以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、基板Pを保持せずに、露光光ELを計測する計測部材Cを保持して移動可能な計測ステージ3と、マスクステージ1を移動する駆動システム4と、基板ステージ2を移動する駆動システム5と、計測ステージ3を移動する駆動システム6と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材7と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置8とを備えている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜に加えて別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRを含むベース部材9のガイド面9G上を移動可能である。駆動システム4は、ガイド面9G上でマスクステージ1を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、マスクステージ1に配置された可動子と、ベース部材9に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、マスクステージ1は、駆動システム4の作動により、ガイド面9G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影領域PRは、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸は、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ2は、基板Pを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。計測ステージ3は、計測部材Cを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。
基板ステージ2を移動するための駆動システム5は、ガイド面10G上で基板ステージ2を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、基板ステージ2に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。同様に、計測ステージ3を移動するための駆動システム6は、平面モータを含み、計測ステージ3に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。
本実施形態において、マスクステージ1、基板ステージ2、及び計測ステージ3の位置情報は、レーザ干渉計ユニット11A、11Bを含む干渉計システム11によって計測される。レーザ干渉計ユニット11Aは、マスクステージ1に配置された計測ミラー1Rを用いて、マスクステージ1の位置情報を計測可能である。レーザ干渉計ユニット11Bは、基板ステージ2に配置された計測ミラー2R、及び計測ステージ3に配置された計測ミラー3Rを用いて、基板ステージ2及び計測ステージ3それぞれの位置情報を計測可能である。基板Pの露光処理を実行するとき、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置8は、干渉計システム11の計測結果に基づいて、駆動システム4,5,6を作動し、マスクステージ1(マスクM)、基板ステージ2(基板P)、及び計測ステージ3(計測部材C)の位置制御を実行する。
液浸部材7は、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能である。液浸空間LSは、液体LQで満たされた部分(空間、領域)である。液浸部材7は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子12の近傍に配置される。本実施形態において、液浸部材7は、環状の部材であり、露光光ELの光路の周囲に配置される。本実施形態においては、液浸部材7の少なくとも一部が、終端光学素子12の周囲に配置される。
終端光学素子12は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面13を有する。本実施形態において、液浸空間LSは、終端光学素子12と、終端光学素子12から射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に配置される物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように形成される。本実施形態において、投影領域PRに配置可能な物体は、投影光学系PLの像面側(終端光学素子12の射出面13側)で投影領域PRに対して移動可能な物体であり、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、計測ステージ3、及び計測ステージ3に保持された計測部材Cの少なくとも一つを含む。もちろん、投影領域PRに配置可能な物体は、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、計測ステージ3、及び計測ステージ3に保持された計測部材Cの少なくとも一つに限られない。
本実施形態において、液浸部材7は、投影領域PRに配置される物体と対向可能な下面14を有する。液浸部材7は、投影領域PRに配置される物体との間で液体LQを保持することができる。一方側の射出面13及び下面14と、他方側の物体の表面(上面)との間に液体LQが保持されることによって、終端光学素子12と物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。
本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているとき、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)の少なくとも一部は、液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
