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JP2010245407A - 電磁波吸収性熱伝導性シート - Google Patents

電磁波吸収性熱伝導性シート Download PDF

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JP2010245407A
JP2010245407A JP2009094430A JP2009094430A JP2010245407A JP 2010245407 A JP2010245407 A JP 2010245407A JP 2009094430 A JP2009094430 A JP 2009094430A JP 2009094430 A JP2009094430 A JP 2009094430A JP 2010245407 A JP2010245407 A JP 2010245407A
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Haruo Koyama
治雄 小山
Yoichiro Kitamura
陽一郎 北村
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

【課題】高い電磁波吸収特性と高い放熱特性とを兼ね備えた電磁波吸収性熱伝導性シートを提供する。
【解決手段】電磁波吸収性熱伝導性シートは、軟磁性材料を含むn層(n≧1)の軟磁性シート12と、高熱伝導材料を含む(n+1)層の熱伝導シート14a、14bとを交互に積層した構造を備えている。軟磁性シート12には、穴16が設けられ、前記軟磁性シート12を介して対向する前記熱伝導シート14a、14bは、前記穴16を介して互いに熱的に接続している。
【選択図】図2

Description

本発明は、電磁波吸収性熱伝導性シートに関し、さらに詳しくは、民生用電子機器、車載用電子機器等に用いられる各種電子部品を電磁波及び熱から保護するための電磁波吸収性熱伝導性シートに関する。
各種電子機器には、CPUのような発熱するICチップが用いられている。このようなICチップを正常に作動させるためには、発生した熱を逃がし、ICチップの温度を所定の温度以下に保つ必要がある。
一方、ICチップの高速処理化により、クロック周波数も高くなっているので、ICチップや配線から高周波数(数百MHz〜数GHz)の電磁波ノイズが発生する頻度が高くなっている。電磁波ノイズは、電子機器の誤作動の原因となる。電子機器を正常に作動させるためには、発生した電磁波ノイズを吸収し、電子機器内部における電磁波ノイズの反射や充満を抑制する必要がある。
電子機器を電磁波及び/又は熱から保護する方法として、ICチップなどの電子部品とヒートシンクとの間に電磁波吸収特性及び/又は放熱特性を持つシートを挿入する方法が知られている。
このようなシートとしては、具体的には、
(1)シリコーンゴムやアクリルゴムなどの相対的に熱伝導が高いポリマーからなる高熱伝導シート、
(2)熱伝導率が高いポリマー又は一般的なポリマーに粉末状の高熱伝導材料を分散させた高熱伝導シート、
(3)球状又は扁平状の軟磁性粉末とポリマー(有機結合剤)との複合体からなる電磁波吸収シート、
(4)(1)又は(2)の高熱伝導シートに、さらに球状又は扁平状の軟磁性粉末を添加した電磁波吸収特性と放熱特性とを兼ね備えた電磁波吸収シート、
などが知られている。
さらに、高い放熱特性を有するシートと高い電磁波吸収特性を有するシートとの積層体からなる電磁波吸収シートも知られている。
例えば、特許文献1には、軟磁性金属粉をベースポリマー中に分散させた少なくとも1層の電磁波吸収層と、電気絶縁性の熱伝導性充填剤をベースポリマー中に分散させた少なくとも1層の電気絶縁性の熱伝導層とを積層した電磁波吸収性熱伝導性シートが開示されている。
同文献には、
