JP2010257996A - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被加熱鍋7の材質の電気抵抗の特性に応じて、内・外加熱コイル4、5用のアームの駆動信号の位相を同一又は逆位相のいずれか選択し、選択した位相で駆動回路19V、19U、19Wがアーム3U、3V、3Wを駆動し、各アームの出力電位の差が各負荷回路に印加されるようにした。
【選択図】図1
Description
N2√(ρfμ)…(1)
(上記式において、N:加熱コイル巻数、ρ:抵抗率、f:電流の周波数、μ:比透磁率である)
従って、その電気抵抗値Rは、加熱コイル巻数Nの平方、抵抗率ρの平方根、電流の周波数fの平方根、比透磁率μの平方根に比例した値となる。
鉄、磁性SUS、非磁性SUS、アルミニウムの電気抵抗率や比透磁率は下記の表1に示す値なので、アルミニウム製鍋(以下、アルミ鍋と記載)と比較して、非磁性SUS鍋は約5倍、鉄鍋や磁性SUS鍋は約20倍の抵抗値比を有している。
かかる従来の誘導加熱調理器は、鉄あるいは磁性ステンレス製のような表皮抵抗の大きい鍋と、アルミニウムあるいは銅製の抵抗の小さい鍋の何れも加熱できるように、複数の巻数を選択可能な加熱コイルおよび複数の静電容量を選択可能な共振用コンデンサから成る負荷回路と、負荷回路の加熱コイルや共振コンデンサの接続を切り替えるリレー等の切替え装置と、負荷回路の共振周波数に対応した周波数の高周波出力を供給するインバータを設け、その負荷回路の動作状態に基づいて被加熱体の材質を検知して、切替え装置による共振回路の接続とインバータの高周波出力の周波数を制御することにより、被加熱体の材質の相違による表皮抵抗に大小がある場合も同程度に加熱可能としている(例えば、特許文献1参照)。
図1はこの発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の全体構成を示す回路図、図2は同誘導加熱調理器の内・外加熱コイルの大きさや位置関係を示す平面図、図3は同誘導加熱調理器の内・外加熱コイルと被加熱負荷との位置関係を示す側面図である。
図1において、交流電源1を直流電源に変換する直流電源回路2の出力側に高周波出力手段3が接続され、その高周波出力制御手段3が複数の加熱コイル4、5に高周波電圧を印加する構成となっている。
図2、図3に示すように、複数の加熱コイルのうち、加熱コイル4は略円形に巻回された外形の小なる加熱コイル(以下、内加熱コイルと称す)であり、その外周に環状の加熱コイル5(以下、外加熱コイルと称す)が巻回されており、内加熱コイル4と外加熱コイル5の中心位置は略一致するように配置されている。内・外加熱コイル4,5の下方には磁束をシールドするフェライト6が配置され、被加熱負荷である被加熱鍋7は天板8を介して内・外加熱コイル4、5上に載置されている。
図4は内・外加熱コイル4、5に印加する電圧波形を示す波形図、図5は内・外加熱コイル4、5に流れる電流により発生する磁束の方向を示す説明図である。
図5において、ある時点における内加熱コイル4に流れる電流による磁束の向きを一点鎖線矢印9a、9bで、外加熱コイル5に流れる電流による磁束の向きを二点鎖線矢印10a、10bで示している。
まず、図4(a)は、内加熱コイル4と外加熱コイル5に同一位相で高周波電圧を印加していることを示している。このとき、内加熱コイル4と外加熱コイル5に流れる電流もほぼ同位相となる。なお、内・外加熱コイル4、5上に載置された被加熱負荷である被加熱鍋7には加熱コイル電流とは逆周回方向の誘導渦電流が流れる。
図4(a)の場合には内加熱コイル4と外加熱コイル5に流れる電流がほぼ同位相のため、図5(a)に示すように内加熱コイル4の電流により発生する磁束の向きと外加熱コイル5の電流により発生する磁束の向きは同一方向になる。
