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JP2010215621A - 粉末噴射用の粉末、粉末混合物、及び特に歯表面の処置への使用方法 - Google Patents

粉末噴射用の粉末、粉末混合物、及び特に歯表面の処置への使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粉末又は粉末混合物を空気と混合し粉末/空気混合物にする粉末噴射装置による粉末噴射用の粉末及び粉末混合物を提供する。
【解決手段】本粉末及び粉末混合物はアルジトールであるか、又はアルジトールを含む。好ましくはマンニトール及び/又はエリトリトールが使用される。その虫歯を防ぐ効果のために、キシリトールも歯表面、特に象牙質等のより弱く石灰化した歯表面のクリーニングに適している。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、特許文献1に記載されているような粉末噴射装置による粉末噴射用の粉末、又は粉末噴射装置による粉末噴射用の粉末混合物に関する。また、本発明は、粉末噴射処置、特に、歯表面、好ましくは歯根表面及び象牙質の粉末噴射クリーニングのための薬剤又は材料の調製における上記の粉末及び粉末混合物それぞれの使用(方法)にも関する。
このような粉末は特許文献2または特許文献3から既に知られている。この2番目の文献の更なる開発は、これまでに知られている重炭酸ナトリウムまたは氷州石の粉末と比べて研磨性の低い、従って歯根表面等の傷つき易い表面、及びエナメル質表面への悪影響がより少ないグルタメートまたはグルコン酸ナトリウム等の特に優しい粉末の提供を目的としている。好適な粒子サイズは140μm〜200μmの範囲であり、より強い研磨性の粉末の場合は、粒子サイズは20μm〜70μmの範囲である。
歯根象牙質又は他のより弱く石灰化した歯表面等の傷つき易い歯表面を粉末噴射装置により処置する場合、密度2.0g/cm3以下で平均粒子サイズ45μm以下の粉末を使用することが推奨されている。特許文献4は、歯根象牙質などの歯肉下の歯表面のクリーニングのための特に優しい粉末を開示している。特許文献5は、同様に、傷つき易い、特に歯肉下の歯根表面を、例えば結晶セルロースの平均粒子サイズ6、15、20、50、又は120μmの粉末で処置したことを開示している。クリーニング効率は 重炭酸ナトリウムからなる粉末を使用した場合と同じくらい良いが、歯根象牙質の磨損はかなり少ない。特許文献5は水不溶性の薬剤を開示し、一方、特許文献4は水溶性の薬剤、例えばアミノ酸、糖又は有機酸、及びそれらの塩を開示する。それらの粉末は歯に適用直後に水に溶け、特に歯肉ポケットに集まらないという利点を有している。一方、水不溶性の薬剤は不快感を引き起こし、歯肉ポケット又は歯肉の感染さえ引き起こす可能性がある。しかし、これらの粉末は1つ又は複数の粉砕及びふるい分け工程のために、その調製又は製造はコストと労力がかかるという欠点がある。
より小さな粒子からなる粉末は歯表面に当たった時、より低い衝撃力を有し、このため、より少量の物質を削り取る。同じことは、より軽い薬剤又は材料にも当てはまり、より低い衝撃力を有し、従ってより少量の物質を削り取る。しかし、特許文献5からより小さな平均粒子サイズの粉末は、より大きな平均粒子サイズの粉末と同じくらいの良好なクリーニング効果を得ることが明らかである。従って、ほぼ同じ良好なクリーニング効率の場合、粒子サイズと密度だけでは、粉末についての情報、歯表面への研磨効果が強いか弱いかを与えない。
特許文献6は粉末噴射装置による傷つき易い歯表面のクリーニングのための別の組成物を開示している。この組成物は、一方では、歯付着物/歯垢を除去する良好なクリーニング結果が得られ、同時に、傷つき易い歯表面に当たる時、可能な限り少ない研磨性が得られる。特許文献6は非常に細かい粒子で、集まってより大きな「雪玉」になり歯表面に当たると破裂する材料を使用することを推奨する。サイズが0.01〜5μmの範囲の粒子群が10〜200μmサイズのより大きな球を形成し、歯表面に当たると破裂する。ギブサイトが原材料として推奨されている。
