JP2010250174A - 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、長期間の繰り返し使用に対しても、機械的な耐久性と電気的な耐久性を両立させる感光体およびそれを用いた画像形成装置の提供を課題とする。
【解決手段】導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で備えた電子写真感光体において、当該電子写真感光体の最表面層が100nm以下の1次粒径を有する酸化珪素フィラー粒子を全電荷輸送層中に0.1重量%以上2重量%以下含有し、かつ、電荷輸送層中に含まれる電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ[Ip(CGM) − Ip(CTM)]が、0〜0.5の範囲にあることを特徴とする電子写真感光体により上記の課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で備えた電子写真感光体において、当該電子写真感光体の最表面層が100nm以下の1次粒径を有する酸化珪素フィラー粒子を全電荷輸送層中に0.1重量%以上2重量%以下含有し、かつ、電荷輸送層中に含まれる電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ[Ip(CGM) − Ip(CTM)]が、0〜0.5の範囲にあることを特徴とする電子写真感光体により上記の課題を解決する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電荷発生層および電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置に関する。
有機系感光体は、感光層を浸漬塗布法に代表される容易かつ安価な方法で形成することが可能であるという利点も有し、次第に電子写真感光体の主流を占めてきている。また近年の研究開発によって、有機系感光体の感度および耐久性は向上されており、現在では特別な場合を除き、電子写真感光体として有機系感光体が用いられるようになってきている。
特に、有機系感光体の性能は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型感光体の開発によって著しく改善されている。
すなわち、機能分離型感光体は、有機系感光体の有する前記の利点に加え、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する感光体を比較的容易に作製できるという利点をも有している。
すなわち、機能分離型感光体は、有機系感光体の有する前記の利点に加え、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する感光体を比較的容易に作製できるという利点をも有している。
機能分離型感光体には積層型と単層型との2種類に分類されるが、現状積層型の感光体が、機能設計上の材料選択の自由度の点で有利であり、広く用いられている。
上記積層型の機能分離型感光体では、電荷発生機能を担う電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送機能を担う電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層されて構成される積層型の感光層が設けられている。
上記積層型の機能分離型感光体では、電荷発生機能を担う電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送機能を担う電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層されて構成される積層型の感光層が設けられている。
また、電子写真装置では、感光体に対して、前記の帯電、露光、現像、転写、クリーニングおよび除電の動作が種々の環境下で繰返し実行される。そのため、感光体には光応答性に優れていること、それに加えて、環境安定性、電気的安定性および機械的外力に対する耐久性(耐刷性)に優れることが求められる。
機能分離型感光体を電気的に安定して機能させるための最も重要なパラメータとして、電荷発生物質と電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル(Ip)の値がある。
例えば、特開平1−219752(特許文献1)には、電荷輸送層のイオン化ポテンシャル(IpCTL)と電荷発生層のイオン化ポテンシャル(IpCGL)との差(IpCTL−IpCGL)が、+0.14〜0.26eVであれば、高い感度の感光体を提供することができることが開示されている。
また、例えば、特開2000−338696(特許文献2)には、電荷発生材料としてフタロシアニンを含有する電荷発生層が、5.6eV以上のイオン化ポテンシャルを有する積層型の電子写真感光体が開示されている。
例えば、特開平1−219752(特許文献1)には、電荷輸送層のイオン化ポテンシャル(IpCTL)と電荷発生層のイオン化ポテンシャル(IpCGL)との差(IpCTL−IpCGL)が、+0.14〜0.26eVであれば、高い感度の感光体を提供することができることが開示されている。
また、例えば、特開2000−338696(特許文献2)には、電荷発生材料としてフタロシアニンを含有する電荷発生層が、5.6eV以上のイオン化ポテンシャルを有する積層型の電子写真感光体が開示されている。
他方、クリーニング部材等による摺擦によって感光体の表面層が磨耗しにくい、高い耐刷性が求められる。
耐刷性向上に向けた取り組みとして、感光体の最表面層に保護層を設ける(例えば、特開昭57−30846号公報:特許文献3)、その保護層に潤滑性を付与する(例えば、特開平1−23259号公報:特許文献4)、保護層を硬化させる(例えば、特開昭61−72256号公報:特許文献5)、保護層にフィラー粒子を含有させる(例えば、特開平1−172970号公報:特許文献6)などの方法が知られている。
一方、積層型感光体において、その最表面にある電荷輸送層に直接耐刷効果を付与することができれば、生産プロセス上工程の余分な工程を含むことがないため、保護層を付与する場合と比較して大きなコスト上のメリットがある。また、感光層と保護層を積層して設けることによって生じる誘電率の不均一に起因する画質弊害を回避することも可能となる。
しかしながらその一方で、例えば、フィラー粒子を電荷輸送層に添加して耐刷性向上を図る際、フィラー粒子とそれを取り巻く樹脂成分を主体とする異種界面は、電気的なトラップとして作用することがあり、積層型感光体の場合に、フィラー粒子と電荷発生層の相互作用によると思われる電荷発生層と電荷輸送層界面近傍に起こる層の不均一性のため、画像欠陥が発生する場合もある。
本発明は、長期間の繰り返し使用に対しても、機械的/電気的耐久性に優れ、異常画像の発生がない高耐久な電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、機械的な耐久性と電気的な耐久性を両立させる感光体およびそれを用いた画像形成装置の提供を課題とする。
すなわち、本発明は、機械的な耐久性と電気的な耐久性を両立させる感光体およびそれを用いた画像形成装置の提供を課題とする。
本発明の発明者らは、積層型感光体の最上層である電荷輸送層に、特定のフィラー粒子を特定の割合で添加し、かつ、該感光体の電荷発生層に使用される電荷発生物質と、電荷輸送層に使用される電荷輸送物質とのイオン化ポテンシャルが、特定の範囲になる物質をそれぞれ用いて感光体を形成することによって、電気的および機械的耐久性に優れ、高寿命、高画質の電子写真感光体を提供できることを見出し、本発明の完成に至った。
かくして、本発明によれば、導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で備えた電子写真感光体において、当該電子写真感光体の最表面層が100nm以下の1次粒径を有する酸化珪素フィラー粒子を全電荷輸送層中に0.1重量%以上2重量%以下含有し、かつ、電荷輸送層中に含まれる電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ[Ip(CGM) − Ip(CTM)]が、0〜0.5の範囲にあるこ
とを特徴とする電子写真感光体が提供される。
とを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記電荷輸送層が、5 × 10-6 (cm2/V・s)以上(電界強度:2 × 105 (V/cm)条件下)の電荷移動度(μ)を有する感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
さらに、本発明によれば、上記露光手段が、360nm〜450nmの波長の露光光源である画像形成装置が提供される。
本発明によれば、特定の粒子径を有する酸化珪素を特定の割合で使用し、かつ特定のイオン化ポテンシャルの関係を有する電荷発生物質と電荷輸送物質を使用することによって、長期にわたって電気的および機械的耐久性に優れ、高寿命、高画質の電子写真感光体およびそれを用いた画像形成層を提供できる。
電荷発生層と電荷輸送層のHOMO準位すなわち価電子レベルが漸近していることが望まれる。これは、両者以外には誘電率の比較的小さい有機系樹脂のみが存在する場合には、電荷発生物質と電荷輸送物質との間の相関関係とほぼ同義である。
しかしながら、一旦機械的耐久性を向上ざせるためフィラーを電荷輸送層に添加した場合、電荷発生層と電荷輸送層との間の相対関係を維持させるためには、電荷輸送層のイオン化ポテンシャルを相対的に小さく(浅く)する必要が生じていることが判った。
すなわち、誘電率が相対的に大きいシリカ微粒子を添加することにより、電荷発生物質と、電荷輸送物質との界面の誘電状態に変化が生じ、上記の特性が必要となることをつきとめた。
すなわち、誘電率が相対的に大きいシリカ微粒子を添加することにより、電荷発生物質と、電荷輸送物質との界面の誘電状態に変化が生じ、上記の特性が必要となることをつきとめた。
したがって、本発明では、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]とが、本発明による特定の範囲を満たすことは、フィラー添加系での電荷発生層と電荷輸送層のIpが漸近していることと同義であるものと推測される。
すなわち、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]とが上記請求内容を満足することにより、その結果、電荷輸送層と電荷発生層との間の電荷のやり取りがスムーズとなり、くり返し使用に際しても安定した感光体特性の実現が可能となる。
すなわち、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]とが上記請求内容を満足することにより、その結果、電荷輸送層と電荷発生層との間の電荷のやり取りがスムーズとなり、くり返し使用に際しても安定した感光体特性の実現が可能となる。
また、このような感光体を備えた画像形成装置は、感光体が充分な耐刷性及び電気的および機械的耐久性を有して長期間安定して動作するので、高品位画像を長期間維持でき、したがって画像形成装置の低コスト化及びメンテナンスフリーが実現できることとなる。
本発明は、電子写真感光体の最表面層である電荷輸送層が、100nm以下の1次粒子径を有する酸化珪素を0.1〜0.2重量%の割合で含有し、かつ、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ[Ip(CGM) − Ip(CTM)]が、0〜0.5の範囲にあることを特徴と
する。
する。
本願発明による感光体の電荷輸送層に添加される酸化珪素は、100nm以下、好ましくは0.1〜70nm、さらに好ましくは1〜40nm、より好ましくは5〜30nmの範囲の平均粒子径を有する酸化珪素が好ましい。
また、本発明における電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ[Ip
(CGM) − Ip(CTM)]は、0.1〜0.3の範囲にあるのが好ましい。
(CGM) − Ip(CTM)]は、0.1〜0.3の範囲にあるのが好ましい。
本発明における電荷生物質は、チタニルフタロシアニン、または、無置換フタロシアニンが好ましい。
また、本発明における電荷輸送物質は、次の、一般式(I):
(式中、R1、R2およびR3は、互いに独立して、アルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表すが、ただし、R1、R2およびR3のいずれか1つ、あるいは全てが、置換基を有していてもよいアリール基を表す)
で表される三級アリールアミン化合物が好ましい。
で表される三級アリールアミン化合物が好ましい。