図2は、本実施形態に係る基板ステージ2の一例を示す側断面図である。本実施形態において、基板ステージ2は、米国特許出願公開第2007/0177125号明細書、米国特許出願公開第2008/0049209号明細書等に開示されているような、基板Pをリリース可能に保持する第1保持部31と、第1保持部31の周囲に配置され、プレート部材Tをリリース可能に保持する第2保持部32とを有する。第1,第2保持部31,32は、ピンチャック機構を有する。プレート部材Tは、第1保持部31に保持された基板Pの周囲に配置される。基板ステージ2が移動することによって、第1保持部31に保持された基板P、及び第2保持部32に保持されたプレート部材Tは、投影領域PRに移動可能である。なお、第1保持部31と第2保持部32の少なくとも一方で使用される保持機構はピンチャック機構に限られない。また、プレート部材Tは基板ステージ2に一体的に形成されていてもよい。
本実施形態において、第1保持部31は、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。第2保持部32は、プレート部材Tの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Tを保持する。本実施形態において、第1保持部31に保持された基板Pの表面と第2保持部32に保持されたプレート部材Tの上面とは、ほぼ同一平面内に配置される(ほぼ面一である)。また、第1保持部31に保持された基板Pの側面と、第2保持部32に保持されたプレート部材Tの内側面とは、所定のギャップG1を介して対向する。
図3は、本実施形態に係る計測ステージ3の一例を示す側断面図である。本実施形態において、計測ステージ3は、計測部材Cをリリース可能に保持する第3保持部33と、第3保持部33の周囲に配置され、プレート部材Sをリリース可能に保持する第4保持部34とを有する。第3,第4保持部33,34は、ピンチャック機構を有する。プレート部材Sは、第3保持部33に保持された計測部材Cの周囲に配置される。計測ステージ3が移動することによって、第3保持部33に保持された計測部材C、及び第4保持部34に保持されたプレート部材Sは、投影領域PRに移動可能である。なお、第3保持部33と第4保持部34の少なくとも一方で使用される保持機構はピンチャック機構に限られない。また、計測部材Cとプレート部材Sの少なくとも一方は計測ステージ3に一体的に形成されていてもよい。
本実施形態において、第3保持部33は、計測部材Cの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、計測部材Cを保持する。第4保持部34は、プレート部材Sの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Sを保持する。本実施形態において、第3保持部33に保持された計測部材Cの上面と第4保持部34に保持されたプレート部材Sの上面とは、ほぼ同一平面内に配置される(ほぼ面一である)。また、第3保持部33に保持された計測部材Cの側面と、第4保持部34に保持されたプレート部材Sの内側面とは、所定のギャップG2を介して対向する。
また、本実施形態において、計測ステージ3は、光センサ35を有する。本実施形態において、計測部材Cは、例えば石英など、露光光ELを透過可能な部材を含み、計測部材Cの少なくとも一部は、露光光ELを透過可能な透過部を含む。第3保持部33に保持された計測部材Cの上面に照射された露光光ELは、計測部材Cの透過部を介して、光センサ35に照射される。光センサ35は、終端光学素子12より射出され、計測部材Cを介した露光光ELを受光する。
本実施形態において、計測ステージ3は2つの第3保持部33を有し、一方の第3保持部33(33A)は、第1の計測部材C(C1)を保持し、他方の第3保持部33(33B)は、第2の計測部材C(C2)を保持する。第1の計測部材C(C1)は、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書に開示されているような、投影光学系PLによる空間像を計測可能な空間像計測システムの少なくとも一部を構成する。第2の計測部材C(C2)は、例えば米国特許第4465368号明細書に開示されているような、露光光ELの照度むらを計測可能な照度むら計測システムの少なくとも一部を構成する。なお、第1計測部材C1及び/又は第2計測部材C2の替わりに、あるいは計測部材C1,C2に加えて他の計測システムの計測部材が計測ステージ3に配置されていてもよい。他の計測システムは、例えば米国特許第6721039号明細書に開示されているような、投影光学系PLの露光光ELの透過率の変動量を計測可能な計測システム、例えば米国特許出願公開第2002/0061469号明細書等に開示されているような、照射量計測システム(照度計測システム)、及び例えば欧州特許第1079223号明細書に開示されているような、波面収差計測システムの少なくとも1つを含む。計測ステージ3に、1つの計測部材C(第3保持部33)を設けるだけでもよい。なお、基板を保持して移動可能な基板ステージと、基板を保持せずに、露光光を計測する計測部材(計測器)を搭載して移動可能な計測ステージとを備えた露光装置の一例が、例えば米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されている。
ここで、以下の説明において、第2保持部32に保持されたプレート部材Tの上面を適宜、基板ステージ2の上面2U、と称し、第3保持部33に保持された計測部材Cの上面及び第4保持部34に保持されたプレート部材Sの上面を合わせて適宜、計測ステージ3の上面3U、と称する。
図4は、本実施形態に係る液浸部材7の一例を示す側断面図である。なお、図4を用いる説明においては、投影領域PR(終端光学素子12及び液浸部材7と対向する位置)に基板Pが配置される場合を例にして説明するが、上述のように、基板ステージ2(プレート部材T)、及び計測ステージ3(プレート部材S、計測部材C)を配置することもできる。
図4に示すように、液浸部材7は、射出面13と対向する位置に開口7Kを有する。射出面13から射出された露光光ELは、開口7Kを通過して、基板Pに照射可能である。