実質的に5つの要因が粉末噴射に使用される粉末の研磨性にとって決定的に重要である。粒子速度に加えて、粒子の硬さと粉砕抵抗、表面状態、及び質量も決定的に重要である。質量が等しい場合、より低い密度の大きな粒子群は、より高い密度のより小さな粒子群とほぼ同じ研磨性を有する。しかし、より小さな粒子群は既存の粉末噴射装置において準最適に使用されるか、又は処理されうる。一般に、このような粉末は特許文献1に示されているような粉末室に入っている。空気をこの粉末室に吹き入れ、粉末を分散させ、生成された空気/粉末混合物をノズルへ供給する。通常、ノズルには別の供給管を介して水も供給される。水ジェットに囲まれた空気/粉末混合物はノズル端から出て、ノズル出口から通常1mm〜5mmの距離に位置する歯表面に当たる。
特許文献3から、人間が不快な味ではないと考える水溶性粉末を使用することが知られている。また、粉末室内での凝集も防ぐべきであり、そのため粉末は吸湿性があるべきでない。また、この特性は焼成シリカ等の更に細かい粒子の物質を加えることで向上させることができる。
適切な噴射手段の選択のための追加の基準は、使用する粒子群の混合特性と飛行特性である。粉末室内で渦を巻く時、粉末室内に満たされた粉末の量に依らず、出ていく空気流が絶えず供給されるよう注意しなければならない。これは、粉末が空気流によって均一にかき混ぜられる時と、例えば流動性が高密度領域の形成によって制限される時にだけ保証されうる。より小さな粒子は、高密度領域をより大きな粒子より形成し易い。より大きな粒子は通常そのより大きな質量のために、しばしば空気流によるかき混ぜやすさが減少する。また、混和性は使用される薬剤に依って決まる。同時に、粉末は現在使用されている粉末噴射装置によって処理されるのが可能であるべきであり、粉末の調製又は製造は出来るだけコスト上、効率的であるべきである。
また、粉末噴射用の粉末は腐食性が出来るだけ低く、噴射ノズルを出来るだけ摩耗させないのがよい。好適な粒子サイズの粉末を、好ましくは直接、追加のすり潰し工程の必要なく製造することが可能であるべきであり、粉末は人に優しくあるべきである。粉末は人間にとって十分耐えられもので、可能であれば、受け入れられる味であるべきである。費用と時間がかかる適用手順を短縮するか又は避けるために、粉末は好ましくは副作用がほとんどなく、消化性が良いのがよい。
欧州特許第1159929号明細書 米国特許第3,882,638号明細書 米国特許第4,174,571号明細書 国際公開第00/53154号 米国特許第6,126,444号明細書 米国特許第5,810,587号明細書
従って、本発明の目的は、従来の粉末の上記欠点を回避し、同時に上記要件及び要求を出来るだけ広範囲に満たすことである。
この目的は独立請求項1、7、及び10の特徴によって達成される。本発明に係る粉末を収容する粉末噴射装置は請求項12に特徴が記載されている。本発明の有利な実施形態は従属項にクレームされ、特徴が記載されている。
本発明は驚くことに、アルジトールを粉末として使用する時、粉末に対する上記要件のほぼ全てを満たしうることを発見した。アルジトールは化学式がHOCH2[CH(OH)]nCH2OHである非環式多価アルコールであり、構造上炭水化物から誘導される。これらは糖アルコールとも呼ばれる。
本開示で特に好適な糖アルコールは、マンニトール、エリトリトール、キシリトール、ソルビトール、又はトレイトールである。アルジトールは甘味を持ち、虫歯を発生させず、20〜30g/1日を超える摂取後に初めて緩下剤効果を示す。即ち、まさに歯表面の粉末噴射クリーニングに使用することが出来る。アルジトールはダイエット食の糖の代用品として使用されており、血糖値を上げず、代謝されるのにインシュリンを必要としない。このため、糖尿病患者にも適し、まさに、粉末噴射用途に使用できる。
