JP2010124025A - 可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システム - Google Patents
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Abstract
【課題】放射線の照射タイミングと画像データの読み出しタイミングとのタイミング制御を行う必要がなく、かつ、濃淡のない放射線画像を生成可能な可搬型放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】可搬型放射線画像撮影装置1は、二次元状に設けられた放射線検出素子7と、放射線の照射の開始と終了を検出する照射検出手段35とを備え、制御手段22で、放射線の照射が終了したフレームの次のフレームで読み出された画像データFm+1のうち、前記放射線の照射が終了したフレームでの読み出し処理後に放射線の照射によって放射線検出素子7に蓄積された電荷に相当する割合分Fm+1αを読み出し効率aに基づいて補正し、補正した割合分Fm+1αと、補正しなかった前記次のフレームの画像データの残余分Fm+1βと、放射線の照射が開始されてからの各フレームの各画像データFa〜Fmとを加算して、放射線検出素子7ごとの画像データを算出する。
【選択図】図7
【解決手段】可搬型放射線画像撮影装置1は、二次元状に設けられた放射線検出素子7と、放射線の照射の開始と終了を検出する照射検出手段35とを備え、制御手段22で、放射線の照射が終了したフレームの次のフレームで読み出された画像データFm+1のうち、前記放射線の照射が終了したフレームでの読み出し処理後に放射線の照射によって放射線検出素子7に蓄積された電荷に相当する割合分Fm+1αを読み出し効率aに基づいて補正し、補正した割合分Fm+1αと、補正しなかった前記次のフレームの画像データの残余分Fm+1βと、放射線の照射が開始されてからの各フレームの各画像データFa〜Fmとを加算して、放射線検出素子7ごとの画像データを算出する。
【選択図】図7
Description
本発明は、可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムに関するものである。
病気診断等を目的として、X線画像に代表される放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来からスクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、放射線画像のデジタル化を図るために輝尽性蛍光体シートを用いたCR(Computed Radiography)装置が開発され、最近では、照射された放射線を、二次元状に配置された放射線検出素子で検出して、デジタル画像データとして取得する放射線画像撮影装置が開発されている。
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来はブッキー装置と一体的に形成されていた(例えば特許文献1参照)。しかし、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納して可搬とされた可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2参照)。
放射線画像撮影装置では、放射線画像撮影時に照射された放射線に起因して各放射線検出素子内に電荷が発生して蓄積され、それが順次読み出され、電気信号に変換されて画像データとして検出される。
そして、例えば特許文献3に課題として記載されているように、通常、このような放射線画像撮影装置では、放射線発生装置における放射線の照射タイミングと、放射線画像撮影装置における画像データの読み出しタイミングとを合わせるように制御が行われなければない。
すなわち、二次元状に配置された放射線検出素子全体から出力される1画面分の画像データを読み出す期間を1フレームとすると、通常の読み出し処理では、放射線発生装置から放射線が照射された後、1フレーム分の読み出し処理を行ったり、1フレーム分の読み出し処理が行われた後、次のフレームの読み出し処理が開始されるまでの間に放射線を照射する等して、放射線発生装置における放射線の照射タイミングと放射線画像撮影装置における画像データの読み出しタイミングとを合わせるように調整されていた。
しかし、これでは、タイミング制御が煩雑で面倒なものとなるといった問題があった。そこで、特許文献3に記載の放射線画像撮影装置では、任意のタイミングでフレームごとの読み出し処理を繰り返しながら、放射線が照射されたことを検出すると、放射線が照射されている間の各フレームおよび放射線の照射が終了したフレームの次のフレームまでの各フレームごとの画像データを全てメモリに保存しておき、最後に各放射線検出素子ごとに各フレームの画像データを加算して、加算画像データを各放射線検出素子ごとの最終的な画像データとして取得することが提案されている。
この特許文献3に記載された放射線画像撮影装置における手法を詳しく説明すると、例えば後述する図7に示す等価回路図で表される検出回路を有する放射線画像撮影装置では、各放射線検出素子7からの電気信号の読み出し処理において、走査駆動回路15から信号読み出し用の電圧を印加する走査線5を、例えば図中最上段の1ライン目L1の走査線5から順次下方の走査線5に切り替えていく(すなわち走査する)。
走査線5に信号読み出し用の電圧が印加されると、その走査線5に接続されたスイッチ素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8がオン状態とされ、それに接続されている放射線検出素子7に蓄積された電荷がTFT8を介して各信号線6に放出される。そして、電荷は各信号線6を伝って読み出しIC16内の各読み出し回路17に送られ、読み出し回路17で電荷電圧変換されて増幅される等してそれぞれ電気信号に変換され、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信されてデジタル値に変換されて出力される。
この場合、走査線5の各ラインL1〜Lnに信号読み出し用の電圧を印加する際のタイミングチャートは例えば図19のように表され、信号読み出し用の電圧が印加される走査線5のラインL1〜Lnが順次切り替えられる。そして、1ライン目L1の読み出しが開始されてから、最終ラインLnの読み出しが終了するまでの期間が1フレームとなる。なお、図19では、走査線5が6ライン分設けられている場合が記載されており、以下の説明でも最終ラインLnがL6である場合について説明するが、これはあくまで例示であり、実際には数百本、数千本のオーダで設けられる。
そして、放射線が照射されないうちは、走査線5の各ラインL1〜L6の走査を繰り返しながら、各放射線検出素子7ごとに得られた画像データをメモリに上書き保存することを繰り返す。このようにして不要なデータが抹消され、最新の画像データのみがメモリに保存される。
一方、例えば、図20に示すように、1フレームの間に、時刻tstartで放射線の照射が開始され、時刻tendで照射が終了されたような場合には、各放射線検出素子7について、今回のフレームにおける画像データについてはメモリに上書き保存するとともに、次回のフレームで得られた画像データについて、今回のフレームの画像データに上書きせず、それとは別に保存する。このようにして、この場合は、今回のフレームと次回のフレームの2フレーム分の画像データがメモリに保存される。
その際、ラインL1、L2の走査線5に接続された各放射線検出素子7については、今回のフレームでの読み出し処理が終わった後に放射線が照射されるため、図21(A)に示すように、今回のフレームにおける読み出し処理では、放射線の照射により発生する画像データは0となる。また、放射線の照射により放射線検出素子7内で発生し蓄積された電気信号は次回のフレームで読み出されるため、図21(B)に示すように、次回のフレームでは、ラインL1、L2の走査線5に接続された各放射線検出素子7からは、放射線検出素子7内に蓄積された電荷の全量に相当する画像データが出力される。
逆に、ラインL5、L6の走査線5に接続された各放射線検出素子7については、放射線が照射された後に今回のフレームでの読み出し処理が終わるため、図21(A)に示すように、今回のフレームにおける読み出し処理では、各放射線検出素子7からは、放射線検出素子7内に蓄積された電荷の全量に相当する画像データが出力される。また、今回のフレームで放射線検出素子7内に蓄積された電荷の全量が読み出されるため、次回のフレームでは、図21(B)に示すように、ラインL5、L6の走査線5に接続された各放射線検出素子7から出力される画像データは0になる。
また、ラインL3、L4の走査線5に接続された各放射線検出素子7については、放射線が照射されている最中に今回のフレームでの読み出し処理が終わるため、図21(A)、(B)に示すように、今回のフレームにおける読み出し処理と、次回のフレームにおける読み出し処理で、放射線検出素子7内に蓄積された電荷の一部に相当する画像データがそれぞれ出力される。
そして、今回のフレームにおける画像データと次回のフレームにおける画像データとを加算すれば、図22に示すように、各加算画像データが、ラインL1〜L6の走査線5に接続された各放射線検出素子7についてそれぞれ放射線検出素子7内に蓄積された電荷の全量に相当する画像データとして得られるという考え方に基づく手法である。また、放射線を、1フレーム内だけでなく、複数のフレームに跨るように照射した場合(すなわち特許文献3の図3に例示されるように放射線が照射された場合)も同様に説明される。
特開平9−73144号公報
特開2006−058124号公報
特開平9−140691号公報
しかしながら、発明者らの検証実験では、上記と同様に、被写体が存在しない状態で一定量の放射線を放射線画像撮影装置に一様に照射して、放射線が照射されたことを検出したフレームから、放射線の照射が終了したことを検出したフレームの次のフレームまでの各フレームごとの画像データを別々にメモリに保存し、各放射線検出素子7ごとに、各フレームの画像データを加算しても、図22に示したように、各ラインL1〜Lnの各放射線検出素子7ごとの加算画像データの大きさが必ずしも同一にならないことが見出された。
その場合、最初のフレーム(上記の例では今回のフレーム)で放射線の照射が開始される前に読み出し処理を終えたライン(上記の例ではラインL1、L2)の走査線5に接続された各放射線検出素子7から出力される画像データを加算した加算画像データよりも、放射線の照射が開始された後に読み出し処理が行われるライン(上記の例ではラインL3〜L6)の走査線5に接続された各放射線検出素子7から出力される画像データを加算した加算画像データの方が大きな値が得られるという知見が得られている。
このように、被写体が存在しない状態で一定量の放射線を放射線画像撮影装置に一様に照射しているにもかかわらず、各放射線検出素子7から出力される画像データに基づく加算画像データの大きさが異なり、結果として、最終的に生成される放射線画像に濃淡が生じてしまうと、例えばその放射線画像に基づいて病気診断等を行ったような場合に誤診を生じてしまう可能性が生じる。このように、生成される放射線画像に濃淡が生じることは避けられなければならない。
しかし、その一方で、特許文献3に記載された放射線画像撮影装置における手法は、放射線発生装置における放射線の照射タイミングと、放射線画像撮影装置における画像データの読み出しタイミングとを合わせなくて済むという利点を有している。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、放射線の照射タイミングと画像データの読み出しタイミングとのタイミング制御を行う必要がなく、かつ、濃淡のない放射線画像を生成可能な可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、本発明の可搬型放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、
前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に設けられ、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる放射線検出素子と、
信号読み出し用の電圧を印加する前記各走査線を順次切り替える走査駆動回路と、
前記各走査線に接続され、前記信号読み出し用の電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ素子と、
前記信号線を介して前記放射線検出素子から前記電荷を読み出して前記放射線検出素子ごとに前記電荷を画像データに変換する読み出し回路と、
前記読み出された画像データを保存する記憶手段と、
放射線の照射の開始および終了を検出する照射検出手段と、
前記放射線検出素子の全てから出力される1画面分の前記画像データを読み出す期間を1フレームとするとき、放射線の照射が開始されたフレームから放射線の照射が終了したフレームの次のフレームまでの各フレームごとに読み出された前記画像データを前記記憶手段に保存させるとともに、前記放射線の照射が終了したフレームの次のフレームで読み出された前記画像データのうち、前記放射線の照射が終了したフレームでの読み出し処理後に放射線の照射によって前記放射線検出素子に蓄積された電荷に相当する割合分については、前記放射線検出素子からの読み出し効率に基づいて補正し、補正した当該割合分と、補正しなかった前記次のフレームの前記画像データの残余分と、他のフレームで読み出された前記各画像データとを加算して、放射線検出素子ごとの画像データを算出する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、
