JP2010250509A - 駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 位置指令信号と位置信号を入力とし駆動機械1の速度指令信号を出力する位置制御手段5と、速度指令信号と速度信号を入力としトルク指令信号を出力する速度制御手段6と、駆動機械1を駆動するトルクがトルク指令信号に一致するよう制御するトルク制御手段2と、開ループ周波数応答のゲイン交差周波数が、周波数の増加に伴い開ループ周波数応答の位相が増加するときの位相交差周波数以下となる状態を検出することにより、慣性設定値に対する駆動機械の慣性が大きいことで制御系が不安定となり発生する過大慣性振動を検出する振動検出手段7と、過大慣性振動が検出された場合に速度制御手段6或いは位置制御手段5のゲインを変更することで振動を抑制する振動抑制手段8を備える。
【選択図】 図1
Description
<駆動制御装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態1による駆動制御装置を示すブロック図である。
駆動機械1は、図2に示すように、負荷機械11と、負荷機械11を駆動する電動機12などから構成され、電動機12はタイミングベルトやボールネジといったトルク伝達機構13を介して負荷機械11を駆動する。電動機12のトルクTmは、トルク制御手段2によりトルク指令信号Trに一致するよう制御される。位置検出手段3は、駆動機械1の位置の現在値を検出して位置信号θmを出力する。速度演算手段4は、駆動機械1の位置信号θmを入力として、駆動機械1の速度の現在値を示す速度信号ωmを出力する。
次に、動作について説明する。
位置制御手段5は、位置指令信号θrと位置信号θmとの偏差に位置比例ゲインKpを乗じた信号を速度指令信号ωrとして出力する。すなわち、次式の演算を行う。
5)を用いて、次式のように表される。
次に、過大慣性振動が発生する条件について説明する。
図4は、慣性設定値をJn=1、速度応答設定値をωsc=1で固定とし、駆動機械1の慣性Jを変化させたときの開ループ伝達関数の周波数応答を表している。また、図5は、図4と同じ条件を使用したときの外乱に対する位置信号θmの応答波形を表す。図4および図5では、(a)慣性設定値Jnが駆動機械1の慣性Jと等しい条件(J=Jn)(細線)、(b)慣性設定値Jnが駆動機械1の慣性Jより大きく,制御系が安定限界となる条件(太線)、(c)慣性設定値Jnが条件(b)よりもさらに大きく制御系が不安定となる条件(点線)における結果を示している。また,条件(a),(b),(c)における位相特性は同じであるため各線が一致している。また、図5中に示す一点鎖線は、位相遅れが0のときの位相特性を表しており、位相遅れが存在すると、太線が示すとおり、周波数が増加するに従い開ループ位相は減少し、位相遅れが増大する。
次に、振動検出手段7の動作について説明する。
慣性設定値Jnに対する駆動機械1の慣性Jが大きくなることで制御系が不安定となる条件は式(8)で表されるが、駆動機械1の慣性Jが未知である場合、実際のゲイン交差周波数ωgcも未知である。しかしながら、式(8)より、慣性設定値Jnに対する駆動機械1の慣性Jが大きいことで制御系が不安定となるときに発生する振動周波数は、位相交差周波数ωpcよりも低くなる。振動検出手段7では、トルク指令信号Trを入力とし、位相交差周波数ωpc以下の周波数の振動を検出することにより、駆動機械1が過大慣性振動していることを検出している。位相交差周波数ωpcは、速度積分ゲインωpiと位置比例ゲインKpを用いて次式のように表すことができる。
また、ωpi>Kpのとき、式(9)は次式となる。
ここでは、トルク指令信号Trに現れる過大慣性振動を検出するようにしたが、トルク指令信号Trの代わりに、次式に示すトルク指令信号Trの比例成分に相当するTrpを用いてもよい。
また、過大慣性振動が発生する場合、トルク指令信号Trだけでなく、駆動機械1の位置信号θmあるいは速度信号ωmにも同様の過大慣性振動が発生する。よって、トルク指令信号Trの代わりに、位置信号θmあるいは速度信号ωmに現れる過大慣性振動を検出するようにしても良い。また、これまで述べた過大慣性振動の検出方法により検出された振動の振幅が所定のしきい値以上であるとき駆動機械1が過大振動していることを検出するようにしてもよい。
