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JP2010266097A - 冷蔵庫 - Google Patents

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祐子 赤木
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寿江 高崎
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Abstract

【課題】
水源となる水分を多く含む食品を多量に貯蔵された場合でも、低温・高湿な環境により食品の鮮度維持が可能となる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】
庫内に形成された複数の貯蔵室と、複数の貯蔵室を開閉する引出し式扉と、扉の開閉とともに引出し自在に配置され上方が開口された容器とを備えた冷蔵庫において、上方が開口された容器の開口部を覆う容器の蓋と蓋と、容器との間に空気で膨らむ中空のエアパッキンとを備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷蔵庫に係り、特に貯蔵室に収納する食品の乾燥を防止すると供に、食品中の栄養成分の酸化や劣化を防止する冷蔵庫に関するものである。
冷蔵庫の中に保存される食品は、冷蔵庫内の温度、湿度、空気、微生物の有無、光等が原因となり、鮮度保持に影響を及ぼすことが知られている。特に、温度、湿度が食品の鮮度保持に及ぼす影響は大きい。また、食品の中でも、野菜や果物は収穫後も生きている為、冷蔵庫内でも呼吸活動を行っており、栄養分の代謝や水分の蒸散が生じており、萎れや変色、変質が生じ、劣化の早い食品であることが知られている。
このため、野菜の呼吸を抑制すべくできるだけ低温で保存するのが好ましいとされているが、野菜は凍結により著しく品質が低下することから、一般的な家庭用冷蔵庫では5℃から10℃程度の冷蔵温度帯で貯蔵されている。このような中、野菜や果物の保鮮性向上のために、野菜室の高湿度化が進行しているが、中でも、野菜室を引出し式として独立させ、上面開口部に蓋を設けて密閉することが行われている。
このように、低温・高湿状態で保存することで、貯蔵中に食品組織内で行われる酵素反応の抑制、栄養素の劣化抑制、食品からの水分蒸散抑制が可能となる。
特に野菜や果実等の植物性の貯蔵物は、収穫後も生きている生活体であり、鮮度保持の難しい食材である。従って、保存の際は特に低温・高湿度状態を保つことが重要となる。
野菜や果実は、収穫前は、光合成により自ら栄養分を作りだすが、収穫後も自体の成分を源に呼吸・蒸散を行うことで品質が低下する。これらの作用を抑制し、鮮度を保持するには低温保存が効果的となる。
野菜の中でも、特に、葉菜は根茎葉に比べて呼吸作用が盛んで、呼吸作用の大きいものほど消耗も大きく鮮度保持が困難となる。この作用は温度と深い関係があり、低温ほど抑制される。呼吸作用で発生したエネルギーは熱となって放出されるので、貯蔵量が大量になると貯蔵物の温度の上昇を注意する必要性がある。
また、野菜・果実の多くは大部分が水で構成されていることから、蒸散により水が失われると著しく品質が低下する。一般に5%の重量減少があれば外観上鮮度低下が明らかになり、また、細胞の膨圧低下により肉質、食感が悪くなる。
また、重量に対し露出表面積の大きいものは蒸散が急速で、葉菜や果菜は非常に大きい。一般に呼吸量の大きいものは、蒸散速度も大きくなる。葉菜では、気孔が沢山存在することも大きく影響する。果実・果菜では気孔の有無や気孔の数の多少でも蒸散速度が変わる。この蒸散作用は、湿度や温度に影響されるので、低温・高湿な状態にして蒸散速度を小さくする必要性がある。
上述のように、低温・高湿な状態で野菜を保存し、呼吸・蒸散の影響を抑え野菜の鮮度を保つことが必要となる。
従って、冷蔵庫の野菜室内を低温・高湿状態にすることを課題とし、この課題を解決する技術として、例えば特許文献1は、野菜室の密閉容器内を低温に制御し、超音波霧化装置により高湿状態を作る冷蔵庫が開示されている。この冷蔵庫は、野菜等の食品を保存している貯蔵室に高湿手段を設けると共に、高湿手段である超音波霧化装置において、電流検知回路の電流値を検出し、霧化状態を把握する霧化判定手段を設けている。上記構成により圧電素子の温度、周囲環境および最適な霧化量を維持するようにしている。
