JP2010272447A - 有機el装置、有機el装置の製造方法、および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射面に保護層を積層形成すると、第2電極と反射層との間隔は、少なくとも保護層の層厚分長くなってしまう。この結果、反射層と第2電極との間の距離を、反射層と第2電極との間で共振させたい光の波長に対する最適な距離(光路長)に合わせることができず、従って光の取り出し効率を高めることができないという課題がある。
【解決手段】R画素の陽極130は、保護層120上に絶縁性保護層150を挟んで形成された2層の導電膜で構成され、G画素の陽極130は、保護層120上に絶縁性保護層150を挟んで形成された1層の導電膜で構成されている。また、B画素の陽極130は、絶縁性保護層150が一部除去されて開口した保護層120が陽極130を兼ねるように構成されている。
【選択図】図3
【解決手段】R画素の陽極130は、保護層120上に絶縁性保護層150を挟んで形成された2層の導電膜で構成され、G画素の陽極130は、保護層120上に絶縁性保護層150を挟んで形成された1層の導電膜で構成されている。また、B画素の陽極130は、絶縁性保護層150が一部除去されて開口した保護層120が陽極130を兼ねるように構成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、有機EL装置、有機EL装置の製造方法、および電子機器に関し、特に、有機EL装置における発光光の共振技術に関する。
近年、基板上に有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を発光素子として形成し、発光素子の発光光を基板と反対側に取り出すトップエミッション方式の有機EL装置が、電子機器の表示装置などとして多用されている。トップエミッション方式は、発光素子を挟み基板側に形成された一方の第1電極(例えば陽極)と基板との間に反射層を形成し、発光素子を挟む他方の第2電極(例えば陰極)側から光を取り出す方式であって、光の利用効率が高い方式である。
さらに、トップエミッション方式において、発光素子を挟む基板と反対側の第2電極からの光の取り出し効率を高めて高輝度な表示を得るために、反射層を形成する材料として、通常使用されるアルミニウムに替えて、光の反射率が高い銀(Ag)または銀の合金を用いた有機EL装置が提案されている(例えば特許文献1)。また、トップエミッション方式において、発光素子を挟む電極のうち基板と反対側の第2電極と、反射層との間で、所定の波長の光を共振させて、光の取り出し効率を高める技術が開示されている(例えば特許文献2)。
ところで、反射層に銀または銀の合金を用いた場合は、反射層の表面(反射面)が常に保護層によって保護されている状態であることが必要である。なぜなら、銀または銀の合金は、酸化、硫化、凝集、拡散という現象が生じ易く、有機EL装置のその後の製造工程における熱処理やエッチング処理、あるいはスパッタ処理やCVD処理などによって、反射面にマイグレーションを伴う荒れを生じ、反射率が低下してしまうからである。
このため、反射層に対して、基板と反対側の面つまり反射面を保護する保護層を積層形成することが必要である。しかしながら、反射面に保護層を積層形成すると、発光素子を挟む電極のうち基板と反対側の第2電極と反射層との間の距離は、少なくとも保護層の層厚分長くなってしまう。この結果、反射層と第2電極との間の距離は、反射層と第2電極との間で共振させたい光の波長に対する距離(光路長)よりも長くなってしまい、最適な距離に合わせることができず、従って光の取り出し効率を高めることができないという課題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]基板上に順に形成された、光を反射する反射層と、第1電極と、発光層を含む1層以上の有機層と、第2電極とを含む画素を複数備えた有機EL装置であって、前記反射層に対して前記基板と反対側に、前記反射層の反射面を保護する保護層が積層形成され、前記保護層は、前記反射層と前記第2電極との間の反射によって共振する光の波長が最も短い前記画素に設けられた前記第1電極を兼ねることを特徴とする。
この構成によれば、画素は第1電極と第2電極との間に流れる電流によって発光層が発光し、発光した光が反射層と第2電極との間で反射して第2電極から基板と反対側に射出する。このとき、反射層と第2電極との間の反射によって共振する光の波長が最も短い画素について、保護層が第1電極を兼ねるため別途保護層を設ける必要がなく、第2電極と反射層との間の距離が長くなることを抑制することができる。従って、共振する光の波長が最も短い画素において、第2電極と反射層との間で生ずる共振を低次の共振(1次共振や2次共振)とする可能性を高くすることができる。この結果、光の取り出し効率を高くすることができるので、高品質の有機EL装置を提供することができる。また、第2電極と反射層との間の機能層を形成する材料や材料厚さの選択の幅を広げることが可能であり、高品質の有機EL装置を構成することができる。
[適用例2]上記有機EL装置であって、前記保護層は、結晶質のインジウムスズ酸化物層であり、前記共振する光の波長が最も短い画素と異なる前記画素に設けられた前記第1電極は、非晶質のインジウムスズ酸化物層であることを特徴とする。
結晶質のインジウムスズ酸化物層は、非晶質のインジウムスズ酸化物のエッチング液に対して耐性を持つ。従って、この構成によれば、共振する光の波長が最も短い画素と異なる画素の第1電極をエッチング処理によって形成する場合、共振する光の波長が最も短い画素の第1電極である保護層は結晶質のインジウムスズ酸化物層であることからエッチングされずに済む。この結果、共振する光の波長が最も短い画素と異なる画素の第1電極をエッチング処理で形成する場合、共振する光の波長が最も短い画素の反射層がエッチング液によって荒らされることなく、エッチング液から反射面を保護することができる。
[適用例3]上記有機EL装置であって、前記共振する光の波長が最も短い画素と異なる前記画素は、前記反射層と前記第1電極との間に、絶縁性保護層が介在形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、共振する光の波長が最も短い画素と異なる画素において、反射層と第2電極との間の距離を、共振する光の波長が最も短い画素に対して長くなるように調節する。従って、共振する光の波長が最も短い画素と異なる画素において、反射層と第2電極との間の距離を、共振すべき光の波長に応じた光路長に近づけるように容易に調整することができる。
