以下、図面を参照して、この発明の実施の形態に係る画像取得装置について説明する。なお、各図は、この発明が理解できる程度に、各構成要素の形状、大きさ、及び配置関係を概略的に示してあるに過ぎない。従って、この発明の構成は、何ら図示の構成例にのみ限定されるものではない。
〈第1の実施の形態〉
第1の実施の形態では、基板上に形成されているクラッドと、このクラッド内に埋め込まれているコアとを具えるスポットサイズ変換器について説明する。
図1(A)は、この発明の第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器の要部を概略的に表した平面図である。そして、図1(B)は、図1(A)に示す構造体について、図1(A)のI−I線、すなわち光伝播方向に直交する方向に沿って、基板の厚み方向に切り取った断面を示す図である。
なお、実際のスポットサイズ変換器では、図1(A)に示す構造体において、コア全体がクラッド内に埋め込まれて形成されているが、この図1(A)では、第1の実施の形態に係る特徴部分を明瞭に示すために、クラッドの一部を省略している。
また、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器は、例えばLDや光ファイバ等の外部光素子とSi細線導波路との間に配設される。そして、これら外部光素子及びSi細線導波路間において、外部光素子からSi細線導波路へ入力される入力光、またはSi細線導波路から外部光素子へ出力される出力光のスポットサイズ変換を行う。そのため、このスポットサイズ変換器の、少なくとも入力光または出力光が伝播する領域は、これら入力光及び出力光に対して透明な領域として形成されている。
第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11は、基板13上に形成されており、クラッド15及びコア17を含む光導波路部19を具えている。
そして、この第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、外部光素子からSi細線導波路へ入力される入力光、またはSi細線導波路から外部光素子へ出力される出力光は、入出力端面25、従って入出力ポートから入力または出力される。
なお、この第1の実施の形態では、図1に示すように、スポットサイズ変換器11によって、外部光素子としてのLD21から出射される入力光23を、図示しないSi細線導波路のスポットサイズに対応させるために、スポットサイズ変換する構成例について説明する。Si細線導波路は、例えば、スポットサイズ変換器11を挟んでLD21と対向する側に配置され、上述した光導波路部19と連続的かつ一体的に設けられている(図示せず)。
また、スポットサイズ変換器11は、入出力端面25が、LD21の、出射光、すなわちスポットサイズ変換器11への入力光23を出射する出射端面21aと正対し、かつ好ましくは、例えば1〜2μm離間して配置されている。
基板13は、好ましくは、例えば矩形状の平行平板とする。また、基板13を構成する材料は、好ましくは、例えば単結晶Siとする。
クラッド15は、基板13の上側表面13a、すなわち基板面13aの全面に渡って配置されている。また、クラッド15を構成する材料は、好ましくは、例えばSiO2とする。
コア17は、クラッド15内に埋め込まれて設けられており、直線的に延在して形成されている。
また、コア17の屈折率は、クラッド15の屈折率よりも高くなっている。より具体的には、この実施の形態では、コア17の屈折率を例えば3.5程度に、また、クラッド15の屈折率を例えば1.5〜1.7程度に設定するのが好ましい。この屈折率差によって、入出力端面25から光導波路部19に入力された入力光23は、コア17に閉じ込められ、その結果、コア17内を、コア17の延在方向に沿って伝播する。従って、この実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、コア17の延在方向が、矢印で示す光伝播方向27となる。
また、スポットサイズ変換器11は、コア17の厚みT1を、好ましくは、例えば0.3μmとする。また、コア17の下側、すなわちコア17及び基板13間のクラッド15の厚みT2を、好ましくは、例えば2μm、また、コア17の上側のクラッド15の厚みT3を、好ましくは、例えば2μmとする。
また、コア17は、延在方向、すなわち光伝播方向27に沿って、入出力端面25側に向かって先細となっている。このような形状、すなわちテーパ形状でコア17を形成することによって、LD21からの入力光23は、コア17を伝播しながらスポットサイズ変換される。
ここで、入力光23をスポットサイズ変換する目的で、コア17を先細形状とする場合には、コア17の厚みT1が入出力端面25側に向かって徐々に小さくなる形状、または光伝播方向27に直交し、かつ基板面13aに沿った幅、すなわち短手方向29に沿った幅W1が入出力端面25側に向かって徐々に小さくなる形状の、いずれの形状を採用してもよい。
そして、コア17を、厚みT1が入出力端面25側に向かって徐々に小さくなる形状とした場合には、コア17の、入出力端面25側の先端において、厚みT1が0となる。なお、この場合には、上述したコア17の厚みT1の好適値は、厚みT1の最大値であり、入出力端面25と対向する反対側の端部、すなわち図示しないSi細線導波路との界面17bにおける厚みである。
