JP2010248380A - 接着剤組成物、並びにそれを用いた接着シート及びカバーレイフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)非ハロゲン系エポキシ樹脂、(B)合成ゴム、(C)チオール基を2個以上有さない硬化剤、(D)チオール基を2個以上有するポリチオール化合物、(E)硬化促進剤、および(F)無機充填剤、を含有する接着剤組成物;離型基材と、該離型基材の少なくとも片面に設けられた上記組成物からなる接着剤層とを有する接着シート;電気絶縁性フィルムと、該電気絶縁性フィルムの少なくとも片面に設けられた上記組成物からなる接着剤層とを有するカバーレイフィルム。
【選択図】なし
Description
(A)非ハロゲン系エポキシ樹脂、
(B)合成ゴム、
(C)チオール基を2個以上有さない硬化剤、
(D)チオール基を2個以上有するポリチオール化合物、
(E)硬化促進剤、および
(F)無機充填剤
を含有する接着剤組成物を提供する。
本発明の接着剤組成物は上記(A)〜(F)成分を含む。
本発明の接着剤組成物の使用方法や使用形態は何ら限定されないが、接着剤としての典型的な使用形態の一つにおいて、該組成物は、2つの被着体間に層状に挟まれてこれら被着体を接着する組成物として用いられる。被着体は、特に限定されず、例えば、銅箔と後述するカバーレイフィルムに用いられる電気絶縁性フィルムとの組み合わせ等が挙げられる。また、本発明の組成物は、例えば、接着シート及びカバーレイフィルムの製造等にも用いられる。
(A)成分である非ハロゲン系エポキシ樹脂は、その分子内に臭素等のハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂である。該エポキシ樹脂は特に限定されず、例えば、シリコーン、ウレタン、ポリイミド、ポリアミド等を含有していてもよい。また、骨格内にリン原子、硫黄原子、窒素原子等を含んでいてもよい。
(B)成分の合成ゴムは、特に限定されず、1種単独でも2種以上を組み合わせても用いることができる。(B)成分としては、例えば、アクリルゴム、NBR(即ち、アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、エチレン−アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−メチルアクリレート−アクリロニトリルゴム、ブタジエンゴム、カルボキシル基含有アクリル樹脂、カルボキシル基含有NBR、ビニル基含有NBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ポリビニルブチラール等が挙げられる。中でも、カルボキシル基含有アクリル樹脂、カルボキシル基含有NBR、カルボキシル基含有エチレン−アクリルゴムが好ましい。以下、特に、カルボキシル基含有アクリル樹脂、カルボキシル基含有NBR、およびカルボキシル基含有エチレン−アクリルゴムについて説明する。
本発明で用いることができるカルボキシル基含有アクリル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が−40〜30℃であって、アクリル酸エステルを主成分とし、これと少量のカルボキシル基を有するモノマーから構成されるものであればよい。このガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−10〜25℃である。該ガラス転移温度が−40〜30℃である場合には、得られる接着剤組成物は適度なタックを有し、ハンドリング性に優れたものとなる。ガラス転移温度が−40℃未満である場合には、得られる接着剤組成物はタックが大きく、ハンドリング性に劣る。また、ガラス転移温度が30℃を超える場合には、得られる接着剤組成物は接着性に劣る。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定したものである。
(a)成分のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはこれらの組み合わせは、接着剤組成物に柔軟性を付与するものであり、(a)成分の具体的な化合物としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソペンチル、メタクリル酸イソペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−n−オクチル、アクリル酸イソノニル、メタクリル酸イソノニル、アクリル酸−n−デシル、メタクリル酸−n−デシル、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸イソデシル等が挙げられる。中でも、アルキル基の炭素原子数が1〜12、特に1〜4のアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。(a)成分のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルおのおのは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(b)成分のアクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはこれらの組み合わせは、接着シートに耐熱性、接着性および耐薬品性を付与するものである。
