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JP2010127218A - 圧縮機 - Google Patents

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JP2010127218A JP2008303989A JP2008303989A JP2010127218A JP 2010127218 A JP2010127218 A JP 2010127218A JP 2008303989 A JP2008303989 A JP 2008303989A JP 2008303989 A JP2008303989 A JP 2008303989A JP 2010127218 A JP2010127218 A JP 2010127218A
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Abstract

【課題】圧縮機の低粘度の潤滑油を用いることによる省エネルギー化を信頼性の低下を発生することなく、またシステムの過負荷運転を十分確保しながら達成する。
【解決手段】40度における動粘度が6ミリメートル二乗/秒以下の動粘度の潤滑油108を収容し、モーター107の効率が高負荷条件で82%以上を有するとともに、保護装置131が巻線を流れる電流と容器または巻線の温度によって動作するもので巻線温度保護温度を120度以下に設定した構成により、潤滑油の劣化が起こらず、圧縮機101の信頼性が向上する。また、圧縮機が過負荷状態においても、温度上昇が低いことから、システムでの過負荷状態での運転も十分保証され、システムの安定した運転保証と圧縮機の信頼性の向上の両立を図ることが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧縮機によって冷媒等のガスを圧縮する圧縮機に関し、摺動部材同士を潤滑する潤滑油に低粘度の潤滑油を適用するための技術に関する。
従来の圧縮機は、容器内に潤滑油を貯留し、各摺動部に潤滑油を供給することにより摺動部の潤滑、摩耗防止を行っている。
近年の地球環境保護の観点から、より入力(損失)の小さい圧縮機が求められるとともに、冷凍・加熱用途においては、環境にやさしい冷媒、具体的には、HCやHFC冷媒が主流になっている。
さらに、入力(損失)の低減においても、使用者がより多く使う環境下、条件下で大きな低減を図れる技術が求められると同時に、過酷な条件下においても信頼性が高く、長く使える製品が環境にやさしい製品であるため、入力(損失)の低減と、信頼性の両立が最も地球環境に適した製品であるといえる。
過酷な条件下とは、一般的に言うと、外気温度が高く、たとえば冷蔵庫で言うと食品を入れた直後などである。
従来の圧縮機としては、容器内に潤滑油を貯留し、冷媒を圧縮する機構を備え、低粘度の潤滑油を利用する技術を開示したもの(例えば、特許文献1)や、保護装置で、モーターの巻線を保護する装置を備えたものが開示(例えば、特許文献2)されている。
以下、図面を参照しながら、上記従来の圧縮機について説明する。
図15は、特許文献1に記載された従来の圧縮機の縦断面図である。
図15において、圧縮機30は、容器1の内部に冷媒1aを充てんしている。また、潤滑油2を容器1の底に貯留している。
圧縮要素18は、冷媒1aを圧縮する機構部分で、シャフト9、シリンダブロック6、シリンダブロック6に形成された、シリンダボア14、ピストン17、ピストンピン18a、ピストン17とシャフト9の偏芯部11を連結するコンロッド19などからなり、シャフト9の主軸部10と軸受部16や、コンロッド19と偏芯部11、また、ピストン17とシリンダボア14などは、摺動部31であり、給油機構12を通って給油された潤滑油2を介して潤滑摺動されている。
冷媒1aは、容器1の吸入管27より吸い込まれ、サクションマフラー29から、シリンダヘッド24を通って、圧縮室15に導かれ、ピストン17により圧縮される。
モーター5は、固定子3と回転子4などからなり、回転子4は、シャフト9と連結され、容器1に接続されたターミナル8とクラスター7を介して、固定子3の巻線3aに電流が供給されると、回転し、シャフト9に回転動力を与える。
以上の構成の従来の圧縮機について、以下その動作を説明する。
圧縮機30が運転を始めると、モーター5の回転により、圧縮要素18が冷媒1aの圧縮を開始する。冷媒1aは、吸入管27より容器1内に吸い込まれ、サクションマフラー29を通って、シリンダボア14の圧縮室15に入り、ピストン17により圧縮され、シリンダヘッド24と通って、図示しない吐出管から、外部の図示しない冷凍システムへと送りだされる。
潤滑油2は、シャフト9の主軸部10と軸受部16や、コンロッド19と偏芯部11、ピストン17とシリンダボア14などの摺動部31に給油機構12を通って給油され、摺動部31の潤滑摺動を行う役目をはたしている。
従って、摺動部は、潤滑油2を介して、摺動を行っており、摺動部間の摺動損失は、潤滑油2の動粘度と大きく関わっており、圧縮機30の入力、効率を変化させる。
さらに、潤滑油2は、その温度が高くなると、有機材料との劣化促進ともかかわっている。特許文献1では、潤滑油2を低粘度化するにあたり、有機材料の劣化促進を軽減する手段のひとつとして、潤滑油2の低分子成分を少なくする技術が開示されている。
次に、図16は、特許文献2に記載された従来の圧縮機である。図15と同一要素は同一符号を付している。
図16は、特に圧縮機30の電装部51を示しており、容器1にはターミナル8があり、モーター5を駆動するための起動装置52と保護装置53がターミナル8を介して、モーター5の巻線3aと接続している。
起動装置52と保護装置53は、カバー54は、容器1のブラケット55にクランプ56で固定されている。
以上の構成の従来の圧縮機の保護装置について、以下その動作を説明する。
起動装置52により、起動されたモーター5は、モーター5の巻線3aの温度が異常に上昇した場合は、保護装置53によって、電流を切断されることで、温度上昇を保護される。保護装置53は、電流や温度により、電流遮断をされる構成になっている。
カバー54は、起動装置52、保護装置53、などの充電部分が手に触れて感電したりすることがないよう、安全を図る目的でとりつけられている。
特開2007−239632号公報 特開平10−47250号公報
しかしながら、従来上記の構成では、圧縮機30の効率を向上するために、潤滑油2の動粘度を下げ、摺動部31の摺動損失を低減することは公知であるが、同時に、低粘度の潤滑油2を採用する際に、潤滑油2の温度が上昇した時の有機材料等の劣化の問題も指摘されている。
発明者らの細部にわたる実験の結果、潤滑油2の40度での動粘度が6ミリメートル二乗/秒以下(粘度グレードで言うと一般的には、VG6以下となる)の潤滑油2においては、低沸点の成分量が大幅に増大し、逆に言うと、低沸点成分の分子量の比較的小さい分子で構成しないと低粘度になりえないため、潤滑油2の温度が130度以上に上昇した場合、潤滑油2自体の劣化促進、また、冷媒1aや有機材料などとの関連におけるスラッジの生成や重合物の生成などの、潤滑油2の劣化が大幅に加速し、圧縮機30の信頼性を大幅に低下させる課題があった。
また、従来の圧縮機30の構成では、保護装置53により、モーター5の巻線3aの温度を制限する手段は開示されているが、潤滑油2の温度上限を制御するための手段として、モーター効率の制限と、モーター保護装置による温度制限を利用する技術が提案されておらず、潤滑油2の適正な温度制御ができず、潤滑油の温度が過負荷で異常に上がることで、潤滑油劣化が促進し、圧縮機の信頼性を低下させていた。また、低粘度の潤滑油2の特に40度での動粘度が6ミリメートル二乗/秒(粘度グレードVG6)以下の潤滑油2の劣化促進を防止しながら使う技術がない課題があった。
