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JP2010275499A - ポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子、その製造方法及び型内発泡成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子、その製造方法及び型内発泡成形体 Download PDF

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JP2010275499A JP2009131920A JP2009131920A JP2010275499A JP 2010275499 A JP2010275499 A JP 2010275499A JP 2009131920 A JP2009131920 A JP 2009131920A JP 2009131920 A JP2009131920 A JP 2009131920A JP 2010275499 A JP2010275499 A JP 2010275499A
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Genzo Kikuchi
元三 菊地
Shigehiko Abe
成彦 阿部
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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Abstract

【課題】 ポリプロピレン系樹脂の発泡成形性を改良しうる溶融張力向上剤を含んだポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子を提供する。
【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂99〜50重量%と、下記(A)〜(F)を満足するポリエチレン系樹脂からなるポリプロピレン系樹脂用溶融張力向上剤1〜50重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を用いる。
(A)密度(d)が920〜970kg/m、(B)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が1〜20g/10分、(C)末端ビニル数が1,000炭素原子当たり0.2個以下、(D)160℃で測定した溶融張力(MS160(mN))とMFRの関係が、MS160>90−130×log(MFR)を満足する。(E)190℃で測定した溶融張力(MS190(mN))とMS160の関係が、MS160/MS190<1.8を満足する。(F)流動の活性化エネルギー(E(kJ/mol))と密度の関係が、125−0.105d<E<88−0.055dを満足する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子、その製造方法及びそれを用いた型内発泡成形体に関するものである。更に詳細には、ポリプロピレン系樹脂の発泡成形性を改良しうる溶融張力向上剤を含んだポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子、その製造方法及びそれを用いた型内発泡成形体に関するものである。
熱可塑性樹脂に発泡剤を含浸させて得られる予備発泡粒子を型内で加熱成形することで所望の形状の成形体を得る方法が公知である。特にポリプロピレン系樹脂は、安価で耐熱性、機械的強度、衝撃特性のバランスに優れることから各種成形品として広く使用されている。しかしながら、ポリプロピレンは溶融時の粘度、溶融張力が低いため、発泡成形時に気泡の破壊が起こり良好な性状の成形体が得られず、上述の発泡用途に適応することが困難であった。
発泡を安定化するためにはポリプロピレンの溶融時の強度、即ち、溶融張力の向上が有効であることが見出され、種々の方法が提案されている。
例えば、直鎖状ポリプロピレン系樹脂に活性酸素の存在下で電子線やガンマ線等の高エネルギーイオン化放射線を照射して長鎖分岐を生じさせることにより、ポリプロピレンの溶融加工性を改善する方法(例えば特許文献1参照。)、ゴム状重合体にビニル系単量体をグラフト共重合したコア−シェルグラフト共重合体をポリプロピレン系樹脂に添加する方法(例えば特許文献2参照。)等が提案されている。
溶融張力等の溶融粘弾性を向上させる他の方法として、担持型チタン含有固体触媒成分および有機アルミニウム化合物触媒成分にエチレンとポリエン化合物が予備重合されてなる予備重合触媒を用いてプロピレンを重合することにより、高溶融張力を有するポリプロピレンを製造する方法(例えば特許文献3参照。)および同様の触媒成分を用い予備重合をエチレンの単独で行い極限粘度が20dl/g以上のポリエチレンを含有するエチレン含有予備重合触媒を用いる高溶融張力を有するエチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法(例えば特許文献4参照。)が開示されている。
また、熱安定性に優れ、幅広い成形加工温度範囲で成形加工性に優れる新たなポリエチレン系樹脂が提案されている(例えば特許文献5,6参照。)。
特開昭62−121704号公報(特許請求の範囲) 特開平5−339433号公報(特許請求の範囲) 特開平5−222122号公報(特許請求の範囲) 特開平4−55410号公報(特許請求の範囲) 特開2004−346304号公報(特許請求の範囲、0064の欄) 特開2007−169339号公報(特許請求の範囲、0040の欄)
しかし、特許文献1に提案の方法においては、特定濃度の活性酸素が存在する雰囲気下で高エネルギーイオン化放射線を照射して反応を行う工程や、放射線を照射した後には放射線照射によって生じた遊離基を失活させる工程が必須である上、操作も複雑である。また、高エネルギーイオン化放射線を照射するための設備も必要となるため、コスト的にも不利であるという課題があり、特許文献2に提案の方法においては、ポリプロピレン系樹脂の溶融張力を改善するためには、多量のコアーシェルグラフト共重合体を添加しなければならないという課題があった。また、特許文献3に提案の方法においては、別途にポリエン化合物を準備する必要があり、またポリエチレンを予備重合させる方法を開示した文献に基づいてプロピレンを重合した場合、最終的に得られるポリプロピレン組成物への予備重合したポリエチレンの分散性が不均一であり、ポリプロピレン組成物の安定性の面でさらに改善が要求される。特許文献4に提案の方法においては、高分子量のポリオレフィンを微量生成させるための、オレフィン(共)重合量の微量コントロールが難しいこと、また分子量の十分に大きいポリオレフィンを生成するために低い重合温度が必要なこともあり、プロセスの改造を必要とし、さらにポリプロピレン組成物の生産性も低下する。