また、本発明における電荷輸送物質は、前記一般式(I)において、R1、R2およびR3のいずれか2つはC1〜C4のアルキル基であるか、またはR1、R2およびR3は、互いに独立して、置換基を有していてもよいフェニル、ナフチルもしくはビフェニリル基が好ましい。
また、前記電荷輸送物質は、次の、副式(II):
(式中、Arは置換基を有してもよいフェニル、ナフチルまたはビフェニリル基を表し、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子、C1〜C4アルキルまたはアルコキシ基を表し、k、lおよびmは1〜4の整数を意味する)
で示される三級アリールアミン化合物である。
で示される三級アリールアミン化合物である。
また、本発明において、前記輸送物質は、好ましくは前記一般式(II)において、Arが、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3,4−ジエトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2'−メチル−4−ビフェニリル基、4'−メチル−4−ビフェニリル基または2',4'−ジメチル−4−ビフェニリル基、2'−メチル−4−ビフェニリル基、4'−エチル−4−ビフェニリル基または2',4'−ジエチル−4−ビフェニリル基であり;
R4が水素原子、2'−、3'−、4'−、5'−もしくは6'−メチルまたはエチル基であり、R5が水素原子、2−、3−、5−もしくは6−メチルまたはエチル基であり、R6が水素原子、2−、4−、5−もしくは6−メチルまたはエチル基である。
R4が水素原子、2'−、3'−、4'−、5'−もしくは6'−メチルまたはエチル基であり、R5が水素原子、2−、3−、5−もしくは6−メチルまたはエチル基であり、R6が水素原子、2−、4−、5−もしくは6−メチルまたはエチル基である。
また、本発明において、前記電気輸送物質は、好ましくは前記一般式(II)において、Arが、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2'−メチル−4−ビフェニリル基、4'−メチル−4−ビフェニリル基または2',4'−ジメチル−4−ビフェニリル基であり;
R4が水素原子もしくは2'−または4'−メチル基であり、R5が水素原子もしくは2−メチル基であり、およびR6が5−メチル基である。
R4が水素原子もしくは2'−または4'−メチル基であり、R5が水素原子もしくは2−メチル基であり、およびR6が5−メチル基である。
あるいは、本発明において、前記電荷輸送物質は、好ましくは前記一般式(I)において、R1、R2およびR3は、互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−N,N−ジエチルアミノフェニル、3−N,N−ジエチルアミノフェニル、4−N,N−ジエチルアミノフェニル、2,3−キシリル、3,4−キシリル、3,5−キシリル、p−(2,2−ジ−p−トリルビニル)フェニル、p−(4,4−ジ−p−トリル−1,3−ブタジエニル)フェニル、p−(4,4'−ジ−p−トリル−1−p−N,N−ジエチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)フェニル、4'−(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)−4−ビフェニリル、3,3'−ジメチル−4'−N,N−ジ−p−トリルアミノ−4−ビフェニリル、p−(4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエニル)フェニルもしくは4'−N−(4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエニル)フェニル−N−m−トリルアミノ−4−ビフェニリル基である。
また、本発明において、前記一般式(I)において、好ましくはR1、R2およびR3は、互いに独立して、エチル、フェニル、m−トリル、p−トリル、4−メトキシフェニル、4−N,N−ジエチルアミノフェニル、3,4−キシリル、p−(2,2−ジ−p−トリルビニル)フェニル、p−(4,4−ジ−p−トリル−1,3−ブタジエニル)フェニル、p−(4,4'−ジ−p−トリル−1−p−N,N−ジエチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)フェニルもしくはp−(4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエニル)フェニル基である。
以下、本発明について詳細に説明する。
実施の第1形態
図1は、本発明の実施の第1形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。
本実施の第1形態の電子写真感光体1(以下、感光体と略称する)は、導電性材料から成る円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に積層される層であって電荷発生物質を含有する電荷発生層12と、電荷発生層12の上にさらに積層される層であって電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13とから構成されている。
また、電荷発生層12と電荷輸送層13とは、感光層14を構成する。
すなわち、感光体1は、積層型感光体である。
実施の第1形態
図1は、本発明の実施の第1形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。
本実施の第1形態の電子写真感光体1(以下、感光体と略称する)は、導電性材料から成る円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に積層される層であって電荷発生物質を含有する電荷発生層12と、電荷発生層12の上にさらに積層される層であって電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13とから構成されている。
また、電荷発生層12と電荷輸送層13とは、感光層14を構成する。
すなわち、感光体1は、積層型感光体である。
(導電性基体)
導電性基体11は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに、他の各層12および13の支持部材としても機能する。
なお導電性基体11の形状は、本実施の第1形態では円筒状であるけれども、これに限定されることなく円柱状、シート状または無端ベルト状などであってもよい。
導電性基体11は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに、他の各層12および13の支持部材としても機能する。
なお導電性基体11の形状は、本実施の第1形態では円筒状であるけれども、これに限定されることなく円柱状、シート状または無端ベルト状などであってもよい。
導電性基体11を構成する導電性材料としては、例えばアルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金等の導電性金属または合金材料;アルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金や酸化インジウム等の導電性の金属、合金または金属酸化物を用いることができる。
またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエステル、ポリオキシメチレンもしくはポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙またはガラスなどの表面に、上記金属箔をラミネートしたもの、上記金属材料を蒸着したもの、または導電性高分子、酸化錫、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどを用いることもできる。
これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
導電性基体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理を施してもよい。
レーザーを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザー光の波長が揃っているので、感光体表面で反射されたレーザー光と感光体内部で反射されたレーザー光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥となることがある。
しかしながら、導電性基体11の表面に上記のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザー光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
しかしながら、導電性基体11の表面に上記のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザー光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
(電荷発生層)
電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。
上記の電荷発生物質として有効な物質としては、有機系顔料を含む有機系光導電性材料および無機顔料を含む無機系光導電性材料が挙げられる。
電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。
上記の電荷発生物質として有効な物質としては、有機系顔料を含む有機系光導電性材料および無機顔料を含む無機系光導電性材料が挙げられる。
上記有機系顔料を含む有機系光導電性材料としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類およびチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機光導電性材料が挙げられる。
また、上記無機顔料を含む無機系光導電性材料としては、セレンおよびその合金、ヒ素-セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、その他の無機光導電体が挙げられる。
電荷発生物質は、μ型、あるいはα型チタニルフタロシアニンまたは無金属フタロシアニン、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料またはチオピリリウム塩染料などの増感染料と組合わされて使用してもよい。
しかしながら、μ型、あるいはα型チタニルフタロシアニンまたは無金属フタロシアニンは、イオン化ポテンシャルの観点からより好ましい。
しかしながら、μ型、あるいはα型チタニルフタロシアニンまたは無金属フタロシアニンは、イオン化ポテンシャルの観点からより好ましい。
電荷発生層12の形成方法としては、前記の電荷発生物質を導電性基体11の表面に真空蒸着する方法、または前記の電荷発生物質を適当な溶剤中に分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法などが用いられる。
これらの中でも、結着剤である結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法が好適に用いられる。
以下、この方法について説明する。
これらの中でも、結着剤である結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法が好適に用いられる。
以下、この方法について説明する。
電荷発生層12に用いられる結着樹脂としては、たとえばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂およびポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。
共重合体樹脂の具体例としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。
結着樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着樹脂として使用することができる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
結着樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着樹脂として使用することができる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