しかしながら特許文献1に開示の超音波によってミストを発生させる構成において、粒径が大きい為、青果物内に十分浸透できず、水分の蒸散を抑制することが困難になるという課題がある。
また、浸透できないミストは、食品の表面を濡らし腐敗菌の発育や組織の痛みが促進され品質の低下を招くという課題がある。また、霧化部の水分状態を検知することで、噴霧量の制御を行なっているが、この場合、貯蔵量を考慮した霧化ではないので、貯蔵量が少ない状態等での無駄な霧化を抑制することができず、消費電力の低減が不可能となる課題がある。
また特許文献2においては、温度分布検出手段を有し、この温度分布検出検出により貯蔵物の表面温度を検出し、検出したその結果から冷蔵庫室内の冷機・風量を制御する冷蔵庫が開示されている。
また特許文献2に開示の構成において、温度分布検出手段により貯蔵物の表面温度を検出し、その結果から冷蔵庫室内の冷機・風量を制御する冷蔵庫では、食品の表面温度変化によって冷却制御を行うので、野菜の貯蔵量による湿度の変化や呼吸作用による室温上昇等は考慮できず、貯蔵量に合った冷却制御は困難となる課題がある。
特開2007−468888 特開2002−71252
上述したように、従来の冷蔵庫において、超音波によってミストを発生させる構成においては、ミストの粒径が大きい為、青果物内に十分水分を浸透できず、また、青果物からの水分の蒸散を抑制することが困難になるという課題がある。また、温度分布手段により貯蔵物の表面温度を検出し、その結果から室内の冷機・風量を制御する冷蔵庫では、貯蔵量に合った冷却制御は困難となる課題があった。
そこで、本発明の第1の目的は、野菜室を機密構造にし、低酸素濃度の環境を実現する冷蔵庫を提供することにある。
本発明の第2の目的は、野菜の呼吸作用により、室内の酸素濃度を低下させ、二酸化炭素濃度を上昇させることにより、収穫後の野菜の呼吸・蒸散作用による品質低下を防止する冷蔵庫を提供することにある。
本発明の第3の目的は、貯蔵室内の野菜から蒸散した水分の結露水を自動的に排出、除去する冷蔵庫を提供することにある。
前述の目的を達成するための本発明の冷蔵庫の第1の態様は、庫内に形成された複数の貯蔵室と、前記複数の貯蔵室を開閉する引出し式扉と、前記扉の開閉とともに引出し自在に配置され上方が開口された容器とを備えた冷蔵庫において、前記複数の貯蔵室の1つが野菜室で構成され、前記野菜室は、野菜容器と、該野菜容器の開口部を覆う容器の蓋と、前記容器の蓋と前記容器との間に中空のエアパッキンとを備え、前記中空のエアパッキンに空気を導入するポンプと、前記中空のエアパッキンに空気を導入したり、排出したりするバルブを設けた構成とした。
本発明の冷蔵庫の第2の態様は、上記第1の態様の冷蔵庫において、更に、前記野菜室の扉の開閉を検出する検出手段と、少なくとも前記バルブと前記ポンプを制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記野菜室の扉の開閉を検出する検出手段からの信号に基づいて前記バルブと前記ポンプを制御する構成とした。
本発明の冷蔵庫の第3の態様は、上記第2の態様の冷蔵庫において、前記上方の開口部を覆う前記野菜容器の蓋は、冷蔵庫本体に弾性体で支持され、前記中空のエアパッキンは前記野菜容器の蓋に固定されている構成とした。
本発明の冷蔵庫の第4の態様は、上記第1から第3のいずれか1の態様の冷蔵庫において、前記野菜容器の底面を傾斜させ、該底面の一番低い部分に水溜り部を設け、該水溜り部に排水のためのパイプを備え、前記水溜り部に所定量の水が溜まると、排水されると共に外部からの空気は遮断されるトラップ構造とした。
本発明の冷蔵庫の第5の態様は、上記第4の態様の冷蔵庫において、前記野菜容器の底面を傾斜させると共に、該底面に溝を設け、該底面の一番低い部分に水溜り部を設けた構成とした。
本発明によれば、野菜の呼吸作用により、室内の酸素濃度を低下させ、二酸化炭素濃度を上昇させることにより、野菜の品質低下を防止する冷蔵庫を実現できる。また、水源となる水分を多く含む食品を多量に貯蔵された場合でも、低温・高湿な環境により食品の鮮度維持が可能となる冷蔵庫を提供することができる。
また、貯蔵された食品が包装されている場合でも、低温・高湿な環境により食品の鮮度維持が可能となる冷蔵庫を提供することができる。