マンニトールとエリトリトールが特に好適なアルジトールであることが分かった。マンニトールは4つのCH(OH)基を有するアルジトールであり、錠剤の製造における薬剤の他に糖の代用品(E421)としても使用される。マンニトールは無色で甘味がある結晶であり、約1.52g/cm3の密度を有する。その高い水溶性のために、歯表面に当たった後、溶解され洗い流されうるので、粉末噴射クリーニングに完全に適合する。マンニトールのモル質量は182.17g/molである。分子式はC6146である。マンニトールは商標Osmofundin(登録商標)、Osmosteril(登録商標)、又はBronchitol(登録商標)として市場で入手可能である。
グリシン、グルコン酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウムなどの今まで知られている種類の粉末と違って、マンニトールは多くの利点を有している。グリシンと比較すると、マンニトールは噴射ノズルの摩耗が少ないが、同じ位の粒子サイズの場合、同等の研磨性を示す。また、マンニトールは傷つき易い象牙質に悪影響を与えることなく、グリシンより歯表面をよりきれいにする。同時に、マンニトールは粉末容器内で空気と非常に良く混ざりうること、及び均一な渦巻きが発生することが分かった。粒子の小さなサイズにも拘らず、例えばグリシンより発生する塵は少ない。従って、より良くかき混ぜられ、粉末噴射装置のノズルにより均一に供給される。これにより、歯処置の均一性が向上する。
また、マンニトールは粉末として所望の粒子サイズに直接調製でき、炭酸水素ナトリウムやグリシンなどのようにすり潰し、ふるいにかけて所望の粒子サイズにする必要がない。また、マンニトールの耐性はかなり良い。グリシンは細胞毒性があり、皮膚に接触すると炎症を引き起こす場合がある。マンニトールは糖の代用品であり、食物として使用でき、水溶性で凝固せず、甘味がある。
本発明に係る粉末の好ましい平均粒子サイズは45μm以下であり、好ましくは35μm以下、より好ましくは約10μmと約30μmの間である。マンニトール粉末の傷つき易い歯表面のクリーニングに適した平均粒子サイズは約20μm〜30μmである。
本発明に係る粉末は2.0g/cm3以下、好ましくは1.8g/cm3以下、より好ましくは1.55g/cm3以下の密度を有する。ずっと好ましい密度は1.4g/cm3と1.5g/cm3の間の範囲である。また、本発明に係る粉末の1つの実施形態は5以下、好ましくは3.5以下、ずっと好ましくは2.5以下のモース硬さを有する。また、本発明に係る粉末は90g/mol以上、好ましくは110g/mol以上、ずっと好ましくは120g/mol以上のモル質量を有する。長鎖炭化水素は低い密度の粒子を形成する。即ち、質量が同じ時、より大きな接触面を有し、渦巻き室におけるより良好な渦巻き特性を有する。
従来の装置の粉末室内の20μm未満の粒子サイズのグリシンに確実に渦を巻かせることは出来ず、高密度の領域が形成されるが、例えばエリトリトールからなる粉末を使用した場合、流動性を増加させるために焼成シリカ等を加えて空気流が噴射材を十分に含まないようにしても、このような事は起こらない。
エリトリトールは2つのCH(OH)基を有し、同様に、糖の代用品(E968)として使用される。室温において固体で、1.45g/cm3の密度を有し、水溶性である。エリトリトールは、マンニトールと同様、上記の好ましい特性を有し、ソルビトール、マルチトール、ラクタイト、イソマルト等の他のアルジトールと比較して、非常に高い消化耐性という長所を有する。摩損測定値は、驚くことに、マンニトールに比べてやや低い密度にも拘わらず、エリトリトールの研磨性は、同じ粒子サイズで、少し増加することを示した。これの理由はたぶんエリトリトールの異なる結晶形態(粒子の尖った縁のある表面の形成)である。エリトリトールは、従来の粉末噴射装置の混合室内で約12μmの小粒子サイズまで確実に渦を巻かせることが出来るので、非常に有利である。歯表面のクリーニングの効果はより大きなマンニトール粉末又はグリシン粉末と同じくらい良好であるが、平均粒子サイズ20μmのグリシン、又は平均粒子サイズ23μmのマンニトールを含む粉末より研磨性がかなり低い。このため、エリトリトールは象牙質に特に優しい。