電荷発生層用塗布液の溶剤には、例えばジクロロメタンもしくはジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンもしくはシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフランもしくはジオキサンなどのエーテル類、1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなどの芳香族炭化水素類、またはN,N−ジメチルホルムアミドもしくはN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが用いられる。
上記の溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。上記の溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、2種以上の混合溶剤として使用してもよい。
電荷発生物質と結着樹脂とを含んで構成される電荷発生層12において、電荷発生物質の重量W1と結着樹脂の重量W2との比率W1/W2は、100分の10(10/100)以上100分の400(400/100)以下であることが好ましい。
前記比率W1/W2が10/100未満であると、感光体1の感度が低下する。
前記比率W1/W2が10/100未満であると、感光体1の感度が低下する。
逆に、前記比率W1/W2が400/100を超えると、電荷発生層12の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大するので、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなる。
したがって、前記比率W1/W2の好適な範囲は、10/100以上、400/100以下である。
電荷発生物質は、結着樹脂溶液中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されてもよい。
粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などを挙げることができる。
電荷発生物質は、結着樹脂溶液中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されてもよい。
粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などを挙げることができる。
また、電荷発生物質を結着樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカー、ボールミルおよびサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。
これらの塗布方法のうちから、塗布の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択することができる。
これらの塗布方法のうちから、塗布の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択することができる。
これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
電荷発生層12の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。
電荷発生層12の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体1の感度が低下する。
逆に、電荷発生層12の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14の表面電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体1の感度が低下する。
したがって、電荷発生層12の膜厚の好適な範囲を、0.05μm以上、5μm以下とした。
電荷発生層12の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体1の感度が低下する。
逆に、電荷発生層12の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14の表面電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体1の感度が低下する。
したがって、電荷発生層12の膜厚の好適な範囲を、0.05μm以上、5μm以下とした。
(電荷輸送層)
電荷発生層12上には電荷輸送層13が設けられる。電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、電荷輸送物質を結着させる結着樹脂、さらに感光体の耐久性を向上させるフィラー粒子とを含んで構成することとなる。
電荷発生層12上には電荷輸送層13が設けられる。電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、電荷輸送物質を結着させる結着樹脂、さらに感光体の耐久性を向上させるフィラー粒子とを含んで構成することとなる。
上記電荷輸送物質としては、エナミン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体およびベンジジン誘導体などを挙げることができる。
さらには、本発明に使用する特定光源波長:360nm以上450nm以下の書き込み光に対しては、次の、一般式(I):
(式中、R1、R2およびR3は、互いに独立して、アルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表すが、ただし、R1、R2およびR3のいずれか1つ、あるいは全てが、置換基を有していてもよいアリール基を表す)
で表される三級アリールアミン化合物である感光体が好ましい。
で表される三級アリールアミン化合物である感光体が好ましい。
また、上記の三級アリールアミン化合物類の他に、本発明による感光体の電荷輸送物質として用いられ得る化合物の具体的例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
前記の表に例示する化合物類を含む上記の三級アリールアミン化合物系電荷輸送物質を用いた感光体は、上記例示、例えば電荷発生物質としてチタニルフタロシアニンを選択した組み合わせにて積層型感光体を作成した場合、近赤外レーザー露光だけでなく、360nm〜450nmの露光波長域においても、前記のとおり、前記電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ[Ip(CGM) − Ip(CTM)]が、特定の範
囲にあることにより、特に、優れた感光体としての特性を有することが可能となることが判明した。
囲にあることにより、特に、優れた感光体としての特性を有することが可能となることが判明した。
また、これらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、例えばポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(1−ビニルピレン)、ポリ−g−カルバゾリルエチルグルタメート、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレンおよびポリ(9−ビニルアントラセン)なども電荷輸送物質として挙げられる。
電荷輸送層13を構成する結着樹脂には、透明性や耐刷性に優れるなどの理由から、当該分野で周知のポリカーボネートを主成分とする樹脂が好適に選択される。
その他に、第2成分として、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂およびフェノール樹脂などが挙げられる。またこれらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また、2種以上の混合物を使用してもよい。
なお、上記の主成分とは、ポリカーボネート樹脂の重量%が、電荷輸送層を構成する総結着樹脂中で最も高い割合を占めることを意味し、より好ましくは電荷輸送層用塗布液の層結着樹脂の50〜90重量%の範囲を占めることを意味する。
また、上記の第2成分としての樹脂は、上記総結着樹脂中10〜50重量%の範囲で用いられ得る。
また、上記の第2成分としての樹脂は、上記総結着樹脂中10〜50重量%の範囲で用いられ得る。
また、電荷輸送層における電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、重量比で10/10〜10/18の範囲が好ましい。
本発明によれば、電荷発生層と電荷輸送層のイオン化ポテンシャルは、漸近していることが望まれる。しかしながら、電荷発生層および電荷輸送層において、電荷発生物質または電荷輸送物質以外に誘電率の比較的小さい有機系樹脂のみが存在する場合には、電荷発生物質と電荷輸送物質との間のイオン化ポテンシャルが、電荷発生層および電荷輸送層との間のイオン化ポテンシャルを概ね反映しているものと思われる。
しかしながら、感光体の機械的耐久性を向上ざせるために、フィラーを電荷輸送層に添加する場合、電荷発生層と電荷輸送層との間のイオン化ポテンシャルの差を特定の範囲に維持させるためには、電荷輸送層のイオン化ポテンシャルを相対的に小さく(浅く)する必要が生じていることが判った。
電荷輸送層13が含有するフィラー粒子には、大別して、有機系フィラー粒子と金属酸化物を中心とする無機系フィラー粒子がある。しかしながら、系中での光散乱を考慮した結果、媒質の屈折率との差が小さい酸化珪素(シリカ)が好適である。
また、光散乱および系中での電気的電荷への弊害をできるだけ少なくするためにフィラー粒子径の小さいもが好ましいことが判明した。
また、光散乱および系中での電気的電荷への弊害をできるだけ少なくするためにフィラー粒子径の小さいもが好ましいことが判明した。
たとえば、酸化チタン、或いは酸化アルミニウムを用いた場合、有機感光体の平均的な比誘電率(εr)≒3と比較して著しく大きくなり(εr>10)、系の不均一性が高まり、電気特性に大きな弊害をおよぼすと推測される。
他方、酸化珪素については、製法によってバラつきがあるが、その比誘電率は概ねεr≒4であり、電気的特性に大きな弊害を生じないと考えられる。
すなわち、誘電率が相対的に小さいシリカ微粒子を添加することにより、電荷発生層と、電荷輸送層との界面の誘電状態に変化を最小限に抑えることができることをつきとめた。
他方、酸化珪素については、製法によってバラつきがあるが、その比誘電率は概ねεr≒4であり、電気的特性に大きな弊害を生じないと考えられる。
すなわち、誘電率が相対的に小さいシリカ微粒子を添加することにより、電荷発生層と、電荷輸送層との界面の誘電状態に変化を最小限に抑えることができることをつきとめた。
すなわち、具体的なフィラー粒子としては、100nm以下の粒径を有する酸化珪素が好適であり、好ましくは0.1〜70nm、さらに好ましくは1〜40nm、より好ましくは5〜30nmの範囲の平均粒子径を有する酸化珪素が好ましい。
全電荷輸送層の固形分に対して酸化珪素の添加量が、0.1重量%未満では、酸化珪素の量が少なすぎて十分な耐刷機能が得られない。
また、逆に、全電荷輸送層の固形分に対して酸化珪素の添加量が、2重量%より多い場合には、感光体の感度およびくり返し使用による感光体の感度劣化が顕著になり、感光体としての機能が失われる。
したがって、酸化珪素の添加量としては、全電荷輸送層の固形分に対して0.1重量%以上2重量%以下が必要である。
また、逆に、全電荷輸送層の固形分に対して酸化珪素の添加量が、2重量%より多い場合には、感光体の感度およびくり返し使用による感光体の感度劣化が顕著になり、感光体としての機能が失われる。
したがって、酸化珪素の添加量としては、全電荷輸送層の固形分に対して0.1重量%以上2重量%以下が必要である。
フィラー粒子の添加にあたっては、均一な粒子分散状態を形成するために、当業者に公知のボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機またはペイントシェーカーなどさまざまな分散手法を用いることができる。
そして、電子写真感光体の優れた特性を引き出すためには、該電子写真感光体の最表面の塗膜を形成するための分散液中あるいは塗膜形成後の分散状態の把握は必須項目である。
そして、電子写真感光体の優れた特性を引き出すためには、該電子写真感光体の最表面の塗膜を形成するための分散液中あるいは塗膜形成後の分散状態の把握は必須項目である。
(分散方法)
同一塗液処方にて2種類の分散を実施した場合、分散処理後の塗液中での粒度分布状態の違いを比較した結果を図2に示す。