(1)電磁波吸収層と電気絶縁性の熱伝導層とを積層しているので、高い電磁波吸収能と高い熱伝導性能とを兼ね備えている点、及び、
(2)電磁波吸収層の絶縁破壊電圧は小さいが、これと電気絶縁性の熱伝導層とを積層させることによって、シート厚さ方向での絶縁破壊電圧が高くなる点、
が記載されている。
また、特許文献2には、有機マトリックス中に軟磁性体粒子が分散している第1の層と、有機マトリックス中に熱伝導性充填剤が分散している第2の層とを積層した放熱性ノイズ抑制シートが開示されている。
同文献には、
(1)第1の層には軟磁性体粒子を高密度で充填することができるので、第1の層において高い電磁波吸収能を発揮することができる点、及び、
(2)第2の層には、熱伝導性充填剤を高密度で充填することができるので、第2の層において高い熱伝導性を発揮することができる点、
が記載されている。
特開2004−134604号公報 特開2003−283181号公報
ポリマー中に軟磁性粉末と高熱伝導性粉末の双方を分散させたシートは、電子部品を電磁波及び熱から同時に保護することができるという利点がある。しかしながら、シリコーンゴムやアクリルゴムなどの有機結合剤は、一般に、フィラーを保持する力が弱く、フィラーの充填量に限界がある。そのため、この種のシートは、電磁波吸収特性の向上と放熱特性の向上とがトレードオフの関係にあり、双方の特性が高いシートを実現するのが難しいという問題がある。
一方、電磁波吸収層と熱伝導層とを積層させたシートは、同一シート内に軟磁性粉末と高熱伝導性粉末の双方を分散させる場合に比べて高い電磁波吸収特性を示す。しかしながら、電磁波吸収層は、一般に熱伝導層に比べて熱伝導率が低くなる場合が多い。また、シートの中間に電磁波吸収層を介在させると、各層の接触が不十分となり、シートの厚み方向の熱伝導率が低下する場合が多い。
本発明が解決しようとする課題は、高い電磁波吸収特性と高い放熱特性とを兼ね備えた電磁波吸収性熱伝導性シートを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る電磁波吸収性熱伝導性シートは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記電磁波吸収性熱伝導性シートは、軟磁性材料を含むn層(n≧1)の軟磁性シートと、高熱伝導材料(A)を含む(n+1)層の熱伝導シートとを交互に積層した構造を備えている。
(2)前記軟磁性シートには穴が設けられ、前記軟磁性シートを介して対向する前記熱伝導シートは、前記穴を介して互いに熱的に接続している。
本発明に係る電磁波吸収性熱伝導性シートは、軟磁性シートと熱伝導シートとの積層体からなるので、高い電磁波吸収特性を示す。また、軟磁性シートに設けられた穴を介して熱伝導シートが熱的に接続しているので、高い放熱特性を示す。特に、軟磁性シートに形成する穴の径及び面積率を最適化すると、高い電磁波吸収特性と高い放熱特性を兼備した電磁波吸収性熱伝導性シートが得られる。
本発明に係る電磁波吸収性熱伝導性シートの概略構成図である。 本発明に係る電磁波吸収性熱伝導性シートの製造方法を示す工程図である。 図3(a)は、高熱伝導シートの使用方法の一例を示す概略図である。図3(b)及び図3(c)は、それぞれ、従来の電磁波吸収シートの概略構成図である。 熱伝導率κ>2.0[W/mK]及び1MHzにおける透磁率μ'>10を得るための穴径(mm)と穴の面積率(%)との関係を示す図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 耐熱性高熱伝導率シート]
図1(a)に、本発明の第1の実施の形態に係る電磁波吸収性熱伝導性シートの概略構成図を示す。図1(a)において、電磁波吸収性熱伝導性シート10は、軟磁性材料を含む1層の軟磁性シート12と、高熱伝導材料(A)を含む2層の熱伝導シート14a、14bとを交互に積層した構造を備えている。また、軟磁性シート12には、穴16、16…が設けられている。軟磁性シート12を介して対向する熱伝導シート14a、14bは、穴16、16…を介して熱的に接続している。
