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JP2010224512A - Tnモード液晶パネル - Google Patents

Tnモード液晶パネル Download PDF

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JP2010224512A
JP2010224512A JP2009175512A JP2009175512A JP2010224512A JP 2010224512 A JP2010224512 A JP 2010224512A JP 2009175512 A JP2009175512 A JP 2009175512A JP 2009175512 A JP2009175512 A JP 2009175512A JP 2010224512 A JP2010224512 A JP 2010224512A
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Yuhei Inoguchi
雄平 猪口
立陽 ▲ジュ▼
Liyang Ju
Hideo Kuroiwa
秀夫 黒岩
Koji Azuma
浩二 東
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Abstract

【課題】高温環境下の耐熱性に優れ、横方向のコントラスト視野角が広い液晶表示装置とするための液晶パネルを提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子30の片面に透明保護フィルム40を備え、その反対側の面にオレフィン系樹脂からなる二軸性の位相差フィルム20を備えてなる複合偏光板10が、TNモード液晶セル50の両面に、上記複合偏光板の上記位相差フィルム20側が上記液晶セル50に向き合うように積層されてなり、かつ、上記位相差フィルム20の面内位相差値をRo、その厚み方向位相差値をRth、上記液晶セル50の電圧無印加時の面内位相差値をRcとしたときに、次式(1)および(2)を満たす液晶パネルが提供される。
0.13<Ro/Rc≦0.34 (1)、
0.17≦Rth/Rc<0.54 (2)。
【選択図】図2

Description

本発明は、TN(Twisted Nematic)モードの液晶セルを備え、液晶表示装置に用いられる液晶パネルに関する。
TNモードの液晶セルを備える液晶表示装置(以下、「TNモード液晶表示装置」と呼ぶことがある)は、液晶セルの構造が比較的単純であり、容易に製造できることから、パーソナルコンピューター用のモニターを主用途に広く使用されている。
ところが、このTNモード液晶表示装置は、たとえば、斜め方向から画面を見ると、コントラストが急激に低下したり、輝度や色調の階調反転が生じたりするといった斜め方向の視野角特性に劣る欠点を有している。
そこで、このようなTNモード液晶表示装置の欠点を改善するため、ディスコティック液晶を特定条件で配向させてなる光学補償フィルムを用いることが知られている(たとえば、特許文献1)。近年、このような種類の光学補償フィルムがTNモード液晶表示装置に多く用いられている。
しかし、上記従来の光学補償フィルムは、トリアセチルセルロースフィルムを基材としているため、高温環境下の耐熱性に劣る場合があった。また、この光学補償フィルムを用いたTNモード液晶表示装置は、その輝度やコントラストが高度化する市場要求に十分対応できない場合があった。
特開平7−191217号公報
そこで、本発明の目的は、高温環境下の耐熱性に優れ、横方向のコントラスト視野角が広い液晶表示装置とするための液晶パネルを提供することにある。
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子の片面に透明保護フィルムを備え、その反対側の面にオレフィン系樹脂からなる二軸性の位相差フィルムを備えてなる複合偏光板が、TNモード液晶セルの両面に、上記複合偏光板の上記位相差フィルム側が上記液晶セルに向き合うように積層されてなり、かつ、上記位相差フィルムの面内位相差値をRo、その厚み方向位相差値をRth、上記液晶セルの電圧無印加時の面内位相差値をRcとしたときに、次式(1)および(2):
0.13<Ro/Rc≦0.34 (1)
0.17≦Rth/Rc<0.54 (2)
を満たす液晶パネルを提供するものである。
上記位相差フィルムは、環状オレフィン系樹脂からなることが好ましい。一つの好ましい形態において、上記液晶セルの少なくとも一方の面に配置される複合偏光板は、それを構成する透明保護フィルムが、延伸され、20〜50μmの厚みを有し、0.1〜40%のヘイズ値を有するポリエチレンテレフタレートフィルムからなる。また、別の好ましい形態において、上記液晶セルの片面に配置される複合偏光板は、それを構成する上記透明保護フィルムが、延伸されておらず、15〜25μmの厚みを有する環状オレフィン系樹脂フィルムからなる。
上記偏光子と上記透明保護フィルム、および/または、上記偏光子と上記位相差フィルムは、無溶剤型のエポキシ系接着剤で接着されていることが好ましい。この無溶剤型のエポキシ系接着剤は、活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものであることが好ましい。
本発明によれば、高温環境下の耐熱性に優れ、横方向のコントラスト視野角が広い液晶パネルを提供することができ、これにより、液晶表示装置の耐熱性を高め、また横方向のコントラスト視野角を広くすることができる。
本発明に用いる複合偏光板の層構成の例を模式的に示す斜視図である。 本発明に係る液晶パネルの層構成の例を模式的に示す斜視図である。 横方向のコントラスト視野角を説明するための液晶パネルの模式的な断面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。本発明の液晶パネルは、片面に透明保護フィルムを備える偏光子の透明保護フィルムとは反対側の面に、オレフィン系樹脂からなる二軸性の位相差フィルムを設けた複合偏光板を、TNモードで駆動する液晶セルの両面に、複合偏光板の位相差フィルム側が液晶セルに向き合うように貼合したものである。
[複合偏光板]
本発明の液晶表示装置に用いられる複合偏光板の層構成を、各層を離間した模式的な斜視図で図1に示す。この図に示すように、複合偏光板10は、偏光子30の片面に透明保護フィルム40を備え、偏光子30の透明保護フィルム40と反対側の面に二軸性のオレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルム20が備えられたものである。
[偏光子]
偏光子30は、ポリビニルアルコール系樹脂からなり、この分野で一般に用いられているものである。具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素を吸着配向させることにより、ある方向の振動面を有する直線偏光を吸収し、それと直交する方向の振動面を有する直線偏光を透過する機能が付与された直線偏光子を用いることができる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸、二色性色素による染色、および染色後のホウ酸処理により、このような偏光子を得ることができる。
[透明保護フィルム]
偏光子30の片面に配置する透明保護フィルム40は、たとえば、従来から偏光子の保護フィルムとして一般的に用いられているトリアセチルセルロースやジアセチルセルロースに代表されるアセチルセルロース系樹脂のフィルムで構成するのが有利であるが、その他に、ノルボルネン系樹脂に代表される環状オレフィン系樹脂のフィルム、ポリプロピレン系樹脂のフィルム、アクリル系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレート系樹脂のフィルムなどで構成してもよい。中でも、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを透明保護フィルム40として用いた場合には、それを含む偏光板が適用された液晶パネルの薄肉化に寄与することができ、また、耐久性の向上により車載用などの用途に好適に用いることができるため、好ましい。
