JP2010100937A - フラッシュバット溶接継手特性に優れた内部高硬度型パーライト鋼レールおよびその溶接方法 - Google Patents
フラッシュバット溶接継手特性に優れた内部高硬度型パーライト鋼レールおよびその溶接方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】C:0.73〜0.85質量%,Si:0.5〜0.75質量%,Mn:0.3〜1.0質量%,P:0.035質量%以下,S:0.0005〜0.012質量%,Cr:0.2〜1.3質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、[%Mn]/[%Cr]値が0.3以上0.9未満であり、レール頭部の表層から少なくとも25mm深さにおけるレール母材の頭部内部硬さがHv390以上Hv480未満のパーライト鋼レールを、アプセット量20mm以上の範囲内でフラッシュバット溶接し、溶接終了後70秒以内にレール頭部の冷却を開始し、冷却開始後25〜60秒で冷却を終了する。
【選択図】図1
Description
ところが単にC量を0.85質量%超え1.20質量%以下にすると、熱処理の条件によっては、初析セメンタイト組織が生成し、かつ脆いパーライトが層状に析出したセメンタイト組織が増加する。そのためレールの耐摩耗性は向上するが、フラッシュバット溶接で接合した溶接継手特性(とりわけ曲げ加工性)が劣化する。つまり特許文献1,2に開示された技術では、溶接継手特性改善とレールの耐摩耗性向上とを両立させることは困難である。
すなわち本発明は、C:0.73〜0.85質量%,Si:0.5〜0.75質量%,Mn:0.3〜1.0質量%,P:0.035質量%以下,S:0.0005〜0.012質量%,Cr:0.2〜1.3質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、Mn含有量を[%Mn]としCr含有量を[%Cr]として[%Mn]/[%Cr]値が0.3以上0.9未満であり、レール頭部の表層から少なくとも25mm深さの範囲におけるビッカース硬さで定義されるレール母材の頭部内部硬さがHv390以上Hv480未満のパーライト鋼レールである。
C:0.73〜0.85質量%
Cはパーライト組織においてセメンタイトを形成し、鋼を高強度化することで耐摩耗性や耐疲労損傷性を確保するための必須元素であり、含有量の増加に伴い耐摩耗性および耐疲労損傷性が向上する。しかし、0.73質量%未満では、C量が亜共析範囲内となるため、粒界に初析フェライトが生成する。そのため、従来の熱処理型パーライト鋼レールと比較して優れた耐摩耗性や耐疲労損傷性を得ることが難しい。さらに、レール頭部内部硬さ(内部高硬度型パーライト鋼レールの頭部表層から少なくとも25mm深さの範囲における硬さ)を後述する範囲に制御することが困難になる。また、0.85質量%を超えると熱間圧延後の変態時に初析セメンタイトがオーステナイト粒界に生成し、耐疲労損傷性が著しく低下する。さらに、フラッシュバット溶接後の変態時に初析セメンタイトがオーステナイト粒界に生成し、良好な溶接継手特性を確保することが困難になる。したがって、C量は0.73〜0.85質量%とする。好ましくは0.75〜0.85質量%である。
Siは脱酸素剤およびパーライト組織の強化元素として0.5質量%以上必要であるが、0.75質量%を超えるとSiの有する高い酸素との結合力のため、溶接性が劣化する。さらにSiの高い焼入れ性のため、内部高硬度型パーライト鋼レールの表層にマルテンサイト組織が生成し易くなる。したがってSi量は0.5〜0.75質量%とする。好ましくは0.5〜0.70質量%である。
Mnはパーライト変態温度を低下させてラメラー間隔を細かくすることにより、内部高硬度型レールの高強度化および高延性化に寄与するが、過剰な添加はマルテンサイト組織を生じ易く、また、パーライトの平衡変態温度を低下させ、その結果、過冷度が小さくなりラメラー間隔が粗大化する元素である。0.3質量%未満では十分な効果が得られず、1.0質量%を超えるとマルテンサイト組織を生じ易く、熱処理時および溶接時に硬化や脆化を生じ材質が劣化し易い。またパーライト組織となっても平衡変態温度が低下するため、ラメラー間隔の粗大化を招く。したがって、Mn量は0.3〜1.0質量%とする。好ましくは0.3〜0.8質量%である。