図5(a)において、内加熱コイル4の電流により発生する磁束の一部9bは外加熱コイル5に鎖交し、外加熱コイル5の電流により発生する磁束の一部10bも内加熱コイル4と鎖交して、それぞれ内・外加熱コイル4、5の周囲に生じる磁束が重畳して増加するため、内・外加熱コイル4、5間の相互インダクタンスがプラスに作用して、内・外加熱コイル4、5の実効インダクタンスが大きくなり、内・外加熱コイル4、5に流れる電流は抑制される。
そのとき、内加熱コイル4の電流により発生する磁束の一部9b’は外加熱コイル5に鎖交し、外加熱コイル5の電流により発生する磁束の一部10b’も内加熱コイル4と鎖交して、それぞれ内・外加熱コイル4、5の周囲に生じる磁束と打ち消しあうことになるため、内・外加熱コイル4、5間の相互インダクタンスがマイナスに作用して内・外加熱コイル4、5の実効インダクタンスが小さくなり、内・外加熱コイル4、5に電流が流れ易くなる。
図6はこの発明の実施の形態2に係る誘導加熱調理器の上・下加熱コイルの大きさや位置関係を示す平面図、図7は同誘導加熱調理器の上・下加熱コイルと被加熱負荷との位置関係を示す側面図、図8は上・下加熱コイルに印加する電圧の波形図、図9は上・下加熱コイルに流れる電流により発生する磁束の方向を示す説明図、図10は同誘導加熱調理器の別の上・下加熱コイルと被加熱負荷との位置関係を示す側面図である。
上記実施の形態1は複数の加熱コイルを同一平面上に、内加熱コイルと外加熱コイルという形態で配置したが、この実施の形態2では複数の加熱コイルを垂直方向に、上加熱コイルと下加熱コイルという形態で積層配置したものである。
なお、この実施の形態2の誘導加熱調理器の回路構成は実施の形態1の図1と同様とする。
このとき、実施の形態1と同様に、上・下加熱コイル4’、5’間でコイル電流による磁束がお互いに鎖交して、上・下加熱コイル4’、5’間の相互インダクタンスがプラスに作用して、上・下加熱コイル4’、5’の実効インダクタンスが大きくなり、上・下加熱コイル4’、5’に流れる電流は抑制される。
そのとき、上加熱コイル4’の電流により発生する磁束の一部9’bは下加熱コイル5’に鎖交し、下加熱コイル5’の電流により発生する磁束の一部10’bも上加熱コイル4’と鎖交して、それぞれ上・下加熱コイル4’、5’の周囲に生じる磁束と打ち消しあうことになるため、上・下加熱コイル4’、5’間の相互インダクタンスがマイナスに作用して上・下加熱コイル4’、5’の実効インダクタンスが小さくなり、上・下加熱コイル4’、5’に電流が流れ易くなる。
図11はこの発明の実施の形態3に係る誘導加熱調理器の構成を示す回路図、図12は同誘導加熱調理器の低抵抗鍋用の駆動信号の波形図、図13は同誘導加熱調理器の高抵抗鍋用の駆動信号の波形図である。
図11において、交流電源1から供給される交流は直流電源回路2で直流に変換される。この直流電源回路2は、交流電力を整流する整流ダイオードブリッジ11とリアクトル12と平滑コンデンサ13とから構成されている。
そして、その直流電源回路2へ入力される入力電流は入力電流検出回路14によって検出される。
インバータ回路3は内加熱コイル4用の高周波出力手段であり、直流母線間に直列に接続された2つのスイッチング素子(IGBT)15(以下、上スイッチと称す),16(以下、下スイッチと称す)と、これらスイッチング素子15、16にそれぞれ逆並列に接続されたダイオード17,18とからなっている。
インバータ駆動回路19はインバータ回路3の上スイッチ15と下スイッチ16を交互にオンオフする駆動信号を出力するものであり、出力電流検出手段20は内加熱コイル4と共振コンデンサ21の直列回路に流れる出力電流を検出するものである。
インバータ駆動回路19’はインバータ回路3’の上スイッチ15’と下スイッチ16’を交互にオンオフする駆動信号を出力するものであり、出力電流検出手段20’は外加熱コイル5と共振コンデンサ21’の直列回路に流れる出力電流を検出するものである。
この実施の形態3では、内・該加熱コイル4、5に高周波電圧を制御して印加する高周波出力制御手段は、インバータ回路3、3’とインバータ駆動回路19、19’と出力制御手段22とで構成されている。