ポリエチレンテレフタレートとは、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂である。他の共重合成分として、たとえば、イソフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、および1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等のジカルボン酸成分、また、たとえば、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール等のジオール成分が挙げられる。これらのジカルボン酸成分およびジオール成分は、必要により2種以上を組み合わせて使用することができる。また、p−ヒドロキシ安息香酸およびp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を共重合成分とすることも可能である。このような他の共重合成分は、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合などを含有する化合物を含んでいてもよい。
ポリエチレンテレフタレートの製造法としては、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接反応させるいわゆる直接重合法、テレフタル酸のジメチルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるいわゆるエステル交換反応法など、この分野で知られている各種の方法を採用することができる。また、公知の添加剤を必要に応じて含有させることができる。たとえば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤などを含有させてもよい。ただし、光学用途においては透明性が必要とされるため、添加剤の配合量は最小限にとどめておくことが好ましい。
上記原料樹脂をフィルム状に成形し、延伸処理を施すことにより、延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムを作製することができる。延伸は、MD方向(流れ方向)またはTD方向(流れ方向と直交する方向)に延伸する一軸延伸、MD方向とTD方向双方に延伸する二軸延伸、MD方向でもTD方向でもない方向に延伸する斜め延伸など、いずれの方法で行なってもよい。このような延伸操作を施すことにより、機械的強度の高いポリエチレンテレフタレートフィルムを得ることができる。このように延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム、とりわけ二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムは、本発明の液晶パネルが適用された液晶表示装置において、干渉ムラが見え難い傾向にあるため好ましい。
延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムの作製方法は任意であり、たとえば一軸延伸であれば、上記原料樹脂を溶融し、シート状に押出成形された無配向フィルムを、ガラス転移温度以上の温度においてテンターで横延伸(TD方向に延伸)した後、熱固定処理を施す方法を挙げることができる。延伸温度は、好ましくは80〜130℃、より好ましくは90〜120℃であり、延伸倍率は、好ましくは2.5〜6倍、より好ましくは3〜5.5倍である。延伸倍率が低いと、ポリエチレンテレフタレートフィルムが十分な透明性を示さなくなる傾向にある。二軸延伸の場合は、たとえば、シート状に押出成形された無配向フィルムを、ガラス転移温度以上の温度において縦方向(MD)に延伸し、次いで横方向(TD)に延伸する方法や、縦横同時に延伸する方法などが挙げられる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける配向主軸の歪みを低減する観点からは、延伸後に弛緩処理を施すことが好ましい。たとえば、上記した横延伸によって一軸延伸フィルムを作製する場合は、横延伸後であって熱固定処理を行う前に弛緩処理する方法を挙げることができる。弛緩処理の温度は90〜200℃、好ましくは120〜180℃である。弛緩量は延伸条件によって異なるが、弛緩処理後のフィルムの150℃における熱収縮率が2%以下になるように、弛緩量および温度を設定することが好ましい。
熱固定処理の温度は、通常180〜250℃であり、好ましくは200〜245℃である。熱固定処理は、まず定長で上記温度での処理を行い、さらにフィルムの幅方向における弛緩の割合が1〜10%(好適には2〜5%)となるように処理することが好ましい。こうして得られる配向主軸の歪みが低減されたポリエチレンテレフタレートフィルムは、その配向主軸の歪みの最大値を10度以下とすることができ、この配向主軸の歪みの最大値は、8度以下、さらには5度以下であることがより好ましい。配向主軸の歪みの最大値が10度を超えるポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には、それから得られる偏光板を液晶表示装置の液晶パネルに用いた場合に、色つき不良が大きくなる傾向にある。上記したポリエチレンテレフタレートフィルムの配向主軸の歪みの最大値は、たとえば、位相差フィルム検査装置「RETSシステム」(大塚電子(株)製)を用いて測定できる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムを透明保護フィルムとして用いる場合、その厚みは20〜50μmの範囲にあることが好ましい。厚みが20μm未満のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いると、フィルムのハンドリングが難しくなる傾向にあり、一方で厚みが50μmを超えるポリエチレンテレフタレートフィルムを用いると、薄肉化のメリットが薄れることになる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムは、0.1〜40%の範囲でヘイズを付与して用いることができ、好ましいヘイズ値は0.1〜10%、さらには0.1〜5%の範囲である。ヘイズ値は、JIS K 7136に規定されるとおり、全光線透過率に対する拡散透過率の比として定義され、市販のヘイズメータで測定することができる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムにヘイズを付与する方法としては、たとえば、原料樹脂であるポリエチレンテレフタレート中に無機微粒子または有機微粒子を混合する方法、上記フィルムの表面に無機微粒子または有機微粒子を樹脂バインダーに混合した塗布液をコートする方法などが採用される。ここで無機微粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどを代表的なものとして挙げることができる。また有機微粒子としては、たとえば、架橋ポリアクリル酸粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリイミド粒子などの耐熱性樹脂粒子を挙げることができる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムは、面内位相差値Roが1,000nm以上であることが好ましく、3,000nm以上であることがより好ましい。面内位相差値Roが1,000nm未満のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には、正面からの色つきが目立つ傾向にある。ポリエチレンテレフタレートフィルムの面内位相差値Roの上限は、10,000nm程度までで十分である。
上記のような特性を備えるポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的性質、耐溶剤性、耐スクラッチ性、コストなどの点で総合的に優れるものである。
ポリエチレンテレフタレートフィルムには、易接着層が付与されていてもよい。易接着層とは、偏光子とポリエチレンテレフタレートとの接着性を向上させるために設ける層である。ポリエチレンテレフタレートフィルムに易接着層を形成するには、たとえば、すべての延伸工程が終了したフィルムに易接着層を形成する方法、ポリエチレンテレフタレートを延伸している工程中、すなわち縦延伸工程と横延伸工程との間に易接着層を形成する方法、偏光子に接着される直前または接着された後に易接着層を形成する方法などが採用できる。二軸延伸フィルムとする場合は、生産性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムを縦延伸した後に易接着層を形成し、引き続き横延伸する方法が好ましく採用される。易接着層は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面、または接着剤を介してポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子(偏光子)と接着される片面に付与することができる。
