本発明の一実施形態を図1〜図6を参照して説明する。まず、本実施形態の加熱調理器の構成を図1〜図3を参照して説明する。図1は本実施形態の加熱調理器(ガスコンロ)の外観斜視図、図2(a),(b)は該加熱調理器に備えた操作パネルの平面図、図3は該加熱調理器のシステム構成を模式的に示す図である。
本実施形態の加熱調理器1は、ビルトインタイプのガスコンロ(グリル付きガスコンロ)であり、図1に示すように、コンロ本体2と、このコンロ本体2の天板3に形成された開口に臨んで露出するように設けられた複数(本実施形態では3個)の加熱源としてのコンロバーナ4,4,4と、コンロ本体2に内蔵されたグリル5とを備える。コンロバーナ4,4,4のうちの2つは、コンロ本体2の前部側の左右に配置され、残りの1つは、コンロ本体2の後部側に配置されている。また、グリル5は、その庫内(調理物の収容空間)の上下に配置されたグリルバーナ6a,6b(図3に示す)を備えている。
天板3には、各コンロバーナ4に対応する五徳7が該コンロバーナ4を囲むように設置されている。そして、各コンロバーナ4の中心部には、該コンロバーナ4用の五徳7上に載置される調理容器W(図3に示す)の温度を検出する温度検出手段である温度センサ8が設けられている。各温度センサ8は、五徳7上に調理容器Wを載置したときに、該調理容器Wの底面に当接するように、図示しないバネによって上方に付勢されており、その当接状態で検出した温度に応じた信号を該調理容器Wの検出温度を示す信号として出力する。
なお、以降の説明では、3つのコンロバーナ4,4,4のうち、左側に配置されたコンロバーナ4を左コンロ4L、右側に配置されたコンロバーナ4を右コンロ4R、これらの左コンロ4L及び右コンロ4Rの後ろ側に配置されたコンロバーナ4を後コンロ4Bということがある。また、これらの左コンロ4L、右コンロ4R、後コンロ4Bにそれぞれ関連する構成要素であることを示す場合に、該構成要素の参照符号の末尾に、“L”、“R”、“B”の参照符号を付加する。例えば、“温度センサ8L”と表記した場合は、その温度センサ8Lは、左コンロ4Lに対応する温度センサであることを示す。
コンロ本体2の前面には、グリル5の庫内を開閉するグリル扉9が設けられている。そして、このグリル扉9の右側には、左コンロ4L、後コンロ4B、右コンロ4Rにそれぞれ対応するコンロ用の3個の点火・消火ボタン10(10L,10B,10R)が配置され、グリル扉9の左側には、グリル5用の点火・消火ボタン11が配置されている。さらに、コンロ用の点火・消火ボタン10L,10B,10Rの下側と、グリル5用の点火・消火ボタン11下側とには、それぞれ、押し操作によって出没可能な右側操作パネル12、左側操作パネル13が設けられている。
コンロ用の点火・消火ボタン10のそれぞれは、押し操作と回転操作とを行うことが可能な操作子であり、その押し操作は、それぞれに対応するコンロバーナ4の点火又は消火を行うための操作、回転操作は、それぞれに対応するコンロバーナ4の火力調整(該コンロバーナ4への燃料ガスの供給量の調整)を行うための操作となっている。同様に、グリル5用の点火・消火ボタン11は、押し操作と回転操作とを行うことが可能な操作子であり、その押し操作は、グリルバーナ6a,6bの点火又は消火を行うための操作、回転操作は、グリルバーナ6a,6bの火力調整(グリルバーナ6a,6bへの燃料ガスの供給量の調整)を行うための操作となっている。これらの点火・消火ボタン10,11のそれぞれは、その操作状態を示す信号を後述するコントロールユニット50(図3に示す)に出力するように構成されている。
図2(a),(b)はそれぞれ、前記右側操作パネル12、左側操作パネル13を露出させた状態で示す平面図である。
図2(a)に示す右側操作パネル12は、主に、コンロバーナ4を使用した自動調理等に関する設定をユーザが行うための操作パネルであり、左コンロ4L、後コンロ4B、右コンロ4Rにそれぞれ専用の操作部14L,14B,14Rと、これらの左コンロ4L、後コンロ4B、右コンロ4Rで共用する操作部15とを備えている。本実施形態の例では、操作部14L,14Rには、それぞれ、例えば湯沸し時の自動消火を行うための湯沸し用スイッチ16、揚げ物調理での保温を指定した温度で自動的に行うための揚げ物調理用スイッチ17等が設けられている。また、操作部14Bには、炊飯調理における火力調整や消火を自動的に行うための炊飯調理用スイッチ18等が設けられている。
また、共用の操作部15は、本実施形態では、いずれかのコンロバーナ4でのタイマー運転(ユーザによって選択されたコンロバーナ4の燃焼運転を設定された時間だけ行う運転)に関する操作部となっている。そして、該操作部15には、タイマー運転を行うコンロバーナ4を選択するためのコンロ選択スイッチ19と、タイマー運転の設定時間をそれぞれ増加・減少させるためのアップスイッチ20u及びダウンスイッチ20dと、選択されたコンロバーナ4がどのコンロバーナ4であるかを表示する選択コンロ表示部21と、タイマー運転の設定時間を表示するタイマー時間表示部22とを備えている。
一方、図2(b)に示す左側操作パネル13は、主に、グリル5を使用した自動調理等に関する設定をユーザが行うための操作パネルである。この左側操作パネル13は、例えば、グリル5での調理種類を設定するためのメニュースイッチ23、調理物の焼き加減を設定するための焼き加減スイッチ24、グリル5のタイマー運転(グリルバーナ6a,6bの燃焼運転を設定された時間だけ行う運転)の設定時間をそれぞれ増加・減少させるためのアップスイッチ25u及びダウンスイッチ25d、該タイマー運転の設定時間を表示するタイマー時間表示部26等を備えている。
なお、本実施形態では、右側操作パネル12の操作部15のタイマー運転選択スイッチ19、アップスイッチ20u及びダウンスイッチ20dと、左側操作パネル13のアップスイッチ25uは、詳細を後述する焦げ付き防止要求レベルの設定を行うための焦げ付き防止要求レベル設定手段としての機能を兼ねている。そして、この焦げ付き防止要求レベルの設定時には、右側操作パネル12のタイマー時間表示部22は、設定された焦げ付き防止要求レベルを表示する表示部として機能するようになっている。