アルミ鍋のような電気抵抗の小さい被加熱鍋7を使用する場合には、鉄鍋のような電気抵抗の大きい鍋を使用する場合に比べて、入力電流検出手段14で検出する入力電流が同じ駆動信号において大きくなり、又同じ入力電流に対しては、出力電流検出手段20及び20’で検出されるコイル電流が大きくなる。
また、鉄鍋のような電気抵抗の大きい被加熱鍋7を使用する場合は、前述とは逆の関係になる。
そこで、被加熱鍋材質判定手段である出力制御手段22が検出した入出力電流等の値により被加熱鍋7の材質を判断し、インバータ回路3と3’への駆動信号の位相を、同位相にするか逆位相にするかを選択する。
その駆動周波数範囲では、負荷回路に流れる電流は印加する電圧よりも遅れ位相となり、インバータ回路のスイッチング素子のターンオンするタイミングは、ターンオンするスイッチング素子と逆並列に接続されているダイオードが導通している状態であるので、ゼロ電圧スイッチングとなってスイッチング損失が抑えられている。なお、図12(a)は高加熱出力の駆動信号であり、(b)は駆動周波数を高周波化して加熱出力を抑制した低加熱出力の駆動信号である。
また、図13に示したのは被加熱鍋7が鉄鍋又は磁性SUS鍋ような高抵抗鍋用の駆動信号の例であり、図13(a)は高加熱出力の駆動信号波形、(b)は駆動周波数を高周波化して加熱出力を抑制した低加熱出力の駆動信号波形である。
従って、被加熱鍋7で電気抵抗が小さく加熱コイルに大きな電流が流れやすいアルミ鍋を加熱する場合においても、内・外加熱コイル4、5に同じ周回方向に電流を流すことにより、それぞれ内・外加熱コイル4、5に流れる電流を抑制できるので、スイッチング素子15、16、15’、16’に過電流が流れるのを防止できる。
このように、図13の駆動信号の場合には、内・外加熱コイル4、5に逆周回方向の電流が流れるため、その電流により発生する磁束は、お互いに打ち消しあって弱めあうため、それぞれ内・外加熱コイル4、5に発生する逆起電力が小さくなり、それぞれ内・外加熱コイル4、5に流れる電流は大きくなる。
従って、被加熱鍋7で電気抵抗が大きく加熱コイルに電流が流れにくい鉄鍋や磁性SUS鍋を加熱する場合においても、内・外加熱コイル4、5に逆周回方向の電圧を印加することにより、それぞれ内・外加熱コイル4、5に流れる電流を増加させて、大きな入力電力を得ることができる。
また、上記の実施の形態3では、被加熱鍋7の材質により内加熱コイル4と外加熱コイル5の加熱電流或いは印加電圧の位相関係を選択固定して、周波数制御により加熱電力を調整する例を示したが、周波数制御と位相制御を切り替えて加熱電力の調整を行うようにしてもよい。
図14はこの発明の実施の形態3に係る誘導加熱調理器の各種駆動信号の波形図、図15は同誘導加熱調理器の加熱出力制御処理のフローチャートである。
この実施の形態4は、被加熱鍋7の材質を問わず内・外加熱コイル4、5への印加電圧を同一位相として周波数制御で駆動し、制御周波数範囲の最低周波数においても所望の加熱電力に満たない場合には内・外加熱コイル4、5への印加電圧の位相差を制御するようにしたものである。なお、この実施の形態4の誘導加熱調理器の回路の構成は実施の形態3の図10と同様とする。
各インバータ回路3、3’の下スイッチ16、16’への駆動信号については、図示を省略しているが、実施の形態3の図12等に示したように、上スイッチと排他的にデッドタイムを有してオンオフする。
図14(a)〜(c)は周波数制御モードにおける駆動信号で、(a)は上限周波数の駆動信号、(b)は中間周波数の駆動信号の例、(c)は下限周波数の駆動信号である。
また、(d)〜(e)は位相差制御モードにおける駆動信号で、(d)は中間位相差の駆動信号例、(e)は最大位相差の駆動信号を示している。なお、最大位相差は必ずしも180°とする必要は無い。
最初に、出力制御手段22が出力電流検出手段20と20’で検出した出力電流値が、インバータ回路3、3’のスイッチング素子15、16、15’、16’を保護するための制限値と比較し(ステップ1)、制限値に満たなければ入力電流検出手段14の検出値を元に算出した入力電力と設定電力を比較する(ステップ2)。
