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JP2010287817A - Ge膜付きSOI基板の製造方法及びGe膜付きSOI基板 - Google Patents

Ge膜付きSOI基板の製造方法及びGe膜付きSOI基板 Download PDF

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JP2010287817A JP2009142003A JP2009142003A JP2010287817A JP 2010287817 A JP2010287817 A JP 2010287817A JP 2009142003 A JP2009142003 A JP 2009142003A JP 2009142003 A JP2009142003 A JP 2009142003A JP 2010287817 A JP2010287817 A JP 2010287817A
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Abstract

【課題】引っ張り応力を高めたGe膜を有する基板を提供する。
【解決手段】絶縁性基板である石英基板又はガラス基板上に、シリコン薄膜を備えるSOI基板を用意する工程と、ゲルマニウムを上記SOI基板のシリコン薄膜の上にエピタキシャル成長させてゲルマニウム膜を形成する工程とを少なくとも含んでなるGe膜付きSOI基板の製造方法を提供する。また、絶縁性基板である石英基板又はガラス基板上のシリコン薄膜を備えるSOI基板と、上記SOQ基板のシリコン薄膜の上にエピタキシャル成長させたゲルマニウム膜を備える半導体用Ge膜付きSOI基板を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、Ge膜付きSOI基板の製造方法及びGe膜付きSOI基板に関する。
近年、有用な半導体材料としてゲルマニウム(Ge)が再び脚光を浴びている。半導体デバイスの分野では、キャリアの移動度を向上させる方法の一つとして、シリコンと比較し、より早いゲルマニウム中のキャリアの移動度を利用するものである(電子で約2倍、ホールで約4倍)。また、光材料としては、シリコンと比較し、1.6μm以下の波長で高い吸収係数を有することから太陽電池の材料や1.55μm帯の光通信に用いられる受光素子の材料としても有望といえる。
しかし、ゲルマニウムはシリコンと異なり、大口径の基板が得られないことや、希少な元素であることから、バルクの単結晶を用いることは難しく、また高コストにつながる。このことから、最近はGeをシリコン上に成長させる方法などが提案され、Geの有用性は益々高まっている。これは、GeとSiとの格子定数の差が4%程度であるため、エピタキシャル成長が可能なためである。
GeをSi上にエピタキシャル成長させる方法としては二つある。
(a)シリコンウェーハ上にゲルマニウム濃度を少しずつ上げたSi1−xGe層をシリコン上に何層にも堆積し(緩衝層の堆積)、xを漸次増加させ、最終的にゲルマニウムエピタキシャル層を得る方法(非特許文献1)と、
(b)SiGeの緩衝層なしで、直接GeをSi上に成長させる方法(非特許文献2)である。
GeをSi上に成長させるもう一つの利点として、GeとSiとは熱膨張率が異なるために(Ge:5.57×10−6/K、Si:2.60×10−6/K)、高温でGeをSi上に成長させ、室温の戻した際にはGeの膜には大きな引っ張り応力(tenisile strain)が導入されることが報告されている。この引っ張り応力により、Geのバンドギャップが縮小し、バンド端(1.55μm領域)付近での吸収(非特許文献2)が増大することも報告されている。Geの吸収端は1.55μm付近で急速に立ち上がり、波長が短くなるにつれ増大するため、現在長距離光通信で用いられる波長領域(Cバンド:1528〜1568nm、Lバンド:1568〜1610nm)では、特にこの特性は重要である。