(c)成分の不飽和カルボン酸は、得られる組成物に接着性を付与すると同時に、加熱硬化時の架橋点となるものであり、カルボキシル基を有する共重合可能なビニルモノマーであればよく、具体的な化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。(c)成分の不飽和カルボン酸は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明で用いることができるカルボキシル基含有NBRとしては、例えばアクリロニトリルとブタジエンとを、アクリロニトリルとブタジエンとの合計量に対するアクリロニトリル量が、好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜50質量%の割合となるように共重合させた共重合ゴムの分子鎖末端をカルボキシル化したもの、または、アクリロニトリルおよびブタジエンと、アクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマーとの共重合ゴム等が挙げられる。このカルボキシル化には、例えばメタクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体を用いることができる。
本発明で用いることができるカルボキシル基含有エチレン−アクリルゴムとしては、エチレン単量体単位とアクリル酸エステル単量体単位、メタクリル酸エステル単量体単位またはこれらの組み合わせとカルボキシル基を有する単量体単位とからなるエチレン−アクリルゴムを用いることができる。アクリル酸エステル単量体単位としては、例えば、アクリル酸メチル単量体単位、アクリル酸エチル単量体単位、アクリル酸ブチル単量体単位等が挙げられる。メタクリル酸エステル単量体単位としては、例えば、メタクリル酸メチル単量体単位、メタクリル酸エチル単量体単位、メタクリル酸ブチル単量体単位等が挙げられる。カルボキシル基を有する単量体単位としては、例えば、アクリル酸単量体単位、メタクリル酸単量体単位、マレイン酸単量体単位等が挙げられる。
(C)成分であるチオール基を2個以上有さない硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤として通常使用されるものであれば特に限定されず、例えば、ポリアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂型硬化剤等が挙げられるが、中でも、得られる組成物の半硬化状態での保存性および得られる硬化物の難燃性を悪化させないという観点から、芳香族ポリアミン系硬化剤、フェノール樹脂型硬化剤、芳香族酸無水物系硬化剤等の、分子骨格内に芳香族環を有する硬化剤がより好ましい。ポリアミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、テトラエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン系硬化剤、イソホロンジアミン等の脂環式アミン系硬化剤、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン等の芳香族アミン系硬化剤、ジシアンジアミド等が挙げられるが、前述の通り、芳香族アミン系硬化剤が特に好ましい。酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、ピロメリト酸無水物、トリメリト酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。特に、得られる組成物をカバーレイフィルムに用いる場合には適度な反応性が求められることから芳香族ポリアミン系硬化剤、フェノール樹脂型硬化剤が好ましい。(C)成分の硬化剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(D)成分であるチオール基を2個以上有するポリチオール化合物は、(C)成分であるチオール基を2個以上有さない硬化剤とともに、エポキシ樹脂の硬化剤として作用する。(D)成分のポリチオール化合物は低温においてもエポキシ樹脂と反応する硬化剤である。例えば、本発明の接着剤組成物の溶液を基材に塗布し加熱乾燥させることで、(D)成分のポリチオール化合物は(A)成分のエポキシ樹脂と反応し、該接着剤組成物は半硬化状態となる。この半硬化状態が保存性に優れた接着剤組成物を与える。したがって、(A)成分である非ハロゲン系エポキシ樹脂中のエポキシ基の数をa、(D)成分であるチオール基を2個以上有するポリチオール化合物中のチオール基の数をb、(C)成分であるチオール基を2個以上有さない硬化剤中の活性水素の数をcとした場合、a/bが2.0〜30の範囲であり、a/(b+c)が1.0〜10の範囲であることが好ましい。上記a/bは、より好ましくは2.0〜25の範囲であり、更により好ましくは2.0〜20の範囲である。また、上記a/(b+c)は、より好ましくは1.0〜8.0の範囲であり、更により好ましくは1.0〜5.0の範囲である。