さらに、乾燥物であるような食品から水分が放出しない場合や、極端に貯蔵物がなくて水源がない状態でも、低温・高湿な環境により食品の鮮度維持が可能となる冷蔵庫を提供することができる。
本発明の一実施形態の冷蔵庫の側断面図である。 図1に示す本発明の一実施形態の冷蔵庫の正面図である。 図1に示す本発明の一実施形態の冷蔵庫の内部の正面図である。 本発明の一実施形態の野菜室の一実施形態の分解図を示す図である。 本発明の一実施形態の野菜室の制御系統を示す図である。 図5に示す制御系統の概略構成のブロック図である。 図1の野菜室の引き出した状態の断面図である。 図1の野菜室の収納した状態を示す図であり、(a)は、断面図、(b)は、側面図である。 野菜室に野菜を保存したときの酸素濃度測定結果を示す図である。 野菜室の一実施形態の中空のエアパッキンの構造を示す図であり、(a)は、パッキンを膨らませる前の構造図、(b)は、パッキンを膨らませた後の構造図を示す。 本発明の他の一実施形態の結露水の排水構造を示す図である。 本発明の更に他の一実施形態の結露水の排水構造を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に記載する実施形態は、一の態様であり、当業者が容易に想到できる範囲内において、修正、変形可能とする。本実施形態では、一の態様として、貯蔵室の1つを野菜室とした場合について説明する。以下、本発明の一実施形態の冷蔵庫について図を用いて説明する。
まず、図1、図2及び図3を参照しながら本発明の冷蔵庫の構成に関して説明する。図1は、本実施形態の冷蔵庫の縦断面図、図2は、図1の本実施形態の冷蔵庫の正面図、図3は、図1の冷蔵庫の内部の正面図である。
図1、図2、図3に示す、本実施形態にかかる冷蔵庫は、冷蔵庫本体1及び扉6〜扉9を有している。また、冷蔵庫本体1は、鋼板製の外箱11と樹脂製の内箱12との間にウレタン発泡断熱材13及び真空断熱材(図示せず)を有し、上から冷蔵室2、冷凍室3、4、野菜室5の順に複数の貯蔵室を有している。換言すれば、最上段に冷蔵室2が、最下段に野菜室5が、それぞれ区画して配置されており、冷蔵室2と野菜室5との間には、これらの両室と断熱的に仕切られた冷凍室3、4が配設されている。冷蔵室2及び野菜室5は冷蔵温度帯の貯蔵室であり、冷凍室3、4は、0℃以下の冷凍温度帯(例えば、約−20℃〜−18℃の温度帯)の貯蔵室である。なお、冷凍室3は、製氷室3aと急冷凍室3bとに区画されている。これらの貯蔵室2〜5は仕切り壁33,34,35により区画されている。
冷蔵庫本体1の前面には、貯蔵室2〜5の前面開口部を閉塞する扉6〜9が設けられている。冷蔵室扉6は冷蔵室2の前面開口部を閉塞する扉、冷凍室扉7は冷凍室3の前面開口部を閉塞する扉、冷凍室扉8は冷凍室4の前面開口部を閉塞する扉、野菜室扉9は野菜室5の前面開口部を閉塞する扉である。冷蔵室扉6は観音開き式の両開きの扉で構成され、冷凍室扉7、冷凍室扉8、野菜室扉9は、引き出し式の扉によって構成され、引き出し扉とともに貯蔵室内の容器が引き出される。また、操作スイッチ41は、冷蔵室扉6の前面に配置されて使用者によって操作される。
冷蔵庫本体1には、冷凍サイクルが設置されている。この冷凍サイクルは、圧縮機14、凝縮器(図示せず)、キャピラリチューブ(図示せず)及び蒸発器15、そして再び圧縮機14の順に接続して構成されている。圧縮機14及び凝縮器は冷蔵庫本体1の背面下部に設けられた機械室に設置されている。蒸発器15は冷凍室3、4の後方に設けられた冷却器室に設置され、この冷却器室における蒸発器15の上方に送風ファン16が設置されている。
蒸発器15によって冷却された冷気は、送風ファン16によって冷蔵室2、冷凍室3、4及び野菜室5の各貯蔵室へと送られる。具体的には、送風ファン16によって送られる冷気は、開閉可能なダンパー装置を介して、その一部が冷蔵室2及び野菜室5の冷蔵温度帯の貯蔵室へと送られ、他の一部が冷凍室3、4の冷凍温度帯の貯蔵室へと送られる。
送風ファン16によって冷蔵室2、冷凍室3、4及び野菜室5の各貯蔵室へと送られる冷気は、各貯蔵室を冷却した後、冷気戻り通路を通って冷却器室へと戻される。このように、本実施形態の冷蔵庫は冷気の循環構造を有しており、各貯蔵室2〜5を適切な温度に維持する。