また、圧縮機30の効率を上げる要素として、サクションマフラー29を用いる技術は開示されているが、冷媒1aに一部が混合されて循環する潤滑油2の温度を制御する技術として、セミダイレクトサクションマフラーやダイレクトサクションマフラーを利用する技術が開示されておらず、潤滑油2の温度が過負荷で異常に上がることで、潤滑油2の劣化が促進し、圧縮機30の信頼性を低下させていた。また、このことは、特にVG6以下の低粘度の潤滑油2を用いたときは課題であった。
またさらには、モーター5の効率やモーター5のトルクの設定により、過負荷時のモーター5の温度を低下させ、潤滑油の温度を低減して信頼性を確保するとともに、冷凍システムの過負荷時においても十分な運転可能範囲を確保する技術が開示されておらず、低粘度の潤滑油2を用いた場合には、過負荷運転の確保と信頼性の両立が十分できない課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、特別な部品を用いることなく、潤滑油の動粘度を低粘度化することで高効率化を図るとともに、モーターの効率の制限と保護装置の構成と保護温度を制限することによって、信頼性が高い圧縮機を提供し、高効率化による省エネルギー化を低コスト、省資源で達成することにより、地球環境にやさしい圧縮機を提供することが可能となる。
上記従来の課題を解決するために、本発明の圧縮機は、容器内に、冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する固定子と回転子よりなるモーターと、40度における動粘度が6ミリメートル二乗/秒以下の潤滑油を収容し、前記固定子は、巻線を有するとともに、前記巻線と電気的に接続された保護装置を有し、前記モーターの効率は、高負荷条件で82%以上のモーター効率を有するとともに、前記保護装置は、前記固定子の前記巻線を流れる電流と前記容器または前記容器内または前記巻線近傍の温度を検出して動作し、前記巻線を流れる電流と、前記容器または前記容器内または前記巻線近傍の温度の関数として得られた値を前記保護装置の動作値とし、前記巻線温度が120度以上になると動作し、電気回路を遮断するように設定することで、圧縮機のいかなる負荷条件に於ける前記潤滑油の実動粘度を1ミリメートル二乗/秒以上に制限できるものであり、これによって、特別な部品を用いることなく、潤滑油の温度が異常に上がることなく、潤滑油の劣化が起こらず、圧縮機の信頼性が向上する。また、圧縮機が過負荷状態においても、温度上昇が低いことから、システムでの過負荷状態での運転も十分保証され、過負荷状態で、運転が停止してしまい、冷却物(例えば、冷蔵庫においては食品など)の劣化の発生がないとともに、潤滑油の劣化やひいては、圧縮機の信頼性低下が無くなり、システムの安定した運転保証と圧縮機の信頼性の向上の両立を図ることが可能となる。
本発明の圧縮機は、潤滑油の動粘度を低下させ、摺動損失を低下させることで、入力低減を図り圧縮機の高効率化を、低粘度の潤滑油を用いる際の課題である、潤滑油の劣化による信頼性の低下を起こすことなく達成できるので、圧縮機の効率の向上による省エネ、信頼性の向上による寿命増加や特別な部品を必要としないことから、資源の有効利用を図ることができ、地球環境保護に多大な貢献をすることができる。
請求項1に記載の発明は、容器内に、冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する固定子と回転子よりなるモーターと、40度における動粘度が6ミリメートル二乗/秒以下の潤滑油を収容し、前記固定子は、巻線を有するとともに、前記巻線と電気的に接続された保護装置を有し、前記モーターの効率は、高負荷条件で82%以上のモーター効率を有するとともに、前記保護装置は、前記固定子の前記巻線を流れる電流と前記容器または前記容器内または前記巻線近傍の温度を検出して動作し、前記巻線を流れる電流と、前記容器または前記容器内または前記巻線近傍の温度の関数として得られた値を前記保護装置の動作値とし、前記巻線の温度が120度以上なったことを検知して動作することで、圧縮機のいかなる負荷条件に於ける前記潤滑油の実動粘度を1ミリメートル二乗/秒以上に制限できるように設定したものであり、これによって、40度における動粘度が6ミリメートル二乗/秒(以下VG6と述べても同様な意味を指す)以下の低粘度潤滑油を使用した場合でも、システムの過負荷の状態で、モーター効率が高いことから、巻線の温度上昇が抑制されるとともに、モーター保護装置が、モーター巻線温度が120度以下に抑えられることから、潤滑油の温度が異常に上がることなく、潤滑油の劣化が起こらず、圧縮機の信頼性が向上する。より具体的には、潤滑油の実動粘度が1ミリメートル二乗/秒以上に制限されるので、コンタミのような、重合化合物の発生が低く抑制される。
また、圧縮機が過負荷状態においても、温度上昇が低いことから、システムでの過負荷状態での運転も十分保証され、過負荷状態で、運転が停止してしまい、冷却物(例えば、冷蔵庫においては食品など)の劣化の発生が起こってしまうというようなことがないとともに、潤滑油の劣化やひいては、圧縮機の信頼性低下が無くなり、システムの安定した運転保証と圧縮機の信頼性の向上の両立を図ることが可能となる。
尚、モーターの高負荷条件での効率とは、モーターの最大トルクの2分の1のトルク条件での効率を指す。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、冷媒がイソブタンであり、圧縮機の定格入力(Ashrae条件での蒸発温度−23.3度における入力を指す)が120W以下であるもので、これによって、冷媒がイソブタンで、圧縮機定格が120Wであるものは、特に、500L以下の冷蔵庫に使用されるが、定格入力が低いことから、入力における、潤滑油の動粘度に起因する摺動損失割合が大きいため、低粘度の潤滑油を利用することによる省エネルギー効果が大きく、また、イソブタンを利用することから、エネルギー面でも冷媒の物性面でも環境、地球にやさしい圧縮機を高い信頼性と運転安定性を確保しながら提供することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、モーターは、回転子に永久磁石を用いた同期モーターであるものであり、これによって、モーター効率を極めて高くするとともに、モーター発熱の抑制を大きくし、圧縮機の信頼性低下が無くなり、システムの安定した運転確保と圧縮機の信頼性の向上の両立をより高めた圧縮機を提供することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、モーターは、回転子に永久磁石を用いたDCインバーターであり、これによって、モーター効率を極めて高くするとともに、モーター発熱の抑制を大きくし、圧縮機の信頼性低下が無くなり、システムの安定した運転確保と圧縮機の信頼性の向上の両立をより高めた圧縮機を提供することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、DCインバーター制御部は、電流保護手段を含み、電流負荷の増大を検知することで、モーターの温度が120度以上では、前記モーターを停止させるもので、これによって、モーター発熱の抑制を大きくし、圧縮機の信頼性低下が無くなるとともに、モーター温度とひいては、潤滑油の温度上昇の保護は、DCインバーターの制御部が行うことで、インバーターの回転数変化、運転率制御と共に、温度制御、温度上昇遮断においてもよりきめの細かい制御が可能となり、圧縮機の信頼性を高めることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、圧縮要素を構成する吸入部は、サクションマフラーを有し、前記サクションマフラーは、容器の吸入管に近接または、直接に、接続部材を介して接続した、セミダイレクトサクションマフラー、あるいはダイレクトサクションマフラー構造としたもので、これによって、圧縮要素を構成する吸入部のサクションマフラーがセミダイレクトまたは、ダイレクトサクション構造であるので、吸入冷媒の吸い込み温度が低く保つことができ、吸入冷媒と共に、若干量吸入される潤滑油の温度も低く保つことが可能となり、特に高温となる吐出部においても、潤滑油を含んだ吐出冷媒の温度を低く抑制することで、潤滑油と冷媒との化学反応による劣化が大幅に抑制され、請求項1に記載の発明の効果に加えて、圧縮機の信頼性向上をより図ることが可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、冷媒がイソブタンであり、モーターの定格電圧でのトルクは、気筒容積をA立法センチメートルとすると、Aの80倍ミリニュートンメートル以上としたもので、これによって、冷媒がイソブタンであり、モーターの定格電圧でのトルクを気筒容積に対して、適正値以上のトルクに設定することにより、システムの過負荷時でも十分な運転を確保するとともに、より過負荷な条件となった場合には、過負荷電流が適切に増大し、圧縮機を適切に停止させることにより、圧縮機の保護の確保と信頼性の確保をより確実に行うことが可能となる。
