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JP2010118509A - 発光素子 - Google Patents

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JP2010118509A
JP2010118509A JP2008290934A JP2008290934A JP2010118509A JP 2010118509 A JP2010118509 A JP 2010118509A JP 2008290934 A JP2008290934 A JP 2008290934A JP 2008290934 A JP2008290934 A JP 2008290934A JP 2010118509 A JP2010118509 A JP 2010118509A
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bank
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electrode
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Kaori Akamatsu
かおり 赤松
Hidehiro Yoshida
英博 吉田
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Panasonic Corp
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Panasonic Corp
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Abstract

【課題】長寿命かつ輝度むらの少ない発光素子およびそれを用いた有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】第1電極4と、その上に設けられた発光層7と、その上に設けられた第2電極10とを備え、ピクセルごとに少なくとも前記発光層7がバンク9により区画された発光素子であって、各ピクセルにおいて、前記発光層7は、前記発光層7の下面と前記バンク9の側面との境界位置Pに相当する領域の厚みが、ピクセル中央領域の厚みよりも厚い発光素子とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、発光素子に関し、特にフラットディスプレイ等に用いられる有機EL素子に関する。
従来から、有機発光層がピクセルごとにバンクにより区画された有機EL素子がある。各有機発光層は、ピクセル中央領域からピクセル縁部領域までピクセル全域で均一に発光することが好ましい。なぜなら、有機発光層の中に局所的に発光量の多い領域が存在すると、その領域だけが早く劣化し有機EL素子が短寿命化するからである。また、有機EL素子に輝度むらが生じる原因ともなる。
有機発光層をピクセル全域で均一に発光させるための1つの方法として、有機発光層の厚みを均一にすることが考えられる。特許文献1には、有機発光層の厚みを均一にすることを目的としたプロセス開発に関する技術が開示されている。
特開2007−61674号公報
ところが、発明者は、有機発光層の厚みが均一な場合に、ピクセル縁部領域の発光量がピクセル中央領域の発光量よりも多くなる現象を確認した。その原因を解明したところ、ピクセル縁部領域付近で生じる電界集中及び電流集中によるものであることが分かった。
図11は、従来の有機EL素子における電界集中及び電流集中の発生位置を示す図である。図11に示すように、第1電極104と、その上に設けられた有機発光層107と、その上に設けられた第2電極110とを備え、ピクセルごとに少なくとも前記有機発光層107がバンク109により区画された構成の有機EL素子では、有機発光層107の下面107aとバンク109の側面109aとの境界位置P1で電界集中及び電流集中が生じる。このような電界集中が生じる理由としては、第1電極104と第2電極110間のフリンジ電界がバンク109を通じてバンク側面109aより有機発光層107に対してかかることが考えられる。また、電流集中が生じる理由としては、前記フリンジ電界による電流値の増大と、第2電極110からの電流がバンク109の斜め形状によってP1で集められることが考えられる。そして、有機発光層における各領域での発光量は、その領域の電界強度及び電流密度に依存するため、前記境界位置P1すなわちピクセル縁部領域付近において電界集中及び電流集中が生じると、ピクセル縁部領域で発光量が増加すると考えられる。
本発明は、上記の課題に鑑み、長寿命かつ輝度むらの少ない発光素子を提供することを目的とする。