冷蔵室2内には、透明な樹脂板で構成される複数段の棚17〜20が取り外し可能に設置されている。最下段の棚20は、内箱12の背面及び両側面に接するように設置され、その下方空間である最下段空間21を上方空間と区画している。また、各冷蔵室扉6の内側には複数段の扉ポケット25〜27が設置され、これらの扉ポケット25〜27は冷蔵室扉6が閉じられた状態で冷蔵室2内に突出するように設けられている。冷蔵室2の背面には、送風ファン16から供給された冷気を通す通路を形成する背面パネル30が設けられている。
最下段空間21には、左から順に、製氷室3aの製氷皿に製氷水を供給するための製氷水タンク22、デザートなどの食品を収納するための収納ケース23、室内を減圧して食品の鮮度保持及び長期保存するための減圧貯蔵室24が設置されている。減圧貯蔵室24は、冷蔵室2の横幅より狭い横幅を有し、冷蔵室2の側面に隣接して配置されている。
製氷水タンク22及び収納ケース23は左側の冷蔵室扉6の後方に配置されている。これによって、左側の冷蔵室扉6を開くのみで、製氷水タンク22及び収納ケース23を引き出すことができる。また、貯蔵室24は右側の冷蔵室扉6の後方に配置されている。これによって、右側の冷蔵室扉6を開くのみで、減圧貯蔵室24の食品トレイを引き出すことができる。なお、製氷水タンク22及び収納ケース23は左側の冷蔵室扉6の最下段の扉ポケット27の後方に位置することとなり、貯蔵室24は右側の冷蔵室扉6の最下段の扉ポケット27の後方に位置することとなる。ここで、蒸発器15によって冷却されて冷蔵室2へ送られた冷気が貯蔵室24の周囲を通って貯蔵室24の内部を間接冷却するようになっている。
次に図4から図8を用いて本発明の一実施形態の冷蔵庫の構成と動作に関して詳細に説明する。図4は、本発明の野菜室の構成を示す分解図を示す図であり、図5は、本発明の野菜室の制御系統を示す図であり、図6は、野菜室の制御系統の概略構成のブロック図を示す。図4に示す本実施形態にかかる冷蔵庫の野菜室5は、野菜を貯蔵する野菜容器5a、野菜室の扉10、野菜容器5aの内蓋70、空気で膨らむ中空のエアパッキン71(以下の説明では、単にエアパッキン71と言う場合もある。)および野菜容器5aの左右両外面に第1のレール72−1と第2のレール72−2を有する。なお、図4では、第1のレール72−1と第2のレール72−2(第1のレール72−1と第2のレール72−2を代表する場合は、レール72と称する。)と係合する第3のレール73−1と第4のレール73−2(第3のレール73−1と第4のレール73−2を代表する場合は、レール73と称する。)が設けられている。これらレール72とレール73は、野菜容器5aを野菜室5に出し入れする場合のガイドを構成する。第1のレール72−1と第2のレール72−2は、野菜容器5aの外側面に位置し、野菜容器5aと一体に設けられている。第3のレール73−1と第4のレール73−2は、野菜室5の内側面に固定されている。このレール72とレール73によって野菜容器5aがスライドして野菜室5に出し入れされる。また、図2では、第2のレール72−2と、第4のレール73−2は、省略してある。なお、中空のエアパッキン71の具体的な構成については後述する。
次に、図7を用いて冷蔵庫1の野菜室5の構成と、野菜室5の引き出し動作の一実施形態について説明する。
図7は、野菜室5を引き出した状態の断面図を示す。図7に示すように、野菜室5は、扉10と、野菜容器5aと、レール72と、レール73と、4個のリンク83と、内蓋(野菜容器5aの蓋部)70と、内蓋70の下側にエアパッキン71と、弾性帯体84と、カバー73と、押圧部81と、突出部82とを有する構成である。
この野菜室5は、野菜容器5aの左右両側の外面には第1のレール72−1と第2のレール72−2(図示せず。)が設けられ、本体の左右両側の内面には、該第1のレール72−1と第2のレール72−2(図示せず。)と係合する第3のレール73−1と第4のレール73−2(図示せず)が設けられている。そして、野菜容器5aは、本体に対して前後方向にスライド移動可能に支持されている。この野菜室5の上方には4個のリンク83が取り付けてあり、4個のリンク83を介して内蓋(野菜容器5aの蓋部)70が取り付けてあり、この内蓋70の下側には野菜容器5aを機密に保持するためのエアパッキン71が装着されている。