前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に設けられ、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる放射線検出素子と、
信号読み出し用の電圧を印加する前記各走査線を順次切り替える走査駆動回路と、
前記各走査線に接続され、前記信号読み出し用の電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ素子と、
前記信号線を介して前記放射線検出素子から前記電荷を読み出して前記放射線検出素子ごとに前記電荷を画像データに変換する読み出し回路と、
前記読み出された画像データを保存する記憶手段と、
放射線の照射の開始および終了を検出する照射検出手段と、
前記放射線検出素子の全てから出力される1画面分の前記画像データを読み出す期間を1フレームとするとき、放射線の照射が開始されたフレームから放射線の照射が終了したフレームの次のフレームまでの各フレームごとに読み出された前記画像データを前記記憶手段に保存させるとともに、前記放射線の照射が終了したフレームの次のフレームで読み出された前記画像データのうち、前記放射線の照射が終了したフレームでの読み出し処理後に放射線の照射によって前記放射線検出素子に蓄積された電荷に相当する割合分については、前記放射線検出素子からの読み出し効率に基づいて補正し、補正した当該割合分と、補正しなかった前記次のフレームの前記画像データの残余分と、他のフレームで読み出された前記各画像データとを加算して、放射線検出素子ごとの画像データを算出する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明の放射線画像撮影システムは、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、
前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に設けられ、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる放射線検出素子と、
信号読み出し用の電圧を印加する前記各走査線を順次切り替える走査駆動回路と、
前記各走査線に接続され、前記信号読み出し用の電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ素子と、
前記信号線を介して前記放射線検出素子から前記電荷を読み出して前記放射線検出素子ごとに前記電荷を画像データに変換する読み出し回路と、
前記放射線検出素子の全てから出力される1画面分の前記画像データを読み出す期間を1フレームとするとき、各フレームごとに読み出された前記画像データを前記放射線検出素子ごとに保存する記憶手段と、
前記各部材に電力を供給するバッテリと、
前記画像データを送信可能な通信手段と、
を備える可搬型放射線画像撮影装置と、
前記放射線検出素子からの読み出し効率を記憶する記憶手段を備え、前記可搬型放射線画像撮影装置から送信された前記画像データに基づいて当該可搬型放射線画像撮影装置の前記放射線検出素子ごとの画像データを算出するコンソールと、
前記可搬型放射線画像撮影装置に対して放射線を照射する放射線発生装置と、
を備え、
前記コンソールは、前記放射線発生装置からの放射線の照射が開始されたフレームから放射線の照射が終了したフレームの次のフレームまでの各フレームごとに読み出された前記画像データに対して、前記放射線の照射が終了したフレームの次のフレームで読み出された前記画像データのうち、前記放射線の照射が終了したフレームでの読み出し処理後に放射線の照射によって前記放射線検出素子に蓄積された電荷に相当する割合分については、前記放射線検出素子からの読み出し効率に基づいて補正したうえで、補正した当該割合分と、補正しなかった前記次のフレームの前記画像データの残余分と、他のフレームで読み出された前記各画像データとを加算して、当該可搬型放射線画像撮影装置の前記放射線検出素子ごとの画像データを算出することを特徴とする。
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、
前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に設けられ、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる放射線検出素子と、
信号読み出し用の電圧を印加する前記各走査線を順次切り替える走査駆動回路と、
前記各走査線に接続され、前記信号読み出し用の電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ素子と、
前記信号線を介して前記放射線検出素子から前記電荷を読み出して前記放射線検出素子ごとに前記電荷を画像データに変換する読み出し回路と、
前記放射線検出素子の全てから出力される1画面分の前記画像データを読み出す期間を1フレームとするとき、各フレームごとに読み出された前記画像データを前記放射線検出素子ごとに保存する記憶手段と、
前記各部材に電力を供給するバッテリと、
前記画像データを送信可能な通信手段と、
を備える可搬型放射線画像撮影装置と、
前記放射線検出素子からの読み出し効率を記憶する記憶手段を備え、前記可搬型放射線画像撮影装置から送信された前記画像データに基づいて当該可搬型放射線画像撮影装置の前記放射線検出素子ごとの画像データを算出するコンソールと、
前記可搬型放射線画像撮影装置に対して放射線を照射する放射線発生装置と、
を備え、
前記コンソールは、前記放射線発生装置からの放射線の照射が開始されたフレームから放射線の照射が終了したフレームの次のフレームまでの各フレームごとに読み出された前記画像データに対して、前記放射線の照射が終了したフレームの次のフレームで読み出された前記画像データのうち、前記放射線の照射が終了したフレームでの読み出し処理後に放射線の照射によって前記放射線検出素子に蓄積された電荷に相当する割合分については、前記放射線検出素子からの読み出し効率に基づいて補正したうえで、補正した当該割合分と、補正しなかった前記次のフレームの前記画像データの残余分と、他のフレームで読み出された前記各画像データとを加算して、当該可搬型放射線画像撮影装置の前記放射線検出素子ごとの画像データを算出することを特徴とする。
本発明のような方式の放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムによれば、例えば放射線検出素子等に対する電力供給状態が撮影可能モードに切り替えられたこと等を契機として、画像データの読み出し動作を開始させることで、放射線の照射タイミングと画像データの読み出しタイミングとのタイミング制御を行うことなく、画像データの読み出し処理を行うことが可能となる。
また、放射線検出素子からの読み出し効率が100%ではないため、同一の線量が照射されていても、フレーム間にわたる加算画像データ(放射線検出素子ごとの画像データ)に差異を生じることになるが、本発明のように、放射線の照射が終了したフレームの次のフレームで読み出された画像データのうち、放射線の照射が終了したフレームでの読み出し処理の後に放射線の照射によって放射線検出素子内で発生して蓄積された電荷に相当する割合分に対して読み出し効率の逆数を乗算する等して補正して、補正した当該割合分と、補正しなかった前記次のフレームの前記画像データの残余分と、他のフレームで読み出された各画像データとを加算することで、放射線検出素子内に発生し蓄積された全電荷に対応する画像データを正しく算出することが可能となる。また、そのため、最終的に得られた画像データに基づいて生成される放射線画像に濃淡が生じることが回避され、より的確な放射線画像を得ることが可能となる。
また、このように、濃淡のない放射線画像が生成されるため、例えば、その放射線画像に基づいて病気診断等を行うような場合に、濃淡に基づいて誤診が生じることを防止することが可能となり、より的確に診断を行うことが可能となる。
以下、本発明に係る可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
なお、以下、可搬型放射線画像撮影装置を単に放射線画像撮影装置と表す。また、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
[放射線画像撮影装置]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等が収納されたカセッテ型の可搬型放射線画像撮影装置として構成されている。
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等が収納されたカセッテ型の可搬型放射線画像撮影装置として構成されている。
ハウジング2は、少なくとも放射線の照射を受ける側の面R(以下、放射線入射面Rという。)が放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されている。なお、図1や図2では、ハウジング2がフレーム板2Aとバック板2Bとで形成された、いわば弁当箱型である場合が示されているが、ハウジング2を一体的に形成する、例えば特開2002−311526号公報に記載されたX線画像撮影装置のような、いわばモノコック型とすることも可能である。
ハウジング2の内部の基板4の下方側には、図2に示すように、基台31が配置されており、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。また、本実施形態では、基台31やPCB基板33の下面側には、放射線画像撮影装置1の放射線入射面R側から入射し、シンチレータ3や基板4、基台31等を透過した放射線を検出して、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始および照射終了を検出する照射検出手段としての放射線センサ35が取り付けられている。本実施形態では、照射検出手段は、さらに照射された放射線の線量を検出することができるようになっている。
なお、本実施形態では、放射線センサ35は、放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を検出することができるようになっている。より具体的に言えば、放射線センサ35が検出した放射線の線量に基づいて、後述する制御手段22で放射線画像撮影装置1の放射線入射面Rに入射した放射線の線量に換算して放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を検出するようになっている。また、本実施形態では、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板36が配設されている。
シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光線を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、それぞれ本実施形態では光電変換素子である放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。このように、放射線検出素子7は、基板4上に二次元状に配列されており、複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
本実施形態では、放射線検出素子7として、放射線入射面Rから入射した放射線がシンチレータ3で変換されて出力される電磁波の光量(シンチレータ3に入射した放射線の線量に応じて増加する。)に応じて電荷を発生させるフォトダイオードが用いられているが、この他にも、例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図3や図4の拡大図に示すように、スイッチ素子であるTFT(薄膜トランジスタ)8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
そして、TFT8は、オン状態とされることにより、すなわちゲート電極8gに信号読み出し用の電圧が印加されてTFT8のゲートが開かれることにより、放射線検出素子7に蓄積された電荷を信号線6に放出させるようになっている。ここで、本実施形態における放射線検出素子7やTFT8の構造について、図5に示す断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるX−X線に沿う断面図である。
基板4の面4a上に、AlやCr等からなるTFT8のゲート電極8gが走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiNx)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、放射線検出素子7の第1電極74と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiNx)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