本発明に係る発光素子は、第1電極と、その上に設けられた発光層と、その上に設けられた第2電極とを備え、ピクセルごとに少なくとも前記発光層がバンクにより区画された発光素子であって、各ピクセルにおいて、前記発光層は、前記発光層の下面と前記バンクの側面との境界位置P1に相当する領域の厚みが、ピクセル中央領域の厚みよりも厚いことを特徴とする。
ここで、前記発光層の上面は、前記境界位置P1よりもピクセル中央寄りの位置から前記バンクの側面に向けて上り斜面となっている構成としていても良い。特に、前記上り斜面となっている領域の幅Wは、2μm以上であって且つ前記発光層の上面の幅に対して10%以下であることが好ましい。さらに、前記有機発光層の上面と前記バンク側面との境界位置P2は、前記有機発光層の上面におけるピクセル中央領域よりも20nm以上高いことが好ましい。
また、前記発光層の上面における前記境界位置P1に相当する領域が上凸に隆起している構成とすることができる。前記第1電極の上面が、前記境界位置P1よりもピクセル中央寄りの位置から前記バンクの側面に向けて下り斜面となっており、その結果、前記発光層が、前記境界位置P1に相当する領域の厚みがピクセル中央領域の厚みよりも厚い構成とすることもできる。
また、前記バンクの側面と下面とがなす角αは鋭角であることが好ましい。
また、前記バンクが前記発光層の全周を囲繞している構成とすることができる。前記バンクが前記発光層の行方向両側若しくは列方向両側だけに存在している構成とすることもできる。
また、前記バンクは、下面が前記第1電極と接し、頂部が前記第2電極内に存在しており、側面が下面から頂部に至るまで単調に変化する形状である構成とすることができる。
本発明に係る発光素子の発光層は、発光層の下面とバンクの側面との境界位置P1に相当する領域の厚みがピクセル中央領域の厚みよりも厚い。したがって、図11に示すような境界位置P1に相当する領域とピクセル中央領域との厚みが等しい従来のものと比べて、発光層におけるピクセル縁部領域付近において電界集中及び電流集中が生じ難い。したがって、発光素子が長寿命で輝度むらも少ない。
詳述すると、発光層の前記境界位置P1に相当する領域の厚みが厚くなることによって、前記境界位置P1に相当する領域において第1電極と第2電極との距離が長くなり、その大きくなった分だけ前記境界位置P1において電界集中が緩和されるし、バンク表面を流れる電流のパスも長くなるため抵抗値が増加し、電流集中が軽減される。その結果、発光層の境界位置P1に相当する領域における発光量が減少して、他の領域の発光量との差が少なくなり、ピクセル全域における発光量のばらつきが抑制される。よって、発光層の局所的な劣化及び輝度むらの解消が期待される。
以下、本実施の形態に係る発光素子について、図面を参照しながら説明する。
[発光素子の構成]
<全体構成>
図1は、本実施の形態に係る発光素子の各層の積層状態を示す模式図である。
本実施の形態に係る発光素子は、RGBの各ピクセルがマトリックス状に規則的に配置されてなるトップエミッション型の有機EL素子であり、各ピクセルは、図1に示すように、TFT2上に積層された構造となっている。なお、本発明に係る発光素子は、ボトムエミッション型の有機EL素子であっても良く、その場合は発光素子とTFTとが同一の平面上に形成される。
図1に示す発光素子では、TFT2が配置された基板1を覆う平坦化膜3上に発光素子が配置されている。具体的には、平坦化膜3の上に、TFT2のドレイン電極(不図示)に接続された第1電極(反射陽極)4がマトリックス状に配置され、さらに第1電極4上に正孔注入層5が積層され、当該正孔注入層5を囲むようにバンク9が形成されている。正孔注入層5上のバンク9で区画された領域内には、インターレイヤー6、発光層(有機発光層)7、電子注入層8がその順で積層された多層積層構造となっており、それらの積層構造で機能層が構成されている。なお、機能層には正孔輸送層や電子輸送層等が含まれていても良い。
電子注入層8上には、第2電極(陰極)10及び封止層11がその順で積層されている。バンク9は、下面9aが第1電極4と接し、頂部9bが第2電極10内に存在しており、側面9cが下面9aから頂部9bに至るまで単調に変化する形状である。正孔注入層5、インターレイヤー6、発光層7及び電子注入層8は、バンク9によってピクセルごと区画されている。一方、第2電極10及び封止層11は、バンク9で区画された領域を超えて隣接するピクセルのものと連続している。なお、第2電極10及び封止層11は、バンク9によってピクセルごと区画されていても良い。また、電子注入層8がバンク9で区画された領域を超えて隣接するピクセルのものと連続していても良い。
<構成部材の構成>
以下に、この発光素子を構成する各構成部材について更に詳細に説明する。