尚、モーターの定格電圧とは、各地域で供給されている家庭用電源などの電圧を指し、国内の家庭用では、100V、米国では、115V、欧州諸国、中国では、220ないし240Vの供給電圧を指す。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、圧縮要素は、鉛直上方に位置し、モーターが前記圧縮機の下方に配置されたもので、これによって、圧縮要素が鉛直上方に位置し、電動要素が鉛直下方にあることにより、潤滑油の一部は、電動要素を通って循環し、潤滑油の温度はより、モータの巻線温度との温度関連性が高まり、モーター巻線温度保護による潤滑油温度上昇規制の精度を向上することが可能となり、圧縮機の信頼性をより確実に高めることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、圧縮要素は、回転子と回転子に連結されたシャフトの自重を支えるスラスト軸受部を有し、前記スラスト軸受部がスラストボールベアリングで構成されたもので、これによって、スラストボールベアリングは、摺動部の損失を低減し、入力を低下させることで、省エネルギーに有効な手段であるが、一方、ボール(玉軸受け)を用いることから、潤滑油の異常な粘度低下や、潤滑油劣化に伴う、有機生成物が介在することで、急激な摩耗発生を起こしやすい場所であるが、請求項1の効果を利用することで、大幅な省エネルギー要素を確実な信頼性を確保しながら採用することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における圧縮機の縦断面図、図2は、潤滑油の動粘度にたいする劣化の特性図、図3は、潤滑油の動粘度に対するコンタミ量を示す特性図、図4は、モーター効率を過負荷時モーター巻線温度を示す特性図、図5は、過負荷条件での巻線電流・温度の特性図、図6は、圧縮機定格違いによる過負荷条件での巻線電流・温度の特性図、図7は同期モーターの断面図である。
尚、図4におけるモーター効率は、モーターの最大トルクの2分の1のトルク条件における効率を指し、温度は、室温が35度から50度で変化させ、凝縮温度が65度、蒸発温度が−23.3度で、電圧が定格電圧(各地域で供給される電圧)の±10%電圧でモーター巻線の温度の最大値をプロットしたものである。
また、図5は、冷凍システムにおいて、外気温度が43度で、冷凍をするための食品などの負荷を入れた状態で運転を開始し、食品が十分冷却された状態に至るまでの運転条件を示したものであり、最も巻線温度が高くなる点が最大負荷条件となる。
またさらに、図6は、図5と同様な特性図に、圧縮機の定格入力が80Wと低いものと120Wと高いものを示したものであり、定格入力とは、圧縮機の冷凍能力を規定する条件であるAshrae条件(凝縮温度55.4度、蒸発温度−23.3℃、室温及び、過冷却及び、吸入ガス温度が32.2度条件を指す)での圧縮機の入力を指し、両者の過負荷運転における巻線電流対モーター巻線温度曲線を示したものである。
以下、図1から図7に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1から図5において、圧縮機101は、容器102の内部に、冷媒103が封入されている。冷媒103としては、近年のオゾン保護、地球温暖化防止に対応した冷媒として、イソブタンR600a、R134a、R410A、R1234yfなどの冷媒103があげられる。本実施の形態では、R600aを用いている。
容器102の内部には、圧縮要素104と、固定子105、回転子106よりなるモーター107が収納され、さらに容器102の底部には、潤滑油108が貯留されている。
圧縮要素104は、シリンダブロック111、シリンダブロック111に形成されたシリンダボア112、ピストン113、ピストンピン114、コンロッド115、シャフト116、シャフト116を構成する、主軸部117と偏芯部118、軸受部120、およびシリンダボア112内でピストン113により仕切られる圧縮室121、圧縮室121を隔壁して、吸入吐出部を形成するシリンダヘッド122aなどから形成される。
ピストン113とシリンダボア112、主軸部117と軸受部120、偏芯部118とコンロッド115などは、潤滑油108を介して、互いに摺動する摺動部122を形成している。摺動部122へは、シャフト116などに形成された給油機構123により、容器102の底部の潤滑油108が供給される。
潤滑油108は、いわゆる低粘度冷凍機油でありその粘度グレートは、VG6、即ち40度での動粘度が6ミリメートル二乗/秒以下のものを用いている。潤滑油108としては、鉱油、アルキルベンゼン、PAG(ポリアルキレングリコール)、PAO(ポリアルファオレフィン)、エステル、ポリカーボネートなどいろいろな種類の物があるが、粘度のグレードとしては、いずれにおいてもVG6以下であり、本実施の形態では、鉱油で特にパラフィン系の粘度グレードがVG3ないしVG5の潤滑油108を用いている。
次に、モーター107の固定子106には、巻線130が巻かれており、保護装置131が、ターミナル133にとりつけられ、巻線130の温度保護をしている。
巻線130は、リード線134とクラスター136を介して保護装置131および、起動装置140に電気的に接続されている。
保護装置131や、起動装置140などは、感電しないようにカバー141でおおわれている。
保護装置131は、巻線130を流れる電流と温度により動作するものであり、モーター107の巻線130の温度が120度以上になると保護が働き、電流を遮断するように設定されている。
より詳しくは、巻線130を流れる電流と、本実施の形態では、容器102にとりつけられた保護装置131の内部の図示しない熱電素子(バイメタルなど)や図示しない補助ヒーターなどにより、容器102の温度と、巻線130を流れる電流を利用して、バイメタルを動作させる方法を用いている。
巻線130の温度が120度以上になると、動作させるようにするためには、容器102の温度と、巻線130の電流と、巻線130の温度をサーモカップルなどにより実測した上で、巻線130の温度が120度になると動作する容器102と巻線130の電流の関係を得、得られた値をもとに保護装置131の動作値を設定する。
尚、吸入管150は、容器102にとりつけられ、容器102の外部の図示しない冷凍システムから、冷媒103を導いており、サクションマフラー151によって、吸入管150から導かれた冷媒103が圧縮室121内に吸い込まれ、圧縮後、吐出管155より吐出される。
モーター107に通電され、圧縮機101が運転を始めると圧縮要素104は、冷媒103を圧縮し、高温の冷媒103は、圧縮室121で圧縮され、シリンダヘッド122aから、吐出管155を通って吐出される。
一方、潤滑油108は、給油機構123によって、摺動部122に送られ、シリンダボア112とピストン113、コンロッド115とピストンピン114や偏芯部118、主軸部117と軸受部120などの各摺動部122の潤滑を行う。