また、放射線検出素子7の部分では、基板4の面4a上に前記ゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上にAlやCr等が積層されて補助電極72が形成されており、補助電極72上に前記第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層73を挟んでAlやCr、Mo等からなる第1電極74が積層されている。第1電極74は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHを介してTFT8のソース電極8sに接続されている。
第1電極74の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層75、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層76、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層77が下方から順に積層されて形成されている。なお、p層77、i層76、n層75の積層の順番は上下逆であってもよい。
p層77の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極78が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層76等に到達するように構成されている。以上のようにして放射線検出素子7が形成されている。なお、本実施形態では、上記のように、放射線検出素子7としてp層77、i層76、n層75が積層されて形成されたいわゆるpin型の放射線検出素子を用いる場合を説明したが、放射線検出素子7は、このようなpin型の放射線検出素子に限定されない。
また、放射線検出素子7の第2電極78の上面には、第2電極78を介して放射線検出素子7に逆バイアス電圧を印加するバイアス線9が接続されている。なお、放射線検出素子7の第2電極78やバイアス線9、TFT8側に延出された第1電極74、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち放射線検出素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiNx)等からなる第2パッシベーション層79で被覆されている。
図3や図4に示すように、本実施形態では、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。バイアス線9や結線10は、電気抵抗が小さい金属線で形成されている。
本実施形態では、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1の基板4部分が形成されている。
一方、図1に示すように、ハウジング2の一方側の短辺側側面部には、放射線画像撮影装置1の電源スイッチ37や各種の操作状況等を表示するインジケータ38等が設けられている。また、この側面部には、図示しない内蔵バッテリの交換用の蓋部材39が設けられており、蓋部材39には、放射線画像撮影装置1が外部装置とデータや信号等の送受信を無線方式で行うためのアンテナ装置40が埋め込まれて設けられている。
なお、アンテナ装置40を設ける箇所は、本実施形態のようにハウジング2の1つの短辺側側面部に限定されず、他の位置に設けることも可能である。また、アンテナ装置40の個数は必ずしも1つに限定されず、必要な数だけ適宜設けられる。
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路図である。
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極78がそれぞれバイアス線9および結線10に接続されており、結線10は逆バイアス電源14に接続されている。逆バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7に印加する逆バイアス電圧を供給するようになっている。また、逆バイアス電源14は制御手段22に接続されており、制御手段22は、逆バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加する逆バイアス電圧を制御するようになっている。
各放射線検出素子7の第1電極74はTFT8のソース電極8s(図7中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図7中ではGと表記されている。)は走査駆動回路15から延びる各走査線5にそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
走査線5を介して走査駆動回路15からTFT8のゲート電極8gに信号読み出し用の電圧が印加されるとTFT8のゲートがオン状態とされて、放射線検出素子7に蓄積された電荷がTFT8のソース電極8sを介してドレイン電極8dから信号線6に読み出されるようになっている。
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。なお、読み出しIC16には所定個数の読み出し回路17が設けられており、読み出しIC16が複数設けられることにより、信号線6の本数分の読み出し回路17が設けられるようになっている。
読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19と、A/D変換器20とで構成されており、1本の信号線6ごとに1回路ずつ設けられているが、本実施形態では、A/D変換器20は、複数の回路で共通とされており、各相関二重サンプリング回路19から出力された各電気信号がアナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値に変換されるようになっている。
そして、読み出し回路17では、放射線検出素子7から信号線6を通じて電荷が読み出され、放射線検出素子7ごとに電荷が電荷電圧変換されて増幅される等して電気信号に変換されるようになっている。なお、相関二重サンプリング回路19は、図7中ではCDSと表記されている。
制御手段22は、CPU(Central Processing Unit)等を備えたマイクロコンピュータや専用の制御回路で構成されており、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、制御手段22には、RAM(Random Access Memory)等で構成される記憶手段23が接続されている。
前述したように、制御手段22は、逆バイアス電源14を制御して各放射線検出素子7に印加する逆バイアス電圧を制御したり、走査駆動回路15から信号読み出し用の電圧を印加する走査線5を切り替えたり、或いは、各読み出し回路17内の増幅回路18や相関二重サンプリング回路19等を制御して、各放射線検出素子7からの電気信号の読み出しを行うようになっている。
また、制御手段22には、前述したアンテナ装置40が接続されており、さらに、各放射線検出素子7等の各部材に電力を供給するためのバッテリ41が接続されている。このように、バッテリ41は、放射線画像撮影装置1のハウジング2内に内蔵されており、バッテリ41には、外部装置からバッテリ41に電力を供給してバッテリ41を充電する際の接続端子42が取り付けられている。また、制御手段22には、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始および照射終了を検出し、放射線の線量を検出する放射線センサ35が接続されている。
なお、本実施形態では、上記のように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射の開始や終了、放射線の線量を検出する照射検出手段を放射線センサ35で構成する場合について説明するが、この他にも、例えば、放射線やシンチレータ3により変換された電磁波が照射されて放射線検出素子7内で発生する電子正孔対のうち、バイアス線9側に流出する電荷、すなわち逆バイアス電源14に流れ込む電流を検出して、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射の開始や終了、或いは照射された放射線の線量を検出するように構成することも可能である。それについては後で説明する。
本実施形態では、制御手段22は、操作者が電源スイッチ37(図1参照)等を手動で操作して、或いは、アンテナ装置40を介して例えば後述する放射線画像撮影システム50のコンソール58等の外部装置から送信された切り替え信号を受信した場合にはその切り替え信号に応じて、放射線検出素子7等に対する電力供給状態を、放射線検出素子7等に電力を供給して放射線画像撮影を可能とする撮影可能モードと、制御手段22やアンテナ装置40等の必要な部材にのみ電力を供給し、放射線検出素子7への電力の供給を停止して放射線画像撮影ができないスリープモードとの間で切り替えるようになっている。
また、制御手段22は、上記のように電力供給状態を撮影可能モードに切り替えた後、放射線センサ35が予め設定された所定時間内に放射線の照射を検出しない場合には、電力供給状態を撮影可能モードからスリープモードに切り替えて、電力が無駄に消費されることを防止するようになっている。
また、制御手段22は、放射線検出素子7等に対する電力供給状態を撮影可能モードに切り替えると、まず、走査駆動回路15から全ての走査線5に対して信号読み出し用の電圧を印加し、走査線5に接続された全てのTFT8をオン状態としてゲートを開き、読み出し回路17にも所定の信号を送信して、放射線検出素子7やTFT8、読み出し回路17の増幅回路18等に蓄積された余分な電荷を下流側に放出させて、放射線検出素子7や読み出し回路17等のリセット処理を行うようになっている。
制御手段22は、リセット処理が終了すると、走査駆動回路15からの全走査線5に対する信号読み出し用の電圧の印加を停止して、各TFT8をオフ状態としてゲートを閉じ、走査駆動回路15から信号読み出し用の電圧を印加する走査線5のラインを、例えばラインL1、L2、L3、…、Lnの順に切り替えさせながら走査駆動回路15から各走査線5に読み出し用の電圧を順次印加させて、図19に示したように、各フレームごとの各放射線検出素子7からの画像データの読み出しを開始させるようになっている。
そして、前述した特許文献3に記載の放射線画像撮影装置の場合と同様に、照射検出手段により放射線の照射の開始が検出されないうちは、走査線5の各ラインL1〜Lnの1フレーム分の走査を繰り返しながら、各放射線検出素子7ごとに得られた1フレーム分の画像データを記憶手段23に上書き保存していく処理を繰り返す。
一方、例えば図20に示したように、1フレームの間に、時刻tstartで照射検出手段により放射線の照射が開始されたことが検出されると、そのフレームで各放射線検出素子7ごとに得られた画像データについては記憶手段23に上書き保存するが、それ以降、時刻tendで照射検出手段により放射線の照射が終了したことが検出されたフレームの次のフレーム(図20の例では次回のフレーム)までの各フレームごとに得られた画像データについては、上書き保存せずに、それぞれ別々に記憶手段23に保存させるようになっている。
ここで、放射線画像撮影が行われた場合における各放射線検出素子7内での電荷の発生やその読み出し等について説明する。放射線画像撮影が行われ、放射線画像撮影装置1に放射線入射面R側から放射線が照射されると、放射線画像撮影装置1では、被写体を透過した放射線がシンチレータ3に入射し、シンチレータ3で放射線が電磁波に変換されて、電磁波がその下方の放射線検出素子7に入射する。
そして、入射した電磁波が放射線検出素子7のi層76(図5参照)に到達すると、i層76内で電子正孔対が発生し、逆バイアス電圧の印加により放射線検出素子7内に形成された所定の電位勾配に従って、発生した電子と正孔のうちの一方の電荷(本実施形態では正孔)がバイアス線9側に流出し、他方の電荷(本実施形態では電子)が放射線検出素子7内に蓄積される。この電荷の発生は、TFT8がオン状態とされて、各放射線検出素子7から信号線6に電荷が放出されている状態であっても、シンチレータ3に放射線が照射され、シンチレータ3により変換された電磁波が放射線検出素子7に照射されている限り続く。
制御手段22は、このように放射線の照射中であっても、所定の検出タイミングで走査駆動回路15から所定ラインの走査線5に信号読み出し用の電圧を印加させ、その走査線5に接続されているTFT8をオン状態として、TFT8を介して各放射線検出素子7から蓄積された電荷を信号線6に放出させる。走査駆動回路15から所定ラインの走査線5に対する信号読み出し用の電圧の印加を停止させ、TFT8をオフ状態とすると、放射線検出素子7で発生する電荷は信号線6に放出されなくなり、放射線検出素子7内に蓄積する。
一方、放射線検出素子7から信号線6に放出された電荷は、読み出し回路17で電荷電圧変換されて増幅される等して電気信号、すなわち画像データに変換され、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、デジタル値に変換されて制御手段22に送信される。制御手段22は、A/D変換器20から送信されてきた画像データを、放射線検出素子7と対応付けながら順次記憶手段23に記憶させるようになっている。