易接着層を構成する成分は、たとえば、極性基を骨格に有し、比較的低分子量で、ガラス転移温度も比較的低い、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂などであることができる。また必要に応じて、架橋剤、有機または無機フィラー、界面活性剤、滑剤などを含有することもできる。
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける偏光子30と貼着する面と反対の面には、防眩処理、ハードコート処理、および帯電防止処理等の表面処理が施されていてもよい。また、液晶性化合物やその高分子量化合物などからなるコート層が形成されていてもよい。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、ポリエチレンナフタレートフィルムを用いても、ほぼ同様の効果が得られる。
このようなポリエチレンテレフタレートフィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「ダイアホイル」、「ホスタファン」および「フュージョン」(以上、三菱樹脂株式会社製)、「テイジンテトロンフィルム」、「メリネックス」、「マイラー」および「テフレックス」(以上、帝人デュポンフィルム株式会社製)、「東洋紡エステルフィルム」、「東洋紡エスペットフィルム」、「コスモシャイン」および「クリスパー」(以上、東洋紡績株式会社製)、「ルミラー」(東レフィルム加工株式会社製)、「エンブロン」および「エンブレット」(ユニチカ株式会社製)、「スカイロール」(エス・ケー・シー社製)、「コーフィル」(株式会社高合製)、「瑞通ポリエステルフィルム」(株式会社瑞通製)、「太閤ポリエステルフィルム」(フタムラ化学株式会社製)などが挙げられる。
本発明の液晶パネルを構成する複合偏光板において、保護フィルム40には、延伸されていない環状オレフィン系樹脂フィルムを用いることも好ましい。環状オレフィン系樹脂とは、一般に、非晶性ポリオレフィン系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂などとも称されるものである。本明細書では、環状オレフィン系樹脂という語で統一する。
環状オレフィン系樹脂フィルムを透明保護フィルム40として用いれば、液晶パネルの薄肉化に寄与することができ、この液晶パネルは、耐久性の向上により車載用などの用途に好適に用いることができる。環状オレフィン系樹脂フィルムを透明保護フィルム40として用いる場合、その厚みは15〜25μmの範囲内にあることが好ましい。その厚みが15μm未満になると、フィルムのハンドリングが難しくなることがある。また、その厚みを25μm以下とすることで、薄肉化に寄与する。
環状オレフィン系樹脂からなる保護フィルムは、透明性に優れ、かつ配向の小さい、すなわち位相差の小さいシートである。具体的には、その透明性はJIS K 7136に従って測定される全ヘイズ値が1%以下であり、0.5%以下が好ましい。面内位相差値は、通常5nm以下であり、3nm以下が好ましい、また、厚み方向の位相差値は、通常10nm以下であり、5nm以下が好ましい。
環状オレフィン系樹脂としては、たとえば、ノルボルネンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;テトラシクロドデセン(別名ジメタノオクタヒドロナフタレン)またはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行ない、それに続く水添よって得られる樹脂;ノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体などからなる環状オレフィンモノマーを2種類以上用いて同様に開環メタセシス共重合を行ない、それに続く水添によって得られる共重合樹脂;上記の如き環状オレフィンモノマーとビニル基を有する脂肪族または芳香族化合物を付加重合により共重合させて得られる樹脂などが挙げられる。
このような環状オレフィン系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各々商品名で、「Topas」(Topas Advanced Polymers GmbH製)、「アートン」(JSR株式会社製)、「ゼオノア」、「ゼオネックス」(以上、日本ゼオン株式会社製)、および「アペル」(三井化学株式会社製)などが挙げられる。
環状オレフィン系樹脂フィルムは、上記環状オレフィン系樹脂をフィルム状に成形することにより得ることができる。樹脂をフィルム状に成形する方法は特に制約されず、公知の成形法、たとえば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも採用することができるが、フィルム中に残存する揮発性成分を低減させる観点から、加熱溶融成形法、中でも、溶融押出成形法が好ましく採用される。
溶融押出成形の条件は、用いる樹脂の性状や製造装置に応じて適宜選択されるものであり、特に制限されないが、たとえば、シリンダー温度を100〜600℃程度とするのが好ましく、150〜350℃とするのがより好ましい。
環状オレフィン系樹脂フィルムを製造する際には、本発明の目的を阻害しない範囲内で添加剤を添加することができる。配合しうる添加剤としては、たとえば、可塑剤や劣化防止剤等が挙げられる。可塑剤は、フィルムの機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上させるために添加される。具体的な可塑剤の例には、リン酸エステルやカルボン酸エステルがある。
可塑剤となるリン酸エステルとしては、たとえば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどが挙げられる。また可塑剤となるカルボン酸エステルとしては、たとえば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、およびジフェニルフタレートのようなフタル酸エステル;o−アセチルクエン酸トリエチルおよびo−アセチルクエン酸トリブチルのようなクエン酸エステル;オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチルおよびセバシン酸ジブチルのような高級脂肪酸エステル;トリメット酸エステルなどが挙げられる。
劣化防止剤としては、たとえば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル重合禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類などが挙げられる。具体的な劣化防止剤には、特開平3−199201号公報、特開平5−1907073号公報、特開平5−194789号公報、特開平5−271471号公報、特開平6−107854号公報などに記載されるものがある。
これら添加剤の配合量は、環状オレフィン系樹脂に対して、通常、0〜20重量%であり、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。
環状オレフィン系樹脂フィルムは、公知の成膜装置を適宜選択し、環状オレフィン系樹脂原料からの製膜条件を公知の技術を用いて適宜選択することにより、前記の厚み、ヘイズ値および位相差値を示すように製造できる。
[位相差フィルム]
偏光子30の透明保護フィルム40が貼合される面と反対側の面には、オレフィン系樹脂からなる位相差フィルム20が設けられる。この位相差フィルム20は、オレフィン系樹脂フィルムの延伸により得ることができる。オレフィン系樹脂フィルムは、たとえば、エチレンやプロピレンのような鎖状オレフィンモノマー、あるいは、先に透明保護フィルムについて説明したのと同様の、ノルボルネンやテトラシクロドデセン、それらの誘導体のような環状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合して得られる樹脂からなるフィルムである。本発明で特に好ましく使用されるものは環状オレフィン系樹脂である。環状オレフィン系樹脂を用いた場合は、正波長分散特性の環状オレフィン系ポリマーと逆波長分散特性の環状オレフィン系ポリマーとの混合物をフィルム化して延伸して作製したフィルムなどを使用することにより、波長分散特性の調節を容易に行うことができ、二軸性の位相差フィルムを容易に得ることができる。