(E)成分である硬化促進剤は、(A)成分の非ハロゲン系エポキシ樹脂と(C)成分のチオール基を2個以上有さない硬化剤および(D)成分のチオール基を2個以上有するポリチオール化合物との反応を促進するものであれば、特に限定されない。この硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、およびこれらの化合物のエチルイソシアネート化合物、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリス(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−エトキシフェニル)ホスフィン等のトリオルガノホスフィン類等が挙げられる。(E)成分の硬化促進剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(F)成分である無機充填剤は、得られる硬化物の耐熱性と難燃性を向上させるために配合される成分である。該無機充填剤は、従来、カバーレイフィルム、接着シート等に使用されているものであれば特に限定されない。該無機充填剤の具体例としては、難燃助剤としても作用する点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;二酸化ケイ素、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、中でも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよびモリブデン酸亜鉛が好ましい。(F)成分の無機充填剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記(A)〜(F)成分以外にも、本発明の目的、効果を損なわない限り、下に例示するその他の任意成分を本発明の組成物に添加してもよい。
リン系難燃剤はハロゲンを使用せずに難燃性を得る場合に有用である。本発明組成物をハロゲンを含まない難燃性の組成物として得るためには、(A)成分としてハロゲンを含まないリン含有エポキシ樹脂を使用してもよいし、(A)成分としてハロゲンおよびリンを含まない非ハロゲン系エポキシ樹脂を使用し、かつ、該(A)成分にその他の任意成分としてリン系難燃剤を組み合わせてもよいし、(A)成分としてハロゲンを含まないリン含有エポキシ樹脂ならびにハロゲンおよびリンを含まない非ハロゲン系エポキシ樹脂を使用し、かつ、該(A)成分にその他の任意成分としてリン系難燃剤を組み合わせてもよい。
上記の(A)〜(F)成分および必要に応じて添加される成分を無溶剤で用いて本発明の組成物を調製し、それを接着シート、カバーレイフィルムおよびフレキシブル銅張積層板の製造に用いてもよいが、有機溶剤に溶解または分散し、該組成物を溶液または分散液(以下、単に「溶液」という)として調製して用いてもよい。この有機溶剤としては、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン等が挙げられ、好ましくはN,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、特に好ましくはN,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、トルエンが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明の接着剤組成物は、上記(A)〜(F)成分および必要に応じて添加される有機溶剤その他の任意成分を、例えば、ポットミル、ボールミル、ホモジナイザー、スーパーミル等を用いて混合することにより調製することができる。
上記組成物は、カバーレイフィルムの製造に用いることができる。具体的には、例えば、電気絶縁性フィルムと、該電気絶縁性フィルムの少なくとも片面に設けられた上記組成物からなる接着剤層とを有するカバーレイフィルムが挙げられる。以下、その製造方法を説明する。
前記電気絶縁性フィルムは、通常、フレキシブル銅張積層板、カバーレイフィルムに用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリパラバン酸フィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維等をベースにして、これにマトリックスになるエポキシ樹脂、アクリル樹脂等を含浸させて、フィルム状またはシート状にして銅箔と貼り合わせたもの等が挙げられ、得られるカバーレイフィルムの耐熱性、寸法安定性、機械特性等の点から、特に好ましくは低温プラズマ処理されたポリイミドフィルムやコロナ処理されたアラミドフィルムが好適に利用できる。ポリイミドフィルムとしては、通常、カバーレイフィルムに用いられるものであればよい。この電気絶縁性フィルムの厚さは、必要に応じて任意の厚さのものを使用すればよいが、好ましくは7.5〜50μmである。