Geをエピタキシャル成長させる方法としては、例えば、CVDが挙げられる(非特許文献2と非特許文献3)。
R. People, "Physics and applications of GexSi1-x/Si strained layer structures," IEEE Journal of Quantum Electronics, QE-22, 1696(1986) Y. Ishikawa et al, "Strain-induced band gap shrinkage in Ge grown on Si substrate," Applied PhySics Letters, Vol.82, Number 13, pp.2044-2046(2003) M. Halbwax et al., "UHV-CVD growth and annealing of thin fully relaxed Ge films on (001)Si," Optical Materials, 27(2005), pp.822-825
非特許文献2によれば、Si上に直接エピタキシャル成長させたGeは1.55μm波長領域でバルクGeよりも高い吸収を示すが、短波長側と比較すると低い値を示している。よって、通信帯領域でのGeの活用には、より多くの引っ張り応力を導入して吸収を高める必要がある。本発明は、引っ張り応力を高めたGe膜を有する基板を提供する。
本発明によれば、絶縁性基板である石英基板又はガラス基板上に、シリコン薄膜を備えるSOI基板を用意する工程と、ゲルマニウムを上記SOI基板のシリコン薄膜の上に700〜900℃エピタキシャル成長させてゲルマニウム膜を形成する工程とを少なくとも含んでなるGe膜付きSOI基板の製造方法の製造方法を提供することができる。また、絶縁性基板である石英基板又はガラス基板上のシリコン薄膜を備えるSOI基板と、上記SOQ基板のシリコン薄膜の上にエピタキシャル成長させたゲルマニウム膜を備える半導体用Ge膜付きSOI基板を提供できる。
SOI(絶縁性基板が石英基板のときはSOQ、ガラス基板のときはSOG)のシリコン薄膜上にエピタキシャル成長を成長させたGe膜付SOI基板は、Si基板上にエピタキシャル成長させたGe膜付きSi基板やバルクGeよりも、引っ張り応力が増大されており、Geのバンドギャップが縮小し、バンド端(1.55μm領域)付近での吸収が増大する。これにより、有用な半導体材料となる。
SOI基板の製造方法の例を示す図である。 SOI基板上へのGe膜の形成例を示す図である 実施例と比較例で得られた基板の吸収係数を示す図である。 実施例と比較例で得られた基板の量子効率を示す図である。
石英基板又はガラス基板上にシリコン薄膜を有するSOI基板は、特に限定されないが、好ましくは、ドナー基板である単結晶シリコン基板の表面又は単結晶シリコン基板の熱酸化膜を有する表面からイオンを注入してイオン注入層を設けたドナー基板の該イオン注入面と、石英基板又はガラス基板であるハンドル基板の表面との双方もしくは片方に表面活性化処理を施す工程と、その後、上記ドナー基板のイオン注入面と上記ハンドル基板の表面とを、10〜100℃で貼り合わせる工程と、貼り合わされた基板を150〜350℃で熱処理する熱処理工程と、上記熱処理された貼り合わせ基板の上記イオン注入層に機械的衝撃を加えて該イオン注入層にそって剥離して単結晶シリコン薄膜を上記ハンドル基板に転写する剥離工程とを少なくとも含んでなる製造方法によって得られるものである。剥離工程で得られた基板の単結晶シリコン薄膜の表面に、必要に応じてエッチング及び/又は表面研磨を施してよい。
ハンドル基板である絶縁性基板は、石英基板又はガラス基板である。