環状オレフィン系樹脂を位相差フィルム20とする場合は、先に透明保護フィルムについて説明したのと同様の樹脂を用いることができる。位相差フィルムの原反となる環状オレフィン系樹脂フィルムの厚みは、得られる延伸フィルムの使用目的などに応じて適宜決定されるものであり、特に制限されないが、たとえば、安定した延伸処理による均質な延伸フィルムが得られる観点から、10〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。
オレフィン系樹脂を用いて作製した未延伸フィルムは、その縦方向(MD)および幅方向(TD)への延伸を逐次または同時に行うことにより、二軸性の位相差フィルムとすることができる。この際の延伸主軸、すなわち延伸倍率が大きくなる方向は、縦方向としても横方向としてもよいが、延伸主軸を幅方向とすれば、長尺でありながら広幅の位相差フィルムを得ることができる。
未延伸フィルムを延伸するときの温度は、オレフィン系樹脂のガラス転移温度をTgとして、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の範囲、より好ましくはTg−10℃からTg+50℃の範囲である。また延伸倍率は、たとえば、縦方向および横方向のそれぞれについて、1.01〜30倍、好ましくは1.01〜10倍、より好ましくは1.01〜5倍の範囲から選択し、かつ延伸主軸(好ましくは上述のとおり幅方向)の延伸倍率がそれと直交する方向の延伸倍率より大きくなるようにすればよい。
位相差フィルム20の位相差値について説明する。フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、そして厚みをdとしたとき、面内位相差値Ro、厚み方向の位相差値Rth、およびNz係数は、それぞれ下式(I)、(II)、および(III):
Ro=(nx−ny)×d (I)
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (II)
Nz=(nx−nz)/(nx−ny) (III)
で定義される。
さらに、これらの式(I)、(II)および(III)から、Nz係数と面内位相差値Roおよび厚み方向の位相差値Rthとの関係は、次の式(IV):
Nz=Rth/Ro+0.5 (IV)
で表すことができる。
本発明では、TNモード液晶セルの位相差を補償し、特に画面横方向の視野角を拡大する観点から、位相差フィルム20として二軸性のものを用いる。ここで二軸性とは、上で定義した三軸方向の屈折率nx、nyおよびnzが、nx>ny>nzの関係を満たすことをいう。位相差フィルム20の面内位相差値Roは、40〜150nmの範囲にあることが好ましく、60〜130nmの範囲がより好ましい。また、厚み方向の位相差値Rthは、50〜250nmの範囲にあることが好ましく、100〜200nmの範囲がより好ましい。さらにNz係数は、このフィルムが二軸性であることから、1を超える値をとるが、一般には7程度までであり、とりわけ1.5〜4の範囲が好ましい。
オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムの厚みは、通常、10〜100μmであり、20〜80μmが好ましい。その厚みを10μm未満未満にしようとすると、ハンドリング性の低下などを生じることがある。
この位相差フィルムは、その残留揮発性成分量を1000ppm以下とすることが好ましく、500ppm以下、さらには200ppm以下とすることがより好ましい。残留揮発性成分量が1000ppmを超えると、使用時にその揮発性成分が外部に放出されて位相差フィルムに寸法変化が生じて内部応力が発生する。揮発性成分含有量が上記範囲にある位相差フィルムを用いれば、液晶表示装置を長期間使用しても表示ムラが発生しないなど、光学特性の安定性に優れる。
またこの位相差フィルムは、その飽和吸水率が0.01%以下であることが好ましい。飽和吸水率が0.01%を越えると、使用環境によっては位相差フィルムに寸法変化が生じて内部応力が発生する場合がある。飽和吸水率が上記範囲にある位相差フィルムを用いれば、液晶表示装置を長期間使用しても表示ムラが発生しないなど、光学特性の安定性に優れる。
[位相差フィルムと偏光子の接着]
オレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルム20を偏光子30に接着するにあたり、両者の軸関係は、目的とするTNモード液晶表示装置における視野角特性や色変化特性を考慮したうえで最適なものを選べばよい。TNモード液晶パネルの用途においては、位相差フィルム20の遅相軸と偏光子30の吸収軸とが、ほぼ平行またはほぼ直交の関係となるように配置することが多い。ここで、ほぼ平行またはほぼ直交の「ほぼ」とは、そこに記載の関係(この場合、平行または直交)の意味であり、それを中心に±10度程度までのずれは許容されることを意味する。この角度のずれは、好ましくは±5度以内、さらに好ましくは±2度以内である。
TNモード液晶パネル用の用途においては、偏光板の透過軸と液晶セルのラビング方向が重なる場合であればEモード、偏光板の透過軸と液晶セルのラビング方向が垂直である場合であれば、Oモードと定義される。本発明では、視野角特性を優れたものにするために、複合偏光板10の透過軸と液晶セル50のラビング方向を重ねるEモード、複合偏光板10の透過軸と液晶セル50のラビング方向を直交させるOモードのいずれも使用することができる。より優れた視野角特性を得るためには、Oモードを使用することが好ましい。
オレフィン系樹脂からなる位相差フィルム20と偏光子30の接着には、たとえば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、およびアクリルアミド系樹脂等を成分とする接着剤を用いることができ、これらいずれを用いても良好な接着力が得られる。接着剤層を薄くする観点から好ましい接着剤としては、無溶剤型の接着剤、具体的には、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマーまたはオリゴマーが反応硬化されて接着剤層が形成されるものが挙げられる。
無溶剤型の接着剤について説明する。無溶剤型の接着剤とは、有意量の溶剤を含まず、一般には、加熱や活性エネルギー線の照射により重合する硬化性の化合物と、重合開始剤とを含んで構成される。反応性の観点からは、カチオン重合で硬化するものが好ましく、特にエポキシ系の接着剤が好ましく用いられる。
そこで、オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムと偏光子とが、無溶剤型のエポキシ系接着剤で接着されているものが、好ましい形態として挙げられる。この接着剤は、加熱または活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものであることがより好ましい。特に、耐候性や屈折率等の観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物が、硬化性化合物として好適に用いられる。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いた接着剤は、たとえば、特開2004−245925号公報に記載されている。このような芳香環を含まないエポキシ化合物として、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が例示できる。接着剤に用いる硬化性のエポキシ化合物は、通常、分子中にエポキシ基を2個以上有している。