基板1は、例えば、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、アルミナ等の絶縁性材料で形成されることが好ましい。
第1電極4は、発光素子がトップエミッション型の場合、光反射性が求められるため、例えば、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等の光反射性材料で形成されることが好ましい。
一方、発光素子がボトムエミッション型の場合、光透過性が求められるため、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、酸化スズ等の光透過性材料で形成されることが好ましい。なお、発光素子がボトムエミッション型の場合は基板1にも光透過性が求められるため、基板1は、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の光透過性材料で形成されることが好ましい。
正孔注入層5は、第1電極4からの正孔の注入効率を高める機能を有し、例えば、PEDOT−PSS(ポリスチレンスルホン酸をドープしたポリエチレンジオキシチオフェン)、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン及びその誘導体等の有機材料で形成されることが好ましい。
インターレイヤー6は、発光層7から正孔注入層5に電子が輸送されるのをブロックする機能や、発光層7に効率良く正孔を運ぶ機能等を有し、例えば、トリフェニルアミン、ポリアニリン等の有機材料で形成されることが好ましい。
発光層7は、例えば、特開平5−163488号公報に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属鎖体、2、2‘−ビピリジン化合物の金属鎖体、シッフ塩とIII族金属との鎖体、オキシン金属鎖体、希土類鎖体等の蛍光物質で形成されることが好ましい。
電子注入層8は、第2電極10から注入された電子を発光層7へ輸送する機能を有し、バリウム、フタロシアニン、フッ化リチウム、これらの組み合わせ等で形成されることが好ましい。
バンク9は、絶縁性材料により形成されていれば良く、有機溶剤耐性を有することが好ましい。また、バンク9は可視光をある適度透過させることが好ましい。さらに、バンク9はエッチング処理、ベーク処理等がされることがあるので、それらの処理に対する耐性の高い材料で形成されることが好ましい。バンク9の材料は、樹脂等の有機材料であっても、ガラス等の無機材料であっても良い。有機材料の例には、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられ、無機材料の例には、SiO(シリコンオキサイド)、Si(シリコンナイトライド)等が挙げられる。
バンク9は、ピクセルバンクであっても、ラインバンクであっても良い。ピクセルバンクの場合、バンク9は、ピクセルごと発光層7の全周を囲繞するように形成される。一方、ラインバンクの場合、バンク9は、複数のピクセルを列ごと又は行ごとに区切るように形成される。すなわち、バンク9は発光層7の行方向両側又は列方向両側だけに存在し、発光層7は同列又は同行のものが連続した構成となる。
第2電極10は、発光素子がトップエミッション型の場合、例えば、ITO、IZO等光透過性材料で形成されることが好ましい。発光素子がボトムエミッション型の場合、例えばアルミニウム等の光反射性材料で形成されることが好ましい。
封止層11は、発光層7等が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、SiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の材料で形成されることが好ましい。特に、発光素子がトップエミッション型の場合、封止層11が発光層7から発した光の出射路上にあるので、光透過性が良いことも要求される。
<発光層の構成>
図2は、本実施の形態に係る発光素子の要部構成を示す模式図である。
本実施の形態に係る発光素子は、特に発光層7の形状に特徴を有する。各ピクセルの発光層7は、図2に示すように、発光層7の下面7aとバンク9の側面9cとの境界位置Pに相当する領域の厚みが、ピクセル中央領域の厚みよりも厚い。具体的には、発光層7の上面7bが、境界位置P1よりもピクセル中央寄りの位置からバンク9の側面9cに向けて上り斜面となっている。そして、発光層7の下面7aはピクセル全域が平坦である。したがって、発光層7は、境界位置Pに相当する領域における第1電極4と第2電極10との距離L(境界位置Pに相当する領域の厚み)は、ピクセル中央領域における第1電極4と第2電極10との距離L(ピクセル中央領域の厚み)よりも長い。そのため、前記距離Lと距離Lとが等しい従来のものと比べて、境界位置Pで電界集中及び電流集中が生じ難い。その結果、発光層7の境界位置Pに相当する領域における発光量が従来のものと比べて少なく、ピクセル全域において発光量のばらつきが少ない。