そして、出力制御手段22では入力電力が設定電力よりも小さい場合には、駆動信号の周波数が下限周波数より高いかどうかを判断し(ステップ3)、下限周波数よりも高い周波数であれば周波数制御モードとし、駆動信号波形は図14の(a)や(b)の状態とする。この場合には、駆動周波数を下げて(ステップ4)、入力電力を設定電力に近づける。
また、上記ステップ1で出力電流が制限値以上であった場合や、上記ステップ2で入力電力が設定電力より大きかった場合には、コイル電流を下げる必要があり、出力制御手段22は駆動信号の位相差が最小位相差(0°)より大きいかどうかを判断し(ステップ7)、大きい場合には位相差制御モードとし、出力電流や入力電力を小さくするように駆動信号の位相差を小さくする(ステップ8)。
また、駆動信号の位相差が最小位相差(0°)であった場合は周波数制御モードとし、出力制御手段22はその駆動信号の周波数と上限周波数を比較して(ステップ9)、上限周波数より低ければ駆動周波数を上げて加熱出力を下げる(ステップ10)。
図16はこの発明の実施の形態5に係る誘導加熱調理器の構成を示す回路図、図17は同誘導加熱調理器の低抵抗鍋用の駆動信号の波形図、図18は同誘導加熱調理器の高抵抗鍋用の駆動信号の波形図、図19は同誘導加熱調理器の中間的な電気抵抗を有する鍋用の駆動信号の波形図である。
図16において、実施の形態3の図11と同一または相当部分には同じ記号を付し、説明を省略する。
23は内加熱コイル4側の共振コンデンサ21と並列に接続されたクランプダイオード、23’は外加熱コイル5側の共振コンデンサ21’と並列に接続されたクランプダイオードである。
なお、外加熱コイル5用のインバータ回路3’についても、内加熱コイル4用のインバータ回路3と同様に、上スイッチ15’と下スイッチ16’の導通比率制御により印加電圧を調整して周波数制御と等価的に加熱出力制御を行う。
その導通比率制御とは、上スイッチ15’と下スイッチ16’のオン時間の比率が異なる制御をいい、印加電圧を実質的に下げる目的で行う。
また、図18は高抵抗用鍋の駆動信号を示し、(a)は高加熱出力時の駆動信号波形、(b)は低加熱出力時の駆動信号波形である。
この実施の形態5においても、内加熱コイル4と外加熱コイル5に同一位相の電圧が印加される図17の場合には、それぞれ内・外加熱コイル4、5に流れる電流により発生する磁束がお互いに重畳するため、内・外加熱コイル4、5で発生する逆起電力が大きくなり、結果として内・外加熱コイル4、5に流れる電流を抑制する。
また、内・外加熱コイル4、5に逆位相の電圧が印加される図18の場合には、それぞれ内・外加熱コイル4、5に流れる電流により発生する磁束がお互いに打ち消しあうため、内・外加熱コイル4、5で発生する逆起電力が小さくなり、結果として内・外加熱コイル4、5に流れる電流を大きくすることができ、出力電力も大きくできる。
また、半共振インバータ回路3、3’は一定の周波数で駆動できるので、複数の加熱口を有する調理器に適用した場合にも、鍋相互間の共鳴音等の問題も生じない。
図20はこの発明の実施の形態6に係る誘導加熱調理器の構成を示す回路図、図21は同誘導加熱調理器の低抵抗鍋用の駆動信号の波形図、図22は同誘導加熱調理器の高抵抗鍋用の駆動信号の波形図である。
この実施の形態6は高周波変換手段として一石共振型インバータ回路を用いたものである。図20において、図11或いは図16と同一あるいは相当する部分には同一の符号を付している。
この実施の形態6は、直流電源回路2の出力側に、内加熱コイル4とその共振コンデンサ21の並列負荷回路24と、外加熱コイル5とその共振コンデンサ21’の並列負荷回路24’が接続され、並列負荷回路24と直列にスイッチング素子25と逆並列ダイオード26を接続し、また、並列負荷回路24’と直列にスイッチング素子25’と逆並列ダイオード26’を接続して、それぞれ一石共振インバータ回路を構成している。
この一石共振インバータ回路のスイッチング素子25、25’の導通時間制御により印加電圧を調整して周波数制御と等価的に加熱出力制御を行う。
