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JP2010243055A - 冷蔵庫 - Google Patents

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JP2010243055A JP2009091741A JP2009091741A JP2010243055A JP 2010243055 A JP2010243055 A JP 2010243055A JP 2009091741 A JP2009091741 A JP 2009091741A JP 2009091741 A JP2009091741 A JP 2009091741A JP 2010243055 A JP2010243055 A JP 2010243055A
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Abstract

【課題】冷凍システムと冷蔵システムを有する冷蔵庫に関し、高蒸発温度化した冷蔵システムの能力過多の問題を解消し、最小限の冷媒封入量を維持しながら高蒸発温度化による省エネルギー効果を得る冷蔵庫を提供することを目的とする。
【解決手段】冷凍用圧縮機11の気筒容積に対する冷蔵用圧縮機21の気筒容積の割合を1/3〜2/3とすることにより、冷蔵ゾーン冷却時の適正な蒸発温度−15〜−5℃を実現した場合でも、冷媒循環量の増大を抑制することとなり、高蒸発温度化による性能向上効果が得られるとともに、冷蔵用圧縮機の低速化による能力調整が不要となり、可変速化によるさらなる効率向上が期待できる。さらに、冷蔵用圧縮機の小気筒容積化により、高蒸発温度域での圧縮機効率が向上できるので、性能向上に対する相乗効果を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、蒸気圧縮式冷凍システムを搭載した冷蔵庫において、冷凍ゾーンを冷却する冷凍システムとは独立して、冷蔵ゾーンを冷却する第二の冷凍システムを有する冷蔵庫の高効率化に関するものである。
従来、庫内容積が大きい業務用冷蔵庫においては、冷凍ゾーンを冷却する冷凍システムと、冷蔵ゾーンを冷却する第二の冷凍システムとの2個の冷凍システム(以下、2システム構成という)を用いて冷凍能力を確保していた(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。この場合、冷凍能力を確保することが優先され、冷蔵ゾーンを冷却する際の高効率化については十分検討されていなかった。
一方、家庭用冷蔵庫においては、省エネルギーを追求するために、冷蔵ゾーンを冷却する際に高蒸発温度化を図ることが盛んに検討されてきた(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、冷蔵庫の庫内容積を最大化する観点から、1個の冷凍システムを用いて冷凍ゾーンと冷蔵ゾーンとを切り替えながら冷却する方式が追求され、2システム構成を用いた省エネルギーに関しては十分な知見がなかった。
以下、図面を参照しながら従来の冷蔵庫を説明する。
図6は従来の冷蔵庫の冷媒回路図、図7は従来の冷蔵庫における蒸発温度と蒸気密度の関係を示した図である。
図6において、51は圧縮機、52は凝縮器、53は流路切換手段、54は冷凍用膨張機構、55は冷蔵用膨張機構、56は冷凍用蒸発器、57は冷蔵用蒸発器、58は逆止弁、59は冷凍冷蔵システムである。ここで、流路切換手段53は、凝縮器52の出口冷媒を冷凍用膨張機構54から冷凍用蒸発器56に供給する冷凍モード、あるいは冷蔵用膨張機構55から冷蔵用蒸発器57に供給する冷蔵モードのどちらか一方に流路を切換える。