なお、第1電極4と第2電極10との間には発光層7以外にも機能層を構成する各層が存在するが、それら層の厚みをピクセル全域において略均一に形成することで、より効果的に電界集中及び電流集中を抑制できる。
本実施の形態に係る発光素子では、境界位置Pに相当する領域のうちの厚みが増した部分(図2において二点鎖線Xよりも上の部分)を、突き出し部分7cと称する。そして、突き出し部分7cの幅Wとは、発光層7の上面7bとバンク9の側面9cとの境界位置P2から突き出し部分7cの基点位置P3までの幅(幅とは基板1の上面と平行な方向の寸法)を意味する。また、突き出し部分7cの高さHとは、基点位置P3から境界位置P2までの高さ(高さとは基板1の上面と直交する方向の寸法)を意味する。
図3は、図1に示すA−A線に沿った矢視図であり、説明の便宜上、電子注入層8を省略している。ピクセルバンクの場合、図3に示すように、バンク9は発光層7を取り囲んでおり、突き出し部分7cはバンク9に沿って環状に形成される。したがって、図2における境界位置P2及び基点位置P3は、図3においてはそれぞれ符号P2及びP3で示す二点鎖線上に存在する。
本願において、ピクセル中央領域とは、図3において符号P4で示す二点鎖線で囲まれた領域を意味する。バンク9から符号P4が示す二点鎖線までの距離は、発光層7の上面7bの幅の25%である(距離Y1は幅D1の25%、距離Y2は幅D2の25%)。
図4(a)は、バンク角αと電界集中との関係を示す図であり、図4(b)は、バンク角αと電流集中との関係を示す図である。図4(a)及び図4(b)においてX軸には、バンク9の下面9aと側面9cとがなすバンク角α(図2参照)が示されている。図4(a)においてY軸には、ピクセル中央領域の電界強度を100%とした場合における境界位置P1に相当する領域の電界強度の増加率が示されており、図5(a)、図6(a)、図7(a)及び図8(a)も同様である。図4(b)においてY軸には、ピクセル中央領域の電流密度を100%とした場合における境界位置P1に相当する領域の電流密度の増加率が示されており、図5(b)、図6(b)、図7(b)及び図8(b)も同様である。
図4(a)に示すように、バンク角αが120°以上になると電界集中はほとんど生じないが、バンク角αが120°に満たなくなると電界集中が生じ始め、その電界集中はバンク角αが小さくなるにつれ増大する。バンク角αが鋭角(90°未満)であると電界強度の増加率が5%以上になり電界集中が顕著であるため、本発明に係る構成がより有効的である。
図4(b)に示すように、電流集中についても電界集中と同様の傾向がみられる。特に、バンク角αが鋭角になると電流密度の増加率が500%以上になり電流集中が顕著であるため、本発明に係る構成がより有効的である。
なお、バンク角αが大きすぎると、バンク9の上に配置する封止層11等の封止機能が低下して例えば水分がデバイス中に浸入しやすくなり、バンク角αが小さすぎると、機能層を形成するために塗布されるインクの量が制限されて所望の機能層が得られないことがあるため、このような観点からはバンク角αは、90〜40°であることが好ましい。
図5(a)、図6(a)及び図7(a)は、突き出し部分の幅Wと電界集中との関係を示す図であり、図5(b)、図6(b)及び図7(b)は、突き出し部分の幅Wと電流集中との関係を示す図である。図5(a)及び図5(b)は、突き出し部分7cの高さHが20nmの場合、図6(a)及び図6(b)は、突き出し部分7cの高さHが50nmの場合、図7(a)及び図7(b)は、突き出し部分7cの高さHが90nmの場合をそれぞれ示す。
図5(a)及び図5(b)に示すように、突き出し部分7cの高さHが20nmの場合、突き出し部分7cの幅Wが2μm以上になると、電界集中及び電流集中が顕著に抑制され、5μm以上になると電界集中及び電流集中がほとんど生じなくなる。
図6(a)及び図6(b)に示すように、突き出し部分7cの高さHが50nmの場合、突き出し部分7cの幅Wが2μm以上になると、電界集中及び電流集中がほとんど生じなくなる。同様に、図7(a)及び図7(b)に示すように、突き出し部分7cの高さHが90nmの場合も、突き出し部分7cの幅Wが2μm以上になると、電界集中及び電流集中がほとんど生じなくなる。
したがって、突き出し部分7cの幅Wは、2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。さらに、官能検査で輝度むらがないとの評価を得るためには、発光層7における厚みが厚くなる部分の面積はピクセル全体の面積の1%程度にとどめることが好適であるため、突き出し部分7cの幅Wは発光層7の上面7bの幅の10%以下であることが好ましい。