また、上記した右側操作パネル12及び左側操作パネル13の各スイッチは、その操作に応じた信号を後述するコントロールユニット50に出力するように構成されている。そして、右側操作パネル12及び左側操作パネル13の各表示部の表示は、該コントロールユニット50によって制御されるようになっている。
図3を参照して、加熱調理器1は、上述した構成の他、左コンロ4L、後コンロ4B、右コンロ4Rにそれぞれ燃料ガスを供給するガス供給路31(31L,31B,31R)と、グリルバーナ6a,6bに燃料ガスを供給するガス供給路32と、加熱調理器1の運転制御を行うコントロールユニット50とを、コンロ本体2の内部に備えている。
ガス供給路31,32のそれぞれは、外部から燃料ガスが導入される共通のメインガス供給路33から分流されている。そして、ガス供給路31,32のそれぞれには、該ガス供給路31,32を開閉する電磁弁34と、該ガス供給路31,32のガス流量を調整する(ひいては火力を調整する)ための流量調整弁35とが介装されている。各流量調整弁35は、本実施形態では、その開度を、ステッピングモータ等の電動アクチュエータ(図示省略)を介して変更可能な電動式の流量調整弁である。なお、流量調整弁35は、その開度を、適宜の操作子の操作によって機械的に変化させ得るものであってもよい。
コントロールユニット50は、マイクロコンピュータを含む電子回路ユニットであり、前記したコンロ用の各点火・消火ボタン10、グリル5用の点火・消火ボタン11、右側操作パネル12、左側操作パネル13、各温度センサ8、各電磁弁34、及び各流量調整弁35に電気的に接続されている。なお、図示は省略するが、コントロールユニット50には、コンロバーナ4及びグリルバーナ6a,6bのそれぞれの燃焼炎を検知する熱電対、コンロバーナ4及びグリルバーナ6a,6bそれぞれの点火を行うためのイグナイタ等も接続されている。
このコントロールユニット50は、コンロ用の各点火・消火ボタン10もしくはグリル5用の点火・消火ボタン11から入力される操作信号、右側操作パネル12もしくは左側操作パネル13から入力される操作信号、各温度センサ8から入力される検出温度の信号等に応じて、所定の制御処理を実行することによって、各電磁弁34や流量調整弁35の動作を制御したり、各操作パネル12,13の表示部の表示を制御する。この場合、コントロールユニット50は、本発明における制御手段として機能するものである。また、該コントロールユニット50は、それが実行する制御処理により実現される機能として、本願発明における蒸し焼き料理判断手段、第1判断手段、調理容器持上げ判断手段、及び第2判断手段を含んでいる。
次に、本実施形態の加熱調理器1の作動を図4〜図6を参照して説明する。図4は、個々のコンロバーナ4に対応する焦げ付き防止要求レベルをコントロールユニット50に対して設定する処理を示すフローチャート、図5及び図6は、いずれかのコンロバーナ4を使用した調理時にコントロールユニット50が実行する制御処理を示すフローチャートである。
ここで、図4〜図6の処理を説明する前に、本実施形態の加熱調理器1の作動の概要と前記焦げ付き防止要求レベルとについて説明をしておく。
本実施形態の加熱調理器1では、各コンロバーナ4を使用した調理時に、五徳7上に載置される調理容器Wの温度が、該調理容器Wに接する温度センサ8により検出され、その検出信号がコントロールユニット50に入力される。そして、該コントロールユニット50は、温度センサ8から入力される検出信号によって、調理容器Wの温度を逐次認識する。以下、温度センサ8の検出信号により認識される調理容器Wの温度を検出温度TSという。
そして、自動調理以外の通常の調理時においては、コントロールユニット50は、調理容器Wの検出温度TSが平衡温度TH(該検出温度TSがほぼ一定に保たれる平衡状態での温度)に達したか否かを監視する。そして、コントロールユニット50は、検出温度TSが平衡温度THに達したことを検知した場合には、基本的には、調理容器Wで行われている料理が煮物料理であると見なし、その調理物の焦げ付きを防止するための焦げ付き防止用制御処理を実行する。この焦げ付き防止用制御処理では、コントロールユニット50は、調理容器Wの検出温度TSが平衡温度THに達した後に、該調理容器W内の水分の蒸発によって、検出温度TSが平衡温度THよりも第1所定温度だけ高い温度以上に上昇するという第1条件を少なくとも含む所定の必要条件が成立した場合に、当該調理容器Wを加熱しているコンロバーナ4の燃焼運転を停止させる(該コンロバーナ4への燃料ガスの供給を遮断して該コンロバーナ4を消火する)。
前記焦げ付き防止要求レベル(以下、参照符号Kx_lbを付する)は、上記焦げ付き防止用制御処理によって調理物の焦げ付きを防止することの要求度合いを表すものである。ここで、調理物の焦げ付きを防止することの要求度合い(以下、焦げ付き防止の要求度合いということがある)は、それが高いほど、ユーザにとって許容される調理物の焦げ付きの程度(焦げ付きの許容度合い)が低く、該調理物の焦げ付きを防止することのより高い確実性が要求されるということを意味する。
この焦げ付き防止要求レベルKx_lbは、本実施形態では、各コンロバーナ4毎に、ユーザによる前記操作パネル12,13の操作によって、“1”〜“5”までの5種類のレベル(整数値)に設定可能とされている。そして、コントロールユニット50は、この焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値に応じて(ひいては焦げ付き防止の要求度合いに応じて)、前記第1条件における第1所定温度を可変的に決定し、その決定した第1所定温度を前記焦げ付き防止用制御処理で使用する。
