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JP2010120306A - シート積層装置及びシート積層方法 - Google Patents

シート積層装置及びシート積層方法 Download PDF

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JP2010120306A JP2008297102A JP2008297102A JP2010120306A JP 2010120306 A JP2010120306 A JP 2010120306A JP 2008297102 A JP2008297102 A JP 2008297102A JP 2008297102 A JP2008297102 A JP 2008297102A JP 2010120306 A JP2010120306 A JP 2010120306A
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Abstract

【課題】シール部分の寸法精度の要求が高くなく、シール部材の摩耗を生じ難く、シート材のハンドリングが容易なシート積層装置及び方法を提供する。
【解決手段】シール部材24を備えた封止側部材20と、シール部材24が接するシール面312を備えた被封止側部材30との圧締面間にシート材を挟み、減圧又は加圧雰囲気中でシート材Sを熱圧着するシート積層装置1であって、シール部材24は、封止側部材20に形成された溝213から被封止側部材30に向けて突出し、被封止側部材30のシール面312又は該シール面上のシート材Sに接して気密室を形成することができ、被封止側部材30は、シール面312と圧締面311とを同一平面上に備えており、封止側部材20には、気密室に連通し得る通気ポート217が設けられていることを特徴とするシート積層装置及び該装置を使用したシート積層方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、加熱下での加圧によりシート材を積層させるためのシート積層装置及びシート積層方法に関する。
複数のシート材を積層する手段として、シート材を圧締部材間に挟んで熱圧着により接着する方法が多用されており、これを真空中(減圧下)で行なうことにより、シート材間に空気が残留するのを防止することができる。そのための従来装置の一例を図8に示す。この装置は、図外の昇降装置により昇降される上部部材110の下方に下部部材120を配置し、両部材に設けた圧締面113,123により複数のシート材を積層状態に接着するものである。上部部材110は、下面が開口した箱形をなし、その上壁111の上面に上部熱板112が取り付けられ、上壁111の下面に圧締面113が設けられている。下部部材120は、下部熱板121の上に台座122が固定され、その上に圧締面123が設けられている。台座122は、上部部材110の開口に対応した形状をなし、その側面を周回するようにO−リングからなるシール部材124が取り付けられている。上部部材110には側壁115を貫通する通気ポート114が設けられており、ここにチューブTの一端が接続され、その他端は真空ポンプに接続される。上部熱板112及び下部熱板121には、電熱線が内蔵されており、通電により熱板を所定温度に昇温させことができる。
加工の際は、図8(1) に示すように、上部部材110を上昇させた状態で、下部部材120の圧締面121上に積層すべき複数のシート材Sを載置する。接着すべきシート材間には熱接着性シートを介在されておく。
この状態で、図8(2) に示すように上部部材110を下降させ、下部部材120の台座122に浅く被せる。これにより、シール部材124が上部部材110の側壁115に接して側壁115と台座122との間がシールされ、上部部材110と台座122とで囲まれた密閉空間が形成される。その後、真空ポンプを作動させ、チューブTを通じて吸引を行ない、密閉空間を減圧状態とする。
そして、上部熱板112及び下部熱板121への通電により昇温させ、図8(3) に示すように、上部部材110をさらに下降させて、圧締面113,123によりシート材Sを圧締する。その結果、上部熱板112及び下部熱板121により加熱された状態でシート材Sが加圧され、複数のシート材が積層状態に接着される。
その後は、上部部材110を上昇させ、シート材Sを台座122上から取り出し、次に加工すべきシート材を台座122上に置き、同じ工程を繰り返す。