図8(a)は、突き出し部分の高さHと電界集中との関係を示す図であり、図8(b)は、突き出し部分の高さHと電流集中との関係を示す図である。
図8(a)及び図8(b)に示すように、突き出し部分7cの高さHが20nm以上になると電界集中及び電流集中が顕著に抑制され始める。したがって、突き出し部分7cの高さHは20nm以上であることが好ましい。
以上、突き出し部分7cの各寸法について説明してきたが、各寸法は全体的なバランスを考えて、幅Wが2〜20μm、高さHが20nm以上であることが好ましい。また、幅Wが5〜10μm、高さHが50〜100nmであることが特に好ましい。
[発光素子の製造方法]
本実施の形態に係る発光素子は、例えば、複数の第1電極4が配置された基板1を準備する第1ステップと、第1電極4の少なくとも一部を取り囲むようにバンク9を形成する第2ステップと、バンク9で規定された領域内に有機発光材料を含むインクを塗布して発光層7を形成する第3ステップと、発光層7の上に第2電極10を形成する第4ステップとを含む。
第1ステップでは、ガラス製の基板1上に、複数の第1電極4(材質:APC、厚み:50nm)をマトリックス状又はライン状にスパッタリング法で形成する。さらに、第1電極4上に正孔注入層5を形成する。なお、第1電極4は、蒸着法及びフォトリソグラフィ法等で形成しても良い。また、正孔注入層5の形成手段は特に限定されない。
第2ステップでは、正孔注入層5の一部を取り囲むようにバンク9(材質:シリコンオキサイド、高さ:1μm、バンク角α:45°)をCVD法で形成する。なお、バンク9は、例えば、フォトリソグラフィ法によって形成してもよい。その場合、第1電極4が形成された基板1上に、樹脂膜を塗布等により形成し、その樹脂膜にマスクを介して光を照射して樹脂膜の所望の部位を除去すれば良い。
第3ステップでは、バンク9で区画された領域内に、正孔注入層5、インターレイヤー6、発光層7及び電子注入層8で構成される機能層を塗布法により形成する。塗布法では、各層の材料を含むインクを、インクジェット、ディスペンサー、ノズルコート、スピンコート、凹版印刷、凸版印刷等により塗布し、乾燥させて層とする。
具体例としては、まず、バンク9で区画された領域内に、PEDOTを含む溶液を塗布し、乾燥させて、正孔注入層5としてのPEDOT層(厚み:65nm)を形成する。次に、トリフェニルアミンを0.8wt%含む溶液(溶媒:アニソール)を塗布し、乾燥させて、インターレイヤー6(厚み:20nm)を形成する。次に、ポリフルオレンを1.3wt%含む溶液(溶媒:シクロヘキシルベンゼン)を塗布し、乾燥させて、発光層7(厚み:85nm)を形成する。さらに、バリウムを真空蒸着させて、電子注入層8(厚み:5nm)を形成する。
特に、発光層7については、突き出し部分7cを所望の形状にするためには、発光層7を塗布した後の乾燥条件が重要となり、例えば30℃、20分真空乾燥して発光層7を形成することが好適である。
第4ステップでは、電子注入層8上に第2電極10(材質:ITO、厚み:100nm)を対向ターゲットスパッタ法により形成し、さらにその上に封止層11を形成する。なお、封止層11の形成手段は特に限定されない。
[変形例]
以上、本実施の形態に係る発光素子を実施の形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明に係る発光素子は、上記の実施の形態に限定されない。
例えば、境界位置P1に相当する領域の厚みをピクセル中央領域の厚みよりも厚くするための構成としては、境界位置P1よりもピクセル中央寄りの位置からバンクの側面に向けて上り斜面とする構成に限定されない。
図9は、変形例1に係る発光素子の要部構成を示す模式図である。図9に示すように、第1電極24と、その上に設けられた発光層27と、その上に設けられた第2電極20とを備え、ピクセルごとに少なくとも発光層27がバンク29により区画された発光素子において、発光層27の上面27bに断面略半球状の突き出し部分27c(図9において二点鎖線Xよりも上の部分)を設けて、発光層27の上面27bにおける境界位置P1に相当する領域が上凸に隆起している構成とすることが考えられる。この場合も、境界位置P1に相当する領域では第1電極24と第2電極20の距離が長くなるため、電界集中及び電流集中を抑制する効果がある。