また、冷媒は炭化水素系冷媒を使用し、圧縮機51は可変速圧縮機であり能力調整できる。
また、冷凍用蒸発器56は冷蔵庫の冷凍ゾーン(図示せず)内の空気と熱交換して冷却し、冷蔵用蒸発器57は冷蔵庫の冷蔵ゾーン(図示せず)内の空気と熱交換して冷却する。逆止弁58は、飽和圧力の高い冷媒ガスが冷蔵用蒸発器57から圧縮機51へ還流する際に冷凍用蒸発器56内で凝縮しないように、冷凍用蒸発器56の出口に設けている。
以上のように構成された従来の冷蔵庫について、以下にその動作を説明する。
冷蔵庫の冷凍ゾーンを冷却する場合、流路切換手段53を冷凍モードに切換えて、圧縮機51を起動する。圧縮機51から吐出された冷媒は凝縮器51で凝縮した後、流路切換手段53を介して冷凍用膨張機構54で減圧され、冷凍用蒸発器56に供給される。そして、冷凍用蒸発器56で蒸発した冷媒は逆止弁58を介して圧縮機51へ還流する。この時、冷凍用蒸発器56の蒸発温度が−30℃程度になり、かつ冷凍最大負荷を乗り切れるように、圧縮機51の冷凍能力と冷凍用膨張機構54の流路抵抗が設計されている。
一方、冷蔵庫の冷蔵ゾーンを冷却する場合、流路切換手段53を冷蔵モードに切換えて
、圧縮機51を起動する。圧縮機51から吐出された冷媒は凝縮器51で凝縮した後、流路切換手段53を介して冷蔵用膨張機構55で減圧され、冷蔵用蒸発器57に供給される。そして、冷蔵用蒸発器57で蒸発した冷媒は圧縮機51へ還流する。この時、冷蔵用蒸発器57の蒸発温度が比較的高くなるように、圧縮機51を低速駆動する。
このように、同じ圧縮機51と凝縮器52とを用いて、冷蔵庫の冷凍ゾーンと冷蔵ゾーンとを交互に冷却する場合、比較的負荷の大きい冷凍ゾーンに合わせて圧縮機51の冷凍能力や冷凍用膨張機構54の流路抵抗、冷凍用蒸発器56と凝縮器52の熱交換能力などが設計されるとともに、冷蔵ゾーンを冷却する時には、圧縮機51を低速駆動することで蒸発温度を高めて高効率化を図る。
図7に示したように、冷凍用蒸発器56の蒸発温度−30℃に対して、冷蔵用蒸発器57の蒸発温度を−15〜−5℃まで高めると、飽和蒸気密度が180〜260%と大きくなる。この結果、冷蔵庫の冷蔵ゾーンを冷却する際に圧縮機51の低速化なしでは、飽和蒸気密度にほぼ比例して冷媒循環量が著しく増大し、凝縮器52の熱交換能力が不足して性能低下を招くなどの問題が生じるためである。
一方、冷蔵庫の冷蔵ゾーンを冷却する状態に合わせて、圧縮機51の冷凍能力や凝縮器52の熱交換能力などを設計する場合、冷凍ゾーンを冷却する際に冷媒循環量が著しく減少してしまうために、予め過剰に大きい圧縮機51の冷凍能力や凝縮器52の熱交換能力を確保する必要があり、可燃性のある炭化水素系冷媒の封入量が増大する問題が生じる。
特開2005−106454号公報 特開2005−121309号公報 特開2000−121178号公報
しかしながら、上記従来の構成では、冷蔵庫の冷蔵ゾーンを冷却する際に、適正な冷媒循環量で効率よく運転するためには、圧縮機51を常に最低速近傍で断続運転する必要があり、冷蔵ゾーン冷却時には可変速化による庫内温度の安定や断続回数低下に伴う停止損失低減の効果が十分活かせないという問題があった。また、軸受けの耐荷重性が低下する最低速近傍で常に運転するため、軸受け面積の拡大や潤滑油粘度の増加などによる耐久性向上が必要となり、結果として、圧縮機51の圧縮機効率が低下して高蒸発温度化によるシステム効率向上を相殺するという問題があった。
これは、冷凍ゾーン冷却時の適正な蒸発温度−30℃と冷蔵ゾーン冷却時の適正な蒸発温度−15〜−5℃の冷媒循環量比率が180〜260%程度と大きく、冷蔵用圧縮機の可変速化による能力調整比率2〜3倍とほぼ一致する結果、可変速化によるメリットをほぼ相殺してしまうためである。つまり、従来の冷蔵庫では、可変速圧縮機を使用して、冷蔵ゾーン冷却時に適正な蒸発温度を実現しても、さらなる性能向上効果が小さくなるという問題があった。