絶縁性基板の好ましい厚さは、特に限定されないが、SEMI等で規定されているシリコン基板の厚さに近いものが望ましい。これは、半導体装置はこの厚さの基板を扱うように設定されていることが多いためである。この観点から好ましくは300〜900μmである。
ドナー基板である単結晶シリコン基板としては、特に限定されないが、例えばチョクラルスキー法により育成された単結晶をスライスして得られたもので、例えば直径が100〜300mm、導電型がP型またはN型、抵抗率が10Ω・cm程度のものが挙げられる。
単結晶シリコン基板の表面は、あらかじめ薄い絶縁膜を形成しておくことが好ましい。絶縁膜を通してイオン注入を行えば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られるからである。絶縁膜としては、好ましくは50〜500nmの厚さを有するシリコン酸化膜が好ましい。これはあまり薄いと、膜厚の酸化膜厚の制御が難しく、またあまり厚いと時間が掛かりすぎるためである。シリコン酸化膜は、一般的な熱酸化法により形成することができる。
以下、好ましいSOI基板の製造方法を図1に示す例に基づき説明するが、SOI基板はこれに限定されるものでない。
図1(a)の単結晶シリコン基板(ドナー基板)2は、オプションとして図1(b)に示すように、単結晶シリコン基板の表面にシリコン熱酸化膜3を形成させてもよい。図1(c)に示すように、単結晶シリコン基板(ドナー基板)2の表面から好ましくは水素イオン又は希ガスイオンDを注入し、基板中にイオン注入層4を形成する。
イオン注入層4の形成方法は、特に限定されず、例えば、単結晶シリコン基板の表面から所望の深さにイオン注入層を形成できるような注入エネルギーで、所定の線量の水素イオン又は希ガスイオンを注入する。このときの条件として、例えば注入エネルギーは30〜100keV、注入線量は2×1016〜1×1017/cmとできる。注入される水素イオンとしては、2×1016〜1×1017(atoms/cm)のドーズ量の水素イオン(H)、又は1×1016〜5×1016(atoms/cm)のドーズ量の水素分子イオン(H )が好ましい。特に好ましくは、8.0×1016(atoms/cm)のドーズ量の水素イオン(H)、又は4.0×1016(atoms/cm)のドーズ量の水素分子イオン(H )である。
イオン注入された基板表面からイオン注入層までの深さは、絶縁性基板上に設けるシリコン薄膜の所望の厚さに依存するが、好ましくは300〜500nm、更に好ましくは400nm程度である。また、イオン注入層の厚さは、機械衝撃によって容易に剥離できる厚さが良く、好ましくは200〜400nm、更に好ましくは300nm程度である。
好ましくは、図1(d)に示すように、イオン注入層4を設けた単結晶シリコン基板2を、ドナー基板1と貼り合わせる前に熱H1による熱処理(貼り合わせ前の熱処理)を行ってもよい。貼り合わせ前の熱処理の熱処理は、注入したガスイオンのガスが凝集して表面がふくらむブリスターやマクロバブルなどの基板表面の形状変化が発生しない温度を選択する。基板表面の形状変化が発生し、表面に凸凹が発生すると、貼り合わせ時に基板同士が密着できない部分が発生し、ボイドと呼ばれる薄膜の転写されない領域が発生するからである。貼り合わせ前の熱処理は、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは225℃以下であるが、基板表面の形状が変わらない範囲で出来るだけ高温が良い。例えば、好ましくは150〜250℃、より好ましくは200〜250℃、さらに好ましくは200〜225℃である。第1の熱処理の時間は、温度により変わるが、例えば30分〜24時間である。
イオン注入層の元素の結合の脆化が足りないため、機械的衝撃に用いる剥離時に基板が破壊することがあるが、貼り合わせ前の熱処理を行なうことにより、ドナー基板のイオン注入層を予め脆化させてスムースに剥離させることができる。また、ハンドル基板と貼り合わせた後の熱処理を低減化又は低温化することも可能となり、熱処理中の破損を防止することもできる。
