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JP2010254857A - ウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

ウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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JP2010254857A
JP2010254857A JP2009108181A JP2009108181A JP2010254857A JP 2010254857 A JP2010254857 A JP 2010254857A JP 2009108181 A JP2009108181 A JP 2009108181A JP 2009108181 A JP2009108181 A JP 2009108181A JP 2010254857 A JP2010254857 A JP 2010254857A
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wing
group
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JP2009108181A
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Daisuke Sato
大輔 佐藤
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】老化防止剤を増量することなく、耐熱性を高め、特にゴムの硬化劣化を抑制して、長寿命化できるウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物、並びにそれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、シリカと、下記式(III)で表される化合物とを含有するウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物。
Figure 2010254857

【選択図】なし

Description

本発明は、ウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
一般的な空気入りタイヤのビード部には、充分な耐久性が要求されているので、ビード部の少なくともリムと接触する部分にはチェーファーと称される部材が配されており、例えば、耐摩耗性に優れた硬質ゴムからなるラバーチェーファー(織布が用いられていないチェーファー)が使用されている。また、タイヤトレッドの両側にはウイングと称される部材も配されている。これらの部材に用いられるゴム組成物には、ゴムの耐熱性を高めるために、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)等の老化防止剤が広く使用されている。
しかしながら、近年ではタイヤ性能の高寿命化が求められており、ゴムの耐熱性の更なる向上が求められている。老化防止剤の増量によって長寿命化は達成できるが、6PPD等のタイヤ表面への析出により表面が茶変色し、タイヤの外観不良を引き起こす場合がある。また、装着タイヤのリムずれの発生も懸念される。このため、老化防止剤を増量させることなく、ゴムの耐熱性を向上し、長寿命化することが望まれている。
特許文献1には、ジエン系ゴムに、老化防止剤としてのN−(1−メチルヘプチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、及びワックスを配合したゴム組成物が開示されている。しかし、耐熱性等の性能の点では未だ改善の余地を残すものである。
特開平10−324779号公報
本発明は、前記課題を解決し、老化防止剤を増量することなく、耐熱性を高め、特にゴムの硬化劣化を抑制して、長寿命化できるウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物、並びにそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、シリカと、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物とを含有するウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物に関する。
Figure 2010254857
(式(I)、(II)において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く。)
上記イソプレン系ゴムがイソプレンゴム、天然ゴム及び改質天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、上記ゴム成分が更にブタジエンゴムを含むことが好ましい。
上記化合物が下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2010254857
上記ゴム成分100質量部に対して、上記シリカの含有量が5〜100質量部、上記式(I)及び(II)で表される化合物の含有量が1.0〜5.0質量部であることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したウイング及び/又はラバーチェーファーを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、イソプレン系ゴムを含むゴム成分に、シリカ、上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物を配合しているウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物であるので、耐熱性を改善でき、特にゴムの硬化劣化の抑制が可能となる。従って、6PPD等の老化防止剤を増量することなく、タイヤを長寿命化できる。また、老化防止剤の増量に起因するタイヤの外観不良も防止できる。
本発明のウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、シリカと、上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物を含む。ゴム成分としてイソプレン系ゴムを使用するとともに、更にシリカ及び上記式(I)、(II)で表される化合物を配合することにより、耐熱性を改善でき、特にゴムの硬化劣化の抑制が可能となる。
ここで、ゴムの硬化劣化とは、劣化因子として酸素が存在する条件下で熱が加わったときに、ゴムが初期状態に比べ硬くなる劣化現象のことであり、本発明では、このような劣化を効果的に抑制できる。このような硬化劣化抑制効果は、いわゆる耐熱疲労性(ブローやチャンクの発生の防止)、耐熱ダレ性とは異質の効果であって、イソプレン系ゴムとシリカと式(I)、(II)の化合物との3成分を使用した場合に特異的に奏する。
更に、これら3成分を用いた場合には、耐熱性の改善効果(特に、硬化劣化抑制効果)が相乗的に生じ、例えば、スチレンブタジエンゴムに、シリカや式(I)、(II)の化合物を配合した場合に比べて、非常に大きな硬化劣化抑制効果が生じる。
従って、本発明では、老化防止剤を増量することなく、耐熱性(特に、硬化劣化抑制効果)を改善できるため、老化防止剤のブリードによる外観不良を防止しつつ、タイヤを長寿命化できる。
本発明では、ゴム成分としてイソプレン系ゴムが使用される。本発明では、イソプレン骨格を持つゴムを使用しているにもかかわらず、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)を改善できる。イソプレン系ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム等が挙げられる。NRには、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)も含まれ、改質天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。また、NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
本発明では、ゴム成分100質量%中に、イソプレン系ゴムが好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上含まれる。20質量%未満であると、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。一方、イソプレン系ゴムの含有量の上限は特に限定されず100質量%であってもよい。