また、従来の業務用冷蔵庫と同様に2システム構成として、冷凍ゾーンを冷却する冷凍システムとは独立した冷蔵ゾーンを冷却する冷蔵システムを搭載する場合、冷蔵ゾーン冷却時の蒸発温度−15〜−5℃を実現する適正な可変速圧縮機や凝縮器を選定すればよいが、冷蔵システムの冷凍能力が冷凍システムの冷凍能力に比べて大きい場合には、冷蔵システムの冷媒封入量が増大するという問題が生じる。また、冷凍能力が大きい冷蔵システムの冷媒封入量を削減するために、凝縮温度を高く設計するなど、冷凍システムの凝縮器とは異なる設計が必要となり、両システムの凝縮器をコンパクトな一体構成にできないという問題が生じる。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、冷蔵ゾーン冷却時に適正な蒸発温度を実現して、可変速圧縮機を使用した場合に比べて、さらなる性能向上効果を有するとともに、可燃性冷媒を用いた場合でも、最低限の冷媒封入量を維持しながら、コンパクトな一体構成の凝縮器を有する冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、冷凍ゾーンを冷却する冷凍システムと冷蔵ゾーンを冷却する冷蔵システムからなる2システム構成とし、冷凍システムに搭載する冷凍用圧縮機の気筒容積に対して、冷蔵システムに搭載する冷蔵用圧縮機の気筒容積の割合を1/3〜2/3とするものである。これによって、冷蔵ゾーン冷却時の適正な蒸発温度−15〜−5℃を実現した場合でも、冷媒循環量の増大を抑制することとなり、高蒸発温度化による性能向上効果が得られるとともに、冷蔵用圧縮機の低速化による能力調整が不要となり、可変速化によるさらなる効率向上が期待できる。
本発明の冷蔵庫は、2システム構成とし、適正な圧縮機能力と凝縮器構成を選定することで、最低限の冷媒封入量を維持するとともに、冷蔵ゾーン冷却時に、適正な蒸発温度を実現して、可変速圧縮機を使用した場合に比べて、さらなる性能向上効果を得るものである。
請求項1に記載の発明は、食品等を冷凍温度で貯蔵する冷凍室と、冷凍用圧縮機と、冷凍用凝縮器と、冷凍用膨張機構と、冷凍用蒸発器と、からなり、前記冷凍室を冷却する冷凍システムと、食品等を冷蔵温度で貯蔵する冷蔵室と、冷蔵用圧縮機と、冷蔵用凝縮器と、冷蔵用膨張機構と、冷蔵用蒸発器と、からなり、前記冷蔵室を冷却する冷蔵システムと、を有する冷蔵庫において、前記冷凍用圧縮機の気筒容積に対する前記冷蔵用圧縮機の気筒容積の割合を1/3〜2/3とすることにより、冷蔵ゾーン冷却時の適正な蒸発温度−15〜−5℃を実現した場合でも、冷媒循環量の増大を抑制することとなり、高蒸発温度化による性能向上効果が得られるとともに、冷蔵用圧縮機の低速化による能力調整が不要となり、可変速化によるさらなる効率向上が期待できる。さらに、冷蔵用圧縮機の小気筒容積化により、高蒸発温度域での圧縮機効率が向上できるので、性能向上に対する相乗効果を得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記冷凍用凝縮器と前記冷蔵用凝縮器とは、前記冷蔵庫の外郭を形成する外箱の内面に密着固定された冷媒配管とするとともに、前記外箱を共通の放熱面としたことにより、冷蔵ゾーン冷却時の最大冷凍能力と冷凍ゾーン冷却時の最大冷凍能力を略同一とし、同等の冷媒封入量で過負荷時の凝縮温度を略同一とすることができ、可燃性冷媒を用いた場合でも、最低限の冷媒封入量を維持しながら、共通の放熱面を利用したコンパクトな凝縮器を構成することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