近年の地球環境保護を目的とした、省エネルギー化の一つとして、圧縮機101の効率をあげるため、潤滑油108の動粘度を低くして摺動部122の粘性損失を下げ、入力を下げることは公知であるが、低粘度化による潤滑油108そのものの劣化や、潤滑油108と冷媒103も鑑みた劣化促進、また、それらが、圧縮機101のモーター107の巻線130と関連づけられその許容制限が明確化されていなかった。
図2は、発明者が、巻線130の温度を変化させるとともに、VG10相当(VGはViscosity Gradeの略で、40度での動粘度、ミリメートル二乗/秒の値を示している)40度での動粘度が10.2ミリメートル二乗/秒から、VG3相当、40度での動粘度が3.1ミリメートル二乗/秒までの圧縮機を用いて、加速信頼性試験において、潤滑油108及び、潤滑油108の劣化に起因する摺動部122の摩耗・劣化状態を4段階で評価した結果を示している。
発明者の検討から、VG6、40度での動粘度がおよそ6ミリメートル二乗/秒以下の潤滑油108を用いる上では、巻線130の温度を最大でも120度以下に抑制することで、潤滑油108及び、摺動部122に劣化の発生しないことが確認できた。
また、図3の(A)は、巻線の温度条件を130度としておこなったライフテストにおいて、横軸に潤滑油108の40度における動粘度を取り、縦軸に信頼性・いわゆるライフテストでの潤滑油108起因による、重合物等のコンタミ量を示した特性図であるが、6ミリメートル二乗/秒以下において、コンタミ量が急増していることがわかる。
これらの理由の一つは、潤滑油l08の動粘度が低くなると、低沸点成分が多くなるため、高温度条件での耐力が悪化するためと考えており、その境界線が、VG6以下の潤滑油を使う上では、120度以下の巻線130の温度管理にあることが明確となった。
また、図3の(B)は、潤滑油108の温度及び巻線温度が、120度の条件下における潤滑油108の実際の動粘度を横軸に、縦軸に、コンタミ量を示した特性図であるが、実動粘度が1ミリメートル二乗/秒以上において、コンタミ量が急速に増加し、冷却システムや圧縮機101の各要素に悪影響を与える量になることが、明確であり、圧縮機101のいかなる条件においても、潤滑油108の実動粘度を1ミリメートル/秒以上にすることで、圧縮機101の信頼性及び、圧縮機101を搭載するシステムの信頼性を確実に保証することが可能となる。
次に、巻線130の温度を120度以下にするためには、圧縮機101が過負荷の条件にあっても運転できなければならない。例えば、冷蔵庫で言うと、外気温度が43度程度の環境下で、かつ、食品等が多く保存された状態においても運転が確実になされる必要があるということである。
そのためには、圧縮機101がシステムの過負荷条件において、どのような条件であれば、運転が保証されるかを明確化するために、発明者は、モーター107の効率を74%から、90%まで変化させ、過負荷条件として、圧縮機101を運転する外気温度ベース条件を変え、外気温度45度条件までの運転を保障する条件を明確化した。図4は、横軸にモーター107の巻線130の温度をとり、縦軸に過負荷条件としての外気温度ベースをとり、各モーター効率でプロット及び近似曲線化したものである。
図4のモーター温度は、室温が43度、凝縮温度が65度、蒸発温度が−23.3度で、電圧が定格電圧(各地域で供給される電圧)の±10%電圧でモーター巻線の温度の最大値を示しており、この条件におけるモーター巻線温度は、図5に示すシステムの最大温度条件と近似することから、この条件でのモーター巻線温度と効率の関係から、効率を規定する方法を取り入れた。
尚、室温(すなわち過負荷指標を45度としたのは、2度をばらつきとして高めに裕度を設定するためである。
図4から明確なように、過負荷指標45度においても、モーター効率が82%以上において、モーター107の巻線130の温度は120度以下に抑制され、結果として、システムの過負荷条件においても、十分な運転の確保ができることが明確となった。
従って、VG6以下の潤滑油108を、モーター効率82%以上のモーター107を有する圧縮機101とすることにより、過負荷条件においても十分な運転を確保するとともに、潤滑油108及び、摺動部122の劣化による信頼性低下の無い、さらに、低粘度潤滑油108を用いることで、省エネルギーに優れた圧縮機101を提供することが可能となるのである。
さらに、本発明では、保護装置131を用い、保護装置131は、巻線130を流れる電流と温度によって動作するものを有し、巻線130を流れる電流と容器102または容器102内または巻線130近傍の温度を検出して動作し、巻線130を流れる電流と、容器102または容器102内または巻線130近傍の温度の関数として得られた値を保護装置131の動作値としている。
より具体的に説明すると、巻線130を流れる電流は、たとえば、日本国内の電圧100Vや欧州の230Vでは、違うため、それぞれの地域及び、モーター107の巻線130を流れる電流を計測し、さらに、容器102等の温度を計測し、それらと巻線130の温度も同時に計測する。
それらの計測により得られた値は、巻線130を流れる電流と、容器102または容器102内または巻線130近傍の温度との関数として、巻線130の実測温度を規制することが可能となり、過負荷の温度条件を例えば、本実施の形態で説明するように、43度(余裕度を2度見て、設定に用いる外気温度を45度)とすれば、その条件下での、容器102または容器102内または巻線130近傍の温度と、巻線130を120度以下に設定するための、保護装置131の電流動作値が決定され、それにより、巻線130の温度を確実に保護することが可能となる。
それらの関係は、図5により説明することができる。
図5は、横軸にモーター107の巻線130を流れる電流、縦軸にモーター107の巻線130の温度をとり、圧縮機101の過負荷条件において、圧縮機101を始動から、安定運転まで運転した際の電流と温度の関係を実線Aでプロットし、さらに周囲温度と電流(実際には電圧)を上げ、圧縮機101が圧縮機101の保護の為に停止する点まで負荷を上げた場合の線図をBとして示している。Cは、保護装置131の特性曲線であるが、図5より、前述した、VG6以下の粘度の潤滑油108を用いて、さらに、モーター効率を82%以上としたモーター107を用い、さらに巻線130を流れる電流と温度により動作する保護装置131の保護温度を120度以下に設定することにより、過負荷条件でも安定した運転が可能となるとともに、冷凍システムなどが異常な条件においては、モーター巻線130の温度は、120度以下に制限して保護することが可能となる。
尚、図7に示す、モーター107については、回転子106に永久磁石160を用いた同期モーターを用いることにより、モーター効率は、およそ90%以上が得られるとともに、モーター効率が高いことから、モーター107からの発熱損失もより低くなり、前述したように、圧縮機の信頼性低下が無くなり、システムの安定した運転確保と圧縮機の信頼性の向上の両立をより高めた圧縮機を提供することができる。
以上述べたように、本発明の実施の形態1においては、VG6以下の低粘度潤滑油を使用した場合でも、システムの過負荷の状態で、モーター効率が高いことから、巻線130の温度上昇が抑制されるとともに、モーター保護装置が、モーター巻線温度が120度以下に抑えられることから、潤滑油108の温度が異常に上がることなく、潤滑油108の劣化が起こらず、圧縮機101の信頼性が向上する。また、圧縮機101が過負荷状態においても、温度上昇が低いことから、システムでの過負荷状態での運転も十分保証され、過負荷状態で、運転が停止してしまい、冷却物(例えば、冷蔵庫においては食品など)の劣化の発生がないとともに、潤滑油108の劣化やひいては、圧縮機101の信頼性低下が無くなり、システムの安定した運転保証と圧縮機101の信頼性の向上の両立を図ることが可能となる。