イソプレン系ゴムの他に、ゴム成分として使用できるものとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。なかでも、耐摩耗性、耐屈曲疲労性が優れる点から、BRをイソプレン系ゴムと併用することが好適である。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明で使用できるブタジエンゴム(BR)としては特に限定されず、例えば、高シス含有量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。
BRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上である。20質量%未満であると、耐摩耗性、耐屈曲疲労性向上の効果が充分に得られないおそれがある。また、該BRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。60質量%を超えると、混練り工程での加工性を悪化させるおそれがある。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びBRの合計含有量は、耐摩耗性、耐屈曲疲労性及び加工性の点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
本発明ではシリカが使用される。これにより、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)を改善できる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(無水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上である。50m/g未満であると、十分な補強性が得られず耐久性能が低下するおそれがある。また、シリカのNSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下、更に好ましくは130m/g以下である。200m/gを超えると、シリカをゴム中に十分分散することができず、破壊強度を低下させるおそれがある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましく15質量部以上である。5質量部未満では、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。該シリカの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。100質量部を超えると、シリカが十分に分散せず、加工性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、シリカとともに、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどのスルフィド系が挙げられる。また、メルカプト系、ビニル系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系なども挙げられる。なかでも、シランカップリング剤の補強性効果と加工性という点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを用いることが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましい。3質量部未満では、破壊強度が大きく低下する傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。30質量部を超えると、シランカップリング剤を添加することによる破壊強度の増加や転がり抵抗低減などの効果が得られない傾向がある。
本発明では、加硫促進剤として下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物が使用される。イソプレン系ゴムを含むような系では、ゴムの耐熱性、老化性が劣ることが多く、長期使用による硬化劣化が大きくなる傾向がある。この点に対し、式(I)、(II)の化合物の使用により、硬化劣化を抑制でき、加硫ゴムの耐熱性を改善できる。
Figure 2010254857
(式(I)、(II)において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く(即ち、同一の環に結合しているR及びRがともに水素原子である化合物を除く)。)
、Rとしては、アルキル基の炭素数は1〜10、アリール基の炭素数は6〜10、アラルキル基の炭素数は7〜10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。R〜Rの炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。アルキル基、アリール基、アラルキル基のなかでも、アルキル基が好ましく、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。また、Rがアルキル基、Rが水素原子であることが好ましい。この場合、硬化劣化抑制効果が良好に得られる。
上記式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4,5−ジメチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4,5−ジエチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド等が挙げられる。上記式(II)で表される化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジメチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジエチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−フェニルベンゾチアゾール等が挙げられる。なかでも、ビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール、メルカプト−5−メチルベンゾチアゾールが好ましい。また、式(I)、(II)では、式(I)で表される化合物の方が好適に用いられる。更に、上述した化合物のなかでも、下記式(III)で表される化合物(4m−MBTS)が特に好適に用いられる。以上の化合物を使用する場合、硬化劣化抑制効果が良好に得られる。
Figure 2010254857
式(I)、(II)で表される化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。該化合物の市販品として、例えば、NOCIL社の製品を使用することができる。
上記式(I)、(II)で表される化合物の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは好ましくは1.5質量部以上である。1.0質量部未満では、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。該合計含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは4.2質量部以下である。5.0質量部を超えると、破壊強度が大幅に低下するおそれがある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、カーボンブラック等の充填剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、各種老化防止剤、ワックス、硫黄又は硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤などを必要に応じて適宜配合することができる。
使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、充分な補強性及び耐久性が得られる点から、30m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましい。また、カーボンブラックのNSAは、低発熱性及び加工性の点から、120m/g以下が好ましく、90m/g以下がより好ましい。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K6217のA法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。10質量部未満では、十分な補強性及び耐久性が得られないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。80質量部を超えると、破壊強度が低下し、発熱性が高く、十分な耐久性が得られないおそれがある。
カーボンブラック及びシリカを配合する場合、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。30質量部未満では、硬化劣化の抑制効果が良好に得られないおそれがある。また、該合計含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。100質量部を超えると、破壊強度が低下し、発熱性が高くなることで十分な耐久性が得られないおそれがある。