次に、振動抑制手段8の動作について説明する。
駆動機械1が過大慣性振動を発生する条件である式(8)は、次式のように変形できる。
また、第1の比率と第2の比率を大きくする代わりに、第1の比率と第2の比率を大きくすることと同等の効果をもつ制御ループを追加してもよい。
<過大慣性検出手段の追加>
図3は、本発明の実施の形態2による駆動制御装置を示すブロック図である。図1と同一の部分については同一の符号を付して、説明を省略する。図3に示すブロック図において、実施の形態1と異なる部分は、加速度演算手段14により位置信号θmを2回微分することにより駆動機械1の加速度の現在値を示す加速度信号amを演算し、トルク指令信号Trと加速度信号amを入力として、トルク指令信号Trの大きさと、加速度信号amの大きさとの比率と、慣性設定値Jnに所定のゲインKを乗じたものを比較し、過大慣性検出手段9を追加し、振動検出手段7の出力と過大慣性検出手段9の出力に基づいて駆動機械1が過大慣性振動していることを検出するようにしたことである。
過大慣性検出手段9の動作について説明する。
駆動機械1が慣性Jの剛体特性であるとした場合、駆動機械1に入力されるトルク指令信号Trと加速度信号amとの関係は、駆動機械1の慣性Jを用いて次式のように表される。
実際には、トルク指令信号Trおよび加速度信号amの符号を考慮する必要がある。そこで、式(17)において、トルク指令信号Trの絶対値と加速度信号amの絶対値を用いて次式に示す条件式を用いることで、各変数の符号に対応することができる。
また、トルク指令信号Trおよび加速度信号amに、トルク指令信号Trの符号を乗じたものを使用し、次式に示す条件式を用いてもよい。
例えば、第1の検出手段の出力と、第2の検出手段の出力の少なくとも片方、あるいは両方の出力が過大慣性振動を検出しているとき駆動機械1が過大慣性振動していることを検出するようにしてもよい。
また、第1の検出手段の出力により駆動機械1が過大慣性振動していることを検出し、第2の検出手段の出力により、過大慣性振動が抑制され、収束していることを判断するようにしてもよい。
図6は、本発明の実施の形態3による駆動制御装置を示すブロック図である。図1と同一の部分については同一の符号を付して、説明を省略する。図6に示すブロック図において実施の形態1と異なる部分は、加速度演算手段14により位置信号θmを2回微分することで駆動機械1の加速度の現在値を示す加速度信号amを演算し、トルク指令信号Trと加速度信号amに基づいて駆動機械1の慣性Jを推定演算し、推定演算された慣性推定値を慣性設定値Jnに設定する推定演算手段15と、慣性設定値に基づいて速度制御手段6或いは位置制御手段5のゲインを変更するゲイン変更手段16と、振動検出手段7により駆動機械1が過大慣性振動していることを検出したとき、慣性推定演算手段15の推定演算を動作させる推定演算動作切替手段17を備えたことである。
図7は、本発明の実施の形態4による駆動制御装置を示すブロック図である。図6と同一の部分については同一の符号を付して、説明を省略する。図7に示すブロック図において、実施の形態3と異なる部分は、振動検出手段7により駆動機械1が過大慣性振動していることを検出したときのみ慣性推定演算手段15の推定速度を増大させるよう構成したことである。
また、上述のとおり、完成推定演算手段15の推定速度を増大すると推定動作に悪影響を及ぼすが、過大慣性振動を検出しているときのみ推定速度を増大させ、過大慣性振動が抑制された後、推定速度を通常の値に戻すことにより、定常的な推定動作に影響を及ぼさないようにできる。
実施の形態3、または実施の形態4では、慣性推定演算手段15で演算される慣性推定値に従い、速度比例ゲインKvを変更する場合について記載したが、完成推定値に基づき速度積分ゲインωpi、または位置比例ゲインKpを変更してもよい。
また、実施の形態3、または実施の形態4では、第1の検出手段7により過大振動を検出する場合について説明したが、第2の検出手段、または第1の検出手段の出力と第2の検出手段の出力により駆動機械1が過大慣性振動していることを検出してもよい。
<PI制御演算、IP制御演算>
実施の形態1および実施の形態2における速度制御手段6は、式(3)に示すPI制御演算としたが、速度制御手段6は、次式に示す演算を行うIP制御演算としてもよい。