記冷凍用圧縮機と前記冷蔵用圧縮機とを可変速圧縮機として、前記冷蔵用圧縮機の最低回転数は、前記冷凍用圧縮機の最低回転数よりも小さくしたことにより、可変速化による効率向上が期待できるとともに、冷蔵用圧縮機の低速化により高蒸発温度域での圧縮機効率が向上できるので、性能向上に対する相乗効果を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記冷凍用膨張機構は、前段膨張機構と後段膨張機構とを有るとともに、前記前段膨張機構と前記後段膨張機構の間に設置され、前記冷蔵用蒸発器あるいは前記冷蔵室と熱交換する過
冷却熱交換器を有することにより、効率の高い冷蔵システムの冷凍能力を利用して冷凍用蒸発器入口の乾き度を低下して冷凍効果を大きくすることにより、冷凍システムと冷蔵システムを総合したシステム効率の高性能化が図れる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記冷凍用圧縮機の吸入配管と前記前段膨張機構とを熱交換することで前記吸入配管の冷排熱の回収を行うとともに、熱交換部分を前記冷蔵室の断熱壁面内に埋設したことにより、冷凍用圧縮機の吸入配管の温度を外気温近傍まで上昇することにより、結露が防止できるとともに、前段膨張機構が冷凍ゾーンと熱交換することを抑制して効率低下を防止できる。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記過冷却熱交換器と前記冷蔵用蒸発器とを一体で形成し、前記過冷却熱交換器の配管を前記冷蔵用蒸発器よりも風上側に配置したことにより、冷蔵用蒸発器への着霜防止効果により、除霜負荷の低減と冷蔵ゾーンの高湿度化が図れる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷媒回路図、図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫背面の模式図である。
図1において、10は冷凍室、11は冷凍用圧縮機、12は冷凍用凝縮器、13は冷凍用膨張機構、14は冷凍用蒸発器であり、冷凍システム15は、冷凍用圧縮機11と、冷凍用凝縮器12と、冷凍用膨張機構13と、冷凍用蒸発器14とからなる。
また、20は冷蔵室、21は冷蔵用圧縮機、22は冷蔵用凝縮器、23は冷蔵用膨張機構、24は冷蔵用蒸発器であり、冷蔵システム25は、冷蔵用圧縮機21と、冷蔵用凝縮器22と、冷蔵用膨張機構23と、冷蔵用蒸発器24とからなる。
ここで、冷凍システム15と冷蔵システム25とは、それぞれ炭化水素冷媒であるイソブタンを70g使用し、冷凍用圧縮機11は気筒容積約10mLのレシプロ型可変速圧縮機であり、冷蔵用圧縮機21は気筒容積約6mLのレシプロ型可変速圧縮機である。
また、冷凍室10の設定温度は約−20℃、冷蔵室20の設定温度は約3℃である。
図2において、26は冷蔵庫の外郭を形成する冷蔵庫背面であり、冷媒配管からなる冷凍用凝縮器12と冷蔵用凝縮器22とは、冷蔵庫背面26の内側にアルミ箔テープで密着固定されている。ここで、冷蔵庫背面26は、冷凍システム15と冷蔵システム25の共用の放熱面となっており、凝縮熱は冷凍用凝縮器12および冷蔵用凝縮器22それぞれの冷媒配管から接触部やアルミ箔テープなどを介した固体熱伝導によって冷蔵庫背面26へ伝熱される。また、冷蔵庫背面26を含む冷蔵庫外郭の内側にはウレタン発泡断熱材(図示せず)が形成されており、冷凍室10および冷蔵室20を外界から断熱している。
以上のように構成された本発明の実施の形態1における冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