芳香族エポキシ化合物の水素化物は、芳香族エポキシ化合物の原料である芳香族ポリヒドロキシ化合物を、触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行うことにより得られる核水添ポリヒドロキシ化合物をグリシジルエーテル化したものであることができる。芳香族エポキシ化合物の原料である芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、たとえば、ビスフェノールA、ビスフェールF、およびビスフェノールSのようなビスフェノール類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、およびヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラック樹脂のようなノボラック型の樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、およびポリビニルフェノールのような多官能型の化合物などが挙げられる。このような芳香族ポリヒドロキシ化合物の水素化物にエピクロロヒドリンを反応させることにより、グリシジルエーテル化することができる。芳香族エポキシ化合物の水素化物の中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物は、次式に示すとおり、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物であり、ここでmは2〜5の整数を表す。
Figure 2010224512
この式における(CH2)m中の水素原子を1個または複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物となりうる。また、脂環式環を形成する水素がメチル基やエチル基等の直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。中でも、エポキシシクロペンタン環(上式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上式においてm=4のもの)を有する化合物を用いることが好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例として、次のようなものを挙げることができる。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(また、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2',6'−ジオキサンスピロ−3'',5''−ジオキサンスピロ−3''',4'''−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物)、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エポキシスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、およびジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルであることができる。たとえば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやポリプロピレングリコール、およびグリセリンのような脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
ここに例示したエポキシ化合物は、それぞれ単独で用いられてもよいし、異なる複数種が併用されてもよい。
無溶剤型の接着剤に使用するエポキシ化合物は、エポキシ当量が通常30〜3,000g/当量であり、50〜1,500g/当量が好ましい。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の保護フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする場合がある。一方、3,000g/当量を超えると、他の成分との相溶性が低下する場合がある。
エポキシ化合物をカチオン重合で硬化させるためには、カチオン重合開始剤が配合される。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、および電子線等の活性エネルギー線の照射または加熱により、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始する。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが作業性の観点から好ましい。
以下、光カチオン重合開始剤について説明する。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での硬化が可能となり、偏光子の耐熱性あるいは膨張による歪を考慮する必要が減少し、位相差フィルムと偏光子とを良好に接着することができる。また、光カチオン重合開始剤は光で触媒的に作用するため、エポキシ化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物としては、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩、および鉄−アレン錯体等を挙げることができる。中でも、特に芳香族スルホニウム塩は300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため好ましく用いられる。
これらの光カチオン重合開始剤は、市販品を容易に入手でき、たとえば、それぞれ商品名で、“カヤラッドPCI−220”および“カヤラッドPCI−620”(以上、日本化薬株式会社製)、“UVI−6990”(ユニオンカーバイド社製)、“アデカオプトマーSP−150”および“アデカオプトマーSP−170”(以上、株式会社ADEKA製)、“CI−5102”、“CIT−1370”、“CIT−1682”、“CIP−1866S”、“CIP−2048S”および“CIP−2064S”(以上、日本曹達株式会社製)、“DPI−101”、“DPI−102”、“DPI−103”、“DPI−105”、“MPI−103”、“MPI−105”、“BBI−101”、“BBI−102”、“BBI−103”、“BBI−105”、“TPS−101”、“TPS−102”、“TPS−103”、“TPS−105”、“MDS−103”、“MDS−105”、“DTS−102”および“DTS−103”(以上、みどり化学株式会社製)、“PI−2074”(ローディア社製)などが挙げられる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、1〜15重量部が好ましい。
さらに、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としてはたとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、ならびに光還元性色素等が挙げられる。光増感剤を配合する場合、その量は、光カチオン重合性エポキシ樹脂組成物を100重量部として、通常、0.1〜20重量部程度である。
次に、熱カチオン重合開始剤について説明する。加熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する化合物としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどが挙げられる。これらの熱カチオン重合開始剤も市販品を容易に入手することができ、たとえば、いずれも商品名で、“アデカオプトンCP77”および“アデカオプトンCP66”(以上、株式会社ADEKA製)、“CI−2639”および“CI−2624”(以上、日本曹達株式会社製)、“サンエイドSI−60L”、“サンエイドSI−80L”および“サンエイドSI−100L”(以上、三新化学工業株式会社製)などが挙げられる。
光カチオン重合と熱カチオン重合を併用することもできる。エポキシ系接着剤は、さらにオキセタン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
位相差フィルムまたは偏光子に無溶剤型接着剤を塗工する方法としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、およびグラビアコーター等の、種々の塗工方式が採用される。また、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、少量の溶剤を用いて粘度調整を行ってもよい。このために用いる溶剤は、偏光子の光学性能を低下させずに、エポキシ系接着剤を良好に溶解するものであればよく、たとえば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類等の有機溶剤が使用できる。無溶剤型のエポキシ系接着剤を用いる場合、接着剤層の厚さは通常50μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であり、また通常は1μm以上である。