図1(b)に、本発明の第2の実施の形態に係る電磁波吸収性熱伝導性シートの概略構成図を示す。図1(b)において、電磁波吸収性熱伝導性シート20は、軟磁性材料を含む2層の軟磁性シート22a、22bと、高熱伝導材料(A)を含む3層の熱伝導シート24a、24b、24cとを交互に積層した構造を備えている。また、軟磁性シート22a、22bには、それぞれ、穴26、26…が設けられている。軟磁性シート22a、22bを介して対向する熱伝導シート24a、24b、24cは、それぞれ、穴26、26を介して熱的に接続している。
[1.1. 軟磁性シート]
[1.1.1. 層数]
本発明に係る電磁波吸収性熱伝導性シートは、n層(n≧1)の軟磁性シートを含む。図1(a)に示すように、軟磁性シートが1層のみの場合であっても、電磁波吸収特性と放熱特性を高い次元で両立させることができる。
一方、図1(b)に示すように、軟磁性シートを2層以上設けると、各軟磁性シートの周波数特性に応じて同一の周波数領域又は複数の周波数領域における電磁波吸収特性をさらに向上させることができる。但し、必要以上に軟磁性シートを設けるのは、電磁波吸収特性が飽和し、実益がないだけでなく、製造コストを上昇させる原因となる。軟磁性シートの層数は、好ましくは、3層以下である。
[1.1.2. 軟磁性材料]
軟磁性シートは、軟磁性材料を含む。軟磁性シートに含まれる軟磁性材料としては、具体的には、Fe−Si−Al合金、Fe−Si合金、Fe−Ni合金(PC、PBパーマロイなど)、Fe−Si−Cr合金などがある。
軟磁性シートには、これらのいずれか1種の軟磁性材料が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。また、電磁波吸収性熱伝導性シートに2層以上の軟磁性シートが含まれる場合、各軟磁性シートは、互いに同一の軟磁性材料を含んでいても良く、あるいは、軟磁性シート毎に異なる軟磁性材料を含んでいても良い。
[1.1.3. 形態]
軟磁性シートの形態としては、具体的には、
(イ)軟磁性材料からなる軟磁性粉末(A)と有機結合剤との複合体シート、
(ロ)軟磁性材料からなる金属箔
などがある。これらは、いずれも可撓性があり、かつ、相対的に高い電磁波吸収特性を持つので、軟磁性シートとして好適である。
軟磁性シートが軟磁性粉末(A)と有機結合剤との複合体シートである場合、高周波領域(0.1〜1000MHz)における電磁波吸収特性に優れた電磁波吸収性熱伝導性シートが得られる。
一方、軟磁性シートが金属箔である場合、高周波領域における電磁波吸収特性は劣るが、低周波領域(0.1〜100kHz)における電磁波吸収特性に優れた電磁波吸収性熱伝導性シートが得られる。
電磁波吸収性熱伝導性シートに2層以上の軟磁性シートが含まれる場合、各軟磁性シートの形態は、互いに同一であっても良く、あるいは、互いに異なっていても良い。
(イ) 複合体シート:
軟磁性シートが軟磁性粉末(A)と有機結合剤との複合体シートである場合、軟磁性粉末(A)の含有量は、目的に応じて任意に選択することができる。本発明においては、必ずしも軟磁性シートに熱伝導率を向上させるための添加剤を加える必要がないので、相対的に多量の軟磁性粉末(A)を添加することができる。
一般に、軟磁性シートに含まれる軟磁性粉末(A)の含有量が高くなるほど、電磁波吸収性が向上する。一方、軟磁性粉末(A)の含有量が高くなりすぎると、成型性を確保できない。
軟磁性粉末(A)の最適な含有量は、有機結合材の種類により異なる。例えば、有機結合材がアクリルゴムである場合、軟磁性粉末(A)の含有量は、30〜60vol%が好ましい。
