JP2010280915A - 変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー及び変性ポリテトラフルオロエチレン成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、リダクションレシオ1600における円柱押出し圧力が50MPa以下であり、測定用成形体aについてヘイズ値が60以下であることを特徴とする変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーである。
【選択図】なし
Description
PTFEの成形法としては、例えば、PTFEファインパウダーをペースト押出成形する方法等の押出成形が挙げられる。
しかしながら、粒子状TFE樹脂には、押出圧力が依然として高く、耐熱性も不充分という問題があり、変性テトラフルオロエチレン重合体には、押出圧力が依然として高いという問題があった。
また、PTFEファインパウダーは、用途に応じ、透明性に優れたチューブに加工することが好ましいことがある。PTFEファインパウダーから得られる成形体の透明性について、言及している従来文献もあるが(例えば、特許文献3参照)、具体的なデータを明記しているものはない。
F2C=CFO(CF2)n1X1 (I)
(式中、X1は、水素原子又はフッ素原子を表し、n1は、1〜6の整数を表す。)で表されるフルオロ(アルキルビニルエーテル)、下記一般式(II)
CX4X5=CX6(CF2)n2F (III)
(式中、X4、X5及びX6は、水素原子又はフッ素原子を表し、少なくとも1つはフッ素原子を表す。n2は、1〜5の整数を表す。)で表されるフルオロオレフィンよりなる群から選択される少なくとも1種を共重合してなる変性ポリテトラフルオロエチレン(i)からなり、上記粒子殻部は、変性ポリテトラフルオロエチレン(ii)からなり、上記変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、リダクションレシオ1600における円柱押出し圧力が50MPa以下であることを特徴とする変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーである(本明細書において、以下、「変性PTFEファインパウダー(B)」ということがある。)。
本発明を以下に詳細に説明する。
上記RR1600における円柱押出し圧力は、45MPa以下であることが好ましく、40MPa以下であることがより好ましく、上記範囲内であれば、25MPa以上であっても工業上支障はない。
本明細書において、上記「円柱押出し圧力」は、変性ポリテトラフルオロエチレンパウダー100質量部に対して押出助剤として炭化水素油(商品名:アイソパーG、エクソン化学社製)を17質量部添加し、室温(25±2℃。本明細書において、以下同じ。)にて押し出す際のリダクションレシオ1600における値である。
RR1600における円柱押出し圧力が上記範囲内であると、RRが3000以上という条件下であっても好適に成形が可能であり、細径の電線、チューブ等に成形することができ、生産性の点でも有利なものである。
上記変性PTFEファインパウダー(A)は、RR1600において上記範囲内の円柱押出し圧力を有するものであるので、成形性に優れ、この優れた成形性は、特に押出成形において充分に発揮される。
上記ヘイズ値は、55以下であるものがより好ましく、53以下であるものが更に好ましく、上記範囲内であれば、40以上であってもよい。
上記測定用成形体aは、変性PTFEファインパウダー(A)を、内径50mmφの金型にて、圧力20MPa、保持時間5分、室温にて、圧縮成形したのち、380℃×1時間加熱焼成することにより得られた円柱状成形体から、厚さ0.5mmのシートを切り出し、熱風循環式電気炉にて380℃にて5分間加熱焼成し、室温まで急冷することにより作成したものである。
本明細書において、上記ヘイズ値は、ASTM D 1003に従い、測定用成形体aについて直読ヘイズメーター(東洋精機製作所社製)を用いて測定した値である。
上記変性PTFEファインパウダー(A)は、測定用成形体aについて上記範囲内のヘイズ値を有するので、透明性に優れ、用途上、透明性が必要な成形体の形成に好適に用いることができる。
上記引張強度のより好ましい下限は2MPaであり、例えば5MPa以下であっても工業的使用に支障はない。
上記測定用成形体bは、変性PTFEファインパウダー(A)50.00gと押出助剤(炭化水素油、商品名:アイソパーG、エクソン化学社製)10.25gとの混合物を、室温において押出機のシリンダーに充填し1分間保持したのち、直ぐに室温においてシリンダーに5.7MPaの負荷を加えてラム速度20mm/分でオリフィスから押出して得られる成形体を切り出すことにより得られた直径0.63mmの円柱状成形体を、80mmの長さに切り出したものである。