以上のように、未硬化の接着剤層を介して偏光子に位相差フィルムを貼合した後は、活性エネルギー線を照射するか、または加熱することにより、エポキシ系接着剤層を硬化させ、位相差フィルムを偏光子上に固着させる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、およびメタルハライドランプ等が挙げられる。活性エネルギー線、特に紫外線の照射強度や照射量としては、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光子、位相差フィルム、および透明保護フィルムに悪影響を与えないように適宜選択すればよく、特に制限されるものではない。また加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光子、位相差フィルム、および透明保護フィルムに悪影響を与えないように適宜選択すればよく、特に制限されるものではない。
また、本発明において用いることができる別の好ましい接着剤として、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したもの、またはこれを水に分散させたものを挙げることができる。水系の接着剤を用いると、接着剤層の厚みをより低減することができる。水系の接着剤としては、接着剤成分として、たとえば、水溶性の架橋性エポキシ樹脂、あるいは水溶性のウレタン系樹脂などを含有するものを挙げることができる。
水溶性の架橋性エポキシ樹脂としては、たとえば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂を挙げることができる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン650」、「スミレーズレジン675」(いずれも商品名)などがある。
接着剤成分として水溶性の架橋性エポキシ樹脂を用いる場合は、さらに塗工性と接着性を向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を混合するのが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。なかでも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩との共重合体のケン化物、すなわち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。なお、ここでいう「カルボキシル基」とは、−COOHおよびその塩を含む概念である。
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、それぞれ(株)クラレから販売されている「クラレポバール KL−506」、「クラレポバール KL−318」、「クラレポバール KL−118」、それぞれ日本合成化学工業(株)から販売されている「ゴーセナール T−330」、「ゴーセナール T−350」、電気化学工業(株)から販売されている「DR−0415」、それぞれ日本酢ビ・ポバール(株)から販売されている「AF−17」、「AT−17」、「AP−17」などが挙げられる。
水溶性の架橋性エポキシ樹脂を含む接着剤は、上記エポキシ樹脂および必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を水に溶解し、接着剤溶液として調製することができる。この場合、水溶性の架橋性エポキシ樹脂は、水100重量部に対して、0.2〜2重量部程度の範囲の濃度とするのが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は、水100重量部に対して、1〜10重量部程度、さらには1〜5重量部程度とするのが好ましい。
一方、ウレタン系樹脂を含む水系の接着剤を用いる場合、適当なウレタン樹脂の例として、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、骨格を構成するウレタン樹脂中に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品として、たとえば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドラン AP−20」、「ハイドラン APX−101H」などがあり、いずれもエマルジョンの形で入手できる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、さらにイソシアネート系などの架橋剤を配合することが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのようなポリイソシアネート単量体のほか、それらの複数分子がトリメチロールプロパンのような多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体のようなポリイソシアネート変性体などがある。好適に使用し得る市販のイソシアネート系架橋剤として、たとえば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドランアシスター C−1」などが挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いる場合は、粘度と接着性の観点から、そのウレタン樹脂の濃度が10〜70重量%程度、さらには20重量%以上、また50重量%以下となるように、水中に溶解または分散させたものが好ましい。イソシアネート系架橋剤を配合する場合、その配合量は、ウレタン系樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部程度となるように適宜選択される。
上記水系の接着剤を用いる場合において、偏光フィルムと保護フィルムとの接着は、当該接着剤を保護フィルムおよび/または偏光フィルムの接着面に塗布し、両者を貼り合わせることにより行なうことができる。より具体的には、偏光フィルムおよび/または保護フィルムに水系の接着剤を、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなどの塗工方式で均一に塗布した後、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。乾燥は、たとえば、60〜100℃程度の温度で行なうことができる。接着性をより高めるために、乾燥後、室温よりやや高い温度、たとえば30〜50℃程度の温度で1〜10日間程度養生することが好ましい。
上記水系の接着剤は、上記無溶剤型のエポキシ系接着剤と同様に、透明保護フィルムと偏光子との貼合、あるいはオレフィン系樹脂フィルムからなる二軸性の位相差フィルムと偏光子との貼合、またはこれらの両者の貼合に好ましく用いることができる。偏光子の両面に積層されるフィルムの接着に同じ接着剤が用いられてもよいし、異なる接着剤が用いられてもよいが、製造工程の簡略化および偏光板の構成部材の削減のためには、同じ接着剤を用いることが好ましい。
[透明保護フィルムと偏光子の接着]
偏光子30と透明保護フィルム40の接着には、上記同様の接着剤を用いてもよいし、それとは異なる接着剤を用いてもよいが、偏光子30と位相差フィルム20の間、および偏光子30と透明保護フィルム40の間で同じ接着剤を用いることが、工程および材料を少なくできることから好ましい。
[TNモード液晶セル]
本発明に用いられるTNモード液晶セルは、TNモード液晶表示装置に用いられる液晶セルであり、セル内部には、厚み方向にネマチック液晶が90°ねじれた状態で配置され、この液晶相を透過する直線偏光の旋光性を利用して白表示を実現することを特徴とする液晶セルである。
[液晶パネルの作製]
本発明の液晶パネルを形成する複合偏光板およびTNモード液晶セルなどの各種光学層は、接着剤を用いて一体化されるが、そのために用いる接着剤は、接着層が良好に形成されるものであれば特に限定されるものではない。接着作業の簡便性や光学歪の発生防止等の観点からは、粘着剤を使用することが好ましい。