[適用例4]上記有機EL装置であって、前記共振する光の波長が最も短い画素は、前記絶縁性保護層が前記反射層の側面を覆っていることを特徴とする。
この構成によれば、共振する光の波長が最も短い画素の反射層について、反射面については第1電極が保護し、側面つまり端面については絶縁性保護膜が保護する。従って、反射層が、例えば酸化、硫化、凝集、拡散といった現象が生じ易い材料からなる場合、これらの現象の発生を抑制することができる。この結果、反射層の反射機能が損われる虞を軽減することができる。
[適用例5]上記有機EL装置であって、前記反射層は、銀または銀の合金からなることを特徴とする。
この構成によれば、反射層が銀または銀の合金からなるとともに、反射面は保護層で覆われているため酸化、硫化、凝集、拡散といった現象が抑制される。従って、反射面における反射率が高い反射層を実現することができる。
[適用例6]上記有機EL装置であって、前記複数の画素において前記共振する光の波長は、赤色、緑色、青色を呈する光の波長のいずれかであることを特徴とする。
この構成によれば、共振する光の波長が最も短い画素では、青色を呈する光の波長が共振し、これと異なる他の画素においては、青色よりも波長の長い緑色と赤色を呈する光の波長が共振する。従って、各画素において反射層と第2電極との間の距離は、それぞれ共振すべき赤色、緑色、青色を呈する光の波長に応じた光路長に調節されるので、各画素からは高い輝度を有するR光、G光、B光の所謂三原色の光が射出される。この結果、光の取り出し効率が高いカラー画像を表示することができる。
[適用例7]基板上に順に形成された、光を反射する反射層と、当該反射層に積層形成された保護層と、第1電極と、発光層を含む1層以上の有機層と、第2電極とを含む画素を複数備えた有機EL装置の製造方法であって、前記基板上に、光を反射する反射膜を形成する工程と、前記反射膜上に結晶質のインジウムスズ酸化物からなる第1導電膜を形成する工程と、前記第1導電膜および前記反射膜をドライエッチング処理によって除去して前記画素の領域毎に前記保護層および前記反射層を形成する工程と、前記反射層上に絶縁性保護膜を形成する工程と、前記絶縁性保護膜のうち、前記反射層と前記第2電極との間の反射によって共振する光の波長が最も短い画素に相当する領域に形成された前記絶縁性保護膜を除去することによって、露出した前記第1導電膜を、共振する光の波長が最も短い画素の前記第1電極として形成する工程と、少なくとも前記絶縁性保護膜上および前記露出した第1導電膜上に、非晶質のインジウムスズ酸化物からなる第2導電膜を形成する工程と、形成された前記第2導電膜をエッチング処理し、前記共振する光の波長が最も短い画素と異なる画素の前記第1電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
結晶質のインジウムスズ酸化物層は、非晶質のインジウムスズ酸化物のエッチング液に対してエッチング耐性を持つ。従って、この方法によれば、共振する光の波長が最も短い画素と異なる画素の第1電極をエッチング処理によって形成する場合、共振する光の波長が最も短い画素の第1電極である保護層は結晶質のインジウムスズ酸化物層であることからエッチングされずに済む。この結果、共振する光の波長が最も短い画素と異なる画素の第1電極をエッチング処理で形成する場合、共振する光の波長が最も短い画素の反射層がエッチング液によって荒らされることなく、エッチング液から反射面を保護することができる。また、最も短い波長の光が共振する画素について保護層が第1電極を兼ねるため、別途保護層を設ける必要がなく、第2電極と反射層との間の距離が長くなることを抑制することができる。従って、共振する光の波長が最も短い画素において、第2電極と反射層との間で生ずる共振を低次の共振(1次共振や2次共振)とする可能性を高くすることができる。この結果、光の取り出し効率を高くすることができるので、高品質の有機EL装置を提供することができる。また、第2電極と反射層との間の機能層を形成する材料や材料厚さの選択の幅を広げることが可能であり、高品質の有機EL装置を構成することができる。
[適用例8]上記有機EL装置の製造方法であって、前記第1電極として形成される前記第2導電膜の膜数が、共振する光の波長が長い画素の前記第1電極ほど多いことを特徴とする。
この方法によれば、導電膜の膜数によって反射層と第2電極との間の距離を調節することができるので、反射層と第2電極との間の距離を、反射層と第2電極との間で共振すべき光の波長に応じた光路長に容易に調整することができる。
[適用例9]上記有機EL装置の製造方法であって、前記反射層は、銀または銀の合金からなることを特徴とする。
この方法によれば、反射層が銀または銀の合金からなるとともに、反射面は保護層で覆われているため酸化、硫化、凝集、拡散といった現象が抑制される。従って、反射面における反射率が高い反射層を実現することができる。
[適用例10]上記有機EL装置の製造方法であって、前記複数の画素において共振する光の波長は、赤色、緑色、青色を呈する光の波長のいずれかであることを特徴とする。
この方法によれば、共振する光の波長が最も短い画素では、青色を呈する光の波長が共振し、これと異なる他の画素においては、青色よりも波長の長い緑色と赤色を呈する光の波長が共振する。従って、各画素において反射層と第2電極との間の距離は、それぞれ共振すべき赤色、緑色、青色を呈する光の波長に応じた光路長に調節されるので、各画素からは高い輝度を有するR光、G光、B光の所謂三原色の光が射出される。この結果、光の取り出し効率が高いカラー画像を表示することができる。
[適用例11]上記有機EL装置を備えた電子機器。
この構成によれば、共振した光を射出する画素が設けられた有機EL装置を備えた電子機器を提供することができるため、光の取り出し効率が高い画像表示を行う電子機器を提供することが出来る。
[適用例12]上記有機EL装置の製造方法によって製造された有機EL装置を備えた電子機器。