また、液浸部材7は、液体LQを供給可能な供給口15と、液体LQを回収可能な回収口16とを備えている。供給口15は、露光光ELの光路の近傍において、その光路に面するように配置されている。供給口15は、流路17を介して、液体供給装置18と接続されている。液体供給装置18は、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。流路17は、液浸部材7の内部に形成された供給流路、及びその供給流路と液体供給装置18とを接続する供給管で形成される流路を含む。液体供給装置18から送出された液体LQは、流路17を介して供給口15に供給される。
回収口16は、液浸部材7の下面14と対向する物体上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。本実施形態においては、回収口16は、露光光ELが通過する開口7Kの周囲に配置されている。回収口16は、物体の表面と対向する液浸部材7の所定位置に配置されている。回収口16には、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の多孔部材19が配置されている。なお、回収口16に、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。また、回収口16に多孔部材19が配置されていなくてもよい。本実施形態において、液浸部材7の下面14の少なくとも一部は、多孔部材19の下面を含む。回収口16は、流路20を介して、液体回収装置21と接続されている。液体回収装置21は、回収口16を真空システムに接続可能であり、回収口16を介して液体LQを吸引可能である。流路20は、液浸部材7の内部に形成された回収流路、及びその回収流路と液体回収装置21とを接続する回収管で形成される流路を含む。回収口16から回収された液体LQは、流路20を介して、液体回収装置21に回収される。
本実施形態においては、制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行することによって、一方側の終端光学素子12及び液浸部材7と、他方側の物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
なお、液浸部材7として、例えば米国特許出願公開第2007/0132976号明細書、欧州特許出願公開第1768170号明細書に開示されているような液浸部材(ノズル部材)を用いることができる。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて、基板Pを露光する方法の一例について説明する。
制御装置8は、露光前の基板Pを第1保持部31に搬入(ロード)するために、図5に示すように、液浸部材7から離れた基板ステージ2を基板交換位置CPに移動する。基板交換位置CPは、基板Pの交換処理が実行可能な位置である。基板Pの交換処理は、搬送装置36を用いて、第1保持部31に保持された露光後の基板Pを第1保持部31から搬出(アンロード)する処理、及び第1保持部31に露光前の基板Pを搬入(ロード)する処理の少なくとも一方を含む。制御装置8は、液浸部材7から離れた基板交換位置CPに基板ステージ2を移動して、基板Pの交換処理を実行する。
基板ステージ2が液浸部材7から離れている期間の少なくとも一部において、制御装置8は、計測ステージ3を液浸部材7に対して所定位置に配置して、終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3の上面3Uの所定領域3Pとの間で液体LQを保持して、液浸空間LSを形成する。
図6は、液浸部材7と所定領域3Pとの間に液体LQ保持されている状態を模式的に示す平面図である。図6に示すように、本実施形態において、所定領域3Pは、プレート部材Sの上面3Uの一部の領域である。
ここで、以下の説明において、液浸部材7と計測ステージ3の所定領域3Pとの間に液体LQが保持されて液浸空間LSが形成されるときの計測ステージ3の位置を適宜、待機位置SP、と称する。
また、基板ステージ2が液浸部材7から離れた期間の少なくとも一部において、必要に応じて、計測部材Cを用いる計測処理が実行される。計測部材Cを用いる計測処理を実行するとき、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3とを対向させ、終端光学素子12と計測部材Cとの間の光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。制御装置8は、投影光学系PL及び液体LQを介して計測部材Cに露光光ELを照射して、計測部材Cを用いる計測処理を実行する。その計測処理の結果は、基板Pの露光処理に反映される。
露光前の基板Pが第1保持部31にロードされ、計測部材Cを用いる計測処理が終了した後、制御装置8は、基板ステージ2を投影領域PRに移動して、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液浸空間LSを形成する。本実施形態においては、例えば米国特許出願公開第2006/0023186号明細書、米国特許出願公開第2007/0127006号明細書等に開示されているように、制御装置8は、基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方と終端光学素子12及び液浸部材7との間に液体LQを保持可能な空間を形成し続けるように、基板ステージ2の上面2Uと計測ステージ3の上面3Uとを接近又は接触させた状態で、基板ステージ2の上面2U及び計測ステージ3の上面3Uの少なくとも一方と終端光学素子12の射出面13及び液浸部材7の下面14とを対向させつつ、終端光学素子12及び液浸部材7に対して、基板ステージ2と計測ステージ3とをXY方向に同期移動させることができる。これにより、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2との間に液浸空間LSが形成可能な状態、及び終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3との間に液浸空間LSが形成可能な状態の一方から他方へ変化させることができる。すなわち、制御装置8は、液体LQの漏出を抑制しつつ、液浸部材7の下面14側に形成された液浸空間LSが基板ステージ2の上面2U上と計測ステージ3の上面3U上との間を移動するように、基板ステージ2及び計測ステージ3を液浸部材7に対して移動させることができる。