上記離型基材は、接着剤層を保護し、必要に応じて該接着剤層からその形態を損なうことなく剥離できるフィルム状材料であれば特に限定されない。例えば、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリメチルペンテン(TPX)フィルム、離型処理を施したポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム;PEフィルム、PPフィルム等のポリオレフィンフィルム、TPXフィルム、離型処理を施したポリエステルフィルム等を紙材料の片面または両面にコートした離型紙等が挙げられる。
上記組成物は、接着シートの製造に用いることができる。具体的には、例えば、前記組成物からなる接着剤層と、該接着剤層を被覆し保護層として機能する離型基材とを有する接着シートが挙げられる。該離型基材は、上記カバーレイフィルムの保護層として説明したものを用いることができる。以下、本発明の接着シートの製造方法について説明する。
・(A)非ハロゲン系エポキシ樹脂
(1)jER1001(商品名)(ジャパンエポキシレジン製、エポキシ当量:450〜500)
(2)jER828(商品名)(ジャパンエポキシレジン製、エポキシ当量:184〜194)
(3)EPICLON EXA9710(商品名)(DIC製、エポキシ当量:475、リン含有率:3質量%)
・(B)合成ゴム
(1)ベイマックG(商品名)(デュポン製、カルボキシル基含有エチレン−アクリルゴム)
(2)Nipol 1072(商品名)(日本ゼオン製、カルボキシル基含有NBR)
・(C)チオール基を2個以上有さない硬化剤
(1)4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)
・(D)チオール基を2個以上有するポリチオール化合物
(1)1,3,5,−トリアジン−2,4,6−トリチオール(以降、TTTと略す)
(2)ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(以降、PTMと略す)
・(E)硬化促進剤
(1)2E4MZ(商品名)(四国化成工業製、イミダゾール系硬化促進剤)
・(F)無機充填剤
(1)水酸化アルミニウム(昭和電工製)
(2)モリブデン酸亜鉛(日本無機化学工業製)
・リン系難燃剤(任意成分)
(1)SP−703(商品名)(四国化成工業製、リン酸エステルアミド、リン含有率:10質量%)
〔実施例1〕
・接着剤組成物の調製
接着剤組成物の成分を表1の配合例1の欄に示す割合で混合し、得られた混合物に、メチルエチルケトン/トルエン/N,N−ジメチルアセトアミドの質量比10/10/1の混合溶剤を添加することにより、有機固形成分(即ち、(A)〜(E)成分およびリン系難燃剤)および無機固形成分(即ち、(F)成分)の合計濃度が35質量%の分散液を調製した。
アプリケータで上記分散液を乾燥後の厚さが25μmとなるようにポリイミドフィルムA(商品名:カプトン、東レデュポン製、厚さ:25μm)表面に塗布し、それを120℃で10分間、送風オーブン内で乾燥させることにより組成物を半硬化状態としてカバーレイフィルムを作製した。
実施例1において接着剤組成物の成分を表1の配合例1の欄に示す割合で混合する代わりに表1の配合例2〜4の各欄に示す割合で混合した以外は実施例1と同様にしてカバーレイフィルムを作製した。
実施例1において接着剤組成物の成分を表1の配合例1の欄に示す割合で混合する代わりに表1の比較配合例1〜4の各欄に示す割合で混合した以外は実施例1と同様にしてカバーレイフィルムを作製した。
作製したカバーレイフィルムについて、剥離強度等の特性を下記測定方法1に従って測定し、耐マイグレーション性を下記測定方法2に従って測定し、保存性を下記測定方法3に従って測定した。それらの結果を表2に示す。
1−1.剥離強度
JIS C6471に準拠して、圧延銅箔(日鉱マテリアルズ製、厚さ:18μm)の光沢面とカバーレイフィルムの接着剤層とをプレス装置(温度:160℃、圧力:3MPa、時間:60分)を用いて貼り合わせることによりプレスサンプルを作製した。得られたプレスサンプルを幅1cm、長さ15cmの大きさに切断して試験片とした。その試験片のポリイミドフィルム面を固定し、25℃の条件下で銅箔を該ポリイミドフィルム面に対して90度の方向に50mm/分の速度で引き剥がすのに要する力の最低値を測定し、剥離強度として示した。
・常態下:上記測定方法1−1と同様にして作製したプレスサンプルを25mm角に切断することにより試験片を作製した。その試験片を300℃の半田浴上に30秒間浮かべた。その試験片に膨れ、剥がれ、変色のいずれも生じない場合を「良」と評価し(表2では○で示す)、該試験片に膨れ、剥がれ、および変色の少なくとも一つが生じた場合を「不良」と評価した(表2では×で示す)。
・吸湿下:前記の常態下での半田耐熱性測定用のものと同様にして作製した試験片を40℃、相対湿度90%の雰囲気下で24時間放置した後、その試験片を260℃の半田浴上に30秒間浮かべた。その試験片に膨れ、剥がれ、および変色のいずれも生じない場合を「良」と評価し(表2では○で示す)、該試験片に膨れ、剥がれ、および変色の少なくとも一つが生じた場合を「不良」と評価した(表2では×で示す)。