また、コア17を、幅W1が入出力端面25側に向かって徐々に小さくなる形状とした場合には、コア17の、入出力端面25側の先端において、幅W1が0となる。なお、図1(A)に示す構成例では、コア17の短手方向に沿った幅W1が、入出力端面25側に向かって徐々に幅狭となる形状を採用した場合について示している。
また、コア17の入出力端面25側の先端部17aは、LD21からの入力光23を効率良くコア17に入力するために、入出力端面25の面位置と一致させるのが好適である。ただし、LD21のスポットサイズ、製造の容易性、またはその他設計に応じて、先端部17a及び入出力端面25をわずかに離間させてもよい。なお、LD21のスポットサイズとは、このLD21から出射される入力光の光強度のピークの、短手方向29に沿った半値幅を意味する。また、図1(A)では、これら先端部17a及び入出力端面25間を、離間させた構成例について示している。
また、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、クラッド15に溝部31a及び31bが形成されている。
溝部31a及び31bは、光伝播方向27に沿って、コア17を挟んで、コア17の両側に設けられており、入出力端面25まで延在して形成されている。そして、溝部31a及び31bは、これら31a及び31b内の底面から基板面13aを露出さている。
このような溝部31a及び31bは、屈折率が大気と同様、すなわち1程度であるため、クラッド15と比して屈折率が低くなる。そのため、溝部31a及び31bを形成することによって、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、これら溝部31a及び31b間に挟まれた部分の光導波路部19、すなわちコア17、及びコア17を包含する周辺クラッド部分15aにおいて、入力された入力光23を、短手方向29に沿った両側から強く閉じ込めることができる。その結果、コア17及び周辺クラッド部分15aからなる、光導波路部19の部分、すなわち実効光導波路部19aに対して入力光23を入力することによって、この実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、基板13に光が漏れることなく、良好なカップリング効率でスポットサイズ変換を行うことができる。
なお、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、溝部31a及び31bを、クラッド15よりも屈折率の低い材料を用いて、埋め込む構成としてもよい。
ここで、溝部31a及び31b間の幅、すなわち実効光導波路部19aの短手方向29に沿った幅W2には、LD21のスポットサイズに応じた好適な値が存在することが、シミュレーションにより判明した。すなわち、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、溝部31a及び31b間の短手方向29に沿った幅、すなわち実効光導波路部19aの幅W2を、最大でもLD21のスポットサイズの70%以下とするのが好ましい。なお、このシミュレーションについては、その詳細を後述する。
このように、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、従来技術によるスポットサイズ変換器とは異なり、2重コア構造を形成することなく、クラッド15に溝部31a及び31bを設けるのみで、良好な光の閉じ込め効果を得ることができる。従って、この第1の実施の形態では、従来技術と比して、製造が容易で、かつ低コストで、効率良く光を閉じ込めることができるスポットサイズ変換器を提供することができる。
また、このような第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11は、例えば周知のSOI基板を用意することによって、容易に製造することができる。
すなわち、まず、単結晶Si層、SiO2膜、及びSi膜がこの順に積層されて構成されたSOI基板を用意する。そして、周知のエッチング技術を用いてSi膜を部分的に除去することによって、このSi膜の残存部分から、上述したコア17を形成する。しかる後、SOI基板全面に、コア17を埋め込んでSiO2膜を堆積する。これによって、上述したような、単結晶Si基板13上に、SiO2で構成されたクラッド15と、このクラッド15内に埋め込まれて形成されたコア17とを含む光導波路部19が形成される。さらに、クラッド15の、光伝播方向27に沿った、コア17の両側領域を、この両側領域から入出力端面25に渡って、周知のエッチング技術を用いて、基板面13aが露出するまで除去することによって、この除去領域を上述した溝部31a及び31bとする。
ここで、この発明に係る発明者らは、この第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器の特性を評価するために、また、種々の寸法の最適値を確認するために、BPM(Beam Propagation Method)を用いてシミュレーションを行った。
図2〜図8は、それぞれBPMによるシミュレーションの結果を示している。以下、これらの各結果について説明する。
なお、これら図2〜図8の各結果を得た各シミュレーションは、特に断らない限りは、図1(A)及び(B)に示す構成例による第1の実施の形態のスポットサイズ変換器11について、以下の各条件を設定して行った。