図9は、これと同様の他の形態の従来装置を示している。この装置の上部部材110’は、下部が開口した箱形をなす囲繞部材130と、該囲繞部材により上下動可能に支持された摺動部材140とを備えている。囲繞部材130は、先の例とほぼ同様に、上壁131の上面に上部熱板132が取り付けられ、側壁135には通気ポート134が設けられ、真空ポンプに接続されたチューブTがここに結合される。摺動部材140は、上壁131に設けられた貫通孔に通したロッド141の下端に上部熱板132を取り付け、その下面に圧締面133を設けたものである。囲繞部材130は図外の昇降装置に結合され、ロッド141は図外のプレス装置に結合されて、各々独立して昇降の制御が行なわれる。下部部材120は、先の例と同じである。
加工の際は、図9(1) に示すように、上部部材110’を上昇させた状態で、下部部材120の圧締面121上に積層すべき複数のシート材Sを置く。この状態で、図9(2) に示すように上部部材110’を下降させ、囲繞部材130を台座122に浅く被せる。これにより、シール部材124により側壁115と台座122との間がシールされ、上部部材110’と台座122とで囲まれた密閉空間が形成される。その後、真空ポンプを作動させ、チューブTを通じて吸引を行ない、密閉空間を減圧状態とする。
そして、上部熱板132及び下部熱板121を通電により昇温させ、図9(3) に示すように、摺動部材140を下降させて、圧締面133,123によりシート材Sを圧締する。その結果、加熱された状態でシート材Sが加圧され、複数のシート材が積層状態に接着される。
その後は、上部部材110’を上昇させ、シート材Sを台座122上から取り出し、次に加工すべきシート材を台座122上に置き、前述の工程を繰り返す。
上記装置はいずれも、下部部材120の台座122の側面を周回するようにシール部材124を設けているので、上部部材の側壁と台座122の間隙及びシール部材の取り付け位置について高い寸法精度が要求される。この精度が悪いと適切なシールが得られなかったり、嵌め合いに大きな力が必要になるという問題が生じる。しかも、上部部材の昇降の度に側壁がシール部材をこすることになるので、シール部材の摩耗が激しく、シール部からのリークを生じる原因となる。
また、上部部材及び下部部材によるシート材の圧締位置より下方でシールが行なわれるので、上部部材の開口部より大きいシート材を用いて積層加工を複数箇所に順次行なおうとすると、上部部材の下縁がシート材を圧締位置より下方へ押し下げることとなるため、行なうことができない。また、シート材を個別に積層する場合でも、シート材を把持するのは、上部部材を上昇させた後にしか行なうことができない。したがって、いずれの場合も、装置に対するシート材の出し入れ等のハンドリングが煩雑であった。
本発明は、これら従来技術の問題点を解消し、シール部分の寸法精度の要求が高くなく、シール部材の摩耗を生じ難く、シート材の出し入れ等のハンドリングが容易なシート積層装置及びシート積層方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するため、1対の圧締部材間に複数のシート材を挟み、減圧又は加圧雰囲気中での加熱加圧によりシート材を接着するシート積層装置であって、前記1対の圧締部材は、シール部材を備えた封止側部材と、前記シール部材が接するシール面を備えた被封止側部材とからなり、これらの圧締部材は、各々シート材における積層すべき領域を圧締するための圧締面を有し、相互に接近離反可能とされており、少なくとも一方にシート材を加熱するための加熱部が設けられており、前記封止側部材は、前記被封止側部材に向く面に開口した溝が形成され該溝にシール部材が挿入されており、該溝及びシール部材は、シート材における積層すべき領域を囲み得るように環状に形成されており、前記シール部材は、前記溝から前記被封止側部材に向けて突出しており、両圧締部材が接近する際、前記封止側部材の圧締面がシート材に接する前に前記被封止側部材のシール面又は該シール面上のシート材に接して圧締部材間に気密室を形成することができ、前記被封止側部材は、前記シール面と圧締面とを同一平面上に備えており、前記封止側部材には、前記気密室に連通し得る通気ポートが設けられていることを特徴とするシート積層装置を提供するものである。