図1には示さないが、貼り合わせの前(貼り合わせ前の熱処理をするときはその熱処理後)に、単結晶シリコン基板2のイオン注入された表面と、ハンドル基板1の表面との双方もしくは片方に表面活性化処理を施す。表面活性化処理は、表面のOH基を増加させて活性化させる処理であり、例えば、オゾン処理、UVオゾン処理、イオンビーム処理及びプラズマ処理からなる群から選ばれる一つの処理または二以上の処理の組合せである。
UVオゾン処理は、例えば、大気を導入したチャンバ中に単結晶シリコン基板及び/又はハンドル基板を載置し、波長の短い(例:200nm前後)のUV光を当てることで、大気中の酸素をオゾンに変換することで、表面をオゾン処理する。このオゾンにより表面の有機物などが除去され反応性の高いOH基に置換されることで活性化を行う方法である。
オゾン処理は、例えば、純水中にオゾンガスを混入させ、基板を浸漬させることでUVオゾンと同等の効果をもたらすものである。
イオンビーム処理は、例えば、高真空下で処理を行うことにより、表面の未反応手(ダングリングボンド)を露出させ、表面の活性化を行う方法である。
プラズマ処理は、例えば、真空チャンバ中に単結晶シリコン基板及び/又はハンドル基板を載置し、プラズマ用ガスを導入した後、100W程度の高周波プラズマに5〜10秒程度さらし、表面をプラズマ処理する。プラズマ用ガスとしては、単結晶シリコン基板を処理する場合、表面を酸化する場合には酸素ガスのプラズマ、酸化しない場合には水素ガス、アルゴンガス、窒素ガス、又はこれらの混合ガスあるいは水素ガスとヘリウムガスの混合ガス等を挙げることができる。ハンドル基板を処理する場合は、いずれのガスでもよい。
表面活性化処理により、単結晶シリコン基板2及び/又はハンドル基板の表面の有機物が酸化して除去され、さらに表面のOH基が増加し、活性化する。処理は単結晶シリコン基板、ハンドル基板の両方ともに行なうのがより好ましいが、いずれか一方だけ行なってもよい。
次に、図1(e)に示すように、単結晶シリコン基板2のイオン注入された表面とハンドル基板1の表面とを貼り合わせる。単結晶シリコン基板のイオン注入面または絶縁性基板の表面の少なくとも一方が活性化処理されているため、より強く接合できる。なお、単結晶シリコン基板2のシリコン酸化膜3は、ハンドル基板1と貼り合わせる前に、その酸化膜をエッチングや研磨等により、薄くあるいは除去してもよい。
貼り合わせの温度は、100℃以下、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは30℃以下であり、また、10℃以上、好ましくは15℃以上である。例えば、10〜100℃、好ましくは15〜50℃、より好ましくは15〜30℃、特に好ましくは室温(25℃)である。貼り合わせの温度が100℃を超えると、エピタキシャル成長後に室温に戻したときの引っ張り応力が充分でなく、貼り合わせの温度が10℃未満となると、貼り合わせ後の熱処理において、加熱に伴うひび割れ等の破損を招く場合がある。
貼り合わせ後に、図1(f)に示すように熱H2による熱処理(貼り合わせ後の熱処理)を行なう。貼り合わせ後の熱処理により、単結晶シリコン基板2とハンドル基板1の結合が強化される。貼り合わせ後の熱処理は、貼り合わせ基板が熱膨張率の差の影響(熱応力)で破損しない温度を選択する。第2の熱処理は、150℃以上、好ましくは200℃以上であり、また、350℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下である。例えば、150〜350℃、好ましくは150〜300℃、より好ましくは150〜250℃である。貼り合わせ後の熱処理の時間は、温度により変わるが、例えば1〜24時間である。