また、特許文献5,6においては、新たなポリエチレン系樹脂が提案され、該ポリエチレン系樹脂の特性を逸脱しない範囲において他の樹脂等を配合することは記載されているが、他の樹脂等を改質すること、機能を向上させることに関しては何等記載又は示唆されていない。
本発明は、気泡の大きさが均一かつ緻密な予備発泡粒子とその製造方法及び型内発泡成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリプロピレン系樹脂の発泡成形性を改良しうる溶融張力向上剤を含んだポリプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、気泡の大きさが微細かつ均一な予備発泡粒子及び型内発泡成形体が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、ポリプロピレン系樹脂99〜50重量%と、下記(A)〜(F)を満足するポリエチレン系樹脂からなるポリプロピレン系樹脂用溶融張力向上剤1〜50重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子、を要旨とする。
(A)JIS K6760に準拠して密度勾配管法により測定した密度(d)が920kg/m以上970kg/m以下である。
(B)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10分以上20g/10分以下である。
(C)末端ビニル数が1,000炭素原子当たり0.2個以下である。
(D)160℃で測定した溶融張力(MS160(mN))とMFRの関係が、下記式(1)を満足する。
MS160>90−130×log(MFR) (1)
(E)190℃で測定した溶融張力(MS190(mN))とMS160の関係が、下記式(2)を満足する。
MS160/MS190<1.8 (2)
(F)流動の活性化エネルギー(E(kJ/mol))と密度の関係が、下記式(3)を満足する。
125−0.105d<E<88−0.055d (3)
以下に本発明に関し詳細に説明する。
本発明の予備発泡粒子とは、熱可塑性樹脂粒子に揮発性発泡剤を含有させた後、予備発泡することにより得られたものをいい、さらに成形型内に充填した上で加熱、発泡させて所望の発泡成形物を得る成形方法に用いられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂(以下「PP」という)は、PPの範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、例えばプロピレンの単独重合体またはプロピレンと20重量%以下の他のα−オレフィン、例えばエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1などとのブロックまたはランダム共重合体等が挙げられ、これらの樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。そして、該PPとしては、JIS K 7210に従い、230℃、荷重2.16kgで測定したMFRが、0.05〜1000g/10分であるPPが好ましく、さらに0.1〜700g/10分のPPが好ましく、特に0.5〜500g/10分のPPが好適である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成する溶融張力向上剤は前記(A)〜(F)を満足するポリエチレン系樹脂からなるものである。該ポリエチレン系樹脂は、一般にポリエチレン系樹脂と称される範疇に属するものであり、特に耐熱性、剛性に優れたポリプロピレン系樹脂用溶融張力向上剤となることからエチレンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン単独重合体、またはエチレンから導かれる繰り返し単位と炭素数3〜8のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。ここで、炭素数3〜8のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位とは、単量体である炭素数3〜8のα−オレフィンから誘導され、エチレン−α−オレフィン共重合体に含有される単位であり、炭素数3〜8のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。これら炭素数3〜8のα−オレフィンの少なくとも2種類を併用してもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成する溶融張力向上剤を構成するポリエチレン系樹脂は、(A)JIS K6760に準拠して密度勾配管法により測定した密度(d)が、920kg/m以上970kg/m以下、好ましくは930kg/m以上960kg/m以下のものである。ここで、密度(d)が920kg/m未満の場合、ポリエチレン系樹脂の融解温度が低くなりポリプロピレン系樹脂に配合した際の耐熱性が劣る。一方、970kg/mを超える場合、ポリエチレン系樹脂の融解温度は高く、耐熱性、剛性に優れるものとなる反面、耐衝撃性が劣るものとなる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成する溶融張力向上剤を構成するポリエチレン系樹脂は、(B)190℃で、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(以下、MFRと記す。)が、1g/10分以上20g/10分以下のものである。ここで、MFRが1g/10分未満である場合、ポリプロピレン系樹脂に配合しポリプロピレン系樹脂組成物とする際の押出機の負荷が大きくなり、生産性が低下すると共に、成形品とする際の成形加工性に劣るポリプロピレン系樹脂組成物となる。一方、20g/10分を超える場合、溶融張力が小さく、成形加工性、機械的強度に劣るポリプロピレン系樹脂組成物しか得られない。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成する溶融張力向上剤を構成するポリエチレン系樹脂は、(C)末端ビニル数が1000炭素原子当たり0.2個以下、好ましくは0.1個以下であるものである。ここで、末端ビニル数が1000炭素原子当たり0.2個を越える場合、ポリプロピレン系樹脂組成物とする際の熱安定性に劣り熱劣化等が発生しやすく、得られる成形体に黄変等の問題が生じる。