この場合、本実施形態では、焦げ付き防止要求レベルKx_lbは、その設定値が大きいほど、調理物の焦げ付き防止の要求度合いが低いこと(換言すれば、焦げ付きの許容度合いが高いこと)を意味する。そして、コントロールユニット50は、基本的には、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値が大きいほど(焦げ付き防止の要求度合いが低いほど)、前記第1所定温度を高くするように該第1所定温度を決定する。
具体的には、本実施形態では、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値が“3”以上である場合(Kx_lb=3又は4又は5である場合)には、前記第1所定温度は、Kx_lb=5である場合、Kx_lb=4である場合、Kx_lb=3である場合にそれぞれ、例えば50℃、40℃、30℃に決定される。また、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値が“3”よりも小さい場合(Kx_lb=1又は2である場合)には、第1所定温度は、Kx_lb=3である場合の第1所定温度と同じ温度(本実施形態では30℃)に決定される。なお、本実施形態では、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値は、前記第1所定温度を決定するために用いられるだけでなく、前記焦げ付き防止用制御処理を実行するための必要条件に含まれる、上記第1条件以外の条件が成立するか否かの判断にも使用される。
以上説明したことを踏まえて、以下に図4〜図6の処理を説明する。なお、図4〜図6では、操作パネル12,13の各スイッチを“SW”と略記する。
コンロバーナ4のそれぞれに対応する前記焦げ付き防止要求レベルKx_lbは、加熱調理器1の運転停止状態(各コンロバーナ4の消火状態)において、図4のフローチャートで示すように設定される。
すなわち、加熱調理器1の運転停止状態において、コントロールユニット50は、右側操作パネル12の共用の操作部15のアップスイッチ20uと、左側操作パネル13のアップスイッチ25uとが、3秒以上同時にON操作(押し操作)されたか否かを監視している(STEP1)。
この場合、ユーザがアップスイッチ20u,25uを同時に3秒以上、ON操作することによってSTEP1の判断結果が肯定的となると、コントロールユニット50の処理の動作モードが、焦げ付き防止要求レベルKx_lbを設定するための動作モードとなる。
そして、この場合には、コントロールユニット50は、まず、所定のデフォルトのコンロバーナ4、例えば右コンロ4Rを、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定対象のコンロバーナ4として設定する(STEP2)。以降、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定対象のコンロバーナ4を、設定対象コンロバーナKxと称する。設定対象コンロバーナKxは、左コンロ4L、後コンロ4B、右コンロ4Rのうちのいずれかである。
次いで、コントロールユニット50は、設定対象コンロバーナKxに関して現在記憶保持している焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値を右側操作パネル12のタイマー時間表示部22に表示させる(STEP3)。また、このSTEP3では、選択コンロ表示部21に、現在の設定対象コンロバーナKxが左コンロ4L、後コンロ4B、右コンロ4Rのうちのいずれであるかを示す表示が行われる。
次いで、コントロールユニット50は、STEP4,6で右側操作パネル12のアップスイッチ20u又はダウンスイッチ20dがON操作(押し操作)されたか否かを監視する。
この場合、ユーザは、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値を現在値(タイマー時間表示部22で現在表示されている値)よりも大きくしたい場合には、アップスイッチ20uをON操作し、該設定値を現在値よりも小さくしたい場合には、ダウンスイッチ20dをON操作する。
そして、コントロールユニット50は、アップスイッチ20uがON操作された場合には、その1回のON操作毎に、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値を現在値から“1”だけ増加させる(STEP5)。ただし、Kx_lbの上限値は“5”であり、STEP5の処理結果のKx_lbの設定値が“5”よりも大きくなる場合には、Kx_lbの設定値は、上限値“5”に維持される。
また、コントロールユニット50は、ダウンスイッチ20dがON操作された場合には、その1回のON操作毎に、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値を現在値から“1”だけ減少させる(STEP7)。ただし、Kx_lbの下限値は“1”であり、STEP5の処理結果のKx_lbの設定値が“1”よりも小さくなる場合には、Kx_lbの設定値は、下限値“1”に維持される。
そして、コントロールユニット50は、STEP5又は7の処理に続いて、前記STEP3の処理を実行し、Kx_lbの新たな設定値をタイマー時間表示部22に表示させる。
設定対象コンロバーナKxに関する焦げ付き防止要求レベルKx_lbが、ユーザが所望するレベルに更新された場合、あるいは、設定対象コンロバーナKxに関する焦げ付き防止要求レベルKx_lbが既にユーザが所望するレベルになっていた場合には、アップスイッチ20u及びダウンスイッチ20dの両者がON操作されない状況となり、STEP4,6の判断結果がいずれも否定的となる。
この場合には、コントロールユニット50は、さらに、右側操作パネル12のコンロ選択スイッチ19がON操作(押し操作)されたか否かを監視する(STEP8)。