以下の説明において、基板ステージ2の上面2Uと計測ステージ3の上面3Uとを接近又は接触させた状態で、終端光学素子12及び液浸部材7に対して、基板ステージ2と計測ステージ3とをXY方向に同期移動させる動作を適宜、スクラム移動、と称する。
本実施形態においては、スクラム移動を実行するとき、図7に示すように、制御装置8は、基板ステージ2の+Y側の側面2Fと、その基板ステージ2と対向可能な計測ステージ3の−Y側の側面3Fとを所定のギャップG3を介して対向させる。そして、制御装置8は、そのギャップG3を維持した状態で、基板ステージ2及び計測ステージ3を同時に移動(同期移動)させる。本実施形態においては、スクラム移動を実行するとき、制御装置8は、基板ステージ2の上面2Uと計測ステージ3の上面3Uとで実質的に一つの連続面が形成されるように、基板ステージ2の上面2Uと計測ステージ3の上面3Uとの位置関係を調整する。
スクラム移動を実行して、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液浸空間LSが形成された後、制御装置8は、基板Pの露光処理を開始する。基板Pの露光処理を実行するとき、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2とを対向させ、終端光学素子12と基板Pとの間の光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。制御装置8は、照明系ILにより露光光ELで照明されたマスクMからの露光光ELを投影光学系PL及び液体LQを介して基板Pに照射する。これにより、基板Pは露光光ELで露光され、マスクMのパターンの像が基板Pに投影される。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置8は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。
基板Pの露光処理が終了した後、制御装置8は、スクラム移動を実行し、終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3との間に液浸空間LSが形成された後、基板ステージ2を基板交換位置CPに移動する。計測ステージ3は、例えば待機位置SPに配置される。制御装置8は、基板交換位置CPに移動した基板ステージ2から露光後の基板Pを搬出し、露光前の基板Pを基板ステージ2に搬入する。
以下、制御装置8は、上述の処理を繰り返して、複数の基板Pを順次露光する。
ところで、基板Pの露光中、基板Pから発生(溶出)した物質(例えば感光材等の有機物)が、異物(汚染物、パーティクル)として液浸空間LSの液体LQ中に混入する可能性がある。また、基板Pから発生する物質のみならず、例えば空中を浮遊する異物が、液浸空間LSの液体LQに混入する可能性もある。上述したように、基板Pの交換処理、計測部材Cを用いる計測処理、及び基板Pの露光処理を含む露光シーケンスの少なくとも一部の期間において、液浸空間LSの液体LQは、プレート部材Sの上面の少なくとも一部の領域、計測部材Cの上面の少なくとも一部の領域、プレート部材Tの上面の少なくとも一部の領域と接触する。したがって、液浸空間LSの液体LQ中に異物が混入すると、第1保持部31に保持された基板Pの周囲に配置された基板ステージ2(プレート部材T)の上面2U、及び計測ステージ3(計測部材C、プレート部材S)の上面3Uに異物が付着する可能性がある。それら露光装置EXの部材の上面(液体LQと接触する液体接触面)に異物が付着している状態を放置しておくと、その異物が露光中に基板Pに付着したり、供給口15から供給された液体LQが汚染されたりする可能性がある。また、基板ステージ2の上面2U、計測ステージ3の上面3Uが汚染されると、例えば液浸空間LSを良好に形成できなくなる可能性もある。その結果、露光不良が発生する可能性がある。
そこで、本実施形態においては、制御装置8は、所定のタイミングで、液浸空間LSの液体LQと接触する露光装置EXの部材の表面(上面)の汚染状態を確認するための処理を実行し、その確認の結果に応じて、その部材をクリーニングするクリーニング処理を実行する。
以下、本実施形態に係る確認処理、及びクリーニング処理を含むメンテナンスシーケンスの一例について説明する。図8のフローチャートに示すように、本実施形態においては、メンテナンスシーケンスは、第1保持部31でダミー基板DPを保持する動作(ステップSP1)と、汚染状態を確認したい部材(以下、評価対象部材と称する)と液浸部材7との間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQと評価対象部材の表面とを接触させる動作(ステップSP2)と、液浸空間LSが形成された状態で、液浸部材7に対してダミー基板DP及び評価対象部材を移動して、液浸部材7とダミー基板DPとの間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQとダミー基板DPの表面とを接触させる動作(ステップSP3)と、ダミー基板DPの表面の状態に基づいて、評価対象部材の表面の状態を確認する動作(ステップSP4)とを含む。本実施形態において、確認処理は、上述のステップSP1〜SP4の動作を含む。また、本実施形態においては、その確認の結果、評価対象部材が汚染されていると判断された場合に、評価対象部材をクリーニングする動作を実行する。
本実施形態において、上述の確認処理は、液体LQを介して露光された基板Pの状態(基板Pの表面の異物の付着状態、及び/又は基板Pに形成されたパターンの欠陥の数(量))に基づいて開始される。すなわち、本実施形態においては、確認処理を開始するタイミングは、露光後の基板Pの状態を観察した結果に基づいて決定される。