11 負荷機械
12 電動機
13 トルク伝達機構
2 トルク制御手段
3 位置検出手段
4 速度演算手段
5 位置制御手段
6 速度制御手段
7 振動検出手段(第1の検出手段)
8 振動抑制手段
9 振動検出手段(第2の検出手段)
14 加速度演算手段
15 慣性推定演算手段
16 ゲイン変更手段
17 推定演算動作切替手段
18 慣性推定演算速度変更手段
Claims (7)
- 駆動機械の位置の目標値である位置指令信号と前記駆動機械の位置の現在値を示す位置信号を入力として、位置比例ゲインを用いた比例演算により前記駆動機械の速度の目標値である速度指令信号を出力する位置制御手段と、
前記速度指令信号と前記駆動機械の速度の現在値を示す速度信号を入力として、速度比例ゲインと速度積分ゲインを用いた比例積分演算により駆動機械を駆動するトルクの目標値であるトルク指令信号を出力する速度制御制御手段と、
前記トルク指令信号を入力として、前記駆動機械を駆動するトルクが前記トルク指令信号に一致するよう制御するトルク制御手段と、
開ループ周波数応答のゲイン交差周波数が、周波数の増加に伴い開ループ周波数応答の位相が増加するときの位相交差周波数以下となる状態を検出することにより、慣性設定値に対する駆動機械の慣性が大きいことで制御系が不安定となり発生する過大慣性振動を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により振動が検出された場合に前記速度制御手段或いは前記位置制御手段のゲインを変更することで前記振動を抑制する振動抑制手段を備える
ことを特徴とする駆動制御装置。 - 前記第1の検出手段は、前記トルク指令信号に基づいて、前記駆動機械が前記位置比例ゲインに基づいて決定される値以下の周波数で振動しているときを、ゲイン交差周波数が位相交差周波数以下となる状態として検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動制御装置。 - 前記第1の検出手段は、前記トルク指令信号に基づいて、前記駆動機械が前記速度積分ゲインに基づいて決定される値以下の周波数で振動しているときを、ゲイン交差周波数が位相交差周波数以下となる状態として検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動制御装置。 - 慣性設定値に対する駆動機械の慣性が大きいことで制御系が不安定となり発生する過大慣性振動を、前記駆動機械の加速度の現在値を示す加速度信号の大きさと前記トルク指令信号との比率と、前記駆動機械の慣性設定値に所定のゲインを乗じた値とを比較することにより検出する第2の検出手段をさらに備え、
前記第1の検出手段の出力と前記第2の検出手段の出力に基づいて前記駆動機械が過大慣性振動していることを検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の駆動制御装置。 - 前記振動抑制手段は、前記速度比例ゲインと前記速度積分ゲインとの比率である第1の比率と、前記速度比例ゲインと前記位置比例ゲインとの比率である第2の比率の少なくともいずれか一方を大きくすることにより前記過大慣性振動を抑制する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動制御装置。 - 前記トルク信号と前記加速度信号を入力として、前記駆動機械の慣性を推定演算し、前記慣性設定値とする慣性推定演算手段と、前記慣性設定値に基づいて前記速度制御手段或いは速度制御手段のゲインを変更するゲイン変更手段を備え、
前記過大慣性振動を検出したとき前記推定演算手段の推定演算を動作させる
ことを特徴とする請求項5に記載の駆動制御装置。 - 前記トルク信号と前記加速度信号を入力として、前記駆動機械の慣性を推定演算し、前記慣性設定値とする慣性推定演算手段と、前記慣性設定値に基づいて前記速度制御手段或いは位置制御手段のゲインを変更するゲイン変更手段を備え、
前記過大慣性振動を検出したとき前記推定演算手段の推定演算速度を増大させる
ことを特徴とする請求項5に記載の駆動制御装置。
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