また、キシリトールを含む粉末も適している。これは無色で甘味のある結晶であり、152.15g/molのモル質量と0.77g/cm3の低密度を有する。水に容易に溶解し、虫歯を防ぐ効果があるという利点を有する。天然糖アルコールは多くの種類の野菜及び果物に存在する(中でもプラム、イチゴ、又はキイチゴ)。キシリトールは、炭水化物を代謝する途中で人体の肝臓で毎日生成され、その甘味特性のためにダイエット栄養補給剤の好ましい特性を有する。キシリトールも糖尿病患者に適している。
別の適切なアルジトールは、1.49g/cm3の密度と約182.2g/molのモル質量を有するソルビトールである。ソルビトールは無色、無臭で吸湿性と甘味のある針状結晶を形成し、穀物又は小麦でんぷんから作ることが出来る。水に容易に溶解する。これらの特性により本発明に係る粉末に特に適している。
本発明は粉末噴射装置による粉末噴射用の粉末混合物にも関する。該粉末混合物は、上記の粉末のうち2つ以上を含み、該各粉末は、上記の粉末の総質量(全量)に対して2%以上、好ましくは10%以上、ずっと好ましくは20%以上の質量分率(パーセンテージ)で含まれている。このため、それらの量は本発明の研磨作用粉末にだけ関係するが、勿論、追加の成分を該粉末混合物に加えてもよい。従って、歯表面の粉末噴射クリーニング用の適切な薬剤は、本発明に係る粉末又は本発明に係る粉末混合物と、必要に応じて、追加の成分、例えば細かく粒子化されたシリカゲル、漂白剤、鎮痛剤、殺菌剤、又は香味添加剤とからなる。また、処置対象である歯表面に粉末噴射装置により適用できるように、空気と水とを前記薬剤に追加してもよい。
従って、本発明は、粉末噴射処置、好ましくは歯表面、特に象牙質のクリーニングのための薬剤の調製における、本発明に係る粉末または粉末混合物の使用にも関する。
本発明に係る粉末混合物は、上記の研磨粉末のうち2つ以上を、前記好適な実施形態の粉末の粒子の全数(即ち、物質総量)に対して5%以上、好ましくは10%以上、ずっと好ましくは20%以上の粒子分率(即ち、物質量)で含む。ずっと好適な粉末混合物は、マンニトールを約30%の質量分率(パーセンテージ)で含み、エリトリトールを約70%の質量分率(パーセンテージ)で含む。これは、約1:6の物質量比(即ち、粒子比)に相当する。
本発明において、平均粒子サイズ12μmのエリトリトール等の非常に細かな軽い粉末に少量の少し大きな粒子の別の粉末、例えば平均粒子サイズ約20μmのマンニトールを加えることが可能であることが分かった。この少し大きな粒子の追加により、粉末室内の空気流は粉末をより容易にかき混ぜることができ、より密集するリスク、即ち、高密度領域の形成のリスクが最小化される。即ち、使用する粉末混合物の渦巻きが良好で、同時に、特に細かく粒子化された粉末が歯表面に当たり、特に、傷つき易い歯根表面が注意して処置される。追加されたより大きな粒子の比率はあまり高くないので、粉末混合物の研磨性は僅かしか増加せず、該より大きな粒子の粉末は、粒子表面の形態により摩損効果が少ない。
一方、従来技術では、更に細かく粒子化された薬剤、例えばシリカゲルが、流動性を向上させるために主研磨作用粉末に加えられていたが、粉末噴射装置における渦巻き性と歯表面での研磨性に関する要求は、該2つの相反する要件、即ち渦巻き性と研磨性とを同じ程度満たす粉末混合物によって満たされることが本発明によって分かった。
本発明は、本発明に係る粉末または本発明に係る粉末混合物が入った渦巻き室を備え、空気流によって作用されて該粉末または該粉末混合物が渦を巻き該空気流と一緒にノズルに供給される粉末噴射装置にも関する。
<実施例>