尚、図6は、冷媒がイソブタンR600aであり、圧縮機101の定格入力が80Wのものと、120Wの圧縮機101における、図5と同様なモーター107の巻線130の電流と温度を示した特性図であるが、冷媒がイソブタンにおいて、圧縮機定格120Wでモーター107の巻線130度以下の保護と過負荷条件での運転の両立が確立されており、定格120W以下の圧縮機について、より有効な手段である。
ここで、圧縮機101の定格とは、圧縮機101の冷凍能力を規定する条件であるAshrae条件(凝縮温度55.4度、蒸発温度−23.3℃、室温及び、過冷却及び、吸入ガス温度が32.2度条件を指す)での圧縮機101の入力を指している。
冷媒がイソブタンで、圧縮機定格が120Wであるものは、特に、500L以下の冷蔵庫に使用されるが、定格入力が低いことから、入力における、潤滑油108の動粘度に起因する摺動損失割合が大きいため、低粘度の潤滑油108を利用することによる省エネルギー効果が大きく、また、イソブタンを利用することから、エネルギー面でも冷媒の物性面でも環境、地球にやさしい圧縮機101を高い信頼性と運転安定性を確保しながら提供することが可能となる。
以上のことを整理すると、40度での動粘度が6ミリメートル二乗/秒以下の潤滑油を使うことで摺動部へ供給する潤滑油108の動粘度を特に、負荷のさほど大きくない例えば、外気温度が25度程度の条件下で大幅に小さくでき、摺動損失を低減して省エネルギーに寄与できるとともに、逆に高負荷の例えば、外気温度が43度であり、食品等の負荷が入った冷却の最大条件でも運転が十分できるとともに、かつ、モーター巻線の温度が120度以上にならないように、室温が43度、凝縮温度が65度、蒸発温度が−23.3度で、電圧が定格電圧(各地域で供給される電圧)の±10%電圧でモーター巻線の温度の最大値120度を超えないような、モーター107の最大トルクの2分の1の電圧におけるモーター効率が82%以上のモーター107を用い、さらに、巻線温度が120度になったことを電流と容器102や巻線130の温度を検知して動作する保護装置131を用い巻線130の温度が120度以上になると、動作させるようにするために、容器102の温度と、巻線130の電流と、巻線130の温度をサーモカップルなどにより実測した上で、巻線130の温度が120度になると動作する容器102と巻線130の電流の関係を示す関数として得られた値をもとに保護装置131の動作値を設定することで、巻線130の温度が120度を超えることが無く、潤滑油108の劣化による信頼性課題が発生しない圧縮機を提供している。
尚、本実施の形態では、保護装置131の動作値は、巻線130の電流値であるが、電圧に変換して、別の制御装置内で処理する方法なども可能である。
さらに、発明者らの検討では、一般に通常の2極誘導電動モーターを用いた場合には、モーター107の最大トルクの2分の1の電圧におけるモーター効率が約85%程度が可能であり、その際には、圧縮機の定格入力が120W以下であれば、前記した過負荷運転の保証と、巻線温度120度以下の両立が可能であることが分かっており、特に国内外で使われている、500L以下の家庭用冷蔵庫を対象とした場合には、本実施の形態で述べた圧縮機101が対象となり、本発明の技術を用いることで、多大な省エネ効果を得ることで、地球環境への貢献が可能となる。
尚、発明者の検討においては、本発明の圧縮機101において、従来比、8%以上の効率の向上が得られることが確認できている。また、従来同等、過負荷の条件においても運転が十分確保されるとともに、信頼性も十分確保することが出来ている。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における圧縮機の縦断面図および制御部図である。
以下、図1から図7に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1において、圧縮機201は、容器202の内部に、冷媒203が封入されている。冷媒203としては、近年のオゾン保護、地球温暖化防止に対応した冷媒として、イソブタンR600a、R134a、R410A、R1234yfなどの冷媒203があげられる。本実施の形態では、R600aを用いている。
容器202の内部には、圧縮要素204と、固定子205、回転子206よりなるモーター207が収納され、さらに容器202の底部には、潤滑油208が貯留されている。
回転子206は、永久磁石260を有するDCインバーターモーターである。
圧縮要素204は、シリンダブロック211、シリンダブロック211に形成されたシリンダボア212、ピストン213、ピストンピン214、コンロッド215、シャフト216、シャフト216を構成する、主軸部217と偏芯部218、軸受部220、およびシリンダボア212内でピストン213により仕切られる圧縮室221、圧縮室221を隔壁して、吸入吐出部を形成するシリンダヘッド222aなどから形成される。
ピストン213とシリンダボア212、主軸部217と軸受部220、偏芯部218とコンロッド215などは、潤滑油208を介して、互いに摺動する摺動部222を形成している。摺動部222へは、シャフト216などに形成された給油機構223により、容器202の底部の潤滑油208が供給される。
潤滑油208は、いわゆる低粘度冷凍機油でありその粘度グレートは、VG6、即ち40度での動粘度が6ミリメートル二乗/秒以下のものを用いている。潤滑油108としては、鉱油、アルキルベンゼン、PAG(ポリアルキレングリコール)、PAO(ポリアルファオレフィン)、エステル、ポリカーボネートなどいろいろな種類の物があるが、動粘度のグレードとしては、いずれにおいてもVG6以下であり、本実施の形態では、鉱油で特にパラフィン系の粘度グレードがVG3ないし5VGの物を用いている。
次に、モーター207の固定子205には、巻線230が巻かれており、保護装置231が、ターミナル233にとりつけられ、巻線230の温度保護をしている。
巻線230は、リード線234とクラスター236を介して保護装置231および、駆動するためのDCインバーター制御部270に接続されている。
また、巻線230の温度保護は、DCインバーターであるモーター207を駆動するためのDCインバーター制御部270の駆動回路271や電源線272の電流を検知して、電流を遮断したり、あるいは、回転数を変更することで、電流値を低下させるなどの保護動作を行う電流保護手段273によっても温度保護がなされるように構成されている。
保護装置231などは、感電しないようにカバー241でおおわれている。
尚、吸入管250は、容器202にとりつけられ、容器202の外部の図示しない冷凍システムから、冷媒203を導いており、サクションマフラー251によって、吸入管250から導かれた冷媒203が圧縮室221内に吸い込まれ、圧縮後、吐出管255より吐出される。
モーター207にDCインバーター制御部270より通電され、圧縮機201が運転を始めると圧縮要素204は、冷媒203を圧縮し、高温の冷媒203は、圧縮室221で圧縮され、シリンダヘッド222aから、吐出管255を通って吐出される。
一方、潤滑油208は、給油機構223によって、摺動部222に送られ、シリンダボア212とピストン213、コンロッド215とピストンピン214や偏芯部218、主軸部217と軸受部220などの各摺動部222の潤滑を行う。
近年の地球環境保護を目的とした、省エネルギー化の一つとして、圧縮機201の効率をあげるため、潤滑油208の動粘度を低くして摺動部222の粘性損失を下げ、入力を下げることは公知であるが、低粘度化による潤滑油208そのものの劣化や、潤滑油208と冷媒203も鑑みた劣化促進、また、それらが、圧縮機201のモーター207の巻線230と関連づけられその許容制限が明確化されていなかった。
図2は、発明者が、巻線230の温度を変化させるとともに、VG10相当、40度での動粘度が10.2ミリメートル二乗/秒から、VG3相当、40度での動粘度が3.1ミリメートル二乗/秒までの圧縮機を用いて、加速信頼性試験において、潤滑油208及び、潤滑油208の劣化に起因する摺動部222の摩耗・劣化状態を4段階で評価した結果を示している。