0.035%を超えるPの含有は延性を劣化する。したがって、P量は0.035質量%以下とする。好ましくは0.020質量%以下である。
S:0.0005〜0.012質量%
Sは主にA系介在物の形態で鋼材中に存在するが、0.012質量%を超えるとこの介在物量が著しく増加し、同時に粗大な介在物を生成するため、鋼材の清浄性が悪化する。また、0.0005質量%未満にすると、製鋼コストの増加を招く。したがって、S量は0.0005〜0.012質量%とする。好ましくは0.0005〜0.010質量%である。より好ましくは0.0005〜0.008質量%である。
Crはパーライト平衡変態温度を上昇させ、ラメラー間隔の微細化に寄与すると同時に、固溶強化によりさらなる高強度化をもたらす元素である。しかし、0.2質量%未満では十分な内部硬度が得られず、一方、1.3質量%を超えて添加すると焼入れ性が高くなりすぎ、マルテンサイトが生成し、耐摩耗性および耐疲労損傷性が低下する。さらに、フラッシュバット溶接時に高温に加熱された溶接部に生成したスケールが剥がれ難くなり、溶接時のアプセットによっても生成したスケールの排出がしにくく溶接部にスケールが残存し易くなり、良好な溶接継手性能が得られない。したがって、Cr量は0.2〜1.3質量%とする。好ましくは0.3〜1.3質量%、さらに好ましくは0.5〜1.3質量%である。
MnおよびCrは内部高硬度型パーライト鋼レールの硬さを上昇させるために添加する元素である。ただし、Mn含有量[%Mn]とCr含有量[%Cr]のバランスが適正でないと、内部高硬度型パーライト鋼レールの製造後あるいはフラッシュバット溶接後、表層にマルテンサイトが生成するようになる。なお[%Mn]と[%Cr]の単位は、いずれも質量%である。[%Mn]/[%Cr]の値が0.3未満であると、Crの添加量が多くなり、Crの高い焼入性のため、内部高硬度型パーライト鋼レールの表層にマルテンサイトが生成しやすくなる。さらに、上述したように、溶接接合部にスケールが残存し易くなるため、良好な溶接継手特性が得られない。また、[%Mn]/[%Cr]の値が0.9以上になると、Mnの添加量が多くなり、Mnの高い焼入性のため、同様に内部高硬度型パーライト鋼レールの表層にマルテンサイトが生成しやすくなる。Mn,Crの含有量をそれぞれ上記した範囲とした上で、[%Mn]/[%Cr]の値を0.3以上0.9未満とすることで、製造後あるいはフラッシュバット溶接後の表層へのマルテンサイトの生成を防止しつつ、レール頭部の内部硬さ(内部高硬度型パーライト鋼レールの頭部表層から少なくとも25mm深さの範囲における硬さ)を後述する範囲に制御できるようになる。したがって、[%Mn]/[%Cr]の値は、0.3以上0.9未満とする。好ましくは0.3以上0.8以下である。
V:0.001〜0.30質量%
Vは炭窒化物を形成し、基地中へ分散析出し、レールの更なる高強度化を図るための元素であるが、0.001質量%未満ではその効果が少なく、一方、0.30質量%を超えると、加工性が劣化し、製造コストが増加する。また、合金コストが増加するため、内部高硬度型パーライト鋼レールのコストが増加する。したがってVを添加する場合は、V量は0.001〜0.30質量%とすることが好ましい。より好ましくは0.001〜0.15質量%である。
CuはCrと同様に固溶強化により更なる高強度化を図るための元素である。ただし、1.0質量%を超えるとCu割れが生じ易くなる。したがってCuを添加する場合は、Cu量は1.0質量%以下とすることが好ましい。ただし固溶強化の効果を得るためには0.005質量%以上の添加が望ましい。つまりCu量は、より好ましくは0.005〜1.0質量%である。0.005〜0.5質量%が一層好ましい。
Niは延性を劣化することなく高強度化を図るための元素である。また、Cuと複合添加することによりCu割れを抑制するため、Cuを添加した場合にはNiも添加することが望ましい。ただし、1.0質量%を超える添加により焼入れ性が上昇し、マルテンサイトが生成するようになり、耐摩耗性と耐疲労損傷性が低下しがちとなる。したがってNiを添加する場合は、Ni量は1.0質量%以下とすることが好ましい。ただし高強度化の効果を得るためには0.005質量%以上の添加が望ましい。つまりNi量は、より好ましくは0.005〜1.0質量%である。0.005〜0.5質量%が一層好ましい。