本発明に係る粉末又は粉末混合物を非常に細かな重炭酸ナトリウムの従来の粉末と比較を行った。現在、平均粒子サイズ約65μmの重炭酸ナトリウムは、最も広く普及している歯表面、特に象牙質をクリーニングするための粉末である。そのかなり高い研磨性のために、歯頸部等の傷つき易い歯表面には、この粉末は通常使用されない。しかし、平均粒子サイズが10μmまでの重炭酸ナトリウム粉末を、商業上入手可能な粉末噴射装置において処理可能である。しかし、このような小さな粒子の研磨性も、平均粒子サイズ約12μmの本発明に係るエリトリトール粉末よりまだ高い。
商業上入手可能な粉末噴射装置(AirFlow S1, EMS Electro Medical Systems SA, スイス)を使用して試験を行った。本試験では、プラスチック材料PEEK G 30、即ち、ガラス繊維を30%分率含むポリエーテルエーテルケトンを歯表面の傷つき易い部分の代用として使用した。該粉末噴射装置のノズルをこのプラスチック材料表面の約2mm上に配置し、粉末流(ジェット)をそれぞれ約10秒間噴射した。各粉末で処置した領域の深さを測定し、摩損作用又は研磨性の指標として評価した。比較のために、幾つかの平均粒子サイズのグリシン系粉末も使用した。
Figure 2010215621
(*) 粒子サイズは23μm
値10はφ65μmの重炭酸ナトリウムの特性に対応する。
“-”は当該粉末を前記従来の装置で送達できなかったことを意味する。
Figure 2010215621
(*) 粒子サイズは約23μm
値10はφ65μmの重炭酸ナトリウムの特性に対応する。
“-”は当該粉末を前記従来の装置で送達できなかったことを意味する。
上記表1及び表2はそれぞれ、平均粒子サイズ約65μmの従来の重炭酸ナトリウムの粉末及びグリシンの粉末と比較した被試験粉末の研磨性及び混和性を示す。値10は重炭酸ナトリウムの各特性に対応する。表1から平均粒子サイズ23μmのマンニトールからなる粉末の研磨性は、重炭酸ナトリウムの研磨性より低いことが分かる。しかし、表2の混和性は下がっていない。エリトリトールを使用すると更に小さな粒子サイズ、例えば12μm、を従来の粉末噴射装置で処理することができる。この結果、従来の重炭酸ナトリウムより低い研磨性と、良好な混和性が得られる。
質量分率30%のマンニトール(平均粒子サイズ約23μm)と質量分率70%のエリトリトール(平均粒子サイズ約12μm)との粉末混合物(物質量比約1:6、即ち、粒子数比約1:6(マンニトール:エリトリトール))の研磨性又は混和性は特に驚くべきものであり、グリシンの研磨性又は混和性にほぼ同じである。しかし、この粉末混合物はグリシンに対してかなりの利点を持っている。この粉末混合物は、グリシンより鋼を腐食する効果が小さく、噴射ノズルの摩耗が少ない。また、この粉末混合物はあまり毒性がなく、グリシンのように皮膚に接触すると炎症を引き起こすことが少ない。この粉末混合物は直接製造することができ、グリシンのようにすり潰し、ふるいにかける必要がないので、製造コストはかなり削減される。この粉末混合物は虫歯を発生させず、糖尿病患者に使用することができる。
本発明に係る粉末は、たぶんエリトリトールの結晶形態のために、そのクリーニング効率が従来の粉末よりかなり良い、即ち、歯垢の磨損がより速いので、特に好適である。これに関して、下記の試験を行った。
上記比較粉末と本発明に係る粉末のクリーニング効率の値を決定するために、被膜された板の1cm×0.5cmの領域を粉末噴射装置から噴射される粉末で、該領域からその被膜が完全に無くなるまで処置し、必要な時間を測定した。各試験は統計的変動を考慮して10回繰り返した。これらの試験を、再び商業上入手可能な粉末噴射装置(AirFlow S1, EMS Electro Medical Systems SA, スイス)を使用して実行した。
粒子直径65μmの重炭酸ナトリウム粉末のクリーニング効率に、上記他の試験と同様に比較のために値10を割り当てた。他の粉末の測定された時間をこの値で規格化した。相対値を表3に示す。ここで、高い値は良いクリーニング効率を表す。