冷凍室10が所定の温度まで上昇すると、冷凍システム15を稼動する。このとき、冷凍用圧縮機11から吐出された冷媒は冷凍用凝縮器12で凝縮した後、冷凍用膨張機構1
3で減圧され、冷凍用蒸発器14に供給される。そして、冷凍用蒸発器14で蒸発した冷媒は冷凍用圧縮機11へ還流する。同時に、冷凍室10内の空気は冷凍用蒸発器14と熱交換して冷却される。一方、冷蔵室20が所定の温度まで上昇すると、冷蔵システム25を稼動する。このとき、冷蔵用圧縮機21から吐出された冷媒は冷蔵用凝縮器22で凝縮した後、冷蔵用膨張機構23で減圧され、冷蔵用蒸発器24に供給される。そして、冷蔵用蒸発器24で蒸発した冷媒は冷蔵用圧縮機21へ還流する。同時に、冷蔵室20内の空気は冷蔵用蒸発器24と熱交換して冷却される。
ここで、冷凍室10の室内空気温度の高低と外気温に合わせて、冷凍用圧縮機11を増減速することによって、蒸発温度−30〜−25℃で効率よく運転する。同様に、冷蔵室20の室内空気温度の高低と外気温に合わせて、冷蔵用圧縮機21を増減速することによって、蒸発温度−15〜−5℃で効率よく運転する。このとき、冷蔵用圧縮機21の気筒容積を冷凍用圧縮機11の約60%にしているため、蒸発温度が高い冷蔵システム25の冷媒循環量と冷凍システム15の冷媒循環量とをほぼ同等とすることができる。
この結果、冷凍室10と冷蔵室20の温度がともに高い、電源投入時などの過負荷条件においては、冷凍用圧縮機11と冷蔵用圧縮機21はともに高速運転として冷凍能力を増大することができるとともに、冷凍室10と冷蔵室20の温度がともに設定温度に近い安定条件においては、冷凍用圧縮機11と冷蔵用圧縮機21はともに低速運転として冷凍効率を向上することができる。また、家庭用冷蔵庫における冷凍室10に対する冷蔵室20の冷凍負荷の比率は、通常0.5〜1.5の範囲で変動するが、冷凍用圧縮機11と冷蔵用圧縮機21の運転率と回転数を調整して対応することができる。
また、冷蔵用圧縮機21は、冷凍用圧縮機11をベースとしたレシプロ型可変速圧縮機であり気筒容積を約60%にしているため、高蒸発温度条件における圧縮機効率が向上し、冷凍用圧縮機11を−15〜−5℃の高蒸発温度で稼動する場合に比べて、冷蔵用圧縮機21ではさらに10%以上の効率向上が達成できた。さらに、気筒容積の小さい冷蔵用圧縮機21は冷凍用圧縮機11よりも振動が小さいため、より低速まで運転が可能となるので、冷凍用圧縮機11を用いた場合に比べてさらなる効率向上が図れた。
また、前記したように、蒸発温度が高い冷蔵システム25の冷媒循環量を冷凍システム15とほぼ同等とすることができるので、過負荷条件においても同じ冷媒封入量で冷凍用凝縮器12と冷蔵用凝縮器22の凝縮温度を略同一とできる。この結果、冷蔵庫背面26を共有の放熱面としても、放熱能力に偏りがなく、コンパクトな凝縮器を構成することができる。ここで、冷凍用凝縮器12と冷蔵用凝縮器22の凝縮温度の差は5℃以内が望ましい。10℃以上の温度差で放熱面を共有した場合、凝縮温度の低い方の凝縮器がほとんど放熱できないという問題が生じる。
以上のように、本発明の冷蔵庫においては、冷凍ゾーンを冷却する冷凍システムと冷蔵ゾーンを冷却する冷蔵システムからなる2システム構成とし、冷凍システムに搭載する冷凍用圧縮機の気筒容積に対して、冷蔵システムに搭載する冷蔵用圧縮機の気筒容積の割合を約60%とすることにより、冷蔵ゾーン冷却時の適正な蒸発温度−15〜−5℃を実現した場合でも、冷媒循環量の増大を抑制することができるので、高蒸発温度化による性能向上効果が得られるとともに、冷蔵用圧縮機の低速化による能力調整が不要となり、可変速化によるさらなる効率向上が期待できる。