例えば、液体LQを介して露光された基板Pの状態に関する情報が、所定の観察装置で取得される。例えば、露光後の基板の表面の画像が、走査型電子顕微鏡(SEM)等で取得される。その取得された情報は、制御装置8に出力される。制御装置8は、その情報に基づいて、露光後の基板Pが許容できない状態である(基板Pの表面に許容できないほど異物が付着している、及び/又は基板Pに形成されたパターンに許容できないほど欠陥が生じている)と判断した場合、確認処理を開始する。
例えば、露光後の基板Pの状態が許容できない場合、基板ステージ2の上面2U及び計測ステージ3の上面3Uの少なくとも一部に付着していた異物が液浸空間LSの液体LQに混入し、露光中に基板Pに付着した可能性が高いと判断できる。したがって、制御装置8は、露光後の基板Pの状態に基づいて、確認処理を開始するか否かを判断する。
なお、ダミー基板DPは、基板Pと同じ外形でなくてもよい。
以下、評価対象部材が、計測ステージ3に設けられている計測部材C1である場合を例にして説明する。
確認処理を実行するために、第1保持部31にダミー基板DPが保持される(ステップSP1)。ダミー基板DPは、露光用の基板Pとは別の、異物を放出し難く、高い清浄度を有する(クリーンな)部材である。ダミー基板DPは、基板Pとほぼ同じ外形であり、第1保持部31は、ダミー基板DPを保持可能である。第1保持部31に保持されたダミー基板DPの側面と、第2保持部32に保持されているプレート部材Tの内側面との間に、所定のギャップG1bが形成される。
本実施形態において、液体LQに対するダミー基板DPの表面(上面)の接触角は、液体LQに対する基板Pの表面(上面)の接触角とほぼ同じである。本実施形態において、基板Pの表面は、トップコート膜の表面で形成され、ダミー基板DPの表面も、トップコート膜で形成される。本実施形態において、ダミー基板DPは、感光膜を含まず、半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成されたトップコート膜とを有する。なお、ダミー基板DPにおいて、基材とトップコート膜との間に、HMDS膜が配置されてもよい。また、ダミー基板DPに感光膜が形成されていてもよい。
制御装置8は、計測部材C1の上面の汚染状態の確認処理を実行するために、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行して、図9(A)に示すように、液浸部材7の下面14と計測部材C1との間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQと計測部材C1の上面の少なくとも一部の領域AC1とを接触させる(ステップSP2)。本実施形態においては、制御装置8は、計測部材C1の上面のほぼ中央の一部の領域AC1と液体LQとが接触するように、計測ステージ3の位置を調整する。
本実施形態においては、制御装置8は、図9(A)の状態において、計測部材C1の上面の領域AC1と、液浸空間LSの液体LQとが時間Tsだけ接触し続けるように、計測ステージ3の移動を停止する(位置を固定する)。時間Tsは、任意に指定可能である。なお、時間Tsにおいても、供給口15からの液体LQの供給動作と、回収口16からの液体LQの回収動作が継続される。また、時間Tsにおいて、計測部材C1が液浸空間LSの液体LQと接触し続けるように、液浸部材7に対して計測ステージ3を動かしてもよい。
次に、制御装置8は、液浸部材7の下面14側に液浸空間LSが形成された状態で、スクラム移動を実行し、図9(B)に示すように、液浸部材7とダミー基板DPとの間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQとダミー基板DPの表面の少なくとも一部の領域ADPとを接触させる(ステップSP3)。本実施形態においては、制御装置8は、ダミー基板DPの表面のほぼ中央の一部の領域ADPと液体LQとが接触するように、基板ステージ2の位置を調整する。
本実施形態においては、制御装置8は、図9(B)の状態において、ダミー基板DPの表面の少なくとも一部の領域ADPと、液浸空間LSの液体LQとが時間Tdだけ接触し続けるように、基板ステージ2の移動を停止する。時間Tdは、任意に指定可能である。なお、時間Tdにおいても、供給口15からの液体LQの供給動作と、回収口16からの液体LQの回収動作が継続される。また、時間Tdにおいて、計測部材C1が液浸空間LSの液体LQと接触し続けるように、ダミー基板DPに対して基板ステージ2を動かしてもよい。
本実施形態においては、制御装置8は、液浸部材7の下面14側に形成された液浸空間LSがダミー基板DPの表面上と計測部材C1の上面上との間を所定回数だけ往復するように、スクラム移動を繰り返して、基板ステージ2(ダミー基板DP)及び計測ステージ3(計測部材C1)を液浸部材7に対して移動させる。すなわち、制御装置8は、図9(A)に示す状態と、図9(B)に示す状態とが交互に繰り返されるように、スクラム移動を実行する。液浸空間LSを往復させる回数は、任意に指定可能である。制御装置8は、指定された回数だけ、液浸空間LSを往復させる。なお、液浸空間LSの往復を行わずに、ステップSP2を1回実行し、ステップSP3を1回実行した後に、ステップSP4を実行するようにしてもよい。また、上述の時間Ts、または時間Td、又はその両方の少なくとも一部の期間において、スクラム移動期間と同様に、基板ステージ2の上面2Uと計測ステージ3の上面3Uとで実質的な連続面が形成された状態を維持しているが、基板ステージ2と計測ステージ3とが液浸空間LSができないほど離れていてもよい。
液浸空間LSがダミー基板DPの表面上と計測部材C1の上面上との間を所定回数だけ往復した後、ダミー基板DPの表面の観察が実行される。例えば、制御装置8は、搬送装置36を用いて、ダミー基板DPを第1保持部31からアンロードする。アンロードされたダミー基板DPは、所定の観察装置に送られる。本実施形態において、観察装置は、ダミー基板DPの表面の画像を取得可能なカメラ、あるいは走査型電子顕微鏡である。観察装置は、そのダミー基板DPの表面を観察し、そのダミー基板DPの表面の画像を取得する。これにより、そのダミー基板DPの表面の汚染状態が確認される。なお、観察装置は、露光装置EXが備えていてもよいし、露光装置EXの外に配置されていてもよい。露光装置EXの外部に配置された観察装置を使用する場合には、露光装置EXから観察装置へダミー基板DPをオペレータが運んでもよいし、露光装置EXと観察装置との間に配置された搬送装置を使って、露光装置EXから観察装置へダミー基板DPを搬送してもよい。