上記引張強度は、オートグラフ(島津製作所製)を用い、引張速度200mm/分にて測定用成形体bを引張り、その最大点強度を測定したものである。
本発明の変性PTFEファインパウダー(A)は、測定用成形体bについて上記範囲内の引張強度を有する場合、長軸の成形体であっても押出成形が容易であり、また、ペースト押出においても耐クラック性に優れる。
上記TIIのより好ましい上限は3、更に好ましい上限は1である。
本発明の変性PTFEファインパウダー(A)は、上記範囲内のTIIを有する場合、極めて優れた耐熱性を有する。
上記TIIは、以下の式から求めることができる。
TII=(ESG−SSG)×1000
(式中、ESGは、ASTM D 4895に準拠したPTFE特定形状成形品12gを380℃で6時間処理したものの比重であり、SSGは、上記PTFE特定形状成形品12gを380℃で0.5時間処理したものの標準比重である)
本発明の変性PTFEファインパウダー(A)は、例えば、後述の変性PTFEファインパウダーの製造方法により製造することができる。
上記変性PTFEファインパウダー(B)を構成する変性PTFEは、該変性PTFEを得るための重合反応媒体において、一次粒子を構成する。上記一次粒子は、重合上がりのポリマー粒子ともいえ、凝析等の後工程において凝集して二次粒子を構成する。
本発明の変性PTFEファインパウダー(B)は、実質的に二次粒子の集合体である。上記変性PTFEファインパウダー(B)を構成する二次粒子の集合体は、重合反応媒体を重合反応終了後に凝析し乾燥した粉末であってもよいし、該粉末を粒径調整等のために粉砕した粉砕品であってもよい。
本発明の変性PTFEファインパウダー(B)について、上記「粒子芯部」及び「粒子殻部」は、上記二次粒子又は粉砕品を構成する一次粒子における構造についていうものである。
F2C=CFO(CF2)n1X1 (I)
(式中、X1は、水素原子又はフッ素原子を表し、n1は、1〜6の整数を表す。)で表されるフルオロ(アルキルビニルエーテル)、下記一般式(II)
CX4X5=CX6(CF2)n2F (III)
(式中、X4、X5及びX6は、水素原子又はフッ素原子を表し、少なくとも1つはフッ素原子を表す。n2は、1〜5の整数を表す。)で表されるフルオロオレフィンよりなる群から選択される少なくとも1種を共重合してなる変性ポリテトラフルオロエチレン〔変性PTFE〕(i)からなるものが好ましい。
上記一般式(I)で表されるフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、また、X1がフッ素原子であるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。
上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)〔PBVE〕等が挙げられる。
上記一般式(II)で表されるビニルヘテロ環状体としては、例えば、X2及びX3がフッ素原子であるものが好ましく、また、R1及びR2が炭素数1〜6のフルオロアルキル基であるものが好ましい。
上記一般式(II)で表されるビニルヘテロ環状体としては、X2及びX3がフッ素原子、R1及びR2がパーフルオロメチル基であるパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール〔PDD〕が好ましい。
上記一般式(III)で表されるフルオロオレフィンとしては、HFPが好ましい。
本明細書において、変性PTFEを構成することとなるテトラフルオロエチレン〔TFE〕以外の単量体を「変性剤」ということがある。
上記変性PTFE(i)は、上記一般式(I)で表されるフルオロ(アルキルビニルエーテル)と上記一般式(III)で表されるフルオロオレフィンとを共重合して得られるTFE3元共重合体等、変性剤を2種使用して得られるものであってもよい。変性剤を2種使用して得られる変性PTFE(i)としては、例えば、PPVEとHFPとを共重合して得られるTFE3元共重合体等が挙げられる。
上記粒子芯部において共単量体としてPPVEを用いる場合、上記粒子芯部における変性剤に由来する変性剤単位は、変性PTFEファインパウダー(B)を構成する一次粒子全体の0.01〜0.5質量%であることが好ましく、より好ましい下限が0.02質量%、より好ましい上限が0.2質量%である。
上記変性剤単位は、変性PTFE(i)が2種以上の変性剤単位を有するものである場合、各変性剤単位の合計を表す。
変性PTFE(ii)は、テトラフルオロエチレン単独重合体の特性を損なうことなく、変性したテトラフルオロエチレン重合体である。
