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JP2010118165A - 透明電極とその製造方法及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

透明電極とその製造方法及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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JP2010118165A JP2008288580A JP2008288580A JP2010118165A JP 2010118165 A JP2010118165 A JP 2010118165A JP 2008288580 A JP2008288580 A JP 2008288580A JP 2008288580 A JP2008288580 A JP 2008288580A JP 2010118165 A JP2010118165 A JP 2010118165A
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Akihiko Takeda
昭彦 竹田
Keiji Obayashi
啓治 大林
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Konica Minolta Inc
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Abstract

【課題】本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、表面平滑性、導電性、透明性に優れ、かつ生産性の高い透明電極及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】透明支持体上に金属ナノワイヤを含有する導電層を有する透明電極において、該透明電極が、該導電層に隣接した下層に、水溶性高分子または水性高分子エマルションの少なくとも一つからなる高分子層を有し、該金属ナノワイヤの少なくとも一部が該高分子層に埋没していることを特徴とする透明電極。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性、透明性に優れた透明電極とその製造方法及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
近年、薄型TV需要の高まりに伴い、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機EL)、フィールドエミッションなど、各種方式のディスプレイ技術が開発されている。これら表示方式の異なるいずれのディスプレイにおいても、透明電極は必須の構成技術となっている。また、テレビ以外でもタッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子においても、透明電極は欠くことのできない技術要素となっている。
従来、透明電極として、Au、Ag、Pt、Cuなどの各種金属薄膜や、錫や亜鉛をドープした酸化インジウム(ITO、IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛(AZO、GZO)、フッ素やアンチモンをドープした酸化錫(FTO、ATO)などの金属酸化物薄膜、TiN、ZrN、HfNなどの導電性窒化物薄膜、LaBなどの導電性ホウ素化物薄膜が知られており、またこれらを組み合わせたBi/Au/Bi、TiO/Ag/TiOなどの各種電極も知られている。無機物以外にも、CNT(カーボンナノチューブ)や導電性高分子を使用した透明電極も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、上述した金属薄膜、窒化物薄膜、ホウ素物薄膜及び導電性高分子薄膜は、光透過性と導電性の特性が両立し得ないため、電磁波シールドなどの特殊な技術分野や、比較的高い抵抗値でも許容されるようなタッチパネル分野においてのみ使用されていた。
一方、金属酸化物薄膜は光透過性と導電性との両立が可能で耐久性にも優れるため、透明電極の主流となりつつある。特にITOは光透過性と導電性とのバランスが良く、酸溶液を用いたウェットエッチングによる電極微細パターン形成が容易であることから、各種オプトエレクトロニクス用の透明電極として多用されている。しかしながら、上記のITOなどに代表される導電性酸化物は、スパッタリング法などの真空プロセスやゾル−ゲル法などの液相法により基体表面に透明導電膜を形成する。スパッタリング法などの真空プロセスで透明導電膜を形成するには、高価な設備が必要である。
そこで、このような問題を解消するために、導電性酸化物や、導電性高分子を含有する組成物を塗布することで透明導電膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、これらの方法では十分な導電性を得ることが難しく、特に有機EL素子、太陽電池といった用途では、光透過性と導電性を両立させることが困難であった。また、各種印刷方法による導電層の形成方法が記載されているが、直接パターニングする方法については、詳細に記載されていない。