ここで、本発明における末端ビニル数の測定法としては、ポリエチレン系樹脂を熱プレスした後、氷冷して調製したフィルムをフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により4000cm−1〜400cm−1の範囲で測定し、下式により算出した。
1000炭素原子当たりの末端ビニル数(個/1000C)=a×A/L/d
(式中、aは吸光光度係数、Aは末端ビニルに帰属される909cm−1の吸光度、Lはフィルムの厚み、dは密度を示す。なお、aは、H−NMR測定より、1000炭素原子当たりの末端ビニル数を確認したサンプルを用いて作成した検量線から求めた。H−NMR測定は、NMR測定装置(日本電子社製、商品名GSX400)を用い、重水素化ベンゼンとo−ジクロロベンゼンの混合溶媒中、130℃において実施した。1000炭素原子当たりの末端ビニル数は、メチレンに帰属されるピークと末端ビニルに帰属されるピークの積分比から算出した。各ピークは、テトラメチルシランを基準(0ppm)として、化学シフトが1.3ppmのピークをメチレン、4.8〜5.0ppmのピークを末端ビニルと帰属した。)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成する溶融張力向上剤を構成するポリエチレン系樹脂は、(D)160℃で測定した溶融張力(以下、MS160と記す。)とMFRの関係が下記式(1)を満足し、好ましくは下記式(5)を満足するものである。
MS160>90−130×log(MFR) (1)
MS160>110−130×log(MFR) (5)
一般的にポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形する場合、成形時の溶融樹脂には、気泡の破壊、ガス抜け等が生じ、成形体の肉厚、形状に支障を来す。そのため、溶融張力の高いポリプロピレン系樹脂組成物が発泡成形性に優れるものとされている。ここで、該ポリエチレン系樹脂のMFRとMS160の関係が上記式(1)を満足しない場合、得られるポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形体とする際のガス抜けが大きくなり、発泡倍率が低下し、製品形状の制御が困難となったり、特殊な温度制御が必要となり、その成形性が劣るばかりか、安定して発泡成形体を得ることができなくなる。
なお、本発明におけるMS160は、長さが8mm,直径が2.095mmであるダイスを用い、流入角90°で、せん断速度10.8s−1、延伸比47、測定温度160℃の条件下で測定した値であり、最大延伸比が47未満の場合は、破断しない最高の延伸比で測定した値をMS160とした。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成する溶融張力向上剤を構成するポリエチレン系樹脂は、(E)190℃で測定した溶融張力(以下、MS190と記す。)とMS160の関係が下記式(2)を満足し、好ましくは下記式(6)を満足するものである。
MS160/MS190<1.8 (2)
MS160/MS190<1.7 (6)
ここで、MS160とMS190の関係が上記式(2)を満足しない場合、ポリエチレン系樹脂は温度によってその溶融張力が大きく変化することから、このようなポリエチレン系樹脂を配合したポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形体とする際の成形加工温度の厳密な調節が必要となり、ひいては成形可能範囲が狭くなるばかりか、発泡倍率が高く、気泡が均一な発泡成形体を得ることができなくなる。
なお、本発明におけるMS190は、長さが8mm,直径が2.095mmであるダイスを用い、流入角90°で、せん断速度10.8s−1、延伸比47、測定温度190℃の条件下で測定した値であり、最大延伸比が47未満の場合は、破断しない最高の延伸比で測定した値をMS190とした。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成するポリエチレン系樹脂は、(F)流動の活性化エネルギー(kJ/mol)(以下、Eと記す。)と密度との関係が、下記式(3)を満足し、好ましくは下記式(7)を満足することが好ましい。
125−0.105d<E<88−0.055d (3)
127−0.107d<E<88−0.060d (7)
ここで、Eが(125−0.105d)以下である場合、このようなポリエチレン系樹脂を配合したポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形体とする際、加工性に問題が生じる。一方、Eが(88−0.055d)以上である場合、溶融粘度の温度依存性が大きくなるため、このようなポリエチレン系樹脂を配合したポリプロピレン系樹脂組成物は成形加工温度の厳密な調節が必要となり、ひいては成形可能範囲が狭くなる。
なお、本発明におけるEは、160〜230℃の温度範囲における動的粘弾性測定を行い、得られるシフトファクターをアレニウス式に代入することにより求めることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成する溶融張力向上剤を構成するポリエチレン系樹脂としては、該ポリエチレン系樹脂の範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、如何なる方法により得られたものであってもよく、例えば後述する本願実施例の製造条件そのもの、あるいは条件因子の微調整によって任意に作り分けることが可能である。
より具体的には、例えばメタロセン化合物として、2つのシクロペンタジエニル基が2種類以上の原子の連鎖からなる架橋基で架橋されているか、もしくは2個以上の原子の連鎖からなる架橋基で架橋されている架橋型ビスシクロペンタジエニルジルコニウム錯体(以下、成分(a)と記す。)と、架橋型(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体および/または架橋型(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(b)と記す。)を用いたメタロセン触媒の存在下に、エチレンを重合する、またはエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
成分(a)の具体例としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1−ジメチル−1−シラエタン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、プロパン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ブタン−1,4−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、シス−2−ブテン−1,4−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1,2,2−テトラメチルジシラン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。