本実施形態においては、ダミー基板DPの状態に基づいて、計測部材C1の上面の汚染状態を確認する(ステップSP4)。例えば、計測部材C1の上面に異物が付着している場合、ステップSP2で説明したように、液浸空間LSの液体LQと、計測部材C1の上面とを接触させることによって、その計測部材C1の上面に付着している異物が液浸空間LSの液体LQ中に混入する可能性が高い。その異物が混入している可能性が高い液体LQをステップSP3で説明したように、ダミー基板DPの表面に接触させることによって、液体LQ中の異物がダミー基板DPの表面に付着する可能性が高い。したがって、そのダミー基板DPの状態を観察装置で観察することによって、計測部材C1の上面の汚染状態を確認することができる。たとえば、ダミー基板DPの表面に付着している異物の数を計測することによって、計測部材C1の上面の汚染の度合い(汚染度)を確認することができる。
本実施形態においては、観察装置で取得された画像データが、制御装置8に出力される。制御装置8は、その画像データを処理し、ダミー基板DPの表面の汚染状態を確認する。
図10は、取得されたダミー基板DPの表面の画像データの一例を示す模式図である。例えば、計測部材C1の上面が汚染されていない場合、あるいは汚染度が許容できる場合、図10(A)に示すように、上述の確認処理後におけるダミー基板DPの表面は、クリーンである。一方、計測部材Cの上面に多数の異物が付着している場合、図10(B)の模式図に示すように、確認処理後におけるダミー基板DPの表面には、多数の異物が付着する。このように、本実施形態においては、計測部材C1の上面の汚染状態に応じて、ダミー基板DPの表面の汚染状態が変化することを利用して、計測部材C1の上面の汚染状態を確認する。制御装置8は、観察装置の画像データに基づいて、ダミー基板DPの表面の汚染状態を確認することによって、計測部材C1の上面の汚染状態を確認する。
本実施形態においては、評価対象の領域AC1が、計測部材C1の上面のほぼ中央の一部の領域である場合を例にして説明したが、もちろん、計測部材C1の上面の評価対象の領域AC1が、計測部材C1の上面の周縁領域でもよい。
以上、評価対象部材が、計測部材C1である場合を例にして説明した。評価対象部材が、計測部材C2である場合においても、上述した確認処理と同様の処理が実行されることによって、その計測部材C2の上面の汚染状態を確認することができる。
また、評価対象部材が、計測ステージ3のプレート部材Sでもよい。評価対象部材がプレート部材Sである場合、制御装置8は、図11(A)に示すように、プレート部材Sの上面と液浸部材7との間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQと、プレート部材Sの上面の少なくとも一部の領域ASとを接触させた後、液浸部材7の下面14側に液浸空間LSが形成された状態で、スクラム移動して、図11(B)に示すように、ダミー基板DPの表面と液浸部材7との間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQと、ダミー基板DPの表面の一部の領域ADPとを接触させることによって、プレート部材Sの上面の領域ASの汚染状態を確認することができる。
図11に示す例では、プレート部材Sの上面の評価対象の領域ASは、所定領域3Pである。上述したように、露光シーケンスにおいて、基板ステージ2が液浸部材7から離れたときに、所定領域3Pが、液浸空間LSの液体LQと接触し続ける場合がある。したがって、所定領域3Pの汚染状態を確認することは有効である。
もちろん、プレート部材Sの上面の評価対象の領域ASが、所定領域3P以外の領域でもよい。制御装置8は、上述と同様の確認処理を実行することによって、プレート部材Sの上面の複数の領域のそれぞれに関して、汚染状態を確認することができる。
また、評価対象部材は、計測ステージ3に設けられた部材のみならず、プレート部材Tでもよい。例えば、プレート部材Tの上面の少なくとも一部の領域ATの汚染状態を確認するために、制御装置8は、図12(A)に示すように、プレート部材Tの上面と液浸部材7との間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQとプレート部材Tの上面の一部の領域ATとを接触させた後、液浸部材7の下面14側に液浸空間LSが形成された状態で、基板ステージ2を移動して、図12(B)に示すように、ダミー基板DPの表面と液浸部材7との間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQとダミー基板DPの表面の一部の領域ADPとを接触させることによって、プレート部材Tの上面ATの領域ASの汚染状態を確認することができる。
また、制御装置8は、プレート部材Tの上面の評価対象として、複数の領域ATを設定し、それら複数の領域ATのそれぞれに関して、上述と同様の確認処理を実行することができる。
本実施形態においては、上述の確認処理において、制御装置8は、ダミー基板DPの表面の領域ADPと液浸空間LSの液体LQとが接触している時間Tdと、評価対象部材(C1,C2,S、T)の上面と液浸空間LSの液体LQとが接触している時間Tsとを異ならせる。制御装置8は、例えば時間Tsを時間Tdより長くする。これにより、評価対象部材の上面に付着している異物を、その上面から除去して、液浸空間LSの液体LQ中に良好に混入させることができる。また、制御装置8は、時間Tdを時間Tsより長くしてもよい。これにより、液浸空間LSの液体LQ中に混入している異物を、ダミー基板DPの表面に良好に付着させることができる。
また、確認処理において、液浸空間LSが、ダミー基板DPの表面上と評価対象部材の上面上とを所定回数だけ往復する場合、往復する毎にダミー基板DPの表面の領域ADPと液体LQとが接触する時間の総和(積算時間)と、評価対象部材の上面の評価対象の領域とが接触する時間の総和(積算時間)とが異なるように、基板ステージ2及び計測ステージ3の位置を調整してもよい。