それ以外の透明電極としては、プラズマディスプレイの電磁波シールド膜に代表される金属パターンによりメッシュ構造を形成した透明電極が挙げられ(例えば、特許文献3参照)、また金属ナノワイヤを用いた微細メッシュからなる透明電極が開示されている(例えば、特許文献4参照)。特に銀を用いた金属メッシュでは、銀本来の高い導電率により良好な導電性と透明性を両立することができる。しかし、これらの透明電極は、前述のITOのような電極と比較して、電極表面が粗いという欠点を有している。特に、有機EL素子の場合、電極上に有機化合物の超薄膜を形成するため、透明電極には優れた表面平滑性が要求され、このような表面平滑性の低い電極では、素子の機能低下を招く。
表面平滑性を向上させるため、平滑性の高い支持体上に、金属ナノワイヤを用いて導電層を形成し、別の支持体に転写する方法が提案されているが(例えば、特許文献5参照)、転写に用いる接着剤や支持体と導電層との接着性、剥離性のバランスの調整が難しく、完全な転写は困難である。さらに、接着剤層の塗布、硬化、支持体同士の貼合、剥離と工程が多く、コスト増の問題がある。また、導電層パターンを印刷法により直接形成する方法については、詳細に記載されていない。
特開2008−95015号公報 特開2008−4501号公報 特開2004−221564号公報 米国特許出願公開第2007/0074316A1号明細書 特開2006−236626号公報 「透明導電膜の技術」第80頁(オーム社出版局)
本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、表面平滑性、導電性、透明性に優れ、かつ生産性の高い透明電極及びその製造方法を提供することにある。
特に、導電層に含まれる金属ナノワイヤの少なくとも一部が該高分子層に埋没させた透明電極及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.透明支持体上に金属ナノワイヤを含有する導電層を有する透明電極において、該透明電極が、該導電層に隣接した下層に、水溶性高分子または水性高分子エマルションの少なくとも一つからなる高分子層を有し、該金属ナノワイヤの少なくとも一部が該高分子層に埋没していることを特徴とする透明電極。
2.透明支持体上に、順に、水溶性高分子または水性高分子エマルションの少なくとも一つからなる高分子層及び金属ナノワイヤからなる導電層を形成する透明電極の製造方法において、該支持体上に該高分子層を塗布した後、該高分子層の含水率が100%以上の状態で、該高分子層上に該導電層を塗布することを特徴とする透明電極の製造方法。
3.透明支持体上に、順に、水溶性高分子または水性高分子エマルションの少なくとも一つからなる高分子層及び金属ナノワイヤからなる導電層を形成する透明電極の製造方法において、該高分子層及び該導電層を同時重層塗布することを特徴とする透明電極の製造方法。
4.2に記載の透明電極の製造方法であって、前記高分子層上に前記導電層を塗布する際、パターニングを行うことを特徴とする透明電極の製造方法。
5.2〜4のいずれか1項記載の透明電極の製造方法であって、前記高分子層及び前記導電層を塗布、乾燥した後、後処理として、該導電層面に水を塗布、乾燥することを特徴とする透明電極の製造方法。
6.1に記載の透明電極、または2から5のいずれか1項に記載の透明電極の製造方法によって製造された透明電極を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明によれば、導電性、透明性に優れ、平滑性が高い透明電極を、容易かつ安価に提供することができ、該透明電極を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機ELともいう)を簡便に提供することができる。
以下、本発明とその構成要素等について詳細な説明をする。
<支持体>
本発明では、透明支持体として、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラスなどを用いることができる。
プラスチックフィルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明に係る透明電極の製造方法において、支持体は、表面平滑性に優れているものが好ましい。表面の平滑性は算術平均粗さRaが5nm以下かつ最大高さRyが50nm以下であることが好ましく、Raが2nm以下かつRyが30nm以下であることがより好ましく、さらに好ましくはRaが1nm以下かつRyが20nm以下である。支持体の表面は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等の下塗り層を付与して平滑化してもよいし、研磨などの機械加工によって平滑にすることもできる。また高分子層の塗布、接着性を向上させるため、コロナ、プラズマによる表面処理や、易接着層を形成してもよい。ここで、表面の平滑性は、原子間力顕微鏡(AFM)等による測定から、表面粗さ規格(JIS B 0601−2001)に従い、求めることができる。
また、大気中の酸素、水分を遮断する目的でガスバリア層を設けるのが好ましい。ガスバリア層の形成材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、金属窒化物が使用できる。これらの材料は、水蒸気バリアー機能のほかに酸素バリアー機能も有する。特にバリアー性、耐溶剤性、透明性が良好な窒化シリコン、酸化窒化シリコンが好ましい。また、バリアー層は必要に応じて多層構成とすることも可能である。ガスバリア層の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。
