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JP2010213017A - ローパスフィルタ - Google Patents

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JP2010213017A
JP2010213017A JP2009057269A JP2009057269A JP2010213017A JP 2010213017 A JP2010213017 A JP 2010213017A JP 2009057269 A JP2009057269 A JP 2009057269A JP 2009057269 A JP2009057269 A JP 2009057269A JP 2010213017 A JP2010213017 A JP 2010213017A
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Tetsuya Yoshinari
哲也 吉成
Masanori Takahashi
雅典 高橋
Shinya Tokashiki
真哉 渡嘉敷
Katsuhiro Yoshida
勝洋 吉田
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Tokin Corp
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NEC Tokin Corp
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Abstract


【課題】 工程の簡素化を図ると共に、通過域を広げ、かつ減衰傾度の大きい高性能なローパスフィルタの提供を目的とする。
【解決手段】 ローパスフィルタは、表面を拡面化処理しない弁作用金属からなる陽極体1を用い、カットオフ周波数から算出される電気長がそれぞれ異なる複数の二端子型固体電解コンデンサ30a、30bを並列接続し、外装樹脂でモールド成形した構造であり、各々の二端子型固体電解コンデンサ30a、30bの陰極部7の長さLa、Lbはそれぞれの電気長の1/4とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電源ラインや信号ラインなどの導線上を伝搬するノイズを抑制するコンデンサタイプのローパスフィルタに関する。
近年、マイクロコンピュータの発達により、産業機器、民生機器および通信機器等のあらゆる分野にマイクロコンピュータが搭載されている。しかし、最近のデジタル機器では機器間の通信ネットワークの発達やスイッチング電源の動作周波数の向上により高周波ノイズが増加する一方で、デジタル処理の高速化や動作電圧の低電圧化によりノイズに対する動作許容マージンが小さくなりつつあるため、高周波ノイズを除去する、いわゆるローパスフィルタの重要性が高まっている。
マイクロコンピュータに侵入するノイズは、主に電源ラインおよび信号ラインから伝搬することが多いため、このような部位にはノイズフィルタが広く利用されている。従来から用いられているノイズフィルタとしては、二端子型コンデンサを用いたもの、三端子型コンデンサを用いたもの、インダクタを用いたもの、コンデンサとインダクタを複合したローパスフィルタなどが挙げられる。
図5は、一般的なローパスフィルタの特性を説明する概念図で、理想フィルタと実際のフィルタとの違いと、特性用語を示している。図5に示すように、ローパスフィルタの要求特性として、低周波数帯域の通過域では挿入損失が小さい、挿入損失の減衰域が狭い、挿入損失の減衰傾度が大きい、高周波数帯域では阻止域が広いことが挙げられる。
一般に、二端子型コンデンサでは挿入損失の減衰傾度が小さいため信号品質を十分に保つことが困難となってきており、一方、インダクタは挿入損失の減衰傾度は大きいものの高速信号に対する応答性が悪く、信号品質を十分に確保することが出来ないことから、現状は三端子型コンデンサを用いたものや、コンデンサとインダクタを複合したローパスフィルタなどが主流になってきている。