プレスサンプルにエッチング処理を行なうことにより銅箔を全て除去してサンプルを作製した。UL94 VTM−0難燃性規格に準拠して、そのサンプルの難燃性を測定した。該サンプルがUL94 VTM−0規格を満足する難燃性を示した場合を「良」と評価し(表2では○で示す)、該サンプルがUL94 VTM−0規格を満足しなかった場合を「不良」と評価した(表2では×で示す)。
2−1.耐マイグレーション性
2層片面フレキシブル銅張積層板(信越化学製、KN25SE12C、ポリイミド層厚み25μm、銅箔厚み12μm)にライン幅/スペース幅=50μm/50μmの櫛型回路を作製し、その回路形成面に上記で作製したカバーレイフィルムの接着剤層を合わせ、該フレキシブル銅張積層板と該カバーレイフィルムとをプレス装置(温度:160℃、圧力:3MPa、時間:60分)にて貼り合わせることにより、カバーレイフィルムの耐マイグレーション性評価用サンプルを作製した。
3−1.保存性
上記で作製したカバーレイフィルムを40℃で7日間放置した。一方、2層片面フレキシブル銅張積層板(信越化学製、KN25SR35A、ポリイミド層厚み25μm、銅箔厚み35μm)にJPCA−BM02に規定する埋め込み性試験用回路パターンを作成した。上記放置後のカバーレイフィルムの接着剤層を上記回路パターン上に貼り合わせることにより埋め込み性評価サンプルを作製した。JPCA−BM02に準拠して、該埋め込み性評価サンプルを倍率約10倍の実体顕微鏡で観察し、回路間の気泡の有無を確認した。回路間に気泡が確認されなかった場合、埋め込み性を「良」と評価し(表2では○で示す)、回路間に気泡が確認された場合、埋め込み性を「不良」と評価した(表2では×で示す)。
〔実施例5〕
実施例1と同様にして分散液を調製した。次いで、アプリケータでその分散液を乾燥後の厚さが25μmとなるように離型処理を施したポリエステルフィルム表面に塗布し、それを120℃で10分間、送風オーブン内で乾燥することにより組成物を半硬化状態として接着シートを作製した。
実施例5において実施例1と同様にして分散液を調製する代わりにそれぞれ実施例2〜4と同様にして分散液を調製した以外は実施例5と同様にして接着シートを作製した。
実施例5において実施例1と同様にして分散液を調製する代わりにそれぞれ比較配合例1〜4と同様にして分散液を調製した以外は実施例5と同様にして接着シートを作製した。
作成した接着シートの特性を下記測定方法4に従って測定した。その結果を表3に示す。
4−1.剥離強度
接着シートのポリエステルフィルムから分離した接着剤層を介して、ポリイミドフィルムB(商品名:アピカル、カネカ製、厚さ:75μm)とポリイミドフィルムC(商品名:アピカル、カネカ製、厚さ:25μm)とを重ね合わせた後、プレス装置(温度:160℃、圧力:3MPa、時間:60分)を用いて貼り合わせることによりプレスサンプルを作製した。そのサンプルを幅1cm、長さ15cmの大きさに切断して試験片とし、その試験片のポリイミドフィルムB(厚さ:75μm)を固定し、25℃の条件下でポリイミドフィルムC(厚さ:25μm)をポリイミドフィルムBの面に対して180度の方向に50mm/分の速度で引き剥がすのに要する力の最低値を測定し、剥離強度として示した。
配合例1〜4で調製した組成物は本発明の要件を満足するものであって、該組成物を用いたカバーレイフィルムおよび接着シートは保存性、剥離強度、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性に優れていた。
Claims (7)
- (A)非ハロゲン系エポキシ樹脂、
(B)合成ゴム、
(C)チオール基を2個以上有さない硬化剤、
(D)チオール基を2個以上有するポリチオール化合物、
(E)硬化促進剤、および
(F)無機充填剤
を含有する接着剤組成物。 - (A)成分中のエポキシ基の数をa、(D)成分中のチオール基の数をb、(C)成分中の活性水素の数をcとした場合、a/bが2.0〜30の範囲であり、a/(b+c)が1.0〜10の範囲である請求項1に係る接着剤組成物。
- (D)成分が、トリアジンポリチオール化合物、多価アルコールとメルカプト有機酸とのエステル化合物であるポリチオール化合物またはこれらの組み合わせである請求項1または2に係る接着剤組成物。
- 2つの被着体間に層状に挟まれてこれら被着体を接着する請求項1〜3のいずれか1項に係る組成物。
- 離型基材と、該離型基材の少なくとも片面に設けられた請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物からなる接着剤層とを有する接着シート。
- 電気絶縁性フィルムと、該電気絶縁性フィルムの少なくとも片面に設けられた請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物からなる接着剤層とを有するカバーレイフィルム。
- 前記電気絶縁性フィルムがポリイミドフィルムである請求項6に係るカバーレイフィルム。
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