軟磁性粉末(A)の形状は、球状でも良く、あるいは、扁平状でも良い。一般に、軟磁性粉末(A)の形状が扁平であるほど、長手方向の反磁界係数が小さくなるので、電磁波ノイズを効率よく吸収する。その結果、高い電磁波吸収特性を示す。軟磁性粉末(A)は、具体的には、扁平度が10以上の扁平状粉末が好ましい。扁平度は、さらに好ましくは、25以上である。さらに、軟磁性粉末(A)が扁平状粉末である場合、扁平状粉末は、長手方向が軟磁性シートの平面方向に配向しているのが好ましい。
なお、「扁平度」とは、扁平粉を円盤と仮定した場合の直径/厚みの比をいう。
複合体シートを構成する有機結合剤は、軟磁性粉末(A)を保持できるものであればよい。また、高い電磁波吸収特性と高い放熱特性とを両立させるためには、有機結合剤は、相対的に熱伝導率の高い材料が好ましい。
有機結合剤としては、具体的には、
(1)シリコーンゴム、アクリルゴム、NBRゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴムなど、又は、これらのいずれか2種以上のゴムからなる混合ゴム、
(2)ポリアミド、
などがある。
特に、シリコーンゴム及びアクリルゴムは、相対的に高い熱伝導率を有しているので、有機結合剤として好適である。
電磁波吸収性熱伝導性シートが2層以上の複合体シートを含む場合、各複合体シートに含まれる有機結合材は、互いに同一であっても良く、あるいは、互いに異なっていても良い。
複合体シートの厚さは、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、複合体シートの厚さが薄すぎると、製造過程で破損しやすくなる。一方、有機結合材としてゴムを用いる場合において、複合体シートの厚さが厚すぎると、熱加硫がしにくくなり、シートの製造が困難となる。
複合体シートの好適な厚さは、複合体シートの組成により異なるが、一般に30μm以上1mm以下が好ましい。
電磁波吸収性熱伝導性シートが2層以上の複合体シートを含む場合、各複合体シートの厚さは、互いに同一であっても良く、あるいは、互いに異なっていても良い。
(ロ) 金属箔:
軟磁性シートが金属箔である場合、金属箔の厚さは、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、金属箔の厚さが薄すぎると、製造過程で破損しやすくなる。一方、金属箔の厚さが厚すぎると、シートの可撓性が低下する。
金属箔の好適な厚さは、金属箔の組成により異なるが、一般に10μm以上1mm以下が好ましい。
電磁波吸収性熱伝導性シートが2層以上の金属箔を含む場合、各金属箔の厚さは、互いに同一であっても良く、あるいは、互いに異なっていても良い。
[1.1.4. 穴]
軟磁性シートには、穴が設けられている。また、軟磁性シートの両面には、後述する熱伝導シートが積層され、軟磁性シートを介して対向する熱伝導シートは、穴を介して互いに熱的に接続している。この点が、従来の電磁波吸収シートとは異なる。
ここで「穴を介して熱的に接続している」とは、穴の内部に空気より大きな熱伝導率を持つ充填剤が充填され、軟磁性シートの両端にある熱伝導シートが充填剤を介して繋がっていることをいう。
穴の内部に充填される充填剤は、
(1)穴の開いた軟磁性シートと熱伝導シートを重ね合わせ、プレスすることによって穴内に熱伝導シートの一部が流入したもの、
(2)穴の開いた軟磁性シートに別個に高熱伝導性材料を充填したもの、
のいずれであっても良い。従って、充填材は、熱伝導シートと同一の材料からなるものでも良く、あるいは、異なる材料からなるものでも良い。
充填剤を構成する材料に関する詳細は、後述する熱伝導シートを構成する材料と同様であるので、説明を省略する。
穴の形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状を用いることができる。穴の形状としては、具体的には、丸、三角、四角、楕円などがある。
穴は、必ずしも規則配列している必要はないが、シート全体から均等に放熱させるためには、穴は、シート面に対して均等に配置されているのが好ましい。