前記ガスバリア層を構成する各無機層の厚みに関しては特に限定されないが、典型的には1層あたり5nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1層あたり10nm〜200nmである。ガスバリア層は支持体の少なくとも一方の面に設けられ、両面に設けられるのがより好ましい。
<導電層>
本発明における導電層は、金属ナノワイヤから構成され、導電性高分子、金属酸化物の少なくとも一つを含むことが好ましい。また、導電層は、インクジェット印刷法やスプレー印刷法等により、直接パターン形成することが好ましい。なお、塗布液の濃度、目的とする導電性に応じて、印刷を複数回行ってもよい。
本発明において、導電性高分子、金属酸化物は、金属ナノワイヤを含有する分散液に混合して用いてもよく、金属ナノワイヤを塗布後、その上層に塗布してもよい。金属ナノワイヤ間の接触による導電性に加え、金属ナノワイヤ間に導電性高分子、金属酸化物が入り込むことにより、金属ナノワイヤ及び金属ナノワイヤ間隙部の導電性を均一化することができる。
本発明の金属ナノワイヤ、導電性高分子、金属酸化物を含む分散液は、導電性と透明性を両立できる範囲で、透明なバインダー材料や添加剤を含んでいてもよい。透明なバインダー材料としては、天然高分子樹脂または合成高分子樹脂から広く選択して使用することができる。例えば、透明な熱可塑性樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン)や、熱・光・電子線・放射線で硬化する透明硬化性樹脂(例えば、メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケート等のシリコン樹脂)を使用することができる。添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤や硫化防止剤などの安定剤、界面活性剤、溶解促進剤、重合禁止剤、染料や顔料などの着色剤などが挙げられる。更に、塗布性などの作業性を高める観点から、溶媒(例えば、水や、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、炭化水素類等の有機溶媒)を含んでいてもよい。
<高分子層>
本発明における高分子層は、水溶性高分子、水性高分子エマルションの少なくとも一つから形成され、導電層の隣接下層に位置し、金属ナノワイヤの少なくとも一部が埋没している。また、高分子層は、導電性高分子、金属酸化物を含有してもよい。また、高分子層を多層構造とし、導電層と隣接する層から支持体側に向かって、導電性高分子、金属酸化物濃度を漸減させてもよい。
高分子層に金属ナノワイヤの一部が埋没した構造は、水溶性高分子、水性高分子エマルションからなる高分子層が未乾燥の状態で、高分子層の上側に金属ナノワイヤからなる導電層を設けることで形成することができ、これにより、導電層の平滑性を高めることができる。導電層の塗設後、導電層を構成する金属ナノワイヤが高分子層へ沈降、及び乾燥に伴い高分子層が収縮することで、導電層が平滑化されると考えられる。なお、高分子層の乾燥膜厚が、導電層の乾燥膜厚の10〜300%が好ましく、50〜200%がより好ましい。10%未満だと平滑化効果が小さく、また300%を超えると、導電層が高分子層に過剰に埋没し、表面の導電性が低下する。
このような平滑化効果は、高分子層の含水率が100%以上で導電層を塗設することが好ましく、150%以上がさらに好ましい。100%以下では、金属ナノワイヤの高分子層への沈降量、及び高分子層の乾燥収縮量が小さく、平滑化効果が小さい。また、導電層の塗設は、重層コーターを用いて、高分子層の塗設と同時に行ってもよく、高分子層と導電層の界面形成、及び生産性の観点からも好ましい。
<パターニング>
本発明は、導電層を高分子層に塗設、乾燥あるいは導電層と高分子層を同時重層塗布、乾燥した後、フォトリソグラフィー法等により導電層のパターニングを行うことができる。また、高分子層に導電層を塗設する際、インクジェット法等で直接パターニングを行うことができる。
<後処理>
本発明は、後処理として、導電層に水を塗布、あるいは水へ浸漬し、乾燥することで、高分子層が再膨潤、再収縮し、平滑性を高めることができる。また、表面の金属ナノワイヤの露出が高くなり、表面抵抗を向上することができる。水の塗布は、バーコーター、ブレードコーター、スプレーコーター等を用いることができ、塗膜への水の浸透を促すため、界面活性剤やアルコール等の溶媒を含有してもよい。
<金属ナノワイヤ>
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする線状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの直径を有する多数の線状構造体がメッシュ状に形成されたものを意味する。
本発明の金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明に係る金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが2種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
本発明において金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
<水溶性高分子>
