JP2010119946A - 空気流発生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、物体の表面部に設けられ、プラズマの発生により空気流を発生させる電極対を有する空気流発生装置であって、前記電極対は、前記表面部のうち基準表面部3に沿って第1の空気流5を発生する第1の電極対1と、前記表面部のうち前記基準表面部3に沿う方向に対して交差する方向に第2の空気流6を発生させる第2の電極対2と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図5
Description
この空気流発生装置では、放電プラズマによって、第1の電極から第2の電極に向かうように空気の流れが発生することとなる。
このような空気流発生装置は、例えば航空機の翼に適用することで、翼の表面部と気流との境界層に空気の流れを発生させることができるので、例えば航空機の空力特性を制御することが考えられる。
しかしながら、自動車の表面部は、例えば、フードやフェンダ、バンパ周りに形成される溝状の合せ目、ホイールハウス等によって窪みが形成されており、更には、意匠的又は法規的に表面部に窪みや凸部が形成される。そして、このような三次元的な変化に富む表面部を有する自動車等の物体に従来の空気流発生装置を適用しても、窪みの部分や凸部の下流側の部分で空気の流れにバイパス遷移が発生するために、従来の空気流発生装置は空力制御装置として有効に機能しないという問題がある。
したがって、三次元的な変化に富む表面部を有する物体に対しても空力制御装置として有効に機能する空気流発生装置が望まれている。
この空気流発生装置によれば、基準表面部に沿って発生する第1の空気流の方向を基礎として、基準表面部に沿う方向に対して交差する方向に第2の空気流によって、従来の空力制御装置(例えば、特許文献1参照)で発生する二次元的な空気の流れとは異なった、制御可能な渦流を含む三次元的な空気の流れを発生することができる。
そして、本発明の空気流発生装置は、この三次元的な空気流によって、例えば自動車のような、三次元的な変化に富む表面部を有する物体に対しても空力制御装置として有効に機能することができる。
この空気流発生装置によれば、第2の電極対を構成する二つの電極の配置によって、直接的に第2の空気流の方向を規定することができるので、三次元的な空気流の制御をより容易に行うことができる。
この空気流発生装置によれば、第2の空気流がガイド面部によって安定するので、所望の三次元的な空気流を得易くすることができる。
この空気流発生装置によれば、より方向性が与えられた三次元的な空気流を発生することができるので、空気流の特性を細やかに制御することができる。
この空気流発生装置によれば、第1の電極対と第2の電極対とを有する電極ユニットを複数配設するので、取付け場所に応じた電極構造を構成することができる。
また、この空気流発生装置によれば、複数の電極ユニットが組み合わせられるので、より強くより安定した三次元的な空気流を発生することができる。
この空気流発生装置によれば、第2の空気流がガイド面部によって安定すると共に、複数の電極ユニットが組み合わせられるので、より強く、更に安定した三次元的な空気流を発生することができる。
この空気流発生装置によれば、電極ユニットの構成を簡素化することができるので、複数の電極ユニットからなる空気流発生装置の生産性を高めることができる。
なお、本実施形態に係る空気流発生装置は、自動車の左右両側に配置されているが、これらは相互に左右対称構造となる他は同一の構造を有しているので、ここでは左側に配置された空気流発生装置についてのみ説明して右側のものについての説明は省略する。
以下の説明における前後左右上下の方向は、自動車の前後左右上下の方向に一致させた図1に示す方向を基準とする。
更に具体的に説明すると、基準表面部3に対して、本実施形態での交差表面部4は、その下端よりも上端が右側、つまり車幅方向の内側に変位するように傾斜している。このような基準表面部3及び交差表面部4のそれぞれに配置される第1の電極対1及び第2の電極対2は、相互にねじれの位置に配置されることとなる。
また、図3(b)に示すように、交差表面部4では、後記する放電プラズマP(図4(a)等参照)の発生により、第2の電極対2が第2の空気流6を発生するようになっている。
ちなみに、第1の空気流5は、基準表面部3に沿う方向に流れることとなり、第2の空気流6は、交差表面部4に沿う方向に流れることとなる。つまり、第2の空気流6は、基準表面部3に沿う方向に対して交差する方向に流れることとなる。
なお、本実施形態での交差表面部4は、発生した第2の空気流6を前記した方向に案内する、ガイド面部Gとしても機能している。つまり、前記第2の電極対2は、第2の空気流6の発生方向に延在するガイド面部Gに設けられている。
第1の電極対1は、図2に示すように、第1の電極11と、この第1の電極11よりも後側に位置する第2の電極12とで構成されている。