図2の(1)は、ポリカーボネート樹脂TS2040((商標)、帝人化成株式会社製)をそれぞれ3.1重量部およびシリカ(TS−610(商標)、平均粒径:17nm、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ製)3.1重量部をテトラヒドロフラン55.9重量部に混合して、ボールミルにて5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液50gを作製し、UPA−150(日機装)を使用して粒度分布を測定した結果である。
サンプル作製にあたっては、140mlのマヨネーズ瓶を使用して、分散塗液50g、およびジルコニアビーズ(φ3mm)100gを添加し、複数個のマヨネーズ瓶を準備して、所定の液量を確保した。
この結果から、上記の方法では1次粒子径に近い状態まで安定に分散されていることが判る。
同一塗液処方にて2種類の分散を実施した場合、分散処理後の塗液中での粒度分布状態の違いを比較した結果を図2に示す。
図2の(1)は、ポリカーボネート樹脂TS2040((商標)、帝人化成株式会社製)をそれぞれ3.1重量部およびシリカ(TS−610(商標)、平均粒径:17nm、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ製)3.1重量部をテトラヒドロフラン55.9重量部に混合して、ボールミルにて5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液50gを作製し、UPA−150(日機装)を使用して粒度分布を測定した結果である。
サンプル作製にあたっては、140mlのマヨネーズ瓶を使用して、分散塗液50g、およびジルコニアビーズ(φ3mm)100gを添加し、複数個のマヨネーズ瓶を準備して、所定の液量を確保した。
この結果から、上記の方法では1次粒子径に近い状態まで安定に分散されていることが判る。
他方、図2の(2)は、同一液をレッドデビル社製ペイントシェーカーにて5時間分散処理した結果である。なお、サンプル調整にあたっては、上記のボールミルの場合と同様に140mlのマヨネーズ瓶を使用して、分散塗液50g、およびジルコニアビーズ(φ3mm)100gを添加し、複数個のマヨネーズ瓶を準備して、所定の液量を確保した。
この方法では、用いた平均粒子径17nmのシリカが、ミクロンオーダーの凝集体を形成していることが判る。
これらの凝集状態の変化は、最終塗膜の電気特性/表面の均一性等に直接対応している。
この方法では、用いた平均粒子径17nmのシリカが、ミクロンオーダーの凝集体を形成していることが判る。
これらの凝集状態の変化は、最終塗膜の電気特性/表面の均一性等に直接対応している。
したがって、分散液中での均一かつ1次粒径に近い分散体の形成が、塗膜中でも反映され、結果として耐刷性に優れた最表面層を形成することとなる。
ここで、本願発明で用いられる用語「1次粒径に近い分散体」とは、出現頻度の最も高い凝集径(ピーク凝集径)が単体粒子の平均粒径(一次粒径)の10倍以内にある分散体をいう。
ここで、本願発明で用いられる用語「1次粒径に近い分散体」とは、出現頻度の最も高い凝集径(ピーク凝集径)が単体粒子の平均粒径(一次粒径)の10倍以内にある分散体をいう。
電荷輸送層13には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。すなわち、成膜性、可撓性または表面平滑性を向上させるために、可塑剤またはレベリング剤などを電荷輸送層13に添加してもよい。
上記可塑剤としては、たとえばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などを挙げることができる。
また、上記レベリング剤としては、たとえばシリコーン系レベリング剤などを挙げることができる。
上記可塑剤としては、たとえばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などを挙げることができる。
また、上記レベリング剤としては、たとえばシリコーン系レベリング剤などを挙げることができる。
電荷輸送層13は、前記の電荷発生層12を塗布によって形成する場合と同様に、例えば適当な溶媒中に、電荷輸送物質、結着樹脂、フィラー粒子、ならびに必要な場合には前記の添加剤を溶解または分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層12上に塗布することによって形成される。
電荷輸送層用塗布液の溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒などを挙げることができる。これらの溶媒は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
また上記の溶媒に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶媒をさらに加えて使用することもできる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前記のように種々の点で優れているので、電荷輸送層13を形成する場合にも多く利用されている。
電荷輸送層13の膜厚はそれぞれ、5μm以上40μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上30μm以下である。
電荷輸送層13の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能が低下する。
また、電荷輸送層13の膜厚が40μmを超えると、感光体1の解像度が低下する。
したがって、電荷輸送層13の膜厚の好適な範囲は、5μm以上40μm以下である。
電荷輸送層13の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能が低下する。
また、電荷輸送層13の膜厚が40μmを超えると、感光体1の解像度が低下する。
したがって、電荷輸送層13の膜厚の好適な範囲は、5μm以上40μm以下である。
感光層14の各層には、感度の向上を図り、さらに繰返し使用による残留電位の上昇および疲労などを抑えるために、電子受容物質および色素などの増感剤を1種または2種以上添加してもよい。
上記電子受容物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物、またはジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料などを用いることができる。またこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどを用いることもできる。
上記色素としては、例えばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料または銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
また感光層14の各層12および13には、酸化防止剤または紫外線吸収剤などを添加してもよい。特に電荷輸送層13には、酸化防止剤または紫外線吸収剤などを添加することが好ましく、各層を塗布によって形成する際の塗布液の安定性を高めることができる。さらに、電荷輸送層13には、酸化防止剤を添加するのが特に好ましい。この酸化防止剤の電荷輸送層への添加により、オゾン、窒素酸化物などの酸化性ガスに対する感光層の劣化を低減することができる。
上記酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物またはアミン系化合物などが挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体もしくはヒンダードアミン誘導体、またはこれらの混合物が好適に用いられる。
このようにして得られた表面層(電荷輸送層)にシリカフィラーを特定条件で添加した積層型感光体において、電荷輸送層中に含まれる電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ[Ip(CGM) − Ip(CTM)]が、0〜0.5の範囲にある
ことを満足する場合に、感光体の耐刷性が良好であり、かつ繰り返しの使用にあたっても安定した電気特性を有する感光体および画像形成装置を提供することが可能となることが判明した。
ことを満足する場合に、感光体の耐刷性が良好であり、かつ繰り返しの使用にあたっても安定した電気特性を有する感光体および画像形成装置を提供することが可能となることが判明した。
ここで、電荷発生物質のイオン化ポテンシャルIp(CGM)の測定は、上記溶剤中に電荷発生物質を分散後アルミニウム基板(膜厚:0.1mm)上に乾固し、理研計器社製光電子分光装置:AC−1を用いて、イオン化ポテンシャル値を評価した。
また、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルIp(CTM)の測定は、テトラヒドロフラン等の有機溶剤中に、電荷輸送物質を溶解した後、アルミニウム基板上に析出・乾固させ、上記光電子分光装置を用いて評価した。
また、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルIp(CTM)の測定は、テトラヒドロフラン等の有機溶剤中に、電荷輸送物質を溶解した後、アルミニウム基板上に析出・乾固させ、上記光電子分光装置を用いて評価した。
当該条件において、電荷発生物質から電荷輸送物質への効果的な電荷の注入を実現することが可能となる。詳細は明らかではないが、通常シリカフィラーの比誘電率は、εr≒4であり、通常使用される電荷発生層あるいは電荷輸送層の媒質である樹脂の比誘電率εr≒3よりやや大きな値である。これが電荷輸送層に混入することにより、電荷輸送層としてのIpが変化してくるものと考えられる。
このためシリカを混入しない場合と比較して、適切な電荷発生物質と電荷輸送物質の組み合わせ条件が変化するものと考える。この結果、Δ[Ip(CGM) − Ip(CT
M)]が、好適な範囲となる条件の電荷発生物質と電荷輸送物質の組み合わせの場合、電荷発生層と電荷輸送層の界面では、両層のイオン化ポテンシャルレベルが漸近して、効率的に電荷発生層で生成した電荷が電荷輸送層に注入されていると推測される。
したがって、この誘電率の差異が、電荷発生層から電荷輸送層への電荷の注入効率が最適化されていることと関連していると思われる。
このためシリカを混入しない場合と比較して、適切な電荷発生物質と電荷輸送物質の組み合わせ条件が変化するものと考える。この結果、Δ[Ip(CGM) − Ip(CT
M)]が、好適な範囲となる条件の電荷発生物質と電荷輸送物質の組み合わせの場合、電荷発生層と電荷輸送層の界面では、両層のイオン化ポテンシャルレベルが漸近して、効率的に電荷発生層で生成した電荷が電荷輸送層に注入されていると推測される。
したがって、この誘電率の差異が、電荷発生層から電荷輸送層への電荷の注入効率が最適化されていることと関連していると思われる。
また、Δ[Ip(CGM) − Ip(CTM)]の値が、0未満である場合は、電荷の注入が有効的におこなわれず、界面で電荷が捕獲され、残留電位の上昇がおこり、感光体の安定性が悪化する。
逆にΔ[Ip(CGM) − Ip(CTM)]の値が、0.5より大きい場合にも電荷の注入障壁が発生し上記と同様に感光体の電気的な安定性が悪化する。その原因は明らかではないが、無機半導体の接合界面で見られる電荷拡散による障壁と同様のものが発生していると推測される。
逆にΔ[Ip(CGM) − Ip(CTM)]の値が、0.5より大きい場合にも電荷の注入障壁が発生し上記と同様に感光体の電気的な安定性が悪化する。その原因は明らかではないが、無機半導体の接合界面で見られる電荷拡散による障壁と同様のものが発生していると推測される。
更に、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ[Ip(CGM) −
Ip(CTM)]が、0.1〜0.3を満足するCGMおよびCTMを選択することにより、更に安定した電気特性を有する電子写真感光体が提供することが可能になる。
Ip(CTM)]が、0.1〜0.3を満足するCGMおよびCTMを選択することにより、更に安定した電気特性を有する電子写真感光体が提供することが可能になる。
本発明では、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]とが、本発明による特定の範囲を満たす場合には、電荷発生層および電荷輸送層において、電荷発生物質または電荷輸送物質以外に誘電率の比較的小さい有機系樹脂のみが存在する場合には、電荷発生物質と電荷輸送物質との間のイオン化ポテンシャルが、電荷発生層および電荷輸送層との間のイオン化ポテンシャルを概ね反映しているものと思われる。