すなわち、各シミュレーションでは、コア17の下側のクラッド15の厚みT2を2μm、及びコア17の上側のクラッド15の厚みT3を2μmに設定した。
また、各シミュレーションでは、第1の実施の形態のスポットサイズ変換器11を、厚みが0.3μmであり、かつ厚み方向及び光伝播方向に直交する幅が0.3μmのコアを有するSi細線導波路と接続して使用する場合を想定して行った。そのために、スポットサイズ変換器11のコア17の厚みT1を0.3μmに設定した。そして、テーパ形状であるコア17の、短手方向に沿った幅W1の最大値、すなわち図示しないSi細線導波路のコアとの界面17bにおける幅W1を0.3μmに設定した。
また、各シミュレーションでは、LD21のスポットサイズを3μmとし、このLD21から出射される波長1.31μmの入力光23を、入出力端面25から実効光導波路部19aに入力した場合のカップリング効率について示している。
また、各図の縦軸は、スポットサイズ変換器11のカップリング効率を、光強度の相対値を以って示している。すなわち、LD21から出射される入力光23の光強度を1とし、この入力光23の、スポットサイズ変換器11によってスポットサイズ変換された場合における、光強度の相対値を示している。なお、各図には、この相対的な光強度値が1を超える結果を示しているものがある。これは、スポットサイズ変換されることによって、入力光23の形状が変化したことによる誤差だと考えられる。
まず、図2は、スポットサイズ変換器11における、光伝播方向27に沿ったコア17の長さL1、すなわちテーパ形状のテーパ長L1と、カップリング効率との関係を示す図である。図2において、横軸は、コア17の長さL1をμm単位で目盛ってある。なお、この図2の結果を得たシミュレーションでは、溝部31a及び31b間の幅、すなわち実効光導波路部19aの短手方向29に沿った幅W2を2μmとした。
また、図2における曲線Iは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を0μm、すなわち先端部17aを入出力端面25の面位置と一致させた場合の結果を示している。また、図2における曲線IIは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を10μmとした場合の結果を示している。また、図2における曲線IIIは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を20μmとした場合の結果を示している。
図2の結果から、スポットサイズ変換器11では、テーパ長L1が20μm以上であれば、各離間距離L2において、得られるカップリング効率が大きく変化しないことが明らかである。従って、この結果から、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、テーパ長L1を少なくとも20μmと設定するのが好ましい。
次に、図3は、スポットサイズ変換器11における、実効光導波路部19aの短手方向29に沿った幅W2と、カップリング効率との関係を示す図である。図3において、横軸は、実効光導波路部19aの幅W2をμm単位で目盛ってある。なお、この図3の結果を得たシミュレーションでは、テーパ長L1を30μmとした。
また、図3における曲線Iは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を0μm、すなわち先端部17aを入出力端面25の面位置と一致させた場合の結果を示している。また、図3における曲線IIは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を5μmとした場合の結果を示している。また、図3における曲線IIIは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を10μmとした場合の結果を示している。また、図3における曲線IVは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を15μmとした場合の結果を示している。また、図3における曲線Vは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を20μmとした場合の結果を示している。
図3の結果から、スポットサイズ変換器11では、LD21のスポットサイズが3μmである場合には、各離間距離L2において、実効光導波路部19aの幅W2が2μmよりも大きくなると、得られるカップリング効率が著しく低下することが分かる。従って、この結果から、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、LD21のスポットサイズが例えば3μmである場合には、実効光導波路部19aの幅W2を最大でも2μm以下に設定するのが好ましい。
次に、図4(A)及び(B)は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11の溝部31a及び31bの効果を評価するための図である。
図4(A)は、従来技術によるスポットサイズ変換器、すなわち溝部が形成されていないスポットサイズ変換器において、LDを短手方向に沿って両側にずらした場合のずれ量と、カップリング効率との関係を示す図である。