成分(b)の具体例としては、例えばジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできる。
また、成分(a)に対する成分(b)の量は、特に制限はなく、0.0001〜100倍モルであることが好ましく、特に好ましくは0.001〜10倍モルである。
そして、成分(a)と成分(b)を用いたメタロセン触媒としては、例えば成分(a)と成分(b)と有機アルミニウム化合物(以下、成分(c)と記す。)からなる触媒;成分(a)と成分(b)とアルミノオキサン(以下、成分(d)と記す。)からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;成分(a)と成分(b)とプロトン酸塩(以下、成分(e)と記す。)、ルイス酸塩(以下、成分(f)と記す。)または金属塩(以下、成分(g)と記す。)から選ばれる少なくとも1種類の塩からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;、成分(a)と成分(b)と成分(d)と無機酸化物(以下、成分(h)と記す。)からなる触媒;成分(a)と成分(b)と成分(h)と成分(e)、成分(f)、成分(g)から選ばれる少なくとも1種類の塩からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;成分(a)と成分(b)と粘土鉱物(以下、成分(i)と記す。)と成分(c)からなる触媒;成分(a)と成分(b)と有機化合物で処理された粘土鉱物(以下、成分(j)と記す。)からなる触媒を例示することができ、好ましくは成分(a)と成分(b)と成分(j)からなる触媒を用いることができる。
ここで、成分(i)および成分(j)として用いることが可能な粘土鉱物としては、微結晶状のケイ酸塩を主成分とする微粒子を挙げることができ、粘土鉱物の大部分は、その構造上の特色として層状構造を成しており、層の中に種々の大きさの負電荷を有することが挙げられる。この点で、シリカやアルミナのような三次元構造を持つ金属酸化物と大きく異なる。これらの粘土鉱物は、一般に層電荷の大きさで、パイロフィライト、カオリナイト、ディッカイトおよびタルク群(化学式当たりの負電荷がおよそ0)、スメクタイト群(化学式当たりの負電荷がおよそ0.25から0.6)、バーミキュライト群(化学式当たりの負電荷がおよそ0.6から0.9)、雲母群(化学式当たりの負電荷がおよそ1)、脆雲母群(化学式当たりの負電荷がおよそ2)に分類されている。ここで示した各群には、それぞれ種々の粘土鉱物が含まれるが、スメクタイト群に属する粘土鉱物としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等が挙げられる。また、上記粘土鉱物は複数混合して用いることもできる。
成分(j)における有機化合物処理とは、粘土鉱物層間に有機イオンを導入し、イオン複合体を形成することをいう。有機化合物処理で用いられる有機化合物としては、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−エイコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−ドコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルオレイルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−オクタデシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−エイコシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ジオレイルアミン塩酸塩、N−メチル−ジベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルアニリン塩酸塩を例示することができる。
成分(a)と成分(b)と成分(j)からなる触媒は、有機溶媒中、成分(a)と成分(b)と成分(j)を接触させることによって得ることが可能であり、成分(a)と成分(j)の接触生成物に成分(b)を添加する方法;成分(b)と成分(j)の接触生成物に成分(a)を添加する方法;成分(a)と成分(b)の接触生成物に成分(j)を添加する方法;成分(j)に成分(a)と成分(b)の接触生成物を添加する方法を例示することができる。
接触溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタンもしくはシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン等の芳香族炭化水素類、エチルエーテルもしくはn−ブチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレンもしくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、1,4−ジオキサン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランを例示することができる。
接触温度については、0〜200℃の間で選択して処理を行うことが好ましい。
各成分の使用量は、成分(j)1gあたり成分(a)が、0.0001〜100mmol、好ましくは0.001〜10mmolである。
このようにして調製された成分(a)と成分(b)と成分(j)の接触生成物は、洗浄せずに用いても良く、また洗浄した後に用いても良い。また、成分(a)または成分(b)がジハロゲン体の時、さらに成分(c)を添加することが好ましい。また、成分(j)、重合溶媒およびオレフィン中の不純物を除去することを目的に成分(c)を添加することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成するポリエチレン系樹脂を製造する際には、重合温度−100〜120℃で行うことが好ましく、特に生産性を考慮すると20〜120℃が好ましく、さらには60〜120℃の範囲で行うことが好ましい。また、重合時間は10秒〜20時間の範囲が好ましく、重合圧力は常圧〜300MPaの範囲で行うことが好ましい。重合性単量体としては、エチレン単独又はエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンであり、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンである場合、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの供給割合として、エチレン/炭素数3〜8のα−オレフィン(モル比)が、1〜200、好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜50の供給割合を用いることができる。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて2段階以上に分けて行うことも可能である。また、エチレン系共重合体は、重合終了後に従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