本明細書において、上記変性PTFE(ii)における変性は、TFEと共重合可能な単量体である変性剤を共重合させることによるものであってもよいし、重合時に連鎖移動剤を添加することによるものであってもよいし、これら両者を何れも行うことによるものであってもよい。
F2C=CFO(CF2)n1X1 (I)
(式中、X1は、水素原子又はフッ素原子を表し、n1は、1〜6の整数を表す。)で表されるフルオロ(アルキルビニルエーテル)若しくは下記一般式(III)
CX4X5=CX6(CF2)n2F (III)
(式中、X4、X5及びX6は、水素原子又はフッ素原子を表し、少なくとも1つはフッ素原子を表す。n2は、1〜5の整数を表す。)で表されるフルオロオレフィンを共重合させることにより行うものが好ましい。
上記連鎖移動剤は、非過酸化有機化合物、水溶性有機過酸化物及び過硫酸塩の何れかを少なくとも1種有するものであればよい。
上記連鎖移動剤において、非過酸化有機化合物、水溶性有機過酸化物及び過硫酸塩は、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記フルオロオレフィンとしては、炭素数2〜4のパーフルオロオレフィン、炭素数2〜4の水素含有フルオロオレフィンが挙げられる。
上記フルオロオレフィンとしては、パーフルオロオレフィンが好ましく、なかでも、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕が好ましい。
上記変性PTFE(ii)における変性は、粒子芯部を構成する変性PTFE(i)における変性剤として上記一般式(I)で表されるフルオロ(アルキルビニルエーテル)、特にPPVEを用いる場合、連鎖移動剤としてメタノール、イソブタン、DSP及び/又はAPSを用いるとともに、変性剤としてHFP及び/又はPPVEを共重合することによるものが好ましく、メタノール及びHFPを用いることによるものがより好ましい。
上記円柱押出し圧力は、本発明の変性PTFEファインパウダー(A)について上述したとおりであり、好ましい上限は45MPa、より好ましい上限は40MPaであり、また25MPa以上であってもよい。
上記変性PTFEファインパウダー(B)は、TFEホモポリマーと異なり、少なくとも粒子芯部において、主鎖に側鎖やフッ素以外の原子が結合しているので、結晶性が低下し、光散乱を生じる微結晶が少なく、高い透明性を有する成形体に加工することができるものと考えられる。
上記ヘイズ値は、好ましい上限が55、より好ましい上限が53、好ましい下限が35であり、また40以上であってもよい。
上記測定用被覆電線aは、(1)変性PTFEファインパウダー2kgに対して押出助剤(アイソパーG)を16質量%(381g)を混合し、12時間常温で熟成したのち、10メッシュのSUS金網を通して予備成形機(田端機械工業社製)にて予備成形を行い、(2)得られた予備成形体をφ50mmの電線成形機(田端機械工業社製社製)にて押出したのち、(3)乾燥及び(4)焼成を行い冷却して得られる、被覆層厚み0.58mmの被覆電線である。
上記(1)〜(4)における各種条件は、後述の実施例記載と同様である。
上記変性PTFEファインパウダー(B)は、上記測定用被覆電線aについて上記範囲内の芯線密着強度を有するので、各種被覆電線の材料として好適に用いることができる。
本明細書において、上記自己巻き耐熱試験体は、後述の実施例記載の方法にて作成したものである。
本明細書において、上記「誘電正接」は、フィルム状試料について、空洞共振器を用いて共振周波数及び電界強度の変化を20〜25℃の温度下で測定し得られる値である。空洞共振器を用いて測定した場合、共振周波数は12GHzに比べて低下するが、本明細書において、得られた誘電正接の値は、無負荷の周波数における値で表現する。上記フィルム状試料は、変性PTFEファインパウダーを直径50mmの円柱状に圧縮成形し、この円柱から切り出したフィルムを380℃で5分間焼成し、60℃/分の冷却速度で250℃まで徐冷し、250℃にて5分間保持したのち、常温まで放冷することにより得られるものである。
12GHzにおける誘電正接が上記範囲内であると、マイクロ波帯域(3〜30GHz)又はUHF極超短波(3GHz未満)において同軸ケーブル等の伝送製品誘電材料として良好な伝送特性を達成することができる。
上記変性PTFEファインパウダー(B)は、その粒子芯部における変性PTFE(i)が上述の好ましい範囲内の変性剤単位量を有するとき、容易に上記範囲内の誘電正接を示すことができる。