そして、制御手段22は、1ライン目L1の走査線5について読み出し処理を終了すると、走査駆動回路15から信号読み出し用の電圧を印加する走査線5を2ライン目L2、3ライン目L3、…、最終ラインLnと順次切り替えながら上記の読み出し処理を繰り返して、全ての放射線検出素子7から電荷を放出させてそれぞれ画像データFaを出力させていき、画像データFaを放射線検出素子7と対応付けながら順次記憶手段23に記憶させて、1フレーム目(すなわち放射線の照射が開始されたことが検出されたフレーム)の画像データFaを取得するようになっている。
そして、前述したように、制御手段22は、照射検出手段により放射線の照射が終了したことが検出されたフレーム(以下、第mフレームという場合がある。)の次のフレーム(以下、第m+1フレームという場合がある。)まで、同様の読み出し処理を繰り返し、各フレームごとに、各放射線検出素子7からの画像データFb、Fc、…、Fm、Fm+1をそれぞれ取得して記憶手段23に記憶させるようになっている。
制御手段22は、このようにして取得した画像データFa〜Fm+1を、従来技術のように放射線検出素子7ごとに単純に加算するのではなく、放射線の照射により放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷のうち放射線の照射が終了したフレーム(第mフレーム)の次のフレーム(第m+1フレーム)で読み出された前記画像データのうち、放射線の照射が終了したフレーム(第mフレーム)での読み出し処理後に放射線の照射によって放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷に相当する割合分を補正したうえで加算して、放射線検出素子7ごとの最終的な画像データを算出するようになっている。
以下、この点について詳しく説明するとともに、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用について説明する。
発明者らは、上記課題で述べたように、走査線5の各ラインL1〜Ln(L6)の1フレームごとの走査を繰り返しながら、放射線の照射が開始されたことが検出されたフレームから放射線の照射が終了したことが検出されたフレームの次のフレームまでの各フレームごとの画像データFa〜Fm+1を加算すれば、被写体が存在しない状態で一定量の放射線を放射線画像撮影装置1に一様に照射した場合には、理論上、図22に示したように、加算された画像データは各放射線検出素子7で同一の値になるはずであるにもかかわらず、実際には同一の値にならないという問題が、放射線検出素子7からの読み出し効率に起因することを見出した。
放射線検出素子7からの読み出し効率は、図8に例示するように、放射線検出素子7に照射された放射線の線量に依存して変動し、しかも、1フレームでの読み出し処理で放射線検出素子7から電荷が100%放出されて読み出し効率が100%となることはない。そして、例えば放射線の線量が10[mR]の場合、1フレームでの読み出し処理における読み出し効率は約90%であり、残りの約10%の電荷分は、次のフレームでの読み出し処理で読み出される。
なお、理論上は、次のフレームにおいても残りの電荷が全て読み出されるわけではないが、次のフレームでも読み出せない電荷量(すなわち、放射線検出素子7内になお残存する電荷量)はごくわずかであり、事実上、次のフレームで残りの電荷が全て読み出されると見なすことが可能である。
例えば図20に示したように放射線が照射されると、ラインL1、L2の走査線5に接続された放射線検出素子7から読み出される画像データは、今回のフレームでは、読み出し処理がすでに終了しているため、図9(A)に示すように、画像データFaは0となる。
そして、次回のフレームの読み出し処理では、上記のような読み出し効率であるため、例えば90%の読み出し効率でしか画像データFbが読み出されない。そのため、図9(B)に示すように、100%読み出された場合の画像データをF*とすると、次回のフレームではそのF*の約90%の画像データFbしか読み出されず、結局、画像データFa(この場合は0)と画像データFbとを加算しても、図10に示すように、加算された画像データFa+Fbは、100%読み出された場合の画像データF*の約90%の値にしかならない。
一方、ラインL5、L6の走査線5に接続された放射線検出素子7から読み出される画像データは、今回のフレームの読み出し処理で、図9(A)に示すように、画像データF*の約90%の画像データFaが読み出され、図9(B)に示すように、残りの約10%の電荷分の画像データが次回のフレームで画像データFbとして読み出される。
従って、この場合には、図10に示すように、画像データFaと画像データFbとを加算すれば、加算された画像データFa+Fbは、100%読み出された場合の画像データF*とほぼ等しい値になる。
また、ラインL3、L4の走査線5に接続された放射線検出素子7から読み出される画像データについては、時刻tstartで放射線の照射が開始されてから読み出し処理が終了する(ON→OFF)までの間に放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷に相当する画像データについては、上記と同様に、今回のフレームの読み出し処理で約90%の電荷に相当する画像データが読み出され、次回のフレームの各読み出し処理で残りの約10%の電荷に相当する画像データが読み出されるため、今回のフレームと次回のフレームの各読み出し処理で全量が読み出される。
しかし、読み出し処理が終了した後もなお放射線の照射が続き、放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷に相当する画像データについては、今回のフレームでは読み出されず、次回のフレームの読み出し処理でその約90%が読み出される。そして、残りの約10%は、結局、読み出されないため、図10に示すように、画像データFa+Fbの値は、読み出されなかった電荷に相当する分だけ100%読み出された場合の画像データF*よりも小さくなる。
このように、ラインL3、L4の走査線5に接続された放射線検出素子7から今回のフレームと次回のフレームで読み出された画像データFa、Fbが加算された画像データFa+Fbは、ラインL5、L6の場合のように100%読み出される場合よりは小さく、ラインL1、L2の場合のように約90%しか読み出されない場合よりは大きい、ラインL5、L6の場合と、ラインL1、2の場合の間の値となる。
以上のように、放射線検出素子7からの読み出し効率を考慮した場合、放射線の照射が終了したことが検出されたフレーム(図20の例では今回のフレーム)での読み出し処理が終了した後に放射線の照射によって放射線検出素子7内で発生し蓄積される電荷については、今回のフレームでは読み出されず、その次のフレーム(図20の例では次回のフレーム)で読み出し効率分しか読み出されないため、各フレームごとの画像データを加算しても100%読み出された場合の画像データF*よりも小さくなってしまうことが分かる。
また、図20に示したように、放射線の照射が終了したことが検出されたフレームの次のフレーム(次回のフレーム)で読み出される画像データが、ラインL5、L6の走査線5に接続された放射線検出素子7のように、放射線の照射が終了したことが検出されたフレーム(今回のフレーム)で読み出し切れなかった残りの電荷に相当する画像データのみの場合もあれば、ラインL1、L2の走査線5に接続された放射線検出素子7のように、今回のフレームでの読み出し処理が終了した後に放射線の照射によって放射線検出素子7内で発生して蓄積されたため、今回のフレームでは読み出されず、次回のフレームでだけ読み出される電荷に相当する画像データの場合もある。
また、ラインL3、L4の走査線5に接続された放射線検出素子7のように、今回のフレームでは読み出し切れなかった残りの電荷に相当する画像データと、今回のフレームでの読み出し処理が終了した後に放射線の照射によって放射線検出素子7内で発生して蓄積されたため今回のフレームでは読み出されず、次回のフレームでだけ読み出される電荷に相当する画像データとが混在する場合もある。
そこで、放射線の照射により(或いは照射された放射線がシンチレータ3で変換された電磁波の照射により)、各放射線検出素子7内で発生し蓄積された全電荷に相当する真の画像データF*を得るためには、放射線の照射が終了したことが検出されたフレームの次のフレーム(図20の例では次回のフレーム)で読み出された画像データのうち、放射線の照射が終了したフレーム(図20の例では今回のフレーム)での読み出し処理後に放射線の照射によって放射線検出素子7内で新たに発生して蓄積された電荷に相当する割合分を割り出し、その割合分を補正したうえで、各フレームごとの画像データを加算することが必要である。
そのため、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、照射検出手段により放射線の照射が終了したことが検出されたフレーム(第mフレーム)の次のフレーム(第m+1フレーム)までの各フレームごとに取得した画像データFa〜Fm+1のうち、第m+1フレームの画像データFm+1に着目し、画像データFm+1のうち、第mフレームでの読み出し処理後に放射線の照射によって放射線検出素子7内で新たに発生して蓄積された電荷に相当する割合分を算出して、それを補正して、各フレームの画像データを加算するように構成されている。
第m+1フレームの読み出し処理で読み出された画像データFm+1の中からの、第mフレームでの読み出し処理後に発生して蓄積された電荷に相当する割合分の算出は、以下のようにして行われる。なお、制御手段22は、照射検出手段から放射線の照射が終了したことを示す信号が送信されてくると、その時刻tendを含むフレームを放射線の照射が終了したフレーム、すなわち第mフレームとし、その次のフレーム(第m+1フレーム)まで画像データの読み出しを行わせる。なお、以下では、放射線検出素子7の読み出し効率をa[%]とする。
[パターン1]
まず、図11に示すように、放射線の照射終了時刻tendが、放射線の照射が終了した第mフレームにおける走査線5の当該ラインLについての読み出し処理の終了時刻tmと同時或いはそれよりも前であれば、放射線の照射により放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷は、結局、第mフレームの読み出し処理で読み出し効率aに相当する電荷が読み出され、第m+1フレームの読み出し処理でその残りの電荷が読み出されるため、第mフレームの読み出し処理と第m+1フレームの読み出し処理で全て読み出される。そのため、この場合は、画像データFm+1を補正する必要はなく、そのまま加算の対象とすることができる。
まず、図11に示すように、放射線の照射終了時刻tendが、放射線の照射が終了した第mフレームにおける走査線5の当該ラインLについての読み出し処理の終了時刻tmと同時或いはそれよりも前であれば、放射線の照射により放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷は、結局、第mフレームの読み出し処理で読み出し効率aに相当する電荷が読み出され、第m+1フレームの読み出し処理でその残りの電荷が読み出されるため、第mフレームの読み出し処理と第m+1フレームの読み出し処理で全て読み出される。そのため、この場合は、画像データFm+1を補正する必要はなく、そのまま加算の対象とすることができる。
すなわち、画像データFm+1のうち、第mフレームでの読み出し処理後に発生して蓄積された電荷に相当する割合分をFm+1αと表すと、この場合、割合分Fm+1αは0となる。なお、この[パターン1]は、図20の例で言えば、走査線5のラインL5、L6の場合に対応する。
[パターン2]
次に、図12に示すように、放射線の照射終了時刻tendが、放射線の照射が終了した第mフレームにおける走査線5の当該ラインLについての読み出し処理の終了時刻tmよりも後であり、かつ、放射線の照射開始時刻tstartが読み出し処理の終了時刻tmと同時或いはそれよりも後である場合(すなわち、1フレームの間に放射線の照射が開始され終了した場合)には、放射線検出素子7に蓄積されている電荷は、すべて第mフレームでは読み出されず(すなわちFm=0)、第m+1フレームで読み出される。
次に、図12に示すように、放射線の照射終了時刻tendが、放射線の照射が終了した第mフレームにおける走査線5の当該ラインLについての読み出し処理の終了時刻tmよりも後であり、かつ、放射線の照射開始時刻tstartが読み出し処理の終了時刻tmと同時或いはそれよりも後である場合(すなわち、1フレームの間に放射線の照射が開始され終了した場合)には、放射線検出素子7に蓄積されている電荷は、すべて第mフレームでは読み出されず(すなわちFm=0)、第m+1フレームで読み出される。
そのため、この場合は、画像データFm+1の上記割合分Fm+1αは画像データFm+1そのものとなり、しかも、この割合分Fm+1α(=Fm+1)は、100%読み出される場合の画像データのa/100しか読み出されない。
そのため、この場合は、上記割合分Fm+1α、すなわち、得られた画像データFm+1を100/a倍して補正する。すなわち、
Fm+1←Fm+1×100/a …(1)
に補正する。なお、この[パターン2]は、図20の例で言えば、走査線5のラインL1、L2の場合に対応する。
Fm+1←Fm+1×100/a …(1)
に補正する。なお、この[パターン2]は、図20の例で言えば、走査線5のラインL1、L2の場合に対応する。
[パターン3]