重合はスラリー状態、溶液状態または気相状態で実施することができ、特に、重合をスラリー状態で行う場合にはパウダー粒子形状の整ったエチレン系共重合体を効率よく、安定的に生産することができる。また、重合に用いる溶媒は一般に用いられる有機溶媒であればいずれでもよく、具体的には例えばベンゼン、トルエン、キシレン、プロパン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ガソリン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成する溶融張力向上剤を構成するポリエチレン系樹脂には、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、必要に応じて、さらに安定剤、滑剤、難燃剤、分散剤、充填剤、発泡剤、発泡核剤、架橋剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、着色剤などを含有させることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の混合比率は、99/1〜50/50(重量%)、好ましくは90/10〜60/40(重量%)である。ポリプロピレン系樹脂の比率が99重量%を超えると、溶融張力が極端に小さくなるため、発泡成形自体が困難になる。また、ポリプロピレン系樹脂の比率が50重量%より少ないとポリプロピレンが本来有している耐熱性、機械的強度、衝撃特性が極端に低下することとなる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を配合する際には、通常樹脂組成物とする際の方法を用いることができ、例えば溶融・混合方法として、押出混練、ロール混練など公知の方法を挙げることができ、該方法で溶融混練することにより得ることができる。
そして、本発明の予備発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂組成物は、特に発泡成形性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物となることからMS190とMFRの関係が下記式(4)を満足するポリプロピレン系樹脂組成物であることが好ましい。
MS190>40−20×log(MFR) (4)
なお、ここでいうMS190とMFRは、上記した方法により求めることができる。
本発明の予備発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂組成物には、さらに本発明の要旨を逸脱しない範囲において、必要に応じて、安定剤、滑剤、難燃剤、分散剤、充填剤、発泡剤、発泡核剤、架橋剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、着色剤などを含有させることができる。また、他の熱可塑性樹脂と混合して用いることもできる。これらの例として、HDPE、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、LDPE、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、これらの無水マレイン酸グラフト物等を例示することができる。
本願発明の予備発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂99〜50重量%と、前記(A)〜(F)を満足するポリエチレン系樹脂からなるポリプロピレン系樹脂用溶融張力向上剤1〜50重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物を用いた樹脂粒子と揮発性発泡剤を密閉容器内で水に分散させ、該分散液を加熱した後、該密閉容器内の内容物を密閉容器内の圧力よりも低い圧力雰囲気下に放出することにより製造することができる。 本発明の予備発泡粒子の製造に使用する樹脂粒子は、通常、前記オレフィン(共)重合体組成物と必要に応じて混合する他の樹脂、安定剤等の添加剤とを溶融押出し、カットしてペレットにしたものであり、延伸のかかった状態でストランド状に押出し、カットしたものや、延伸のかからない状態でカットした(例えば水中ホットカット)ものである。樹脂粒子の粒径は0.2〜10mmのものが好ましく、より好ましくは0.5〜5mmである。
本発明で使用する揮発性発泡剤としては樹脂粒子を膨潤させ、或いは樹脂粒子に浸透することのできるもので、通常、大気圧下の沸点が−60〜120℃の範囲にあるものが使用される。例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素類、及びトリクロルモノフルオルメタン、ジクロルモノフルオルメタン、ジクロルジフルオルメタン、ジクロルテトラフルオルエタン、トリクロルトリフルオルエタン、メチルクロライド等のハロゲン化炭化水素類などであり、これら発泡剤のうち1種または2種以上の混合物として使用される。
本発明で使用する水は特に制限はないが、高温、高圧下で金属製のオートクレーブ等を使用する場合、腐食等を防止するためイオン交換水が好ましい。
本発明において、樹脂粒子と揮発性発泡剤を水に撹拌分散させて発泡剤を含浸させる場合には少量の分散剤を使用し、加熱時の樹脂粒子同士の融着を防止することが望ましい。分散剤としては、例えばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、N−ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、リン酸カルシウム、ピロリン酸ナトリウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸カルシウム、微粒状酸化アルミニウム、及び微量の界面活性剤、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィン−スルホン酸ナトリウム等が使用できる。分散剤と界面活性剤は単独にまたは適量比で混合して使用される。