また、本発明の冷蔵庫においては、冷凍ゾーンを冷却する冷凍システムと冷蔵ゾーンを冷却する冷蔵システムからなる2システム構成とし、冷凍システムに搭載する冷凍用圧縮機の気筒容積に対して、冷蔵システムに搭載する冷蔵用圧縮機の気筒容積の割合を約60%とするとともに、冷凍用凝縮器と冷蔵用凝縮器とは、冷蔵庫の外郭を形成する外箱の内
面に密着固定された冷媒配管とするとともに、外箱を共通の放熱面としたものである。これによって、可燃性冷媒を用いた場合でも、最低限の冷媒封入量を維持しながら、共通の放熱面を利用したコンパクトな凝縮器を構成することができる。
なお、本発明の冷蔵庫においては、冷凍用圧縮機の気筒容積に対して冷蔵用圧縮機の気筒容積の割合を約60%としたが、その割合は1/3〜2/3とすることが望ましい。2/3以上では小気筒容積化の効果が十分得られないとともに、1/3以下では冷媒循環量が逆転して冷蔵システムの方が小さくなるため、増速して能力調整する必要があり、従来と同様の問題が発生する。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明するが、本発明の実施の形態1と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図3は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の冷媒回路図、図4は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の冷蔵用蒸発器の模式図、図5は、本発明の実施の形態2の冷蔵庫における冷凍システムのモリエル線図である。
図3において、10は冷凍室、11は冷凍用圧縮機、12は冷凍用凝縮器、31は前段膨張機構、32は後段膨張機構、33は過冷却熱交換器、14は冷凍用蒸発器であり、冷凍システム34は、冷凍用圧縮機11と、冷凍用凝縮器12と、前段膨張機構31と、後段膨張機構32と、過冷却熱交換器33と、冷凍用蒸発器14と、からなる。
また、20は冷蔵室、21は冷蔵用圧縮機、22は冷蔵用凝縮器、23は冷蔵用膨張機構、24は冷蔵用蒸発器であり、冷蔵システム25は、冷蔵用圧縮機21と、冷蔵用凝縮器22と、冷蔵用膨張機構23と、冷蔵用蒸発器24と、からなる。
図4において、冷蔵用蒸発器24は、放熱フィン41と冷媒配管42からなり、過冷却熱交換器33は、放熱フィン41と冷媒配管43からなり、冷蔵用蒸発器24と過冷却熱交換器33とはフィンチューブ熱交換器で一体に形成され、風上側に過冷却熱交換器33の冷媒配管43を配置している。本実施の形態では、具体的には、放熱フィン41はアルミニウム、冷媒配管42、43は銅が使用されているが、放熱フィンを銅、冷媒配管をアルミニウムとしてもよい。
ここで、過冷却熱交換器33は、前段膨張機構31と後段膨張機構32の間に位置し、前段膨張機構31にて減圧された冷媒と冷蔵室20内の空気を熱交換した後、後段膨張機構32に供給するものである。また、前段膨張機構31と後段膨張機構32はそれぞれ冷凍用圧縮機11の吸入配管と内部熱交換し、前段膨張機構31と吸入配管の熱交換部は冷蔵室20と外郭を断熱する断熱壁面(図示せず)内に埋設している。
また、冷凍システム34と冷蔵システム25はそれぞれ炭化水素冷媒であるイソブタンを70g使用し、冷凍用圧縮機11は気筒容積約10mLのレシプロ型可変速圧縮機であり、冷蔵用圧縮機21は気筒容積約6mLのレシプロ型可変速圧縮機である。また、冷凍室10の設定温度は約−20℃、冷蔵室20の設定温度は約3℃である。
以上のように構成された本発明の実施の形態2における冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
冷凍室10が所定の温度まで上昇すると、冷凍システム34を稼動する。このとき、冷凍用圧縮機11から吐出された冷媒は冷凍用凝縮器12で凝縮した後、前段膨張機構31