図4は、従来の三端子型固体電解コンデンサの断面模式図である。三端子型固体電解コンデンサ102は、表面を拡面化処理した、板状又は箔状の弁作用金属からなる陽極体1の表面に、金属酸化物からなる誘電体皮膜2を形成し、その中央部の表面に導電性高分子からなる固体電解質層4、グラファイト層5、導電性ペースト層6を順次積層形成して陰極部7としている。また、陰極部7の両側には絶縁体層3をそれぞれ形成し、その絶縁体層3の更に外側の陽極体1の領域を陽極部8としている。これらの陽極部8には、銅箔等からなるリードフレーム9を超音波溶接等により接続している。その後、基板12の上面に形成した素子側陽極端子11aと素子側陰極端子11bに、該リードフレーム9と該陰極部7をそれぞれ導電性接着剤10を介して接合し、その後、外装樹脂でモールド成形する。なお、該基板12の下面には外部陽極端子13a、外部陰極端子13bを形成している。このような、三端子型固体電解コンデンサは特許文献1に開示されている。
特開2008−294012号公報
しかしながら、図4に示したような従来の三端子型固体電解コンデンサをノイズフィルタとして用いた場合は、陰極部を貫く陽極体の長さが長くなるためインダクタンス成分が増えること、また、弁作用金属からなる陽極体の表面をエッチング等により拡面化処理を施しているため静電容量が大きくなることにより、高周波帯域の阻止域は広くなるが低周波帯域の通過域が狭くなり、信号品質を劣化させてしまうという欠点があった。
本発明は、上記の課題を解決するため、工程の簡素化を図ると共に、通過域を広げ、かつ減衰傾度の大きい高性能なローパスフィルタの提供を目的とする。
本発明は上記の課題を解決するため、表面を拡面化処理しない弁作用金属からなる陽極体を用い、かつ、カットオフ周波数から算出される電気長がそれぞれ異なり、かつそれぞれの陰極部の長さがそれぞれの電気長の1/4とした複数の二端子型固体電解コンデンサを並列接続して構成されたローパスフィルタである。
また、二端子型固体電解コンデンサは、弁作用金属表面の非拡面化処理以外は従来の固体電解コンデンサと同一構成であるため、製造工数の煩雑化は生じない。なお、陰極部の長さLは電気長の1/4となるように数1の関係式を満足するように設定する。
Figure 2010213017
ここでfはローパスフィルタでのカットしたい減衰域の周波数、cは光速、effは母材となる弁作用金属の酸化物からなる誘電体皮膜の実効誘電率である。また、複数の二端子型固体電解コンデンサは、それぞれ陰極部の長さLが異なり、陰極部の長さが長い方のコンデンサの陽極部の幅を、陰極部の長さが短い方のコンデンサの陽極部の幅より狭くし、各々の固体電解コンデンサの陽極部同士、陰極部同士をそれぞれ電気的に並列接続している。
本発明によれば、線状、板状または箔状の弁作用金属からなる陽極体の表面に、弁作用金属の酸化物から成る誘電体皮膜を形成し、誘電体皮膜の一部の上に、固体電解質層を含む陰極導体層が積層された陰極部を形成し、陰極部の隣に絶縁体層を形成し、絶縁体層を介して陰極部と分離された陽極体の部分を陽極部とした複数の二端子型固体電解コンデンサを並列接続した構造を有するローパスフィルタであって、複数の二端子型固体電解コンデンサは、カットオフ周波数から算出される電気長がそれぞれ異なり、複数の二端子型固体電解コンデンサの各々の陰極部の長さが各々の電気長の1/4で、かつ複数の二端子型固体電解コンデンサの各々の陽極体の表面は、共に拡面化処理を施していないローパスフィルタが得られる。
本発明によれば、複数の二端子型固体電解コンデンサの各々の陽極体は、それぞれ異なる弁作用金属からなるローパスフィルタが得られる。
本発明のローパスフィルタに用いる二端子型固体電解コンデンサでは、弁作用金属からなる陽極体の表面を拡面化処理していないので大容量化を抑えることで、ローパスフィルタの通過域を広げ、かつ挿入損失を抑制し、信号品質の高精度化を図ることが可能となる。
また、陰極部の一方の端部が絶縁化され、また陰極部の長さが電気長の1/4とすることで、所望の周波数で定在波が発生し、二端子型固体電解コンデンサがオープンスタブとなる。一般に、オープンスタブの特性はスタブを形成する陽極体の形状に依存する。すなわち、陽極体の幅が細い場合は、インダクタンス成分の増加によって阻止域は狭くなるが減衰傾度が大きくなり、一方、陽極体の幅が太い場合は、静電容量成分の増加によって減衰傾度が小さくなるが阻止域が広くなる。これらの特性を利用して、陽極体の形状が、細長いものと太短いものを組み合わせて並列接続することで減衰傾度が大きく、かつ阻止域が広いローパスフィルタを得ることが出来る。