本発明はまた、前記目的を達成するため、前記装置を使用して行なうシート積層方法であって、1対の前記圧締部材間に複数のシート材を置き、これらの圧締部材を相互に接近させ、前記封止側部材のシール部材を前記被封止側部材のシール面又は該シール面上のシート材に当接させることにより、前記圧締部材間に気密室を形成し、前記通気ポートを通じて該気密室を減圧又は加圧状態とし、前記加熱部により前記圧締面を所定温度に加熱し、前記圧締部材を相互にさらに接近させるように押圧して前記圧締面でシート材を熱圧により接着することを特徴とするシート積層方法を提供するものである。
本発明に係るシート積層装置は、前述の構造を備えており、特に、封止側部材の溝に挿入されたシール部材は、被封止側部材に向けて突出した状態とされ、1対の圧締部材が相互に接近した際に、被封止側部材のシール面又は該シール面上のシート材に接してシールが行なわれるようになっている。したがって、シール部材及び両圧締部材におけるシール箇所の寸法精度が高くなくても、圧締力によりシール部材が弾性変形するので、十分なシールが得られる。また、シール部材は、両圧締部材の接近離反の際にこすられることがないので、摩耗を生じ難い。
また、被封止側部材は、シール面と圧締面とを同一平面上に備えているので、大判のシート材を用いて積層加工を複数箇所に順次行なう際、両圧締部材からシート材がはみ出しても、支障なく加工を行なうことができる。また、シート材を個別に積層する場合にも、シート材を両圧締部材からはみ出る寸法としておけば、圧締中でもシート材の端部を把持することができる。したがって、いずれの場合にも装置に対するシート材の出し入れ等のハンドリングが容易である。
本発明に係るシート積層方法は、前記装置を使用して、シート材の積層を行なうので、該装置に関する同様の効果を奏することができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。異なる実施形態間で同一又は同種の部分については、図中に同じ番号を付して説明を省略することがある。
図1は、積層シートの製造ラインの一例を示す平面図であり、この製造ラインは、本発明に係るシート積層方法を実施するためのシート積層装置1を備えており、シート材Sの両側部を挟持部材2で把持し、該挟持部材2を送りロッド3に沿って搬送しつつ、積層及び切断を行なって所定形状の積層シートとする。
シート材Sは、熱接着性シートを挟んで複数枚を重ねたものであり、シート材搬送方向に垂直な方向においてシート積層装置1より大きい寸法とされており、装置1に干渉しないように両端部を挟持部材2によって把持される。熱接着性シートは、積層すべきシート材の材質に適したものが選択される。圧締面の温度は、該熱接着性シートの温度特性に応じて決められ、上記の例では、200〜250℃程度とされる。
図2は、搬送されてきたシート材Sをシート積層装置1によって加工する工程を、装置の縦断面で示している。この装置1は、1対の圧締部材を備えており、該圧締部材は、シール部材を備えた封止側部材20と、シール部材が接するシール面を備えた被封止側部材30とからなり、被封止側部材30は固定され、封止側部材20が図外の昇降装置により昇降される。図には、封止側部材20を昇降装置に結合するコネクティングロッド10を示す。
封止側部材20は、矩形板状の保持体21と、該保持体21の上面に結合された上部熱板22とを備えている。保持体21の下部は中央部に浅い凹所211が形成され、該凹所211に上部圧締板23が一体的に固定されている。上部圧締板23は、得るべき積層シートより僅かに大きい寸法とされ、下面が上部圧締面231となっている。凹所211の周囲の隆起部212には、該隆起部212に沿って溝213が形成されている。溝213は、下方、すなわち被封止側部材30に向いて開き、そこにシール部材24が挿入されており、これら溝213及びシール部材24は、シート材Sにおける積層すべき領域をむように環状に形成されている。保持体21の側面には通気ポート217が設けられ、該通気ポートから延びる通気路218は凹所211の上部に開いている。通気ポート217には、図外の吸引チューブの一端が接続され、該吸引チューブの他端は真空ポンプに接続される。
上部熱板22は、電熱線が内蔵されており、通電により昇温する。上部圧締板23には、上部圧締面231の近くに温度センサが設けられており、該温度センサの検知信号が図外の制御装置に送られ、上部圧締面231が所定温度になるように、上部熱板22への通電が制御される。