本発明において、樹脂粒子、揮発性発泡剤及び水の分散液を加熱する温度は、該揮発性発泡剤を含有した状態での該樹脂粒子の軟化温度以上で、好ましくは該加熱温度の上限は軟化温度+50℃、特に好ましくは軟化温度+30℃程度である。通常、該軟化温度は揮発性発泡剤を含有しない状態での樹脂粒子の軟化温度とは異なり、樹脂の種類、発泡剤の種類と量、耐圧容器への水と樹脂粒子の仕込比と仕込量等により決められるものである。また、他の目安としては樹脂粒子の融解終了温度より5〜25℃低い温度であることが好ましい。ポリプロピレン粒子の場合の加熱温度は、通常100〜180℃の範囲である。加熱温度が低すぎると発泡が困難であり、高すぎると樹脂の粘度が低くなりすぎるため耐圧容器内で粒子同士が融着しやすくなる。
本発明において、前記加熱時及び低圧域への放出時(圧力解放予備発泡時)の容器内圧力は、該揮発性発泡剤の蒸気圧以上、該蒸気圧+3MPa以下の圧力に保持することが好ましい。ここで言う発泡剤の蒸気圧とは、樹脂粒子と発泡剤を水に分散させた状態で加熱した時の系の圧力であり、この蒸気圧以上の圧力にする時には窒素等の不活性ガス等で系を加圧する。容器内の樹脂粒子と発泡剤と水の混合物が放出されるに従い容器内の上部空間容積が増加して圧力が低下するので、外部より発泡剤または窒素等の不活性ガスなどを導入して系内の圧力を一定に保持することが、均一な発泡倍率の予備発泡粒子を得るためには好ましい。容器内の圧力が発泡剤の蒸気圧より3MPaを越えると、発泡した粒子が過発泡の状態となり、気泡の破壊や連泡化が起こりやすい。
本発明において、低圧域は容器内の圧力よりも低圧であればよいが、通常大気圧力または減圧下で行われる。
本発明において、予備発泡粒子の発泡倍率は1.1〜70倍程度が好ましく、さらに好ましくは5〜60倍程度である。発泡倍率が低すぎると得られる発泡体の緩衝特性、軽量性が不十分となり、高すぎる場合は機械的強度が低下する。気泡径は50〜2000μm程度が好ましく、さらに好ましくは100〜1000μm程度である。気泡径が小さすぎると機械強度が低下し、大きすぎると緩衝特性が不十分となる。
更に、予備発泡粒子の示差走査熱量測定で得られるDSC曲線に、特開昭62−128709号公報、あるいは特開平9−124829号公報に記載の2つのピークを有することが、型内成形性が良好となり、特に好ましい。
本発明の型内発泡成形体は、前記の予備発泡粒子を通常の養生後、金型内に充填して該予備発泡粒子を相互に加熱融着させることにより得ることができる。必要に応じて、予備発泡粒子は金型への充填前に予め粒子内に無機ガス等を圧入し2次発泡力を高める方法(内圧付与法、特開昭49−128065号公報参照)や、型内に充填する際に粒子を圧縮する方法(圧縮充填法、特公昭53−33996号公報参照)を用いることができる。
本発明によれば、均一な発泡倍率、連続気泡のない均一な気泡径を有する予備発泡体が得られ、この予備発泡粒子を用いることにより表面が平滑で粒子相互の融着性良好、かつ均一な密度を有する型内発泡体が得られる。この型内発泡体は緩衝特性、断熱性に優れており、例えば、建材・土木資材(木造床断熱材、化粧型枠等)、産業包装資材(精密機器包装、ガラス陶磁器包装、工業部品包装等)、車輛・船舶用資材(バンパーコア、側突パット等)、農林・水産用(カキ用フロート等)、運輸・物流資材(パレット、通い函等)、スポーツ洋品・雑貨用(ボディーボード、スノコ等)等のさまざまな用途に使用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〜密度の測定〜
ポリプロピレン樹脂用溶融張力向上剤を構成するポリエチレン系樹脂の密度(d)は、JIS K6760(1995)に準拠して密度勾配管法で測定した。
〜末端ビニル数の測定〜
ポリプロピレン樹脂用溶融張力向上剤を構成するポリエチレン系樹脂の末端ビニル数は、Perkin Elmer社製SPECTRUM ONEフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いて、エチレン系重合体を熱プレスした後、氷冷して調製したフィルムを4000cm−1〜400cm−1の範囲で測定し、下式を用い算出した。
1000炭素原子当たりの末端ビニル数(個/1000C)=a×A/L/d
(式中、aは吸光光度係数、Aは末端ビニルに帰属される909cm−1の吸光度、Lはフィルムの厚み、dは密度を示す。なお、aは、H−NMR測定より、1000炭素原子当たりの末端ビニル数を確認したサンプルを用いて作成した検量線から求めた。H−NMR測定は、日本電子社製のGSX400を用い、重水素化ベンゼンとo−ジクロロベンゼンの混合溶媒中、130℃において実施した。1000炭素原子当たりの末端ビニル数は、メチレンに帰属されるピークと末端ビニルに帰属されるピークの積分比から算出した。各ピークは、テトラメチルシランを基準(0ppm)として、化学シフトが1.3 ppmのピークをメチレン、4.8−5.0 ppmのピークを末端ビニルと帰属した。)
溶融張力(MS160、MS190)および流動の活性化エネルギー(E)の測定に用いたポリプロピレン樹脂用溶融張力向上剤は、予め耐熱安定剤としてイルガノックス1010TM((株)チバスペシャリティケミカルズ製)1,500ppm、イルガフォス168TM((株)チバスペシャリティケミカルズ製)1,500ppmを添加したものを、インターナルミキサー((株)東洋精機製作所製、商品名:ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで30分間混練したものを用いた。
〜流動の活性化エネルギーの算出〜
ポリプロピレン樹脂用溶融張力向上剤を構成するポリエチレン系樹脂の流動の活性化エネルギー(E)は、円板−円板レオメーター((株)アントンパール製、商品名:MCR−300)を用い、150℃、170℃、190℃の各温度で角速度0.1〜100rad/sの範囲のせん断貯蔵弾性率G’、せん断損失弾性率G”を求め、基準温度150℃での横軸のシフトファクターを求め、アレニウス型の式により計算した。
〜溶融張力の測定〜
溶融張力は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ)に、長さが8mm,直径が2.095mmのダイスを流入角が90°になるように装着し測定した。温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)を溶融張力−Aとした。また、温度を140℃に設定し同様の方法で測定した荷重(mN)を溶融張力−Bとした。
〜予備発泡粒子〜
発泡倍率:ポリプロピレン系樹脂組成物の密度を0.90g/cmとして、つぎの式:発泡倍率(単位:倍)=0.90/予備発泡粒子の密度(単位:g/cm