その導通時間制御とは、スイッチング素子25、25’の駆動信号のオフ時間はそれぞれ変化しないが、オン時間を変化させる制御をいい、印加電圧を実質的に下げることを目的として行う。
一石共振インバータ回路では、スイッチング素子25、25’のオン状態では、共振コンデンサ21、21’と内・外加熱コイル4、5に直流電源電圧が印加され、導通時間に比例して加熱コイル電流が増加する。
そして、スイッチング素子25、25’をオフすると内・外加熱コイル4、5と共振コンデンサ21、21’が共振モードとなり、加熱コイル電流は並列の共振コンデンサ21、21’に充電されていた電荷を放電し、その後、加熱コイル電流は転流して共振コンデンサ21、21’を充電するが、その充電により並列負荷回路24、24’とスイッチング素子25、25’の接続点電位が直流母線負電位を下回ると、逆並列ダイオード26、26’が導通して平滑コンデンサ13に回生電流が流れる。この逆並列ダイオード26、26’が導通している間にスイッチング素子25、25’がターンオンして、ゼロ電圧スイッチングを行う。
また、逆位相でインバータ回路のスイッチング素子25、25’を駆動すると、内・外加熱コイル4、5に同じ周回方向の電流が流れて、加熱コイル電流により発生する磁束が重畳するため、被加熱鍋7が低電気抵抗であっても加熱コイル電流を抑制することができる。
図23はこの発明の実施の形態7に係る誘導加熱調理器の構成を示す回路図、図24は同誘導加熱調理器の内・外加熱コイルと被加熱負荷との位置関係を示す側面図である。
図23において、図11、図16或いは図20と同一あるいは相当する部分には同一の符号を付している。
この実施の形態7は、直流電源回路2の出力側である直流母線間に、2個直列に接続されたスイッチング素子(上スイッチと下スイッチ)と、スイッチング素子にそれぞれ逆並列に接続したダイオード(上ダイオードと下ダイオード)からなるアーム3組(以下、3組のアームを、U相アーム3U、V相アーム3V、W相アーム3Wと呼ぶ)を有している。
U相アーム3Uの上スイッチと下スイッチと上ダイオードと下ダイオードは15U、16U、17U、18Uとし、V相アーム3Vの上スイッチと下スイッチと上ダイオードと下ダイオードは15V、16V、17、18Vとし、W相アーム3Wの上スイッチと下スイッチと上ダイオードと下ダイオードは15W、16W、17W、18Wとする。
ここで、3アームフルブリッジモードとは、3組のアーム(U相アーム、V相アーム、W相アーム)のスイッチング素子が同じ周波数で駆動され、U相アーム3Uの出力電位とV相アーム3Vの出力電位の差が内加熱コイル4と共振コンデンサ20の負荷回路に印加され、U相アーム3Uの出力電位とW相アーム3Wの出力電位の差が外加熱コイル5と共振コンデンサ20’の負荷回路に印加される。
この場合、内加熱コイル4と外加熱コイル5に逆周回方向の逆位相で電圧を印加し、加熱コイル電流を流すことになるので、その加熱コイル電流により発生する磁束はお互いに打ち消しあい、負荷回路のインピーダンスを小さくするので加熱コイルに流れる電流を大きくすることができ、鉄鍋のような高電気抵抗の被加熱鍋7に対しても大きな加熱出力を得ることができる。
この場合、内加熱コイル4と外加熱コイル5には、同一周回方向の同一位相で電圧が印加され、加熱コイル電流が流れることになるので、その加熱コイル電流により発生する磁束はお互いに重畳して、負荷回路のインピーダンスを大きくするので、加熱コイル電流を抑制することができ、非磁性SUS鍋のような中電気抵抗の被加熱鍋7に対して適切な加熱出力を得ることができる。
さらに、2アームフルブリッジモードと同様に、内加熱コイル4と外加熱コイル5には、同一周回方向の同一位相で電圧が印加され、加熱コイル電流が流れることになるので、その加熱コイル電流により発生する磁束はお互いに重畳して負荷回路のインピーダンスを大きくするため加熱コイル電流は抑制されるので、アルミ鍋のような低電気抵抗の被加熱鍋7に対しても加熱コイル電流を抑制することができる。