発明者の検討から、VG6、40度での動粘度がおよそ6ミリメートル二乗/秒以下の潤滑油108を用いる上では、巻線230の温度を最大でも120度以下に抑制することで、潤滑油208及び、摺動部222に劣化の発生しないことが確認できた。
また、図3の(A)は、巻線の温度条件を130度としておこなったライフテストにおいて、横軸に潤滑油208の40度における動粘度を取り、縦軸に信頼性・いわゆるライフテストでの潤滑油208起因による、重合物等のコンタミ量を示した特性図であるが、6ミリメートル二乗/秒以下において、コンタミ量が急増していることがわかる。
これらの理由の一つは、潤滑油208の粘度が低くなると、低沸点成分が多くなるため、高温度条件での耐力が悪化するためと考えており、その境界線が、VG6以下の潤滑油を使う上では、120度以下の巻線130の温度管理にあることが明確となった。
また、図3の(B)は、潤滑油108の温度及び巻線温度が、120度の条件下における潤滑油108の実際の動粘度を横軸に、縦軸に、コンタミ量を示した特性図であるが、実動粘度が1ミリメートル二乗/秒以上において、コンタミ量が急速に増加し、冷却システムや圧縮機101の各要素に悪影響を与える量になることが、明確であり、圧縮機101のいかなる条件においても、潤滑油108の実動粘度を1ミリメートル/秒以上にすることで、圧縮機101の信頼性及び、圧縮機101を搭載するシステムの信頼性を確実に保証することが可能となる。
次に、巻線230の温度を120度以下にするためには、圧縮機201がある程度過負荷の条件にあっても運転できなければならない。例えば、冷蔵庫で言うと、外気温度が40度程度の環境下で、かつ、食品等が多く保存された状態においても運転が確実になされる必要があるということである。
そのためには、圧縮機201がシステムの過負荷条件において、どのような条件であれば、運転が保証されるかを明確化するために、発明者は、モーター207の効率を74%から、90%まで変化させ、過負荷条件として、圧縮機201を運転する外気温度ベース条件を変え、外気温度45度条件までの運転を保障する条件を明確化した。図4は、横軸にモーター207の巻線230の温度をとり、縦軸に過負荷条件としての外気温度ベースをとり、各モーター効率でプロット及び近似曲線化したものである。
図4から明確なように、過負荷指標45度においても、モーター効率が82%以上において、モーター207の巻線230の温度は120度以下に抑制され、システムの過負荷条件においても、十分な運転の確保ができることが明確となった。
従って、VG6以下の潤滑油208を、モーター効率82%以上のモーター207を有する圧縮機201とすることにより、過負荷条件においても十分な運転を確保するとともに、潤滑油208及び、摺動部222の劣化による信頼性低下の無い、さらに、低粘度潤滑油208を用いることで、省エネルギーに優れた圧縮機201を提供することが可能となるのである。
尚、図2、図3、図4における特性図は、インダクションモーターにおいてもDCインバーターにおいても同様な結果を得ている。
また、さらに、省エネルギー化のさらなる手段として、DCインバーターモーターを用いて、圧縮機201の回転数を制御し、冷凍システムの負荷に応じた能力に最適化することにより、圧縮機201の損失を低くするとともに、効率の高いポイントで使うことにより消費電力を低減する手段が用いられている。
図2から図4より説明したように、モーター207の巻線230は、40度での動粘度が6ミリメートル二乗/秒、すなわち、粘度グレードがVG6以下の低粘度の潤滑油208を使うために、潤滑油208の温度を120度以下にコントロールする必要があり、そのために、モーター効率を82%以上にすることが必要であるが、DCインバーターモーターを用いることで、82%以上の効率を得ることは容易であり、さらに高いおよそ95%程度の効率をえることも可能である。
また、過負荷条件の運転の確保と共に、システムの異常な条件において、温度が異常に上昇した場合に潤滑油208の温度を120度以下に制限することが必要であるが、DCインバーター制御部270の電流保護手段273により、過剰な電流値になった場合に電流を遮断することで温度上昇を阻止することが可能であるとともに、電流保護手段273に、回転数を変更する制御を組み込み、回転数を例えば低下させることで、モーター207の巻線230の電流を低下させて、温度上昇を阻止することも可能である。
以上述べたように、モーター207を回転子206に永久磁石260を用いたDCインバーターとすることで、モーター効率を極めて高くするとともに、モーター207の発熱の抑制を大きくし、圧縮機201の信頼性低下が無くなり、システムの安定した運転確保と圧縮機201の信頼性の向上の両立をより高めた圧縮機201を提供することができる。
また、モーター207の巻線230の温度とひいては、潤滑油208の温度上昇の保護は、DCインバーター制御部270の電流保護手段273が行うことで、インバーターの回転数変化、運転率制御と共に、温度制御、温度上昇遮断においてもよりきめの細かい制御が可能となり、圧縮機201の信頼性をより高めることができる、かつ極めて高効率の圧縮機201および、圧縮機201をDCインバーター制御部270、電流保護手段273と共にもちいた、省エネルギーの冷凍システムを提供することが可能となる。
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における圧縮機の縦断面図、図2は、潤滑油の動粘度にたいする劣化の特性図、図3は、潤滑油の動粘度に対するコンタミ量を示す特性図、図4は、モーター効率を過負荷時モーター巻線温度を示す特性図、図10は、スラストボールベアリングの信頼性結果の特性図、図11は、ダイレクトサクションマフラー仕様のスラッジの発生結果の特性図、図12は、ダイレクトサクションマフラー仕様の吐出温度結果の特性図、図13は、各気筒容積でのモータートルクと運転保証を示す特性図、図14は、気筒容積別のモーター最低保証トルク一覧の特性図である。
以下、図9、図2、図3、図4、図10、図11、図12、図13、図14に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図9、図2、図3、図4、図10、図11、図12、図13、図14において、圧縮機301は、容器302の内部に、冷媒303が封入されている。冷媒303としては、近年のオゾン保護、地球温暖化防止に対応した冷媒として、イソブタン、R600aを用いている。
容器302の内部には、圧縮要素304と、固定子305、回転子306よりなるモーター307が収納され、さらに容器302の底部には、潤滑油308が貯留されている。
圧縮要素304は、シリンダブロック311、シリンダブロック311に形成されたシリンダボア312、ピストン313、ピストンピン314、コンロッド315、シャフト316、シャフト316を構成する、主軸部317と偏芯部318、軸受部320、およびシリンダボア312内でピストン313により仕切られる圧縮室321、圧縮室321を隔壁して、吸入吐出部を形成するシリンダヘッド322aなどから形成される。
軸受部320の上部には、スラスト軸受部400があり、スラスト軸受部400には、スラストボールベアリング401により、回転子306やシャフト316の荷重を受ける構造である。
ピストン313とシリンダボア312、主軸部317と軸受部320、偏芯部318とコンロッド315などは、潤滑油308を介して、互いに摺動する摺動部322を形成している。摺動部322へは、シャフト316などに形成された給油機構323により、容器302の底部の潤滑油308が供給される。