により求める。予備発泡粒子の密度は重量と水没法により求めた体積とから算出する。
平均気泡径:予備発泡粒子10個の断面をカメラ付き顕微鏡にて写真を撮影して、気泡径を測定し、測定した全ての気泡径の平均値を算出した(単位:mm)。
気泡径分布:上記の方法にて気泡径を測定し、次の式:A=[最大径−最小径]/平均気泡径によりAを求め評価した。○:Aが1.0未満、×:Aが1.0以上
〜型内発泡成形体〜
密度:成形体を20分割した個々の密度を重量と水没法により求めた体積とから算出し、平均値を求め、密度とした(単位:g/cm)。
密度分布:上記の方法により密度を求め、次の式:B=[最大値−最小値]/密度(平均値)
によりBを求め評価した。○:Bが0.10未満、×:Bが0.10以上
性状:成型品の表面外観および粒子相互の融着性を目視にて評価した。
○:表面が平滑であり、各粒子間がよく融着している×:表面のひけや変形が見られ、各粒子間の融着性が悪い
発泡体引裂き強さ:ポリプロピレン系樹脂組成物を使用して成形された発泡体を手で引裂いた際に、容易に引裂けない発泡成形体を○、容易に引裂ける発泡成形体を×とした。
製造例1
[変性ヘクトライトの調製]
水3リットルにエタノール3リットルと37%濃塩酸100ミリリットルを加えた後、得られた溶液にN−メチルジオレイルアミン585g(1.1mol)を添加し、60℃に加熱することによって、塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト1kgを加えた。この懸濁液を60℃で、3時間撹拌し、上澄み液を除去した後、60℃の水50Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径10.5μmの変性ヘクトライトを得た。
[ポリエチレン系樹脂の製造触媒の調製]
上記変性ヘクトライト500gをヘキサン1.7リットルに懸濁させ、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド6.97g(20.0mmol)とトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8リットル(2mol)の混合液を添加し、続いて、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドに対して8mol%のジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド1.16g(1.74mmol)を添加して室温で6時間撹拌した。静置して上澄み液を除去、さらにトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.15M)を添加して最終的に100g/Lの触媒スラリーを得た。
[ポリエチレン系樹脂の製造]
内容積540リットルの重合器に、ヘキサン300リットルおよび1−ブテン1.0リットルを導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。このオートクレーブに[ポリエチレン系樹脂の製造触媒の調製]で調製した触媒60ミリリットルを添加し、エチレン/水素混合ガス(水素:800ppm含)を分圧が0.9MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.9MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガス(水素:800ppm含)を連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始90分後に重合器の内圧を脱圧した後、内容物をろ過し、乾燥して30kgのエチレン系樹脂パウダーを得た。エチレン系樹脂パウダーを200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練、ペレタイズすることでエチレン系樹脂ペレットを得た。
得られたエチレン系樹脂ペレットの密度は950kg/m、MFRは4.0g/10分であった。
このエチレン系樹脂ペレットをポリプロピレン樹脂用溶融張力向上剤として用いた。
[ポリプロピレン系樹脂組成物の製造]
市販のポリプロピレンペレット(商品名:BC05B、日本ポリプロ製、MFR=50g/10分、密度=900kg/m、MS190=5mN)と上記ポリプロピレン樹脂用溶融張力向上剤とを80:20(重量%)の比率でドライブレンドを行い、これをプラコー社製50mm径単軸押出機にて溶融混合した。バレルの温度はC1;180℃、C2;200℃、C3;220℃、ダイヘッド;220℃とした。このポリプロピレン系樹脂組成物ペレットを予備発泡用の樹脂粒子とした。
実施例1
[ポリプロピレン系樹脂組成物を使用した予備発泡粒子の製造]
上記樹脂粒子を100重量部と、水300重量部、第3リン酸カルシウム1.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05重量部及び発泡剤としてn−ブタン30重量部を耐圧密閉容器内に入れ、撹拌して分散液となし、撹拌しながら133℃に昇温した。その後、窒素を導入しながら125℃まで冷却しながら窒素を導入し内圧を3.0MPaとし、窒素を導入し続けながら(内圧3.0MPaを保持)耐圧密閉容器の下端のバルブを開き、分散液を大気圧下の受槽に放出し予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡体の性状を表1に示す。
[型内発泡成形体の製造]
上記予備発泡粒子0.3MPaの空気雰囲気下に2日間保持した後、成型用金型に充填し、145℃の水蒸気で40秒間加熱して型内発泡成形体を得た。得られた型内発泡成形体の性状を表1に示す。
実施例2
実施例1において、溶融張力向上剤の配合割合を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、溶融張力向上剤を下記の製造例2に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
製造例2
[変性ヘクトライトの調製]
水3リットルにエタノール3リットルと37%濃塩酸100ミリリットルを加えた後、得られた溶液にN−メチルジオレイルアミン585g(1.1mol)を添加し、60℃に加熱することによって、塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト1kgを加えた。この懸濁液を60℃で、3時間撹拌し、上澄液を除去した後、60℃の水50Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径10.5μmの変性ヘクトライトを得た。
[エチレン系樹脂の製造触媒の調製]