この構成によれば、共振した光を射出する画素が設けられた有機EL装置を備えた電子機器を提供することができるため、光の取り出し効率が高い画像表示を行う電子機器を提供することが出来る。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本実施例の説明に際して用いる図面は、説明のために必要に応じて誇張して図示している場合もあり、必ずしも実際の大きさや長さを示すものでないことは言うまでもない。
(有機EL装置)
図1は、本発明の一実施例となる有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置100の全体レイアウトを、回路構成とともに示した模式図である。本実施例の有機EL装置100は、基板10上に形成された第1電極としての陽極130の領域を凡そ発光領域とする画素(不図示)が形成されている。画素は、陽極130の配列に応じて、基板10上の所定の領域に行方向および列方向に規則正しく配列されている。本実施例では陽極130は略矩形形状を有する。なお、陽極130の形状は矩形形状以外の形状であってもよい。また陽極130の配列、すなわち画素の配列も不規則であってもよいことは勿論である。
図1は、本発明の一実施例となる有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置100の全体レイアウトを、回路構成とともに示した模式図である。本実施例の有機EL装置100は、基板10上に形成された第1電極としての陽極130の領域を凡そ発光領域とする画素(不図示)が形成されている。画素は、陽極130の配列に応じて、基板10上の所定の領域に行方向および列方向に規則正しく配列されている。本実施例では陽極130は略矩形形状を有する。なお、陽極130の形状は矩形形状以外の形状であってもよい。また陽極130の配列、すなわち画素の配列も不規則であってもよいことは勿論である。
有機EL装置100は、本実施例では、R(赤)、G(緑)、B(青)の色のうちいずれか1色を呈する波長を有する光を射出可能な画素がそれぞれ複数形成され、画像や文字などの所定のカラー画像を表示するように構成されている。なお、本実施例では、以降の説明を簡単にするために、有機EL装置100は、列方向(図面縦方向)に4画素、行方向(図面横方向)に6画素の計24個の画素が形成されているものとする。もとより、実際には、行列それぞれの方向に数百画素ないし数千画素といった多くの画素が形成されていることは言うまでもない。
また本実施例の有機EL装置100は、画素ごとに発光駆動されるアクティブマトリックス型の装置である。すなわち、各画素には、基板10上に順に、光を反射する反射層(後述する)と、第1電極としての陽極130と、発光層を含む1層以上の有機層で構成された有機EL素子(後述する)と、第2電極としての陰極170とが形成されている。また、各画素に対応して、有機EL素子を発光駆動するための駆動素子が形成されている。駆動素子は、図1に示すように、TFT(薄膜トランジスター)14,15と保持容量16とから構成されている。なお、本実施例の有機EL装置100はトップエミッション構造を有しているものとする。従って、駆動素子は、後述する図示しない反射層と平面的に重なる位置であって、反射層に対して基板10側に形成されている。
基板10の端部には、走査線駆動回路11とデータ線駆動回路12、および給電端子13とが形成されている。走査線駆動回路11からは走査線Gateが、データ線駆動回路12からはデータ線Sigが、また、給電端子13からはこれに接続された電源供給線Comが、それぞれ各画素に形成された駆動素子に対して図示したように配線され、有機EL素子を発光駆動する。
まず、走査線Gateは、TFT14のゲートに接続され、走査線Gateを介して供給される電圧信号または電流信号に応じて、TFT14をオン/オフ制御する。そしてTFT14がオンすると、TFT14のソースに接続されたデータ線Sigから供給される画像信号に応じた電圧が、電源供給線Comから供給される電源によって保持容量16に保持される。すると、保持容量16に保持された電圧は、TFT15のゲートに印加され、TFT15をオン状態にする。TFT15のドレインおよびソースは、それぞれ電源供給線Comおよび陽極130に接続され、保持容量16に保持された電圧に応じた、つまり画像信号に応じた電流が、電源供給線Comを介して陽極130に印加される。
有機EL素子は、各画素(発光領域)に形成される高電位側の陽極130と、総ての画素(発光領域)に渡って形成された低電位側の第2電極としての陰極170(図中二点鎖線)とに挟まれ、陽極130と陰極170との間に電流を流すことによって発光する。つまり、陽極130に印加された電流が陰極170に流れることによって、有機EL素子は画像信号に応じた明るさで発光する。この結果、陽極130と有機EL素子と陰極170とが重なって積層形成された平面領域が電流の流れる発光領域となる。従って、発光領域は、凡そ陽極130の領域となるのである。なお、陰極170は基板10の外周端部において接地されている。
次に、有機EL装置100における具体的な画素構成について、図2を用いて説明する。図2は、有機EL装置100に形成されたR、G、Bの各画素についての構成を示す模式図である。本実施例では、行方向にR画素、G画素、B画素が順に繰返し並んでいるものとする。そして、図2(a)は、行方向(図面横方向)に並んだR画素、G画素、B画素の発光領域を示した平面図であり、図2(b)は、図2(a)におけるA−A断面を模式的に示した模式断面図である。
図2(a)に示したように、各画素は隔壁(図中ハッチング部分)によって区画された画素領域を有し、この画素領域毎に発光領域を有している。発光領域は、図2(b)に示したように、陽極130と有機EL素子140と陰極170とが重なって積層形成された領域である。従って、発光領域は、前述したように凡そ陽極130の領域であり略矩形形状を呈することになる。