また、各々の陽極部同士を電気的に接続することによって、陽極部が見掛け上延長されることでインダクタンス成分が増し、更なる減衰傾度の向上を図ることができる。
更に、本発明のローパスフィルタに用いる二端子型固体電解コンデンサは、弁作用金属からなる陽極体の非拡面化処理以外は従来と同一構成であるため、工程をより簡易化でき容易に作製することが可能となる。
本発明のローパスフィルタを説明する図、図1(a)は二端子型固体電解コンデンサの断面図、図1(b)はローパスフィルタの斜視図。 本発明のローパスフィルタを説明する図、図2(a)は二端子型固体電解コンデンサの断面図、図2(b)はローパスフィルタの斜視図。 ローパスフィルタの挿入損失の比較結果。 従来の三端子型固体電解コンデンサの断面模式図。 ローパスフィルタの特性を説明する概念図。
本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、二端子型固体電解コンデンサを用いた本発明のローパスフィルタを説明する図で、図1(a)は二端子型固体電解コンデンサの断面図、図1(b)はローパスフィルタの斜視図をそれぞれ示す。
実施の形態1として、同じ弁作用金属を用いた2つの二端子型固体電解コンデンサを並列に接続したローパスフィルタについて説明する。図1(a)に示すように、二端子型固体電解コンデンサは、アルミ箔の弁作用金属からなる陽極体1を用い、所望の形状・寸法に切り出し、切断面を含む表面に陽極酸化により誘電体皮膜2を形成する。
次いで、誘電体皮膜2の上の所定位置にエポキシ樹脂などにより絶縁体層3を形成して、この絶縁体層3により区分された二つの領域を有する陽極体1とする。この状態を絶縁体層3付き陽極体と呼ぶ。該二つの領域の一方の領域に対して、前記陽極体1を覆うように、導電性高分子からなる固体電解質層4、グラファイト層5、導電性ペースト層6などによる金属層を順次積層し陰極部7を構成する。
ここで、この領域の長さ、すなわち陰極部7の長さLは電気長の1/4となるように数1の関係式を満足するように設定する。
Figure 2010213017
ここでfはローパスフィルタでのカットオフ周波数、cは光速、effは母材となる弁作用金属の酸化物からなる誘電体の実効誘電率である。
続いて、この絶縁体層で分割された二つの領域の陰極部の領域でない方の領域に対して、表面の誘電体皮膜2をレーザ等により全て剥離して陽極体1を露出させ、陽極部8を形成する。
上記の二端子型固体電解コンデンサについて、図1(b)に示したように、陽極体1の幅Wa、Wb、陰極部7の長さLa、Lbがそれぞれ異なる2種類のものを作製する。1つは、陽極体1の幅Waが小さく、陰極部7の長さLaが長い、いわゆる細長い形状の二端子型固体電解コンデンサ30aとし、もう1つは、陽極体1の幅Wbが大きく、陰極部の長さLbが短い、いわゆる太短い形状の二端子型固体電解コンデンサ30bとした。なお、二端子型固体電解コンデンサ30bの陽極体1の幅Wbと、陰極部7の長さLbは、二端子型固体電解コンデンサ30aの陽極体1の幅Waと、陰極部7の長さLaに対して、それぞれWb>Wa、La>Lbとなるようにする。
続いて、図1(b)に示したように、上記の陽極体1の幅Wa、および陰極部7の長さLaを有する二端子型固体電解コンデンサ30aと、陽極体1の幅Wb、および陰極部7の長さLbを有する二端子型固体電解コンデンサ30bの各々の陽極部8を、銅箔等から成るリードフレーム9に並べて載置し、超音波溶接法で電気的に接続する。
その後、素子側陽極端子11a、素子側陰極端子11b、外部陽極端子13a、外部陰極端子13bをそれぞれ上下面に形成した基板12の、素子側陽極端子11a、素子側陰極端子11bの上に、導電性接着剤10を介して、この2種類の二端子型固体電解コンデンサ30a、30bの陽極部8同士を接続したリードフレーム9及び2つの陰極部7を載置し、加熱硬化させることにより電気的に接続し、図示しない外装樹脂でモールド成形してローパスフィルタ100を構成する。