上述の確認処理において、計測部材C1,計測部材C2、プレート部材S、及びプレート部材Tの少なくとも一部の上面の汚染が確認された場合、制御装置8は、その汚染されている部材に対するクリーニング処理を実行する。
本実施形態において、クリーニングは、クリーニング液体を用いて実行される。本実施形態においては、クリーニング液体として、基板Pの露光に用いられる液体LQを用いる。
例えば、上述の確認処理において、計測部材C1の上面が許容できないほど汚染されていると判断された場合、図13に示すように、制御装置8は、液浸部材7と計測部材C1との間に液体LQで液浸空間LSを形成して、液浸部材7に対して、計測部材C1をXY方向に移動する。本実施形態においては、制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行して、液浸部材7と計測部材C1との間に液体LQで液浸空間LSを形成して、その液浸空間LSの液体LQと計測部材C1の上面とを接触させた状態で、駆動システム6を制御して、計測部材C1を保持した計測ステージ3をXY平面内における第1位置と第2位置との間で往復させる。これにより、計測部材C1の上面が、液体LQでクリーニングされる。
また、計測ステージ3の上面3Uの所定領域3Pの汚染が許容できないと判断した場合、制御装置8は、その所定領域3Pを重点的にクリーニングすることができる。所定領域3Pをクリーニングする際、制御装置8は、液浸空間LSの液体LQと所定領域3Pとを接触させた状態で、計測ステージ3をXY平面内における第1位置と第2位置との間で往復させる。これにより、所定領域3Pが、液体LQで重点的にクリーニングされる。
また、制御装置8は、計測ステージ3の上面の一部(例えば、計測部材C1の上面)が許容できないほど汚染されていると判断された場合、計測ステージ3の上面のほぼ全体をクリーニングしてもよい。例えば図14に示すように、液浸空間LSが、計測ステージ3の上面3U上で矢印R1に沿って移動するように、液浸部材7に対して計測ステージ3の移動することができる。
また、制御装置8は、プレート部材Tをクリーニングする際、液浸部材7とプレート部材Tとの間に液体LQで液浸空間LSを形成して、その液浸空間LSの液体LQとプレート部材Tの上面とを接触させた状態で、駆動システム5を制御して、基板ステージ2(プレート部材T)をXY方向に移動させる。これにより、プレート部材Tの上面が、液体LQでクリーニングされる。
以上説明したように、本実施形態によれば、露光装置EXの部材(部品、コンポーネント)の汚染状態を確認することができる。したがって、その部材を効率良くクリーニングできる。本実施形態によれば、確認処理によって、汚染している部材、あるいは汚染している部材の上面の領域を特定することができる。したがって、その特定された部材(領域)を重点的にクリーニングすることができる。また、汚染している部材(領域)が特定されるので、例えば汚染されていない(クリーニングする必要がない)部材(領域)をクリーニングしてしまうといった無駄な処理を省くことができる。
また、本実施形態においては、液浸部材7の下面14側に形成された液浸空間LSが、ダミー基板DPの表面上と評価対象部材の上面上との間を所定回数だけ往復するように、ダミー基板DP及び評価対象部材が移動する。これにより、評価対象部材の上面に付着している異物を、その評価対象部材の上面から円滑に離すことができ、その離れた異物を液体LQ中に混入させることができる。また、その液体LQ中に混入した異物をダミー基板DPに良好に付着させることができる。
また、本実施形態においては、液体LQに対するダミー基板DPの表面の接触角と、液体LQに対する基板Pの表面の接触角とがほぼ同じなので、終端光学素子12及び液浸部材7とダミー基板DPの表面との間に液浸空間LSを良好に形成することができる。また、液体LQに対するダミー基板DPの表面の接触角を、液体LQに対する基板Pの表面の接触角より高くすることによっても、終端光学素子12及び液浸部材7とダミー基板の表面との間に液浸空間LSを良好に形成することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図15は、第2実施形態に係る露光装置EXの一例を示す図である。上述の第1実施形態と異なる第2実施形態の特徴的な部分は、計測ステージ3にブリッジ部材47が設けられている点である。すなわち、本実施形態においては、基板ステージ2と対向可能な計測ステージ3の側面3FAが、ブリッジ部材47の側面49Sとブリッジ部材47が配置されていない側面3Fを含む。
ブリッジ部材47は、射出面13及び下面14と対向可能な上面49Uと、基板ステージ2の側面2Fと対向可能な側面49Sとを有する。本実施形態において、ブリッジ部材47の上面49Uは、XY平面とほぼ平行である。また、ブリッジ部材47の上面49Uと、第4保持部34に保持されたプレート部材Sの上面とは、ほぼ同一平面内に配置される(ほぼ面一である)。
本実施形態において、ブリッジ部材47の側面49Sは、側面3Fよりも基板ステージ2の側面2Fに接近可能である。
図16及び図17は、第2実施形態に係る露光装置EXがスクラム移動を実行している状態を示す図である。本実施形態においては、スクラム移動を実行するとき、制御装置8は、基板ステージ2の+Y側の側面2Fと計測ステージ3のブリッジ部材47の側面49Sとを所定のギャップG3bを介して対向させ、そのギャップG3bを維持した状態で、基板ステージ2及び計測ステージ3を同時に移動(同期移動)させる。本実施形態においては、スクラム移動時において、基板ステージ2の上面2U、計測ステージ3の上面3U、及びブリッジ部材47の上面49Uで実質的な連続面が形成された状態で、液浸空間LSが、ブリッジ部材47の上面49U上を移動する。すなわち、露光シーケンスにおいて、ブリッジ部材47の上面49Uの少なくとも一部は、液浸空間LSの液体LQと接触する。