上記変性PTFEファインパウダー(B)がこのような優れた効果を奏する機構としては明確ではないが、上述のとおり、粒子芯部が上記特定の変性剤により変性した変性PTFE(i)からなり、粒子殻部が上記変性PTFE(ii)を有する一次粒子からなるものであるので、かかるコア/シェル構造が押出圧力を低下させるとともに、主として該粒子芯部の構造が透明性とTIIにより表される耐熱性とに寄与し、主として該粒子殻部の構造が押出圧力の充分な低下と、生強度の向上とに寄与するものと考えられる。もっとも、上記変性PTFEファインパウダー(B)を構成する一次粒子がコア/シェル構造を有すること、粒子芯部が上述の特定の変性PTFEからなるものであること、及び、粒子殻部が上述の特定の変性PTFEからなるものであることにより相乗的に上記優れた効果を奏することができるものと思われる。
上記変性PTFEファインパウダーを構成する変性PTFEの製造方法としては、テトラフルオロエチレン重合体の製造方法であって、
重合反応初期に上述の一般式(I)で表されるフルオロ(アルキルビニルエーテル)、一般式(II)で表されるビニルヘテロ環状体、及び、上述の一般式(III)で表されるフルオロオレフィンよりなる群から選択される少なくとも1種を反応系に仕込み重合反応を行う工程(1)、並びに、
上記工程(1)の後に、連鎖移動剤、及び/又は、上述の一般式(I)で表されるフルオロ(アルキルビニルエーテル)若しくは上記一般式(III)で表されるフルオロオレフィンを反応系に導入する工程(2)
を含むものが好ましい。
本明細書において、上記「転化率」は、目的とするTFE単位の量に相当するTFEの量のうち、重合開始時から重合途中のある時点までの間に重合に消費されたTFEの量が占める割合である。
上記水性媒体は、水からなる媒体である。上記水性媒体は、水のほか、極性を有する有機溶剤を含んでいてもよい。
上記極性を有する有機溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン〔NMP〕等の含窒素溶剤;アセトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;ジグライム、テトラヒドロフラン〔THF〕等の極性エーテル類;ジエチレンカーボネート等の炭酸エステル類等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記水溶性の分散剤は、上記水性媒体の0.02〜0.3質量%とすることができる。
上記テトラフルオロエチレン重合体の製造方法は、例えば、過硫酸アンモニウム〔APS〕等の過硫酸塩、ジコハク酸パーオキサイド〔DSP〕等の水溶性有機過酸化物等の重合開始剤を使用して行うことができ、また、これらの重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、APS、DSP等は、上述した連鎖移動剤としての作用をも有するので好ましい。
上記テトラフルオロエチレン重合体の製造方法は、重合開始剤が水性媒体100質量部あたり0.0001〜0.02質量部となる量にて行うことが好ましい。
上記テトラフルオロエチレン重合体の製造方法は、通常、0.5〜3.9MPa、好ましくは、0.6〜3MPaにて行うことができる。
上記テトラフルオロエチレン重合体の製造方法は、また、重合初期、特にTFEの転化率が全体の15%以下の範囲まで0.5MPa以下の圧力にて反応を行い、それ以後0.5MPaを超える圧力に保つことによっても行うことができるし、芯部の形成途中で反応圧力を、例えば0.1MPa以下に低下させ、再度TFEを供給し所定の圧力にて反応させることによっても行うことができる。
変性PTFE水性分散液は、固形分の量が、通常20〜40質量%である。
上記凝析は、従来公知の方法により行うことができ、適宜、凝析促進剤として水溶性有機化合物、塩基性化合物からなる無機塩等を添加して行ってもよい。また、上記凝析は、凝析前や凝析中に、着色付与を目的として顔料を添加してもよいし、導電性付与、機械的性質の改善を目的として充填剤を添加して行うこともできる。
上記乾燥工程は、乾燥温度が高いと、粉体の流動性については向上するが、得られる変性PTFEファインパウダーのペースト押出圧力が高くなる場合があるので、温度設定には特に注意する必要がある。
上記ペースト押出は、所望する成形体の形状、用途等に応じて適宜条件を設定して行うことができ、例えば、押出助剤を混合して約1〜24時間熟成し、圧力0.5〜2.0MPaにて予備成形を行った後、押出圧力2〜100MPaにて押出を行い、360〜450℃にて焼成することにより行うことができる。
上記電線被覆材としては、例えば、銅線等の芯線を被覆する被覆材として好適である。芯線及び上記電線被覆材を有する被覆電線としては、耐熱電線、同軸ケーブル等が好ましく、耐熱電線がより好ましい。
本発明の変性PTFE成形体は、上述の構成からなるものであるので、透明性、耐熱性、耐薬品性等に優れている。
(1)重合体濃度
シャーレに10gの変性ポリテトラフルオロエチレン[変性PTFE]水性分散液を採取し、150℃にて約3時間加熱した後に秤量した固形分の質量から、上記変性PTFE水性分散液の質量と固形分の質量との割合として算出した。