また、図4(B)は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11において、LD21を短手方向29に沿って両側にずらした場合のずれ量と、カップリング効率との関係を示す図である。なお、この図4(B)の結果を得たシミュレーションでは、溝部31a及び31b間の幅、すなわち実効光導波路部19aの幅W2を2μmとした。なお、図4(B)の結果を得たシミュレーションでは、図1に示す構成とは異なり、コア17の、先端部17aから延在し、基板面13aに直交する一方の側面を光伝播方向27に沿って平行とし、この一方の側面に対して、他方の側面を傾斜面とすることによって、テーパ形状とした構成例のスポットサイズ変換器11を想定している。
これら図4(A)及び(B)の結果を得たシミュレーションにおいて、サンプルとして想定した第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11と、従来技術によるスポットサイズ変換器とが構成上相違するのは、溝部の有無のみである。なお、これら図4(A)及び(B)の結果を得たシミュレーションでは、光伝播方向にそったコアの長さ、すなわちテーパ長を20μmとした。
また、図4(A)及び(B)において、横軸は、LDのスポットの光伝播方向に沿った中心軸と、スポットサイズ変換器の、コアの光伝播方向に沿った、短手方向の中心とが一致する点を0とし、この点からの短手方向に沿ったLDのずれ量をμm単位で目盛ってある。なお、この横軸では、LDを上述した0の点から、短手方向に沿って一方の側にずらした場合のずれ量を正の値で、また他方の側にずらした場合のずれ量を負の値で示している。
また、図4(A)における曲線Iは、従来技術によるスポットサイズ変換器において、コアの入出力端面側の先端部及び入出力端面間の離間距離を0μm、すなわち先端部を入出力端面の面位置と一致させた場合の結果を示している。また、図4(A)における曲線IIは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を5μmとした場合の結果を示している。また、図4(A)における曲線IIIは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を10μmとした場合の結果を示している。また、図4(A)における曲線IVは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を15μmとした場合の結果を示している。また、図4(A)における曲線Vは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を20μmとした場合の結果を示している。
また、図4(B)における曲線I’は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11において、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を0μm、すなわち先端部17aを入出力端面25の面位置と一致させた場合の結果を示している。また、図4(B)における曲線II’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を5μmとした場合の結果を示している。また、図4(B)における曲線III’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を10μmとした場合の結果を示している。また、図4(B)における曲線IV’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を15μmとした場合の結果を示している。また、図4(B)における曲線V’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を20μmとした場合の結果を示している。
これら図4(A)及び(B)の結果から明らかなように、それぞれのコアの先端部及び入出力端面間の離間距離において、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11は、従来技術によるスポットサイズ変換器と比して、良好なカップリング効率を示している。従って、この結果から、溝部31a及び31bを設けることによって、入力光23を効率良く実効光導波路部19a内に閉じ込められることが確認された。
また、これら図4(A)及び(B)の結果から、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11及び従来技術によるスポットサイズ変換器では、LDとスポットサイズ変換器との、短手方向に沿った位置ずれによる、カップリング効率への影響が同程度であることが分かる。ただし、上述したように、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11は、それぞれのコアの先端部及び入出力端面間の離間距離において、従来技術によるスポットサイズ変換器と比して、カップリング効率が向上しているため、LDが短手方向に沿ってずれた場合においても、良好なカップリング効率を得ることができる。