貼り合わせ後の熱処理後、図1(g)に示すように、貼り合わせ基板のイオン注入層4に機械的衝撃等の機械的力を加えてイオン注入層4にそって剥離し、シリコン薄膜2A(シリコン酸化膜が使用され、除去されていない場合はシリコン酸化膜3Aを有する)をハンドル基板1に転写する。
イオン注入層4に衝撃等を与えて機械的剥離を行なうので、加熱に伴う熱歪、ひび割れ、貼り合わせ面の剥離等が発生するおそれがない。剥離は、イオン注入層にそって貼り合わせ基板の一端から他端に向かうへき開によるものが好ましい。
イオン注入層に衝撃を与えるためには、例えば、ガスや液体等の流体のジェットを貼り合わせた基板の側面から連続的または断続的に吹き付ければよいが、衝撃により機械的剥離が生じる方法であれば特に限定はされない。
貼り合わせ基板の単結晶シリコン基板側に補強材を配置して機械的衝撃を加えることが好ましい。上記補強材としては、好ましくは、保護テープ、静電チャック及び真空チャックからなる群から選択される。単結晶シリコン基板側に割れ防止のために保護テープ5を単結晶シリコン基板側に貼り付けて剥離を行う方法や、または静電チャック又は真空チャックに単結晶シリコン基板側を密着させて剥離を行うことでより確実に剥離を行うことができる。
保護テープは、特に材質、厚さ等に限定されず、半導体製造工程で用いられるダイシングテープやBGテープ等が使用できる。静電チャックは、特に限定されず、炭化ケイ素や窒化アルミニウム等のセラミックス静電チャック等が挙げられる。真空チャックは、特に限定されず、多孔質ポリエチレン、アルミナ等の真空チャックが挙げられる。
剥離工程で得られたSOI基板に、必要に応じてエッチング及び/又は表面研磨を施してよい。単結晶シリコン薄膜2Aの側面に熱酸化膜3Aの一部が残っている場合には、これを薄くあるいは除去してもよい。
このようにして、図2(h)に示すように、単結晶シリコン薄膜2Aが転写されたSOI基板5が製造される。石英基板又はガラス基板上に積層されている単結晶シリコン膜は、石英基板又はガラス基板と低い温度で貼り合わせられているため、SOI基板の単結晶シリコン薄膜は室温では応力が低く、室温で貼り合わせた場合には応力は殆ど掛かっていない。
このSOI基板5の単結晶シリコン膜上2Aに、図2(i)に示すように、Geをエピタキシャル成長させ、Ge膜6を形成する。
Si基板にGeをエピ成長した際に導入される引っ張り応力は下記の式(1)で表されると考えられる。
σ ∝ (αSi−αGe)・(T−T) ・・・(1)
(上式中、σは導入される応力、αSi、αGe、はそれぞれSi、Geの熱膨張率であり、Tはプロセス最高温度、Tは室温を示す。)
また、単結晶シリコン薄膜付き石英基板であるSOQ上にGeをエピ成長させた場合は近似的に下記の式(2)で表される。
σ ∝ (αquartz−αGe)・(T−T) ・・・(2)
(上式中、σは導入される応力、αquartz、αGe、はそれぞれ石英、Geの熱膨張率であり、Tはプロセス最高温度、Tは室温を示す。)
単結晶シリコン薄膜付きガラス基板であるSOG上にGeをエピ成長させた場合は近似的に下記の式(3)で表される。
σ ∝ (αglass−αGe)・(T−T) ・・・(3)
(上式中、σは導入される応力、αglass、αGe、はそれぞれガラス、Geの熱膨張率であり、Tはプロセス最高温度、Tは室温を示す。)
これらの式から、導入される引っ張り応力は基板(Si、石英又はガラス)の熱膨張率に大きく依存することが分かる。
SOI基板5のシリコン薄膜2Aの上にゲルマニウムをエピタキシャル成長させる方法は、例えば、非特許文献2、非特許文献3で示されているようにCVDを用いて行うことができる。原料ガスは、GeHをHなどで希釈したものを用いることができる。希釈ガスは、不活性ガスのArなどを用いることも可能である。
エピタキシャル成長によりSOI基板(SOQ又はSOG基板)のシリコン薄膜上に形成されるGe膜の厚さは、その後の用途に応じて選択できるが、例えば、50〜500nmである。