本発明の水溶性高分子としては、天然高分子のデンプン、ゼラチン、寒天等、半合成高分子のカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)等のセルロース誘導体、合成高分子のポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸系高分子、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)等から広く選択して使用することができる。
<水性高分子エマルション>
本発明の水性高分子エマルションとしては、アクリル系樹脂(アクリルシリコン変性樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂等)、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等から広く選択して使用することができる。
<導電性高分子>
本発明の導電性高分子としては、特に限定されず、ポリピロール、ポリインドール、ポリカルバゾール、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)系、ポリアニリン系、ポリアセチレン系、ポリフラン系、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリアズレン系、ポリパラフェニレン系、ポリパラフェニレンサルファイド系、ポリイソチアナフテン系、ポリチアジル等の鎖状導電性高分子や、ポリアセン系導電性高分子も利用することができる。中でも、導電性、透明性等の観点からポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やポリアニリン系が好ましい。
また、本発明においては、上記導電性高分子の導電性をより高めるために、ドーピング処理を施すことが好ましい。導電性高分子に対するドーパントとしては、例えば、炭素数が6〜30の炭化水素基を有するスルホン酸(以下「長鎖スルホン酸」ともいう。)あるいはその重合体(例えば、ポリスチレンスルホン酸)、ハロゲン、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、MClO(M=Li、Na)、(R)(R=CH、C、C56)、または(R)(R=CH、C、C56)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。なかでも、上記長鎖スルホン酸が好ましい。
長鎖スルホン酸としては、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。ハロゲンとしては、Cl、Br、I、ICl、IBr、IF等が挙げられる。ルイス酸としては、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SO、GaCl等が挙げられる。プロトン酸としては、HF、HCl、HNO、HSO、HBF、HClO、FSOH、ClSOH、CFSOH等が挙げられる。遷移金属ハロゲン化物としては、NbF、TaF、MoF、WF、RuF、BiF、TiCl、ZrCl、MoCl、MoCl、WCl、FeCl、TeCl、SnCl、SeCl、FeBr、SnI等が挙げられる。遷移金属化合物としては、AgClO、AgBF、La(NO、Sm(NO等が挙げられる。アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、Be、Mg、Ca、Sc、Ba等が挙げられる。
また、導電性高分子に対するドーパントは、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレンなどのフラーレン類に導入されていてもよい。上記ドーパントは、導電性高分子100質量部に対して、0.001質量部以上含まれていることが好ましい。さらには、0.5質量部以上含まれていることがより好ましい。尚、本実施形態の透明導電性組成物は、長鎖スルホン酸、長鎖スルホン酸の重合体(例えば、ポリスチレンスルホン酸)、ハロゲン、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、MClO、(R)、および(R)からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーパントと、フラーレン類との双方を含んでいてもよい。
本発明の導電性高分子は、2nd.ドーパントとして水溶性有機化合物を含有してもよい。本発明で用いることができる水溶性有機化合物には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。前記酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、水酸基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物などが挙げられる。前記水酸基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどが挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。前記カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。前記エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、などが挙げられる。前記スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