前記リンク83は、前後左右に1個ずつ(合計4個)設けられており、その回転中心の穴83aは、冷蔵庫1に設けた軸に傾動自在に接合しており、回転側の穴83bは、内蓋70に設けた軸に傾動自在に取り付けられ、野菜容器5aが挿入された場合、野菜容器5aを機密に保持するための内蓋70となるように移動するよう構成されている。また、内蓋70は弾性体84によって冷蔵庫1と連結されており、上下前方に付勢されている。これによって中空のエアパッキン71に空気が注入された場合、内蓋70と野菜容器5aとが機密に保持されるようにしてある。
また、上記野菜室5は後端に押圧部81を備えており、この押圧部81は内蓋70の後方の下側に設けた突出部82と当接可能である。
このように構成された野菜室5では、野菜容器を冷蔵庫本体内に収容するとき、野菜容器5aが後方へ移動され、やがて押圧部81が突出部82と当接し、該押圧部81が突出部82を後方へ押すことにより内蓋70が後方へ押される。このとき、リンク83が回動して、内蓋70はリンク83の回転軌跡上を移動するので、後方へ移動しながら下方向へも移動する。この移動後の構成の断面を図8(a)に示す。図示するように、押圧部81が突出部82と当接した状態で野菜容器5aが冷蔵庫本体内に収容されている。さらに、野菜容器5aが後方へ移動すると、野菜容器5aの上方開口部の高さまで内蓋70が下降して、野菜容器5aの収容が完了すると同時に、内蓋70がエアパッキン71を介して野菜容器5aの上方開口部を密閉する。この開口部密閉後の野菜室の構成を側面図として表したものが図8(b)である。
これにより内蓋70が確実に所定の位置まで下降して、野菜容器5aとの密着性を確保することができる。
次に、本実施形態にかかる冷蔵庫の野菜室5の制御系は、中空のエアパッキン71に空気を送り込むポンプ103、野菜室5の扉10の開閉を監視し、扉の閉情報を通知する扉開閉検出手段101、野菜室5の扉10が冷蔵庫を使用する使用者によって触れたのを検出するタッチパネル102と、ポンプ103からの空気を中空のエアパッキン71に流入させるバルブV1(以下、第1のバルブ104と記載する)と、中空のエアパッキン71の空気を抜くバルブV2(以下、第2のバルブ105と記載する)と、第1のバルブ104と、第2のバルブ105およびポンプ103を制御する制御手段100とを有する。
ここで、ポンプ103は、例えば、冷蔵庫1の圧縮機14が設置されている場所に配置されている。また、タッチパネル102は、例えば、野菜室5の扉10の前面に設けられ、扉開閉検出手段101は、例えば、野菜室5の扉10の取っ手部分に設けられている。なお、これらの構成は、本発明の一実施形態であり、種々の形態が可能であることはいうまでもない。
次に、野菜室5の野菜容器5aの開閉に伴う中空のエアパッキン71の動作について図5および図6に基づいて説明する。なお、本実施形態では、使用者が野菜室5の野菜容器5aを引き出す場合、最初に、使用者がタッチパネル102をタッチし、次いで、野菜室5の野菜容器5aを引き出すものとする。また、野菜容器5aを野菜室5に収納した場合は、扉開閉検出手段101、例えば、リードスイッチが、野菜室5の壁部に接触したことを検出するものとする。
次に、野菜室5の野菜容器5aの開閉に伴う中空のエアパッキン71の動作について表1を用いて説明する。
Figure 2010266097
(扉開時の制御)
まず、野菜容器5aを野菜室5から引き出す場合について説明する。野菜室の扉が閉まっている状態から扉を開く際には、エアパッキン71が膨らんだ状態ではあるので扉を開くことかできない。冷蔵庫の利用者が野菜容器5aを野菜室5から引き出す場合、まず、タッチパネル検出部102をタッチすると、タッチパネル検出部102から「開信号S1」が制御手段100に入力される。開信号S1が制御手段100に入力されると、制御手段100は、バルブ105の開放を指示する。ここでバルブ105の開放は、例えば、制御手段100からの信号によりバルブ105の開閉動作をする電磁弁を開放することによりバルブ105が開放され、中空のエアパッキン71内の空気が急速に排気口108から放出される。この時、制御手段100は、ポンプ103を停止状態にし、第1のバルブ104は、エアパッキン71に空気を送りこまないように閉状態に制御される。これによって野菜容器5a、中空のエアパッキン71および内蓋70との機密状態が開放され、使用者の野菜容器5aの引き出し動作に応じて野菜容器5aは、野菜室5から引き出される。
(扉閉時の制御)