次に、図5は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11において、図4(B)と同様に、LD21を短手方向29に沿って両側にずらした場合のずれ量と、カップリング効率との関係を示す図である。なお、この図5の結果を得たシミュレーションでは、溝部31a及び31b間の幅、すなわち実効光導波路部19aの幅W2を1μmとした。また、この図5の結果を得たシミュレーションでは、テーパ長L1を20μmとした。
また、図5において、横軸は、LDのスポットの光伝播方向に沿った中心軸と、スポットサイズ変換器の、コアの光伝播方向に沿った、短手方向の中心とが一致する点を0とし、この点からの短手方向に沿ったLD21のずれ量をμm単位で目盛ってある。なお、この横軸では、LD21を上述した0の点から、短手方向29に沿って一方の側にずらした場合のずれ量を正の値で、また他方の側にずらした場合のずれ量を負の値で示している。
また、図5における曲線Iは、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11において、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を0μm、すなわち先端部17aを入出力端面25の面位置と一致させた場合の結果を示している。また、図5における曲線IIは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を5μmとした場合の結果を示している。また、図5における曲線IIIは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を10μmとした場合の結果を示している。また、図5における曲線IVは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を15μmとした場合の結果を示している。また、図5における曲線Vは、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を20μmとした場合の結果を示している。
図5の結果を、既に説明した図4(B)の結果と比較すると、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、実効光導波路部19aの幅W2を1μmまで短縮したことによって、各離間距離L2において、得られるカップリング効率が向上していることが分かる。
また、図5の結果を得たシミュレーションでは、スポットサイズ変換器11の実効光導波路部19aの幅W2を短縮したことによって、入力光23が入射される、入出力端面25の短手方向29に沿った実質的な幅が短くなっている。その結果、LD21の短手方向29に沿ったずれが、図4(B)の結果を得たシミュレーション、すなわち実効光導波路部19aの幅W2を2μmとした場合と比して、大きく影響している。しかし、図5の結果から明らかなように、幅W2が1μmに設定されたスポットサイズ変換器11は、LD21のずれ量が−0.5〜0.5μmの範囲内であれば、このずれの影響をほとんど受けず、良好なカップリング効率を示している。そして、幅W2が1μmの実効光導波路部19aに対して、スポットサイズが3μmのLD21を、−0.5〜0.5μmの範囲内のずれ量に抑えて位置決めすることは、容易であるため、幅W2を1μmとしたスポットサイズ変換器11においても、良好なカップリング効率を得ることができるといえる。
次に、図6(A)及び(B)は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11の溝部31a及び31bの効果を評価するための図である。
図6(A)は、従来技術によるスポットサイズ変換器、すなわち溝部が形成されていないスポットサイズ変換器において、LDを基板の厚み方向に沿って上下にずらした場合のずれ量と、カップリング効率との関係を示す図である。
また、図6(B)は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11において、LD21を、基板13の厚み方向に沿って上下にずらした場合のずれ量と、カップリング効率との関係を示す図である。なお、この図4(B)の結果を得たシミュレーションでは、溝部31a及び31b間の幅、すなわち実効光導波路部19aの幅W2を2μmとした。
これら図6(A)及び(B)の結果を得たシミュレーションにおいて、サンプルとして想定した第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11と、従来技術によるスポットサイズ変換器とが構成上相違するのは、溝部の有無のみである。なお、これら図6(A)及び(B)の結果を得たシミュレーションでは、光伝播方向にそったコアの長さ、すなわちテーパ長を20μmとした。また、既に説明したように、このシミュレーションでは、LDから出射される入力光の波長を1.31μmとした。
また、図6(A)及び(B)において、横軸は、LDのスポットの光伝播方向に沿った中心軸と、スポットサイズ変換器の、コアの光伝播方向に沿った、厚み方向の中心とが一致する点を0とし、この点からの厚み方向に沿ったLDのずれ量をμm単位で目盛ってある。なお、この横軸では、LDを上述した0の点から、厚み方向に沿って上側にずらした場合のずれ量を正の値で、また下側にずらした場合のずれ量を負の値で示している。