さらに、前記のように特定の粒子径を有する酸化珪素を添加することにより、フィラー添加系での電荷発生層と電荷輸送層のイオン化ポテンシャルに影響を与え、電荷発生層と電荷輸送層とのイオン化ポテンシャルは、電荷発生物質と電荷輸送物質とのイオン化ポテンシャルと、差異が生じると推測される。
ただし、この場合であっても、電荷輸送層のイオン化ポテンシャルと、電荷発生層のイオン化ポテンシャルとが漸近していれば、その結果、電荷輸送層と電荷発生層との間の電荷のやり取りがスムーズとなり、くり返し使用に際しても安定した感光体特性の実現が可能となる。
ただし、この場合であっても、電荷輸送層のイオン化ポテンシャルと、電荷発生層のイオン化ポテンシャルとが漸近していれば、その結果、電荷輸送層と電荷発生層との間の電荷のやり取りがスムーズとなり、くり返し使用に際しても安定した感光体特性の実現が可能となる。
前記のように、本発明では、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ
[Ip(CGM) − Ip(CTM)]を、0〜0.5、または0.1〜0.3の範囲にすることが大事である。
[Ip(CGM) − Ip(CTM)]を、0〜0.5、または0.1〜0.3の範囲にすることが大事である。
電荷発生物質および電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルの規定は、理研計器社製光電子分光装置:AC−1を用いて測定評価した。個々の物質の測定にあたっては、電荷輸送物質については、THF10g中に0.1g溶解後、溶液0.1gをAl等の導電性基板上に滴下、乾固し、測定用サンプルとした。また、電荷発生物質については、実施例に示す電荷発生層用塗液を準備し、同じく0.1gを導電性基板上に滴下、乾固し、測定用サンプルとした。
また、電荷輸送層の移動度(μ)が5 × 10-6 (cm2/V・s)以上(電界強度:2 × 105 (V/cm)条件下)であることを満足することにより、電子写真感光体として応答性のよい電子写真感光体を提供することが可能となる。
また、本発明によれば、上記のとおり、画像形成装置の書込み露光光源として、360nm〜450nmの露光光源を用いることにより、書き込み光の小径化が可能となり、より高精細な画像を提供することが出来る。
また、本発明によれば、上記のとおり、画像形成装置の書込み露光光源として、360nm〜450nmの露光光源を用いることにより、書き込み光の小径化が可能となり、より高精細な画像を提供することが出来る。
実施の第2形態
図3は、本発明実施の第2形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施の形態の電子写真感光体2は、実施の第1形態の電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
電子写真感光体2において注目すべき点は、導電性基体11と感光層14との間に、中間層15が設けられていることである。
図3は、本発明実施の第2形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施の形態の電子写真感光体2は、実施の第1形態の電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
電子写真感光体2において注目すべき点は、導電性基体11と感光層14との間に、中間層15が設けられていることである。
導電性基体11に直接感光層14が積層されている場合、導電性基体11から感光層14に電荷が注入され、感光層14の帯電性が低下し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像にかぶりなどの欠陥の発生することがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷の減少した部分にトナーが付着してトナー画像が形成されるので、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが発生し、画質の著しい劣化の生じることがある。
(中間層)
本実施形態の電子写真感光体2では、前記のように導電性基体11と感光層14との間には中間層15が設けられているので、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができる。
したがって、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができる。
本実施形態の電子写真感光体2では、前記のように導電性基体11と感光層14との間には中間層15が設けられているので、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができる。
したがって、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができる。
さらに中間層15を設けることによって、導電性基体11表面の凸凹を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また感光層14の導電性基体11からの剥離を抑え、導電性基体11と感光層14との接着性を向上させることができる。
この中間層15には、各種樹脂材料から成る樹脂層またはアルマイト層などが用いられる。
この中間層15には、各種樹脂材料から成る樹脂層またはアルマイト層などが用いられる。
上記樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂およびポリアミド樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース、ニトロセルロースおよびエチルセルロースなども挙げられる。
これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。
これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。
好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、たとえば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロンおよび12−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などを挙げることができる。
また、中間層15は、金属酸化物粒子などの粒子を含有してもよい。中間層15に金属酸化物粒子を含有させることによって、中間層15の体積抵抗値を調節し、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止する効果を高めることができるとともに、各種の環境下において感光体の電気特性を維持することができる。
上記金属酸化物粒子としては、たとえば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化錫などの粒子を挙げることができる。
なお、中間層15は、たとえば上記の樹脂を適当な溶剤中に溶解または分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって形成される。中間層15に前記の金属酸化物粒子などの粒子を含有させる場合には、例えば前記の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、これらの該金属酸化物粒子を分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって中間層15を形成することができる。
中間層用塗布液の溶剤には、水もしくは各種有機溶剤、またはこれらの混合溶剤が用いられる。たとえば、水、メタノール、エタノールもしくはブタノールなどの単独溶剤、または水とアルコール類、2種類以上のアルコール混液、アセトンもしくはジオキソランなどとアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルムもしくはトリクロロエタンなどのハロゲン系有機溶剤とアルコール類などの混合溶剤が用いられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
前記の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機またはペイントシェーカーなどを用いる一般的な方法を使用することができる。
中間層用塗布液中において、樹脂および金属酸化物の合計重量Cと、中間層用塗布液に使用されている溶剤の重量Dとの比率C/Dは、1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。
また樹脂の重量Eと金属酸化物の重量Fとの比率E/Fは、90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。
中間層用塗布液中において、樹脂および金属酸化物の合計重量Cと、中間層用塗布液に使用されている溶剤の重量Dとの比率C/Dは、1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。
また樹脂の重量Eと金属酸化物の重量Fとの比率E/Fは、90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。
中間層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの中でも、特に浸漬塗布法は、前記のように、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、中間層15を形成する場合にも多く利用されている。
中間層15の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上10μm以下である。
中間層15の膜厚が0.01μmよりも薄いと、実質的に中間層15として機能しなくなり、導電性基体11の凸凹を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができなくなり、感光層14の帯電性の低下が生じる。
中間層15の膜厚が0.01μmよりも薄いと、実質的に中間層15として機能しなくなり、導電性基体11の凸凹を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができなくなり、感光層14の帯電性の低下が生じる。
また、中間層15の膜厚を20μmよりも厚くすることは、中間層15を浸漬塗布法によって形成する場合に、中間層15の形成が困難になるとともに、中間層15上に感光層14を均一に形成することができず、感光体の感度が低下するので好ましくない。
したがって、中間層15の膜厚は、0.01μm〜20μmの範囲が好ましい。
したがって、中間層15の膜厚は、0.01μm〜20μmの範囲が好ましい。
本発明による感光体は、好ましくは電荷発生層12、電荷輸送層13、中間層15などの積層工程と、各層の乾燥工程により製造される。
感光体の乾燥温度としては、約50℃〜約140℃が適当であり、特に約80℃〜約130℃の範囲が好ましい。感光体の乾燥温度が約50℃未満では乾燥時間が長くなり、また、乾燥温度が約140℃を越えると、繰返し使用時の電気的特性が悪くなり感光体を使用して得られる画像も劣化する。
感光体の乾燥温度としては、約50℃〜約140℃が適当であり、特に約80℃〜約130℃の範囲が好ましい。感光体の乾燥温度が約50℃未満では乾燥時間が長くなり、また、乾燥温度が約140℃を越えると、繰返し使用時の電気的特性が悪くなり感光体を使用して得られる画像も劣化する。
実施の第3形態
図4は、本発明実施の第3形態である画像形成装置30の構成を簡略化して示す配置側面図である。図4に示す画像形成装置30は、本発明の実施の第1形態の感光体1を搭載するレーザープリンターである。以下図4を参照してレーザープリンター30の構成および画像形成動作について説明する。
図4は、本発明実施の第3形態である画像形成装置30の構成を簡略化して示す配置側面図である。図4に示す画像形成装置30は、本発明の実施の第1形態の感光体1を搭載するレーザープリンターである。以下図4を参照してレーザープリンター30の構成および画像形成動作について説明する。
なお図4に記載のレーザープリンター30は、本発明の例示であり、以下の記載内容によって本発明の画像形成装置が限定されるものではない。
画像形成装置であるレーザープリンター30は、感光体1、半導体レーザー31、回転多面鏡32、結像レンズ34、ミラー35、帯電手段であるコロナ帯電器36、現像手段である現像器37、転写紙カセット38、給紙ローラ39、レジストローラ40、転写手段である転写帯電器41、分離帯電器42、搬送ベルト43、定着器44、排紙トレイ45およびクリーニング手段であるクリーナ46を含んで構成される。
