用されている透明板ガラスが挙げられる。
上記透明電極2は、透明樹脂フィルム1又はガラス板1の表面に設けられ、交流電圧を稼働させる。
上記透明電極2は、例えば、インジュウムスズ酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化スズ、銀、カーボンからなる電極等が挙げられる。なかでも、透明性に優れることからITOからなる透明電極が好適である。
上記配向膜3は、液晶層を配向させる役割を有するものである。
上記配向膜3は、例えば、上記透明電極2上にイミド配向剤をコーティングし、該イミド配向剤を熱硬化してなる、膜厚が0.01〜0.03μmのポリイミドからなる配向膜等が挙げられる。
上記スペーサ4は、上記液晶層の厚さを規定し、ポリスチレン等の樹脂からなる球状のスペーサが挙げられる。
上記スペーサ4の粒子径は、目的とする液晶層の厚さに応じて適宜選択して用いるが、30μm以下であることが好ましい。スペーサの粒子径が30μmを超えると、液晶層の厚みが厚くなり、液晶中に指紋状液晶縞が発生しやすくなることがある。
本発明の液晶シートを製造する方法は特に限定されず、例えば、透明電極及び配向膜が形成された透明樹脂フィルム又はガラスシート(基板A)の配向膜表面にスペーサを散布し、固着する工程、該配向膜上に紫外線硬化型接着剤を枠状に描画する工程、該枠内に上記液晶層を構成する組成物を塗布する工程、これにもう一枚の基板Aを重ね合わせてラミネートする工程、紫外線を照射して上記紫外線硬化型接着剤を硬化させる工程、からなる方法が挙げられる。
また、本発明の液晶シートを製造する別の方法として、スペーサを固着させた基板Aの外周部に、開口部を設けて紫外線硬化型接着剤又は熱硬化型接着剤をディスペンサーで塗工し、これに、もう一枚の基板Aを、配向膜を内側にして重ね合わせてラミネートする工程、紫外線照射又は加熱処理を行うことで上記紫外線硬化型接着剤又は熱硬化型接着剤を硬化させる工程、これに上記液晶層を構成する組成物を真空注入法により注入し、開口部を封口剤で封口する工程、からなる方法が挙げられる。
本発明によれば、応答速度が速く、意匠性に優れ、耐候性にも優れる調光シートとして使用できる液晶シートを提供することができる。
本発明の液晶シートの一例を表す模式図である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)液晶層用組成物の調製
垂直配向モード型液晶(MERCK社製「ZLI−2806」)100重量部に対して、2色性色素(紀和化学工業社製「DISPERSE BLUE 14」)1重量部、酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)2.5重量部を添加し、超音波法により分散させて、液晶層用組成物を得た。
(2)液晶シートの製造
厚さ0.7mmのガラスシート上に、真空蒸着法により厚さ0.1μmのITOからなる透明電極膜を形成した。次いで、透明電極膜の表面にイミド系垂直配向剤(日産化学工業社製「RN1358」)を厚さが50nmとなるようにコーティングし、280℃、1時間加熱して硬化させて配向膜を形成した。
配向膜上に、乾式散布機を用いて、スペーサ(積水化学工業社製「ミクロパールSP」、直径10μm)を散布し、120℃、20分の加熱で、配向膜上にスペーサを固着させた。
スペーサを固着させた配向膜上の外周部に、開口部を設けて紫外線硬化型接着剤をディスペンサーで塗工し、これに、配向膜、透明電極膜を積層しているガラスシートを、配向膜を内側にして貼り合せ、紫外線を照射し接着させた。これに上記液晶層用組成物を真空注入法により注入し、開口部を紫外線硬化型の封口剤(積水化学工業社製「フォトレックA−704」)で封口して、紫外線を照射して封口剤を硬化させて、液晶シートを得た。
(実施例2)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)の配合量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(実施例3)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)の配合量を7.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(実施例4)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)の配合量を10重量部とした以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(比較例1)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(比較例2)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)5重量部の代わりに、高分子ヒンダードアミン系光安定剤である酸化防止剤(CIBA社製「CHIMASSORB 944」)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(比較例3)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)5重量部の代わりに、上記式(3)で表される高分子ヒンダードアミン系光安定剤(CIBA社製「CHIMASSORB 2020」)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(比較例4)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)5重量部の代わりに、上記式(2)で表される高分子ヒンダードアミン系光安定剤である酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3529」)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(比較例5)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)5重量部の代わりに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(CIBA社製「IRGANOX 245」)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(比較例6)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)5重量部の代わりに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(CIBA社製「IRGANOX 1010」)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(比較例7)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)5重量部の代わりに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(CIBA社製「IRGANOX 1076」)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(比較例8)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)5重量部の代わりに、ベンゼンジオール系金属錯体のクエンチャーである「EST−5−Ni」(住友精化社製)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(比較例9)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)5重量部の代わりに、ヒンダードベンゾエート系酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−2908」)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
(比較例10)
酸化防止剤(CYTEC社製「CYASORB UV−3853」)5重量部の代わりに、下記式(7)で表されるトリエチレンジアミン(東ソー社製「TEDA−L33」)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして液晶シートを製造した。
Figure 2010230759
(評価)
得られた液晶シートについて、以下の方法により評価を行った。
耐候性試験として、液晶シートの表面に、キセノン照射装置(スガ試験機社製、スーパーキセノンウエザロメーター「SX75」)を用いて、放射照度180W/mの強度でキセノンを照射した。
照射後500時間、1000時間及び1500時間に、色差計(東京電色社製、カラーアナライザーmodel「TC−1800MK−II」)を用いてイエローインデックス(YI)を、ヘイズメーター(東京電色社製、model「TC−H3DPK」)を用いてヘイズを測定した。
各時間照射後に得られた数値と照射前の値との差をとり、イエローインデックスの変化量(増加量)ΔYI及びヘイズの変化量(増加量)を求めた。
結果を表1に示した。
Figure 2010230759
本発明によれば、応答速度が速く、意匠性に優れ、耐候性にも優れる調光シートとして使用できる液晶シートを提供することができる。
1 透明樹脂フィルム又はガラス板
2 透明電極
3 配向膜
4 スペーサ
5 液晶層
6 シール剤

Claims (2)

  1. 液晶、二色性色素、及び、下記一般式(1)で表される酸化防止剤を含有する液晶層を有することを特徴とする液晶シート。
    Figure 2010230759
    式(1)中、Rは、炭素数5〜25のアルキル基又は不飽和アルキル基を示す。
  2. 配向膜、透明電極を積層した透明樹脂フィルム又はガラス間に、液晶層をスペーサ介して挟持し、端部をシール剤で封止したものであることを特徴とする請求項1記載の液晶シート。
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