シール部材24の詳細を図3及び図4に示す。図3は、図2(2) の円Aで囲んだ部分の拡大図であり、図4はシール部材24の周辺部分さらに拡大した図である。シール部材24は、図4に示すように、断面円形の当接部24aと、該当接部の上方に位置する固定部24bとを備えている。当接部24aは、内部に軸線方向に連続して延びる環状空所241が形成されており、底面には軸線方向に連続して延びる小突起242が複数設けられ、シール作用を得やすくしている。
固定部24bは、当接部24aの上端部から上方へ延びた柱状部243と該柱状部の上端から両側へ水平方向に張り出した平坦部244とを備えている。これら柱状部243及び平坦部244は、共にシール部材24の軸線方向に連続して延びており、平坦部244は当接部24aより幅が小さくされている。
シール部材24は、耐熱性を有するゴム又は樹脂製であり、例えば、シリコン等を用いることができる。
溝213は、シール部材24の当接部24aより僅かに大きい幅で形成され、深さはシール部材24の全高より浅い。したがって、固定部24bの上面が溝213の奧端面に接した状態で、当接部24aは溝から下方へ突出する。保持体21の下端部外周には、間隔をおいて切欠き25が形成され、そこに固定具26が設けられている。固定具26は、固定板261と、該固定板261の貫通孔に通され、保持体21の雌ねじに螺入される固定ビス262とを備えている。固定板261は、切欠き25の位置から溝213内へ延び、その端部と溝213の奧端面との間にシール部材24の平坦部244を挟持する。この状態で、固定ビス262を締結することにより、シール部材24は溝213内に固定される。
シール部材24は、柱状部243を上下に貫通して延びる通気孔246が1箇所に形成されている。そして、保持体21には、通気孔246に連通する通気路214が形成されている。通気路214は、通気孔246の上端の位置から上方へ延び、曲折して保持体21の側面に開口しており、その開口部には図2に示すように接続口216が設けられている。接続口216は、加圧空気供給用のチューブT2を接続することができ、逆止弁(図示略)により、該チューブから加圧空気を供給した後は、該チューブを取り外しても、空気が逆流しないようになっている。シール部材24によるシール作用を得るためには、0.1〜0.8MPaの加圧とするのが望ましく、この例では、約0.4MPaとされている。
被封止側部材30は、矩形の板状の支持板31と、該支持板31の上面に結合された下部熱板32とを備えている。支持板31は、上面が平らであり、中央部がシート材に対する下部圧締面311となり、周辺部はシール部材24が当接するシール面312となる。この構造により、下部圧締面311とシール面312とは同一平面上に位置している。
下部熱板32も上部熱板22と同様の構造であり、内蔵された電熱線により昇温し、支持板31における下部圧締面311の近くに設けられた温度センサの検知信号に基づいて、下部圧締面311が所定温度になるように、下部熱板32への通電が制御される。
このシート積層装置1を用いたシート材の加工は、以下のようにして行なわれる。図1に示すように、シート材Sは、挟持部材2に挟持され、送りロッド3により矢印Cに示す方向に搬送される。シート材Sは、図2及び図3に示すように、被封止側部材30より大きい幅寸法を有した第1シート材SAと、目的寸法より僅かに大きい寸法を有した第2シート材SBと、これらの間に挟まれた熱接着性シート(図示略)からなる。図では、説明のためこれらのシートの厚さを増して示している。
送りロッド3による搬送の間、装置1は、図2(1) に示すように封止側部材20が上昇して被封止側部材30から離反した位置に置かれる。シート材Sが装置1の下方に到達すると搬送は停止され、昇降装置が作動して封止側部材20が下降する。この下降は、図2(2) に示すように、シール部材24が被封止側部材30のシール面312に当接した直後に停止される。この状態では、シール部材24によるシールが得られているが、封止側部材20の上部圧締面231はシート材Sに接触していない。シールは、加圧空気により拡張状態とされたシール部材24が、シール面312にシール圧を及ぼすことにより得られる。なお、図4に一点鎖線で示すように、シール面312に当接する前の状態においてシール部材24が溝213の両側面に接していなくても、シール圧の反力を受けてシール部材24が弾性変形することにより、溝213の両側壁に接してシールを得ることができる。これにより、封止側部材20と被封止側部材30との間に気密室が形成される。