図10は、変形例2に係る発光素子の要部構成を示す模式図である。図10に示すように、第1電極34と、その上に設けられた発光層37と、その上に設けられた第2電極30とを備え、ピクセルごとに少なくとも発光層37がバンク39により区画された発光素子において、第1電極34の上面34aを、境界位置P1よりもピクセル中央寄りの位置からバンク39に向けて下り斜面とすることによって、発光層37の下面37a側に突き出し部分37c(図10において二点鎖線Xよりも下の部分)を設ける構成とすることが考えられる。この場合も、境界位置P1に相当する領域では第1電極34と第2電極30の距離が長くなるため、電界集中及び電流集中を抑制する効果がある。
さらに、本実施の形態に係る突き出し部分7cや変形例1に係る突き出し部分27cの構成と、変形例2に係る突き出し部分37cの構成とを組み合わせることも可能である。
本発明は、平面光源及びフラットディスプレイ等に用いられる有機EL表示装置に利用可能である。
本実施の形態に係る発光素子の各層の積層状態を示す模式図である。 本実施の形態に係る発光素子の要部構成を示す模式図である。 図1に示すA−A線に沿った矢視図である。 図4(a)は、バンク角αと電界集中との関係を示す図であり、図4(b)は、バンク角αと電流集中との関係を示す図である。 図5(a)は、突き出し部分の高さが20nmの時の突き出し部分の幅Wと電界集中との関係を示す図であり、図5(b)は、突き出し部分の幅Wと電流集中との関係を示す図である。 図6(a)は、突き出し部分の高さが50nmの時の突き出し部分の幅Wと電界集中との関係を示す図であり、図6(b)は、突き出し部分の幅Wと電流集中との関係を示す図である。 図7(a)は、突き出し部分の高さが90nmの時の突き出し部分の幅Wと電界集中との関係を示す図であり、図7(b)は、突き出し部分の幅Wと電流集中との関係を示す図である。 図8(a)は、突き出し部分の高さHと電界集中との関係を示す図であり、図8(b)は、突き出し部分の高さHと電流集中との関係を示す図である。 変形例1に係る発光素子の要部構成を示す模式図である。 変形例2に係る発光素子の要部構成を示す模式図である。 従来の有機EL素子における電界集中及び電流集中の発生位置を示す図である。
符号の説明
4 第1電極
7 発光層
7a 発光層の下面
7b 突き出し部分
7c 発光層の上面
9a バンクの下面
9b バンクの頂部
9c バンクの側面
10 第2電極

Claims (10)

  1. 第1電極と、その上に設けられた発光層と、その上に設けられた第2電極とを備え、ピクセルごとに少なくとも前記発光層がバンクにより区画された発光素子であって、
    各ピクセルにおいて、前記発光層は、前記発光層の下面と前記バンクの側面との境界位置P1に相当する領域の厚みが、ピクセル中央領域の厚みよりも厚いことを特徴とする発光素子。
  2. 前記発光層の上面は、前記境界位置P1よりもピクセル中央寄りの位置から前記バンクの側面に向けて上り斜面となっていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記上り斜面となっている領域の幅Wは、2μm以上であって且つ前記発光層の上面の幅に対して10%以下であることを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
  4. 前記有機発光層の上面と前記バンク側面との境界位置P2は、前記有機発光層の上面におけるピクセル中央領域よりも20nm以上高いことを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
  5. 前記発光層の上面における前記境界位置P1に相当する領域が上凸に隆起していることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  6. 前記第1電極の上面は、前記境界位置P1よりもピクセル中央寄りの位置から前記バンクの側面に向けて下り斜面となっており、その結果、前記発光層は、前記境界位置P1に相当する領域の厚みがピクセル中央領域の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  7. 前記バンクの側面と下面とがなす角αが鋭角であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  8. 前記バンクは前記発光層の全周を囲繞していることを特徴とする請求項1〜7記載の発光素子。
  9. 前記バンクは前記発光層の行方向両側若しくは列方向両側だけに存在していることを特徴とする請求項1〜7記載の発光素子。
  10. 前記バンクは、下面が前記第1電極と接し、頂部が前記第2電極内に存在しており、側面が下面から頂部に至るまで単調に変化する形状であることを特徴とする請求項1〜9に記載の発光素子。
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