複合偏光板と液晶セルとを貼合するための粘着剤としては、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、ブチルゴム系、およびシリコーン系等のベースポリマーを用いたものが使用でき、特に限定されるものではないが、たとえば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステルをベースとするポリマー、またはこれらの(メタ)アクリル酸エステルを2種類以上用いた共重合体をベースとするポリマーが好適に用いられる。粘着剤は、通常、これらのベースポリマー中に極性モノマーが共重合されており、この極性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびグリシジル(メタ)アクリレート等の、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、およびエポキシ基等を有するモノマーが挙げられる。架橋剤としては、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成する2価または多価金属塩、およびカルボキシル基との間でアミド結合を形成するポリイソシアネート化合物等が挙げられ、これらの化合物が架橋剤として1種または2種以上ベースポリマーに混合して用いられる。一般的な粘着剤層の厚みは5〜50μm程度である。粘着剤層を複合偏光板に付与する場合、状況によってはコロナ処理等の表面処理を複合偏光板の位相差フィルム表面に施してもよい。
上記複合偏光板10は、その位相差フィルム20の外側にこのような粘着剤を配置して液晶セルに貼り合わせられる。
本発明の液晶パネルにおいては、液晶セルの両面に上記の複合偏光板10が配置される。複合偏光板10の液晶セルへの貼合の際には、複合偏光板10の位相差フィルム20側が液晶セルに向き合うように配置される。
図2に本発明の液晶パネルの一例を、模式的な斜視図で示す。この例でも、各層を離間した状態で示しているが、実際には隣り合う各層が密着していることになる。図2に示す例では、液晶セル50の下側に、位相差フィルム20/偏光子30/保護フィルム40からなる複合偏光板を、その位相差フィルム20側が液晶セル50に向き合うように積層し、液晶セル50の上側にも、位相差フィルム20/偏光子30/保護フィルム40からなる複合偏光板を、その位相差フィルム20側が液晶セル50に向き合うように積層している。それぞれの複合偏光板において、位相差フィルム20の遅相軸22と偏光子30の吸収軸32が直交関係になっており、下側の偏光子30は、その吸収軸32が液晶セル50の長辺方向52に135°で配置され、上側の偏光子30は、その吸収軸32が液晶セル50の長辺方向52に45°に配置されている。このような液晶パネルのいずれかの透明保護フィルム40の外側にバックライトが配置され、液晶表示装置となる。
本発明者らは、このような液晶パネルを用いた液晶表示装置の横方向の視野角改良検討を行ったところ、オレフィン樹脂からなる位相差フィルムの位相差値と液晶セルの位相差値との間に相関性があり、オレフィン樹脂からなる二軸性の位相差フィルムの面内位相差値(Ro)、厚み方向の位相差値(Rth)、液晶セルの位相差値(Rc)とが、次式(1)、(2)に示される条件を満たす場合においては、横方向の視野角が広がることを見出した。
(1)0.13<Ro/Rc≦0.34
(2)0.17≦Rth/Rc<0.54
式中、
Ro(nm):オレフィン樹脂からなる二軸性の位相差フィルムの面内位相差値
Rth(nm):オレフィン樹脂からなる二軸性の位相差フィルムの厚み方向の位相差値
Rc(nm):液晶セルの位相差値
である。
液晶セルの位相差値は後記する実施例で示すように透過・吸収スペクトル測定装置MCPD1000を用いて測定する。セルの位相差値(Rc)は、通常、300〜600nmの範囲にあり、400〜500nmのものが好ましく、400〜470nmのものがより好ましい。
式(1)は、Ro/Rcが0.13より大きく0.34以下であることを意味するが、この値は0.2〜0.27の範囲にあることが好ましい。また式(2)は、Rth/Rcが0.17以上であり0.54より小さいことを意味するが、この値は0.27〜0.3の範囲にあることが好ましい。式(1)、(2)は同時に満たされることが横方向の視野拡大に必要であること、および式(1)、(2)がこの範囲を満たさない場合、横方向の視野角が狭くなることは、後記する実施例および比較例によって明確に理解される。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。以下の例において、位相差フィルムの位相差値および液晶セルの位相差値は、それぞれ次の方法で測定した。
[位相差フィルムの位相差値の測定]
位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)を用いて、波長590nmで測定した。
[液晶セルの位相差値の測定]
電圧無印加状態の液晶セルの面内位相差値を、透過・吸収スペクトル測定装置MCPD−1000(大塚電子(株)製)を用いて測定した。
[実施例1]
(a)複合偏光板の作製
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の片面には、透明保護フィルムとして厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタオプト(株)製の「KC8UX2MW」)を、偏光子の反対面には、環状オレフィン系樹脂からなる厚さ約40μmの位相差フィルム(日本ゼオン(株)から入手;Ro=80nm、Rth=110nm)を配置して、複合偏光板を作製した。この際、まず、位相差フィルムの接着面側に積算照射量1,680Jの条件でコロナ放電処理を施し、次にこの位相差フィルムの接着面およびトリアセチルセルロースからなる保護フィルムの接着面に、それぞれエポキシ系紫外線硬化型接着剤を塗工し、偏光子と貼合した。次いで、Fusion UV Systems社製の紫外線照射システムを用いて、出力300mW、照射量300mJの条件で位相差フィルム側から紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。さらに、その位相差フィルム側に厚さ約15μmの粘着剤層を設けて、粘着剤付き複合偏光板とした。粘着剤層の外側にはセパレートフィルムが貼合された粘着剤付き複合偏光板を作製したが、そのセパレートフィルムを除く粘着剤付き複合偏光板の厚みは170.6μmであった。
(b)液晶パネルの作製
TNモードの液晶セルを備える奇美電子製の液晶テレビ“CMV937A”を分解して液晶パネルを取り外し、その液晶パネルにおいて液晶セルの両面に接着された偏光板を剥がし、代わりに、上記(a)で作製した粘着剤付き複合偏光板からセパレートフィルムを剥がしたものを、両面ともその透過軸が液晶セルのラビング方向と直交するように粘着剤層側で貼合して(この配置はOモードと称される)、液晶パネルを作製した。このときの層構成および軸関係は、図2に示すとおりである。
ここで用いたTNモード液晶セルの面内位相差値は410nmであった。したがって、環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムの面内位相差値Roおよび厚み方向位相差値Rthと、TNモード液晶セルの面内位相差値Rcとの関係は、Ro/Rc=80/410=0.20、Rth/Rc=110/410=0.27であった。
(c)液晶表示装置の組立てと評価
液晶パネルを上記(b)で作製したものに変え、その他は分解前の液晶テレビと同じ状態で液晶表示装置を組み立てた。この液晶表示装置を作動させ、ELDIM社製の液晶視野角測定装置“EZ Contrast 88XL”を用いて、画面横方向のコントラストが100以上となる角度を測定した。ここでコントラストは、黒表示時の輝度に対する白表示時の輝度の比である。また、画面横方向のコントラストが100以上となる角度とは、図3に示す液晶パネルの断面模式図において、液晶パネル60の表示面61に対する法線方向62を中心にコントラストの測定位置を画面の左右に傾けたときに、画面右側でコントラストが100となる方向と、画面左側でコントラストが100となる方向とのなす角度63をいい、ここでは、画面を上下に2分する位置(縦方向中央部)で画面を左右に傾いた方向から見たときのコントラストを測定した。結果を表1に示す。表1では、上記のコントラストが100以上となる角度を「CR100以上の視野角」と表示した。