この状態で、通気ポート217に接続した吸引チューブT1を介して吸引を行ない、気密室を減圧状態とする。また、上部熱板22及び下部熱板32に通電して上部圧締面231及び下部圧締面311を所定温度に昇温させる。
次に、図2(3) に示すように、さらに封止側部材20を下降させる。これにより、シート材Sは、上部圧締面231と下部圧締面311との間で強圧されると共に、これらの圧締面により加熱される。その結果、熱接着性シートによりシート材が接着される。その後は、必要に応じてシート材Sを温度低下させ、封止側部材20を上昇させる。
この装置1は、封止側部材50がシール部材を保持する溝とシート材を押圧する圧締面とを一体的に備えているので構造が簡単であり、その昇降を単一の昇降装置で行なうことができるので、操作が容易である。また、1対の圧締部材間に形成される気密室の容積が小さいので、減圧に要する時間が短くて済み、高い作業効率が得られる。
図1に示した製造ラインでは、積層部分S0が得られたシート材Sを挟持部材2で把持したまま送りロッド3で搬送し、下流の切断装置4へと送る。切断装置4は、下型に対して上型が図外の昇降装置により昇降させられ、積層部分S0から必要な形状の打ち抜きを行なうためのカッティングダイ41を有したものである。
切断装置4を経たシート材Sは、打ち抜きが行なわれた積層シートS1を伴ったままさらに送りロッド3により送られ、下流側の取り出し装置5により積層シートS1がライン外へ取り出される。取り出し装置は、例えば吸着口を下面に備え、該吸着口に作用する負圧により積層シートS1を吸着するものとすることができる。
被封止側部材30は、シール面312と圧締面311とを同一平面上に備えているので、両圧締部材からはみ出たシート材Sの端部を挟持部材2で把持した状態で、各工程を移動させることができ、ハンドリングが容易である。
図5は、本発明の他の実施形態に係るシート積層装置及び該装置を用いた加工工程を示している。このシート積層装置1’は、図1に示した製造ラインにおいて、先に説明した装置1に代えて使用することができる。この装置1’は、1対の圧締部材の内、上側に位置する封止側部材50が前述の装置1のものと異なっている。
封止側部材50は、下部が開口した直方体状の箱形をなす囲繞部材51と、該囲繞部材51により上下動可能に支持された摺動部材52とを備えている。囲繞部材51の側壁512には通気ポート514が設けられ、該通気ポートから延びる通気路515が囲繞部材51内に通じている。通気ポート514には、真空ポンプに接続されたチューブT1が結合される。
側壁512の下端には、該側壁512に沿って溝513が形成されている。溝513は、下方、すなわち被封止側部材30に向いて開き、そこにシール部材54が挿入されており、これら溝513及びシール部材54は、シート材Sにおける積層すべき領域をむように環状に形成されている。シール部材54の構造は、前述の実施形態におけるシール部材24と同じであり、囲繞部材51の側壁512には、シール部材54に通じる通気路516が形成され、該通気路は、加圧空気供給用のチューブT2が接続される接続口517まで延びている。
摺動部材52は、囲繞部材51の上壁511に設けられた貫通孔511aに通したロッド521と、該ロッドの下端に取り付けられた上部熱板522とを備え、該上部熱板522の下面に上部圧締板53が取り付けられている。貫通孔511aの壁面にはO−リング511bが装着され、ロッド521との間隙を気密にシールしている。上部圧締板53は、得るべき積層シートより僅かに大きい寸法とされ、下面が上部圧締面531となっている。囲繞部材51は図外の昇降装置に結合され、ロッド521は図外のプレス装置に結合されて、各々独立して昇降の制御が行なわれる。
1対の圧締部材の内、下側に位置する被封止側部材30は、装置1のものと同じ支持板31及び下部熱板32を備えたものであるので、説明を省略する。
このシート積層装置1’を用いたシート材の加工は、基本的な操作が装置1の場合と同様であるので、主として異なる点を以下に説明する。シート材Sが挟持部材に挟持されて搬送される間、装置1’は、図5(1) に示すように封止側部材50が上昇して被封止側部材30から離反した位置に置かれる。シート材Sが装置1’の下方で停止すると、昇降装置が作動して封止側部材20が下降する。この下降は、摺動部材52を伴って行なわれ、図5(2) に示すように、シール部材54が被封止側部材30のシール面312に当接し、シールが形成された状態で停止され、これにより封止側部材20及び被封止側部材30間に気密室が形成される。