Nbは鋼中のCやNと結び付いて圧延中および圧延後に炭化物,窒化物または炭窒化物として析出し、パーライトコロニーサイズの微細化に有効に作用する。その結果、耐摩耗性,耐疲労損傷性,延性ならびに溶接継手特性を大きく向上させ、内部高硬度型パーライト鋼レールの長寿命化に大きく寄与する。ただし、Nb量が0.001質量%未満では十分な効果が得られにくい。一方、0.05質量%を超えて添加しても、耐摩耗性,耐疲労損傷性の向上効果が飽和し、添加量に見合う効果が得られない。また、圧延または溶接のための加熱時にNbが完全に固溶せず、鋼中に粗大な晶出物が残存し、良好な溶接継手特性が得られ難くなる。したがって、Nbを添加する場合は、Nb量は0.001〜0.05質量%とすることが好ましい。より好ましくは0.001〜0.03質量%である。
Moは固溶強化によりさらなる高強度化を図るための元素である。ただし、0.5質量%を超えるとベイナイト組織が生じ易くなり、レールの基本特性である耐摩耗性が低下しがちとなる。したがって、Moを添加する場合は、Mo量は0.5質量%以下とすることが好ましい。ただし固溶強化の効果を得るためには0.005質量%以上の添加が望ましい。つまりMo量は、より好ましくは0.005〜0.5質量%である。0.005〜0.3質量%が一層好ましい。
なお、本発明に係る組成中の残部Feの一部に代えて本発明の作用効果に実質的に影響しない範囲内で他の微量成分元素を含有するものとしたパーライト鋼レールも、本発明に属する。ここで、不純物としては、P,N,O等が挙げられ、Pは上記の通り0.035質量%まで許容できる。また、Nは0.006質量%まで、Oは0.004質量%まで許容できる。さらに本発明では、不純物として混入するTi,Alをそれぞれ0.0010質量%まで許容できる。特にTiやAlは酸化物を形成し、曲げ特性の低下を招くので、0.0010質量%以下に制御することが好ましい。
レール頭部の内部硬さがHv390未満になると鋼の耐摩耗性が低下し、内部高硬度型パーライト鋼レールの使用寿命が低下する。一方、Hv480以上になるとマルテンサイトが生成し、レール鋼の基本特性である耐疲労損傷性が低下する。よって、レール頭部の内部硬さはHv390以上Hv480未満とする。好ましくは、Hv395以上Hv480未満である。また、レール頭部の内部硬さの定義域を内部高硬度型パーライト鋼レールの頭部表層から少なくとも25mm深さの範囲としたのは、25mm未満では、レール頭部の表層から内部に入るにつれて内部高硬度型パーライト鋼レールの耐摩耗性が低下し、使用寿命が低下するからである。
パーライト層のラメラー間隔については、微細なほど、内部高硬度型パーライト鋼レールの硬さが上昇し、耐摩耗性および耐疲労損傷性の向上の観点から有利となるが、0.15μm超では、これらの特性の向上が不十分となるので、0.15μm以下とすることが好ましい。また、ラメラー間隔を0.04μm未満にしようとすると、焼入性を向上させて、より微細化する手法を用いることとなり、この場合、表層にマルテンサイトが生成しやすくなり耐疲労損傷性や溶接継手特性に悪影響を及ぼす。よって、0.04μm以上とすることが好ましい。
母材および溶接継手部の硬さはレール頭部の表層から5mmの位置のビッカース硬さを測定し、その測定値から〔母材の硬さ〕−〔溶接継手部の硬さ〕で算出した硬さ差ΔHが、Hv+30を超えると、溶接継手部の硬さが低下するので、溶接継手部に局部摩耗が発生してロングレールの破断を招く。一方、硬さ差ΔHがHv−30を超えると、溶接継手部の硬度が母材に比べて著しく高硬度化するので、母材の摩耗が進行して、ロングレールの溶接継手部が突出する。そのため、グラインダー等を用いて研削加工を行なう必要が生じる。したがって、母材と溶接継手部の硬さ差ΔHはビッカース硬さでHv±30以下が好ましい。より好ましくはHv±25以下である。なお硬さを測定する位置は、AREMA−sec.2.3.3.3で規定されているレール頭部の表層から5mmの位置とする。
鉄道車両が走行中、レールには鉛直下向きの荷重がかかり、レールがたわむ現象が発生する。後述する曲げ試験による溶接継手部のたわみ量が20mm未満の場合、車輪が溶接部を通過すると、たわみ量が十分でないために、レール溶接部に大きな負担がかかり、レール溶接部が破断する可能性がある。レール溶接部の破断を抑制するためには、溶接部におけるたわみ量を20mm以上確保するのが好ましい。