この場合、ユーザは、前記選択コンロ表示部21で表示されている現在の設定対象コンロバーナKxと異なるコンロバーナ4についての焦げ付き防止要求レベルKx_lbを確認もしくは設定しようとする場合には、右側操作パネル12のコンロ選択スイッチ19をON操作(押し操作)することによって、設定対象コンロバーナKxを選択する。この時、コンロ選択スイッチ19がON操作される毎に、選択されるコンロバーナ4が、左コンロ4L、後コンロ4B、右コンロ4Rの中で順番に切り替わり、それに伴い、選択コンロ表示部21で表示されるコンロバーナ4が切り替わるようになっている。
そして、コントロールユニット50は、コンロ選択スイッチ19のON操作によって最終的にユーザにより選択されたコンロバーナ4を改めて設定対象コンロバーナKxとして設定し(STEP9)、前記STEP3からの処理を繰り返す。これにより、STEP9で改めて設定された設定対象コンロバーナKxに関する焦げ付き防止要求レベルKx_lbの確認もしくは更新が行われることとなる。
以上のようにして、一つ以上のコンロバーナ4についての焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定、あるいは、確認が終了すると、STEP4、6、8の判断結果がいずれも否定的になる。そして、この時、コントロールユニット50は、アップスイッチ20u、ダウンスイッチ20d、及びコンロ選択スイッチ19以外のスイッチがON操作(押し操作)されたか否かを判断する(STEP10)。
この場合、STEP10で、アップスイッチ20u、ダウンスイッチ20d、及びコンロ選択スイッチ19以外のスイッチがON操作されない場合には、コントロールユニット50の処理は、いずれかのスイッチの操作待ち状態となり、STEP3の処理に戻る。また、STEP10で、アップスイッチ20u、ダウンスイッチ20d、及びコンロ選択スイッチ19以外のスイッチがON操作された場合には、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定を行う動作モードの処理が終了され、コントロールユニット50の処理は、前記STEP1の処理に復帰する。
以上説明した図4の処理によって、右側操作パネル12の共用の操作部15のアップスイッチ20uと、左側操作パネル13のアップスイッチ25uとを使用する特定の操作によって、コントロールユニット50の処理の動作モードが焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定用の動作モードに移行する。そして、この動作モードにおいて、右側操作パネル12のアップスイッチ20u、ダウンスイッチ20d、コンロ選択スイッチ19をON操作することよって、ユーザは、各コンロバーナ4についての焦げ付き防止要求レベルKx_lbを所望のレベルに設定したり、あるいは、その設定値を確認することができることとなる。この場合、ユーザは、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定を行うコンロバーナ4を使用した調理における調理物の焦げ付き防止の要求度合いが高いほど(焦げ付きの許容度合いが低いほど)、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの値を小さくするように、Kx_lbの値を設定する。
なお、上記のように設定される焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値は、コントロールユニット50において、EEPROM等の書き込み可能な不揮発性メモリに記憶保持される。
次に、図5及び図6のフローチャートの処理を説明する。いずれかのコンロバーナ4を使用した自動調理以外の通常の調理時において、コントロールユニット50は、各コンロバーナ4毎に図5及び図6に示す制御処理を実行する。なお、図5及び図6の制御処理の説明では、左コンロ4L、後コンロ4B、及び右コンロ4Rのうちの任意の一つのコンロバーナ4を使用して調理を行う場合を想定し、その調理に使用するコンロバーナ4(4L又は4B又は4R)をコンロバーナ4xと表記する。そして、コンロバーナ4xに対応する要素に添え字“x”を付する。この場合、添え字“x”は、“L”、“B”、“R”のいずれかを意味する。
コントロールユニット50は、コンロバーナ4xに対応する点火・消火ボタン10xがON操作(コンロバーナ4xの消火状態での点火操作)されたか否かを判断する(STEP21)。そして、点火・消火ボタン10xがユーザによりON操作されて、STEP21の判断結果が肯定的になると、コントロールユニット50は、計時用の第1タイマによる計時を開始すると共に、コンロバーナ4xの点火処理を実行する(STEP22)。第1タイマは、コンロバーナ4xの点火時(燃焼運転の開始時)からの時間を計時するタイマである。以降、第1タイマによる計時時間を始動後経過時間という。また、STEP22の点火処理では、コントロールユニット50は、電磁弁34xを開弁すると共に、流量調整弁35の開度を点火用の所定の開度に制御しつつ、図示しないイグナイタを作動させることによって、コンロバーナ4xの点火を行う。
このようにしてコンロバーナ4xの燃焼運転が開始すると、コントロールユニット50は、コンロバーナ4xの五徳7x上に載置されている調理容器Wの検出温度TSを逐次サンプリングしながら、該検出温度TSの時系列に基づいて該調理容器Wの温度が平衡温度THに達したか否か(調理容器Wの温度の平衡状態が検知されたか否か)の判断を行う(STEP23)。この判断は、例えば次のように行われる。すなわち、コントロールユニット50は、温度センサ8xの検出信号を、例えば15秒間隔でサンプリングして、検出温度TSの7個分のサンプリングデータTS(k),TS(k-1),……,TS(k-6)を、15秒毎に更新しつつ、記憶保持する。なお、TS(k)は、最新のサンプリングデータを意味し、TS(k-n)(n=1,2,……,6)は、15×n秒前のサンプリングデータを意味する。そして、コントロールユニット50は、これらの7個分のサンプリングデータTS(k),TS(k-1),……,TS(k-6)において、30秒間の検出温度TSの5種類の変化量TS(k-i)−TS(k-i-2)(i=0,1,……,5)の絶対値がいずれも所定量以下(例えば2℃以下)となり、且つ、90秒間の検出温度TSの変化量TS(k)−TS(k-6)の絶対値が所定量以下(例えば5℃以下)となった場合に、コンロバーナ4xで加熱している調理容器Wの温度が平衡温度に達したと判断する。