Figure 2010215621
値10はφ65μmの重炭酸ナトリウムの特性に対応する。
“-”は当該粉末を前記従来の装置で送達できなかったことを意味する。
被試験粉末のクリーニング効率は、ほとんど全ての粉末が、標準粉末(平均粒子サイズ約65μmの重炭酸ナトリウム)と比較して驚くことにより良いか、少なくとも同等である。粒子サイズ20μmのマンニトールだけが幾分低くなっている。試験したグリシン粉末も標準粉末の性能に達していない。しかし、エリトリトールからなる粉末は、標準粉末を常に超える優れたクリーニング効率を示している。マンニトールとエリトリトールとの混合物のクリーニング効率は標準粉末のそれと等しい。
研磨性、混和性、及びクリーニング効率の測定した値を考慮すると、粉末エリトリトール12μmと、エリトリトールとマンニトールとの混合物とは、傷つき易い歯表面に対して既知の粉末より優れている。摩損値3を傷つき易い歯表面に対する上限として設定すると、これらの粉末はこの値を満たすか、この値未満であり、同時に、グリシンからなる既知の粉末より良好なクリーニング結果を示す。

Claims (12)

  1. 粉末を空気と混合し粉末/空気混合物にする粉末噴射装置による粉末噴射用の粉末であって、
    アルジトールを含む粉末。
  2. 該粉末の平均粒子サイズは45μm以下、好ましくは35μm以下、ずっと好ましくは10μmと30μmの間である請求項1に記載の粉末。
  3. 該粉末は2.0g/cm3以下、好ましくは1.8g/cm3以下、ずっと好ましくは1.55g/cm3以下の密度を有する請求項1又は2に記載の粉末。
  4. 該粉末は4以下、好ましくは3.5以下、ずっと好ましくは2.5以下のモース硬さを有する請求項1〜3のいずれかに記載の粉末。
  5. 該粉末は90g/mol以上、好ましくは110g/mol以上、ずっと好ましくは120g/mol以上のモル質量を有する請求項1〜4のいずれかに記載の粉末。
  6. 該粉末はマンニトールまたはエリトリトールを含む請求項1〜5のいずれかに記載の粉末。
  7. 粉末混合物を空気と混合し粉末/空気混合物にする粉末噴射装置による粉末噴射用の粉末混合物であって、
    該粉末混合物は、請求項1〜6のいずれかに記載の粉末のうち2つ以上を含み、該2つ以上の粉末は、請求項1〜6のいずれかに記載の該粉末の総質量(全量)に対して2%以上、好ましくは10%以上、ずっと好ましくは20%以上の質量分率(パーセンテージ)で含まれている粉末混合物。
  8. 前記各粉末は、請求項1〜6のいずれかに記載の前記粉末の粒子の全数に対して5%以上、好ましくは10%以上、ずっと好ましくは20%以上の粒子分率で含まれている請求項7に記載の粉末混合物。
  9. 該粉末混合物は、マンニトールを30%の質量分率で含み、エリトリトールを70%の質量分率で含む請求項7又は8に記載の粉末混合物。
  10. 請求項1〜6の1つに記載の粉末または請求項7〜9の1つに記載の粉末混合物を、粉末噴射処置、好ましくは歯表面、特に象牙質のクリーニングのための薬剤の調製において、更に細かく粒子化された薬剤、例えばシリカゲル、漂白剤、鎮痛剤、殺菌剤、及び/又は香味添加剤と必要に応じて一緒に使用することを特徴とする、粉末または粉末混合物の使用方法。
  11. 前記薬剤は空気と水とを更に含み、粉末噴射装置による処置対象である歯表面に適用される、請求項10に記載の使用方法。
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載の粉末または請求項7〜9のいずれかに記載の粉末混合物が入った渦巻き室を備え、空気流によって作用されて該粉末または該粉末混合物が渦を巻き該空気流と一緒にノズルに供給される粉末噴射装置。
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