有機EL素子140は、陽極130側から、例えば正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各機能層(いずれも不図示)が順に積層されたものであり、積層された有機EL素子140の総厚は、R画素、G画素、B画素とも総てほぼ同じ厚さで形成されている。各機能層は、例えば、アミン系有機材料などといった有機材料によって形成されている。また、発光層は、青色発光機能層と黄色発光機能層が積層され、発光領域から白色光を射出するように構成されている。なお、有機EL素子140を構成する各機能層はこれに限らず、正孔注入層と正孔輸送層が同一層であったり、発光層が総ての有機層を兼ねたりするなど、他の構成であってもよい。また、有機EL素子140は、隔壁の上を含んで積層されているが、陽極130が露出している領域に積層されていれば、隔壁の上を覆わない構成でもよい。
さて、本実施例の有機EL装置100は、図2(a)では省略しているが、図2(b)に示したように、基板10に対向してカラーフィルターが配置されている。カラーフィルターは、ガラス板上に遮光領域BMによって区分されたRフィルター、Gフィルター、Bフィルターの各色フィルターが画素の配列に合わせて形成されたものである。各色フィルターは各発光領域と重なるように配置されている。そして、発光領域から射出された白色光を、このRフィルター、Gフィルター、Bフィルターによって、それぞれR光、G光、B光に変換する。従って、有機EL装置100は、各発光領域の明るさに応じた色の光がカラーフィルターから射出されることによって、それぞれR画素、G画素、B画素を形成しカラー画像を表示するように構成されている。
なお、既に周知構造であることから具体的な説明は省略するが、カラーフィルターは、有機EL素子140が形成された基板10に対して所定の間隔を保ちながら樹脂等を介して封止接着されている。また、各色フィルターや遮光領域BMからのガスの流出を防止する保護膜(不図示)が、必要に応じて基板10と対向する面側に形成されている。
また、本実施例の有機EL装置100は、トップエミッション構造を有していることから、有機EL素子140の発光光が陰極170側から射出するように、陽極130と基板10との間には、反射層110が形成されている。そして反射層110に対して基板10と反対側には、反射層110の反射面を保護するために保護層120が積層形成されている。
本実施例の有機EL装置100においては、反射層110は、平面的に陽極130と凡そ重なる領域形状を有し、光の反射率が高い材料である銀または銀の合金(例えば、銀とパラジウムの合金、銀と銅の合金など)を材料として形成されている。すなわち、反射層110は、光の反射率が高く、導電性を有する。もとより、光の反射率が高い材料であれば銀または銀の合金以外の材料を用いてもよい。反射層110は、有機EL素子140の発光光のうち陽極130を透過し基板10側に射出される光を反射して、陰極170側に射出する。
ここで、本実施例では、反射層110で反射された光が、陰極170で一部反射され、再び反射層110で反射を繰り返すように構成されている。つまり、反射層110と陰極170との間で光の反射が繰り返して行われるように構成されている。この結果、反射層110と陰極170との間の光路長に応じた波長を有する光が、反射層110と陰極170との間で共振し、共振した光が陰極170から射出されることになる。
従って、反射する光の光路中に存在する陽極130は、導電性とともに光透過性を有する材料で形成されている。一方、光を一部反射する陰極170は、例えば光が透過する程度に薄く形成された金属材料など、光透過性と光反射性を有する所謂半透過反射性の材料で形成されている。
なお、有機EL素子140を発光駆動するための駆動素子は、前述したように反射層110と平面的に重なる位置に形成されている。具体的には、図2(b)に示したように、反射層110と基板10との間に位置し、表面全体が図示しない平坦化膜で平坦化されたデバイス層20の内部に、駆動素子であるTFT14,15や保持容量16が形成されている。そして、TFT15のソース電極は、デバイス層20において形成された図示しないコンタクトホールを介して陽極130と結線されている。
次に、本実施例の有機EL装置100において、基板10上に形成された各機能層、特に、R画素、G画素、B画素における反射層110、保護層120、陽極130について、図3を参照して更に詳しく説明する。図3は、図2(b)のうち、基板10側に形成された各機能層について拡大表示した模式断面図である。
図示するように、R画素、G画素、B画素に形成される陽極130は、それぞれ異なる構成を有している。本実施例では、R画素の陽極130は、保護層120上に絶縁性保護層150を挟んで形成された2層の導電膜で構成され、G画素の陽極130は、保護層120上に絶縁性保護層150を挟んで形成された1層の導電膜で構成されている。また、B画素の陽極130は、反射層110と直接接触して形成され、絶縁性保護層150が一部除去されて開口した保護層120が陽極130を兼ねるように構成されている。
この構成によれば、共振する光の波長が最も短いB画素について、反射層110と直接接触して形成された保護層120が陽極130を兼ねるため、陽極130または有機EL素子140の厚さや形成材料を変更することによって、陰極170と反射層110との間の距離LBを、B光が共振する光路長RLbに調節することができる。なお、周知のように光路長は距離に屈折率を乗じたものである。
具体的に、B画素において有機EL素子140で発せられた光のうち取り出したい光つまり共振する光の波長をλbとすると、式(1)に示した関係が成り立つ。ここで、Φ(ラジアン)は、有機EL素子140で発せられた光が、反射層110と陰極170の両端で反射する際に生じる位相シフトを表す。
2RLb/λb+Φ/(2π)=m(mは整数)…(1)
2RLb/λb+Φ/(2π)=m(mは整数)…(1)
上述したようにB画素においては、陽極130と有機EL素子140とで光路長RLbが決まる。従って、B画素では、陽極130あるいは有機EL素子140を薄く形成することによって距離LBを短くすることができるので、共振する光の波長λbを、所定の青色の光の波長に対して1次共振(m=1)もしくは2次共振(m=2)など低次共振とすることができる可能性がある。この結果、説明は省略するが、共振が低次であることによって光の取り出し効率を高めることができるので、高品質の有機EL装置100を提供することができる。