補足すると、調理容器Wの温度が平衡温度に達したか否かの判断は、検出温度TSがほぼ一定に保たれている状態であるか否かを判断できる手法であれば、上記以外の手法を用いて行うようにしてもよい。例えば、検出温度TSのサンプリングデータの分散等に基づいて、調理容器Wの温度が平衡温度に達したか否かを判断するようにしてもよい。
調理容器Wの温度が平衡温度に達して、STEP23の判断結果が肯定的になると、コントロールユニット50は、その平衡温度を記憶保持する(STEP24)。この場合、本実施形態では、例えば検出温度TSの最新のサンプリングデータTS(k)の値を、平衡温度THとして記憶保持する。なお、例えば、直近の所定時間内における検出温度TSの平均値を平衡温度THとして記憶保持するようにしてもよい。該平衡温度THは、平衡状態での調理容器Wの温度を代表的もしくは近似的に示すものであればよい。
次いで、コントロールユニット50は、調理容器Wの検出温度TSが平衡温度THよりも所定温度ΔT1(本実施形態ではΔT1は例えば5℃)だけ高い温度に上昇したか否かを判断する(STEP25)。そして、この判断結果が肯定的になると(TS≧TH+5℃になると)、コントロールユニット50は、計時用の第2タイマによる計時を開始し(STEP26)、調理容器Wの検出温度TSが平衡温度THよりも所定温度ΔT2(本実施形態ではΔT2は例えば15℃)だけさらに高い温度に上昇したか否かを判断する(STEP27)。そして、コントロールユニット50は、STEP27の判断結果が肯定的になると(TS≧TH+15℃になると)、第2タイマの計時を終了する(STEP28)。
続いて、コントロールユニット50は、調理容器Wの検出温度TSが平衡温度THよりも所定温度ΔT3(本実施形態ではΔT3は例えば20℃)だけさらに高い温度に上昇したか否かを判断する(STEP29)。そして、この判断結果が肯定的になると(TS≧TH+20℃になると)、コンロトールユニット50は、計時用の第3タイマによる計時を開始し(STEP30)、調理容器Wの検出温度TSが平衡温度THよりも所定温度ΔT4(本実施形態ではΔT4は例えば30℃)だけさらに高い温度に上昇したか否かを判断する(STEP31)。そして、コントロールユニット50は、STEP31の判断結果が肯定的になると(TS≧TH+30℃になると)、第3タイマの計時を終了する(STEP32)。
以上のSTEP25〜32の処理によって、調理容器Wの検出温度TSが平衡温度THに達した後、TH+5℃に上昇した時点からTH+15℃まで上昇するのに要した時間と、TH+20℃に上昇した時点からTH+30℃まで上昇するのに要した時間とがそれぞれ、第2タイマ、第3タイマにより計時されることなる。以降、第2タイマにより計時された時間を平衡後第2上昇時間、第3タイマにより計時された時間を平衡後第3上昇時間という。
次いで、コントロールユニット50は、STEP33〜35の判断処理を実行する。STEP33,34の判断処理は、調理容器Wで行われている料理が煮物料理であるか否かを、調理容器Wの検出温度TSの経時的変化のパターンに基づいて判断するための処理である。また、STEP35の判断処理は、コンロバーナ4xに関して設定されている焦げ付き防止要求レベルKx_lbにより示される焦げ付き防止の要求度合いが高いか否か(該要求度合いの高低)を判断するための処理である。
ここで、STEP23で調理容器Wの温度が平衡温度に達したことが検知された場合には、調理容器Wで行われている料理は、一般的には煮物料理である可能性が高いものの、焼き餃子料理や焼きそば料理等の蒸し焼き料理である可能性もある。そして、当該料理が蒸し焼き料理である場合には、前記焦げ付き防止用制御処理を煮物料理と同じように実行するようにすると、調理物の焼き具合が不足している段階で、コンロバーナ4xが自動的に消火されてしまう場合がある。従って、前記焦げ付き防止用制御処理を実行するための前記必要条件として、調理容器Wで行われている料理が蒸し焼き料理ではないという条件を含めることが好ましい場合がある。
一方、本実施形態では、ユーザが設定した前記焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値がより大きいということは、ユーザが想定する調理物の焦げ付きの防止の要求度合いがより低いこと(焦げ付きの許容度合いがより高いこと)を意味する。逆に、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値がより小さいということは、ユーザが想定する調理物の焦げ付きの防止の要求度合いがより高いこと(焦げ付きの許容度合いがより低いこと)を意味する。そして、ユーザが想定する調理物の焦げ付き防止の要求度合いが比較的高い場合には、調理容器Wで行われている料理が煮物料理、蒸し焼き料理のいずれであっても、調理物の焦げ付きの防止を確実に行うことが望ましいと考えられる。
そこで、本実施形態では、コントロールユニット50が前記焦げ付き防止用制御処理を実行するための必要条件として、前記第1条件に加えて、調理容器Wで行われている料理が蒸し焼き料理ではないか、又は、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値により表される焦げ付き防止の要求度合いが低いという条件(これは、本発明における第2条件に相当する)を含む。
この場合、本実施形態では、前記STEP33〜35の判断処理のうち、STEP33,34の判断処理によって、調理容器Wで行われている料理が蒸し焼き料理であるか否か(蒸し焼き料理である可能性が高いか否か)が判断される。従って、本実施形態では、このSTEP33,34の処理によって、本発明における蒸し焼き料理判断手段が実現される。