アプセット量は、フラッシュバット溶接の際に、パーライト鋼レールの端面に生成した酸化物の排出を行ない、良好な溶接継手特性を得るために好適な範囲に維持する必要がある。そこで発明者らは、表1に示す成分と表2に示す組織を有するパーライト鋼レールを用いて、表3に示す条件でフラッシュバット溶接を行ない、溶接時のアプセット量と後述する曲げ試験によるたわみ量との関係を調査した。なお、鋼種Bは本発明の例、鋼種Aは[%Mn]/[%Cr]値が本発明の範囲を外れる例である。また、表2に示すレール表層とはレール頭部の表層下1mmの位置、レール内部とはレール頭部の表層から25mmの範囲を指し、後述するレール頭部の内部硬さおよびラメラー間隔の測定方法により測定した結果を示す。図1はアプセット量とたわみ量との関係を示すグラフである。図1から明らかなように、本発明の例である鋼種Bでは、アプセット量を20mm以上とすることによって、たわみ量が20mm以上となり、パーライト鋼レールを高強度化したにも関わらず良好な溶接継手特性が得られている。したがって、アプセット量は20mm以上とする。ただし、アプセット量が大きいと、溶融メタルの排出量が増加し、ロングレールの長さが短くなるため、アプセット量は30mm以下とすることが好ましい。すなわち、アプセット量は20〜30mmの範囲内とすることが好ましい。より好ましくは20〜25.4mm(1インチ)、さらに好ましくは21〜25.4mmである。
ロングレールの製造においては、フラッシュバット溶接が終了した後、溶接継手部の硬さ低下および曲げ特性低下を抑制するために、冷却を行なう必要がある。そこで発明者らは、表1に示す成分と表2に示す組織および硬さを有するパーライト鋼レールを用いて、表4に示す条件でフラッシュバット溶接を行ない、溶接終了から冷却開始までの時間と硬さとの関係を調査した。なお、母材および溶接継手部の硬さはレール頭部の表層から5mmの位置のビッカース硬さを測定し、その測定値から〔母材の硬さ〕−〔溶接継手部の硬さ〕で算出した硬さ差ΔHで評価した。図2は、溶接終了から冷却を開始するまでの時間と硬さ差ΔH(=〔母材の硬さ〕−〔溶接継手部の硬さ〕の計算値)との関係を示すグラフである。図2から明らかなように、本発明の例である鋼種Bでは、溶接終了から冷却を開始するまでの時間が70秒を超えると、母材と溶接継手部の硬さ差ΔHが増大する。したがって、溶接終了から冷却を開始するまでの時間は70秒以下とする。好ましくは60秒以下である。
さらに発明者らは、表1に示す成分と表2に示す組織を有するパーライト鋼レールを用いて、表5に示す条件でフラッシュバット溶接を行ない、冷却開始から冷却終了までの時間と硬さとの関係を調査した。なお、母材および溶接継手部の硬さはレール頭部の表層から5mmの位置のビッカース硬さを測定し、その測定値から〔母材の硬さ〕−〔溶接継手部の硬さ〕で算出した硬さ差ΔHで評価した。図3は、冷却開始から冷却終了までの時間(以下、冷却時間という)と硬さ差(=〔母材の硬さ〕−〔溶接継手部の硬さ〕の計算値)との関係を示すグラフである。図3から明らかなように、本発明の例である鋼種Bでは、冷却開始から冷却終了までの時間が25秒未満では、パーライト変態が終了する前に冷却が停止してしまうので、母材と溶接継手部の硬さ差ΔHが増大する。一方、冷却時間が60秒を超えると、マルテンサイトが生成し易くなるので、母材と溶接継手部の硬さ差ΔHが増大する。したがって、冷却時間は25〜60秒の範囲内とする。好ましくは30〜60秒である。
(レール頭部の内部硬さ)
レール頭部の表層から深さ25mmまでの範囲のビッカース硬さを荷重98N,1mmピッチで測定する。そして、すべての硬さのうち、最小の値をレール頭部の内部硬さとした。なお、前述の表2および後述する表7,10において、レール内部の硬さとは上記のように測定した結果を、一方、レール表層の硬さとはレール頭部表層下1mmの位置における硬さの測定値を示している。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてレール頭部の表層近傍(深さ1mm程度)から深さ25mmまで1mmピッチでそれぞれの位置について、倍率7500倍で任意の5つの視野内を観察する。さらにラメラー間隔が一番狭い部分が存在した場合には、倍率20000倍で観察し、視野内のラメラー間隔の測定を行なう。なお、倍率7500倍の視野内にラメラー間隔が狭い部分がない場合や、ラメラーの断面がラメラー面に対して垂直でなく斜めになっている場合は、別の視野に切り替えて測定する。ラメラー間隔は、5視野のラメラー間隔測定値の平均値で評価する。そして、上記のように測定した全てのラメラー間隔のうち、最大の値をレール頭部のラメラー間隔とした。なお、前述の表2および後述する表7,10において、レール内部のラメラー間隔とは上記のように測定した結果を、一方、レール表層のラメラー間隔とはレール頭部表層下1mmの位置におけるラメラー間隔の測定値を示している。