また、図13に示すように、放射線の照射終了時刻tendが第mフレームの読み出し処理の終了時刻tmよりも後であるが、放射線の照射開始時刻tstartが読み出し処理の終了時刻tmよりも前である場合には、放射線の照射開始時刻tstartから第mフレームの読み出し処理の終了時刻tmまでの間に放射線検出素子7内に発生し蓄積された電荷については、第mフレームの読み出し処理と第m+1フレームの読み出し処理で全て読み出される。
また、図13に示すように、放射線の照射終了時刻tendが第mフレームの読み出し処理の終了時刻tmよりも後であるが、放射線の照射開始時刻tstartが読み出し処理の終了時刻tmよりも前である場合には、放射線の照射開始時刻tstartから第mフレームの読み出し処理の終了時刻tmまでの間に放射線検出素子7内に発生し蓄積された電荷については、第mフレームの読み出し処理と第m+1フレームの読み出し処理で全て読み出される。
しかし、第mフレームの読み出し処理の終了時刻tmから放射線の照射終了時刻tendまでの間に放射線検出素子7内に発生し蓄積された電荷、すなわち前述した第mフレーム(放射線の照射が終了したフレーム)での読み出し処理後に放射線の照射によって放射線検出素子7に蓄積された電荷については、第m+1フレームでしか読み出されず、しかも、100%読み出される場合の画像データのa/100しか読み出されない。しかも、この部分についてのみ補正が必要である。
このように、第m+1フレームで読み出される画像データFm+1は、
(α)第mフレームでの読み出し処理後、読み出し処理の終了時刻tmから放射線の照射終了時刻tendまでの間に放射線の照射によって放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷a%に相当する割合分Fm+1α、および、
(β)放射線の照射開始時刻tstartから読み出し処理の終了時刻tmまでの間に放射線検出素子7内に発生し蓄積された電荷のうち、第mフレームの読み出し処理で読み出されなかった残りの(100−a)%の電荷に相当する画像データ分Fm+1β、
の2種類の画像データが混在する状態になっている。
(α)第mフレームでの読み出し処理後、読み出し処理の終了時刻tmから放射線の照射終了時刻tendまでの間に放射線の照射によって放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷a%に相当する割合分Fm+1α、および、
(β)放射線の照射開始時刻tstartから読み出し処理の終了時刻tmまでの間に放射線検出素子7内に発生し蓄積された電荷のうち、第mフレームの読み出し処理で読み出されなかった残りの(100−a)%の電荷に相当する画像データ分Fm+1β、
の2種類の画像データが混在する状態になっている。
なお、以下では、この(β)に対応する画像データ分Fm+1βを、放射線の照射が終了したフレームの次のフレーム(第m+1フレーム)で読み出された画像データFm+1の残余分Fm+1βという。
そして、画像データFm+1中に混在する上記(α)と(β)の比率は、
(tend−tm)×a:(tm−tstart)×(100−a) …(2)
で表されるため、第m+1フレームで読み出された画像データFm+1を、上記(β)に対応する残余分Fm+1β、すなわち、
と、上記(α)に対応する上記割合分Fm+1α、すなわち、
Fm+1α=Fm+1−Fm+1β …(4)
に分ける。
(tend−tm)×a:(tm−tstart)×(100−a) …(2)
で表されるため、第m+1フレームで読み出された画像データFm+1を、上記(β)に対応する残余分Fm+1β、すなわち、
Fm+1α=Fm+1−Fm+1β …(4)
に分ける。
そして、画像データFm+1のうち、上記(α)の上記割合分Fm+1αが補正を必要とする部分であるから、[パターン2]の場合と同様に、割合分Fm+1αを100/a倍して補正する。すなわち、
Fm+1α←Fm+1α×100/a …(5)
に補正する。なお、この[パターン3]は、図20の例で言えば、走査線5のラインL3、L4の場合に対応する。
Fm+1α←Fm+1α×100/a …(5)
に補正する。なお、この[パターン3]は、図20の例で言えば、走査線5のラインL3、L4の場合に対応する。
[パターン4]
なお、[パターン3]において、放射線の照射開始時刻tstartが、図14に示すように第mフレームより前の第m−1フレームの読み出し処理の終了時刻tm-1よりも前である場合には、終了時刻tm-1よりも前の時刻に放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷は、第m−1フレームの読み出し処理と第mフレームの読み出し処理で全て読み出されるため、その電荷は、第m+1フレームで読み出される画像データFm+1には寄与しない。
なお、[パターン3]において、放射線の照射開始時刻tstartが、図14に示すように第mフレームより前の第m−1フレームの読み出し処理の終了時刻tm-1よりも前である場合には、終了時刻tm-1よりも前の時刻に放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷は、第m−1フレームの読み出し処理と第mフレームの読み出し処理で全て読み出されるため、その電荷は、第m+1フレームで読み出される画像データFm+1には寄与しない。
そのため、放射線の照射開始時刻tstartが第m−1フレームの読み出し処理の終了時刻tm-1よりも前である場合には、第m−1フレームの読み出し処理の終了時刻tm-1以降に放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷のみを考慮すればよい。従って、その場合は、上記(2)式や(3)式における時刻tstartは時刻tm-1に置き換えられて演算が行われる。
以上をまとめると、制御手段22は、照射検出手段から放射線の照射が終了したことを示す信号が送信されてくると、その照射終了時刻tendを含むフレームを放射線の照射が終了したフレーム、すなわち第mフレームとし、その次のフレーム(第m+1フレーム)まで画像データの読み出しを行わせる。そして、取得した画像データFa〜Fm+1を記憶手段23に保存する。
そして、放射線画像撮影装置1に対して照射された放射線の線量の情報を照射検出手段から入手し、記憶手段23に予め記憶されている放射線の線量と放射線検出素子7からの読み出し効率のテーブル(図8参照)に基づいて、放射線検出素子7の読み出し効率a[%]を割り出す。
そして、制御手段22は、今回の放射線の照射のタイミングと各フレームの読み出しタイミングが上記の[パターン1]〜[パターン4]のいずれの場合であるかを判断する。
すなわち、まず、上記の[パターン1]の場合であるか否かを判断するために、放射線の照射終了時刻tendと、放射線の照射が終了した第mフレームにおける走査線5の当該ラインLについての読み出し処理の終了時刻tmとの差分tend−tmを算出し、
tend−tm≦0 …(6)
であれば、上記の[パターン1]の場合(図11参照)であると判断する。
tend−tm≦0 …(6)
であれば、上記の[パターン1]の場合(図11参照)であると判断する。
そして、制御手段22は、画像データFm+1を補正せず、取得した画像データFa〜Fm+1をそのまま加算して、その合計値を、走査線5の当該ラインLに接続された放射線検出素子7の最終的な画像データとして算出する。
また、差分tend−tmが、
tend−tm>0 …(7)
である場合には、上記の[パターン1]の場合ではないから、上記の[パターン2]〜[パターン4]のいずれかの場合であると判断し、制御手段22は、続いて、放射線の照射開始時刻tstartと、第m−1フレームの読み出し処理の終了時刻tm-1とを比較する。
tend−tm>0 …(7)
である場合には、上記の[パターン1]の場合ではないから、上記の[パターン2]〜[パターン4]のいずれかの場合であると判断し、制御手段22は、続いて、放射線の照射開始時刻tstartと、第m−1フレームの読み出し処理の終了時刻tm-1とを比較する。
そして、
tstart<tm-1 …(8)
すなわち、放射線の照射開始時刻tstartが第m−1フレームの読み出し処理の終了時刻tm-1よりも前であれば、上記の[パターン4]の場合(図14参照)であるから、制御手段22は、上記(3)式における時刻tstartを時刻tm-1に置き換え、差分tend−tmや読み出し効率aを(3)式に代入して上記残余分Fm+1βを算出する。
tstart<tm-1 …(8)
すなわち、放射線の照射開始時刻tstartが第m−1フレームの読み出し処理の終了時刻tm-1よりも前であれば、上記の[パターン4]の場合(図14参照)であるから、制御手段22は、上記(3)式における時刻tstartを時刻tm-1に置き換え、差分tend−tmや読み出し効率aを(3)式に代入して上記残余分Fm+1βを算出する。
そして、上記(4)式に従って割合分Fm+1αを算出し、上記(5)式に従って割合分Fm+1αを補正して、補正しなかった残余分Fm+1βと補正した割合分Fm+1αの和を新たな画像データFm+1として算出したうえで、画像データFa〜Fm+1を加算して、その合計値を、走査線5の当該ラインLに接続された放射線検出素子7の最終的な画像データとして算出する。
一方、
tstart≧tm-1 …(9)
すなわち、放射線の照射開始時刻tstartが第m−1フレームの読み出し処理の終了時刻tm-1と同時或いは後であれば、上記の[パターン2]または[パターン3]の場合(図12、図13参照)であるから、制御手段22は、上記の[パターン2]、[パターン3]のいずれの場合であるかを判断するために、差分tm−tstartを算出する。
tstart≧tm-1 …(9)
すなわち、放射線の照射開始時刻tstartが第m−1フレームの読み出し処理の終了時刻tm-1と同時或いは後であれば、上記の[パターン2]または[パターン3]の場合(図12、図13参照)であるから、制御手段22は、上記の[パターン2]、[パターン3]のいずれの場合であるかを判断するために、差分tm−tstartを算出する。
そして、
tm−tstart>0 …(10)
であれば、上記の[パターン3]の場合(図13参照)であるから、制御手段22は、上記(3)式に差分tm−tstartや差分tend−tmを代入し、さらに読み出し効率aを代入して残余分Fm+1βを算出する。
tm−tstart>0 …(10)
であれば、上記の[パターン3]の場合(図13参照)であるから、制御手段22は、上記(3)式に差分tm−tstartや差分tend−tmを代入し、さらに読み出し効率aを代入して残余分Fm+1βを算出する。
そして、上記(4)式に従って割合分Fm+1αを算出し、上記(5)式に従って割合分Fm+1αを補正して、補正しなかった残余分Fm+1βと補正した割合分Fm+1αの和を新たな画像データFm+1として算出したうえで、画像データFa〜Fm+1を加算して、その合計値を、走査線5の当該ラインLに接続された放射線検出素子7の最終的な画像データとして算出する。
また、
tm−tstart≦0 …(11)
であれば、上記の[パターン2]の場合(図12参照)であるから、制御手段22は、割合分Fm+1α(すなわち画像データFm+1)を上記(1)式に従って補正し、画像データFa〜Fmおよび補正した割合分Fm+1αを加算して、その合計値を、走査線5の当該ラインLに接続された放射線検出素子7の最終的な画像データとして算出する。
tm−tstart≦0 …(11)
であれば、上記の[パターン2]の場合(図12参照)であるから、制御手段22は、割合分Fm+1α(すなわち画像データFm+1)を上記(1)式に従って補正し、画像データFa〜Fmおよび補正した割合分Fm+1αを加算して、その合計値を、走査線5の当該ラインLに接続された放射線検出素子7の最終的な画像データとして算出する。
制御手段22は、上記の処理を、走査線5の各ラインL1〜Ln(図7参照)ごとに行い、各ラインL1〜Lnに接続された各放射線検出素子7についてそれぞれ最終的な画像データを算出する。なお、各ラインL1〜Lnごとに、放射線の照射開始時刻tstartや照射終了時刻tendと第mフレームの読み出し処理の終了時刻tm等との関係が異なるため、走査線5の各ラインL1〜Lnごとに上記の判断処理が行われて、各放射線検出素子7についてそれぞれ最終的な画像データが算出される。
なお、少なくとも上記の[パターン2]〜[パターン4]における演算においては、第m+1フレームで読み出される画像データFm+1には放射線検出素子7内で発生する暗電荷による寄与分があるため、画像データFm+1から暗電荷の寄与分(すなわち、いわゆるオフセット補正値)を差し引いた後、上記の演算を行う。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、例えば放射線検出素子7等に対する電力供給状態が撮影可能モードに切り替えられたこと等を契機として、画像データの読み出し動作を開始させることで、放射線の照射タイミングと画像データの読み出しタイミングとのタイミング制御を行うことなく、画像データの読み出し処理を行うことが可能となる。
また、放射線検出素子7からの読み出し効率aが100%にはならず、通常の場合、最も高くても90%程度にしかならないため、放射線の照射が終了したフレームの次のフレーム(第m+1フレーム)で読み出された画像データFm+1のうち、放射線の照射が終了したフレーム(第mフレーム)での読み出し処理の後に放射線の照射によって放射線検出素子7内で発生して蓄積された電荷に相当する割合分Fm+1αについては、その読み出し効率aが100%にならない。