本発明の導電性高分子において、導電性高分子100質量部に対する上記2nd.ドーパントの含有量は0.001質量部以上が好ましく、0.01〜50質量がより好ましく、0.01〜10質量部が特に好ましい。
<金属酸化物>
本発明の金属酸化物としては、公知の透明金属酸化物導電材料を用いることができる。例えば、ドーパントとして錫、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム、アンチモン等を添加した酸化インジウムや酸化スズ及び酸化カドミウム、ドーパントとしてアルミニウムやゲルマニウム等を添加した酸化亜鉛や酸化チタン等の金属酸化物が挙げられる。
本発明の金属酸化物としては、インジウム、亜鉛、錫から選ばれる金属の酸化物を含有することが好ましく、具体的には酸化インジウムにスズをドープしたITOや、酸化亜鉛にアルミニウムやガリウムをドープしたAZOやGZO、酸化錫にアンチモンやフッ素をドープしたATOやFTOから選ばれる金属酸化物を含有することが好ましい。金属酸化物の平均粒径として1〜100nmであることが好ましく、3〜50nmであることが特に好ましい。
上記、金属酸化物の微粒子を含む分散液には、金属酸化物微粒子以外に、透明なバインダー材料や添加剤を含んでいてもよい。透明なバインダー材料としては、天然高分子樹脂または合成高分子樹脂から広く選択して使用することができる。例えば、透明な熱可塑性樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン)や、熱・光・電子線・放射線で硬化する透明硬化性樹脂(例えば、メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケート等のシリコン樹脂)を使用することができる。添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤や硫化防止剤などの安定剤、界面活性剤、溶解促進剤、重合禁止剤、染料や顔料などの着色剤などが挙げられる。更に、塗布性などの作業性を高める観点から、溶媒(例えば、水や、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、炭化水素類等の有機溶媒)を含んでいてもよい。
<透明電極>
本発明の透明電極において、導電層の表面粗さは、EL素子等の性能に影響するため高平滑であることが望ましく、具体的には、算術平均粗さRaは、Ra≦5nmであることが好ましく、Ra≦3nmであることがより好ましく、Ra≦1nmであることがさらに好ましい。また、最大高さRyは、Ry≦50nmであることが好ましく、Ry≦40nmであることがより好ましく、Ry≦30nmであることがさらに好ましい。
本発明の透明電極において、金属ナノワイヤを含有する導電層の全光線透過率は、60%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることが望ましい。全光透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
本発明の透明電極において、金属ナノワイヤを含有する導電層の電気抵抗値としては、表面比抵抗として10Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが特に好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、などに準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。表面比抵抗は、金属ナノワイヤ単独の状態で前記表面比抵抗を満たしていれば良く、金属ナノワイヤがバス電極として機能するため、導電性高分子の表面比抵抗が高くても、金属ナノワイヤ含有導電層の導電性を均一化することができる。導電性高分子の表面比抵抗としては、金属ナノワイヤ含有導電層間の電流リークに影響なく、金属ナノワイヤ含有導電層の導電性が均一化可能な、10Ω/□以上10Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは10Ω/□以上10Ω/□以下である。
本発明の透明電極には、アンカーコートやハードコート等を付与することもできる。また必要に応じて更に導電性高分子または金属酸化物を含有する導電層を設置してもよい。
本発明の透明電極は、LCD、エレクトロルミネッセンス素子、プラズマディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの透明電極、電子ペーパーならびに電磁波遮蔽材などに用いることが出来るが、導電性、透明性に優れ、また平滑性も高いため、有機EL素子に用いるのが好ましい。
<有機EL素子>
本発明における有機EL素子は、本発明の透明電極を有することを特徴とする。本発明における有機EL素子は、本発明の透明電極を陽極として用い、有機発光層、陰極については有機EL素子に一般的に使われている材料、構成等の任意のものを用いることができる。有機EL素子の素子構成としては、
陽極/有機発光層/陰極、
陽極/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、
陽極/ホール注入層/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、
陽極/ホール注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
陽極/ホール注入層/有機発光層/電子注入層/陰極、
等の各種の構成のものを挙げることができる。