画像形成装置であるレーザープリンター30は、感光体1、半導体レーザー31、回転多面鏡32、結像レンズ34、ミラー35、帯電手段であるコロナ帯電器36、現像手段である現像器37、転写紙カセット38、給紙ローラ39、レジストローラ40、転写手段である転写帯電器41、分離帯電器42、搬送ベルト43、定着器44、排紙トレイ45およびクリーニング手段であるクリーナ46を含んで構成される。
なお、上記の半導体レーザー31、回転多面鏡32、結像レンズ34およびミラー35は、露光手段49を構成する。
感光体1は、図示しない駆動手段によって矢符47の方向に回転可能なようにレーザープリンター30に搭載される。半導体レーザー31から出射されるレーザービーム33は、回転多面鏡32によって感光体1の表面に対してその長手方向(主走査方向)に繰返し走査される。結像レンズ34は、f−θ特性を有し、レーザービーム33をミラー35で反射させて感光体1の表面に結像させて露光させる。感光体1を回転させながらレーザービーム33を前記のように走査して結像させることによって、感光体1の表面に画像情報に対応する静電潜像が形成される。
前記のコロナ帯電器36、現像器37、転写帯電器41、分離帯電器42よびクリーナ46は、矢符47で示す感光体1の回転方向上流側から下流側に向ってこの順序で設けられる。
また、コロナ帯電器36は、レーザービーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。したがって、レーザービーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することになり、レーザービーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて前記の静電潜像が形成される。
また、コロナ帯電器36は、レーザービーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。したがって、レーザービーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することになり、レーザービーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて前記の静電潜像が形成される。
現像器37は、レーザービーム33の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられ、感光体1表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。転写紙カセット38に収容される転写紙48は、給紙ローラ39によって1枚ずつ取出され、レジストローラ40によって感光体1への露光と同期して転写帯電器41に与えられる。転写帯電器41によって、トナー像が転写紙48に転写される。転写帯電器41に近接して設けられる分離帯電器42は、トナー像が転写された転写紙を除電して感光体1から分離する。
感光体1から分離された転写紙48は、搬送ベルト43によって定着器44に搬送され、定着器44によってトナー像が定着される。このようにして画像が形成された転写紙48は、排紙トレイ45に向けて排紙される。なお分離帯電器42によって転写紙48が分離された後、さらに回転を続ける感光体1は、その表面に残留するトナーおよび紙粉などの異物がクリーナ46によって清掃される。クリーナ46によってその表面が清掃された感光体1は、クリーナ46と共に設けられる図示しない除電ランプによって除電された後、さらに回転され、前記の感光体1の帯電から始まる一連の画像形成動作が繰返される。
したがって、本発明によれば、前記の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の画像形成装置は、図4に示す画像形成装置の構成に限定されるものではなく、上記感光体を使用することができるものであれば、モノクロ、カラーを問わず、電子写真プロセスを利用する種々のプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機などであり得る。
本発明の画像形成装置は、図4に示す画像形成装置の構成に限定されるものではなく、上記感光体を使用することができるものであれば、モノクロ、カラーを問わず、電子写真プロセスを利用する種々のプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機などであり得る。
なお、本発明の画像形成装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能であって、その他の形態は本明細書および図面の記載から容易に理解される。
実施例
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の記載内容に限定されるものではない。
(電荷発生物質および電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルの測定)
電荷発生物質のイオン化ポテンシャル(IpCGM)の測定は、溶剤中に電荷発生物質を分散後アルミニウム基板(膜厚:0.1mm)上に乾固し、理研計器社製光電子分光装置:AC−1を用いて実施した。
また、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル(IpCTM)の測定は、テトラヒドロフラン等の有機溶剤中に、電荷輸送物質を溶解した後、アルミニウム基板上に析出・乾固させ、上記光電子分光装置を用いて実施した。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の記載内容に限定されるものではない。
(電荷発生物質および電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルの測定)
電荷発生物質のイオン化ポテンシャル(IpCGM)の測定は、溶剤中に電荷発生物質を分散後アルミニウム基板(膜厚:0.1mm)上に乾固し、理研計器社製光電子分光装置:AC−1を用いて実施した。
また、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル(IpCTM)の測定は、テトラヒドロフラン等の有機溶剤中に、電荷輸送物質を溶解した後、アルミニウム基板上に析出・乾固させ、上記光電子分光装置を用いて実施した。
実施例1
酸化チタン(TTO55A:石原産業社製)7重量部および共重合ナイロン(CM8000:東レ社製)13重量部を、メチルアルコール159重量部と1,3−ジオキソラン106重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカーにて8時間分散処理して下引層用塗布液3kgを調整した。この塗布液を塗布槽に満たし、導電性基体を浸漬後引上げ、自然乾燥して層厚1μmの下引層を形成した。
酸化チタン(TTO55A:石原産業社製)7重量部および共重合ナイロン(CM8000:東レ社製)13重量部を、メチルアルコール159重量部と1,3−ジオキソラン106重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカーにて8時間分散処理して下引層用塗布液3kgを調整した。この塗布液を塗布槽に満たし、導電性基体を浸漬後引上げ、自然乾燥して層厚1μmの下引層を形成した。
電荷発生物質は、下記製造方法によって実施した。
o−フタロジニトリル40g、四塩化チタン18g、α−クロロナフタレン500mlを窒素雰囲気下200〜250℃で3時間加熱撹拌して反応させ、100〜130℃まで放冷後、熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物30gを得る。
o−フタロジニトリル40g、四塩化チタン18g、α−クロロナフタレン500mlを窒素雰囲気下200〜250℃で3時間加熱撹拌して反応させ、100〜130℃まで放冷後、熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物30gを得る。
この粗生成物を、室温にてα−クロロナフタレン200ml、次いでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間熱時懸濁洗浄(熱懸洗)を行う。
濾過後、得られた粗生成物を、水500ml中で、pHが6〜7になるまで、熱懸洗を繰り返した。その後、乾燥してチタニルフタロシアニンの結晶を得た。さらに、この結晶を、メチルエチルケトンに混合し、ペイントシェーカー装置により直径2mmのガラスビーズと共にミリング処理し、メタノールで洗浄した後、乾燥して本発明の微細結晶10gを得た。
更に、得られた微細結晶のX線回折を評価した結果ブラッグ角(2θ±0.2°)9.4°又は9.7°に最大回折ピークを示し、かつ少なくとも7.3°、9.4°、9.7°及び27.3°に回折ピークを有するμ型結晶であることを確認した。
濾過後、得られた粗生成物を、水500ml中で、pHが6〜7になるまで、熱懸洗を繰り返した。その後、乾燥してチタニルフタロシアニンの結晶を得た。さらに、この結晶を、メチルエチルケトンに混合し、ペイントシェーカー装置により直径2mmのガラスビーズと共にミリング処理し、メタノールで洗浄した後、乾燥して本発明の微細結晶10gを得た。
更に、得られた微細結晶のX線回折を評価した結果ブラッグ角(2θ±0.2°)9.4°又は9.7°に最大回折ピークを示し、かつ少なくとも7.3°、9.4°、9.7°及び27.3°に回折ピークを有するμ型結晶であることを確認した。
ここで得られたチタニルフタロシアニン結晶1.8重量部と、ブチラール樹脂(積水化学社製:エスレックBX−1)1.2重量部と、ポリジメチルシロキサン−シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96)0.06重量部と、ジメトキシエタン87.3重量部と、シクロヘキサノン9.7重量部とを混合し(混合比率=90/10)、ペイントシェーカーにて分散して電荷発生層用塗布液:3kgを調整した。この塗布液を、下引層の場合と同様の浸漬塗布法にて前述の下引層上に塗布し、 自然乾燥して層厚0.3μm の電荷発生層を形成した。
次に、ポリカーボネート樹脂(TS2040:帝人化成社製)5.9重量部およびシリカ(TS−610、平均粒子径:17nm キャボット社製)5.9重量部をテトラヒドロフラン106.6重量部に混合して、メディアとしてZrO2ビーズ(φ3mm)を用いるボールミルで5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液:200g を調製した。尚、この段階でフィラー粒子が均一に分散し、上記シリカの1次粒子径に対応する分散状態が保持されていることを、粒度分布測定装置:UPA-150(日機装)を用いて確認した。
次に、電荷輸送物質として下記構造式(V):
で示される三級アリールアミン化合物150重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)235重量部、をテトラヒドロフラン1400重量部に混合して溶解した。この溶液1.8Kgに前記電荷輸送層用一次分散塗布液100gを混合し、15時間攪拌処理して電荷輸送層用二次分散塗布液1.9kgを調製した。この塗布液を、浸漬塗布法にて前記の電荷発生層上に塗布し、130℃で1時間乾燥して層厚28μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の感光体を作製した。
作製した感光体は、後述する複写機に搭載し、780nmのレーザー書き込み光源を用いて評価をおこなった。この際フルデューティ露光時の感光体表面での単一ビーム径は、≒60μ(1/e2で評価)であることが前もって実測された。
実施例2
電荷発生物質として、実施例1と同様にしてジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物30gを得た後、濃アンモニア水300g中で1時間加熱還流し、チタニルフタロシアニン18gを得た。得られた微細結晶のX線回折を評価した結果ブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°又は9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°及び27.3°に最大回折ピークを有するY型結晶であることを確認した
Y型チタニルフタロシアニンを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感光体を作製し、評価した。