図28は同誘導加熱調理器の動作モードを決める被加熱鍋判定処理のフローチャート、図29は同誘導加熱調理器の被加熱鍋判定用の入力電流と出力電流の関係を示すグラフである。
図28において、最初に負荷判定用の駆動信号でインバータ回路を駆動し(ステップ11)、入力電流検出回路14や出力電流検出回路20、20’の検出値を図28のグラフに示す各種モードに当てはめて入出力電流判定処理を行う(ステップ12)。
入力電流が所定値より小さければ被加熱負荷が無かったり、小物であるので加熱を停止し(ステップ13)、入力電流が所定値以上ある場合には、検出した出力電流の大きさにより判断する。
出力電流が小さい場合には鉄鍋や磁性SUS鍋等の高抵抗鍋として3アームフルブリッジ駆動を行い(ステップ14)、出力電流が中位の場合には非磁性SUS鍋等の中抵抗鍋として2アームフルブリッジ駆動を行い(ステップ15)、出力電流が大きい場合にはアルミ鍋のような低抵抗鍋としてハーフブリッジ駆動を行う(ステップ16)。
図30はこの発明の実施の形態8に係る誘導加熱調理器の3アームフルブリッジモードの導通比率制御の駆動信号の波形図、図31は同誘導加熱調理器の2アームフルブリッジモードの導通比率制御の駆動信号の波形図、図32は同誘導加熱調理器のハーフブリッジモードの導通比率制御の駆動信号の波形図、図33は同誘導加熱調理器の3アームフルブリッジモードの位相差制御の駆動信号の波形図、図34は同誘導加熱調理器の2アームフルブリッジモードの位相差制御の駆動信号の波形図である。
この場合、上スイッチ15U、15V、15Wの導通比率に比例した高周波電圧が、内加熱コイル4と外加熱コイル5に対して互いに逆周回方向の逆位相で印加して、内・外加熱コイル4、5により発生する磁束がお互いに打ち消しあうようになるので、加熱コイルに流れる電流を大きくすることができ、高抵抗鍋の被加熱鍋7に対して大きな加熱出力を制御できる。
この場合、内加熱コイル4と外加熱コイル5には、同一周回方向の同一位相で直列に電圧が印加されるので、内・外加熱コイル4、5に流れる電流により発生する磁束は互いに重畳するため、内・外加熱コイル4、5に流れる電流は抑制された状態で、上スイッチ15V、15Wの導通比率により加熱出力制御される。
この場合、2アームフルブリッジモードと同様に、V相アーム3Vの出力電位とW相アーム3Wの出力電位の差が、直列に接続された内加熱コイル4、共振コンデンサ20、外加熱コイル5、共振コンデンサ20’に印加されるので、内加熱コイル4と外加熱コイル5には同一周回方向で直列に電圧が印加されて、内・外加熱コイル4、5に流れる電流により発生する磁束は互いに重畳するとともに、高周波印加電圧は2アームフルブリッジモードより低くなるので、低抵抗鍋の被加熱鍋7に対して出力電流を抑制して加熱制御することができる。
この方式も、3アームフルブリッジモード(図33)では、U相アーム3Uの出力電位と、V相アーム3V及びW相アーム3Wの出力電位との差を内加熱コイル4と共振コンデンサ20及び外加熱コイル5と共振コンデンサ20’に印加するものであり、2アームフルブリッジモード(図34)では、V相アーム3Vの出力電位とW相アーム3Wの出力電位の差を、内加熱コイル4、共振コンデンサ20、外加熱コイル5、共振コンデンサ20’の直列回路に印加するものであり、導通比率制御と同等の加熱制御をすることができる。また、導通比率制御と比較して各アームの上スイッチと下スイッチの導通比率を同じにできるので、上下のスイッチング素子間における発熱ばらつきを減らすことができる。
図35はこの発明の実施の形態9に係る誘導加熱調理器の構成を示す回路図、図36は同誘導加熱調理器の上・下加熱コイルと被加熱負荷との位置関係を示す側面図である。図35および図36において、図23および図24と同一あるいは相当する部分には同一の符号を付している。
この実施の形態9は、前記実施の形態7における内加熱コイル4と外加熱コイル5を、複数の加熱コイルを積層配置した上加熱コイル4’と下加熱コイル5’に置き換えたものである。