潤滑油308は、いわゆる低粘度冷凍機油でありその粘度グレートは、VG6、即ち40度での動粘度が6ミリメートル二乗/秒以下のものを用いている。潤滑油308としては、鉱油、アルキルベンゼン、PAG(ポリアルキレングリコール)、PAO(ポリアルファオレフィン)、エステル、ポリカーボネートなどいろいろな種類の物があるが、粘度のグレードとしては、いずれにおいてもVG6以下であり、本実施の形態では、鉱油で特にパラフィン系の粘度グレードがVG3ないしVG5の潤滑油308を用いている。
次に、モーター307の固定子305には、巻線330が巻かれており、保護装置331が、ターミナル333にとりつけられ、巻線330の温度保護をしている。
巻線330は、リード線334とクラスター336を介して保護装置331および、起動装置340に電気的に接続されている。
保護装置331や、起動装置340などは、感電しないようにカバー341でおおわれている。
保護装置331は、電流と温度により動作するものであり、モーター307の巻線330の温度が120度以上になると保護が働き、電流を遮断するように設定されている。
尚、吸入管350は、容器302にとりつけられ、容器302の外部の図示しない冷凍システムから、冷媒303を導いており、サクションマフラー351によって、吸入管350から導かれた冷媒303が圧縮室321内に吸い込まれ、圧縮後、吐出管355より吐出される。
サクションマフラー351は、接続部材410により、吸入管350とほぼ密着して冷媒303が流れるように構成されたダイレクトサクションマフラー構造である。
尚、接続部材410による接続が完全になされていない状態、すなわち、吸入管350とサクションマフラー351の入口が近接した状態である構造であるセミダイレクトサクションマフラー構造であってもよいが、本実施例では、ほぼ、完全に密着されたものについて説明している。
モーター307に通電され、圧縮機301が運転を始めると圧縮要素304は、冷媒303を圧縮し、高温の冷媒303は、圧縮室321で圧縮され、シリンダヘッド322aから、吐出管355を通って吐出される。
一方、潤滑油308は、給油機構323によって、摺動部322に送られ、シリンダボア312とピストン313、コンロッド315とピストンピン314や偏芯部318、主軸部317と軸受部320などの各摺動部322の潤滑を行う。
近年の地球環境保護を目的とした、省エネルギー化の一つとして、圧縮機301の効率をあげるため、潤滑油308の動粘度を低くして摺動部322の粘性損失を下げ、入力を下げることは公知であるが、低粘度化による潤滑油308そのものの劣化や、潤滑油308と冷媒303も鑑みた劣化促進、また、それらが、圧縮機301のモーター307の巻線330と関連づけられその許容制限が明確化されていなかった。
また、省エネルギー化の一環として、スラスト軸受部400には、スラストボールベアリング401を用いることが提案されているが、スラストボールベアリング401は、ボールを用いるため、摺動は点接触となり、潤滑油308の動粘度の低い場合は、摺動条件が非常に過酷になることが、発明者の検討により明確になった。
さらに、潤滑油308は、冷媒303と共に、その一部は、圧縮室301で圧縮され、シリンダヘッド322aに吐出されるが、圧縮により高温となるため、図示しないバルブ等の部位で、スラッジ等の劣化生成物を形成することも知られている。
図2は、発明者が、巻線330の温度を変化させるとともに、VG10相当、40度での動粘度が10.2ミリメートル二乗/秒から、VG3相当、40度での動粘度が3.1ミリメートル二乗/秒までの圧縮機を用いて、加速信頼性試験において、潤滑油308及び、潤滑油308の劣化に起因する摺動部122の摩耗・劣化状態を4段階で評価した結果を示している。
発明者の検討から、VG6、40度での動粘度がおよそ6ミリメートル二乗/秒以下の潤滑油308を用いる上では、巻線330の温度を最大でも120度以下に抑制することで、潤滑油308及び、摺動部322に劣化の発生しないことが確認できた。
また、図3の(A)は、巻線の温度条件を130度としておこなったライフテストにおいて、横軸に潤滑油308の40度における動粘度を取り、縦軸に信頼性・いわゆるライフテストでの潤滑油308起因による、重合物等のコンタミ量を示した特性図であるが、6ミリメートル二乗/秒以下において、コンタミ量が急増していることがわかる。
これらの理由の一つは、潤滑油308の動粘度が低くなると、低沸点成分が多くなるため、高温度条件での耐力が悪化するためと考えており、その境界線が、VG6以下の潤滑油を使う上では、120度以下の巻線330の温度管理にあることが明確となった。
また、図3の(B)は、潤滑油108の温度及び巻線温度が、120度の条件下における潤滑油108の実際の動粘度を横軸に、縦軸に、コンタミ量を示した特性図であるが、実動粘度が1ミリメートル二乗/秒以上において、コンタミ量が急速に増加し、冷却システムや圧縮機101の各要素に悪影響を与える量になることが、明確であり、圧縮機101のいかなる条件においても、潤滑油108の実動粘度を1ミリメートル/秒以上にすることで、圧縮機101の信頼性及び、圧縮機101を搭載するシステムの信頼性を確実に保証することが可能となる。
次に、巻線330の温度を120度以下にするためには、圧縮機301がある程度過負荷の条件にあっても運転できなければならない。例えば、冷蔵庫で言うと、外気温度が40度程度の環境下で、かつ、食品等が多く保存された状態においても運転が確実になされる必要があるということである。
そのためには、圧縮機301がシステムの過負荷条件において、どのような条件であれば、運転が保証されるかを明確化するために、発明者は、モーター307の効率を74%から、90%まで変化させ、過負荷条件として、圧縮機301を運転する外気温度ベース条件を変え、外気温度45度条件までの運転を保障する条件を明確化した。図4は、横軸にモーター307の巻線330の温度をとり、縦軸に過負荷条件としての外気温度ベースをとり、各モーター効率でプロット及び近似曲線化したものである。
図4から明確なように、過負荷指標45度においても、モーター効率が82%以上において、モーター307の巻線330の温度は120度以下に抑制され、システムの過負荷条件においても、十分な運転の確保ができることが明確となった。
従って、VG6以下の潤滑油308を、モーター効率82%以上のモーター307を有する圧縮機301とすることにより、過負荷条件においても十分な運転を確保するとともに、潤滑油308及び、摺動部322の劣化による信頼性低下の無い、さらに、低粘度潤滑油308を用いることで、省エネルギーに優れた圧縮機301を提供することが可能となるのである。
次に、図10は、スラストボールベアリング部401のボール等の過酷信頼性試験における摩耗を示した表である。潤滑油308の各動粘度において、モーター307の巻線330の温度を変化させて実験した結果を4段階の評価で示している。
図10からわかるように、巻線330の温度が120度以下の条件では、前述したように点接触摺動で厳しい条件となるスラストボールベアリング401においても、摩耗の発生がないことが、発明者の検討から明確化出来ており、スラストボールベアリング401の採用により、大幅な入力低減効果が得られるとともに、潤滑油308の低粘度化による他の摺動部322の損失低減も得られ、これらの入力低減による圧縮機301の高効率化を最大限に得ながら、システムが過負荷の状態でも十分な運転が確保でき、システムが異常な状態では、電源供給を遮断することにより、信頼性を確実に確保できる範囲内で、圧縮機301を停止させることが可能となっている。
また、図11は、サクションマフラー351が、ダイレクトサクションマフラーである圧縮機301の過酷信頼性試験における、シリンダヘッド322a内の図示しないバルブ等に付着するスラッジ等の発生の有無、良否を4段階で示した表である。
図11からわかるように、スラッジの発生は、潤滑油308の粘度がVG6以下のものであっても、巻線330の温度が125度以下では全く発生がないことが発明者の検討から明らかとなっており、巻線330の温度が120度以下では、全く信頼性の問題がないことが明らかである。