この判断は本実施形態では次のように行われる。すなわち、調理容器Wの温度の計時的変化のパターンに着目すると、焼き餃子料理等の蒸し焼き料理では、多くの場合、煮物料理よりも早期に、調理容器Wの温度が平衡温度から上昇し、また、その温度の上昇速度が煮物料理よりも速い。
そこで、本実施形態では、コントロールユニット50は、第3タイマの最終的な計時時間である前記平衡後第3上昇時間が所定時間TM1(本実施形態ではTM1は例えば50秒)よりも短いか否か、第1タイマの現在の計時時間である前記始動後経過時間が所定時間TM2(本実施形態ではTM2は例えば10分)よりも短いか否かをそれぞれSTEP33,34において判断する。そして、コントロールユニット50は、STEP33,34の両者の判断結果が肯定的となる場合には、調理容器Wで行われている料理が蒸し焼き料理である可能性が高いので、該料理が蒸し焼き料理であると判断する。また、コントロールユニット50は、STEP33,34のいずれかの判断結果が否定的となる場合には、調理容器Wで行われている料理が蒸し焼き料理ある可能性が低い(換言すれば煮物料理である可能性が高い)ので、該料理が蒸し焼き料理ではないと判断する。
なお、調理容器Wで行われている料理が蒸し焼き料理であるか否かの判断は、例えば特許文献2に見られる如き他の手法を使用して行うようにしてもよい。
また、コントロールユニット50は、STEP33,34の両者の判断結果が肯定的となり、調理容器Wで行われている料理が蒸し焼き料理であると判断した場合には、さらに、STEP35において、コンロバーナ4xに関する焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値により表される焦げ付き防止の要求度合いの高低を判断する。このSTEP35では、コントロールユニット50は、Kx_lbの設定値が例えば“3”以上であるか否かによって、焦げ付き防止の要求度合いの高低を判断する。すなわち、コントロールユニット50は、Kx_lbの設定値が“3”以上である場合(Kx_lb=3又は4又は5である場合)に、焦げ付き防止の要求度合いが低いと判断し、該設定値が“3”よりも小さい場合(Kx_lb=1又は2である場合)に、焦げ付き防止の要求度合いが高いと判断する。本実施形態では、このSTEP35の判断処理によって、本発明における第1判断手段が実現される。
そして、STEP35の判断結果が肯定的となり(Kx_lb≧3)、焦げ付きの防止の要求度合いが低いと判断された場合には、コントロールユニット50は、焦げ付き防止用制御処理を実行しないこととして、平衡温度THを解除し(STEP36)、前記STEP23からの処理に戻る。なお、STEP36で平衡温度THを解除するということは、調理容器Wの温度が平衡温度THに達したという現象が発生しなかったとみなすことを意味する。
また、STEP33又は34の判断結果が否定的となって、調理容器Wで行われている料理が蒸し焼き料理でないと判断された場合、あるいは、STEP35の判断結果が否定的となり(Kx_lb<3)、焦げ付き防止の要求度合いが高いと判断された場合には、コントロールユニット50は、平衡温度THを記憶保持したまま、焦げ付き防止用制御処理を含む図6の処理を実行する。
図6の処理では、コントロールユニット50は、STEP37〜39の判断処理を実行する。STEP37,38の判断処理は、調理容器Wがコンロバーナ4xに対する所定の載置位置である五徳7x上の位置からユーザによって持上げられているか否かを、調理容器Wの検出温度TSが平衡温度THに達した後の経時的変化のパターンに基づいて判断するための処理である。また、STEP39の判断処理は、コンロバーナ4xに関して設定されている焦げ付き防止要求レベルKx_lbにより示される焦げ付き防止の要求度合いが高いか否か(該要求度合いの高低)を判断するための処理である。
ここで、調理容器Wで行われている料理が煮物料理である場合には、調理容器W内の水分が少なくなった段階(調理容器Wの温度が平衡温度から上昇していく状況)で、調理容器W内の調理物を動かす等の目的で、ユーザが調理容器Wを五徳7x上から一時的に持上げること(所謂鍋上げ)が行われる場合が多々ある。このような場合には、調理容器Wが持上げられている間に、コンロバーナ4xの燃焼熱が温度センサ8xに直接的に作用し、該温度センサ8xによる検出温度TSが急激に上昇しやすい。このため、上記鍋上げが行われている場合に、調理容器Wが五徳7x上に定常的に載置されている場合と同じように焦げ付き防止用制御処理を実行すると、煮物料理の実行途中で(焦げ付きが発生する以前に)、コンロバーナ4xが必要以上に早期に自動的に消火されてしまう場合がある。従って、前記焦げ付き防止用制御処理を実行するための必要条件として、前記鍋上げが行われていないという条件を含めることが好ましい場合がある。
一方、前記したように、ユーザが設定した前記焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値がより小さいということは、ユーザが想定する調理物の焦げ付き防止の要求度合いがより高いこと(焦げ付きの許容度合いがより低いこと)を意味する。そして、ユーザが想定する調理物の焦げ付き防止の要求度合いが比較的高い場合には、上記鍋上げが行われている可能性が高い場合であっても、調理物の焦げ付きを防止することの確実性をできるだけ高めるために、調理容器Wの温度があまり高くならない段階で、コンロバーナ4xを消火することが望ましいと考えられる。
そこで、本実施形態では、コントロールユニット50が前記焦げ付き防止用制御処理を実行するための必要条件として、前記第1条件に加えて、調理容器Wが一時的に持上げられる鍋上げが行われていないか、又は、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値により表される焦げ付き防止の要求度合いが高いという条件(これは本発明における第3条件に相当する)を含む。