さらに、電磁波吸収性熱伝導性シートが2層以上の軟磁性シートを含む場合、各軟磁性シートに形成された穴の形状及び配置は、互いに同一であっても良く、互いに異なっていても良い。
穴の直径及び穴の面積率は、電磁波吸収特性及び放熱特性に影響を与える。
穴の直径が小さすぎると、シート全体の放熱特性が低下する。従って、穴の直径は、0.2mm以上が好ましい。穴の直径は、さらに好ましくは、0.5mm以上である。
一方、穴の直径が大きすぎると、シート全体の透磁率が低下し、電磁波吸収特性が低下する。従って、穴の直径は、10mm以下が好ましい。穴の直径は、さらに好ましくは、5mm以下である。
ここで、「穴の直径」とは、穴が円であるときは円の直径をいい、穴が円でないときは円相当径(穴と同一面積を有する円の直径)をいう。
また、穴の面積率が小さすぎると、シート全体の放熱特性が低下する。従って、穴の面積率は、3%以上が好ましい。穴の面積率は、さらに好ましくは、7%以上である。
一方、穴の面積率が大きくなるほど、熱伝導シート間の接触が増すため、シート全体の熱伝導率は向上する。しかしながら、穴の面積率が大きくなりすぎると、シート全体の透磁率が低下し、電磁波吸収特性が低下する。従って、穴の面積率は、40%以下が好ましい。穴の面積率は、さらに好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下である。
ここで、「穴の面積率」とは、シート面積に対する穴の総面積の割合をいう。
特に、穴の直径(mm)をx、穴の面積率(%)をyとし、穴の直径及び穴の面積率を(logx、y)の座標で表す場合において、穴の直径及び穴の面積率は、(log(0.2)、35)、(log(0.5)、7)、(log(10)、3)、及び(log(10)、30)をこの順で結んだ四角形の線上又は前記四角形の領域内にあるのが好ましい。
穴の直径及び穴の面積率をこのように最適化すると、熱伝導率κがκ>2.0[W/mK]であり、かつ、1MHzにおける透磁率μ’がμ'>10である電磁波吸収性熱伝導性シートが得られる。
[1.2. 熱伝導シート]
[1.2.1. 層数]
本発明に係る電磁波吸収性熱伝導性シートは、(n+1)層(n≧1)の熱伝導シートを含む。すなわち、熱伝導シートは、各軟磁性シートの両面に積層されている。その結果、電磁波吸収性熱伝導性シートの両端面が熱伝導シートとなるので、電磁波吸収特性と放熱特性とを高い次元で両立させることができる。
[1.2.2. 高熱伝導材料]
熱伝導シートは、高熱伝導材料(A)を含む。
熱伝導シートを構成する高熱伝導材料(A)としては、具体的には、
(1)シリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムなどの相対的に高い熱伝導率を有する有機材料、
(2)窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの相対的に高い熱伝導率を有する無機材料、
などがある。
熱伝導シートには、上述したいずれか1種の高熱伝導材料(A)が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。また、各熱伝導シートは、互いに同一の高熱伝導率材料(A)を含んでいても良く、あるいは、互いに異なる高熱伝導率材料(A)を含んでいても良い。
[1.2.3. 形態]
熱伝導シートの形態としては、具体的には、
(イ)ゴム、樹脂などの相対的に熱伝導率が高い有機材料からなる有機物シート、
(ロ)熱伝導率が高い無機材料粉末と、有機結合剤との複合体シート、
などがある。これらは、いずれも可撓性があり、かつ、相対的に高い放熱特性を持つので、熱伝導シートとして好適である。
電磁波吸収性熱伝導性シートに含まれる熱伝導シートの形態は、互いに同一であっても良く、あるいは、互いに異なっていても良い。
(イ) 有機物シート:
熱伝導シートが有機物シートである場合、有機物シートの厚さは、目的に応じて任意に選択することができる。通常、熱伝導シートの厚さは、実装空間に合わせて選択される。
なお、電磁波吸収性熱伝導性シートが2層以上の有機物シートを含む場合、各有機物シートの厚さは、互いに同一であっても良く、あるいは、互いに異なっていても良い。
有機物シートは、放熱特性を損なわない限りにおいて、高熱伝導材料(A)以外の成分を含んでいても良い。他の成分としては、具体的には、軟磁性材料からなる軟磁性粉末(B)がある。有機物シートの少なくとも1層が、さらに軟磁性粉末(B)を含む場合には、電磁波吸収性熱伝導性シート全体の電磁波吸収特性がさらに向上するという利点がある。軟磁性粉末(B)の含有量は、有機物シートの放熱特性を損なわない量であれば良い。軟磁性粉末の好適な含有量は、有機物シートを構成する有機材料の種類に応じて異なる。例えば、有機材料がシリコーンゴムである場合、軟磁性粉末(B)の含有量は、10〜35%が好ましい。
軟磁性粉末(B)に関するその他の点は、上述した軟磁性粉末(A)と同様であるので、説明を省略する。
(ロ) 複合体シート:
熱伝導シートが高熱伝導率を有する無機材料粉末と有機結合剤との複合体シートである場合、無機材料粉末の含有量は、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、無機材料粉末の含有量が多くなるほど、複合体シートの熱伝導率が高くなる。一方、無機材料粉末の含有量が過剰になると、成型性が低下する。
無機材料粉末の形状は、特に限定されるものではなく、球状でも良く、あるいは、扁平状でも良い。
複合体シートを構成する有機結合剤は、無機材料粉末を保持できるものであれば良く、必ずしも熱伝導率の高い材料である必要はない。しかしながら、複合体シートに高い放熱特性を付与するためには、有機結合剤は、相対的に熱伝導率の高い材料が好ましい。
有機結合剤としては、具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴムなどがある。
特に、シリコーンゴム及びアクリルゴムは、相対的に高い熱伝導率を有しているので、有機結合剤として好適である。
なお、複合体シートの厚さは、目的に応じて任意に選択することができる。また、電磁波吸収性熱伝導性シートが2層以上の複合体シートを含む場合、各複合体シートの厚さは、互いに同一であっても良く、あるいは、互いに異なっていても良い。さらに、複合体シートは、放熱特性を損なわない限りにおいて、高熱伝導率を有する無機材料粉末以外の成分(例えば、軟磁性粉末(B))を含んでいても良い。
これらの点は、上述した有機物シートと同様であるので、詳細な説明を省略する。
[1.3. 粘結剤層]
軟磁性シートと熱伝導シートは、直接、積層されていても良い。熱伝導シートに含まれる有機系の高熱伝導材料(A)又は有機結合剤は、一般に、粘着性を持っているので、軟磁性シートと熱伝導シートを重ね合わせ、単に圧着するだけでも、両者を一体化することができる。しかしながら、軟磁性シート及び/又は熱伝導シートの成分によっては、粘着力が不足する場合がある。
このような場合には、軟磁性シートと熱伝導シートの界面に、粘着剤層を介在させるのが好ましい。
粘着剤層の材料は、粘着力があり、かつ、相対的に高い熱伝導率を有する材料であれば良い。このような材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどがある。粘着剤層は、シリコーンゴム等を適当な溶剤に溶解させ、軟磁性シート又は熱伝導シートの表面に塗布することにより形成することができる。
[1.4. 特性]
本発明に係る電磁波吸収性熱伝導性シートは、従来の電磁波吸収シートに比べて、電磁波吸収特性と放熱特性とを高い次元で両立させることができる。