通常、Geの成長温度は高温(700〜900℃、好ましくは800〜900℃)となるので、エピタキシャル成長後、室温に戻しGeが冷却されると、図2(j)に示すように、Ge膜6に非常に高い引っ張り応力TSが導入される。これは、石英又はガラスの熱膨張係数は、0.56×10−6/K程度なので、熱プロセスにおいて殆ど伸び縮みをしないが、Geは10倍程度の熱膨張率を有するために、高温で成長し室温に戻した際に急速に縮もうとするが、石英/ガラスが縮まないためである。この引っ張り応力は、室温において、レーザー等で光を基板表面に入射し、その反射される光の角度を測定することで、精緻に基板の反りを計測し、膜の応力を算出する薄膜応力測定法を用いて測定した場合、好ましくは100MPa以上の範囲である。同法を用いて引っ張り応力は、Si基板上にエピタキシャル成長させたGe膜付きSi基板の引っ張り応力では100〜500MPa程度である。
図2(j)は、引っ張り応力TSによる大きな変形を示しているが、この変形の範囲は、Ge膜の厚さによって変化し、単に内部に応力が存在するだけで、外見上は変化がない場合もある。実際の状況では、基板の厚さが数百μmなのに対して、Ge膜の厚さは数百nm程度なので、Ge膜に高い引っ張り応力が導入されても基板のそりにはあまり大きな影響は無い場合が多い。
このようにして得られたGe膜付きSOI基板(絶縁性基板が石英基板のときはSOQ、ガラス基板のときはSOG基板)は、Si基板上にエピタキシャル成長させたGe膜付きSi基板やバルクGeよりも、引っ張り応力が増大されており、Geのバンドギャップが縮小し、バンド端(1.55μm領域)付近での吸収が増大する。これにより、有用な半導体材料となる。特に、現在長距離光通信で用いられる波長領域(Cバンド:1528〜1568nm、Lバンド:1568〜1610nm)では、この特性は重要である。
Ge膜付きSOI基板は、p−i−n構造を備えた光受光素子、フォトダイオード等に用いることができる。
実施例1及び比較例1〜2
<三種類の基板の用意>
バルクGe、GeをSi基板上にエピタキシャル成長させたGe膜付きSi基板(Ge−on−Si基板)、GeをSOQ上にエピタキシャル成長させたGe膜付きSOQ基板(Ge−on−SOQ基板)の三種類を用意した。
(a)バルクゲルマニウムの用意
融液成長法で作製した直径50cm、厚さ300μmの(100)基板を用意した。
(b)Ge膜付きSi基板の用意
直径150mmのSi基板(厚さ625μm)に、CVD法により、原料ガスとしてGeHをHで体積比5(GeH):95(H)に希釈したものを用い、希釈ガスとしてArを用い、Geの成長温度850℃で、厚さ450nmのGe膜を有するSOQ基板を得た。
(c)Ge膜付きSOQ基板の用意
ドナー基板として、熱酸化により酸化膜を200nm成長させた直径150mmの単結晶シリコン基板(厚さ625μm)に、水素イオンのドーズ量6×1016atoms/cmで、表面からの深さ300nmにイオン注入層を形成したものを用いた。ハンドル基板として直径150mmの石英基板(厚さ625μm)を用いた。
表面活性化処理は、真空引き可能なチャンバ内に基板をセットし、窒素ガス雰囲気に置換した後真空にし、100W程度の高周波プラズマをチャンバ内に発生させ、基板表面を活性化させることにより行なった。表面活性化処理は、ドナー基板とハンドル基板の両方に行ない、活性化された表面同士を貼り合わせた。
貼り合わせ基板に、300℃で6時間の熱処理を施し、貼り合わせ基板の一端でイオン注入層の位置に刃を挿入し、開口部を形成した後、両基板が相対的に離れていくような力を加えることにより、剥離を行ない、SOQ基板を得た。
CVD法により、原料ガスとしてGeHをHで体積比5(GeH):95(H)に希釈したものを用い、Geの成長温度800℃で、厚さ500nmのGe膜を有するSOQ基板を得た。