(2)平均粒子径
変性PTFE水性分散液を固形分0.15質量%に調整してセルに入れ、550nmの光を入射したときの透過率と、透過型電子顕微鏡写真により定方向径を測定して算出した数平均一次粒子径との相関を検量線にまとめ、得られた検量線と各試料について測定した上記透過率とから決定した。
(3)芯部割合
重合開始後、変性剤の追加前に消費したモノマー量と、重合反応全体において消費したモノマー量との質量比として算出した。
(4)芯部・殻部変性量
重合開始後、変性剤を追加する直前に試料を取り出し、核磁気共鳴スペクトル測定を行うことにより求めた。次いで、最終的に得られたテトラフルオロエチレン重合体について全体の変性量を測定して、芯部変性量との関係から殻部変性量を測定した。
(5)標準比重[SSG]
ASTM D 4895−89に準拠して、水中置換法に基づき測定した。
(6)熱不安定指数[TII]
ASTM D 4895−89に準拠して測定した。
(7)焼成前の引張強度(生強度)
オートグラフ(島津製作所製)を用い、室温において引張速度200mm/分にて測定用成形体bを引張り、その最大点強度を測定した。なお、測定用成形体bは、変性PTFEパウダー50.00gと押出助剤(商品名:アイソパーG、エクソン化学社製)10.25gとをガラスビン中で混合し、室温(25±2℃)で1時間熟成して得られた混合物を、圧力2MPa、室温において押出機のシリンダーに充填し1分間保持したのち、直ぐにシリンダーに挿入したピストンに5.7MPaの負荷を加えてラム速度20mm/分でオリフィスから押出して成形することにより得られた、直径0.63mm×長さ80mmの円柱状成形体である。
(8)押出圧力
ASTM D 4895に準拠した押出機を用い、リダクションレシオ1600における押出し圧力を測定した。まず、変性PTFEパウダー50.00gと押出助剤である炭化水素油(商品名:アイソパーG、エクソン化学社製)10.25gとをガラスビン中で混合し、室温(25±2℃)で1時間熟成した。
次に、押出機のシリンダーに上記混合物を充填し、室温において1分間保持したのち、直ぐにシリンダーに挿入したピストンに5.7MPaの負荷を加えて、直ちに室温においてラム速度20mm/分でオリフィスから押出した。押出操作で圧力が平衡状態になる時点の荷重(N)をシリンダー断面積で除した値を押出し圧力(MPa)とした。
(9)ヘイズ値
ASTM D 1003に従い、測定用サンプルaを直読ヘイズメーター(東洋精機製作所社製)を用いて測定した。測定用サンプルaは、内径50mmφの金型にて、圧力20MPa、保持時間5分、室温にて圧縮成形したのち380℃×1時間加熱焼成して得られる円柱状成形体から切り出すことにより得られた厚さ0.5mmのシートを熱風循環式電気炉にて380℃、5分間にて加熱焼成し、室温まで急冷することにより作成したものである。
測定用被覆電線aについてMIL−C−17に準拠して測定した。
上記測定用被覆電線aは、(i)変性PTFEファインパウダー2kgに対して押出助剤(アイソパーG)を16質量%(381g)を混合し、12時間常温で熟成したのち、10メッシュのSUS金網を通して予備成形機(田端機械工業社製)にて予備成形を行い、(ii)得られた予備成形体をφ50mmの電線成形機(田端機械工業社社製)にて押出したのち、(iii)乾燥及び(iv)焼成を行い冷却して得られる、被覆層厚み0.58mmの被覆電線である。
なお、(i)の予備成形は、ラム速度を100mm/分として、3MPaの圧力下、常温環境下にて10分間行った。(ii)予備成形体の押出は、芯線として、AWG24、外径0.511mmのニッケルメッキ銅線を用い、ラム速度13mm/分、芯線速度10m/分にて押し出した。また、(iii)乾燥は、(ii)の工程から得られる押出物を160℃に設定したキャブスタンへ通した後、200℃、250℃、280℃と段階的に設定した乾燥炉へ通して行い、(iv)焼成は、280℃から400℃に段階的に設定した焼成炉に10m/分にて通過させて行った。
自己巻き耐熱試験体を335℃に2時間置いたのち常温に取り出して放置冷却したときに、巻き付け部分(下記測定用被覆電線a1の該当部分)に生じたクラックの個数を目視観察にて数えた。
上記自己巻き耐熱試験体は、上記測定用被覆電線aを芯線方向において任意の箇所p1にてU字型に曲げ、上記測定用被覆電線aを上記箇所p1を境にして一方を測定用被覆電線a1、他方を測定用被覆電線a2に分けて示した際に、上記測定用被覆電線a1において上記箇所p1から長さ50mmの箇所p2を上記測定用被覆電線a2に接触させ上記接触箇所から上記測定用被覆電線a1を上記測定用被覆電線a2に10回巻き付け上記10回目を巻き付けたところで上記測定用被覆電線a1を上記測定用被覆電線a2に結びつけて固定したものである。上記巻き付けは、図1の写真に示すように、n回目の巻き付けを(n−1)回目に巻き付けた測定用被覆電線a1部分に接触させて行った。