図18は、ブリッジ部材47の上面49Uの汚染状態を確認する確認処理の一例を示す図である。ブリッジ部材47の上面49Uの少なくとも一部の領域A47の汚染状態を確認するために、制御装置8は、図18(A)に示すように、ブリッジ部材47の上面49Uと液浸部材7との間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQとブリッジ部材47の上面49Uの一部の領域A47とを接触させた後、液浸部材7の下面14側に液浸空間LSが形成された状態で、スクラム移動を実行して、図18(B)に示すように、ダミー基板DPの表面と液浸部材7との間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQと、ダミー基板DPの表面の一部の領域ADPとを接触させることによって、ブリッジ部材47の上面49Uの領域A47の汚染状態を確認することができる。
なお、本実施形態においては、ブリッジ部材47が計測ステージ3に配置される場合を例にして説明したが、基板ステージ2に配置されてもよいし、計測ステージ3及び基板ステージ2の両方に配置されもよい。
なお、上述の第1,第2実施形態においては、第1保持部31にダミー基板DPを保持して、確認処理を実行しているが、第1保持部31に露光用の基板Pを保持して、確認処理を実行してもよい。基板Pを用いる場合でも、評価対象部材が汚染されている場合、その評価対象部材から発生した異物が基板Pの表面に付着するので、その基板Pの表面状態を観察することによって、評価対象部材の表面の汚染状態を確認することができる。
なお、上述の各実施形態においては、基板Pの露光に用いる液体LQを用いてクリーニングする場合を例にして説明したが、露光用の液体LQと異なる液体を用いてクリーニングしてもよい。例えば、アルカリ洗浄液を用いて、評価対象部材をクリーニングすることができる。その場合、供給口15よりアルカリ洗浄液を供給して、液浸部材7と評価対象部材との間にアルカリ洗浄液で液浸空間を形成して、その評価対象部材をクリーニングすることができる。
また、液浸部材7と異なるクリーニング用の液浸部材を設け、評価対象部材をクリーニングする際、そのクリーニング用の液浸部材と評価対象部材との間に液浸空間を形成して、評価対象部材をクリーニングしてもよい。クリーニング用の液浸部材で液浸空間を形成する場合、基板Pの露光に用いられる液体LQで液浸空間を形成してもよいし、アルカリ洗浄液等、液体LQとは異なる液体で液浸空間を形成してもよい。
また、その超音波発生装置を用いて、クリーニングのために液浸部材とクリーニング対象の部材との間に形成された液浸空間の液体に超音波振動を与えてもよい。
また、クリーニング対象の部材に紫外線(例えば露光光EL)を照射して、クリーニング対象部材を光洗浄してもよい。光洗浄については、例えば米国特許出願公開2007/0258072号明細書に記載されている。
なお、上述の各実施形態においては、露光装置EXの部材の表面の汚染状態を確認する確認処理が、液体LQを介して露光された基板Pの状態に基づいて開始されることとしたが、例えば所定時間間隔毎、所定枚数の基板Pを露光する毎、各ロット内の1枚目の基板Pの露光処理を開始する直前など、所定のタイミングで実行されてもよい。また、上述の各実施形態においては、制御装置8が観察装置で取得された画像データに基づいて、評価対象部材の汚染状態を確認しているが、露光装置EX、または観察装置に設けられた表示装置にダミー基板DPの汚染状態を表示して、オペレータが評価対象部材の汚染状態を判断してもよい。
なお、上述の各実施形態においては、部材、及び/又は部品(コンポーネント)の汚染が許容できないと判断された場合に、その部材、及び/又は部品のクリーニングを実施しているが、クリーニングを行わずに、交換してもよい。
なお、上述の各実施形態においては、投影光学系PLの終端光学素子12の射出側(像面側)の光路が液体LQで満たされているが、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子12の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系PLを採用することができる。
なお、上述の各実施形態においては、液体LQとして水を用いているが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対して透過性であり、露光光ELに対して高い屈折率を有し、投影光学系PLあるいは基板Pの表面を形成する感光材(フォトレジスト)などの膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることも可能である。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いて各ステージの位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。例えば、レンズ等の光学部材と基板との間に液浸空間を形成し、その光学部材を介して、基板に露光光を照射することができる。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
上述の実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図19に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンからの露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。基板処理ステップは、上述の実施形態に従って、露光装置EXの部材の汚染状態の確認処理、及び確認処理の結果に応じて実行される、部材のクリーニング処理を含むメンテナンス処理を含み、そのメンテナンスされた露光装置EXを用いて基板が露光光で露光される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
2…基板ステージ、3…計測ステージ、7…液浸部材、8…制御装置、31…第1保持部、32…第2保持部、33…第3保持部、34…第4保持部、47…ブリッジ部材、C(C1,C2)…計測部材、DP…ダミー基板、G1…ギャップ、G2…ギャップ、G3…ギャップ、P…基板、S…プレート部材、T…プレート部材、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、LS…液浸空間