特に、穴の直径及び穴の面積率を最適化すると、透磁率μ'が1MHzにおいてμ'>10であり、かつ、熱伝導率κがκ>2[W/mK]である電磁波吸収性熱伝導性シートが得られる。
[2. 電磁波吸収性熱伝導性シートの製造方法]
図2に、電磁波吸収性熱伝導性シートの製造方法の工程図を示す。
まず、図2(a)に示すように、穴16、16…の開いた軟磁性シート12を用意する。穴16、16…の中には、必要に応じて、充填剤(図示せず)を充填しても良い。
次に、図2(b)に示すように、熱伝導シート14a、14bを用意し、軟磁性シート12と、熱伝導シート14a、14bとを交互に重ね合わせる。この時、必要に応じて、軟磁性シート12と熱伝導シート14a、14bとの間に、粘着剤層(図示せず)を形成しても良い。
得られた積層体を所定の温度でプレスすると、熱伝導シート14a、14bが流動し、その一部が穴16、16…に向かって流れ込む。また、穴16、16…の中に予め充填剤が充填されている場合には、充填剤と熱伝導シート14a、14bが密着する。その結果、図2(c)に示すように、軟磁性シート12を介して対向する熱伝導シート14a、14bが、穴16、16…を介して互いに熱的に接続する。
なお、軟磁性シート12が複合体シートである場合、複合体シートは、以下のような方法により製造することができる。まず、軟磁性粉末(A)及び有機結合剤を所定の比率で配合する。この場合、有機結合剤に代えて、反応により有機結合剤となる2種以上の原料(例えば、有機結合剤がゴムであるときには、バインダー、架橋剤、架橋助剤など)を用いても良い。次いで、配合物を混練し、混練物をドクターブレード法等を用いてシート化する。さらに、得られたシートをプレスする。プレスは、隙間をなくすため、及び、反応により有機結合材となる2種以上の原料を配合したときにはこれらを反応させるために行われる。シートのプレスは、必要に応じて、加熱下で行っても良い。プレス後、軟磁性シートに所定のパターンで穴開けを行う。
熱伝導シート14a、14bが高熱伝導率の無機材料粉末及び/又は軟磁性粉末(B)を含む場合も、これと同様の方法により製造することができる。
[3. 電磁波吸収性熱伝導性シートの作用]
図3(a)に、高熱伝導シートの使用方法の一例を示す。電子機器の回路において、CPUのような発熱するICチップは、放熱性を高めるために、ヒートシンクとICチップの間には、高熱伝導シートが挿入される。
一方、ICチップの高速処理化により、クロック周波数も高くなっているので、配線やICチップから電磁波ノイズが発生する頻度が高くなっている。そのため、この種の高熱伝導シートには、放熱特性だけでなく、電磁波吸収特性も求められている。
このような電磁波吸収特性を兼ね備えた高熱伝導シートとしては、
(1)球状又は扁平状の軟磁性粉末と、高熱伝導率の無機材料粉末を有機結合剤(ゴム、樹脂など)で結合させた複合体(図3(b)参照)、及び
(2)高磁気特性シートと高熱伝導率シートとの積層体(図3(c)参照)、
が知られている。
しかしながら、従来の複合体は、有機結合剤がフィラーを保持する力が弱く、高熱伝導率の無機材料粉末と、軟磁性粉末とを同時に高充填できない。そのため、高熱伝導率と高磁気特性とを兼備させることには壁がある。一方、従来の積層体は、高い磁気特性を示すが、異種シート界面での熱伝導が阻害されるために、高い放熱特性は得られない。
これに対し、本発明に係る電磁波吸収性熱伝導性シートは、軟磁性シートと熱伝導シートの積層体からなるので、高い電磁波吸収特性を示す。また、軟磁性シートに設けられた穴を介して熱伝導シートが熱的に接続しているので、高い放熱特性を示す。特に、軟磁性シートに形成する穴の径及び面積率を最適化すると、高い電磁波吸収特性と高い放熱特性を兼備した電磁波吸収性熱伝導性シートが得られる。
(実施例1〜18、比較例1〜2)
[1. 試料の作製]
表1に示すように、熱伝導シート1、熱伝導シート2、軟磁性シート(複合体シート)、及び、軟磁性金属箔を用意した。軟磁性シート及び軟磁性金属箔には、それぞれ、直径0.2〜10mm、面積率3〜40%となるように、ほぼ均等に穴を形成した。