ステンレススチール(SUS316)製アンカー型撹拌機及び温度調節用ジャケット付きのステンレススチール(SUS316)製のオートクレーブ(内容量6L)に、脱イオン水3580g、パラフィンワックス94.1g及び分散剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウム3.58gを仕込んだ。次いでオートクレーブを70℃まで加熱しながら、窒素ガスで3回、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスで2回系内を置換して酸素を除いた。その後、TFEガスで内圧を0.73MPaにし、280rpmで撹拌を行い、内温を70℃に保った。
次に初期導入変性剤としてパーフルオロプロピルビニルエーテル〔PPVE〕を2.9g、続いて脱イオン水20gに溶解した過酸化コハク酸〔DSP〕322mgと脱イオン水20gに溶解した過硫酸アンモニウム〔APS〕13.4mgとを注入し、オートクレーブの内圧を0.78MPaにした。
反応で消費されたTFEが1490g(転化率90%)に達した時点で追加変性剤としてヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕14.2gを仕込み、引き続き反応を行った。
反応の全過程において、反応が進行するに従ってオートクレーブの内圧が低下したので、常に0.78MPaに保つようにTFEを連続的に供給した。撹拌速度は280rpm、反応温度は70℃に一定に保つようにした。
反応で消費されたTFEが1735gに達した時点でTFEの供給を止め、撹拌を停止した。オートクレーブ内のガスを常圧まで放出した後で内容物を取り出し反応を終了した。
得られた変性PTFE水性分散液を脱イオン水で固形分濃度が約15質量%となるように希釈し、凝固するまで激しく撹拌して凝析し、得られた凝集物を145℃で18時間乾燥し、変性PTFE粉末を得た。
得られた変性PTFE粉末を用いて、変性PTFE中のPPVE及びHFP含有量を測定したところ、それぞれ0.165質量%、0.05質量%であった。また、上記変性PTFEの標準比重〔SSG〕は2.168であった。
更に、上記変性PTFE粉末について、熱不安定指数、押出圧力及び生強度を測定し、更に成形体を作成し、ヘイズ値を測定した。
初期導入変性剤をパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール〔PDD〕に変え、初期導入変性剤及び追加変性剤の添加量を変更し、追加変性剤の添加と同時に連鎖移動剤としてイソブタンを7.4cc仕込む以外は、実施例1と同様にして変性PTFE粉末の製造を行い、各種測定を行った。
ステンレススチール(SUS316)製アンカー型撹拌機及び温度調節用ジャケットを有するステンレススチール(SUS316)製のオートクレーブ(内容量6L)に、脱イオン水3580g、パラフィンワックス94.1g及び分散剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウム0.72gを仕込んだ。次いでオートクレーブを70℃まで加熱しながら、窒素ガスで3回、TFEガスで2回系内を置換して酸素を除いた。その後、TFEガスで内圧を0.73MPaにし、280rpmで撹拌を行い、内温を70℃に保った。
次に初期導入変性剤としてPPVEを2.2g、続いて脱イオン水20gに溶解したDSP322mgと脱イオン水20gに溶解したAPS13.4mgとを注入し、オートクレーブの内圧を0.78MPaにした。
重合開始剤を添加してから反応で消費されたTFEが230g(転化率20%)に達した時点でパーフルオロオクタン酸アンモニウム4.54gを仕込んだ後、内圧が0.78MPaになるまでTFEを供給し、280rpmで再び撹拌を開始し、引き続き反応を行った。
反応で消費されたTFEが1490g(転化率90%)に達した時点で、追加変性剤としてHFPを7.1g、連鎖移動剤としてイソブタンを7.4mlをそれぞれ仕込み、引き続き反応を行った。
反応の全過程において、反応が進行するに従ってTFEの内圧が低下したので、常に0.78MPaに保つようにTFEを連続的に供給した。撹拌速度は280rpm、反応温度は70℃に一定に保つようにした。
反応で消費されたTFEが1735gに達した時点でTFEの供給を止め、撹拌を停止した。オートクレーブ内のガスを常圧まで放出した後で内容物を取り出し反応を終了した。
得られた変性PTFE水性分散液を脱イオン水で固形分濃度が約15質量%となるように希釈し、凝固するまで激しく撹拌して凝析し、得られた凝集物を145℃で18時間乾燥し、変性PTFE粉末を得た。