また、本発明において有機発光層に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、及び各種蛍光色素及び希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることも好ましい。有機発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写などの方法が挙げられる。この有機発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
本発明における有機EL素子は、自発光型ディスプレイ、液晶用バックライト、照明等に用いることが出来る。本発明の有機EL素子は、均一にムラなく発光させることが出来るため、照明用途で用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
《透明電極の作製》
[銀ナノワイヤの作製]
非特許文献(Adv.Mater.,2002,14,833〜837)に記載の方法を参考に、下記の方法で銀ナノワイヤを作製した。
(核形成工程)
反応容器内で170℃に保持したEG液1000mlを攪拌しながら、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.5×10−4モル/L)100mlを一定の流量で10秒間で添加した。その後、170℃で10分間熟成を施し、銀の核粒子を形成した。熟成終了後の反応液は、銀ナノ粒子の表面プラズモン吸収に由来した黄色を呈しており、銀イオンが還元されて、銀ナノ粒子が形成されたことが確認された。
(粒子成長工程)
上記の熟成を終了した核粒子を含む反応液を攪拌しながら170℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10−1モル/L)1000mlと、PVPのEG溶液(VP濃度換算:5.0×10−1モル/L)1000mlを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で100分間で添加した。粒子成長工程において20分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された銀ナノ粒子が時間経過に伴って、主にナノワイヤの長軸方向に成長しており、粒子成長工程における新たな核粒子の生成は認められなかった。
(水洗工程)
粒子成長工程終了後、反応液を室温まで冷却した後、フィルターを用いて濾過し、濾別された銀ナノワイヤをエタノール中に再分散した。フィルターによる銀ナノワイヤの濾過とエタノール中への再分散を5回繰り返し、最終的に銀ナノワイヤの水分散液を調製して、銀ナノワイヤを作製した。
得られた分散液を微量採取し、電子顕微鏡で確認したところ、平均直径85nm、平均長さ7.4μmの銀ナノワイヤが形成されたことが確認できた。
[ポリエステル系高分子液−1の作成]
化合物(UL−1) 0.01g
変性ポリエステルA(固形分18%) 3g
水 50g
Figure 2010118165
(変性水性ポリエステルAの合成)
重縮合用反応容器に、テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホ−イソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を投入し、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。その後、さらに反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し、最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、変性水性ポリエステルAの前駆体を得た。前駆体の固有粘度は0.33であった。
攪拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの三つ口フラスコに、純水850mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、150gの上記前駆体を徐々に添加した。室温でこのまま30分間攪拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、固形分濃度が15質量%の溶液を調製した。
攪拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの四つ口フラスコに、上記前駆体溶液1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱した。この中に、過硫酸アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、単量体混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、さらに3時間反応を続けた。その後、30℃以下まで冷却し、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルAの溶液を調製した(ポリエステル成分/アクリル成分=80/20)。
[アクリル系高分子エマルション−1の作成]
スチレン20質量部、グリシジルメタクリレート40質量部、ブチルアクリレート40質量部の共重合体ラテックス液(固形分質量30%) 10g
化合物(UL−1) 0.01g
水 30g
〔透明電極101の作製;比較例1〕