(母材と溶接継手部の硬さ差)
図4に示すように、パーライト鋼レール1のレール頭部の表層から5mmの位置を、溶接継手部2の中央部(すなわち接合界面3)から両側50mmの範囲のビッカース硬さを荷重98N,1mmピッチで測定する。母材の測定値の平均を母材の硬さとし、溶接継手部の測定値の平均を溶接継手部の硬さとして、〔母材の硬さ〕−〔溶接継手部の硬さ〕で算出する。
曲げ試験はAREMA−sec.2.3.3.6に準拠して行なう。図5に示すように、支点4間の距離を溶接継手部2の中央部(すなわち接合界面3)から両側24インチとして荷重を加え、破断するまでのたわみ量を測定する。
表6に示す成分のパーライト鋼レールを製造し、そのビッカース硬さとラメラー間隔を調査した。その結果を表7に示す。鋼種D〜Fは本発明の例、鋼種Cは[%Mn]/[%Cr]値が本発明の範囲を外れる例である。また、表7のレール表層はレール頭部の表層下1mmの位置、レール内部はレール頭部の表層から25mmの範囲における最小の硬さと最大のラメラー間隔を示す。
なお表8の鋼 No.1−3,1−9のフラッシュバット溶接を行ない、その溶接継手部のビッカース硬さを測定した。その結果を図9に示す。ビッカース硬さの測定は、荷重を98Nとし、1mmの間隔でレール頭部表層から5mmの位置を、溶接継手部2の中央部(すなわち接合界面3)から両側50mmの範囲を測定した。
表9に示す成分のパーライト鋼レールを製造し、そのビッカース硬さとラメラー間隔を調査した。その結果を表10に示す。表10のレール表層はレール頭部の表層下1mmの位置、レール内部はレール頭部の表層から25mmの範囲における最小の硬さと最大のラメラー間隔を示す。
産業上格段の効果を奏する。
2 溶接継手部
3 接合界面
4 支点
Claims (5)
- C:0.73〜0.85質量%、Si:0.5〜0.75質量%、Mn:0.3〜1.0質量%、P:0.035質量%以下、S:0.0005〜0.012質量%、Cr:0.2〜1.3質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、Mn含有量を[%Mn]としCr含有量を[%Cr]として[%Mn]/[%Cr]値が0.3以上0.9未満であり、レール頭部の表層から少なくとも25mm深さの範囲におけるビッカース硬さで定義されるレール母材の頭部内部硬さがHv390以上Hv480未満であることを特徴とするパーライト鋼レール。
- 前記組成に加えて、V:0.001〜0.30質量%、Cu:1.0質量%以下、Ni:1.0質量%以下、Nb:0.001〜0.05質量%およびMo:0.5質量%以下の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のパーライト鋼レール。
- 前記レール頭部の表層から少なくとも25mm深さの範囲におけるパーライト層のラメラー間隔が0.04〜0.15μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のパーライト鋼レール。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のパーライト鋼レールを母材とし、該レール母材を溶接した後のレール頭部の表層下5mm位置における前記レール母材の硬さと溶接継手部の硬さとの差ΔHがビッカース硬さで定義される値でHv±30以下であり、曲げ試験による溶接継手部のたわみ量が20mm以上であることを特徴とするパーライト鋼レール。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のパーライト鋼レールを母材とし、該レール母材をアプセット量20mm以上でフラッシュバット溶接し、溶接終了後70秒以内にレール頭部の冷却を開始し、冷却開始後25〜60秒で冷却を終了することを特徴とするパーライト鋼レールの溶接方法。
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