電荷発生物質として、実施例1と同様にしてジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物30gを得た後、濃アンモニア水300g中で1時間加熱還流し、チタニルフタロシアニン18gを得た。得られた微細結晶のX線回折を評価した結果ブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°又は9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°及び27.3°に最大回折ピークを有するY型結晶であることを確認した
Y型チタニルフタロシアニンを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感光体を作製し、評価した。
実施例3
電荷輸送物質として、三級アリールアミン化合物である前記の例示化合物2を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例3の感光体を作製し、評価した。
電荷輸送物質として、三級アリールアミン化合物である前記の例示化合物2を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例3の感光体を作製し、評価した。
実施例4
実施例3と同様にして感光体を作製し、後述する複写機に搭載し、405nmのレーザー書き込み光源を用いて評価をおこなった。この際フルデューティ露光時の感光体表面での単一ビーム径は、≒33μ(1/e2で評価)であることが前もって実測された。
実施例3と同様にして感光体を作製し、後述する複写機に搭載し、405nmのレーザー書き込み光源を用いて評価をおこなった。この際フルデューティ露光時の感光体表面での単一ビーム径は、≒33μ(1/e2で評価)であることが前もって実測された。
実施例5
電荷輸送物質として、化合物(2−4)で示した化合物を用いた以外は、実施例4と同様にして感光体を作製し、評価した。
電荷輸送物質として、化合物(2−4)で示した化合物を用いた以外は、実施例4と同様にして感光体を作製し、評価した。
実施例6
実施例1と同様にして、下引き層を形成した後、電荷発生物質として無金属フタロシアニン(ファストゲン ブルー(Fastogen Blue)8120BS :大日本インキ株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に電荷発生層を形成した。さらに、電荷輸送層には、下記構造式(VI):
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
実施例1と同様にして、下引き層を形成した後、電荷発生物質として無金属フタロシアニン(ファストゲン ブルー(Fastogen Blue)8120BS :大日本インキ株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に電荷発生層を形成した。さらに、電荷輸送層には、下記構造式(VI):
比較例1
実施例1と同様にして下引き層、および電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として上記構造式(V)で示される三級アリールアミン化合物150重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)240重量部、をテトラヒドロフラン1400重量部に混合して溶解し、塗布液3kgを得た。この塗布液を用い浸漬塗布法にて前記の電荷発生層上に塗布し、130℃で1時間乾燥して層厚28μmの電荷輸送層を形成し、比較例1の感光体を作製した。
作製した感光体は、後述する複写機に搭載し、780nmのレーザー書き込み光源を用いて評価をおこなった。
実施例1と同様にして下引き層、および電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として上記構造式(V)で示される三級アリールアミン化合物150重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)240重量部、をテトラヒドロフラン1400重量部に混合して溶解し、塗布液3kgを得た。この塗布液を用い浸漬塗布法にて前記の電荷発生層上に塗布し、130℃で1時間乾燥して層厚28μmの電荷輸送層を形成し、比較例1の感光体を作製した。
作製した感光体は、後述する複写機に搭載し、780nmのレーザー書き込み光源を用いて評価をおこなった。
比較例2
実施例1と同様にして下引き層、および電荷発生層を形成した。
次に、ポリカーボネート樹脂(TS2040:帝人化成社製)2重量部およびシリカ(TS−610、平均粒子径:17nm キャボット社製)2重量部をテトラヒドロフラン42重量部に混合して、メディアとしてZrO2ビーズ(φ3mm)を用いるボールミルで5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液:100gを調製し、実施例1と同様にして良好な分散状態であることを確認した。
実施例1と同様にして下引き層、および電荷発生層を形成した。
次に、ポリカーボネート樹脂(TS2040:帝人化成社製)2重量部およびシリカ(TS−610、平均粒子径:17nm キャボット社製)2重量部をテトラヒドロフラン42重量部に混合して、メディアとしてZrO2ビーズ(φ3mm)を用いるボールミルで5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液:100gを調製し、実施例1と同様にして良好な分散状態であることを確認した。
次に、電荷輸送物質として上記構造式(V)で示される三級アリールアミン化合物15
0重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)235重量部、をテトラヒドロフラン1400重量部に混合して溶解した。この溶液1.86Kgに前記電荷輸送層用一次分散塗布液4gを混合し、15時間攪拌処理して電荷輸送層用二次分散塗布液1.8kgを調製した。この塗布液を、浸漬塗布法にて前記の電荷発生層上に塗布し、130℃で1時間乾燥して層厚28μmの電荷輸送層を形成し、比較例2の感光体を作製した。
作製した感光体は、後述する複写機に搭載し、780nmのレーザー書き込み光源を用いて評価をおこなった。
0重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)235重量部、をテトラヒドロフラン1400重量部に混合して溶解した。この溶液1.86Kgに前記電荷輸送層用一次分散塗布液4gを混合し、15時間攪拌処理して電荷輸送層用二次分散塗布液1.8kgを調製した。この塗布液を、浸漬塗布法にて前記の電荷発生層上に塗布し、130℃で1時間乾燥して層厚28μmの電荷輸送層を形成し、比較例2の感光体を作製した。
作製した感光体は、後述する複写機に搭載し、780nmのレーザー書き込み光源を用いて評価をおこなった。
比較例3
実施例1と同様にして下引き層、および電荷発生層を形成した。
次に、ポリカーボネート樹脂(TS2040:帝人化成社製)2重量部およびシリカ(TS−610、平均粒子径:17nm キャボット社製)2重量部をテトラヒドロフラン42重量部に混合して、メディアとしてZrO2ビーズ(φ3mm)を用いるボールミルで5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液:500gを調製し、実施例1と同様にして良好な分散状態であることを確認した。
実施例1と同様にして下引き層、および電荷発生層を形成した。
次に、ポリカーボネート樹脂(TS2040:帝人化成社製)2重量部およびシリカ(TS−610、平均粒子径:17nm キャボット社製)2重量部をテトラヒドロフラン42重量部に混合して、メディアとしてZrO2ビーズ(φ3mm)を用いるボールミルで5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液:500gを調製し、実施例1と同様にして良好な分散状態であることを確認した。
次に、電荷輸送物質として上記構造式(V)で示される三級アリールアミン化合物15
0重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)235重量部、をテトラヒドロフラン1400重量部に混合して溶解した。この溶液2500gに前記電荷輸送層用一次分散塗布液281gを混合し、15時間攪拌処理して電荷輸送層用二次分散塗布液2.7kgを調製した。この塗布液を、浸漬塗布法にて前記の電荷発生層上に塗布し、130℃で1時間乾燥して層厚28μmの電荷輸送層を形成し、比較例3の感光体を作製した。
作製した感光体は、後述する複写機に搭載し、780nmのレーザー書き込み光源を用いて評価をおこなった。
0重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)235重量部、をテトラヒドロフラン1400重量部に混合して溶解した。この溶液2500gに前記電荷輸送層用一次分散塗布液281gを混合し、15時間攪拌処理して電荷輸送層用二次分散塗布液2.7kgを調製した。この塗布液を、浸漬塗布法にて前記の電荷発生層上に塗布し、130℃で1時間乾燥して層厚28μmの電荷輸送層を形成し、比較例3の感光体を作製した。
作製した感光体は、後述する複写機に搭載し、780nmのレーザー書き込み光源を用いて評価をおこなった。
比較例4
電荷輸送層に添加するフィラーとしてSO−E5(シリカフィラー、粒径0.4μm、アドマテックス社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
比較例5
電荷輸送層に添加するフィラーとしてスミコランダムAA−04(アルミナフィラー、粒径1.5μm、住友化学工業社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
電荷輸送層に添加するフィラーとしてSO−E5(シリカフィラー、粒径0.4μm、アドマテックス社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
比較例5
電荷輸送層に添加するフィラーとしてスミコランダムAA−04(アルミナフィラー、粒径1.5μm、住友化学工業社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
比較例6
電荷輸送層に添加するフィラーとしてスミコランダムMT−500SA(酸化チタンフィラー、粒径35nm、テイカ社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
電荷輸送層に添加するフィラーとしてスミコランダムMT−500SA(酸化チタンフィラー、粒径35nm、テイカ社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
比較例7
電荷発生物質として、Fastogen Blue 8120BS (大日本インキ株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
電荷発生物質として、Fastogen Blue 8120BS (大日本インキ株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
比較例8
電荷発生物質として、Fastogen Blue 8120BS (大日本インキ株式会社製)を使用し、電荷輸送物質として例示化合物(2−4)で示したものを使用した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
電荷発生物質として、Fastogen Blue 8120BS (大日本インキ株式会社製)を使用し、電荷輸送物質として例示化合物(2−4)で示したものを使用した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
比較例9
電荷輸送物質として、実施例7記載の構造式(VII)を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
電荷輸送物質として、実施例7記載の構造式(VII)を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価した。
実施例1〜7および比較例1〜9における感光体の評価
実施例1〜7および比較例1〜9の各感光体を、試験用に改造したデジタル複写機MX−C381(シャープ株式会社製)に装着し、印字率6%のA4サイズチャートを用い1
00,000枚画像形成することによって、感度、耐刷性、および画像の高精細度について評価した。
実施例1〜7および比較例1〜9の各感光体を、試験用に改造したデジタル複写機MX−C381(シャープ株式会社製)に装着し、印字率6%のA4サイズチャートを用い1
00,000枚画像形成することによって、感度、耐刷性、および画像の高精細度について評価した。