そして、第1の電極対1は、図3(a)に示すように、第1の電極11と第2の電極12とが相互に段差Lを形成するように配置されている。具体的には、第1の電極11は、第2の電極12よりも段差L分だけ左側寄りに、言い換えれば車幅方向の外側寄りに位置している。このような第1の電極11及び第2の電極12は、誘電体Dに埋設されている。但し、第1の電極11の第2の電極12寄りの端部Eは、空気中に露出している。
そして、フロントバンパB(図1参照)のベース材料9と、誘電体Dとの間には、絶縁部材Iが配置されており、誘電体Dの表面には、第1の電極11の端部Eが露出する端面を除いて耐熱性の塗膜17aが形成されている。なお、フロントバンパB(図1参照)のベース材料9の表面には、通常の塗膜17bが形成されている。
そして、第2の電極対2は、図3(b)に示すように、第1の電極21と第2の電極22とが相互に段差Lを形成するように配置されている。具体的には、第1の電極21は、第2の電極22よりも段差L分だけ左側寄りに、言い換えれば車幅方向の外側寄りに位置している。
また、第2の電極対2において、第1の電極21と第2の電極22とは、第2の空気流6の発生方向に並ぶように配設されている。
このような第1の電極21及び第2の電極22は、第1の電極対1の第1の電極11及び第2の電極12(図3(a)参照)と同様に、誘電体Dに埋設されている。但し、第1の電極21の第2の電極22寄りの端部Eは、空気中に露出している。
そして、第1の電極対1(図3(a)参照)と同様に、フロントバンパB(図1参照)のベース材料9と、誘電体Dとの間には、絶縁部材Iが配置されており、誘電体Dの表面には、第1の電極11の端部Eが露出する端面を除いて耐熱性の塗膜17aが形成されている。なお、フロントバンパB(図1参照)のベース材料9の表面には、通常の塗膜17bが形成されている。
図4(a)に示すように、第1の電極対1に電圧が印加されると、第1の電極11と第2の電極12との間には、放電プラズマPが発生する。この際、第1の電極11と第2の電極12は、前記したように段差L(図3(a)参照)が形成されているので、誘電体Dの上では第1の電極11側の方が膨らみ、第2の電極12側の方が扁平となった放電プラズマPが形成される。その一方で、放電プラズマPを構成する陰イオン15は、正の極性の第1の電極11側に移動し、陽イオン14は、負の極性の第2の電極12側に移動する。そして、図示しないが、第1の電極11側及び第2の電極12側に移動する陰イオン15及び陽イオン14は、放電プラズマPの外で空気の粒子(図示省略)と衝突する。この際、第2の電極12側での放電プラズマPが扁平となっているので、陰イオン15が空気の粒子と衝突する運動量よりも陽イオン14が空気の粒子と衝突する運動量の方が大きくなる。
その結果、図4(b)に示すように、陽イオン14が空気の粒子Airと衝突する方向に、運動量mvが発生する。そして、放電プラズマPが膨らんだ側には、プラズマ状態を維持するための空気(空気の粒子Air)が、扁平な側よりも多く供給される。その結果、放電プラズマPが膨らんだ側から扁平な側に運動量m´v´が発生する。つまり、第1の電極対1は、図4(b)の紙面左側から右側への空気流を発生する。
図4(c)に示すように、第1の電極11と第2の電極12は、前記したように段差L(図3(a)参照)が形成されているので、誘電体Dの上では第1の電極11側の方が膨らみ、第2の電極12側の方が扁平となった放電プラズマPが形成される。その結果、図4(d)に示すように、陰イオン15が空気の粒子Airと衝突する方向に、運動量mvが発生する。そして、放電プラズマPが膨らんだ側には、プラズマ状態を維持するための空気の粒子Airが、扁平な側よりも多く供給される。その結果、放電プラズマPが膨らんだ側から扁平な側に運動量m´v´が発生する。つまり、第1の電極対1は、第1の電極11と第2の電極12との極性が入れ替わっても、図4(d)の紙面左側から右側への空気流を発生することとなる。
図5に示すように、第1の電極対1及び第2の電極対2のそれぞれに電圧を印加することによって、前記したように、第1の電極11から第2の電極12に向かう方向に沿うように空気流が形成される。つまり、第1の電極対1によって、基準表面部3に沿って流れる第1の空気流5が形成され、第2の電極対2によって、交差表面部4に沿って流れる第2の空気流6が形成される。
その結果、第1の空気流5が図1に示すフロントバンパBの側面部Sの前側から後側に向かって流れるのに対して、第2の空気流6は、下側から右斜め上側に向かって、つまり車幅方向の内側寄りに傾斜して流れる。
したがって、この空気流発生装置A1では、第1の空気流5と第2の空気流6とが斜交することによって渦流を形成しながら、第1の空気流5の方向と同じ方向に三次元的な空気流Wを形成する。このような三次元的な空気流Wは、例えば、後方に向かって螺旋状に流れる空気流として形成される。