で減圧され、過冷却熱交換器33に供給される。過冷却熱交換器33に供給された冷媒は冷蔵室20内の空気と熱交換して冷却された後、後段膨張機構32で再度減圧され、蒸発器14に供給される。そして、冷凍用蒸発器14で蒸発した冷媒は冷凍用圧縮機11へ還流する。同時に、冷凍室10内の空気は冷凍用蒸発器14と熱交換して冷却される。一方、冷蔵室20が所定の温度まで上昇すると、冷蔵システム25を稼動する。このとき、冷蔵用圧縮機21から吐出された冷媒は冷蔵用凝縮器22で凝縮した後、冷蔵用膨張機構23で減圧され、冷蔵用蒸発器24に供給される。そして、冷蔵用蒸発器24で蒸発した冷媒は冷蔵用圧縮機21へ還流する。同時に、冷蔵室20内の空気は冷蔵用蒸発器24と熱交換して冷却される。
また、図5において、Aは冷凍用圧縮機11の吸入冷媒、Bは冷凍用圧縮機11の吐出冷媒、Cは冷凍用凝縮器12の出口冷媒、Eは前段膨張機構31の出口冷媒、Fは過冷却熱交換器33の出口冷媒、Hは後段膨張機構32の出口冷媒、Iは蒸発器14の出口冷媒の状態を示す。ここで、過冷却熱交換器33による冷却効果はEF間のエンタルピー変化で示される。また、前段膨張機構31と後段膨張機構32はそれぞれ冷凍用圧縮機11の吸入配管と内部熱交換し、IJ間で示された吸入配管内の冷媒の温度上昇分の冷排熱がGH間で示された後段膨張機構32の冷媒の凝縮潜熱として回収されるとともに、JA間で示された吸入配管内の冷媒の温度上昇分の冷排熱がDE間で示された前段膨張機構31の冷媒の凝縮潜熱として回収される。
この結果、過冷却熱交換器33による冷却効果の分だけ冷凍システム34の冷凍効果が大きくなり、冷凍システム34の運転率が減少する。一方、過冷却熱交換器33による冷却効果は冷蔵システム25の負荷となるので冷蔵システム25の運転率が増加するが、冷凍システム34に比べて冷蔵システム25が高効率であるため、総合効率を向上することができる。同時に、負荷を調整することで冷蔵システム25が能力過多になる問題を緩和することができる。
ここで、前段膨張機構31と後段膨張機構32の流路抵抗で調整される過冷却熱交換器33の冷媒圧力は、冷蔵室20の設定温度である約3℃よりも5〜15℃高い飽和圧力とすることが望ましい。温度差が5℃以下では熱交換が困難になるとともに、15℃以上高い飽和圧力に設定した場合、前段膨張機構31と冷凍用圧縮機11の吸入配管との熱交換が困難となり、吸入配管が温度低下して結露の問題が発生する。同様に、前段膨張機構31を使用せず、冷凍用凝縮器12の出口冷媒を直接過冷却熱交換器33に供給すると、冷凍用圧縮機11の吸入配管が温度低下して結露の問題が発生するとともに、過冷却熱交換器33内が液冷媒で満たされるために冷媒封入量が大きく増加する問題も発生する。
また、前段膨張機構31と吸入配管の熱交換部は冷蔵室20と外郭を断熱する断熱壁面(図示せず)内に埋設することが望ましい。前段膨張機構31と吸入配管の熱交換部を冷凍室10の近傍に配置すると、冷凍室10との間に熱移動が生じて冷凍室10の負荷が増えるとともに、冷凍用圧縮機11の吸入配管が温度低下して結露の問題が発生する。
また、冷蔵用蒸発器24と過冷却熱交換器33を一体で形成することにより、冷凍システム34と冷蔵システム25が同時に稼動した場合に、冷蔵用蒸発器24の蒸発熱を利用して過冷却熱交換器33をより冷却することができるので、より大きな効率向上効果が期待できる。
また、過冷却熱交換器33を冷蔵用蒸発器24の風上側に配置することにより、冷凍システム34が稼動して冷蔵システム25が停止した場合に、冷蔵用蒸発器24の除霜を促進することができ、冷蔵室20をより高湿に保つことができる。