図2は、二端子型固体電解コンデンサを用いた本発明のローパスフィルタを説明する図で、図2(a)は二端子型固体電解コンデンサの断面図、図2(b)はローパスフィルタの斜視図をそれぞれ示す。
実施の形態2として、異種の弁作用金属を用いた2つの二端子型固体電解コンデンサを並列に接続したローパスフィルタについて説明する。図2(a)は、図1(a)と同一構成の固体電解コンデンサの断面図なので、構造説明は省略する。ここでの2種類の二端子型固体電解コンデンサは、1つは、タンタル線の弁作用金属からなる陽極体1を用い、その陽極体1の幅Wcが小さく、陰極部の長さLcが長い、いわゆる細長い形状の二端子型固体電解コンデンサ30cとし、もう1つは、図1(b)で示した陽極体1の幅Wbが大きく、陰極部の長さLbが短い、いわゆる太短い形状の二端子型固体電解コンデンサ30bと同一とした。なお、細長い形状の二端子型固体電解コンデンサ30cの陽極体1の幅Wcと、陰極部7の長さLcは、図1(b)に示した細長い形状の二端子型固体電解コンデンサ30aの陽極体1の幅Waと、陰極部7の長さLaに対して、それぞれWa>Wc、Lc>Laとなるようにする。
図2(b)に示したように、上記の陽極体1の幅Wc、および陰極部7の長さLcを有する二端子型固体電解コンデンサ30cと、陽極体1の幅Wb、および陰極部7の長さLbを有する二端子型固体電解コンデンサ30bの各々の陽極部8を、銅箔等から成るリードフレーム9に並べて載置し、超音波溶接法で電気的に接続する。
その後、素子側陽極端子11a、素子側陰極端子11b、外部陽極端子13a、外部陰極端子13bをそれぞれ上下面に形成した基板12の、素子側陽極端子11a、素子側陰極端子11bの上に、導電性接着剤10を介して、2種類の二端子型固体電解コンデンサ30b、30cの陽極部8同士を接続したリードフレーム9及び2つの陰極部7を載置し、加熱硬化させることにより電気的に接続し、(図示しない)外装樹脂でモールド成形してローパスフィルタ101を構成する。
陽極体1の材料は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の弁作用金属を用い、形状は線状、板状または箔状等何れでもよいが、選択する弁作用金属の特性、加工性も考慮し、適宜選定するのが好ましい。
誘電体皮膜2は、誘電体として作用するもので、通常の固体電解コンデンサと同様に、弁作用金属を電解液中に漬け、電流を流すことで金属表面に形成される。電解液の種類、電流を適宜調整して製膜するのが好ましい。
絶縁体層3は、材質が高耐熱性を有するものであれば、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化性樹脂、ポリイミド系などの熱可塑性樹脂のいずれでもよく、ペースト又は液状のものを用いるのが好ましく、製膜加工性を考慮すると、シリコーン系熱硬化性樹脂がより好適である。形成方法は、浸漬、吹き付け、塗布、印刷法などの一般的な工法を用いればよく、絶縁の機能を確保するのに十分な厚さである10〜30μmとするのが好ましい。また、絶縁体層3は、陰極部7の両側に設けているが、この絶縁体層3は陽極部と陰極部との絶縁のための処理であるため、陽極部8と反対側の陽極体1の端部に誘電体皮膜2が形成される場合は、陽極体の端部に設けずに陰極部7の片側、すなわち陽極部8側にのみ設けても良い。
固体電解質層4は、通常の固体電解コンデンサと同様に、ポリチオフェンまたはポリピロールなどの導電性高分子を用いるのが好ましい。
グラファイト層5は、通常の固体電解コンデンサと同様に、その上層に積層する前記銀7と、下層に形成する固体電解質層4との結合性を高めるためのものである。
導電性ペースト層6は、陰極電極材として汎用的に用いられている銀ペーストをディスペンサ等で塗布し乾燥硬化して形成するのが好ましい。
リードフレーム9は、銅、アルミニウム、ステンレス、またはそれらの合金などの金属製の導電材を用い、更にその表面を金、銀、錫、ニッケルなどでめっき処理したものを用いるのが好ましい。
導電性接着剤10は、金、銀、銅などの金属粉末を含むエポキシ系などのペースト状の樹脂をディスペンサを用いて塗布するのが好ましい。