次に、使用者が野菜容器5aを野菜室5に収納した場合について説明する。冷蔵庫を使用する使用者によって野菜室の扉が閉められると、扉開閉検出手段101によって扉閉情報が送られ、制御手段100は、野菜室の扉が閉まったことを認識し、エアパッキン71の空気を送り込む以下の扉閉の制御を行う。即ち、扉開閉検出器101、例えば、リードスイッチがこれを検知し、「閉信号S2」が制御手段100に入力される。閉信号S2が制御手段100に入力されると、制御手段100は、表1に示すように第1のバルブ104を開状態にし、第2のバルブ105を閉状態にし、ポンプ103を運転制御してエアパッキン71に空気を送り込ませる。ここで、バルブ104の開放は、例えば、バルブ104の開閉動作をする電磁弁を開放することによりバルブ104が開放され、バルブ105の開閉動作をする電磁弁が閉鎖される。これによってポンプ103は、吸気口107から空気を吸い込み、パイプ106、バルブ104を介して中空のエアパッキン71に空気が充填され、野菜容器5a、中空のエアパッキン71および内蓋70とが機密状態となる。
なお、このエアパッキン71に空気を送り込ませる制御は、野菜室の扉が閉まっていることを扉開閉検出手段101から知らされてから、例えば、10秒から30秒後に行うことが好ましい。10秒から30秒後に行うことが好ましい理由は、使用者が野菜室を使用して間もないうちに、またすぐに使用する可能性があるので、すぐに使用されていないことを確認してからエアパッキン71に空気を送り込む制御を行うための遅延時間である。
また、本実施形態では、上記の所定時間の演算を制御手段100によって行っているが、これに限定されず、遅延回路を別に設けた構成で実現しても良い。また、通常、冷蔵庫は、種々の制御を行うCPU(マイコン)を有しており、上述の制御手段100をこのCPUで行うようにしてもよいことは勿論である。また、本実施形態では、野菜室5の扉10が閉まった後、10秒から30秒後に、ポンプ103を運転する場合について説明したが、特に、問題がなければ、野菜室5の扉10が閉まった後、直ぐにポンプ103を運転するようにすることもできる。また、上記実施形態では、野菜容器5aを野菜室5から引き出す場合は、タッチパネル検出部102から「開信号S1」が制御手段100に入力し、また、野菜容器5aを野菜室5に収納した場合は、扉開閉検出器101、例えば、リードスイッチが「閉信号S2」を制御手段100に入力することで説明したが、これに限定されるものではなく、タッチパネル検出部102あるいは扉開閉検出器101のいずれか一方のみで、「開信号S1」あるいは「閉信号S2」を発生させることもできるし、また、これらを適宜組み合わせて動作させることもできることは言うまでもない。
次に、本発明の本実施形態にかかる効果について図9を用いて説明する。図9は、野菜室に野菜を保存したときの酸素濃度測定結果を示す図である。図9の縦軸は酸素濃度(%)を示し、棒グラフ111は、従来の野菜容器に野菜を保存したときの24時間後の酸素濃度(約20.9%)を示す。棒グラフ112は、本実施形態の野菜容器5aに野菜を保存し、エアパッキン71を膨らまさない場合(機密性が不十分な場合)の24時間後の酸素濃度を示す。また、棒グラフ113は、本実施形態の野菜容器5aに野菜を保存し、エアパッキン71を膨らませた場合(機密性が保たれている場合)の24時間後の酸素濃度を示す。
図9に示す酸素濃度測定結果から判るように、エアパッキン71を膨らまさない棒グラフ112の酸素濃度は、従来の野菜容器に野菜を保存したときの24時間後の酸素濃度20.9%よりも若干少なくなるが、不十分であり、野菜等の食品の保存には、不十分である。これに対して本発明の一実施態様のようにエアパッキン71を膨らませた場合、棒グラフ113のように、野菜容器5a内の酸素濃度が大幅に低下していることが判る。即ち、エアパッキン71に空気を入れず、エアパッキン71を膨らまさない状態では、エアパッキン71と内蓋70と野菜容器5aとの密着性だけの密閉性しかないため、外部から野菜容器5a内に空気が浸入し、酸素濃度の低下に繋がらないので、野菜等の食品の保存には、不十分である。しかしながら、本発明のようにエアパッキン71に空気を入れ、膨らませた場合には、野菜容器5a内の機密性が極めて高くなり、収納した野菜の呼吸作用により酸素濃度を低下させるため、野菜等の食品の保存には、極めて効果的である。つまりは、本実施形態にかかる構成において、エアパッキン71を設けただけでなく、さらにポンプを設け、エアパッキンに空気を送り込む構成をとることで、野菜容器5a内への空気の流入を抑制するという顕著な効果を有する。