得られた変性PTFE中のPPVE及びHFP含有量を測定したところ、それぞれ0.103質量%、0.03質量%であった。また、上記変性PTFEの標準比重〔SSG〕は2.173であった。
また、上記変性PTFE粉末について、熱不安定指数、押出圧力、生強度及びヘイズ値を測定した。
追加変性剤の種類と量とを表1に示すように変えた以外は実施例3と同様にして変性PTFE粉末の製造を行い、各種測定を行った。
連鎖移動剤の代わりに開始剤APS(実施例5)又はDSP(実施例6)を添加した以外は実施例4と同様にして変性PTFE粉末の製造を行い、各種測定を行った。
追加変性剤の種類と量とを表1に示すように変えた以外は実施例4と同様にして変性PTFE粉末の製造を行い、各種測定を行った。
各実施例の測定結果を表1に示す。
ステンレススチール(SUS316)製アンカー型撹拌機及び温度調節用ジャケット付きのステンレススチール(SUS316)製のオートクレーブ(内容量6L)に、脱イオン水3580g、パラフィンワックス94.1g及び分散剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウム3.58gを仕込んだ。次いでオートクレーブを70℃まで加熱しながら、窒素ガスで3回、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスで2回系内を置換して酸素を除いた。その後、TFEガスで内圧を0.73MPaにし、280rpmで撹拌を行い、内温を70℃に保った。
次に初期導入変性剤としてパーフルオロプロピルビニルエーテル〔PPVE〕0.85g及びヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕0.34g、続いて脱イオン水20gに溶解した過酸化コハク酸〔DSP〕322mgと脱イオン水20gに溶解した過硫酸アンモニウム〔APS〕13.4mgとを注入し、オートクレーブの内圧を0.78MPaにした。
反応で消費されたTFEが1490g(転化率90%)に達した時点で追加変性剤としてヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕3.5gを、連鎖移動剤としてメタノール0.4gを仕込み、引き続き反応を行った。
反応の全過程において、反応が進行するに従ってオートクレーブの内圧が低下したので、常に0.78MPaに保つようにTFEを連続的に供給した。撹拌速度は280rpm、反応温度は70℃に一定に保つようにした。
反応で消費されたTFEが1735gに達した時点でTFEの供給を止め、撹拌を停止した。オートクレーブ内のガスを常圧まで放出した後で内容物を取り出し反応を終了した。
得られた変性PTFE水性分散液を脱イオン水で固形分濃度が約15質量%となるように希釈し、凝固するまで激しく撹拌して凝析し、得られた凝集物を145℃で18時間乾燥し、変性PTFEファインパウダーを得た。
粒子芯部のPPVE及びHFP含有量を測定したところ、それぞれ、表2に示す値となった。また、上記変性PTFEの標準比重〔SSG〕は2.180であった。
更に、上記変性PTFEファインパウダーについて、熱不安定指数、押出圧力、生強度及びヘイズ値を測定し、更に測定用被覆電線aを作成し、芯線密着強度及び自己巻き耐熱性を測定した。
ステンレススチール(SUS316)製アンカー型撹拌機及び温度調節用ジャケット付きのステンレススチール(SUS316)製のオートクレーブ(内容量6L)に、脱イオン水3580g、パラフィンワックス94.1g及び分散剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウム0.72gを仕込んだ。次いでオートクレーブを70℃まで加熱しながら、窒素ガスで3回、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスで2回系内を置換して酸素を除いた。その後、TFEガスで内圧を0.73MPaにし、280rpmで撹拌を行い、内温を70℃に保った。
次に初期導入変性剤としてパーフルオロプロピルビニルエーテル〔PPVE〕1.0g及びヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕0.34g、続いて脱イオン水20gに溶解した過酸化コハク酸〔DSP〕220mgと脱イオン水20gに溶解した過硫酸アンモニウム〔APS〕13.4mgとを注入し、オートクレーブの内圧を0.78MPaにした。
重合開始剤を添加してから反応で消費されたTFEが230g(転化率20%)に達した時点でパーフルオロオクタン酸アンモニウム4.54gを仕込んだ後、内圧が0.78MPaになるまでTFEを供給し、280rpmで再び撹拌を開始し、引き続き反応を行った。