<1.55μmの吸収係数を測定>
比較例1としてバルクGe、比較例2としてGe膜付きSi基板、実施例1としてGe膜付きSOQ基板を用い、1.55μmの吸収係数を測定した。バルクGeの吸収係数は反射率測定により測定した。Ge膜付きSi基板とGe付きSOQ基板とは反射率と透過率を測定することで測定した。Ge膜を形成するためのGeのエピタキシャル成長は、水素ガスで10体積%に希釈したGeHを用い、1×10−5Torrの圧力で行った。結果を図3に示す。図3より、Ge付きSOQ基板による吸収が最も高いことが判明した。
実施例2及び比較例3〜4
実施例1で用いた三種類の基板を用意し、比較例3としてバルクGe、比較例4としてGe膜付きSi基板、実施例2としてGe膜付きSOQ基板を用いて、p−i−nダイオードを作製し、量子効率を測定した。この場合の量子効率とは、入射した光のエネルギーに対して変換された電気得エネルギーの割合である。入射光の波長は、1550nmである。結果を図4に示す。この結果より、Ge膜付きSOQ基板が最も1550nm領域において効率の高いダイオード基板であることが判明した。
1 ハンドル基板
2 単結晶シリコン基板
2A シリコン薄膜
3,3A シリコン酸化膜
4 イオン注入層
5 SOI基板
6 ゲルマニウム膜
D イオン
H1、H2 熱
TS 引っ張り応力

Claims (8)

  1. 絶縁性基板である石英基板又はガラス基板上に、シリコン薄膜を備えるSOI基板を用意する工程と、
    ゲルマニウムを上記SOI基板のシリコン薄膜の上に700〜900℃でエピタキシャル成長させてゲルマニウム膜を形成する工程と
    を少なくとも含んでなるGe膜付きSOI基板の製造方法。
  2. 上記SOI基板を用意する工程のSOI基板が、
    単結晶シリコン基板の表面又は単結晶シリコン基板の熱酸化膜を有する表面からイオンを注入してイオン注入層を設けたドナー基板の該イオン注入面と、石英基板又はガラス基板であるハンドル基板の表面との双方もしくは片方に表面活性化処理を施す段階と、
    その後、上記ドナー基板のイオン注入面と上記ハンドル基板の表面とを10〜100℃で貼り合わせる段階と、
    貼り合わされた基板を150〜350℃以下で熱処理する熱処理段階と、
    上記熱処理された貼り合わせ基板の上記イオン注入層に機械的衝撃を加えて該イオン注入層にそって剥離して単結晶シリコン薄膜を上記ハンドル基板に転写する剥離段階と
    を少なくとも含んでなる製造方法によって得られる請求項1に記載のGe膜付きSOI基板の製造方法。
  3. 上記表面活性化処理を施す段階後で、上記貼り合わせる段階前に、上記イオン注入層を設けたドナー基板を150〜250℃で熱処理する段階をさらに含む請求項2に記載のGe膜付きSOI基板の製造方法。
  4. 上記表面活性化処理が、オゾン処理、UVオゾン処理、イオンビーム処理及びプラズマ処理からなる群から選ばれる一つの処理または二以上の処理の組合せである請求項1又は請求項1〜3のいずれかに記載のGe膜付きSOI基板の製造方法。
  5. 絶縁性基板である石英基板又はガラス基板上のシリコン薄膜を備えるSOI基板と、上記SOQ基板のシリコン薄膜の上にエピタキシャル成長させたゲルマニウム膜を備える半導体用Ge膜付きSOI基板。
  6. 上記ゲルマニウム膜が、室温において、基板の反りにより膜の応力を算出する薄膜応力測定法に基づく100MPa以上の範囲の引っ張り応力を有する請求項5に記載の半導体用Ge膜付きSOI基板。
  7. 請求項5又は請求項6に記載のGe膜付きSOI基板を用いて作製されたダイオード素子。
  8. 請求項5又は請求項6に記載のGe膜付きSOI基板を用いて作製された光受光素子。
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