次に、本発明の一実施態様の中空のエアパッキン71の構造と動作について図10を用いて説明する。図10は、野菜容器5aが機密に保たれる原理を説明するための図である。図10(a)は、エアパッキン71を膨らませる前の構造を示す図である。図10(b)は、エアパッキン71を膨らませた後の構造を示す図である。
図10において、70aは、内蓋70にエアパッキン71を装着する為の溝部である。5bは、密閉性を高める為に、エアパッキン71が膨らんだときの圧力を受けて圧接させる為の野菜容器フランジ部である。エアパッキン71は、空気で膨らまないときは、例えば、図10(a)に示すような形状をしており、エアパッキン71の中空部79に空気が入ると、膨らんで、内蓋70と野菜容器フランジ部5bとの間に圧力がかかり、図10(b)に示すように、内蓋70と野菜容器フランジ部5bと圧接する状態になる。このとき、内蓋70と野菜容器フランジ部5bとの間はエアパッキン71が膨らむ力により可動しないように、内蓋70は冷蔵庫本体1と弾性体84に圧接され、野菜容器5aはレール72とレール73により位置を保持されているので、エアパッキン71の膨らむ力に対して抵抗力となる。
これにより中空のエアパッキン71と接する内蓋70と野菜容器フランジ部5bに常に圧力がかかっており、野菜容器5a内への空気の流入排出が遮断され、また、野菜容器5a内の野菜が暗所であるため光合成をすることなく、呼吸作用だけ行ない、野菜容器5a内の酸素のみを消費して二酸化炭素を放出することにより野菜容器5a内の酸素濃度が低下する。そして酸素濃度が低下することにより野菜の呼吸活動量が低下し、これにより野菜の老化、すなわち鮮度劣化が抑制されるのである。
以上説明したように本発明では、野菜室5の野菜容器5a内を機密に保持することによって野菜等の食品の保存に極めて効果的な冷蔵庫を実現することができる。
次に、本発明の他の一実施形態について図11を用いて説明する。図11は、野菜容器5a内の密閉化に伴い発生する結露水の処理について説明するための野菜容器5aの断面の一部を示す図である。野菜は、体積のほとんどが水分で野菜室5は密閉、間接冷却により、野菜容器5a内に結露が発生する。これを放置しておくと、野菜が水に浸漬してしまうことになる。野菜は、水につかると野菜自身または野菜容器5a内の雑菌により腐敗が進行しやすいことが判っている。従って野菜が水に浸漬しない工夫が必要である。かかる問題に対し、本発明の他の一実施形態では、野菜容器5aの底面86を傾斜させ、水溜まり部87を設けた構造としている。この水溜まり部87は、水は通過するが、野菜は水に浸漬しないようにカバー76が配置されている。なお、野菜容器5aの底面86には、野菜から出る水が水溜まり部87にスムーズに流れるように溝(図示せず。)を設けることもできる。
また、この水溜まり部87には、パイプ75が設けられ、パイプ75の上部の口からオーバフローした水は、水受け部88に溜まる構造としてある。所謂、水は通すが空気は遮断するトラップ構造としてある。これによって水溜まり部87には、所定量の水が常に保持され、野菜容器5a内の機密が保たれるような構造となっている。また、所定量の水以上に水が溜まると、パイプ75から水がオーバフローし、水受け部88に溜まる。従って、定期的に水受け部88の水を捨てることで、野菜が水に浸漬することもない。なお、水受け部88の水は、適宜蒸発させるようにすれば、水受け部88の水を捨てる手数もなくすことが可能である。
本発明の更に他の一実施形態について図12を用いて説明する。図12は、図11と同様に、野菜容器5a内の密閉化に伴い発生する結露水の処理について説明するための野菜容器5aの断面の一部を示す図である。野菜容器5aの底面86を傾斜させ、水溜まり部89を設けた構造としている。この水溜まり部89は、水は通過するが、野菜は水に浸漬しないようにカバー74が配置されている。また、この水溜まり部89には、S字状パイプ78が設けられ、S字状パイプ78の水量が所定のレベルを超えると、S字状パイプ78から水が水受け部90に溜まるようになされた構成としてある。これによって水溜まり部89には、所定量の水が常に保持され、野菜容器5a内の機密が保たれるような構造となっている。また、所定量の水以上に水が溜まると、S字状パイプ78から水がオーバフローし、水受け部90に溜まる。従って、定期的に水受け部90の水を捨てることで、野菜が水に浸漬することもない。なお、水受け部90の水は、適宜蒸発させるようにすれば、水受け部90の水を捨てる手数もなくすことが可能である。