また、反射層110と陰極170との間の光路長RLbは、陽極130と有機EL素子140のみによって決まる。従って、陽極130と有機EL素子140を形成する各有機層の材料や材料厚さの選択の幅を広げることが可能であり、選択する材料に応じて高品質の有機EL装置100を構成することができる。また、陽極130の厚さおよび材料によって光路長RLbが調節できる場合は、有機EL素子140の厚さを薄くする必要がないので、有機EL素子140の発光特性(例えば明るさや寿命)の劣化が抑制される。
同様に、R画素、G画素については、B画素において調節した保護層120(陽極130)と有機EL素子140に加えて、絶縁性保護層150と、形成層数の異なる導電膜とによって、陰極170と反射層110との間の距離LRおよび距離LGを、R光およびG光が共振する光路長にそれぞれ調節することができる。従って、R画素、G画素、B画素のそれぞれにおいて、反射層110と陰極170との間でR光、G光、B光のそれぞれの波長が共振するように調節することができるので、光の取り出し効率を高くすることができるのである。この結果、各画素から射出する所謂光の三原色を構成するR光、G光、B光によって、光の取り出し効率が高いカラー画像を容易に表示することができる。
なお、デバイス層20には、前述したように駆動素子が形成されている。ここでは一例として、各画素の陽極130と接続されるTFT15を図示している。もとより、図示および説明は省略するが、デバイス層20には、TFT14や保持容量16などの他の駆動素子も形成されている。
TFT15は、基板10上に形成された半導体層15aのドレイン領域に接続されたドレイン電極15dと、半導体層15aのソース領域と接続されたソース電極15sと、半導体層15aを覆うゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極15gとで構成されている。ドレイン電極15dおよびソース電極15sは層間絶縁膜上に形成されている。そして、ドレイン電極15dは、図示しない電源供給線Comと接続され、ソース電極15sは、ソース電極15s(ドレイン電極15d)を覆うように形成されたカバー層と、このカバー層およびカバー層上に形成された平坦化膜に設けられたコンタクトホールCH1,CH2,CH3を介して、陽極130と接続されている。
具体的には、R画素の陽極130は光透過性を有する導電膜で形成され、この導電膜の形成と同時に、R画素の陽極130とR画素に対応するTFT15のソース電極15sとがコンタクトホールCH1を介して接続される。またG画素の陽極130は同じく光透過性を有する導電膜で形成され、この導電膜の形成と同時に、G画素の陽極130とG画素に対応するTFT15のソース電極15sとがコンタクトホールCH2を介して接続される。一方、B画素の陽極130は保護層120が兼用するため、B画素に対応するTFT15のソース電極15sは、形成された接続配線によってコンタクトホールCH3を介して陽極130つまり保護層120と接続される。
さて、本実施例では、銀または銀の合金を材料として形成された反射層110において、反射面の劣化を抑制するために、平面的に反射層110とほぼ重なるように保護層120を直接積層形成して反射面を覆う。そして、B画素においては、保護層120が陽極130を兼ねることから、保護層120を光透過性を有する導電性の材料で形成する。具体的に、本実施例では、保護層120を結晶質のインジウムスズ酸化物(以降、略して「p−ITO」とも記す)を材料として形成する。また、R画素およびG画素に形成する陽極130は、非晶質のインジウムスズ酸化物(以降、略して「a−ITO」とも記す)を材料として形成する。
p−ITOは、a−ITOをエッチングする例えば弱酸性のエッチング液に対して耐性を持つ。従って、このようにB画素の陽極130つまり保護層120をp−ITOで形成し、R画素およびG画素の陽極130をa−ITOで形成すれば、p−ITOを材料とする保護層120は、a−ITOを材料として形成された導電膜からなる陽極130をエッチングするエッチング液に対して耐性を持つことになる。この結果、有機EL装置の製造方法において、R画素あるいはG画素の陽極130の形成に際して行われるa−ITOのエッチング処理では、B画素の陽極130であってp−ITOを材料とする保護層120は、エッチングされずに済むことになるのである。
(有機EL装置の製造方法)
それでは、上述する効果を奏する保護層120および陽極130が形成された有機EL装置100の製造方法のうち、特に本実施例の特徴となる陽極130の形成処理について、図5から図8を参照しつつ、図4に示した工程フローチャートにしたがって説明する。なお、図5から図8は、図4における工程の状態を適宜示す模式図である。
それでは、上述する効果を奏する保護層120および陽極130が形成された有機EL装置100の製造方法のうち、特に本実施例の特徴となる陽極130の形成処理について、図5から図8を参照しつつ、図4に示した工程フローチャートにしたがって説明する。なお、図5から図8は、図4における工程の状態を適宜示す模式図である。
図4に示すように、まず、ステップS101にて反射膜の形成処理を行う。具体的には、図5(a)に示すように、デバイス層20に形成され、TFT15と電気的な接続を行うためのコンタクトホールCH1,CH2,CH3が形成された平坦化膜上に、銀または銀の合金を材料とする膜をスパッタリング法や真空蒸着法、CVD法などによって堆積形成する。
次に、ステップS102にて保護膜の形成処理を行う。本実施例では、図5(b)に示すように、p−ITO導電膜を保護膜として形成する。具体的には、まず、形成された反射膜上に、スパッタリング法や真空蒸着法、CVD法などによってインジウムスズ酸化物(ITO)を堆積形成する。このとき、反射膜上に堆積形成されたITOは、通常非晶質(アモルファス)の状態、つまりa−ITOの状態である。そこで、本実施例では、堆積形成したITOを加熱処理(例えば180℃以上の高温で加熱時間1時間など)してa−ITOを結晶質(ポリ)化し、p−ITOの保護膜を形成する。
次に、ステップS103にてレジストの形成処理を行う。具体的には、例えばレジスト材料を、形成された保護膜上に、スピンコート法や印刷法などによって塗布形成する。次に、塗布されたレジストを、最終的に各画素の反射層の平面形状に相当する所定の形状部分以外を露光し、露光した部分を現像除去する。現像後のレジストの形成状態を図5(c)に示した。図示するように、R画素、G画素、B画素に対応する位置に所定のパターン形状を有する島状のレジストが形成される。