この場合、本実施形態では、前記STEP37〜39の判断処理のうち、STEP37,38の判断処理によって、調理容器Wが一時的に持上げられているか否か(鍋上げが行われているか否か)が判断される。従って、本実施形態では、このSTEP37,38の処理によって、本発明における調理容器持上げ判断手段が実現される。
この判断は本実施形態では次のように行われる。すなわち、調理容器Wが持上げられると、前記したように温度センサ8xによる検出温度TSが急激に上昇する。
そこで、本実施形態では、コントロールユニット50は、第2タイマの最終的な計時時間である前記平衡後第2上昇時間が所定時間TM3(本実施形態ではTM3は例えば20秒)よりも短いか否か、第3タイマの最終的な計時時間である前記平衡後第3上昇時間が所定時間TM4(本実施形態ではTM4は例えば25秒)よりも短いか否かをそれぞれSTEP37,38において判断する。そして、コントロールユニット50は、STEP37,38の両者の判断結果が肯定的となる場合には、調理容器Wが一時的に持上げられている(鍋上げが行われている)と判断する。また、コントロールユニット50は、STEP37,38のいずれかの判断結果が否定的となる場合には、調理容器Wが持上げられていないと判断する。
なお、調理容器Wが持上げられているか否かの判断は、例えば特許文献2の段落0039に見られる如き鍋上げ判定と同じ手法を使用して行うようにしてもよい。
また、コントロールユニット50は、STEP37,38の両者の判断結果が肯定的となり、調理容器Wが一時的に持上げられている(鍋上げが行われている)と判断した場合には、さらに、STEP39において、コンロバーナ4xに関する焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値により表される焦げ付き防止の要求度合いの高低を判断する。このSTEP39では、コントロールユニット50は、Kx_lbの設定値が例えば“2”以上であるか否かによって、焦げ付き防止の要求度合いの高低を判断する。すなわち、コントロールユニット50は、Kx_lbの設定値が“2”以上である場合(Kx_lb≠1である場合)に、焦げ付き防止の要求度合いが低いと判断し、該設定値が“2”よりも小さい場合(Kx_lb=1である場合)に、焦げ付き防止の要求度合いが高いと判断する。本実施形態では、このSTEP39の判断処理によって、本発明における第2判断手段が実現される。
そして、STEP39の判断結果が肯定的となり(Kx_lb≧2)、焦げ付き防止の要求度合いが低いと判断された場合には、コントロールユニット50は、焦げ付き防止用制御処理を実行しないこととして、温度センサ8xによる検出温度TSが、平衡温度THよりも第2所定温度(本実施形態では100℃)だけ高い温度以上の高温に上昇したか否かを判断する(STEP40)。第2所定温度は、前記第1条件における第1所定温度(本実施形態では50℃又は40℃又は30℃)よりも高い温度であらかじめ定められた温度である。
この場合、STEP40の判断結果が否定的である場合には、コントロールユニット50の処理は待機状態となる。そして、STEP40の判断結果が肯定的になった場合には、コントロールユニット30は、コンロバーナ4xの消火処理を実行する(STEP41)。この消火処理では、前記電磁弁34xが閉弁される。これにより、コンロバーナ4xへの燃料ガスの供給が遮断され、該コンロバーナ4xが消火される。
従って、STEP37,38の判断処理によって、調理容器Wが持上げられている(鍋上げが行われている)と判断され、且つ、前記STEP39の判断処理によって、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値により表される焦げ付き防止の要求度合いが低いと判断されるという条件が成立すると共に、温度センサ8xによる検出温度TSが、平衡温度THよりも第2所定温度(100℃)だけ高い温度以上に上昇するという条件が成立した場合に、コンロバーナ4xの燃焼運転が停止されることとなる。なお、本実施形態では、上記STEP40の判断結果が肯定的となった場合に実行されるSTEP40の処理が、本発明における調理容器持上げ対応制御処理に相当している。
補足すると、前記STEP39では、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値が“2”以上であるか否かによって、焦げ付き防止の要求度合いが低いか高いかを判断するようにしたが、前記STEP35(図5参照)と同様に、Kx_lbの設定値が“3”以上であるか否かによって、焦げ付き防止の要求度合いが低いか高いかを判断するようにしてもよい。このように、STEP35,39の判断処理で焦げ付き防止の要求度合いの高低を区分するKx_lbの設定値は、互いに異なる値である必要はなく、互いに同一の値であってもよい。
一方、STEP37又は38の判断結果が否定的となって、調理容器Wが持上げられていないと判断された場合、あるいは、STEP39の判断結果が否定的となり(Kx_lb=1)、焦げ付き防止の要求度合いが高いと判断された場合には、コントロールユニット50は、STEP42からの焦げ付き防止用制御処理を実行する。
この焦げ付き防止用制御処理では、コントロールユニット50は、焦げ付き防止要求レベルKx_lbに応じて決定した第1所定時間を使用して、前記第1条件が成立するか否かを監視する。
より詳しくは、コントロールユニット50は、コンロバーナ4xに関する焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値が“5”であるか否かを判断する(STEP42)。そして、Kx_lb=5である場合には、コントロールユニット50は、前記第2所定温度をKx_lb=5である場合に対応する温度である50℃として、検出温度TSが前記平衡温度THよりも第2所定温度(50℃)だけ高い温度に上昇したか否かを監視する(STEP43)。