この状態で、通気ポート514に接続した吸引チューブT1を介して吸引を行ない、気密室を減圧状態とする。また、上部熱板52及び下部熱板32に通電して上部圧締面531及び下部圧締面311を所定温度に昇温させる。
次に、図5(3) に示すように、図外のプレス装置により摺動部材52を下降させる。これにより、シート材Sは、上部圧締面531と下部圧締面311との間で強圧されると共に、これらの圧締面により加熱され、熱接着性シートによりシート材が接着される。その後は、必要に応じてシート材Sを温度低下させ、封止側部材50を上昇させる。この後の切断及び取り出し工程は、先の実施形態と同様に行なわれる。
この装置1’は、封止側部材50を囲繞部材51と摺動部材52とに分離して各々の動作を独立して制御するので、シール部材に掛けるシール圧及び圧締面に掛ける圧力を、より正確に制御することができ、接着の均一性をより高め、空気混入をより確実に防止した積層シートが得られる。
図6は、図2に示したシート積層装置1を複数台備えた積層シートの製造ラインの例を示す平面図である。この製造ラインは、シート送り方向Cを横切る方向にシート積層装置1を2台並べて配置しており、シート材S’は幅方向に2つの接着箇所を設けることができる大判の連続シート材を重ね、間に熱接着性シートを介在させたものである。製造工程は図1に示したものと同様に行なわれる。すなわち、挟持部材2で把持されたシート材S’は、送りロッド3により搬送され、シート積層装置1での熱圧着に積層部分S0が形成され、切断装置4’のカッティングダイ41’により打ち抜きされた積層シートS1が取り出し装置5’によりライン外へ取り出される。
この製造ラインによれば、大判シート材を両圧締部材外で把持したまま複数箇所に順次加工することができ、作業効率がよく、高い生産性が得られる。なお、図6の製造ラインに前述のシート積層装置1’を用いることもできる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、シール部材は、前述の加圧空気式のものに代えて、シール圧をばねによって得るものとすることができる。図7はその一例を示しており、このシール部材70は、上記実施形態と同様に封止側部材80に形成された溝81に装着される構造を有し、溝81に挿入されるシール本体71と、溝81内で該シール本体71上に位置する押さえ板72と、該押さえ板と溝81の奧端面との間に介在する圧縮コイルばね73とを備えている。シール本体71及び押さえ板72は溝81に沿って連続的に延び、ばね73は溝81内で適宜の間隔をおいて配置される。ばね73の押圧力は、押さえ板72により均一化されてシール本体71に作用する。シール本体71は、溝81の奥側に位置して該溝の幅方向に密に嵌まる平坦部71aと、該平坦部から溝81の外側へ延びる凸部71bとを備えている。
シール本体71は、図4に示したのと同様の固定具により固定される。すなわち、封止側部材80の下端部外周に沿って間隔をおいて形成された切欠き82に固定具26が配置され、該固定具26は、切欠き15の位置から溝213内へ延びる固定板261を備え、固定ビス262で封止側部材80に取り付けられる。固定板261の端部はシール本体71の平坦部71aに係止し、ばね73の押圧力に抗してシール本体71を溝81内に保持する。
このシール部材70は、上記実施形態と同様に、封止側部材80が被封止側部材に接近したときに該被封止側部材に接し、ばね73によりシール本体71をシール面又はその上のシート材に押しつけてシールを形成する。シール部材としては、この他、圧締部材相互の接近による押圧力でシール圧を得る種々のシール構造を採用することができる。
上記実施形態では、封止側部材を上、被封止側部材を下に配置した例を示したが、これを逆にして封止側部材を下、被封止側部材を上に配置することも可能である。
1対の圧締部材間に形成される気密室は、上記実施形態のように減圧状態とすることにより、積層シートへの空気の混入を防止することができるが、これに代えて加圧状態とすることも可能である。
本発明の一実施形態に係るシート積層装置を備えた積層シート製造ラインの一例を示す平面図である。 図1のシート積層装置によってシート材Sを加工する工程を装置の縦断面で示す図である。 図2(2) の円Aで囲んだ部分の拡大図である。 図3におけるシール部材の周辺部分さらに拡大した図である。 本発明の他の実施形態に係るシート積層装置を用いた加工工程を装置の縦断面で示す図である。 図2に示したシート積層装置を2台備えた積層シート製造ラインの例を示す平面図である。 本発明に係るシート積層装置に用いられるシール部材の他の例を示す縦断面図である。 従来のシート積層装置の一例を用いた加工工程を装置の縦断面で示す図である。 従来のシート積層装置の他の例を用いた加工工程を装置の縦断面で示す図である。