反応で消費されたTFEが1490g(転化率90%)に達した時点で追加変性剤としてヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕3.5gを、連鎖移動剤としてメタノール0.3gを仕込み、引き続き反応を行った。
反応の全過程において、反応が進行するに従ってオートクレーブの内圧が低下したので、常に0.78MPaに保つようにTFEを連続的に供給した。撹拌速度は280rpm、反応温度は70℃に一定に保つようにした。
反応で消費されたTFEが1735gに達した時点でTFEの供給を止め、撹拌を停止した。オートクレーブ内のガスを常圧まで放出した後で内容物を取り出し反応を終了した。
得られた変性PTFE水性分散液を脱イオン水で固形分濃度が約15質量%となるように希釈し、凝固するまで激しく撹拌して凝析し、得られた凝集物を145℃で18時間乾燥し、変性PTFE粉末を得た。
粒子芯部のPPVE及びHFP含有量を測定したところ、それぞれ表2に示す値となった。また、上記変性PTFEの標準比重〔SSG〕は2.175であった。
更に、上記変性PTFEファインパウダーについて、熱不安定指数、押出圧力、生強度及びヘイズ値を測定し、更に測定用被覆電線aを作成し、芯線密着強度及び自己巻き耐熱性を測定した。
追加変性剤の種類及び添加量を表2に示すように変更した以外は、実施例8と同様にして変性PTFEファインパウダーの製造を行い、各種測定を行った。
WO00/02935号公報、実施例2に記載の方法に従い、乳化重合を行うことにより、PPVE単位を有するTFE重合体からなるTFE重合体粉末を調製した。
得られたTFE重合体粉末を用いて、TFE重合体中のPPVE含有量を測定したところ、0.106質量%であった。また、上記TFE重合体粉末の標準比重〔SSG〕は2.177であった。
更に、上記TFE重合体粉末について、熱不安定指数、押出圧力及びヘイズ値を測定した。
特公昭56−26242号公報、実施例7に記載の方法に従い、CTFE単位を芯部及び殻部の両方に有する二層構造のTFE重合体からなるTFE重合体粉末を調製した。
得られたTFE重合体粉末を用いて、TFE重合体中のCTFE含有量を測定したところ、0.770質量%であった。
更に、上記TFE重合体粉末について、押出圧力及びヘイズ値を測定した。
特開昭63−56532号公報、実施例4(比較例3に適用)及び実施例8(比較例4に適用)に記載の方法に従い、芯部にPPVE単位を有し、殻部にCTFE単位を有する二層構造のTFE重合体からなるTFE重合体粉末を調製した。
上記TFE重合体粉末を用いて、PPVE単位及びCTFE単位を測定した。
更に、上記TFE重合体粉末ついて、押出圧力及びヘイズ値を測定した。
特開平8−26102号公報、実施例2に記載の方法に従い、芯部にパーフルオロ(ブチルビニルエーテル)[PBVE]単位を有し、殻部にHFP単位を有する二層構造のTFE重合体からなるTFE重合体粉末を調製した。
得られたTFE重合体粉末を用いて、PBVE単位及びHFP単位を測定した。
更に、上記TFE重合体粉末について、押出圧力及びヘイズ値を測定した。
各比較例の結果を、表3に示す。
本発明の変性PTFE成形体は、上述の構成からなるものであるので、透明性、耐熱性、耐薬品性等に優れ、例えば、航空機、自動車、医療機器、精密機械等に使用する電線被覆、チューブ等として好適に使用することができる。
Claims (5)
- リダクションレシオ1600における円柱押出し圧力が50MPa以下であり、測定用成形体aについてヘイズ値が60以下である
ことを特徴とする変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー。 - 測定用成形体bについて引張強度が1.8MPa以上である請求項1記載の変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー。
- ASTM D 4895により求めた熱不安定指数〔TII〕が6以下である請求項1又は2記載の変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー。
- 変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを用いて成形加工することにより得られた変性ポリテトラフルオロエチレン成形体であって、
前記変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、請求項1、2又は3記載の変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーである
ことを特徴とする変性ポリテトラフルオロエチレン成形体。 - チューブである請求項4記載の変性ポリテトラフルオロエチレン成形体。
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