また、STEP42でKx_lb≠5である場合には、コントロールユニット50は、焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値が“4”であるか否かを判断する(STEP44)。そして、Kx_lb=4である場合には、コントロールユニット50は、前記第2所定温度をKx_lb=4である場合に対応する温度である40℃として、検出温度TSが前記平衡温度THよりも第2所定温度(40℃)だけ高い温度に上昇したか否かを監視する(STEP45)。
さらに、STEP44でKx_lb≠4である場合(Kx_lb=1又は2又は3である場合)には、コントロールユニット50は、前記第2所定温度をKx_lb≦3である場合に対応する温度である30℃として、検出温度TSが前記平衡温度THよりも第2所定温度(30℃)だけ高い温度に上昇したか否かを監視する(STEP46)。
そして、コントロールユニッチ50は、検出温度TSが上昇し、STEP43又は45又は46の判断結果が肯定的になると、調理物の焦げ付きを防止するために、前記STEP41の処理、すなわち、コンロバーナ4xの消火処理を実行する。
以上説明したように、STEP42〜46及びSTEP41の処理により実現される焦げ付き防止用制御処理では、前記第1条件における第1所定温度が焦げ付き防止要求レベルKx_lbの設定値に応じて可変的に決定される。このため、調理容器Wの検出温度TSが、ユーザが想定する焦げ付き防止の要求度合いに適した温度に上昇した時に、コンロバーナ4xの消火を行うことができることとなる。ひいては、煮物料理の調理物の焦げ付きの程度が、ユーザにとって過剰なものとなったり、あるいは焦げ付きの程度が少なすぎる状態で、コンロバーナ4xが自動的に消火されてしまうような事態を防止することができる。
また、本実施形態では、焦げ付き防止用制御処理を実行するための必要条件として、前記第1条件の他に、調理容器Wで行われている料理が蒸し焼き料理でないと判断され、又は、焦げ付き防止要求レベルKx_lmが“3”よりも小さい(焦げ付き防止の要求度合いが比較的高い)という条件が含まれる。このため、調理容器Wで実際に行われている料理が蒸し焼き料理でない場合はもちろん、該料理が蒸し焼き料理であると判断された場合であっても、焦げ付き防止の要求度合いが高い場合には、該料理が煮物料理である場合と同様に、焦げ付き防止用制御処理を実行することができる。従って、実際の煮物料理が正しく判断された場合はもちろん、実際には煮物料理であるのに、蒸し焼き料理であると誤判断されたような場合においても、ユーザの要求に即して調理物の焦げ付きを防止するようにコンロバーナ4xの運転を行うことができる。
また、本実施形態では、焦げ付き防止用制御処理を実行するための必要条件として、前記第1条件の他に、調理容器Wの温度が平衡温度THに達した後に、該調理容器Wの一時的な持上げ(鍋上げ)が行われていないと判断され、又は、焦げ付き防止要求レベルKx_lmが“2”よりも小さい(焦げ付き防止の要求度合いが比較的高い)という条件も含まれる。このため、調理容器Wの温度が平衡温度THに達した後に、調理容器Wが定常的に五徳7x上に載置されている場合はもちろん、鍋上げが行われた場合であっても、焦げ付き防止の要求度合いが高い場合には、焦げ付き防止用制御処理を実行することができる。従って、調理物の焦げ付きを極力防止したいというユーザの要求を満たすようにコンロバーナ4xの運転を行うことができる。
なお、以上説明した実施形態では、焦げ付き防止用制御処理を実行するための必要条件として、前記第1条件の他に、調理容器Wで行われている料理が蒸し焼き料理でないと判断され、又は、焦げ付き防止要求レベルKx_lmの設定値が“3”よりも小さい(焦げ付き防止の要求度合いが比較的高い)という条件と、調理容器Wの温度が平衡温度THに達した後に、該調理容器Wの一時的な持上げ(鍋上げ)が行われていないと判断され、又は、焦げ付き防止要求レベルKx_lmが“2”よりも小さい(焦げ付き防止の要求度合いが比較的高い)という条件という2つの条件を含めたが、この両者の条件、あるいはいずれか一方の条件を除外してもよい。
また、本実施形態では、焦げ付き防止要求レベルKx_lmの設定値が“3”以下である場合に、前記第1条件における第1所定温度を同じ値(30℃)に設定したが、Kx_lmの設定値が“3”以下である場合においても、Kx_lmの設定値が小さいほど(焦げ付き防止の要求度合いが高いほど)、第1所定温度を小さくするようにしてもよい。
また、本実施形態では、焦げ付き防止の要求度合いが高いほど、焦げ付き防止要求レベルKx_lmの値が小さくなるようにしたが、焦げ付き防止の要求度合いが高いほど、焦げ付き防止要求レベルKx_lmの値が大きくなるようにしてもよい。さらに、焦げ付き防止要求レベルKx_lmの値は、必ずしも数値である必要はなく、例えばアルファベット等の符号によって、焦げ付き防止の要求度合いを表現するものであってもよい。
また、本実施形態では、前記焦げ付き防止用制御処理において、調理容器Wの検出温度TSが平衡温度THから第1所定温度だけ高い温度以上に上昇した場合に、コンロバーナ4を消火する(燃焼運転を停止させる)ようにしたが、前記流量調整弁35を制御することによって、コンロバーナ4の発熱量(火力)を減少させる(例えばコンロバーナ4の火力が所定の最小火力になるように、流量調整弁35を制御する)ようにしてもよい。
また、本実施形態では、加熱調理器として複数のコンロバーナを備えたガスコンロを例に採って説明したが、単一のコンロバーナを備えたガスコンロや、電熱ヒータやIHヒータを加熱源として備えた加熱調理器についても本発明を適用することができることはもちろんである。
1…加熱調理器(ガスコンロ)、4…加熱源(コンロバーナ)、8…温度センサ(温度検出手段)、19,20u,20d,25u…スイッチ(焦げ付き防止要求レベル設定手段)、50…コントロールユニット(制御手段)、STEP33,34…蒸し焼き料理判断手段、STEP35…第1判断手段、STEP37,38…調理容器持上げ判断手段、STEP39…第2判断手段。