素子側陽極端子11a、素子側陰極端子11bは、基板12の上面に、銅、アルミニウムなどの金属製の導電性箔体を接着し貼り付けた後、グラビア印刷、スクリーン印刷などの一般的な印刷工法でレジスト印刷を施し、エッチング処理にて形成することができる。上記方法に限らず、導電性ペーストを印刷してもよい。
基板12は、高耐熱性の絶縁材を用いるのが好ましく、ガラスエポキシ材、BTレジン、ポリイミド、液晶ポリマーなどの樹脂系や、アルミナなどのセラミック系等何れを用いてもよいが、薄型化、可とう性、コスト面で有効で、汎用的なガラスエポキシ材を用いるのがより好適である。
外部陽極端子13a、外部陰極端子13bは、基板12の下面に、銅、アルミニウムなどの金属製の導電性箔体を接着し貼り付けた後、グラビア印刷、スクリーン印刷などの一般的な印刷工法でレジスト印刷を施し、エッチング処理にて形成することができる。上記方法に限らず、導電性ペーストを印刷してもよい。
陽極体1の幅Wa、Wb、Wcは、ローパスフィルタの外観形状に応じて適宜調整することができ、低背型では大きく、小床面積では小さくするのが好ましい。
陰極部7の長さLa、Lb、Lcは、前述の数1を満足する長さLとし、カットしたい信号の周波数、すなわちカットオフ周波数fと実効誘電率effとにより算出される電気長の1/4となるように、また、カットオフ周波数fより高い周波数帯域に、各々の二端子型固体電解コンデンサ30a、30b、30cの固有の共振周波数をそれぞれもつように適宜調整するのが望ましい。
図示しない外装樹脂は、汎用の封止用樹脂で、使用環境に耐えうるものであればどんなものでもよく、エポキシ系、フェノール系などの熱硬化性樹脂やポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などの熱可塑性樹脂の何れでもよいが、耐熱性、加工性を考慮し適宜選定するのが好ましい。電源基板での半田リフロー実装性を考慮し、エポキシ系熱硬化性樹脂がより好適である。また、封止方法はインジェクション法、トランスファー法など何れの工法でもよい。
以下、本発明のローパスフィルタについて実施例を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
先ず、陽極体1として、表面を拡面化処理しない、公称化成電圧20V、厚み100μmのアルミ箔を用い、以下の2種類の二端子型固体電解コンデンサ30a、30bを作製した。
細長い形状の二端子型固体電解コンデンサ30aは、上記のアルミ箔の幅Waを1.0mm、長さ8.0mmの長方形状に切り出し、10%のアジピン酸二アンモニウム水溶液に浸漬し、25Vの電圧を印加して、切断面を含む全面に陽極酸化により誘電体皮膜2を形成した。その後、アルミ箔の長さ方向の一端部から1.0mm内側の位置にエポキシ性樹脂を幅0.5mmで塗布し硬化させて絶縁体層3を形成し、一端面から絶縁層体3までの1.0mmの領域を陽極領域とした。また、絶縁体層3を介した他方の領域に、絶縁体層3から6.0mmの位置に同じくエポキシ性樹脂を幅0.5mm、厚さ50μmで塗布し硬化させて絶縁体層3を形成し、これらの2つの絶縁体層3に挟まれた6.0mmの領域を陰極領域とした。この状態を絶縁体層3付き陽極体と呼ぶ。
続いて、絶縁体層3付き陽極体の陰極領域に対して、誘電体皮膜2の表面にモノマーとして3,4−エチレンジオキシチオフェン、酸化剤としてペルオキソ二硫酸アンモニウム、ドーパントとしてパラトルエンスルホン酸をそれぞれモル比6:1:2の割合で反応させて導電性高分子からなる固体電解質層4を形成し、更にその表面にスクリーン印刷によってグラファイト層5を厚さ15μmになるように形成した。そしてグラファイト層5の上に重量80%以上の銀含有量を有した導電性ペースト層6を厚さ30μmに形成し、150℃にて放置して前記導電性ペースト中の有機溶剤を揮発させ同時に硬化させることで、銀層を形成し、陰極部7とした。上記の陰極部7の長さLa、陽極体1の幅Waは、数1において、カットオフ周波数f=4GHz、実効誘電率eff=9を狙い値とし決定している。
また、絶縁体層3付き陽極体の陽極領域に対しては、表面の誘電体皮膜2をレーザで除去し、アルミ箔を露出させ陽極部8とした。