符号の説明
1,1’ シート積層装置
2 挟持部材
3 送りロッド
20,50,80 封止側部材
21 保持体
22,522 上部熱板
23,53 上部圧締板
24,54,70 シール部材
26 固定具
30 被封止側部材
31 支持板
32 下部熱板
51 囲繞部材
52 摺動部材
213,513,81 溝
217,514 通気ポート
231,531 上部圧締面
241 環状空所
246 通気孔
311 下部圧締面
312 シール面
S,S’ シート材

Claims (6)

  1. 1対の圧締部材間に複数のシート材を挟み、減圧又は加圧雰囲気中での熱圧着によりシート材を接着するシート積層装置であって、
    前記1対の圧締部材は、シール部材を備えた封止側部材と、前記シール部材が接するシール面を備えた被封止側部材とからなり、
    これらの圧締部材は、各々シート材における積層すべき領域を圧締するための圧締面を有し、相互に接近離反可能とされており、少なくとも一方にシート材を加熱するための加熱部が設けられており、
    前記封止側部材は、前記被封止側部材に向く面に開口した溝が形成され該溝にシール部材が挿入されており、
    該溝及びシール部材は、シート材における積層すべき領域を囲み得るように環状に形成されており、
    前記シール部材は、前記溝から前記被封止側部材に向けて突出しており、両圧締部材が接近する際、前記封止側部材の圧締面がシート材に接する前に前記被封止側部材のシール面又は該シール面上のシート材に接して圧締部材間に気密室を形成することができ、
    前記被封止側部材は、前記シール面と圧締面とを同一平面上に備えており、
    前記封止側部材には、前記気密室に連通し得る通気ポートが設けられていることを特徴とするシート積層装置。
  2. 前記封止側部材が、前記圧締面と前記溝形成部分とを一体的に備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート積層装置。
  3. 前記封止側部材が、前記被封止側部材の側に開口した箱状の囲繞部材と、該囲繞部材により前記被封止側部材に向けて進退動可能に支持された摺動部材とを備え、前記囲繞部材は、前記通気ポートを備え、前記開口の周縁部に前記溝が形成され、前記摺動部材は、前記被封止側部材への対向面に圧締面を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート積層装置。
  4. 前記シール部材が、中空状の弾性部材で形成され、前記溝に固定されて、該溝に沿って延びる環状空所を形成しており、前記封止側部材には、前記環状空所に連通する通気孔が少なくとも1箇所設けられており、前記シール部材は前記通気孔から供給される加圧空気により前記シール面にシール圧を作用させるように拡張状態とされることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシート積層装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の装置を使用して行なうシート積層方法であって、
    1対の前記圧締部材間に複数のシート材を置き、
    これらの圧締部材を相互に接近させ、前記封止側部材のシール部材を前記被封止側部材のシール面又は該シール面上のシート材に当接させることにより、前記圧締部材間に気密室を形成し、
    前記通気ポートを通じて該気密室を減圧又は加圧状態とし、
    前記加熱部により前記圧締面を所定温度に加熱し、
    前記圧締部材を相互にさらに接近させるように押圧して前記圧締面でシート材を熱圧着により接着する
    ことを特徴とするシート積層方法。
  6. 積層すべきシート材の少なくとも1つについて複数のシートを切り出せる大判シート材を用い、該大判シート材の複数の箇所で積層を行ない、その後、個々のシートに切断することを特徴とする請求項5に記載のシート積層方法。
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