そのため、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1のように、その割合分Fm+1αに対して読み出し効率aの逆数を乗算する等して補正して、補正した当該割合分Fm+1αと、補正しなかった前記次のフレーム(第m+1フレーム)の画像データFm+1の残余分Fm+1βと、他のフレームで読み出された各画像データFa〜Fmとを加算することで、放射線検出素子7内に発生し蓄積された全電荷に対応する画像データを算出することが可能となる。そのため、最終的に得られた画像データに基づいて生成される放射線画像に濃淡が生じることが回避され、より的確な放射線画像を得ることが可能となる。
また、このように、濃淡のない放射線画像が生成されるため、例えば、その放射線画像に基づいて病気診断等を行うような場合に、濃淡に基づいて誤診が生じることを防止することが可能となり、より的確に診断を行うことが可能となる。
なお、補正した前記割合分Fm+1αと、補正しなかった前記残余分Fm+1βと、他のフレームで読み出された各画像データFa〜Fmとを加算して算出された放射線検出素子7ごとの画像データに対しては、通常の画像処理と同様に、オフセット補正処理やゲイン補正処理等が行われて、最終的な放射線画像が生成される。
また、上記の実施形態では、割合分Fm+1αの補正の手法として、単に放射線検出素子7の読み出し効率a[%]の逆数(100/a)をFm+1αに乗算する場合について説明したが、これに限定されず、例えば、Sを所定の定数としてFm+1αにS/aを乗算するように構成したり、放射線検出素子7の読み出し効率aを含む所定の関数にFm+1αを代入することで算出するように構成することも可能であり、その手法は適宜決められる。
さらに、本実施形態では、放射線検出素子7等に対する電力供給状態が撮影可能モードに切り替えられたことを契機として、画像データの読み出し動作を開始させ、各フレームごとの読み出し処理を繰り返す場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、この他にも、例えば、外部装置(例えば後述する放射線画像撮影システム50におけるコンソール58やスイッチ手段55、ストローク検出手段60等)から送信される信号を受信することを契機としたり、放射線技師等の操作者の手動による操作を契機として、上記の処理を行うように構成することも可能である。
また、本実施形態では、放射線画像撮影装置1に対して照射される放射線の照射の開始や終了、放射線の線量を検出する照射検出手段として放射線センサ35を用いる場合について説明したが、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射の開始や終了、放射線の線量を検出することができるものであれば、特に放射線センサに限定されない。
前述したように、照射検出手段として、バイアス線9の結線10(図7参照)に電流計等の図示しない電流検出手段を設けると、電流検出手段により、放射線やシンチレータ3により変換された電磁波が照射されて放射線検出素子7内で発生する電子正孔対のうち、バイアス線9側に流出する電荷、すなわち結線10を通じて逆バイアス電源14に流れ込む電流を検出することができる。
図示を省略するが、電流検出手段は、例えば、結線10に直列に接続される所定の抵抗値を有する抵抗と、抵抗の両端子間の電圧を測定する差動アンプとで構成することができる。この場合、結線10を流れる電流が電圧値に変換されて検出される。
各放射線検出素子7内では暗電荷(電子正孔対)が発生し、そのうち、上記の実施形態の場合には正孔がバイアス線9に流出するため、図15に示すように、放射線が照射されない状態でも、電流検出手段で検出される電圧値Vaに相当する微弱な電流が結線10中を常時流れている。
そして、放射線画像撮影の際に、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、照射された放射線、或いはそれがシンチレータ3で変換された電磁波の照射により各光電変換素子7内で電子正孔対が発生し、バイアス線9や結線10を通じて正孔が電流検出手段に運ばれる。そのため、図15における時刻t1に示されるように、電流検出手段から出力される電圧値Vが増加し始める。
そこで、例えば、電流検出手段から出力される電圧値Vに予め所定の閾値Vthを設けておき、電圧値Vが閾値Vthを越えた時刻を放射線の照射開始時刻tstartとし、一旦増加した電圧値Vが減少して閾値Vth以下となった時刻を放射線の照射終了時刻tendとして検出することが可能である。また、照射開始時刻tstartから照射終了時刻tendまでの電圧値Vの総量を算出し、それを電流値に変換することで、放射線の照射開始から照射終了までに放射線画像検出装置1に照射された放射線の線量を算出することができる。
なお、電圧値V自体に閾値Vthを設ける代わりに、例えば、電圧値Vの変化率ΔVに閾値ΔVthを設けておき、電圧値Vの増加率ΔVが閾値ΔVthを越えた時刻を放射線の照射開始時刻tstartとし、電圧値Vの減少率ΔVの絶対値が閾値ΔVth以上となった時刻を放射線の照射終了時刻tendとして検出するように構成することも可能である。
また、電圧値Vをピークホールドするように構成し、その最高値Vpと、放射線の照射開始時刻tstartと照射終了時刻tendとの時間間隔との積を算出し、図15の電圧値Vの台形状の推移を長方形状に近似して、放射線の照射開始から照射終了までに放射線画像検出装置1に照射された放射線の線量を算出するように構成することも可能である。
さらに、本実施形態の放射線画像撮影装置1では、図3や図7に示したように、各放射線検出素子7に接続された全てのバイアス線9が1本の結線10に結束されているため、上記のようにして算出される放射線の線量は、全ての放射線検出素子7、すなわち検出部P(図3参照)の全領域を対象としたものとなる。
しかし、放射線画像撮影において、実際に被写体が撮影される領域(関心領域)は、検出部Pの中央部を含む領域である場合が多い。そして、被写体を透過して放射線検出素子7やシンチレータ3に到達する放射線の線量は、被写体を透過せずに直接到達した場合よりも小さくなるが、図8に示したように、放射線の線量が低下した低線量の領域では、放射線検出素子7からの読み出し効率aが低下する。
そのため、最終的に生成される放射線画像で、被写体が撮影され、被写体に関する有効な情報が見出されるべき検出部Pの中央部を含む領域において、前述したような放射線検出素子7からの読み出し効率aに由来する画像の濃淡がより大きく現れるようになる。これが誤診等の原因となり得ることは前述したとおりである。
そこで、例えば図16に示すように、二次元状に設けられた放射線検出素子7のうち、被写体を透過した放射線が照射される検出部Pの中央部に存在する放射線検出素子7に接続された各バイアス線9aを、他の領域の放射線検出素子7に接続された各バイアス線9bとは別に結線10aに結束し、結線10aに対して照射検出手段としての上記の電流検出手段を設けて、検出部Pの中央部に照射された放射線を検出して、その線量等を算出するように構成することが可能である。
このように構成すれば、検出部Pの中央部における放射線の線量に基づいて放射線検出素子7からの読み出し効率のテーブル(図8参照)から読み出し効率aを割り出し、それに基づいて画像データを補正することが可能となり、放射線画像の中でも特に被写体に関する有効な情報が見出される検出部Pの中央部を含む領域において濃淡のない的確な放射線画像を得ることが可能となる。
[放射線画像撮影システム]
上記の実施形態の放射線画像撮影装置1では、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線の照射が終了したフレームの次のフレーム(第m+1フレーム)で読み出された画像データFm+1のうち、放射線の照射が終了したフレーム(第mフレーム)での読み出し処理の後に放射線の照射によって放射線検出素子7に蓄積された電荷に相当する割合分Fm+1αについては、放射線検出素子7からの読み出し効率aに基づいて補正し、補正した当該割合分Fm+1αと、画像データFm+1の補正しなかった残余分Fm+1βと、他のフレームで読み出された各画像データFa〜Fmとを加算して、放射線検出素子7ごとの画像データを算出する場合について説明した。
上記の実施形態の放射線画像撮影装置1では、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線の照射が終了したフレームの次のフレーム(第m+1フレーム)で読み出された画像データFm+1のうち、放射線の照射が終了したフレーム(第mフレーム)での読み出し処理の後に放射線の照射によって放射線検出素子7に蓄積された電荷に相当する割合分Fm+1αについては、放射線検出素子7からの読み出し効率aに基づいて補正し、補正した当該割合分Fm+1αと、画像データFm+1の補正しなかった残余分Fm+1βと、他のフレームで読み出された各画像データFa〜Fmとを加算して、放射線検出素子7ごとの画像データを算出する場合について説明した。
しかし、放射線画像撮影装置1から各フレームごとの画像データFa〜Fm+1等をコンソール等の外部装置に送信して、コンソール等で上記の処理を行うように構成することも可能である。そこで、以下、そのように構成された放射線画像撮影システムの実施形態について説明する。
図17は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。本実施形態の放射線画像撮影システム50は、例えば、病院や医院内で行われる放射線画像撮影を想定したシステムであり、放射線画像として医療用の診断画像を撮影するシステムとして採用することができる。
放射線画像撮影システム50は、図17に示すように、例えば、放射線を照射して患者の一部である被写体(患者の撮影対象部位)の撮影を行う撮影室R1と、放射線技師や医師等の操作者が被写体に照射する放射線の制御や取得した放射線画像の画像処理等の種々の操作を行う前室R2とに配置されるものである。撮影室R1は、放射線が外部に漏れないように鉛などでシールドされていることも多い。
本実施形態では、撮影室R1には、前述した放射線画像撮影装置1(可搬型放射線画像撮影装置1)を装填可能なブッキー装置51や、被写体に照射する放射線を発生させる図示しないX線管球を備える放射線発生装置52、放射線画像撮影装置1とコンソール58とが無線通信する際にこれらの通信を中継する無線アンテナ53を備えた無線アクセスポイント(基地局)54等が設けられている。
また、前室R2には、放射線発生装置52からの放射線の照射開始を指示するためのスイッチ手段55等を備えた放射線の照射を制御する操作卓56や、放射線画像撮影装置1に内蔵された後述するタグを検出するタグリーダ57、放射線画像撮影システム50全体の制御を行うコンソール58が設けられている。また、コンソール58には、ハードディスク等で構成された記憶手段59が接続されている。
放射線画像撮影装置1の構成については前述したとおりであるが、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、さらに下記の構成を有していることが好ましい。
具体的には、放射線画像撮影装置1内には、図示しないタグが内蔵されている。本実施形態では、タグとして、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグと呼ばれるタグが用いられており、タグには、タグの各部を制御する制御回路や放射線画像撮影装置1の固有情報を記憶する記憶部がコンパクトに内蔵されている。なお、固有情報には、例えば当該放射線画像撮影装置1に割り当てられた識別情報としてのカセッテIDやシンチレータの種類情報、サイズ情報、解像度等が含まれている。
また、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS Z 4905(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠する寸法で構成されている。すなわち、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内に形成され、8インチ×10インチ、10インチ×12インチ、11インチ×14インチ、14インチ×14インチ、14インチ×17インチ(半切サイズ)等のものが用意されている。
このように、本実施形態では、放射線画像撮影装置1はスクリーン/フィルム用のカセッテに関するJIS規格に準拠して形成されているため、同様にJIS規格に準拠して形成されるCRカセッテを装填可能なCRカセッテ用のブッキー装置51に装填して用いることができるようになっている。
なお、本発明は、放射線画像撮影装置1が上記のようにJIS規格に準拠して形成される場合や、また、ブッキー装置51としてCRカセッテ用のブッキー装置51を用いる場合に限定されない。しかし、ブッキー装置51としてCRカセッテ用のブッキー装置51を用いれば、FPDとしての放射線画像撮影装置1と従来のCRカセッテとのいずれをもブッキー装置51に装填して放射線画像撮影を行うことも可能となる。