支持体としてコロナ放電処理を施した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PET)を用い、導電層として、作製した銀ナノワイヤの分散液を、銀ナノワイヤの目付け量が0.07g/mとなるように、スピンコーターを用いて塗布し、乾燥した。これを、50mm×50mm角に裁断し、透明電極101を作成した。
〔透明電極102の作製;比較例2〕
透明電極101の作成において、銀ナノワイヤを塗布、乾燥した後、カレンダー処理を行った以外は、同様の操作を行い、透明電極102を作成した。
〔透明電極103の作製;本発明1〕
透明電極101と同様のPETフィルム支持体上に、高分子層として、2%ゼラチン水溶液をドクターブレードを用いて、湿潤膜厚8μmにて塗設した。さらに、高分子層上に銀ナノワイヤを0.07g/mとなるようにドクターブレードにて塗設、乾燥した後、裁断し、透明電極103を作成した。なお、銀ナノワイヤを塗設した際の高分子層の含水率は500%であった。
〔透明電極104の作製;本発明2〕
透明電極103の作成において、高分子層として、ポリエステル系高分子液−1を用い、ドクターブレードにて湿潤膜厚5μmにて塗設した以外は、同様の操作を行い、透明電極104を作成した。なお、銀ナノワイヤを塗設した際の高分子層の含水率は250%であった。
〔透明電極105の作製;本発明3〕
透明電極103の作成において、高分子層として、2%ゼラチン水溶液をドクターブレードにて湿潤膜厚20μmにて塗設した以外は、同様の操作を行い、透明電極105を作成した。なお、銀ナノワイヤを塗設した際の高分子層の含水率は150%であった。
〔透明電極106の作製;本発明4〕
PETフィルム上に、高分子層として10%カルボキシメチルセルロース(以下、CMC)溶液を湿潤膜厚4μmで、導電層として銀ナノワイヤ液を湿潤膜厚50μmで、アプリケーターを用いて同時重層塗布を行った。乾燥後、透明電極106を作成した。
〔透明電極107の作製;本発明5〕
透明電極103の作成において、高分子層として、5%CMC水溶液をドクターブレードにて湿潤膜厚5μmにて塗設した以外は、同様の操作を行い、透明電極107を作成した。なお、銀ナノワイヤを塗設した際の高分子層の含水率は150%であった。
〔透明電極108の作製;本発明6〕
PETフィルム上に、高分子層として水溶性ポリマー エポクロスWS−700(日本触媒製)を湿潤膜厚2μmで、導電層として銀ナノワイヤ液を湿潤膜厚50μmで、アプリケーターを用いて同時重層塗布を行った。乾燥後、透明電極108を作成した。
〔透明電極109の作製;本発明7〕
透明電極103の作成において、高分子層として、アクリル系高分子エマルション−1をドクターブレードにて湿潤膜厚5μmにて塗設した以外は、同様の操作を行い、透明電極109を作成した。なお、銀ナノワイヤを塗設した際の高分子層の含水率は230%であった。
〔透明電極110の作製;本発明8〕
透明電極103の作成において、高分子層として、PEDOT:PSS(ポリスチレンスルホン酸)=1:2.5の分散液であるBaytron PH510(H.C.Starck社製)にジメチルスルホキシドを5%添加した液(以下、PEDOT分散液)を用い、これにゼラチンを加え、ゼラチン濃度10%とした液をドクターブレードにて湿潤膜厚3μmにて塗設した以外は、同様の操作を行い、透明電極110を作成した。なお、銀ナノワイヤを塗設した際の高分子層の含水率は300%であった。
〔透明電極111の作製;本発明9〕
PETフィルム上に、高分子層として10%CMC水溶液を湿潤膜厚1μmで塗設した。さらに、導電層として銀ナノワイヤ分散液にスルホン酸系ドーパントを含有する導電性ポリアニリン分散液(ORMECON D1033、ドイツオルメコン社製)を加え粘度を40mPa・sに調整し、この分散液を湿潤膜厚50μmで塗設、乾燥し、透明電極111を作成した。なお、銀ナノワイヤを塗設した際の高分子層の含水率は250%であった。
〔透明電極112の作製;本発明10〕
透明電極103の作成において、高分子層として、5%ゼラチン水溶液をドクターブレードにて湿潤膜厚6μmにて塗設した。さらに、導電層として銀ナノワイヤ分散液を銀ナノワイヤの目付け量が0.07g/mとなるように、インクジェットプリンターにて10mmのストライプ状パターンを形成し、透明電極112を作成した。なお、銀ナノワイヤを塗設した際の高分子層の含水率は150%であった。
〔透明電極113の作製;本発明11〕
PETフィルム上に、高分子層として5%ゼラチン水溶液を湿潤膜厚8μmにて塗設した。さらに、透明電極111の作成で用いた導電性ポリアニリン含有銀ナノワイヤ分散液を、銀ナノワイヤの目付け量が0.07g/mとなるように、インクジェットプリンターにて10mmのストライプ状パターンを形成し、透明電極113を作成した。なお、銀ナノワイヤを塗設した際の高分子層の含水率は150%であった。
〔透明電極114の作製;本発明12〕
透明電極103を用い、表面にドクターブレードを用いて水を1μmにて塗設、乾燥し、透明電極114を作成した。
〔透明電極115の作製;本発明13〕
透明電極107を用い、これを水に0.5秒浸漬した後、乾燥し、透明電極115を作成した。
[測定]
下記方法で、透明電極101〜115の平滑性Ra、Ry及び透過率、表面比抵抗について評価した。
(表面粗さ)
本発明において、導電層表面の平滑性を表すRaとRyは、Ra=算術平均粗さと、Ry=最大高さ(表面の山頂部と谷底部との高低差)を意味し、JIS B601(1994)に規定される表面粗さに準ずる値である。本発明においてRaやRyの測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることができ、以下の方法で測定した。