以上のように、本発明の冷蔵庫においては、冷凍ゾーンを冷却する冷凍システムと冷蔵ゾーンを冷却する冷蔵システムからなる2システム構成とし、冷凍システムの前段膨張機構と後段膨張機構の間に設けた過冷却熱交換器を冷蔵室内の空気で冷却することにより、冷凍用圧縮機の吸入配管が温度低下することを回避しながら、総合効率を向上することができるとともに、負荷を調整することで冷蔵システムが能力過多になる問題を緩和することができる。
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫は、冷凍ゾーンを冷却する冷凍システムとは独立して、冷蔵ゾーンを冷却する第二の冷凍システムを有する冷蔵庫において、最低限の冷媒封入量を維持しながら圧縮機の冷凍能力を調整することで高効率化を図ることができるので、可燃性冷媒を使用した2システム構成の冷凍機器にも適用できる。
本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷媒回路図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫背面の模式図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫の冷媒回路図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫の冷蔵用蒸発器の模式図 本発明の実施の形態2の冷蔵庫における冷凍システムのモリエル線図 従来の冷蔵庫の冷媒回路図 従来の冷蔵庫における蒸発温度と蒸気密度の関係を示した図
10 冷凍室
11 冷凍用圧縮機
13 冷凍用膨張機構
15 冷凍システム
20 冷蔵室
21 冷蔵用圧縮機
24 冷蔵用蒸発器
25 冷蔵システム
26 冷蔵庫背面
31 前段膨張機構
32 後段膨張機構
33 過冷却熱交換器
34 冷凍システム
41 放熱フィン
42 冷媒配管
43 冷媒配管

Claims (6)

  1. 食品等を冷凍温度で貯蔵する冷凍室と、冷凍用圧縮機と、冷凍用凝縮器と、冷凍用膨張機構と、冷凍用蒸発器と、からなり、前記冷凍室を冷却する冷凍システムと、
    食品等を冷蔵温度で貯蔵する冷蔵室と、冷蔵用圧縮機と、冷蔵用凝縮器と、冷蔵用膨張機構と、冷蔵用蒸発器と、からなり、前記冷蔵室を冷却する冷蔵システムと、
    を有する冷蔵庫において、
    前記冷凍用圧縮機の気筒容積に対する前記冷蔵用圧縮機の気筒容積の割合を1/3〜2/3とする冷蔵庫。
  2. 前記冷凍用凝縮器と前記冷蔵用凝縮器とは、前記冷蔵庫の外郭を形成する外箱の内面に密着固定された冷媒配管とするとともに、前記外箱を共通の放熱面とした請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記冷凍用圧縮機と前記冷蔵用圧縮機とを可変速圧縮機として、前記冷蔵用圧縮機の最低回転数は、前記冷凍用圧縮機の最低回転数よりも小さくした請求項1または2に記載の冷蔵庫。
  4. 前記冷凍用膨張機構は、前段膨張機構と後段膨張機構とを有るとともに、前記前段膨張機構と前記後段膨張機構の間に設置され、前記冷蔵用蒸発器あるいは前記冷蔵室と熱交換する過冷却熱交換器を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  5. 前記冷凍用圧縮機の吸入配管と前記前段膨張機構とを熱交換することで前記吸入配管の冷排熱の回収を行うとともに、熱交換部分を前記冷蔵室の断熱壁面内に埋設した請求項4に記載の冷蔵庫。
  6. 前記過冷却熱交換器と前記冷蔵用蒸発器とを一体で形成し、前記過冷却熱交換器の配管を前記冷蔵用蒸発器よりも風上側に配置した請求項4または5記載の冷蔵庫。
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