一方、太短い形状の二端子型固体電解コンデンサ30bは、アルミ箔の幅Wbを5.0mm、長さ5.0mmの長方形状に切り出し、10%のアジピン酸二アンモニウム水溶液に浸漬し、25Vの電圧を印加して、切断面を含む全面に陽極酸化により誘電体皮膜2を形成した。その後、アルミ箔の長さ方向の一端部から1.0mm内側の位置にエポキシ性樹脂を幅0.5mmで塗布し硬化させて絶縁体層3を形成し、一端面から絶縁層体3までの1.0mmの領域を陽極領域とした。また、絶縁体層3を介した他方の領域に、絶縁体層3から3.0mmの位置に同じくエポキシ性樹脂を幅0.5mm、厚さ50μmで塗布し硬化させて絶縁体層3を形成し、これらの2つの絶縁体層3に挟まれた3.0mmの領域を陰極領域とした。この状態を絶縁体層3付き陽極体と呼ぶ。
続いて、絶縁体層3付き陽極体の陰極領域に対して、上記と同一工程により、固体電解質層4、グラファイト層5、導電性ペースト層6を順次積層形成し、陰極部7とした。上記の陰極部7の長さLb、陽極体1の幅Wbは、数1において、カットオフ周波数f=9GHz、実効誘電率eff=9を狙い値とし決定している。
また、絶縁体層3付き陽極体の陽極領域に対しては、両面の誘電体皮膜2をレーザで除去し、アルミ箔を露出させ陽極部8とした。
上記の要領で作製した2種類の二端子型固体電解コンデンサ30a、30bの各々の陽極部8を、予め打抜きにて切り出した長さ10mm、幅0.4mm、厚さ50μmの銅箔からなるリードフレーム9に並べて載置し、超音波溶接法を用い、陽極部8同士を電気的に接続した。
その後、基板12の素子側陽極端子11aと素子側陰極端子11bに導電性接着剤10を厚さ40μmに塗布して、その上に、上記の2種類の二端子型固体電解コンデンサ30a、30bのそれぞれの陰極部7と、リードフレーム9を載置し、150℃で熱硬化することにより電気的に接続し、外装樹脂でモールド成形することで、図1(b)に示した二端子固体電解コンデンサタイプのローパスフィルタ100を得た。
(実施例2)
実施例2のローパスフィルタでは、実施例1の2種類の二端子型固体電解コンデンサのうち、細長い形状の二端子型固体電解コンデンサ30cのみを置き換えたもので、陽極体1としてタンタル線を弁作用金属として用い、陽極部8とリードフレーム9を抵抗溶接法を用いて接続した以外は実施例1と同様の工法により、図2(b)に示した二端子型固体電解コンデンサを用いたローパスフィルタ101を得た。
細長い形状の二端子型固体電解コンデンサ30cは、弁作用金属として、表面を拡面化処理を施していない、φ0.1mm、長さ7mmのタンタル線を用いて陽極体1とし、これをリン酸水溶液中、80Vの電圧を印加して陽極酸化し誘電体皮膜2を形成した。続いて、タンタル線の長さ方向の一端部から1.0mm内側の位置にエポキシ性樹脂を幅0.5mm、厚さ50μmで塗布し硬化させて絶縁体層3を形成し、一端面から絶縁層体3までの1.0mmの領域を陽極領域とした。また、この絶縁体層3を介した他方の領域に、絶縁体層3から5.0mmの位置に同じくエポキシ性樹脂を幅0.5mm、厚さ50μmで塗布し硬化させて絶縁体層3を形成し、これらの2つの絶縁体層3に挟まれた5.0mmの領域を陰極領域とした。その後、実施例1の二端子型固体電解コンデンサ30aと同一工程により、陰極部7と陽極部8を形成し、二端子型固体電解コンデンサ30cを得た。上記の陰極部7の長さLc、陽極体1の幅Wcは、数1において、カットオフ周波数f=4GHz、実効誘電率eff=14を狙い値とし決定している。また、もう1つの二端子型固体電解コンデンサ30bも実施例1と同一のものを用いた。
上記の2種類の二端子型固体電解コンデンサ30b、30cの各々の陽極部8を、予め打抜きにて切り出した長さ10mm、幅0.4mm、厚さ50μmの銅箔からなるリードフレーム9に並べて載置し、超音波溶接法を用い、陽極部8同士を電気的に接続した。
その後、基板12の素子側陽極端子11aと素子側陰極端子11bに導電性接着剤10を厚さ40μmに塗布して、その上に、上記の2種類の二端子型固体電解コンデンサ30b、30cのそれぞれの陰極部7と、リードフレーム9を載置し、150℃で熱硬化することにより電気的に接続し、図示しない外装樹脂でモールド成形することで、図2(b)に示した二端子固体電解コンデンサタイプのローパスフィルタ101を得た。
(比較例)