次に、ステップS104にて保護層および反射層の形成処理を行う。具体的には、図5(c)に示した島状に形成されたレジストをマスクとして、エッチングガス(例えばフッ素系のエッチングガスや、イオンやラジカル)を曝して、保護膜と反射膜を同時にドライエッチングする。この結果、図6(a)に示したように、R画素、G画素、B画素に対応するそれぞれの位置に、所定のパターン形状を有し平面的に互いにほぼ重なるように保護層120と反射層110とが形成される。
次に、ステップS105にて絶縁性保護膜の形成処理を行う。本実施例では、図6(b)に示すように、R画素、G画素、B画素に対応する保護層120と反射層110を総て覆うように、窒化シリコン(または酸化シリコン)を材料とする絶縁膜をスパッタリング法や真空蒸着法、CVD法などによって堆積形成する。
次に、ステップS106にてB画素領域とコンタクトホールの絶縁性保護膜の除去処理を行う。具体的には、所定のマスクを用い、B画素に設けられる陽極130の領域に相当する部分に堆積形成された絶縁性保護膜と、コンタクトホールCH1,CH2,CH3に対応する領域部分に堆積形成された絶縁性保護膜とを、エッチング処理を行い除去する。もとより、用いるエッチング液は、保護層120の材料であるp−ITOに対して耐性を有するエッチング液(例えばリン酸を含有する液)である。絶縁性保護膜が一部除去されて形成された絶縁性保護層150を図7(a)に示した。図示するように、B画素について、保護層120の領域のうち、陽極130に対応する領域が露出領域として形成される。
なお、絶縁性保護層150は、R画素やG画素の陽極130の形成や有機EL素子140の形成など、以降の有機EL装置100の製造工程における各処理において反射層110を保護する機能を有する。特に、共振する光の波長が最も短いB画素は、平面部分である反射面は保護層120で覆われるものの側面(端面)は保護層120では覆われない。従って、絶縁性保護層150が反射層110の側面(端面)を覆うようにするので、反射層110が、例えば本実施形態のように銀または銀の合金からなる場合、酸化、硫化、凝集、拡散といった現象の発生を抑制することができる。この結果、反射層の反射機能が損われる虞を軽減することができる。
さらに、本実施例では、絶縁性保護層150は、R画素およびG画素について、反射層110と陰極170との間の距離が長くなるように調節する機能を有する。従って、絶縁性保護層150を形成することによって、反射層110と陰極170との間の距離を、共振すべき波長の光路長と同じもしくは近い距離になるように容易に調整することができる。
また、B画素において除去される絶縁性保護膜は、図7(a)に示すように、後述する導電膜のエッチング処理(例えばステップS108)において反射層がエッチングされないように、反射層を覆うように形成される。このため、B画素において露出する保護層120の領域面積が小さくなってしまう。そこで、本実施例では、B画素の保護層120(反射層110)の平面領域を予め補正して大きくしておくことが好ましい。
次に、ステップS107にて導電膜の形成処理を行う。具体的には、図7(b)に示すように、インジウムスズ酸化物を材料とする膜を、少なくとも形成された絶縁性保護層150上に、スパッタリング法や真空蒸着法、CVD法などによって堆積形成し、a−ITOを材料とする導電膜を形成する。なお、インジウムスズ酸化物(ITO)は、反射膜上に堆積形成された状態では、前述するように通常非晶質(アモルファス)の状態(a−ITO)である。
次に、ステップS108にてR画素領域以外の導電膜の除去処理を行う。具体的には、所定のマスクを用いて、保護層120の形成材料であるp−ITOに対して耐性を有するエッチング液(例えば有機酸を含有する液)を用い、R画素に設けられる陽極130に相当する領域部分が残るように、堆積形成された導電膜をエッチング処理して除去する。この除去処理によって形成されたR画素の陽極130を図7(c)に示した。なお、陽極130に相当する領域部分には、R画素に対応するTFT15のソース電極15sと重なる領域に形成されたコンタクトホールCH1が内包され、図示するように、R画素について、陽極130とTFT15のソース電極15sが電気的に接続される。
次に、ステップS109にて再び導電膜の形成処理を行う。具体的には、図8(a)に示すように、インジウムスズ酸化物を材料とする膜を、少なくとも、R画素の陽極130と、G画素に設けられる陽極130に相当する絶縁性保護層150上の領域部分、およびB画素の接続配線となる領域部分を覆うように、スパッタリング法や真空蒸着法、CVD法などによって堆積形成する。この結果、a−ITOの導電膜が再び形成される。なお、本実施例では、G画素に設けられる陽極130に相当する領域部分は、G画素においてTFT15と電気的な接続を行うコンタクトホールCH2を含む領域である。また、B画素の接続配線に相当する領域部分は、B画素においてTFT15と電気的な接続を行うコンタクトホールCH3を含む領域である。
次に、ステップS110にてR画素領域とG画素領域、およびB画素の接続配線領域以外の導電膜の除去処理を行う。具体的には、所定のマスクを用いて、保護層120の形成材料であるp−ITOに対して耐性を有するエッチング液(例えば有機酸を含有する液)を用い、R画素に設けられる陽極130に相当する領域部分とG画素に設けられる陽極130に相当する領域部分、およびB画素の接続配線領域部分が残るように、堆積形成された導電膜をエッチング処理して除去する。
この除去処理によって形成されたR画素の陽極130とG画素の陽極130、およびB画素の接続配線を、図8(b)に示した。図示するように、陽極130として機能する導電膜は、R画素については2層形成され、G画素については1層形成される。なお、G画素の陽極130に相当する領域部分には、G画素に対応するTFT15のソース電極15sと重なる領域に形成されたコンタクトホールCH2が内包され、図示するように、G画素について、陽極130とTFT15のソース電極15sが電気的に接続される。また、B画素の陽極130に相当する保護層120は、コンタクトホールCH3を内包した接続配線によって、図示するように、B画素に対応するTFT15のソース電極15sと電気的に接続される。