[実施例2]
環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとして、Roが60nmであり、Rthが70nmであるものを使用した以外は、実施例1と同様にして液晶パネルを作製し、さらに液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとして、Roが60nmであり、Rthが90nmであるものを使用した以外は、実施例1と同様にして液晶パネルを作製し、さらに液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとして、Roが60nmであり、Rthが110nmであるものを使用した以外は、実施例1と同様にして液晶パネルを作製し、さらに液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとして、Roが110nmであり、Rthが150nmであるものを使用した以外は、実施例1と同様にして液晶パネルを作製し、さらに液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとして、Roが140nmであり、Rthが125nmであるものを使用した以外は、実施例1と同様にして液晶パネルを作製し、さらに液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[実施例7]
環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとして、Roが90nmであり、Rthが130nmであるものを使用したことと、TNモードの液晶セルを備える(株)東芝製の液晶テレビ“REGZA19A3500”(電圧無印加時の液晶セルの面内位相差値は460nm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして液晶パネルを作製し、さらに液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[実施例8]
トリアセチルセルロースフィルムに代えて、厚みが約38μmでヘイズが2.3%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(配向主軸の歪みの最大値は4.5度、面内位相差値Roは2,245nm)を用い、このフィルムの偏光子との接着面側に、積算照射量1,680Jの条件でコロナ放電処理を施した後、接着剤を塗工した以外は、実施例1の(a)と同様にして、粘着剤付き複合偏光板を作製した。この粘着剤付き複合偏光板は、セパレートフィルムを除く(粘着剤層は含む)厚みが129.1μmであった。この複合偏光板を用いる以外は、実施例1の(b)と同様にして液晶パネルを作製し、さらに実施例1の(c)と同様に液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[実施例9]
トリアセチルセルロースフィルムに代えて、厚みが約23μmでヘイズが0%である無配向の環状オレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン(株)から入手;面内位相差値Ro=1.3nm、厚み方向位相差値Rth=2.6nm)を用い、その他は実施例1の(a)と同様にして、粘着剤付き複合偏光板を作製した。この粘着剤付き複合偏光板は、セパレートフィルムを除く(粘着剤層は含む)厚みが114.1μmであった。この複合偏光板を液晶セルのリア側(バックライト側)に貼合し、実施例9で作製した複合偏光板を液晶セルのフロント側(視認側)に貼合し、その他は実施例1の(b)と同様にして液晶パネルを作製し、さらに実施例1の(c)と同様に液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに代えて、トリアセチルセルロースフィルムにディスコティック液晶が配向固定されている光学補償フィルム(富士フイルム(株)製の「EA−WV」)を使用した以外は、実施例1と同様にして複合偏光板を作製し、さらに液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに代えて、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタオプト(株)製の「KC8UX2MW」)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶パネルを作製し、さらに液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとして、Roが55nmであり、Rthが124nmであるものを使用した以外は、実施例1と同様にして液晶パネルを作製し、液晶表示装置として評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとして、Roが60nmであり、Rthが220nmであるものを使用した以外は実施例1と同様にして液晶パネルを作成し、さらに液晶表示装置を組み立てて評価した。結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例1で作製した液晶パネルを、80℃に設定された熱風循環オーブンに立てて設置した。300時間経過した後、その液晶パネルを取り出して室温まで冷却し、液晶表示装置に組み立てて作動させた。画像を黒表示にして観察したところ、画面上のいずれにも光の抜ける箇所は認められなかった。
[比較例5]
比較例1で作製した液晶パネルを実施例11と同様にして熱風循環オーブンに設置し、同じ時間経過後に取り出して室温まで冷却し、次いで液晶表示装置に組み立てて作動させた。画像を黒表示にして観察したところ、画面の4辺に沿って光の抜ける箇所が認められた。
Figure 2010224512
表1中、「保護フィルム」の欄にある「TAC」、「PET」および「COP」は、それぞれ以下の樹脂を意味する。
TAC:トリアセチルセルロース、
PET:ポリエチレンテレフタレート、
COP:環状オレフィン系樹脂。
10 複合偏光板、20 オレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルム、22 位相差フィルムの遅相軸、30 偏光子、32 偏光子の吸収軸、40 透明保護フィルム、50 液晶セル、52 液晶セルの長辺方向、60 液晶パネル、61 液晶パネルの表示面、62 液晶パネルの法線方向、63 画面横方向の角度。

Claims (6)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子の片面に透明保護フィルムを備え、その反対側の面にオレフィン系樹脂からなる二軸性の位相差フィルムを備えてなる複合偏光板が、TNモード液晶セルの両面に、前記複合偏光板の前記位相差フィルム側が前記液晶セル側に向き合うように積層されてなり、かつ、
    前記位相差フィルムの面内位相差値をRo、その厚み方向位相差値をRth、前記液晶セルの電圧無印加時の面内位相差値をRcとしたときに、次式(1)および(2):
    0.13<Ro/Rc≦0.34 (1)
    0.17≦Rth/Rc<0.54 (2)
    を満たすことを特徴とする液晶パネル。
  2. 前記位相差フィルムが、環状オレフィン系樹脂からなる請求項1に記載の液晶パネル。
  3. 前記液晶セルの少なくとも一方の面に配置される複合偏光板は、それを構成する前記透明保護フィルムが、延伸され、20〜50μmの厚みを有し、0.1〜40%のヘイズ値を有するポリエチレンテレフタレートフィルムからなる請求項1に記載の液晶パネル。
  4. 前記液晶セルの片面に配置される複合偏光板は、それを構成する前記透明保護フィルムが、延伸されておらず、15〜25μmの厚みを有する環状オレフィン系樹脂フィルムからなる請求項1に記載の液晶パネル。
  5. 前記偏光子と前記透明保護フィルム、および/または、前記偏光子と前記位相差フィルムが、無溶剤型のエポキシ系接着剤で接着されている、請求項1に記載の液晶パネル。
  6. 前記無溶剤型のエポキシ系接着剤は、活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものである請求項5に記載の液晶パネル。
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