比較例として、図4に示した従来の三端子型固体電解コンデンサの単体からなるローパスフィルタの構造とし、また陽極体1は、実施例1と同様、エッチング等による拡面化処理を施さない、公称化成電圧20V、厚み100μmアルミ箔を用いた。このアルミ箔を幅2.5mm、長さ7.0mmの長方形状に切りだし、10%のアジピン酸二アンモニウム水溶液に浸漬し、25Vの電圧を印加して、切断面を含む全面に陽極酸化により誘電体皮膜2を形成した。その後、長さ方向の両端部からそれぞれ1.0mm内側の位置にエポキシ性樹脂を幅0.5mm、厚さ50μmで塗布し硬化させて絶縁体層3を形成し、両端面から絶縁層体3までの1.0mmの領域を陽極領域とし、これら2つの絶縁層体3で挟まれた4.0mmの領域を陰極領域とした。
続いて、実施例1の二端子型固体電解コンデンサ30aと同一工程により、陰極部7と陽極部8を形成し、更に陽極部8には、予め打抜きにて切り出した長さ0.8mm、幅2.5mm、厚さ50μmの銅箔からなるリードフレーム9を超音波溶接法を用いて接続して、三端子型固体電解コンデンサを得た。
その後、実施例1と同様に、基板12の素子側陽極端子11aと素子側陰極端子11bに導電性接着剤10を厚さ40μmに塗布して、その上に、上記の三端子型固体電解コンデンサを載置し、150℃で熱硬化することにより電気的に接続し、図示しない外装樹脂でモールド成形することで、図4に示した三端子型固体電解コンデンサ102によるローパスフィルタを得た。
上記の要領で作製した、実施例1、実施例2、比較例によるローパスフィルタについて、挿入損失の周波数特性をベクトルネットワークアナライザ(37247D:アンリツ製)にて測定し、その比較結果を図3に示す。
図3に示したように、本発明による実施例1、実施例2のローパスフィルタは、比較例のローパスフィルタに比べ、通過域の挿入損失が小さく、挿入損失の減衰域が狭く、減衰傾度が大きくなっていることがわかった。これは、細長い形状の二端子型固体電解コンデンサによって減衰傾度が大きくなり、太短い形状の二端子型固体電解コンデンサによって高周波数帯域での挿入損失の立ち上がりが抑えられているものと推測できる。また、陽極体同士を接続している陽極部と陰極部の間に誘電率の高い誘電体が介在していないため、従来のコンデンサとインダクタを複合したローパスフィルタより減衰傾度が大きいローパスフィルタの設計が容易に可能となることがわかった。
従来の固体電解コンデンサタイプのローパスフィルタは通過域が狭く、減衰傾度が小さいため電源ラインおよび低速信号ラインでのノイズ除去が主であったが、本発明によれば通過域を高周波帯域まで伸ばし、かつ減衰傾度が大きいため、高速ライン用のローパスフィルタとしても適用できる。
1 陽極体
2 誘電体皮膜
3 絶縁体層
4 固体電解質層
5 グラファイト層
6 導電性ペースト層
7 陰極部
8 陽極部
9 リードフレーム
10 導電性接着剤
11a 素子側陽極端子
11b 素子側陰極端子
12 基板
13a 外部陽極端子
13b 外部陰極端子
30a、30b、30c 二端子型固体電解コンデンサ
100、101 ローパスフィルタ
102 三端子型固体電解コンデンサ
Wa、Wb、Wc 幅
L、La、Lb、Lc 長さ

Claims (2)

  1. 線状、板状または箔状の弁作用金属からなる陽極体の表面に、前記弁作用金属の酸化物から成る誘電体皮膜を形成し、前記誘電体皮膜の一部の上に、固体電解質層を含む陰極導体層が積層された陰極部を形成し、前記陰極部の隣に絶縁体層を形成し、前記絶縁体層を介して前記陰極部と分離された前記陽極体の部分を陽極部とした複数の二端子型固体電解コンデンサを並列接続した構造を有するローパスフィルタであって、前記複数の二端子型固体電解コンデンサは、カットオフ周波数から算出される電気長がそれぞれ異なり、前記複数の二端子型固体電解コンデンサの各々の前記陰極部の長さが各々の前記電気長の1/4で、かつ前記複数の二端子型固体電解コンデンサの各々の前記陽極体の表面は、共に拡面化処理を施していないことを特徴とするローパスフィルタ。
  2. 前記複数の二端子型固体電解コンデンサの各々の前記陽極体は、それぞれ異なる弁作用金属からなることを特徴とする請求項1に記載のローパスフィルタ。
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