一方、放射線画像撮影装置1は、ブッキー装置51に装填されない、いわば単独の状態で用いることもできるようになっている。すなわち、放射線画像撮影装置1を単独の状態で例えば撮影室R1内に設けられた支持台や図17に示すように臥位撮影用のブッキー装置51B等に配置してその放射線入射面R(図1参照)上に被写体である患者の手等を載置したり、或いは、例えばベッドの上に横臥した患者の腰や足等とベッドとの間に差し込んだりして用いることもできるようになっている。この場合、例えばポータブルの放射線発生装置52B(図17参照)等から、被写体を介して放射線画像撮影装置1に放射線を照射して放射線画像撮影が行われる。
ブッキー装置51には、放射線画像撮影装置1を所定の位置に保持するためのカセッテ保持部51aが設けられており、カセッテ保持部51aに放射線画像撮影装置1が装填できるようになっている。また、本実施形態では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bとがそれぞれ設けられている。
なお、立位撮影用のブッキー装置51Aや臥位撮影用のブッキー装置51Bにおいて、例えばそれら自体の位置調整やブッキー装置本体に対するカセッテ保持部51aの高さ調整等を適宜行うこと等が可能とされていることは、公知のブッキー装置と同様である。
撮影室R1には、被写体を介して放射線画像撮影装置1に放射線を照射するX線管球を備える放射線発生装置52が少なくとも1つ設けられている。本実施形態では、立位撮影用および臥位撮影用のブッキー装置51A、51Bに対して1つの放射線発生装置52Aが共用されるようになっている。なお、各ブッキー装置51A、51Bに、別々の放射線発生装置を対応付けて設けるように構成することも可能である。
放射線発生装置52Aは、例えば撮影室R1の天井からつり下げられて配設されるようになっており、撮影時には後述する操作卓56からの指示に基づいてセットアップされ、図示しない移動手段により所定の位置にまで移動され、放射線の照射方向が所定の方向を向くようにその向きが調整されるようになっている。
また、本実施形態では、立位撮影用のブッキー装置51Aや臥位撮影用のブッキー装置51Bには対応付けられていないポータブルの放射線発生装置52Bも設けられており、ポータブルの放射線発生装置52Bは、撮影室R1内の任意の場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるようになっている。
なお、本実施形態では、ポータブルの放射線発生装置52Bも、操作卓56からの指示に基づいてセットアップされるようになっているが、この他にも、例えば、操作者が手動でセットアップしたり、放射線画像撮影装置1からポータブルの放射線発生装置52Bに無線信号を送信してセットアップするように構成することも可能である。
放射線発生装置52のX線管球としては、回転陽極X線管球が好ましく用いられる。X線管球は、陰極から放射される電子線を陽極に衝突させることで放射線を発生させるように構成されている場合が多いが、電子線が陽極の同じ位置に衝突し続けると、熱の発生等で陽極が損傷する。そのため、回転陽極X線管球では、陽極を回転させて電子線が衝突する位置が同じ位置にならないようにすることで、陽極の長寿命化が図られるようになっている。
また、撮影室R1内の一角には、放射線画像撮影装置1と、コンソール58やスイッチ手段55等とが無線通信する際に、これらの通信を中継する無線アンテナ53を備えた無線アクセスポイント54が設置されている。
なお、図17では、無線アクセスポイント54が撮影室R1の入口付近に設けられている場合が示されているが、これに限定されず、放射線画像撮影装置1のアンテナ装置40等と無線通信が可能な適宜の位置に設置される。また、本実施形態では、無線アクセスポイント54は各ブッキー装置51A、51Bとケーブル等で接続されており、ブッキー装置51A、51Bやそれに装填された放射線画像撮影装置1とコンソール58等との通信を有線方式でも行うことができるようになっている。
一方、前室R2には、放射線発生装置52からの放射線の照射開始を指示するためのスイッチ手段55を備えた操作卓56が設けられている。なお、図8では、操作卓56とスイッチ手段55とが別体のように記載されており、実際にも、それらを別体として設け、スイッチ手段55を放射線技師等の操作者が操作し易い位置に配置される場合もあるが、それらが一体的に、すなわち操作卓56にスイッチ手段55が設けられる場合もある。
操作卓56は、汎用のCPU(Central Processing Unit)を備えるコンピュータや専用のプロセッサ(processor)を備えるコンピュータ等で構成されている。本実施形態では、操作卓56は、スイッチ手段55や放射線発生装置52と接続されるとともに、コンソール58にも接続されている。
スイッチ手段55は、図示しないボタンがそのストローク方向に半分程度押し込まれると(すなわち、いわゆる半押しされると)、操作卓56に起動信号を送信し、操作卓56から指定された放射線発生装置52に起動信号が送信されると、当該放射線発生装置52のX線管球の陽極の回転が開始されて放射線発生装置52が起動されるようになっている。
そして、その後、1秒程度の時間をおいて、スイッチ手段55のボタンがさらに押し込まれてそのストローク方向に全部押し込まれると(すなわち、いわゆる全押しされると)、スイッチ手段55は操作卓56に照射信号を送信し、操作卓56から指定された放射線発生装置52に対して照射信号が送信されると、当該放射線発生装置52のX線管球から放射線が照射されるようになっている。
また、スイッチ手段55には、ボタンの半押しや全押しの状態を検出して、検出信号をコンソール58に送信するストローク検出手段60が取り付けられている。なお、ストローク検出手段60を設けずに、スイッチ手段55から操作卓56に起動信号等を送信する際にそれらの信号をコンソール58にも送信するように構成することも可能である。
前室R2の入口の近傍には、前述したRFIDの技術を用いて放射線画像撮影装置1と情報をやりとりするタグリーダ57(図8参照)が設置されている。タグリーダ57は、内蔵する図示しないアンテナを介して電波等に所定の指示情報を乗せて発信し、前室R2や撮影室R1に入室し或いは退室する放射線画像撮影装置1を検出するようになっている。
そして、タグリーダ57は、検出した放射線画像撮影装置1のRFIDタグに記憶された固有情報を読み取り、読み取った固有情報をコンソール58に送信するようになっている。
また、前室R2には、コンソール58が設けられている。コンソール58は、図示しないCPUやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータで構成されており、ROMに格納される所定のプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行して、前述したように放射線画像撮影システム50全体の制御を行うようになっている。
コンソール58には、前述した無線アクセスポイント54や操作卓56、タグリーダ57、記憶手段59、スイッチ手段55に取り付けられたストローク検出手段60等が接続されており、また、無線アクセスポイント54を介して立位撮影用および臥位撮影用のブッキー装置51A、51B等が接続されている。
また、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示画面58aが設けられており、その他、キーボードやマウス等の図示しない入力手段が接続されている。
コンソール58は、前述したようにタグリーダ57が検出した放射線画像撮影装置1のカセッテIDを含む固有情報が送信されてくると、記憶手段59に登録されている、撮影室R1内等に存在する放射線画像撮影装置1のリストを参照するようになっている。そして、コンソール58は、送信されてきた固有情報が記憶手段59に登録されていなければ、当該放射線画像撮影装置1が新たに撮影室R1や前室R2内に持ち込まれたものとしてその放射線画像撮影装置1のカセッテID等を上記のリストに追加して記憶手段59に登録する。
また、送信されてきた固有情報が既に記憶手段59に登録されているものであれば、当該放射線画像撮影装置1が撮影室R1や前室R2内から持ち出されたものとしてその放射線画像撮影装置1のカセッテID等を上記のリストから抹消する。このようにして、コンソール58は、撮影室R1内等に持ち込まれ或いは持ち出される放射線画像撮影装置1を把握して記憶手段59上で管理するようになっている。
本実施形態では、コンソール58は、表示画面58a上に表示された放射線画像撮影装置1のアイコンをクリックする等の操作者の入力操作によって指定された放射線画像撮影装置1に対して、無線アクセスポイント54を介して切り替え信号を送信することができるようになっている。
そして、前述したように、放射線画像撮影装置1は、切り替え信号を受信すると、放射線検出素子7等に対する電力供給状態がスリープモードであれば撮影可能モードに切り替えて、放射線検出素子7等に電力を供給して放射線画像撮影が可能な状態に覚醒させる。また、放射線画像撮影装置1は、放射線検出素子7等に対する電力供給状態が撮影可能モードに切り替えられると、画像データの読み出し動作を開始し、各フレームごとの読み出し処理を繰り返すようになっていることは前述したとおりである。
なお、このように、放射線画像撮影装置1を、コンソール58から送信された切り替え信号により撮影可能モードに切り替えられると同時に画像データの読み出し動作を開始するように構成することも可能であるが、前述した操作卓56のスイッチ手段55のボタンが半押しされ、放射線発生装置52に起動信号が送信された段階で、放射線画像撮影装置1で画像データの読み出し動作を開始するように構成することも可能である。
この場合、コンソール58は、操作卓56のスイッチ手段55のボタンが半押しされたことを検出したストローク検出手段60から検出信号を受信したり、スイッチ手段55から起動信号を受信すると、無線アクセスポイント54を介して放射線画像撮影装置1に信号を送信して、放射線画像撮影装置1に画像データの読み出し動作を開始させる。
放射線画像撮影装置1が撮影可能モードに切り替えられて画像データの読み出し動作が開始された後、長い時間が経過してから放射線発生装置52から放射線が照射されると、放射線画像撮影装置1のバッテリ41が消耗してしまう場合がある。しかし、このように、放射線発生装置52に起動信号が送信された段階で放射線画像撮影装置1で画像データの読み出し動作を開始するように構成すれば、スイッチ手段55のボタンが半押しされた後、全押しされて放射線が照射されるまでの時間は前述したように1秒程度であるため、放射線画像撮影装置1のバッテリ41の消耗を防止することが可能となる。
しかし、例えば図18に示す放射線画像撮影システム70のように、コンソール58等が撮影室R1の前室R2に設けられていない場合も少なくなく、また、図示を省略するが、1つのコンソール58で複数の撮影室R1での放射線画像撮影を管理するように構成されていたり、複数のコンソール58と複数の撮影室R1とがネットワーク等を介して接続されているような場合もある。
このようにコンソール58が前室R2に設けられていない場合には、図18に示すように、ストローク検出手段60やスイッチ手段55を無線アクセスポイント54に接続して検出信号や起動信号を放射線画像撮影装置1に直接送信するように構成することが可能である。
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50のコンソール58における処理について説明し、あわせて放射線画像撮影システム50の作用について説明する。
本実施形態では、コンソール58は、上記のようにして、指定した放射線画像撮影装置1に信号を送信して、画像データの読み出し動作を開始させ、各フレームごとの読み出し処理を繰り返させる。そして、放射線発生装置52から放射線の照射が開始されると、その時刻(すなわち前述した照射開始時刻)tstartを記憶手段59に記憶させ、放射線発生装置52から放射線の照射が終了すると、その時刻(すなわち前述した照射終了時刻)tendを記憶手段59に記憶させる。
また、放射線画像撮影装置1でも放射線の照射開始時刻tstartと照射終了時刻tendとを検出して記憶し、それらの時刻tstart、tendの情報とともに、放射線の照射が開始されたことが検出されたフレームから放射線の照射が終了したことが検出されたフレーム(第mフレーム)の次のフレーム(第m+1フレーム)までの各フレームごとの画像データFa〜Fm+1をコンソール58に送信する。また、照射検出手段で、照射された放射線の線量を検出していれば、その情報もあわせて送信する。
コンソール58は、放射線画像撮影装置1から画像データFa〜Fm+1等が送信されてくると、記憶手段59に記憶されている当該放射線画像撮影装置1に関する放射線検出素子7からの読み出し効率のテーブル(図8参照)を参照して、照射された放射線の線量に基づく放射線検出素子7からの読み出し効率aを割り出し、上記の放射線画像撮影装置1の実施形態における放射線画像撮影装置1の制御手段22での処理と同様の処理を行う。
すなわち、放射線の照射が終了したフレーム(第mフレーム)の次のフレーム(第m+1フレーム)で読み出された画像データFm+1のうち、第mフレームでの読み出し処理の後に放射線の照射によって放射線検出素子7に蓄積された電荷に相当する割合分Fm+1αを算出し、割合分Fm+1αを読み出し効率aの逆数を乗算する等して補正して、補正した当該割合分Fm+1αと、画像データFm+1のうちの補正しなかった残余分Fm+1βと、他のフレームで読み出された各画像データFa〜Fmとを加算して、放射線検出素子7内に発生し蓄積された全電荷に対応する画像データを算出する。そして、この処理を全放射線検出素子7について行って、最終的な画像データを算出する。