その後、図8(c)に示すように、形成された陽極130上に、隔壁、有機EL素子140、陰極170が順に形成され、基板10上に、有機EL装置100を構成する各機能層が形成される。なお、各機能層の形成については、既に周知な製造方法を用いることができる。従って、ここではこれらの製造方法の説明を省略する。
このように本実施例では、共振する光の波長が最も短いB画素の陽極130の材料であるp−ITOが、R画素およびG画素の陽極130の材料であるa−ITOのエッチング液に対して耐性を持つ。従って、R画素およびG画素の陽極130の形成に際して行なわれるa―ITOのエッチング処理において、B画素の陽極130(保護層120)がエッチングされずに済む。この結果、B画素の反射層110がエッチング液によって荒らされることなく、エッチング液から反射面を保護することができる。また、B画素について保護層120が陽極130を兼ねるため、陽極130と反射層110との間の距離を、R画素およびG画素に比べて短くすることができる。従って、最も短い波長の光を射出するB画素において、射出する波長の光(B光)を共振させる確率を高くすることができるので、光の取り出し効率を高くすることができる。
また本実施例では、a−ITOを材料として形成され、陽極130を形成する導電膜の膜数が、共振する光の波長がG画素よりも長いR画素の方が、G画素に対して多く形成される。従って、導電膜の層数によって反射層110と陰極170との間の距離を共振すべき光の波長に応じた長さに調節することができるので、反射層110と陰極170との間の距離を、共振すべき光(R光、G光)の波長に適した光路長に容易に調節することができる。
以上、本発明について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。以下変形例を挙げて説明する。
(変形例)
上記実施例は、有機EL素子140は発光光が白色光であり、カラーフィルターにてR、G、Bの各色を呈する光に変換して射出する有機EL装置100について実施するものとして説明したが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、有機EL素子140が、それぞれR、G、Bの異なる色を発光する有機EL装置100であっても実施することが可能である。また、このように有機EL素子140が、それぞれR、G、Bの異なる色を発光するように構成された場合は、有機EL装置100はカラーフィルターを備えないこととしても差し支えない。
上記実施例は、有機EL素子140は発光光が白色光であり、カラーフィルターにてR、G、Bの各色を呈する光に変換して射出する有機EL装置100について実施するものとして説明したが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、有機EL素子140が、それぞれR、G、Bの異なる色を発光する有機EL装置100であっても実施することが可能である。また、このように有機EL素子140が、それぞれR、G、Bの異なる色を発光するように構成された場合は、有機EL装置100はカラーフィルターを備えないこととしても差し支えない。
本変形例について図9を用いて説明する。図9は、本変形例の有機EL素子140の構造を示す模式図である。図示するように、基板10上に形成された陽極130の周囲には導電性を有しない有機材料からなる隔壁が形成され、この隔壁によって囲まれたそれぞれの領域に、発光色が異なるR発光層、G発光層、B発光層を含む有機EL素子140が形成されている。そして、隔壁を含めて各有機EL素子140全体を覆うように陰極170が形成されている。従って、各有機EL素子140は陽極130と陰極170との間に所定の電流を流すことによって、それぞれの有機EL素子140に含まれる発光層に応じて、R光、G光、B光を発光し、それぞれR画素、G画素、B画素となる。
本変形例では、発光層は、R、G、Bの各色を示す蛍光材料を溶質とする機能液など、有機EL素子140を構成する機能層を形成するための機能液を、隔壁で囲まれた領域に噴射し、真空乾燥などの熱処理を行って、所定の厚さの膜を形成したものである。
本変形例においても、各画素の陽極130は上記実施例と同様な製造方法で形成されている。すなわち、図9に示すように、R画素については2層の導電膜からなる陽極130が、G画素については1層の導電膜からなる陽極130が形成されている。そして、B画素の陽極130は、保護層120が兼用するように形成されている。
本変形例によれば、有機EL素子140は、画素に応じてそれぞれ異なる色を発光するように構成されているので、各画素の発光輝度あるいは色純度を更に高めるとともに、銀または銀の合金を材料とする反射層によって高い反射率を維持することが可能である。
(その他の変形例)
上記実施例では、保護層120を結晶質のインジウムスズ酸化物で、また陽極130を非晶質のインジウムスズ酸化物で、それぞれ形成したが、必ずしもこれに限るものでないことは勿論である。上記実施例における説明から明らかなように、保護層120を形成する材料が、陽極130を形成する材料のエッチング処理において、エッチング液に対して耐性を有する組み合わせであればよい。
上記実施例では、保護層120を結晶質のインジウムスズ酸化物で、また陽極130を非晶質のインジウムスズ酸化物で、それぞれ形成したが、必ずしもこれに限るものでないことは勿論である。上記実施例における説明から明らかなように、保護層120を形成する材料が、陽極130を形成する材料のエッチング処理において、エッチング液に対して耐性を有する組み合わせであればよい。
また、上記実施例では、画素がR光、G光、B光をそれぞれ射出することとしたが、これに限らず、他の色(例えばシアン色、マゼンタ色など)の光を射出することとしてもよい。表示するカラー画像に応じて、好ましい色を射出することとすればよい。
また、上記実施例では、B画素に対応する保護層120とB画素用TFT15のソース電極15sとを、コンタクトホールCH3を介して接続配線によって接続することしたが、必ずしもこれに限るものでないことは勿論である。例えば、B画素用TFT15と保護層120との接続を、反射層110(保護層120)の領域内にコンタクトホールCH3を形成し、このコンタクトホールCH3を介して、反射層110をソース電極15sと直に接続することで行うこととしてもよい。この場合、反射層110の一部がコンタクトホールCH3によって平坦にならず反射面として好ましくない場合は、コンタクトホールCH3の位置を、平面視で発光領域から除外するように配置することが好ましい。