そして、この空気流発生装置A2においては、二つの電極ユニット31,32の交差表面部4,4同士が突き合わせられて、2つのガイド面部G,GがV字斜面を構成している。つまり、ガイド面部G,G同士は、互いに交差する方向に延在している。そして、第2の電極対2,2同士は、ガイド面部G,Gを挟んで向き合うこととなる。
また、この空気流発生装置A2によれば、複数の電極ユニット31,32が組み合わせられるので、より強くより安定した三次元的な空気流Wを発生することができる。
また、この空気流発生装置A2によれば、第2の空気流6がガイド面部Gによって安定すると共に、複数の電極ユニット31,32が組み合わせられるので、より強く、更に安定した三次元的な空気流Wを発生することができる。
この空気流発生装置A2は、電極ユニット31,32のそれぞれが第1の電極対1及び第2の電極対2が設けられた誘電体D(図3(a)参照)で形成されており、各電極ユニット31,32の構成を簡素化することができるので、その生産性を高めることができる。
なお、図8中、符号6は、第2の電極対2によって発生した第2の空気流を表す。
そして、この空気流発生装置A4においては、二つの電極ユニット33,34の交差表面部24,24同士が一体に連なって、基準表面部23b,23bを囲う円弧となっている。
したがって、この空気流発生装置A4によれば、三次元的な空気流Wの特性を細やかに制御することができると共に、より強く、更に安定した三次元的な空気流Wを発生することができる。
ちなみに、図10中、符号6は第2の空気流を表し、符合8は回転する空気流を表し、符号Wは回転する空気流を含む三次元的な空気流を表している。
図11に示す第2の電極対2の第1の電極21と第2の電極22とに段差L(図3(b)参照)がないと、図12に示すように、第2の電極対2によって発生する第2の空気流6は交流の電源7(図2参照)の極性が入れ替わることによって、その流れる方向が入れ替わる。つまり、溝13上には、図12の左右方向に振動するように空気流6aが形成されることとなる。
また、前記実施形態では、第1の電極対1及び第2の電極対2が個別に電源に接続されているが、第1の電極対1及び第2の電極対2を連続して形成し、共通する電力供給線によって電源に接続されてもよい。
2 第2の電極対
3 基準表面部
5 第1の空気流
6 第2の空気流
11 第1の電極
12 第2の電極
21 第1の電極
22 第2の電極
23a 基準表面部
23b 基準表面部
24 交差表面部
31 電極ユニット
32 電極ユニット
33 電極ユニット
34 電極ユニット
A1 空気流発生装置
A2 空気流発生装置
A3 空気流発生装置
A4 空気流発生装置
A5 空気流発生装置
B フロントバンパ(物体)
D 誘電体
G ガイド面部
P 放電プラズマ
S 側面部(表面部)
Claims (7)
- 物体の表面部に設けられ、プラズマの発生により空気流を発生させる電極対を有する空気流発生装置であって、
前記電極対は、前記表面部のうち基準表面部に沿って第1の空気流を発生する第1の電極対と、
前記表面部のうち前記基準表面部に沿う方向に対して交差する方向に第2の空気流を発生させる第2の電極対と、
を備えていることを特徴とする空気流発生装置。 - 前記第2の電極対のうち一方の電極と他方の電極とは、前記第2の空気流の発生方向に沿って並ぶように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の空気流発生装置。
- 前記第2の電極対は、前記第2の空気流の発生方向に延在するガイド面部に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気流発生装置。
- 前記第1の電極対に対して前記第2の電極対は、ねじれの位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気流発生装置。
- 物体の表面部に設けられ、プラズマの発生により空気流を発生させる電極対を有する空気流発生装置であって、
前記電極対は、前記表面部のうち基準表面部に沿って第1の空気流を発生する第1の電極対と、
前記表面部のうち前記基準表面部に沿う方向に対して交差する方向に第2の空気流を発生させる第2の電極対と、
を備える電極ユニットを構成し、
前記電極ユニットを複数配設したことを特徴とする空気流発生装置。 - 前記電極ユニットの前記第2の電極対は、前記第2の空気流の発生方向に延在するガイド面部に設けられ、
隣接する前記電極ユニット同士は、その各ガイド面部が互いに交差する方向に延在するように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の空気流発生装置。 - 前記電極ユニットは、前記第1の電極対及び前記第2の電極対が設けられた誘電体で形成されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の空気流発生装置。
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