本発明では、老化防止剤として、破壊特性に優れる点から、アミン系老化防止剤が好適に使用され、その使用量を増加することなく、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)の改善が可能である。アミン系老化防止剤としては、例えば、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系などのアミン誘導体が挙げられる。ジフェニルアミン系誘導体としては、例えば、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。p−フェニレンジアミン系誘導体としては、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
アミン系老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。1質量部未満であると、耐熱性を向上できないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。6質量部を超えると、ブルームが表面に発生するおそれがある。
本発明では、加硫剤として硫黄を好適に使用できる。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などが挙げられる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上である。0.5質量部未満では、架橋密度が低く、十分な耐久性が得られないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。6質量部を超えると、破壊強度が大幅に低下し、十分な耐久性が得られないおそれがある。
本発明では、上記式(I)、(II)で表される化合物とともに、他の加硫促進剤を配合してもよく、この場合でも、硬化劣化抑制効果を好適に得ることができる。
他の加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられ、例えば、ゴム成分100質量部に対して、DPGを0.1〜2.0質量部配合してもよい。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のウイング用ゴム組成物は、トレッドの両側に配されるウイング部に使用され、具体的には、特開平9−277801号公報の図1〜2、特開平9−164810号公報の図1〜2、特開平11−170814号公報の図1、特開平11−301209号公報の図1〜3及び図5〜8などに示されるウイング部に使用される。また、ラバーチェーファー用ゴム組成物は、ビード部の少なくともリムと接触する部分に配されるラバーチェーファー部に使用され、具体的には、特開平2006−151329号公報の図1及び8、特開平6−219111号公報の図4などに示されるラバーチェーファー部に使用される。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造できる。すなわち、ゴム組成物を未加硫の段階でウイング、ラバーチェーファーの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
本発明のゴム組成物及び空気入りタイヤは、乗用車、トラック・バス等に適用できるが、乗用車に特に好適に適用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
BR:宇部興産(株)製のBR150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN330(NSA:75m/g)
シリカ:ローディアジャパン(株)製のシリカ115Gr(NSA:110m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
プロセスオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140(アロマオイル)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:FLEXSYS(株)製の老化防止剤6C(SANTOFLEX、6PPD)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤MBTS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジベンゾチアゾリルジスルフィド)
加硫促進剤4m−MBTS:NOCIL社製のビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド(式(III))
加硫促進剤DPG:住友化学工業(株)製のソクシノールD(ジフェニルグアニジン)
実施例1〜3及び比較例1〜4
表1に示す配合内容に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫し、加硫ゴムシート(加硫ゴム組成物)を得た。得られた加硫ゴムシートを新品サンプルとした。
(劣化条件)
上記にて作製した新品サンプルを100℃のオーブンで7日間熱劣化させた。得られたものを劣化サンプルとした。
得られた新品サンプル、劣化サンプルを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。表では、新品サンプルを100としたときの劣化サンプルの値を指数化して示しており、100に近いほど新品に比べて硬化劣化が硬度、複素弾性率、膨潤率、M100で少なく、良好であることを示す。
<硬度>
作製したサンプルを用いてゴムの硬度をJIS K6253に準拠し、25℃の温度で硬度計を用いて測定した(ショア−A測定)。数値が大きいほど硬いことを示す。
<複素弾性率>
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて、周波数10Hz、初期歪み10%及び動歪2%の条件下で、30℃におけるサンプルの複素弾性率E*を測定した。数値が大きいほど弾性率が高いことを示す。
<膨潤率>
作製したサンプルの浸漬試験をJIS K6258に準拠して実施し、40℃のトルエンに24時間浸漬し、膨潤させた後のサンプルの体積を測定し、体積変化より算出した。数値が小さいほど架橋密度が高いことを示す。
<100%伸張時の応力(M100)>
作製したサンプルからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準拠し、引張り速度500mm/分で引張試験を実施した。23℃における100%伸張時の応力(M100(MPa))を測定した。数値の大きい方が弾性率が高く硬いことを示す。また、M100は架橋密度の指標にもなる。
Figure 2010254857
NR及びBRに、シリカ及び4m−MBTSを配合した実施例1〜2の配合では、TBBSやMBTSなどの従来の促進剤を配合したゴムに比べ、硬化劣化の抑制効果が非常に大きかった。また、4m−MBTSに更にDPGを配合した場合(実施例3)も同様に大きな効果が得られた。

Claims (6)

  1. イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、シリカと、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物とを含有するウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物。
    Figure 2010254857
    (式(I)、(II)において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く。)
  2. 前記イソプレン系ゴムがイソプレンゴム、天然ゴム及び改質天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分が更にブタジエンゴムを含む請求項1又は2記載のウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物。
  4. 前記化合物が下記式(III)で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物。
    Figure 2010254857
  5. 前記ゴム成分100質量部に対して、前記シリカの含有量が5〜100質量部、前記式(I)及び(II)で表される化合物の含有量が1.0〜5.0質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のウイング又はラバーチェーファー用ゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したウイング及び/又はラバーチェーファーを有する空気入りタイヤ。
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