(電子機器)
また、本発明を実施する形態として、上記実施例および変形例の有機EL装置100を備えた電子機器としてもよい。電子機器としては、例えば、有機EL装置100を備えた携帯電話としてもよい。
また、本発明を実施する形態として、上記実施例および変形例の有機EL装置100を備えた電子機器としてもよい。電子機器としては、例えば、有機EL装置100を備えた携帯電話としてもよい。
図10は、上記実施例および変形例の有機EL装置100を備えた携帯電話1を示した説明図である。上記実施例および変形例の有機EL装置100は、自発光素子である有機EL素子を表示素子として備えたものであり、バックライトが不要で薄型化が可能であることから、画像や文字を表示する薄型の電子機器である携帯電話1には好適な表示装置である。そして、本実施例および変形例の有機EL装置100は画像を表示する色の光を共振させるので、有機EL装置100を備えた携帯電話1は、光の取り出し効率が高い画素によって画像表示を行うことが出来る。従って、上記実施例および変形例の有機EL装置100を備えた携帯電話1は、低消費電力で輝度の高い画像表示を行うことができるので、例えば電池を電源とする場合に電池寿命が短くなることを抑制できる効果を奏する。
なお、上記実施例および変形例の有機EL装置100を備えた電子機器は、携帯電話1に限るものでないことは勿論である。例えば、プロジェクター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、テレビジョン、モバイルコンピューター、オーディオ機器などの電子機器であってもよい。
1…携帯電話、10…基板、11…走査線駆動回路、12…データ線駆動回路、13…給電端子、14,15…TFT、15a…半導体層、15d…ドレイン電極、15g…ゲート電極、15s…ソース電極、16…保持容量、20…デバイス層、100…有機EL装置、110…反射層、120…保護層、130…陽極、140…有機EL素子、150…絶縁性保護層、170…陰極。
Claims (12)
- 基板上に順に形成された、光を反射する反射層と、第1電極と、発光層を含む1層以上の有機層と、第2電極とを含む画素を複数備えた有機EL装置であって、
前記反射層に対して前記基板と反対側に、前記反射層の反射面を保護する保護層が積層形成され、
前記保護層は、前記反射層と前記第2電極との間の反射によって共振する光の波長が最も短い前記画素に設けられた前記第1電極を兼ねることを特徴とする有機EL装置。 - 請求項1に記載の有機EL装置であって、
前記保護層は、結晶質のインジウムスズ酸化物層であり、
前記共振する光の波長が最も短い画素と異なる前記画素に設けられた前記第1電極は、非晶質のインジウムスズ酸化物層である
ことを特徴とする有機EL装置。 - 請求項1または2に記載の有機EL装置であって、
前記共振する光の波長が最も短い画素と異なる前記画素は、前記反射層と前記第1電極との間に、絶縁性保護層が介在形成されていることを特徴とする有機EL装置。 - 請求項3に記載の有機EL装置であって、
前記共振する光の波長が最も短い画素は、前記絶縁性保護層が前記反射層の側面を覆っていることを特徴とする有機EL装置。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の有機EL装置であって、
前記反射層は、銀または銀の合金からなることを特徴とする有機EL装置。 - 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の有機EL装置であって、
前記複数の画素において前記共振する光の波長は、赤色、緑色、青色を呈する光の波長のいずれかであることを特徴とする有機EL装置。 - 基板上に順に形成された、光を反射する反射層と、当該反射層に積層形成された保護層と、第1電極と、発光層を含む1層以上の有機層と、第2電極とを含む画素を複数備えた有機EL装置の製造方法であって、
前記基板上に、光を反射する反射膜を形成する工程と、
前記反射膜上に結晶質のインジウムスズ酸化物からなる第1導電膜を形成する工程と、
前記第1導電膜および前記反射膜をドライエッチング処理によって除去して前記画素の領域毎に前記保護層および前記反射層を形成する工程と、
前記反射層上に絶縁性保護膜を形成する工程と、
前記絶縁性保護膜のうち、前記反射層と前記第2電極との間の反射によって共振する光の波長が最も短い画素に相当する領域に形成された前記絶縁性保護膜を除去することによって、露出した前記第1導電膜を、共振する光の波長が最も短い画素の前記第1電極として形成する工程と、
少なくとも前記絶縁性保護膜上および前記露出した第1導電膜上に、非晶質のインジウムスズ酸化物からなる第2導電膜を形成する工程と、
形成された前記第2導電膜をエッチング処理し、前記共振する光の波長が最も短い画素と異なる画素の前記第1電極を形成する工程と
を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。 - 請求項7に記載の有機EL装置の製造方法であって、
前記第1電極として形成される前記第2導電膜の膜数が、共振する光の波長が長い画素の前記第1電極ほど多いことを特徴とする有機EL装置の製造方法。 - 請求項7または8に記載の有機EL装置の製造方法であって、
前記反射層は、銀または銀の合金からなることを特徴とする有機EL装置の製造方法。 - 請求項7ないし9のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法であって、
前記複数の画素において共振する光の波長は、赤色、緑色、青色を呈する光の波長のいずれかであることを特徴とする有機EL装置の製造方法。 - 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えた電子機器。
- 請求項7ないし10のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法によって製造された有機EL装置を備えた電子機器。
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