上記変性ヘクトライト500gをヘキサン1.7リットルに懸濁させ、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド6.97g(20.0mmol)とトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8リットル(2mol)の混合液を添加し、続いて、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドに対して8mol%のジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド1.16g(1.74mmol)を添加して室温で6時間撹拌した。静置して上澄み液を除去、さらにトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.15M)を添加して最終的に100g/Lの触媒スラリーを得た。
[エチレン系樹脂の製造]
内容積540リットルの重合器に、ヘキサン300リットルおよび1−ブテン1.0リットルを導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。このオートクレーブに[ポリエチレン系樹脂の製造触媒の調製]で調製した触媒60ミリリットルを添加し、エチレン/水素混合ガス(水素:500ppm含)を分圧が0.9MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.9MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガス(水素:500ppm含)を連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始90分後に重合器の内圧を脱圧した後、内容物をろ過し、乾燥して30kgのエチレン系樹脂パウダーを得た。エチレン系樹脂を200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練、ペレタイズすることでエチレン系樹脂ペレットを得た。
得られたエチレン系樹脂ペレットの密度は950kg/m、MFRは2.0g/10分であった。
このエチレン系樹脂ペレットをポリプロピレン樹脂用溶融張力向上剤として用いた。
比較例1
実施例1において溶融張力向上剤を市販の高圧法により製造された低密度ポリエチレン(LDPE)(商品名:ペトロセン203、東ソー製、MFR=8g/10分、密度=919kg/m)に変えた以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において溶融張力向上剤を市販のメタロセン触媒で製造された直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:ユメリット4540F、宇部興産製、MFR=3.9g/10分、密度=944kg/m)に変えたこと以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において溶融張力向上剤の添加量を0.9重量%とした以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
比較例4
実施例1において溶融張力向上剤の添加量を52重量%とした以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
Figure 2010275499

Claims (4)

  1. ポリプロピレン系樹脂99〜50重量%と、下記(A)〜(F)を満足するポリエチレン系樹脂からなるポリプロピレン系樹脂用溶融張力向上剤1〜50重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子。
    (A)JIS K6760に準拠して密度勾配管法により測定した密度(d)が920kg/m以上970kg/m以下である。
    (B)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10分以上20g/10分以下である。
    (C)末端ビニル数が1,000炭素原子当たり0.2個以下である。
    (D)160℃で測定した溶融張力(MS160(mN))とMFRの関係が、下記式(1)を満足する。
    MS160>90−130×log(MFR) (1)
    (E)190℃で測定した溶融張力(MS190(mN))とMS160の関係が、下記式(2)を満足する。
    MS160/MS190<1.8 (2)
    (F)流動の活性化エネルギー(E(kJ/mol))と密度の関係が、下記式(3)を満足する。
    125−0.105d<E<88−0.055d (3)
  2. 190℃で測定した溶融張力(MS190)が下記式(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなる予備発泡粒子。
    MS190>40−20×log(MFR) (4)
  3. ポリプロピレン系樹脂99〜50重量%と、下記(A)〜(F)を満足するポリエチレン系樹脂からなるポリプロピレン系樹脂用溶融張力向上剤1〜50重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物を用いた樹脂粒子と揮発性発泡剤を密閉容器内で水に分散させ、該分散液を加熱した後、該密閉容器内の内容物を密閉容器内の圧力よりも低い圧力雰囲気下に放出する予備発泡粒子の製造方法。
    (A)JIS K6760に準拠して密度勾配管法により測定した密度(d)が920kg/m以上970kg/m以下である。
    (B)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10分以上20g/10分以下である。
    (C)末端ビニル数が1,000炭素原子当たり0.2個以下である。
    (D)160℃で測定した溶融張力(MS160(mN))とMFRの関係が、下記式(1)を満足する。
    MS160>90−130×log(MFR) (1)
    (E)190℃で測定した溶融張力(MS190(mN))とMS160の関係が、下記式(2)を満足する。
    MS160/MS190<1.8 (2)
    (F)流動の活性化エネルギー(E(kJ/mol))と密度の関係が、下記式(3)を満足する。
    125−0.105d<E<88−0.055d (3)
  4. 請求項1又は2に記載の予備発泡粒子を金型内に充填し、粒子を加熱融着させ該金型通りの形状に成形した型内発泡成形体。
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