また、図6(A)における曲線Iは、従来技術によるスポットサイズ変換器において、コアの入出力端面側の先端部及び入出力端面間の離間距離を0μm、すなわち先端部を入出力端面の面位置と一致させた場合の結果を示している。また、図6(A)における曲線IIは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を5μmとした場合の結果を示している。また、図6(A)における曲線IIIは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を10μmとした場合の結果を示している。また、図6(A)における曲線IVは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を15μmとした場合の結果を示している。また、図6(A)における曲線Vは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を20μmとした場合の結果を示している。
また、図6(B)における曲線I’は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11において、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を0μm、すなわち先端部17aを入出力端面25の面位置と一致させた場合の結果を示している。また、図6(B)における曲線II’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を5μmとした場合の結果を示している。また、図6(B)における曲線III’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を10μmとした場合の結果を示している。また、図6(B)における曲線IV’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を15μmとした場合の結果を示している。また、図6(B)における曲線V’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を20μmとした場合の結果を示している。
これら図6(A)及び(B)の結果から明らかなように、それぞれのコアの先端部及び入出力端面間の離間距離において、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11は、従来技術によるスポットサイズ変換器と比して、良好なカップリング効率を示している。従って、溝部31a及び31bを設けることによって、入力光23を効率良く実効光導波路部19a内に閉じ込められることが確認された。
また、これら図6(A)及び(B)の結果から、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11及び従来技術によるスポットサイズ変換器では、LDとスポットサイズ変換器との、厚み方向に沿った位置ずれによる、カップリング効率への影響が同程度であることが分かる。ただし、上述したように、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11は、それぞれのコアの先端部及び入出力端面間の離間距離において、従来技術によるスポットサイズ変換器と比して、カップリング効率が向上しているため、LDが厚み方向に沿ってずれた場合においても、良好なカップリング効率を得ることができる。
次に、図7(A)及び(B)は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11の溝部31a及び31bの効果を評価するための図である。
これら図7(A)及び(B)は、上述した図6(A)及び(B)を得たシミュレーションと同様のシミュレーションを、LDからの入力光の波長、及びコアの光伝播方向に沿った長さ、すなわちテーパ長を変更して行うことによって得た。すなわち、このシミュレーションでは、LDからの入力光の波長を1.49μmとした。また、このシミュレーションでは、従来技術によるスポットサイズ変換器及び第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11のそれぞれにおいて、コアのテーパ長を10μmとした。なお、その他の構成は、上述した図6(A)及び(B)を得たシミュレーションにおいてサンプルとした、従来技術によるスポットサイズ変換器及び第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11と同様である。
また、図7(A)及び(B)において、横軸は、図6(A)及び(B)と同様に、LDの厚み方向に沿ったLDのずれ量をμm単位で目盛ってある。
また、図7(A)における曲線Iは、従来技術によるスポットサイズ変換器において、コアの入出力端面側の先端部及び入出力端面間の離間距離を0μm、すなわち先端部を入出力端面の面位置と一致させた場合の結果を示している。また、図7(A)における曲線IIは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を5μmとした場合の結果を示している。また、図7(A)における曲線IIIは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を10μmとした場合の結果を示している。また、図7(A)における曲線IVは、コアの先端部及び入出力端面間の離間距離を15μmとした場合の結果を示している。