以上詳細に説明したように本実施形態によれば、食品を貯蔵する野菜容器5aと、その野菜容器5aの蓋との間に、中空のエアパッキンを挟み、この中空のエアパッキンの内部に内蔵したポンプにより空気を注入して膨らませ、野菜容器5aの開口部と、蓋との間にエアパッキンを圧接させることによって野菜容器5a内を極めて密閉性が高い構成としたので、野菜容器内の酸素濃度を大幅に低下させることができ、野菜等の食品の保存には、極めて効果的である冷蔵庫を実現することができる。
また、前記容器の底面を傾斜させ、傾斜部の一番低い部分に水溜り部を設けることによって野菜の水分が水溜り部に流れ、水溜り部の水が排出され水に浸漬しないような構成とした。即ち、排水経路の途中で水で常に気体を遮断できるトラップ構造としたので、野菜容器は、機密性が保持され、また、野菜等は、水に浸漬しないように構成されているので、野菜等が雑菌により腐敗が進行することもない。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された冷蔵庫の実施形態に限定されるものではなく、他の冷蔵庫にも容易に適用することが出来ることはいうまでもない。また、本実施形態のエアパッキンに空気を膨らませ密閉性を高める発明は、貯蔵室としての野菜室に適用したがこれに限定されることはない。
1…冷蔵庫本体、2…冷蔵室、3…冷凍室、3、4…冷凍室、5…野菜室、5a…野菜容器、5b…野菜容器フランジ部、6…冷蔵室扉、7、8…冷凍室扉、9…野菜室扉、11…外箱、12…内箱、13…発泡断熱材、14…圧縮機、15…蒸発器、16…送風ファン、17〜20…棚、21…最下段空間、22…製氷水タンク、23…収納ケース、24…減圧貯蔵室、25〜27…扉ポケット、28…製氷水ポンプ、29…負圧ポンプ、30…背面パネル、34〜36…仕切り壁、40…低圧室本体、50…低圧室ドア、60…食品トレイ、70…内蓋、70a…内蓋の溝部、71…エアパッキン、72…第1のレール、73…第2のレール、74…カバー、75…排水管、76…蓋、79…エアパッキンの中空、81…押圧部、82…突出部、83…リンク、83a…リンクと冷蔵庫との接合部、83b…リンクと内蓋との接合部、84…弾性体、100…制御手段、101…扉開閉検出手段、102…タッチパネル、103…ポンプ、104…第1のバルブ、105…第2のバルブ。

Claims (5)

  1. 庫内に形成された複数の貯蔵室と、
    前記複数の貯蔵室を開閉する引出し式扉と、
    前記扉の開閉とともに引出し自在に配置され上方が開口された容器とを備えた冷蔵庫において、
    前記複数の貯蔵室の1つが野菜室で構成され、前記野菜室は、野菜容器と、該野菜容器の開口部を覆う容器の蓋と、前記容器の蓋と前記容器との間に中空のエアパッキンとを備え、前記中空のエアパッキンに空気を導入するポンプと、前記中空のエアパッキンに空気を導入したり、排出したりするバルブを設けたことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 請求項1記載の冷蔵庫において、更に、
    前記野菜室の扉の開閉を検出する検出手段と、
    少なくとも前記バルブと前記ポンプを制御する制御手段とを有し、
    前記制御手段は、前記野菜室の扉の開閉を検出する検出手段からの信号に基づいて前記バルブと前記ポンプを制御することを特徴とする冷蔵庫。
  3. 請求項2に記載の冷蔵庫において、
    前記上方の開口部を覆う前記野菜容器の蓋は、冷蔵庫本体に弾性体で支持され、
    前記中空のエアパッキンは前記野菜容器の蓋に固定されていることを特徴とする冷蔵庫。
  4. 請求項1から3記載の冷蔵庫において、
    前記野菜容器の底面を傾斜させ、該底面の一番低い部分に水溜り部を設け、該水溜り部に排水のためのパイプを備え、前記水溜り部に所定量の水が溜まると、排水されると共に外部からの空気は遮断されるトラップ構造としたことを特徴とする冷蔵庫。
  5. 請求項4記載の冷蔵庫において、
    前記野菜容器の底面を傾斜させると共に、該底面に溝を設け、該底面の一番低い部分に水溜り部を設けたことを特徴とする冷蔵庫。
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