このことは、図12に示す通常のサクションマフラー351と吸入管350とをほぼ密着して接続したダイレクトサクションマフラーの比較において、過負荷条件における吐出ガス温度を気筒容積を横軸にとり、棒グラフで示したものであるが、ダイレクトサクションマフラー構造を用いることにより、温度低減が図れており、吐出側でのスラッジ等の生成においては、ダイレクトサクションマフラー及び、セミダイレクトサクションマフラーのように、より吸入管350とサクションマフラー351の入口を近接させて構造の方が有効であることが明確となった。
次に、本実施例において、用いている冷媒303であるイソブタン、R600aを用いた場合に、気筒容積とモーター307のトルクを変化させ、システムの過負荷条件においても、十分な運転が確保できるかどうかを検討した結果を図13に示している。
図13は、気筒容積が6cm3(立法センチメートル)、8cm3、10cm3において、モーター307のトルクを変化させて、過負荷条件での十分な運転を○、△、×の3段階で示すとともに、過負荷時の温度上昇(巻線330の保護を働かせない場合の温度)を○、×で示している。
また、図14は、図13の結果及び、発明者の他の検討の結果も含め、気筒容積に対するモーター307のトルクの過負荷条件で運転可能な最小値と、気筒容積に対する比率を示したものである。
図13、図14からわかるように、気筒容積をAcm3とすると、約80倍以上のトルクで、十分な運転の確保ができていることがわかる。
このことは、トルクを適切に設定することにより、過負荷時であるいわゆる高トルクが必要な条件においても、モーター効率を高く維持できることで、高負荷時においてもモーター307の巻線330の温度を低く維持し、過負荷時の温度上昇を抑制し、十分な運転範囲を確保できる範囲が明確となった。
さらに、発明者らの検討では、80倍から100倍程度に設定することが適切であり、より低めに設定する方が、低負荷時の効率を向上できることから、低負荷での省エネルギー効果をより高められることも分かっている。
また、本実施の形態の圧縮機301は、圧縮要素304は、鉛直上方に位置し、モーター307が圧縮機301の下方に配置されたものであるが、圧縮要素304が鉛直上方に位置し、電動要素が鉛直下方にあることにより、潤滑油308の一部は、電動要素を通って循環し、潤滑油308の温度はより、モーター307の巻線330の温度との温度関連性が高まり、モーター307の巻線330の温度保護による潤滑油308の温度上昇規制の精度を向上することが可能となり、圧縮機301の信頼性をより確実に高めることができる。
以上述べたように、本発明の実施の形態3においては、VG6以下の低粘度潤滑油を使用した場合でも、システムの過負荷の状態で、モーター効率が高いことから、巻線330の温度上昇が抑制されるとともに、モーター保護装置331が、モーター巻線温度が120度以下に抑えられることから、潤滑油308の温度が異常に上がることなく、潤滑油308の劣化が起こらず、圧縮機301の信頼性が向上する。また、圧縮機301が過負荷状態においても、温度上昇が低いことから、システムでの過負荷状態での運転も十分保証され、過負荷状態で、運転が停止してしまい、冷却物(例えば、冷蔵庫においては食品など)の劣化の発生がないとともに、潤滑油308の劣化やひいては、圧縮機301の信頼性低下が無くなり、システムの安定した運転保証と圧縮機301の信頼性の向上の両立を図ることが可能となる。
従って、地球環境にやさしい、省エネルギーで、かつ信頼性も高く、寿命が長く資源保護にもやさしい、高品位の圧縮機301が提供できることとなる。
以上のように、本発明にかかる圧縮機は、冷蔵庫のみならず、ルームエアコン、ヒートポンプ等に用いる圧縮機に応用展開が可能である。
本発明の実施の形態1における圧縮機の縦断面図 潤滑油の粘度にたいする劣化の特性図 (A)潤滑油の粘度に対するコンタミ量を示す特性図(B)潤滑油の粘度に対するコンタミ量を示す特性図 モーター効率を過負荷時モーター巻線温度を示す特性図 過負荷条件での巻線電流・温度の特性図 圧縮機定格違いによる過負荷条件での巻線電流・温度の特性図 同期モーターの断面図 本発明の実施の形態2における圧縮機の縦断面図および制御部図 本発明の実施の形態3における圧縮機の縦断面図 スラストボールベアリングの信頼性結果の特性図 ダイレクトサクションマフラー仕様のスラッジの発生結果の特性図 ダイレクトサクションマフラー仕様の吐出温度結果の特性図 各気筒容積でのモータートルクと運転保証を示す特性図 気筒容積別のモーター最低保証トルク一覧の特性図 従来の圧縮機の縦断面図 従来の圧縮機を示す図
符号の説明
101、201、301 圧縮機
102、202、302 容器
103、203、303 冷媒
104、204、304 圧縮要素
105、205、305 固定子
106、206、306 回転子
107、207、307 モーター
108、208、308 潤滑油
116、216、316 シャフト
122、222、322 摺動部
123、223、323 給油機構
130、230、330 巻線
131、231、331 保護装置
160、260 永久磁石
270 DCインバーター制御部
273 電流保護手段
350 吸入管
351 サクションマフラー
400 スラスト軸受部
401 スラストボールベアリング

Claims (9)

  1. 容器内に、冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する固定子と回転子よりなるモーターと、40度における動粘度が6ミリメートル二乗/秒以下の潤滑油を収容し、前記固定子は、巻線を有するとともに、前記巻線と電気的に接続された保護装置を有し、前記モーターの効率は、高負荷条件で82%以上のモーター効率を有するとともに、前記保護装置は、前記固定子の前記巻線を流れる電流と前記容器または前記容器内または前記巻線近傍の温度を検出して動作し、前記巻線を流れる電流と、前記容器または前記容器内または前記巻線近傍の温度の関数として得られた値を前記保護装置の動作値とし、前記巻線の温度が120度以上なったことを検知して動作することで、圧縮機のいかなる負荷条件に於ける前記潤滑油の実動粘度を1ミリメートル二乗/秒以上に制限できることを特徴とする圧縮機。
  2. 冷媒がイソブタンであり、圧縮機の定格入力(Ashrae条件での蒸発温度−23.3度における入力を指す)が120W以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. モーターは、回転子に永久磁石を用いた同期モーターである請求項1に記載の圧縮機。
  4. モーターは、回転子に永久磁石を用いたDCインバーターである請求項1に記載の圧縮機。
  5. DCインバーター制御部は、電流保護手段を含み、電流負荷の増大を検知することで、モーターの温度が120度以上では、前記モーターを停止させることを特徴とする請求項4記載の圧縮機。
  6. 圧縮要素を構成する吸入部は、サクションマフラーを有し、前記サクションマフラーは、容器の吸入管に近接または、直接に、接続部材を介して接続した、セミダイレクトサクションマフラー、あるいはダイレクトサクションマフラー構造を有する請求項1に記載の圧縮機。
  7. 冷媒がイソブタンであり、モーターの定格電圧でのトルクは、気筒容積をA立法センチメートルとすると、Aの80倍ミリニュートンメートル以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧縮機。
  8. 圧縮要素は、鉛直上方に位置し、モーターが前記圧縮機の下方に配置された請求項1に記載の圧縮機。
  9. 圧縮要素は、回転子と回転子に連結されたシャフトの自重を支えるスラスト軸受部を有し、前記スラスト軸受部がスラストボールベアリングで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
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