また、図7(B)における曲線I’は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11において、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を0μm、すなわち先端部17aを入出力端面25の面位置と一致させた場合の結果を示している。また、図7(B)における曲線II’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を5μmとした場合の結果を示している。また、図7(B)における曲線III’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を10μmとした場合の結果を示している。また、図7(B)における曲線IV’は、先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を15μmとした場合の結果を示している。
これら図7(A)及び(B)から明らかなように、入力光の波長が1.49μmの場合においても、それぞれのコアの先端部及び入出力端面間の離間距離において、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11は、従来技術によるスポットサイズ変換器と比して、良好なカップリング効率を示している。従って、溝部31a及び31bを設けることによって、入力光23を効率良く実効光導波路部19a内に閉じ込められることが確認された。
また、これら図7(A)及び(B)の結果から、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11及び従来技術によるスポットサイズ変換器では、LDとスポットサイズ変換器との、厚み方向に沿った位置ずれによる、カップリング効率への影響が同程度であることが分かる。
ここで、例えば光加入者系システム等の、一本の光ファイバを用いて光信号の送受信を行う光送受信システムでは、多くの場合、加入者側から局への上り光信号として波長1.31μmの光信号が、また、局から加入者側への下り光信号として波長1.49μmの光信号が、それぞれ用いられる。そして、上述した図6(A)及び(B)と図7(A)及び(B)の結果から明らかなように、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11は、波長1.31μmの入力光及び波長1.49μmの入力光の、双方に対して良好なカップリング効率を得られることが分かった。従って、この第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11は、上述した光送受信システムにおいて、上り光信号及び下り光信号の、いずれの光信号に対しても、良好なカップリング効率でスポットサイズ変換することができる。
次に、図8(A)及び(B)は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11における、実効光導波路部19aの短手方向29に沿った幅W2と、カップリング効率との関係を示す図である。これら図8(A)及び(B)において、横軸は、実効光導波路部19aの幅W2をμm単位で目盛ってある。
そして、図8(A)は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11に対して、スポットサイズが3μmのLD21からの入力光23を入力した場合の結果を示している。なお、この結果を得たシミュレーションでは、コア17の光伝播方向27に沿った長さL1、すなわちテーパ長L1を30μmに、また、コア17の先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を5μmに設定した。
また、図8(B)は、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11に対して、スポットサイズが6μmのLD21からの入力光23を入力した場合の結果を示している。なお、この結果を得たシミュレーションでは、コア17の光伝播方向27に沿った長さL1、すなわちテーパ長L1を70μmに、また、コア17の先端部17a及び入出力端面25間の離間距離L2を5μmに設定した。
また、図8(A)における曲線Iは、コア17の下側のクラッド15の厚みT2を1μm、及びコア17の上側のクラッド15の厚みT3を1μmに設定した場合の結果を示している。また、図8(A)における曲線IIは、厚みT2を2μm、及び厚みT3を2μmに設定した場合の結果を示している。また、図8(A)における曲線IIIは、厚みT2を3μm、及び厚みT3を3μmに設定した場合の結果を示している。
また、図8(B)における曲線I’は、コア17の下側のクラッド15の厚みT2を2μm、及びコア17の上側のクラッド15の厚みT3を2μmに設定した場合の結果を示している。また、図8(A)における曲線II’は、厚みT2を3μm、及び厚みT3を3μmに設定した場合の結果を示している。