従って、この実施の形態9も、前記実施の形態7と同様に、3つのインバータ回路3V、3U、3Wを有し、上加熱コイル4’と下加熱コイル5’が3アームフルブリッジモード、2アームフルブリッジモード、ハーフブリッジモードの3つの動作モードで駆動される。
また、2アームフルブリッジモードの場合、上加熱コイル4’と下加熱コイル5’には、同一周回方向に電圧が印加され、加熱コイル電流が流れることになるので、その加熱コイル電流により発生する磁束はお互いに重畳して、負荷回路のインピーダンスを大きくするので、加熱コイル電流を抑制することができる。
さらに、ハーフブリッジモードの場合、上加熱コイル4’と下加熱コイル5’には印加される高周波電圧は、2アームフルブリッジモードの半分となるが、同一周回方向の同一位相で電圧が印加され、加熱コイル電流が流れることになるので、その加熱コイル電流により発生する磁束はお互いに重畳して負荷回路のインピーダンスを大きくするため加熱コイル電流は抑制されるので、アルミ鍋のような低電気抵抗の被加熱鍋7に対しても加熱コイル電流を抑制することができる。
Claims (6)
- 交流電源を直流電圧に変換する直流電源回路と、
該直流電源回路の出力母線間に直列に接続されたそれぞれが2つのスイッチング素子を含む3つのアームからなるインバータ回路と、
前記3つのアームのうちの特定アーム出力点とその他の2つのアームの出力点との間にそれぞれ接続し、互いに磁気的に結合される複数の加熱コイルを含む負荷回路と、
前記負荷回路の複数の加熱コイルと磁気結合される被加熱鍋の材質を入力電流と出力電流に基づいて判断する被加熱鍋材質判定手段と、
前記被加熱鍋材質判定手段が前記被加熱鍋が高インピーダンス材質と判断した場合は前記3つのアームをそれぞれ駆動する3アームフルブリッジモードとして複数の加熱コイルに逆位相の高周波電圧を印加し、
前記被加熱鍋材質判定手段が前記被加熱鍋が高インピーダンス材質でないと判断した場合は前記3つのアームのうち、前記特定アームを除くその他の2つのアームの駆動手段をそれぞれ駆動する2アームフルブリッジモードとして複数の加熱コイルに同一位相の高周波電圧を印加し、あるいは前記3つのアームのうち、前記特定アームを除くその他の2つのアームの駆動手段をそれぞれ駆動して複数の加熱コイルに同一位相の高周波電圧を印加し、且つそれら2つのアームのいずれか一方のアームについては2つのスイッチング素子の一方を駆動し、他方を固定駆動するハーフブリッジモードとするようにした高周波出力制御手段と、
を備えたことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記複数の加熱コイルは、内径及び外径の異なる加熱コイルを同一平面状に配置して構成したものであることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記複数の加熱コイルは、上下に積層した状態に配置して構成された加熱コイルであることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記高周波出力制御手段は、前記複数の加熱コイルへの出力制御を前記インバータ回路の2つのスイッチング素子の駆動周波数を変化させることにより行うことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記高周波出力制御手段は、前記複数の加熱コイルへの出力制御を前記インバータ回路の2つのスイッチング素子の導通比率を変化させることにより行うことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記高周波出力制御手段は、前記複数の加熱コイルの出力制御を前記インバータ回路の2つのスイッチング素子の導通時間を変化させることにより行うことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
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