次に、熱伝導シート及び軟磁性シート(又は、軟磁性金属箔)を交互に重ね合わせ、プレスにより圧着させた。総積層数は、3層又は5層とした。
また、比較として、穴のない軟磁性シートを用いた積層体(比較例1)及び市販の熱伝導シート2(比較例2)も試験に供した。
Figure 2010245407
[2. 試験方法]
[2.1. 磁気特性評価]
リング状サンプルに1〜6ターンの巻き線をした。インピーダンスアナライザーにて、リング状サンプルのインダクタンスを測定した。得られたインダクタンスから、1kHz及び1MHzにおける透磁率を算出した。
[2.2. 熱伝導率測定]
ASTME 1530の保護熱流計法にて熱伝導率を測定した。
[3. 結果]
表2に、結果を示す。なお、表2には、各試料のシート組み合わせ、積層数、穴径及び穴の面積率も併せて示した。
表2より、
(1)穴径が同一である場合、穴の面積率が大きくなるほど、熱伝導率は高くなるが、透磁率は減少する、
(2)穴の面積率が同一である場合、穴径が大きくなるほど熱伝導率は高くなるが、透磁率は減少する、
ことがわかる。これは、磁気特性は磁性体体積に依存するため、穴の面積率が大きくなるほど、及び/又は、穴の直径が大きくなるほど、磁束の漏れが大きくなるためである。
Figure 2010245407
図4に、熱伝導率κ>2.0[W/mK]であり、かつ、1MHzにおける透磁率μ'>10である試料の穴径(mm)と穴の面積率(%)との関係を示す。図4より、穴径と穴の面積率が破線で囲まれた領域にあるときに、電磁波吸収特性と放熱特性とを高い次元で両立できることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る電磁波吸収性熱伝導性シートは、民生用電子機器、車載用電子機器等に用いられる各種電子部品を電磁波及び熱から保護するためのシートとして使用することができる。
10 電磁波吸収性熱伝導性シート
12 軟磁性シート
14a、14b 熱伝導シート
16 穴

Claims (6)

  1. 以下の構成を備えた電磁波吸収性熱伝導性シート。
    (1)前記電磁波吸収性熱伝導性シートは、軟磁性材料を含むn層(n≧1)の軟磁性シートと、高熱伝導材料(A)を含む(n+1)層の熱伝導シートとを交互に積層した構造を備えている。
    (2)前記軟磁性シートには穴が設けられ、前記軟磁性シートを介して対向する前記熱伝導シートは、前記穴を介して互いに熱的に接続している。
  2. 前記穴の直径(mm)をx、前記穴の面積率(%)をyとし、前記穴の直径及び前記穴の面積率を(logx、y)の座標で表す場合において、前記穴の直径及び前記穴の面積率は、(log(0.2)、35)、(log(0.5)、7)、(log(10)、3)、及び(log(10)、30)をこの順で結んだ四角形の線上又は前記四角形の領域内にある請求項1に記載の電磁波吸収性熱伝導性シート。
  3. 前記軟磁性シートは、
    (イ)軟磁性粉末(A)と有機結合剤との複合体シート、又は、
    (ロ)軟磁性材料からなる金属箔
    である請求項1又は2に記載の記載の電磁波吸収性熱伝導性シート。
  4. 前記熱伝導シートの少なくとも1層は、さらに軟磁性粉末(B)を含む請求項1から3までのいずれかに記載の電磁波吸収性熱伝導性シート。
  5. 前記軟磁性シートと前記熱伝導シートの界面に挿入された、高熱伝導材料(B)を含む粘着剤層をさらに備えた請求項1から4までのいずれかに記載の電磁波吸収性熱伝導性シート。
  6. 透磁率μ'が1MHzにおいてμ'>10であり、
    熱伝導率κがκ>2[W/mK]である
    請求項1から5までのいずれかに記載の電磁波吸収性熱伝導性シート。
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