図8(A)の結果から、スポットサイズ変換器11では、LD21のスポットサイズが3μmである場合には、クラッド15の各厚みT2及びT3において、実効光導波路部19aの幅W2が2μm以内であれば、良好なカップリング効率が得られることが分かる。
また、図8(B)の結果から、スポットサイズ変換器11では、LD21のスポットサイズが6μmである場合には、クラッド15の各厚みT2及びT3において、実効光導波路部19aの幅W2が2〜4μm以内であれば、良好なカップリング効率が得られることが分かる。
従って、これら図8(A)及び(B)の結果から明らかなように、第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11では、良好なカップリング効率を得るために、実効光導波路部19aの幅W2を、最大でもLD21のスポットサイズの70%以下とするのが好適であるといえる。
〈第1の変形例〉
第1の変形例では、上述した第1の実施の形態において説明した溝部31a及び31bの構成(図1(B)参照)を、上述した構成例から変更したスポットサイズ変換器について説明する。
この第1の変形例では、上述した光の閉じ込めの効果をより効率良く得るために、上述した第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11(図1(A)及び(B)参照)に、さらに追加的な構成を設ける。それ以外の構成要素及び作用効果は、第1の実施の形態と同様であるので、共通する構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
図9は、第1の変形例を説明する概略的な断面図である。なお、この図9に示す断面は、図1(A)に示すI−I線に沿って、基板の厚み方向に切り取った断面に相当する。
第1の変形例によるスポットサイズ変換器35では、コア17を包含する周辺クラッド部分15aに、溝部31a及び31bが形成されている。
横溝37a及び37bは、コア17側に向かって、基板面13aに沿って形成されている。
このような、第1の変形例によるスポットサイズ変換器35では、溝部31a及び31bによる、短手方向29に沿った両側からの光の閉じ込め効果に加えて、さらに横溝37a及び37bによって、実効光導波路部分19aと基板13との間において、基板13の厚み方向に沿った、下側からの、光の閉じ込め効果を得ることができる。従って、この第1の変形例によるスポットサイズ変換器35の構成では、上述した第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器の光の閉じ込め効果を、さらに効率良く得ることができる。
〈第2の変形例〉
第2の変形例では、上述した第1の実施の形態または第1の変形例において説明した溝部31a及び31bの構成(図1(B)及び図9参照)を、上述したこれらの構成例から変更したスポットサイズ変換器について説明する。
この第2の変形例では、上述した光の閉じ込めの効果をより効率良く得るために、上述した第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11(図1(A)及び(B)参照)、または第1の変形例によるスポットサイズ変換器35に、さらに追加的な構成を設ける。それ以外の構成要素及び作用効果は、第1の実施の形態と同様であるので、共通する構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。そして、ここでは、上述した第1の実施の形態によるスポットサイズ変換器11に、この第2の変形例を適用した場合の構成例について、図示するとともに説明する。
図10は、第2の変形例を説明する概略的な断面図である。なお、この図 に示す断面は、図1(A)に示すI−I線に沿って、基板の厚み方向に切り取った断面に相当する。
第3の変形例によるスポットサイズ変換器39では、周辺クラッド部分15aの露出表面15b、すなわち実効光導波路部19aの露出表面15bが、反射膜41で被覆されている。
反射膜41は、好ましくは、例えば屈折率が3.5程度の単結晶Siを材料として、例えば0.1μm程度の厚みで設けるのがよい。
このような、第2の変形例によるスポットサイズ変換器39では、反射膜41によって実効光導波路部19aが被覆されているため、実効光導波路部19a内に入力された光は、短手方向29に沿った両側から、及び基板13の厚み方向に沿った上側から、この反射膜41によって閉じ込められる。従って、この第2の変形例によるスポットサイズ変換器39の構成では、上述した第1の実施の形態または第1の変形例によるスポットサイズ変換器の光の閉じ込め効果を、さらに効率良く得ることができる。
ここで、図10では、反射膜41が、周辺クラッド部分15aの露出表面15b、すなわち基板面13aに対向する上面15ba、及び溝部31a及び31bの内側壁面として露出した、基板面13aに直交しかつ光伝播方向27に沿った両側側面15bb及び15bcの全面を覆う構成例を示している。しかし、この第2の変形例によるスポットサイズ変換器39では、製造の容易性、製造コスト、その他設計に応じて、反射膜41が、周辺クラッド部分15aの露出表面15bの一部、例えば上面15baのみを覆う構成としてもよい。この場合には、上面15baへの光の漏れは、反射膜41による閉じ込め効果によって抑えられ、短手方向29に沿った両側への光の漏れは、溝部31a及び31bによる閉じ込め効果によって抑えられる。