AFMとして、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域80×80μmを、走査周波数1Hzで測定する。
(透過率)
透過率は、東京電色社製AUTOMATICHAZEMETER(MODEL TC−HIIIDP)を用いて、導電層パターン部の全光線透過率(%)を測定した。
(表面比抵抗)
表面比抵抗は、ダイアインスツルメンツ製抵抗率計ロレスタGPを用いて導電層パターン部の表面比抵抗(Ω/□)を四端子法で測定した。
測定及び評価の結果を表1に示す。
Figure 2010118165
表1より、本発明の透明電極は、導電性(表面比抵抗)、透明性(透過率)に優れ、平滑性(表面形状)が高いことが分かる。
《有機EL素子(有機EL素子)の作製》
作製した透明電極101〜115を第一電極に用いて、以下の手順でそれぞれ有機EL素子201〜215を作製した。
〈正孔輸送層の形成〉
第1電極上に、1,2−ジクロロエタン中に1質量%となるように正孔輸送材料の4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)を溶解させた正孔輸送層形成用塗布液をスピンコート装置で塗布した後、80℃、60分間乾燥して、厚さ40nmの正孔輸送層を形成した。
〈発光層の形成〉
正孔輸送層が形成された各フィルム上に、ホスト材のポリビニルカルバゾール(PVK)に対して、赤ドーパント材BtpIr(acac)が1質量%、緑ドーパント材Ir(ppy)が2質量%、青ドーパント材FIr(pic)が3質量%にそれぞれなるように混合し、PVKと3種ドーパントの全固形分濃度が1質量%となるように1,2−ジクロロエタン中に溶解させた発光層形成用塗布液をスピンコート装置で塗布した後、100℃、10分間乾燥して、厚さ60nmの発光層を形成した。
〈電子輸送層の形成〉
形成した発光層上に、電子輸送層形成用材料としてLiFを5×10−4Paの真空下にて蒸着し、厚さ0.5nmの電子輸送層を形成した。
〈第2電極の形成〉
形成した電子輸送層の上に、第2電極形成用材料としてAlを5×10−4Paの真空下にて蒸着し、厚さ100nmの第2電極を形成した。
〈封止膜の形成〉
形成した電子輸送層の上に、ポリエチレンテレフタレートを基材とし、Alを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を使用した。第1電極及び第2電極の外部取り出し端子が形成出来る様に端部を除き第2電極の周囲に接着剤を塗り、可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させた。
[発光輝度ムラ]
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を作製した有機EL素子201〜215に印加し発光させた。200cd/mで発光させた各有機EL素子について、点灯時の発光面全体の発光ムラを、目視観察により下記基準で評価した。評価結果を表2に示す。
◎:90%以上が均一に発光している
○:80%以上が均一に発光している
△:70%以上が均一に発光している
×:70%未満しか発光していない
××:全く発光せず
上記評価結果を表2に示す。
Figure 2010118165
表2より明らかなように、導電性、透明性に優れ、平滑性が高い本発明の透明電極を有機エレクトロルミネッセンス素子の電極として使用した場合、有機エレクトロルミネッセンス素子は発光輝度ムラが少ないことが分かる。

Claims (6)

  1. 透明支持体上に金属ナノワイヤを含有する導電層を有する透明電極において、該透明電極が、該導電層に隣接した下層に、水溶性高分子または水性高分子エマルションの少なくとも一つからなる高分子層を有し、該金属ナノワイヤの少なくとも一部が該高分子層に埋没していることを特徴とする透明電極。
  2. 透明支持体上に、順に、水溶性高分子または水性高分子エマルションの少なくとも一つからなる高分子層及び金属ナノワイヤからなる導電層を形成する透明電極の製造方法において、該支持体上に該高分子層を塗布した後、該高分子層の含水率が100%以上の状態で、該高分子層上に該導電層を塗布することを特徴とする透明電極の製造方法。
  3. 透明支持体上に、順に、水溶性高分子または水性高分子エマルションの少なくとも一つからなる高分子層及び金属ナノワイヤからなる導電層を形成する透明電極の製造方法において、該高分子層及び該導電層を同時重層塗布することを特徴とする透明電極の製造方法。
  4. 請求項2に記載の透明電極の製造方法であって、前記高分子層上に前記導電層を塗布する際、パターニングを行うことを特徴とする透明電極の製造方法。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項記載の透明電極の製造方法であって、前記高分子層及び前記導電層を塗布、乾燥した後、後処理として、該導電層面に水を塗布、乾燥することを特徴とする透明電極の製造方法。
  6. 請求項1に記載の透明電極、または請求項2から5のいずれか1項に記載の透明電極の製造方法によって製造された透明電極を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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