次に、各性能の評価方法について説明する。
尚、感光体の基本性能として、使用した電荷発生物質および電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルをAC−1(理研計器社製)により測定し、また、層中での電荷輸送物質の移動度:μ を 電界強度:2 × 105 (V/cm)条件下でXTOF法により、ドラムシミュレータ(CYNTHIA:ジェンテック社製)用いて前もって測定した。
尚、感光体の基本性能として、使用した電荷発生物質および電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルをAC−1(理研計器社製)により測定し、また、層中での電荷輸送物質の移動度:μ を 電界強度:2 × 105 (V/cm)条件下でXTOF法により、ドラムシミュレータ(CYNTHIA:ジェンテック社製)用いて前もって測定した。
[電気特性評価]
上記の試験用複写機から現像器を取外し、代わりに現像部位に表面電位計(トレック・ジャパン社製:モデル344)を設けた。この複写機を用い、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境中において、レーザー光による露光を施さなかった場合の感光体の表面電位を−600Vに調整し、その状態でレーザー光により黒ベタ印字を施した場合の感光体の表面電位を露光電位VL(V)として測定した。
この露光電位VLの絶対値が小さい程、高感度であると評価した。
上記の試験用複写機から現像器を取外し、代わりに現像部位に表面電位計(トレック・ジャパン社製:モデル344)を設けた。この複写機を用い、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境中において、レーザー光による露光を施さなかった場合の感光体の表面電位を−600Vに調整し、その状態でレーザー光により黒ベタ印字を施した場合の感光体の表面電位を露光電位VL(V)として測定した。
この露光電位VLの絶対値が小さい程、高感度であると評価した。
[耐刷性]
上記のMX−C381改造機に備わるクリーニング器のクリーニングブレードが、感光体に当接する圧力、いわゆるクリーニングブレード圧を初期線圧で21gf/cm(2.06×10-1N/cm)に調整した。
N/N環境中で、各感光体につき、印字率6%のA4サイズ文字テストチャートを記録紙10万枚に形成して耐刷試験を行なった。
耐刷試験開始時と記録紙10万枚画像形成後との膜厚、すなわち感光層の層厚みを、膜厚測定装置(商品名:F−20−EXR、フィルメトリックス製)を用いて測定し、耐刷試験開始時の膜厚と記録紙10万枚画像形成後の膜厚との差から感光体ドラム10万回転あたりの削れ量(膜べり量)を求めた。削れ量が多い程、耐刷性が悪いと評価した。
上記のMX−C381改造機に備わるクリーニング器のクリーニングブレードが、感光体に当接する圧力、いわゆるクリーニングブレード圧を初期線圧で21gf/cm(2.06×10-1N/cm)に調整した。
N/N環境中で、各感光体につき、印字率6%のA4サイズ文字テストチャートを記録紙10万枚に形成して耐刷試験を行なった。
耐刷試験開始時と記録紙10万枚画像形成後との膜厚、すなわち感光層の層厚みを、膜厚測定装置(商品名:F−20−EXR、フィルメトリックス製)を用いて測定し、耐刷試験開始時の膜厚と記録紙10万枚画像形成後の膜厚との差から感光体ドラム10万回転あたりの削れ量(膜べり量)を求めた。削れ量が多い程、耐刷性が悪いと評価した。
[1ドット再現性の評価]
ハーフトーン画像(1ドット画像)を1200×1200 dpi 解像度で形成し、ドット形成状態を、ドットの再現性、散逸状態、輪郭の先鋭度に関して以下のランク付けで評価した。
極めて良好:◎、
良好:○、
やや劣る:△、
非常に悪い:×
ハーフトーン画像(1ドット画像)を1200×1200 dpi 解像度で形成し、ドット形成状態を、ドットの再現性、散逸状態、輪郭の先鋭度に関して以下のランク付けで評価した。
極めて良好:◎、
良好:○、
やや劣る:△、
非常に悪い:×
実施例1〜7においては、特定の条件のシリカフィラーを電荷輸送層に含有するとともに、電荷発生物質と電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルの関係が(I)式を満足することにより、高耐刷でありかつ、感光体および画像形成装置として、繰り返しの使用に際しても安定した性能をしめしていることが判る。
特に、(II)式の関係を満足する実施例1、2、6および7の場合、特に、安定性に優れていることがわかる。また、実施例4、5に示した、短波長光源(波長:405nm)を使用した場合、露光ビームを小径化できたことに対応して、より高精細な画質が得られることがわかる。
他方、本請求内容に合致しない、比較例1〜9においては、耐刷性、感度およびその安定性、あるいは画質の高精細性に明らかな劣化傾向が確認された。しかるに、比較例1〜3により、フィラー添加および添加量の限定以外では、それぞれ、耐刷性あるいは感度特性が劣化していることがわかる。また、酸化珪素以外をフィラーとして使用した比較例5および6では、感度特性が著しく悪化した。
さらに、比較例7、8および9から、本発明で規定された前記電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、前記電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]とが、式(I)を満足しない電荷発生物質と電荷輸送物質の組み合わせでは、安定性が低下することが判った。
本発明によれば、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]とが、以下の式(I):0 ≦ [Ip(CGM) − Ip(CTM)] ≦ 0.5 の関係を満たすイオン化ポテンシャルの相関関係を有する電荷発生層と電荷輸送層を使用することによって、電気的/機械的安定性に優れ長期にわたって安定な画質を有する電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置が提供できる。
1、2 電子写真感光体
11 導電性基体
12 電荷発生層
13 電荷輸送層
14 感光層
15 中間層
30 レーザープリンタ(画像形成装置)
31 半導体レーザー
32 回転多面鏡
33 レーザービーム
34 結像レンズ
35 ミラー
36 コロナ帯電器
37 現像器
38 転写紙カセット
39 給紙ローラ
40 レジストローラ
41 転写帯電器
42 分離帯電器
43 搬送ベルト
44 定着器
45 排紙トレイ
46 クリーナ
47 矢符
48 転写紙
49 露光手段
50 除電器
11 導電性基体
12 電荷発生層
13 電荷輸送層
14 感光層
15 中間層
30 レーザープリンタ(画像形成装置)
31 半導体レーザー
32 回転多面鏡
33 レーザービーム
34 結像レンズ
35 ミラー
36 コロナ帯電器
37 現像器
38 転写紙カセット
39 給紙ローラ
40 レジストローラ
41 転写帯電器
42 分離帯電器
43 搬送ベルト
44 定着器
45 排紙トレイ
46 クリーナ
47 矢符
48 転写紙
49 露光手段
50 除電器
Claims (15)
- 導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で備えた電子写真感光体において、当該電子写真感光体の最表面層が100nm以下の1次粒子径を有する酸化珪素フィラー粒子を全電荷輸送層中に0.1重量%以上2重量%以下含有し、かつ、電荷輸送層中に含まれる電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ[Ip(C
GM) − Ip(CTM)]が、0〜0.5の範囲にあることを特徴とする電子写真感光体。 - 電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CTM)]と、電荷発生層中の電荷発生物質のイオン化ポテンシャル[Ip(CGM)]との差、Δ[Ip(CGM) − Ip
(CTM)]が、0.1〜0.3の範囲にある請求項1に記載の感光体。 - 前記電荷輸送層が、5 × 10-6 (cm2/V・s)以上(電界強度:2 × 105 (V/cm)条件下)の電荷移動度(μ)を有する請求項1または2に記載の感光体。
- 前記酸化珪素フィラー粒子の1次粒子径が、1nm〜40nmである請求項1または2に記載の感光体。
- 前記電荷発生物質が、チタニルフタロシアニン、または、無金属フタロシアニンである請求項1〜4のいずれか一つに記載の感光体。
- 前記電荷輸送物質が、前記一般式(I)において、R1、R2およびR3のいずれか2つはC1〜C4のアルキル基であるか、またはR1、R2およびR3は、互いに独立して、置換基を有していてもよいフェニル、ナフチルもしくはビフェニリル基である請求項6に記載の感光体。
- 前記電荷輸送物質が、前記一般式(II)において、Arが、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3,4−ジエトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2'−メチル−4−ビフェニリル基、4'−メチル−4−ビフェニリル基または2',4'−ジメチル−4−ビフェニリル基、2'−メチル−4−ビフェニリル基、4'−エチル−4−ビフェニリル基または2',4'−ジエチル−4−ビフェニリル基であり;
R4が水素原子、2'−、3'−、4'−、5'−もしくは6'−メチルまたはエチル基であり、R5が水素原子、2−、3−、5−もしくは6−メチルまたはエチル基であり、R6が水素原子、2−、4−、5−もしくは6−メチルまたはエチル基である請求項8に記載の感光体。 - 前記電荷輸送物質が、前記一般式(II)において、Arが、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2'−メチル−4−ビフェニリル基、4'−メチル−4−ビフェニリル基または2',4'−ジメチル−4−ビフェニリル基であり;
R4が水素原子もしくは2'−または4'−メチル基であり、R5が水素原子もしくは2−メチル基であり、およびR6が5−メチル基である請求項8または9に記載の感光体。 - 前記電荷輸送物質が、前記一般式(I)において、R1、R2およびR3は、互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−N,N−ジエチルアミノフェニル、3−N,N−ジエチルアミノフェニル、4−N,N−ジエチルアミノフェニル、2,3−キシリル、3,4−キシリル、3,5−キシリル、p−(2,2−ジ−p−トリルビニル)フェニル、p−(4,4−ジ−p−トリル−1,3−ブタジエニル)フェニル、p−(4,4'−ジ−p−トリル−1−p−N,N−ジエチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)フェニル、4'−(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)−4−ビフェニリル、3,3'−ジメチル−4'−N,N−ジ−p−トリルアミノ−4−ビフェニリル、p−(4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエニル)フェニルもしくは4'−N−(4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエニル)フェニル−N−m−トリルアミノ−4−ビフェニリル基である請求項6または7に記載の感光体。
- 前記電荷輸送物質が、前記一般式(I)において、R1、R2およびR3は、互いに独立して、エチル、フェニル、m−トリル、p−トリル、4−メトキシフェニル、4−N,N−ジエチルアミノフェニル、3,4−キシリル、p−(2,2−ジ−p−トリルビニル)フェニル、p−(4,4−ジ−p−トリル−1,3−ブタジエニル)フェニル、p−(4,4'−ジ−p−トリル−1−p−N,N−ジエチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)フェニルもしくはp−(4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエニル)フェニル基である請求項6、7または11に記載の感光体。
- 請求項1〜13のいずれか一つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置。
- 前記露光手段が、360nm〜450nmの波長の露光光源である請求項14に記載の画像形成装置。
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