なお、放射線画像撮影装置1の照射検出手段では、放射線の照射の開始と終了のみが検出され、照射された放射線の線量を検出できない場合もある。このような場合には、コンソール58が放射線発生装置52や操作卓56等から入手した照射開始時刻tstartと照射終了時刻tendの情報、および放射線画像撮影装置1の放射線入射面Rに照射されるように設定された放射線の時間あたりの線量に基づいて、放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を算出することが可能である。
このように構成すれば、放射線画像撮影装置1の照射検出手段で照射された放射線の線量を検出することができない場合であっても、コンソール58で照射された放射線の線量を割り出すことが可能となり、それに基づいて放射線検出素子7からの読み出し効率aを割り出して、画像データFm+1のうちの第mフレームでの読み出し処理の後に放射線の照射によって放射線検出素子7に蓄積された電荷に相当する割合分Fm+1αを有効に補正して、良好な画像データを算出することが可能となる。
また、放射線画像撮影における撮影対象である被写体の性状に応じて被写体で吸収される放射線の線量が変わる場合がある。その場合には、例えば、被写体である患者の身体の撮影部位や、患者の体重(すなわち皮下脂肪の量)等の患者の身体の情報に基づいて放射線画像撮影装置1の放射線入射面Rに到達する放射線の線量を修正し、修正された放射線の線量に基づいて放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を算出することが可能である。
このように構成すれば、放射線画像撮影装置1の放射線照射面Rに実際に照射された放射線の線量を割り出して、それに基づいて、より実情に即した放射線検出素子7からの読み出し効率aを割り出すことが可能となり、画像データFm+1のうちの第mフレームでの読み出し処理の後に放射線の照射によって放射線検出素子7に蓄積された電荷に相当する割合分Fm+1αをより的確に補正して、より良好な画像データを算出することが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、上記の放射線画像撮影装置1の実施形態の場合と同様に、例えば放射線検出素子7等に対する電力供給状態が撮影可能モードに切り替えられたこと等を契機として、画像データの読み出し動作を開始させることで、放射線の照射タイミングと画像データの読み出しタイミングとのタイミング制御を行うことなく、画像データの読み出し処理を行わせることが可能となる。
また、放射線検出素子7からの読み出し効率aが100%にはならず、通常の場合、最も高くても90%程度にしかならないため、放射線の照射が終了したフレームの次のフレーム(第m+1フレーム)で読み出された画像データFm+1のうち、放射線の照射が終了したフレーム(第mフレーム)での読み出し処理の後に放射線の照射によって放射線検出素子7内で発生して蓄積された電荷に相当する割合分Fm+1αについては、その読み出し効率aが100%にならない。
そのため、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50のように、コンソール58で、その割合分Fm+1αに対して読み出し効率aの逆数を乗算する等して補正して、補正した当該割合分Fm+1αと、補正しなかった前記次のフレーム(第m+1フレーム)の画像データFm+1の残余分Fm+1βと、他のフレームで読み出された各画像データFa〜Fmとを加算することで、放射線検出素子7内に発生し蓄積された全電荷に対応する画像データを算出することが可能となる。そのため、最終的に得られた画像データに基づいて生成される放射線画像に濃淡が生じることが回避され、より的確な放射線画像を得ることが可能となる。
また、このように、濃淡のない放射線画像が生成されるため、例えば、その放射線画像に基づいて病気診断等を行うような場合に、濃淡に基づいて誤診が生じることを防止することが可能となり、より的確に診断を行うことが可能となる。
なお、記憶手段59に記憶される放射線画像撮影装置1に関する放射線検出素子7からの読み出し効率のテーブル(図8参照)は、放射線画像撮影装置1ごとに作成されていてもよく、或いは、放射線の線量に対する放射線検出素子7からの読み出し効率aの依存性が同じと判断される放射線画像撮影装置1をグループにまとめ、グループごとに放射線検出素子7からの読み出し効率のテーブルを作成してもよい。
また、放射線画像撮影システム50に用いられる放射線画像撮影装置1が照射検出手段、すなわち放射線の照射の開始および終了を検出する手段を有しない場合には、スイッチ手段55やストローク検出手段60から送信されてきた照射信号や検出信号をコンソール58から放射線画像撮影装置1に送信し、或いは、スイッチ手段55やストローク検出手段60から放射線画像撮影装置1に直接それらの信号を送信して、放射線画像撮影装置1に放射線の照射開始を知らせ、放射線の照射が終了すると、コンソール58やスイッチ手段55、ストローク検出手段60から放射線画像撮影装置1に信号を送信して、放射線画像撮影装置1に放射線の照射終了を知らせるように構成することが可能である。
なお、本発明が上記の実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
1 放射線画像撮影装置(可搬型放射線画像撮影装置)
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ素子)
15 走査駆動回路
17 読み出し回路
22 制御手段
23 記憶手段
35 放射線センサ(照射検出手段)
41 バッテリ
40 アンテナ装置(通信手段)
50、70 放射線画像撮影システム
52 放射線発生装置
58 コンソール
59 記憶手段
a 読み出し効率
Fa〜Fm、Fm+1 画像データ
Fm+1α 割合分
Fm+1β 残余分
m 第mフレーム(放射線の照射が終了したフレーム)
m+1 第m+1フレーム(第mフレームの次のフレーム)
r 領域
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ素子)
15 走査駆動回路
17 読み出し回路
22 制御手段
23 記憶手段
35 放射線センサ(照射検出手段)
41 バッテリ
40 アンテナ装置(通信手段)
50、70 放射線画像撮影システム
52 放射線発生装置
58 コンソール
59 記憶手段
a 読み出し効率
Fa〜Fm、Fm+1 画像データ
Fm+1α 割合分
Fm+1β 残余分
m 第mフレーム(放射線の照射が終了したフレーム)
m+1 第m+1フレーム(第mフレームの次のフレーム)
r 領域
Claims (8)
- 互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、
前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に設けられ、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる放射線検出素子と、
信号読み出し用の電圧を印加する前記各走査線を順次切り替える走査駆動回路と、
前記各走査線に接続され、前記信号読み出し用の電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ素子と、
前記信号線を介して前記放射線検出素子から前記電荷を読み出して前記放射線検出素子ごとに前記電荷を画像データに変換する読み出し回路と、
前記読み出された画像データを保存する記憶手段と、
放射線の照射の開始および終了を検出する照射検出手段と、
前記放射線検出素子の全てから出力される1画面分の前記画像データを読み出す期間を1フレームとするとき、放射線の照射が開始されたフレームから放射線の照射が終了したフレームの次のフレームまでの各フレームごとに読み出された前記画像データを前記記憶手段に保存させるとともに、前記放射線の照射が終了したフレームの次のフレームで読み出された前記画像データのうち、前記放射線の照射が終了したフレームでの読み出し処理後に放射線の照射によって前記放射線検出素子に蓄積された電荷に相当する割合分については、前記放射線検出素子からの読み出し効率に基づいて補正し、補正した当該割合分と、補正しなかった前記次のフレームの前記画像データの残余分と、他のフレームで読み出された前記各画像データとを加算して、放射線検出素子ごとの画像データを算出する制御手段と、
を備えることを特徴とする可搬型放射線画像撮影装置。 - 前記照射検出手段は、放射線の照射の開始および終了を検出するとともに、照射された放射線の線量を検出し、
前記制御手段は、前記照射検出手段により検出された前記線量に依存する前記放射線検出素子からの読み出し効率に基づいて当該画像データを補正することを特徴とする請求項1に記載の可搬型放射線画像撮影装置。 - 前記照射検出手段は、前記二次元状に設けられた放射線検出素子のうち、被写体を透過した放射線が照射される領域に存在する放射線検出素子に対して照射された放射線の線量を検出することを特徴とする請求項2に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
- 前記制御手段は、前記放射線検出素子に対する電力供給状態を、前記放射線検出素子に電力を供給して放射線画像撮影を可能とする撮影可能モードと、必要な部材にのみ電力を供給して前記放射線検出素子への電力の供給を停止して放射線画像撮影ができないスリープモードとの間で切り替えることが可能で、かつ、前記電力供給状態を前記撮影可能モードに切り替えると、前記走査駆動回路に前記信号読み出し用の電圧を印加する前記各走査線を順次切り替えさせながら前記読み出し用の電圧を印加させて、前記各フレームごとの前記画像データの読み出しを開始させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
- 前記制御手段は、前記放射線検出素子に対する電力供給状態を前記撮影可能モードに切り替えた後、予め設定された所定時間内に放射線が照射されない場合には、前記電力供給状態を前記撮影可能モードから前記スリープモードに切り替えることを特徴とする請求項4に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
- 互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、
前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に設けられ、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる放射線検出素子と、
信号読み出し用の電圧を印加する前記各走査線を順次切り替える走査駆動回路と、
前記各走査線に接続され、前記信号読み出し用の電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ素子と、
前記信号線を介して前記放射線検出素子から前記電荷を読み出して前記放射線検出素子ごとに前記電荷を画像データに変換する読み出し回路と、
前記放射線検出素子の全てから出力される1画面分の前記画像データを読み出す期間を1フレームとするとき、各フレームごとに読み出された前記画像データを前記放射線検出素子ごとに保存する記憶手段と、
前記各部材に電力を供給するバッテリと、
前記画像データを送信可能な通信手段と、
を備える可搬型放射線画像撮影装置と、
前記放射線検出素子からの読み出し効率を記憶する記憶手段を備え、前記可搬型放射線画像撮影装置から送信された前記画像データに基づいて当該可搬型放射線画像撮影装置の前記放射線検出素子ごとの画像データを算出するコンソールと、
前記可搬型放射線画像撮影装置に対して放射線を照射する放射線発生装置と、
を備え、
前記コンソールは、前記放射線発生装置からの放射線の照射が開始されたフレームから放射線の照射が終了したフレームの次のフレームまでの各フレームごとに読み出された前記画像データに対して、前記放射線の照射が終了したフレームの次のフレームで読み出された前記画像データのうち、前記放射線の照射が終了したフレームでの読み出し処理後に放射線の照射によって前記放射線検出素子に蓄積された電荷に相当する割合分については、前記放射線検出素子からの読み出し効率に基づいて補正したうえで、補正した当該割合分と、補正しなかった前記次のフレームの前記画像データの残余分と、他のフレームで読み出された前記各画像データとを加算して、当該可搬型放射線画像撮影装置の前記放射線検出素子ごとの画像データを算出することを特徴とする放射線画像撮影システム。 - 前記コンソールは、前記放射線発生装置からの放射線の照射開始から終了までに照射された放射線の線量を算出し、前記線量に依存する前記放射線検出素子からの読み出し効率に基づいて当該線量に対応する前記読み出し効率を割り出して、前記画像データを補正することを特徴とする請求項6に記載の放射線画像撮影システム。
- 前記コンソールは、放射線画像撮影を行う患者の身体の情報に基づいて、前記放射線発生装置からの放射線の照射開始から終了までに照射された放射線の線量を修正して算出することを特徴とする請求項7に記載の放射線画像撮影システム。
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